JP2013252647A - 多層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素及び水蒸気等の腐食ガスの急峻なポテンシャル勾配に曝された場合に、基体中における酸素とアルミニウムの粒界相互拡散を同時に抑制可能であり、耐熱性に優れ、従来よりも耐酸素バリア性(耐酸化性)に優れる多層体を提供する。
【解決手段】本発明の多層体は、アルミナと、希土類化合物(例えば、Lu等)とを含有する第1原料を焼成してなる第1層と、アルミナと、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を含む化合物とを含有する第2原料を焼成してなる第2層と、を備える多層体であって、基材上に配設される際、基材側に、第1層が配されることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、多層体に関する。更に詳しくは、本発明は、酸素及び水蒸気等の腐食ガスの急峻なポテンシャル勾配に曝された場合に、基体中における酸素とアルミニウムの粒界相互拡散を同時に抑制可能であり、耐熱性に優れ、従来よりも耐酸素バリア性(耐酸化性)に優れる多層体に関する。
環境バリアコーティング膜[Environmental Barrier Coating膜(EBC膜)]は、優れた耐熱性を有する基材の表面に被覆されて用いられるため、この耐熱部材が使用される環境において、酸素及び水蒸気等の腐食ガスの急峻なポテンシャル勾配に曝される。このポテンシャル勾配下では、腐食種がEBC膜中を内/外方向に拡散することに加えて、膜の構成成分が分相及び偏析等を生じることがある。従って、EBC膜には、超高温の酸素及び水蒸気等に対する安定性はもとより、ポテンシャル勾配に起因する腐食種の透過及び膜内における分相、偏析等の抑制が要求される。
近年、各種耐熱合金の保護膜としての実績を有するアルミナ(Al)がEBC膜候補材として有望視されている。Alは、優れた高温安定性及び耐食性等を有し、各種の耐熱基材の保護被膜として用いられており、十分な保護性能を有することが知られている。更に、1600℃以上の高温では、10−5atm付近を境として、高酸素分圧側ではp型半導体、低酸素分圧側ではn型半導体としての性質を有し、それぞれの酸素分圧領域でホール伝導性、電子伝導性を発現することが知られている。
しかしながら、EBC膜のおかれる環境は、腐食ガス側の表面の酸素分圧が1atm、EBC膜と基材との境界における酸素分圧が10−15atmレベルと、広範な酸素ポテンシャル勾配に曝されるため、Alを単独でEBC膜として用いた場合、複数の物質移動機構が同時に関与することとなり、酸素透過機構ばかりでなく、材料そのものの安定性にも影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本出願人は、酸素及び水蒸気等の超高温の腐食ガスの透過を、これらの腐食ガスの急峻なポテンシャル勾配に曝されたときでも十分に抑えられるEBC膜(即ち、酸素を始めとする腐食種の内方向拡散を十分に抑制することができ、且つ膜内における分相、偏析等も抑制されるEBC膜)を開発し、特許出願している(特許文献1参照)。この特許文献1では、高温における酸素透過係数の計測及び解析により、希土類元素(Lu、Y等)が酸素の易動度の抑制に有効であることを明らかにしている。
また、本出願人は、アルミニウムの外方向拡散を十分に抑制することができ、且つ膜内における分相、偏析等も抑制されるEBC膜を開発し、特許出願している(特許文献2参照)。この特許文献2では、高温における酸素透過係数の計測及び解析により、IV族元素(Hf、Zr等)がアルミニウムの易動度の抑制に有効であることを明らかにしている。
更に、本出願人は、酸素及び水蒸気等の腐食ガスの急峻なポテンシャル勾配に曝される、アルミナ系保護膜の耐酸化性をより向上させるために、アルミナ系材料に希土類のLuと、IV族のHfとを同時に粒界偏析させたアルミナ保護膜を検討した。
しかしながら、アルミナ系材料に希土類のLuと、IV族のHfとを同時に粒界偏析させた場合、HfにLuが固溶して酸素空孔が導入されてしまい、物質移動が加速され、酸素バリア性がかえって損なわれてしまった(非特許文献1)。
特開2010−6620号公報 特開2011−6755号公報
T.Matsudaira et al. Acta Materialia 59 (2011) 5440−5450
本発明は、上記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、酸素及び水蒸気等の腐食ガスの急峻なポテンシャル勾配に曝された場合に、基体中における酸素とアルミニウムの粒界相互拡散を同時に抑制可能であり、耐熱性に優れ、従来よりも耐酸素バリア性に優れる多層体を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]アルミナと、希土類化合物とを含有する第1原料を焼成してなる第1層と、
アルミナと、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を含む化合物とを含有する第2原料を焼成してなる第2層と、を備える多層体であって、
基材上に配設される際、前記基材側に、前記第1層が配されることを特徴とする多層体。
[2]前記第1原料における前記アルミナと、酸化物換算した前記希土類化合物との合計を100モル%とした場合に、前記希土類化合物の含有割合は0.05〜1.0モル%であり、前記第2原料における前記アルミナと、酸化物換算した前記化合物との合計を100モル%とした場合に、前記化合物の含有割合は0.05〜5モル%である前記[1]に記載の多層体。
本発明の多層体によれば、第1層の存在により、酸素を始めとする腐食種(酸素)の内方向拡散を抑制することができると同時に、第2層の存在により、アルミニウムの外方向拡散を抑制することができる。そのため、急峻なポテンシャル勾配に曝された場合にも、酸素及び水蒸気等の超高温の腐食ガスの透過を十分に抑えることができ、耐熱性に優れ、従来よりも耐酸素バリア性(耐酸化性)に優れる。
また、第1原料における希土類化合物の含有割合、並びに、第2原料におけるHf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を含む化合物の含有割合が特定の範囲である場合には、腐食ガスの透過、及び各層内における分相、偏析等を十分に抑えることができる。
酸素透過係数の計測に用いた装置の模式的な説明図である。 1600℃における実施例1の「単位粒界密度当たりの透過係数」と「分圧比[PO2(II)/PO2(I)]」との関係を示すグラフである。ここで、PO2(I)は基材側の酸素分圧、PO2(II)は腐食ガス側の酸素分圧であり、PO2(I)<<PO2(II)の関係にある。 1600℃における比較例1の「単位粒界密度当たりの透過係数」と「分圧比[PO2(II)/PO2(I)]」との関係を示すグラフである。 1600℃における比較例2の「単位粒界密度当たりの透過係数」と「分圧比[PO2(II)/PO2(I)]」との関係を示すグラフである。 1600℃における比較例3の「単位粒界密度当たりの透過係数」と「分圧比[PO2(II)/PO2(I)]」との関係を示すグラフである。 1600℃における比較例4の「単位粒界密度当たりの透過係数」と「分圧比[PO2(II)/PO2(I)]」との関係を示すグラフである。 1600℃における比較例5の「単位粒界密度当たりの透過係数」と「分圧比[PO2(II)/PO2(I)]」との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多層体は、アルミナと、希土類化合物とを含有する第1原料を焼成してなる第1層と、アルミナと、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を含む化合物とを含有する第2原料を焼成してなる第2層と、を備える多層体である。そして、この多層体は、基材上に配設される際、基材側に第1層が配されることを特徴とする。
本発明の多層体を構成する上記第1層は、上記第1原料を焼成してなるものである。この第1層の厚みは特に限定されず、後述するように、多層体の使用環境(特に温度)に応じて適宜調整される。
第1原料は、アルミナと、希土類化合物とを含有するものである。尚、この第1原料は、多層体におけるバリア性能等の低下を防止するという観点から、原料として、上記第2原料の必須成分である、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を含む化合物を含有しないものとすることができる。
上記アルミナとしては、通常、アルミナ粉末が用いられる。アルミナ粉末の平均粒径等は特に限定されない。特に、平均粒径が小さいアルミナ粉末であれば、低温での焼成によって、より緻密な焼結体とすることができるため好ましい。但し、アルミナ粉末の平均粒径が過小であると、取り扱い難く、第1層を形成する際の作業性に劣ることがある。一方、平均粒径が過大であると、高温で焼成しないと緻密化することができない等の問題があり、好ましくない。
また、希土類化合物としては、通常、希土類化合物粉末が用いられる。この希土類化合物粉末は、希土類元素を有する化合物の粉末である。希土類元素は特に限定されず、Sc、Y及びランタノイドのうちのいずれであってもよい。この希土類元素は、Y、Sm、Eu、Tm及びLuのうちの少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは、Lu、Yである。希土類元素がLu又はYである場合には、腐食種の拡散、透過、及び層内における分相、偏析等を十分に抑えることができる。具体的な希土類化合物粉末としては、例えば、希土類元素の酸化物、炭酸塩、水酸化物等の粉末を用いることができる。
第1原料において、アルミナと希土類化合物との含有割合は、これらの合計を100モル%とした場合に、希土類化合物が0.05〜1.0モル%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モル%、更に好ましくは0.1〜0.3モル%である。希土類化合物の含有割合が上記の範囲であれば、腐食種の拡散、透過、及び層内における分相、偏析等を十分に抑えることができる。
また、この希土類化合物は、焼成により第1層を形成する際に、焼結助剤として作用するものであり、上記範囲の含有割合であれば、焼成により十分に緻密化され、且つアルミナ焼結体が本来有する優れた強度及び耐熱性等が損なわれることがない。
更に、第1原料を100質量%とした場合に、アルミナと希土類化合物との合計は90〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは95〜100質量%である。アルミナと希土類化合物との合計が90質量%以上であれば、アルミナ焼結体が本来有する優れた強度及び耐熱性等が損なわれることがなく、優れた強度及び耐熱性等を有する多層体を形成することができる。
また、第1原料に含有されるアルミナ及び希土類化合物を除く他の成分は、多層体のバリア性能を損なうことがなければよく、特に限定されない。
具体的な他の成分としては、例えば、焼結助剤、組織制御剤等の各種助剤等が挙げられる。これらの他の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の多層体を構成する上記第2層は、上記第2原料を焼成してなるものである。この第2層の厚みは特に限定されず、後述するように、多層体の使用環境(特に温度)に応じて適宜調整される。
第2原料は、アルミナと、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を含む化合物(以下、「Hf又はZrを含む化合物」)とを含有するものである。尚、この第2原料は、多層体におけるバリア性能等の低下を防止するという観点から、原料として、上記第1原料の必須成分である、希土類化合物を含有しないものとすることができる。
第2原料におけるアルミナについては、上記第1原料におけるアルミナの説明をそのまま適用することができる。
また、Hf又はZrを含む化合物としては、通常、Hf又はZrを含む化合物粉末が用いられる。尚、この化合物粉末は、Hfを含みZrを含まない化合物の粉末、Zrを含みHfを含まない化合物の粉末、Hf及びZrの両方を含む化合物の粉末のいずれであってもよく、またこれらの化合物の粉末の混合物であってもよい。Hf又はZrを含む化合物粉末をアルミナ粉末に混合することにより、腐食種の拡散、透過、及び層内における分相、偏析等を十分に抑えることができる。具体的な化合物粉末としては、例えば、酸化物、塩化物、塩化酸化物、ケイ酸塩等の粉末を用いることができる。
第2原料において、アルミナと、Hf又はZrを含む化合物との含有割合は、アルミナと酸化物換算したHf又はZrを含む化合物との合計を100モル%とした場合に、Hf又はZrを含む化合物は0.05〜5モル%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0モル%、更に好ましくは0.1〜0.7モル%である。Hf又はZrを含む化合物の含有割合が上記の範囲であれば、腐食種の拡散、透過、及び層内における分相、偏析等を十分に抑えることができる。
また、Hf又はZrを含む化合物は、焼成により第2層を形成する際に、焼結助剤として作用するものであり、上記範囲の含有割合であれば、焼成により十分に緻密化され、且つアルミナ焼結体が本来有する優れた強度及び耐熱性等が損なわれることがない。
更に、第2原料を100質量%とした場合に、アルミナと、Hf又はZrを含む化合物との合計は90〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは95〜100質量%である。アルミナと、Hf又はZrを含む化合物との合計が90質量%以上であれば、アルミナ焼結体が本来有する優れた強度及び耐熱性等が損なわれることがなく、優れた強度及び耐熱性等を有する多層体を形成することができる。
また、第2原料に含有されるアルミナ及びHf又はZrを含む化合物を除く他の成分は、多層体のバリア性能を損なうことがなければよく、特に限定されない。
具体的な他の成分としては、例えば、焼結助剤、組織制御剤等の各種助剤等が挙げられる。これらの他の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の多層体の厚みは特に限定されないが、通常、0.1〜10μm(特に0.1〜2μm)とすることができる。
また、多層体における第1層及び第2層の厚みは、使用環境(多層体が曝される温度)に応じて適宜調整することができる。例えば、基材側の酸素分圧:PO2(I)=10−8Pa、腐食ガス側酸素分圧:PO2(II)=10Paの場合における、各使用温度での第1層の好ましい厚みを以下に示す。尚、下記の数値範囲は、第1層及び第2層の厚みの合計を100%とした際の、第1層の厚みである。
(a)使用温度が1550℃以上の場合、第1層の厚みは32〜72%であることが好ましく、より好ましくは42〜62%、更に好ましくは47〜57%である。
(b)使用温度が1450〜1550℃未満の場合、第1層の厚みは44〜84%であることが好ましく、より好ましくは54〜74%、更に好ましくは59〜69%である。
(c)使用温度が1350〜1450℃未満の場合、第1層の厚みは55〜95%であることが好ましく、より好ましくは65〜85%、更に好ましくは70〜80%である。
(d)使用温度が1250〜1350℃未満の場合、第1層の厚みは65〜99.5%であることが好ましく、より好ましくは75〜95%、更に好ましくは80〜90%である。
(e)使用温度が1150〜1250℃未満の場合、第1層の厚みは72〜99.5%であることが好ましく、より好ましくは82〜99.5%、更に好ましくは87〜97%である。
(f)使用温度が1050〜1150℃未満の場合、第1層の厚みは77〜99.5%であることが好ましく、より好ましくは87〜99.5%、更に好ましくは92〜99.5%である。
(g)使用温度が1050℃未満の場合、第1層の厚みは79〜99.5%であることが好ましく、より好ましくは89〜99.5%、更に好ましくは94〜99.5%である。
尚、傾向的には、温度が低い程、第1層の厚みを大きく、第2層の厚みを小さくすることが望ましい。また、基材側の酸素分圧:PO2(I)をより減少させた場合についても、第1層の厚みを大きく、第2層の厚みを小さくすることが望ましい。
本発明の多層体が配設される上記基材としては、高温で用いられるために、その表面に耐熱部材の形成が必要とされる各種の基材が挙げられる。
基材の材質としては、炭素/炭素複合材料(黒鉛材料を炭素繊維により強化した複合材料等)、及び耐熱金属等を挙げることができる。この耐熱金属としては、ステンレス鋼等のFe基合金、ニッケル基合金、クロム基合金等が挙げられる。ステンレス鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。また、ニッケル基合金としては、インコネル600(登録商標)、インコネル718(登録商標)、インコロイ802(登録商標)等が挙げられる。更に、クロム基合金としては、Ducrlloy CRF(94Cr5Fe1Y)等が挙げられる。
具体的な基材としては、例えば、(1)各種プラント関係、(2)輸送機器関係、(3)その他の施設、設備、機器等が挙げられる。(1)各種プラント関係としては、各種製品の製造、エネルギー供給プラント等で使用されている内燃機関、ボイラー(過熱器官、管寄せ・主蒸気管、高温高圧バルブ等)、蒸気タービン、ガスタービン(高温ロータ、内車室、蒸気弁、低圧ロータ等)、熱交換器、改質器、配管、遮熱材、断熱材、固定部品等の、800℃以上の高温にて使用される部位、部品等が挙げられる。また、(2)輸送機器関係としては、自動車及び鉄道車両等の各種車両、船舶、航空機、宇宙機器等で使用されている内燃機関、ボイラー(過熱器官、管寄せ・主蒸気管、高温高圧バルブ等)、蒸気タービン、ガスタービン(高温ロータ、内車室、蒸気弁、低圧ロータ等)、熱交換器、改質器、配管、遮熱材、断熱材、固定部品等の、800℃以上の高温にて使用される部位、部品等が挙げられる。更に、(3)その他の施設、設備、機器としては、上記(1)、(2)以外の分野の各種施設、設備、機器等で使用されている内燃機関、ボイラー(過熱器官、管寄せ・主蒸気管、高温高圧バルブ等)、蒸気タービン、ガスタービン(高温ロータ、内車室、蒸気弁、低圧ロータ等)、熱交換器、改質器、配管、遮熱材、断熱材、固定部品等の800℃以上の高温にて使用される部位、部品等が挙げられる。
本発明の多層体が基材上に配設される際には、多層体を構成している第1層側が基材側となるように配設される。
このように多層体が配設された基材では、高温[腐食雰囲気(酸化雰囲気)]での使用時において、多層体における第1層側(基材側)は低酸素分圧側となり、第2層側(腐食雰囲気側)は高酸素分圧側となる。即ち、第1層側はアルミナ層での酸素(O)の拡散が主体となる領域となり、第2層側はアルミナ層でのアルミニウム(Al)の拡散が主体となる領域となる。
この際、本発明の多層体における第1層には、Lu等の希土類元素化合物が粒界偏析されているため、低酸分圧側における酸素の拡散を十分に抑制することできる。更に、多層体における第2層には、Hf又はZrを含む化合物が粒界偏析されているため、高酸素分圧側におけるアルミニウムの拡散を十分に抑制することができる。このように、本発明の多層体によれば、酸素の拡散及びアルミニウムの拡散を同時に抑制することができるため、アルミナ系多層体における酸素バリア性を飛躍的に向上させることができる。
本発明の多層体を製造する方法は特に限定されない。具体的には、例えば、第1原料からなる第1成形体を作製し、得られた第1成形体を焼成してなる第1焼成体(第1層)と、第2原料からなる第2成形体を作製し、得られた第2成形体を焼成してなる第2焼成体(第2層)と、を接合する方法等により製造することができる。尚、多層体が反射防止層を備える場合には、反射防止層となる焼成体を、第1層となる第1焼成体と、第2層となる第2焼成体の間に介在させて、各焼成体を接合することで製造することができる。
この際、各成形体の成形方法は特に限定されず、例えば、ホットプレス、熱間静水圧成形(HIP)、冷間静水圧成形(CIP)等の公知の方法を用いることができる。
また、各成形体の焼成時の条件は特に限定されず、例えば、焼成温度は約800〜11600℃、焼成雰囲気は、大気雰囲気や、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気等とすることができる。
更に、焼成体同士を接合する方法は特に限定されず、加圧成形等の従来の接合方法を用いることができる。
各焼成体において、相対密度を緻密化の指標とした場合、この相対密度は95%以上、特に98%以上、更に99.5%以上であることが好ましい。この相対密度は、原料粉末の種類及びその配合量、並びに焼成温度等によって、上記の好ましい範囲に調整することができる。尚、相対密度は、純水を溶媒にしてアルキメデス法により測定した嵩密度を、理論密度で除して算出することができる。
また、本発明の多層体は、スラリー状の原料を用いる被膜形成法を利用することにより、基材上に直接配設することもできる。具体的には、例えば、基材上に、スラリー状の第1原料を塗布した後、塗膜を焼成し、第1層を形成する。次いで、第1層上に、スラリー状の第2原料を塗布した後、塗膜を焼成し、第2層を形成することで、本発明の多層体を形成することができる。
スラリー状の各原料は、各原料粉末に、有機バインダ、可塑剤及び有機溶媒等を配合した後、ボールミル等により湿式混合して調製することができる。
有機バインダ、可塑剤及び有機溶剤としては、アルミナ粉末を主成分とするセラミックスラリーにおいて一般に使用されるものを用いることができる。
有機バインダとしては、例えば、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジブチルアジペート等のフタル酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤としては、例えば、ブチルカルビトール、タ−ピネオール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記被膜形成法としては、例えば、(1)熱蒸着、電子ビーム蒸着、イオンビーム蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング等の物理蒸着法、(2)熱化学蒸着、プラズマ化学蒸着、電子サイクロトロン共鳴源プラズマ化学蒸着等の化学蒸着法、(3)プラズマ溶射等の溶射法、(4)ゾルゲル法、ディップコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
上記焼成は、乾燥後の塗膜を所定温度で所要時間保持することによりなされる。焼成温度は、原料粉末の平均粒径、種類及び配合量等により適宜設定される。この焼成は、通常、塗膜を焼成温度より低い所定温度で加熱し、有機バインダを除去した後(即ち、脱脂した後)になされる。この場合、脱脂した後、そのまま降温させることなく、焼成温度まで昇温させて焼成してもよいし、脱脂の後、一旦降温させ、例えば、室温(25〜35℃)にまで降温させ、その後、焼成してもよい。
焼成雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気等の酸化雰囲気、窒素ガス雰囲気及びアルゴンガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気等の不活性雰囲気、並びに水素ガスを含有する還元雰囲気のいずれであってもよい。また、乾燥雰囲気であってもよく、加湿雰囲気であってもよい。焼成雰囲気は、加湿された還元雰囲気であることが好ましく、この焼成雰囲気であれば、有機バインダの分解に有利で、より低温で緻密化させることができる。
本発明の多層体におけるバリア性能は、例えば、次のように評価することができる。
多層体の一面側と他面側に、分圧の異なる腐食ガスを供給する。この際の、多層体の厚さ方向における腐食ガスの透過量の計測において、分圧を変化させた場合の、変化に対する透過量の依存性を評価する。そして、各々の分圧における腐食ガスの透過係数を算出し、分圧比[高分圧P(II)/低分圧P(I)]と単位粒界密度当たりの透過係数との相関を求め、相関に基づいて、多層体のバリア性能を評価することができる。
上記のバリア性能評価方法では、試験片を作製し、この試験片の一面側と他面側に、分圧の異なる腐食ガスを供給する。この腐食ガスは、耐熱部材が高温で用いられるときに、例えば、この部材を酸化させるガスであり、酸素ガス、水蒸気等が挙げられる。
尚、アルミナがp型半導体として挙動する高腐食ガス分圧領域では、低分圧側には、Arガス等の不活性ガスが供給され、高分圧側には不活性ガスと微量の酸素ガスとの混合ガスを供給するが、不活性ガス及び混合ガスのいずれにも微量の腐食ガスが含有されているため、「分圧の異なる腐食ガスを供給する」と表現する。
そして、分圧が異なることにより、腐食ガスが高分圧P(II)側から低分圧P(I)側に透過するが、この透過量を、各々の腐食ガスに適したガスセンサ等により計測する。また、低分圧側で腐食ガスの分圧が平衡に達した時点の分圧に基づき、下記式(1)に従って、粒界密度で除した透過係数(単位粒界密度当たりの透過係数)を算出する。
PL/Sgb=C・Q・L/Vst・S・Sgb (1)
(PL;透過係数、Sgb;粒界密度、C;透過した腐食ガスの濃度、Q;腐食ガスの流量、Vst;理想気体モル体積、S;試験片の面積、L;試験片の厚さ)
尚、上記粒界密度(Sgb)は、試験後の試験片表面の総粒界長をSEMで測定することで算出することができる。
更に、ガス流量を変化させること等によって腐食ガスの分圧を変化させたときに、低分圧側で腐食ガスの分圧が平衡に達した時点の分圧に基づき、各々の平衡分圧において上記式(1)に従って、それぞれの単位粒界密度当たりの透過係数を算出する。
このようにして、分圧比[高分圧P(II)/低分圧P(I)]と、単位粒界密度当たりの透過係数との相関を求め、高分圧P(II)/低分圧P(I)を横軸、単位粒界密度当たりの透過係数を縦軸とした両対数グラフを作成し、高分圧P(II)/低分圧P(I)の変化に対する、単位粒界密度当たりの透過係数の依存性を評価し、単位粒界密度当たりの透過係数の絶対値により多層膜のバリア性能を評価する。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、部は、特記しない限り質量基準である。
[1]耐熱及び耐酸化性材料の作製(試験片の作製)
<Al試験片>
Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TMDAR」(純度99.99%以上)]を出発原料として、圧力20MPaでプレス成形し、その後、圧力250MPaでCIP成形し、次いで、大気雰囲気下において温度1500℃で焼成した。その後、切削加工して直径23.5mm、厚さ0.25mmの試験片(Al試験片)を作製した。尚、試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
<Al−HfO系試験片>
Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TMDAR」(純度99.99%以上)]に、二塩化酸化ハフニウム(HfOCl・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.99%以上)を所定量[Al粉末と、HfOに換算したHf化合物粉末との合計を100モル%とした場合に、Hf化合物粉末が0.4モル%(カチオン比としては0.2at%)となる量]を配合した。その後、湿式混合し、圧力20MPaでプレス成形した後、圧力250MPaでCIP成形した。次いで、大気雰囲気下において、温度1500℃で焼成した。その後、切削加工して直径23.5mm、厚さ0.25mmの試験片(Al−HfO系試験片)を作製した。尚、試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
<Al−Lu系試験片>
Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TMDAR」(純度99.99%以上)]に、硝酸ルテチウム水和物[Lu(NO)・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.999%以上)]を所定量(Al粉末と、Luに換算したLu化合物粉末との合計を100モル%とした場合に、Lu化合物粉末が0.20モル%となる量)を配合した。その後、湿式混合し、圧力20MPaでプレス成形した後、圧力250MPaでCIP成形した。次いで、大気雰囲気下において、温度1500℃で焼成した。その後、切削加工して直径23.5mm、厚さ0.25mmの試験片(Al−Lu系試験片)を作製した。尚、試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
<Al−HfO−Lu系試験片>
Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TMDAR」(純度99.99%以上)]に、二塩化酸化ハフニウム(HfOCl・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.99%以上)を所定量[Al粉末と、HfOに換算したHf化合物粉末と、Luに換算したLu化合物粉末との合計を100モル%とした場合に、Hf化合物粉末が0.4モル%(カチオン比としては0.2at%)となる量]と、硝酸ルテチウム水和物[Lu(NO)・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.999%以上)]を所定量(Al粉末と、HfOに換算したHf化合物粉末と、Luに換算したLu化合物粉末との合計を100モル%とした場合に、Lu化合物粉末が0.20モル%となる量)を配合した。その後、湿式混合し、圧力20MPaでプレス成形した後、圧力250MPaでCIP成形した。次いで、大気雰囲気下において、温度1500℃で焼成した。その後、切削加工して直径23.5mm、厚さ0.25mmの試験片(Al−HfO−Lu系試験片)を作製した。尚、試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
<Al−HfO層と、Al−Lu層との多層体からなる試験片>
まず、Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TMDAR」(純度99.99%以上)]に、二塩化酸化ハフニウム(HfOCl・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.99%以上)を所定量[Al粉末と、HfOに換算したHf化合物粉末との合計を100モル%とした場合に、Hf化合物粉末が0.4モル%(カチオン比としては0.2at%)となる量]を配合した。その後、湿式混合し、圧力20MPaでプレス成形した後、圧力250MPaでCIP成形した。次いで、大気雰囲気下において、温度1500℃で焼成し、Al−HfO系焼成体を作製した。尚、焼成体の片面のみ鏡面仕上げとした。
次に、Al粉末[大明化学工業社製、商品名「TMDAR」(純度99.99%以上)]に、硝酸ルテチウム水和物[Lu(NO)・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.999%以上)]を所定量(Al粉末と、Luに換算したLu化合物粉末との合計を100モル%とした場合に、Lu化合物粉末が0.20モル%となる量)を配合した。その後、湿式混合し、圧力20MPaでプレス成形した後、圧力250MPaでCIP成形した。次いで、大気雰囲気下において、温度1500℃で焼成し、Al−Lu系焼成体を作製した。尚、焼成体の片面のみ鏡面仕上げとした。
その後、鏡面仕上げされた面同士が向き合うように、Al−HfO系焼成体と、Al−Lu系焼成体とを積層し、真空ホットプレス成形により接合した(圧力;50MPa、温度;1400〜1500℃、加熱時間;1時間)。次いで、大気雰囲気下において、温度1500℃で焼成した。その後、切削加工して直径23.5mm、厚さ0.25mmの試験片[Al−HfO層と、Al−Lu層との多層体からなる試験片(Al−HfO層の厚み;0.125mm、Al−Lu層の厚み;0.125mm)]を作製した。尚、試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
[2]酸素透過特性の評価及び結果
Al膜において、アルミニウムと酸素とが相互拡散するような酸素分圧差の条件として、PO2(I)=2×10−8Pa、PO2(II)=1Pa〜10Paにおいて酸素透過特性を評価した(「M.Wada et al. Journal of the Ceramic Society of Japan 119 (11) 832−839 2011」に記載の方法を参照)。
ガス透過係数測定装置100(図1参照、各々のガスは矢印の方向に流れる。)を用いた。具体的には、2本のアルミナ保護管の間にPtシールリング21、22を介して試験片3を配置し、上側のアルミナ保護管11に対して錘にて一定荷重を加え、試験片3とPtシールリング21、22との間に面圧を付加した。その後、試験片3の両側に100cc/分の流速で高純度Arガスを供給した。ここで、Ptシールリング21、22と試験片3との間のガスリークの影響を防止するため、上下のアルミナ保護管11、12の外側に、更にアルミナ保護管(外側アルミナ保護管13)を配置し、外側と内側の保護管の間にも同一流速にて高純度Ar−1%Hガスを供給した。また、高純度Ar−1%Hガスは、ガス供給配管4を、ドライアイスが投入されたエタノール浴(冷却浴槽5)中を通過させて−72℃まで冷却することにより、供給するAr−1%Hガス中に不純物として含まれる水蒸気量の低減を図った。
その後、上下のチャンバーの酸素分圧を、それぞれ酸素センサ(ジルコニアセンサ)61、62により計測しながら、電気炉8により1620〜1650℃まで昇温させてPtシールリング21、22によるシールを完成させ、次いで、計測温度まで降温させた。酸素分圧の計測は酸素センサ61、62を720℃に保持して実施した。その後、各々のセンサの出力が一定となった時点で、上下チャンバーの平衡酸素分圧を計測し、バックグラウンド値とした。
次いで、上側チャンバーの供給ガスを高酸素分圧ガス(0.01〜100体積%のOガスを含有するArガスであり、下側チャンバーに供給される高純度Ar−1%Hガスより更に酸素分圧が高い。)に切り替え、100cc/分の流速で供給し、上下チャンバーの酸素分圧の変化をモニターした。そして、それぞれのセンサの出力が一定となった時点で、下側チャンバーの平衡酸素分圧を計測し、バックグラウンド値との差分から、前記式(1)に基づいて酸素ガスに係る単位粒界密度当たりの透過係数PL/Sgbを算出した。
その後、上側チャンバーに供給する高酸素分圧ガスの酸素分圧を変化させ、各々の酸素分圧における下側チャンバーの平衡酸素分圧を計測し、バックグラウンド値との差から、前記式(1)に基づいて、それぞれの酸素ガスに係る単位粒界密度当たりの透過係数PL/Sgbを算出した。
この評価試験は、実施例1及び比較例1〜5において、以下の試験片を用いて行った。また、それぞれの評価結果を図2〜図7に示した。
実施例1;Al−Lu層(第1層)と、Al−HfO層(第2層)との多層体からなる試験片[但し、低酸素分圧側(通常、基材側)がAl−Lu層(第1層)、高酸素分圧側がAl−HfO層(第2層)となるように測定装置に配置した。]
比較例1;Al試験片
比較例2;Al−HfO系試験片
比較例3;Al−Lu系試験片
比較例4;Al−HfO−Lu系試験片
比較例5;Al−Lu層(第1層)と、Al−HfO層(第2層)との多層体からなる試験片[但し、低酸素分圧側(通常、基材側)がAl−HfO層(第2層)、高酸素分圧側がAl−Lu層(第1層)となるように測定装置に配置した。]
尚、図2〜図7におけるプロットは実測値であり、線分は「M.Wada et al. Journal of the Ceramic Society of Japan 119 (11) 832−839 2011」に記載の方法を用いて算出したシミュレーション値である。
図2〜図7によれば、低酸素分圧側(通常、基材側)にAl−Lu層(第1層)、高酸素分圧側にAl−HfO層(第2層)が配置された試験片(実施例1)における単位粒界密度当たりの透過係数が、全体の中で最も低く、耐酸素バリアに最も優れていることが分かった。
また、図7によれば、試験片の構成は実施例1と同様であるが、低酸素分圧側(通常、基材側)にAl−HfO層(第2層)、高酸素分圧側にAl−Lu層(第1層)が配置された試験片(比較例5)における単位粒界密度当たりの透過係数は、他の元素を添加していないAl試験片[比較例1(図3参照)]と同等であり、Hf又はAl元素を添加したAl試験片[比較例2、3(図4、図5参照)]よりも耐酸素バリアに劣っていた。
更に、図6によれば、Hf及びAl元素を同時に添加したAl−HfO−Lu系試験片(比較例4)における単位粒界密度当たりの透過係数が、全体の中で最も高く、耐酸素バリアに最も劣っていた。
以上のことから、低酸素分圧側(通常、基材側)にAl−Lu層(第1層)、高酸素分圧側にAl−HfO層(第2層)が配される多層体は、基体中における酸素とアルミニウムの粒界相互拡散を同時に抑制可能であり、耐熱性に優れ、従来よりも耐酸素バリア性(耐酸化性)に優れることが分かった。
尚、第1層においてLu元素の代わりにY元素を含有させた場合や、第2層においてHf元素の代わりにZr元素を含有させた場合においても、酸素透過係数が大きく低下し、腐食ガスの透過が抑えられる。
本発明の多層体は、環境バリアコーティングやサーマルバリアコーティングを必要とする各種の耐熱部材や、アルミナフォーマー型耐熱合金において好適に利用することができる。例えば、各種プラント関係、輸送機器関係、その他の施設、設備、機器等における内燃機関、ボイラー、蒸気タービン、ガスタービン等の各種部位、部品の表面等、基材の形状に関係なく利用することができる。
100;ガス透過係数測定装置、11;上側アルミナ保護管、12;下側アルミナ保護管、13;外側アルミナ保護管、21、22;Ptシールリング、3;円板状試片、4;ガス供給配管、5;冷却浴槽、61、62;酸素センサ、7;ガスクロマトグラフィ、8;電気炉。

Claims (2)

  1. アルミナと、希土類化合物とを含有する第1原料を焼成してなる第1層と、
    アルミナと、Hf及びZrのうちの少なくとも一方の元素を含む化合物とを含有する第2原料を焼成してなる第2層と、を備える多層体であって、
    基材上に配設される際、前記基材側に、前記第1層が配されることを特徴とする多層体。
  2. 前記第1原料における前記アルミナと、酸化物換算した前記希土類化合物との合計を100モル%とした場合に、前記希土類化合物の含有割合は0.05〜1.0モル%であり、前記第2原料における前記アルミナと、酸化物換算した前記化合物との合計を100モル%とした場合に、前記化合物の含有割合は0.05〜5モル%である請求項1に記載の多層体。
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