JP2013250870A - 媒体繰出収納装置及び媒体処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】テープジャムを確実に防止し得るようにする。
【解決手段】紙幣の巻き戻しを開始してから、紙幣が予想到達時間までに上部搬送路25との受け渡し部分に到達しなかった場合に、さらに許容時間経過するまで、紙幣が受け渡し部分に到達するかを監視し、紙幣が許容時間までに受け渡し部分に到達せずタイムアウトになったときに、紙幣の巻き戻しを停止するようになっていて、この許容時間を、テープが弛んで意図しない箇所に巻き込まれてしまうまでに要する時間より短く、且つできるだけ長く紙幣の到達を待ち続けることのできる時間に設定しておくことで、テープジャムを確実に防止することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、媒体繰出収納装置及び媒体処理装置に関し、例えば、媒体として紙幣を扱う現金自動預払機に適用して好適なものである。
従来、現金自動預払機内に設けられる紙幣入出金機は、紙幣の投入口及び受取口となる入出金口部と、紙幣の金種及び真偽などを鑑別する鑑別部と、紙幣を一時的に収納する一時保留部と、紙幣を金種ごとに保管する複数の紙幣収納庫と、これらを繋ぐ搬送路などにより構成されている。
この紙幣入出金機では、入金取引時、利用者が入出金口部に紙幣を投入すると、これを鑑別部に搬送し、鑑別部により正常紙幣と判別された紙幣は一時保留部に搬送して収納する一方、入金に適さない入金リジェクト紙幣と判別された紙幣については入出金口部へ戻して利用者に返却する。
その後、利用者により入金金額が確定されると、一時保留部に収納している紙幣を鑑別部に搬送して金種を鑑別し、その金種に応じて各紙幣収納庫へ搬送して保管するようになっている。
このうち一時保留部は、例えば、例えば、テープリールとドラムとの間で、テープの巻き取り、巻き戻しを行うことにより、紙幣の収納、繰り出しを行うようになっている。このような一時保留部を、ここではドラム巻付型と呼ぶ。
また、このようなドラム巻付型の一時保留部としては、例えば、2本のテープの間に紙幣を挟み込んだ状態で、テープの巻き取り、巻き戻しを行うことにより、紙幣の収納、繰り出しを行うものが知られている。
ところで、このようなドラム巻付型の一時保留部では、ドラムからテープリールにテープを巻き戻すときなどに、紙幣ジャム(紙幣詰まり)に起因して、テープが意図しない箇所に巻き込まれることで、テープが絡まるなどしてテープジャムを引き起こしてしまうことがあった。
このように、一旦、テープジャムが引き起こされてしまうと、紙幣入出金機を停止させて、作業員がテープを交換したりほどくなどして元の状態に戻す作業を行わなければならない。
一方で、従来、磁気テープを利用するテープレコーダの分野では、テープジャムを防止する方法としていくつかの方法が提案されている。
例えば、1つの方法として、リールの回転速度を計測して、これをもとに、意図しない箇所へのテープの巻き込みが発生したかどうかを判断し、巻き込みが発生したと判断すると、リールを停止させ、さらに供給側のリールと巻取側のリールの双方を回転させてテープの弛みをとることにより、テープジャムを防止する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、別の方法として、例えば、テープに掛かる張力の変動を検出して、これをもとに、意図しない箇所へのテープの巻き込みが発生したかどうかを判断し、巻き込みが発生したと判断すると、巻き取り側のリールの回転速度を上げることで、テープの巻き込み量を減らすことにより、テープジャムを防止する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開昭64−70949号公報 特開平05−20728号公報
ところで、上述のテープジャム防止方法では、テープの巻き込みを検知してからテープの状態を元に戻すようリールを回転させることでテープジャムを防止するようになっているが、テープの巻き込み具合によっては、テープの巻き込みを検知した時点で既にテープジャムが発生している場合があり、この場合、当然のことながらリールを回転させてテープを元の状態に戻すことはできず、テープジャムを防止することはできない。
ゆえに、このような従来のテープジャム防止方法を、ドラム巻付型の一時保留部に採用したとしても、テープジャムの発生を確実に防止することは難しい。
本発明は以上の点を考慮したもので、テープジャムを確実に防止し得る媒体収納繰出装置及び媒体処理装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、媒体を2本1組以上のテープで挟持して当該テープと共にドラムに巻き取り、又はドラムから巻き戻すことで媒体を収納又は繰り出す媒体収納繰出装置において、媒体入出口とドラムとの間の所定位置に媒体が到達したか否かを検知する媒体検知部と、媒体をドラムに巻き取るときに、当該ドラムに対する媒体の巻き取り位置を示す媒体位置情報を取得する媒体位置情報取得部と、媒体位置情報取得部により取得された媒体位置情報をもとに、ドラムに巻き取った媒体を巻き戻すときの、所定位置に媒体が到達するまでの予想到達時間を算出する算出部と、媒体の巻き戻し時に、予想到達時間内に媒体が所定位置に到達しなかった場合には、さらに許容時間経過するまで媒体の到達を待ち受け、当該許容時間内に媒体が所定位置に到達しなかった場合には、媒体の巻き戻しを停止する制御部とを有し、許容時間は、予想到達時間内に媒体が所定位置に到達しなかった原因が、媒体ジャムである場合の、テープが弛んで意図しない箇所に巻き込まれるまでに要する時間より短く、且つ原因が媒体の位置ずれの場合の、当該媒体の到達を待ち続けることのできる時間として予め設定されているようにした。
こうすることで、例えば、媒体ジャムに起因してテープが弛んでしまったとしても、当該テープが意図しない箇所へ巻き込まれてテープジャムが発生してしまう前に、媒体の巻き戻しを停止することができる。
また、予想到達時間が経過した時点で、直ちに媒体の巻き戻しを停止するのではなく、許容時間経過するまで媒体の到達を待ち続けるようにしたことで、例えば、媒体の位置ずれにより媒体の到達が遅れているだけの場合には、媒体の巻き戻しを停止することなく、当該媒体の到達を待つことができる。
本発明によれば、媒体ジャムに起因してテープが弛んでしまったとしても、当該テープが意図しない箇所へ巻き込まれてテープジャムが発生してしまう前に、媒体の巻き戻しを停止することができ、さらに媒体の位置ずれにより媒体の到達が遅れている場合には、媒体の巻き戻しを停止することなく、当該媒体を待つことができる。かくして、テープジャムを確実に防止し得る媒体収納繰出装置及び媒体処理装置を実現できる。
ATMの構成を示す略線図である。 紙幣入出金機の内部構成を示す略線図である。 一時保留部の構成(全体)を示す略線図である。 一時保留部の構成(ドラム周辺)を示す略線図である。 パルスカウントの取得タイミングを示す略線図である。 予想到達時間の算出の説明にともなう略線図である。 テープジャム防止処理の手順を示すフローチャートである。 紙幣ジャムの発生にともなうテープの弛みを示す略線図である。 巻き戻しを開始してからテープの弛みを解消するまでの流れを示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.現金自動預払機の構成]
図1に、現金自動預払機(以下、これをATMとも呼ぶ)1の全体構成の概略を示す。
このATM1は、金融機関の営業店舗、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、スーパーマーケットなどに設置され、顧客情報を記憶管理しているホストコンピュータ(図示せず)と通信回線を介して接続されている。
このATM1の前面(利用者に対向する面)には、操作表示部2が設けられている。この操作表示部2は、入出金の取引画面などを表示するディスプレイ2aと、利用者が操作入力を行うタッチパネル2bとで構成される。
またこのATM1の内部上方には、利用者のキャッシュカードから顧客情報を読み出すカード処理機(図示せず)と、取引明細票(以下、これをレシートとも呼ぶ)を印字して利用者へ発行するレシート印刷機(図示せず)が設けられている。
カード処理機は、ATM1の前面に設けられたカード挿入返却口3より投入された利用者のキャッシュカードから顧客情報を読み出し、取引終了後にこのキャッシュカードをカード挿入返却口3より利用者に返却する。
レシート印刷機は、取引明細を印字したレシートをATM1の前面に設けられたレシート発行口4より利用者に発行する。
またATM1の内部下方には、入出金口部(後述する)に投入された紙幣を入金する入金処理、及び利用者に出金する紙幣を入出金口部に集積する出金処理を行う紙幣入出金機5が設けられている。
さらにATM1の前面上方には、ATM1の前面に露出する外部シャッタ6が設けられ、さらにこの外部シャッタ6の内側に内部シャッタ(後述する)が設けられ、この内部シャッタのさらに内側に、紙幣入出金機5の入出金口部が設けられている。これら外部シャッタ6及び内部シャッタにより、入出金口部への紙幣の投入及び抜き取りが制限される。
さらにATM1の前面には、暗証番号などを入力するテンキー7が設けられている。このテンキー7は、背後から暗証番号などを読み取られないよう、利用者の身体で隠れる位置に略水平に設けられている。
さらにATM1の内部には、ATM1の全体を統括的に制御して、上述した各部の制御を行う主制御部8や、ATM1の運用情報などを記憶するメモリ部9が設けられている。またこの主制御部8は、ホストコンピュータと通信する通信部も有している。
さらにこれら主制御部8及びメモリ部9とは別に、紙幣入出金機5の内部に、紙幣入出金機5の制御を行う制御部10と、この制御部10の記憶領域となるメモリ部11とが設けられている。
[2.紙幣入出金機の内部構成]
次に、図2を用いて、紙幣入出金機5の内部構成について説明する。
この紙幣入出金機5は、入金された紙幣を出金にも利用する所謂リサイクル型の紙幣入出金機であり、その内部は、上側の上部筐体12と下側の下部筐体13と、制御部10(図2では省略)とで構成される。
上部筐体12には、その前面上方に入出金口部20が設けられている。この入出金口部20に内部シャッタ21と外部シャッタ6が設けられている。
外部シャッタ6及び内部シャッタ21は、それぞれ図中矢印A及びBで示す方向に開閉することで、入出金口部20を露出又は塞ぐようになっている。
またこの上部筐体12には、入出金口部20の下方に、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態などを判別する鑑別部22が配置され、入出金口部20の後方に、紙幣を一時的に保管するドラム巻付型の一時保留部23が配置されている。
さらにこの上部筐体12には、一時保留部23の下方にリジェクト庫24が配置されている。
さらにこの上部筐体12には、これら入出金口部20、鑑別部22、一時保留部23、リジェクト庫24を繋ぐ搬送路(この搬送路をここでは上部搬送路と呼ぶ)25が設けられている。
またこの上部筐体12には、上部搬送路25上の各分岐部分に、搬送方向を切り替える為の切替器(図示せず)が設けられ、この切替器で分岐部分での搬送方向を切り替えることにより、紙幣の搬送先を適宜変更するようにもなっている。
一方、下部筐体13は、板厚の鋼板で囲われた金庫筐体26の内側に、紙幣貯蔵部27が設けられた構成となっている。
この紙幣貯蔵部27は、例えば保守作業時などに、ATM1の前面または後面から引き出すことができるよう前後方向にスライド可能となっている。
この紙幣貯蔵部27には、複数(例えば3個)の縦長の紙幣収納庫28(28a〜28c)が前後方向に並べて設けられ、さらに最後尾の紙幣収納庫28cの後方に、リジェクト庫29が配置されている。
さらに下部筐体13には、紙幣貯蔵部27の上側に、前後方向に延在する搬送路(この搬送路をここでは下部搬送路と呼ぶ)30が設けられている。
この下部搬送路30は、各紙幣収納庫28(28a〜28c)及びリジェクト庫29のそれぞれと接続されると共に、前端部分が上方に延在して上部搬送路25と接続される。
また下部搬送路30と各紙幣収納庫28(28a〜28c)及びリジェクト庫29との接続部分には、搬送方向を切り替える為の切替器(図示せず)が設けられ、この切替器で接続部分での搬送方向を切り替えることにより、紙幣の搬送先を適宜変更するようになっている。
さらに、図示していないが、上部搬送路25及び下部搬送路30には、所定箇所に紙幣の通過を検知する紙幣検知センサが配置されている。
紙幣入出金機5は、以上の構成でなり、制御部10(図2では省略)が、鑑別部22による紙幣の鑑別結果や紙幣検知センサの検知結果などをもとに上部筐体12及び下部筐体13の各部を制御することで、紙幣の入金処理及び出金処理を行うようになっている。
すなわち、紙幣入出金機5は、入金取引時、利用者によりATM1にキャッシュカードなどが挿入され、操作表示部2を介して、取引項目(この場合、入金)などが入力されると、外部シャッタ6及び内部シャッタ21を開ける。
その後、利用者が入出金口部20に紙幣を投入すると、これをセンサ(図示せず)で検知して、外部シャッタ6及び内部シャッタ21を閉じ、投入された紙幣を1枚ずつ分離して鑑別部22に搬送する。
ここで、鑑別部22により正常紙幣と判別された紙幣は一時保留部23に搬送して収納する。一方で、入金に適さない入金リジェクト紙幣と判別された紙幣については入出金口部20へ戻して、外部シャッタ6及び内部シャッタ21を開くことで利用者に返却する。
その後、利用者により入金金額が確定されると、一時保留部23に収納している紙幣を鑑別部22に搬送して金種を鑑別し、その金種に応じて、各紙幣収納庫28(28a〜28c)へと搬送して保管するようになっている。
一方、出金取引時、紙幣入出金機5は、利用者によりATM1にキャッシュカードなどが挿入され、操作表示部2及びテンキー7を介して、取引項目(この場合、出金)、暗証番号、出金金額などが入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣収納庫28(28a〜28c)から紙幣を1枚ずつ繰り出して、鑑別部22に搬送する。
ここで、鑑別部22により正常紙幣と判別された紙幣は入出金口部20に搬送する一方、出金に適さない出金リジェクト紙幣と判別された紙幣は一時保留部23に搬送して収納する。
出金金額分の紙幣が入出金口部20へ集積されると、紙幣入出金機5は、外部シャッタ6及び内部シャッタ21を開ける。これにより入出金口部20内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、利用者がこの紙幣を受け取る。
その後、紙幣入出金機5は、一時保留部23に収納している出金リジェクト紙幣を、リジェクト庫24又は29へと搬送して保管する。
このようにして、紙幣入出金機5は、紙幣の入金処理及び出金処理を行うようになっている。
[3.一時保留部の構成]
次に、一時保留部23の構成について、詳しく説明する。紙幣入出金機5の一時保留部23は、図3に示すように、筐体40の前側(図中右側)に設けられた紙幣入出口41に上部搬送路25が接続され、この紙幣入出口41から筐体40内に搬入される紙幣を一時的に収納するようになっている。
筐体40の内部には、中央に左右方向(図中奥行き方向)に延在する円筒形状のドラム42が設けられ、このドラム42の後方上側(図中左上)に上側テープリール43が設けられ、ドラム42の後方下側(図中左下)に下側テープリール44が設けられている。
上側テープリール43には、上側テープ45が巻回されている。この上側テープ45は、上側テープリール43から前方に引き出され、ドラム42の前方上側に配置された上側テープローラ46に掛け渡され、さらにこの上側テープローラ46により後方に折り返されてドラム42の上端部に掛け渡されている。
一方、下側テープリール44には、下側テープ47が巻回されている。この下側テープ47は、下側テープリール44から前方に引き出され、ドラム42の下方に配置されている下側第1テープローラ48に掛け渡され、この下側第1テープローラ48から上側テープローラ46の下方に所定の間隔を隔てて配置された下側第2テープローラ49に掛け渡され、この下側第2テープローラ49により後方に折り返されてドラム42の上端部に掛け渡されている。
上側テープ45と下側テープ47は、下側テープ47の上に上側テープ45が重なった状態でドラム42の上端部に掛け渡されるようになっていて、それぞれの先端部がドラム42の周側面に固定されている。
また、この一時保留部23では、図示しないモータの動力をドラム42の回転軸42aに伝達してドラム42を回転させるようになっていて、さらにこの動力を、ドラム42の回転軸42aと図示しないギアで連結された上側テープリール43の回転軸43aと、下側テープリール44の回転軸44aにも伝達することで、上側テープリール43と下側テープリール44を回転させるようになっている。
つまり、この一時保留部23では、モータ1個の動力で、ドラム42、上側テープリール43及び下側テープリール44を回転させるようになっている。尚、この実施の形態では、ドラム42、上側テープリール43及び下側テープリール44を回転させるモータに、パルスモータを採用している。
実際、この一時保留部23では、図4に示すように、ドラム42を矢印Aで示す巻き取り方向に回転させると、同時に上側テープリール43及び下側テープリール44が巻き戻し方向に回転する。
このとき、上側テープリール43から巻き戻された上側テープ45と、下側テープリール44から巻き出された下側テープ47は、ドラム42の上端部から下側テープ47の上に上側テープ45を重ねた状態でドラム42に巻き取られていくようになっている。
一方で、ドラム42を矢印Bで示す巻き戻し方向に回転させると、同時に上側テープリール43及び下側テープリール44が巻き取り方向に回転する。
このとき、ドラム42から巻き戻された上側テープ45と下側テープ47は、ドラム42の上端部からドラム42と離開すると共にそれぞれが分離して、それぞれ上側テープリール43及び下側テープリール44に巻き取られていくようになっている。
ここで、実際、紙幣Mを収納する場合、一時保留部23は、ドラム42を巻き取り方向に回転させると共に、上側テープリール43及び下側テープリール44を巻き戻し方向に回転させる。
そして、筐体40の前側に設けられた紙幣入出口41から筐体40内に搬入されてきた紙幣Mを、上側テープローラ46と下側第2テープローラ49との間に送り込んで上側テープ45と下側テープ47の間に挟み込み、そのまま矢印Cで示す方向(上側テープローラ46及び下側第2テープローラ49からドラム42への方向)に搬送して、上側テープ45及び下側テープ47と共にドラム42に巻き取っていく。
尚、紙幣入出口41と、上側テープローラ46及び下側第2テープローラ49との間には、複数の搬送ローラ(図示せず)が配置されていて、この搬送ローラにより紙幣入出口41と、上側テープローラ46及び下側第2テープローラ49との間の図示しない搬送路(これを筐体内搬送路と呼ぶ)が形成されるようになっている。
つまり、紙幣入出口41から筐体40内に搬入された紙幣Mは、この筐体内搬送路を通り、上側テープローラ46と下側第2テープローラ49との間に送り込まれるようになっている。
また、このとき紙幣Mは、短手方向に搬送されるようになっていて、長手方向の中央部分を、上側テープ45と下側テープ47とで挟持されるようになっている。
このようにして一時保留部23は、紙幣Mを収納するようになっている。
一方、紙幣Mを繰り出す場合、一時保留部23は、ドラム42を巻き戻し方向に回転させると共に、上側テープリール43及び下側テープリール44を巻き取り方向に回転させる。
すると、上側テープ45と下側テープ47とに挟持された状態でドラム42に巻き取られている紙幣Mが、上側テープ45及び下側テープ47と共にドラム42から巻き戻され、さらに上側テープローラ46と下側第2テープローラ49との間から、矢印Cとは逆の矢印Dで示す方向に放出されて、筐体内搬送路を通り紙幣入出口41から上部搬送路25へと繰り出される。
このようにして一時保留部23は、紙幣を繰り出すようになっている。
ところで、一時保留部23は、上述のように、筐体40内部で、紙幣Mの長手方向の中央部分を上側テープ45と下側テープ47で挟持して搬送する機構の為、搬送時に、紙幣Mの両端部分がフリーとなる。
このようなフリーとなる部分が筐体内搬送路から外れないよう、一時保留部23には、ドラム42の上方に、紙幣Mの上面全体を覆う大きさのガイド部50が設けられている。
さらに一時保留部23の筐体40内部には、上部搬送路25との紙幣Mの受け渡し部分である紙幣入出口41近傍に、紙幣Mの通過を検知する紙幣検知センサ51が配置されている。
この紙幣検知センサ51は、例えば、発光素子と受光素子とでなる光電センサであり、その光軸が筐体内搬送路と直交するように配置されている。
この紙幣検知センサ51は、その光軸が、紙幣によって遮られているかどうかで紙幣の通過を検知するようになっていて、紙幣によって光軸が遮られている間はON、光軸が遮られていないときにはOFFするようになっている。
一時保留部23では、この紙幣検知センサ51の検知結果をもとに、紙幣を巻き戻すとき(すなわち紙幣を繰り出すとき)の紙幣ジャムの発生を監視して、テープジャムの発生を防止するようになっている。
以下、このようなテープジャムの発生を防止する処理(これをテープジャム防止処理と呼ぶ)について説明する。
[4.テープジャム防止処理]
テープジャム防止処理は、制御部10の制御のもとに、紙幣の巻き戻し時に実行される処理である。制御部10は、このテープジャム防止処理の準備として、紙幣の巻き取り時(収納時)に、ドラム42に巻き取られた紙幣の位置を記憶するようになっている。
ドラム42に巻き取られた紙幣の位置を取得する方法については、既存の方法を利用すればよく、ここでは一例として、ドラム42を回転させるパルスモータから得られるパルスカウントを紙幣の位置を示す情報として取得する。
具体的に、制御部10は、一時保留部23に収納する1枚目の紙幣が、一時保留部23近傍の所定の位置に到達したことを、上部搬送路25に配置された紙幣検知センサ(図示せず)の検知結果をもとに認識すると、このときパルスモータの回転を開始させる(すなわちドラム42の回転を開始させる)と共に、この時点のパルスカウントを回転開始時のパルスカウントとしてメモリ部11に記憶する。
さらに制御部10は、一時保留部23内の紙幣検知センサ51がONするのを監視して、紙幣の先端が紙幣検知センサ51の光軸に到達したことにより紙幣検知センサ51がONすると、この時点のパルスカウントを紙幣の順番(1枚目)と対応付けてメモリ部11に記憶する。
その後、制御部10は、紙幣検知センサ51がOFFするのを監視して、紙幣の後端が紙幣検知センサ51の光軸から外れたことにより紙幣検知センサ51がOFFすると、この時点のパルスカウントを紙幣の順番(1枚目)と対応付けてメモリ部11に記憶する。
さらに、制御部10は、同様にして、2枚目以降の紙幣についても、紙幣の先端が紙幣検知センサ51の光軸に到達した時点のパルスカウントと紙幣の後端が紙幣検知センサ51の光軸に到達した時点のパルスカウントとを紙幣の順番(2枚目、3枚目、…、N−1枚目、N枚目)と対応付けてメモリ部11に記憶する。
その後、制御部10は、最後の紙幣(N枚目の紙幣)がドラム42に巻き取られた時点で、巻き取りモータの回転を停止させる(すなわちドラム42の回転を停止させる)と共に、この時点のパルスカウントを回転停止時のパルスカウントとしてメモリ部11に記憶する。
ここで、図5に、紙幣の巻き取り時にパルスカウントを取得するタイミングを模式的に示す。この図5に示すように制御部10は、モータの回転を開始させた時点及び停止させた時点のパルスカウントと、各紙幣の先端が紙幣検知センサ51の光軸に到達した時点及び後端が紙幣検知センサ51の光軸から外れた時点のパルスカウントとをメモリ部11に記憶するようになっている。
このようなタイミングで記憶したパルスカウントを参照することで、制御部10は、ドラム42に巻き取った紙幣のそれぞれが、ドラム42の回転を開始してから、何パルス分回転させたときに巻き取った紙幣であるのかを特定することができ、結果として、ドラム42に巻き取った紙幣のそれぞれが、ドラム42のどの位置に巻き取られているのかを仮想的に把握することができる。
さらに、制御部10は、このようにして得られたパルスカウントをもとに、ドラム42に巻き取った紙幣を巻き戻すときに、各紙幣の先端(巻き取り時の後端)が、紙幣検知センサ51に到達するまでの時間(これを予想到達時間とも呼ぶ)を算出する。
具体的に、制御部10は、図6に示すように、巻き取り時に取得した、モータの回転を停止させた時点のパルスカウントと、各紙幣の後端が紙幣検知センサ51の光軸を外れた時点のパルスカウントとの差分のパルス数と、パルスモータの回転速度とをもとに、ドラム42の巻き戻しが開始されてから、各紙幣の先端(巻き取り時の後端)が紙幣検知センサ51に到達するまで、すなわち上部搬送路25との受け渡し部分に到達するまでの予想到達時間を算出する。
そして、制御部10は、このようにして算出した各紙幣の予想到達時間をメモリ部11に記憶する。
このようにドラム42に巻き取った各紙幣の、巻き取り時の予想到達時間を算出したうえで、制御部10は、紙幣の巻き戻しを行うと共に、テープジャム防止処理を実行する。ここで、このテープジャム防止処理の手順RTを、図7に示す。
制御部10は、ドラムを巻き戻し方向に回転させて紙幣の巻き戻しを開始すると共に、このテープジャム防止処理を開始してステップSP1に移る。
ステップSP1において制御部10は、変数nにドラム42に巻き取った紙幣の枚数Nを代入すると共に、時間の計測を開始して、次のステップSP2に移る。
ステップSP2において制御部10は、巻き戻しを開始してからの経過時間がn枚目の紙幣の予想到達時間内であるか否かを判別する。
このステップSP2で、巻き戻しを開始してからの経過時間が、n枚目の紙幣の予想到達時間内であることにより肯定結果を得ると、このとき制御部10は、次のステップSP3に移る。
ステップSP3において制御部10は、紙幣検知センサ51がONしたか否かを判別する。
このステップSP3で否定結果を得ると、このことは、巻き戻しを開始してからの経過時間がn枚目の紙幣の予想到達時間内であり、且つまだ紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達していないことを意味する。このとき制御部10は、再びステップSP2に戻る。
これに対して、このステップSP3で肯定結果を得ると、このことは、n枚目の紙幣の予想到達時間内に、n枚目の紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達したこと、すなわちn枚目の紙幣が正常に巻き戻されていることを意味する。このとき制御部10は、ステップSP4に移る。
ステップSP4において制御部10は、n=1であるか否か、すなわちn枚目の紙幣が、ドラム42に巻き取られている最後の紙幣であるか否かを判別する。
このステップSP4で肯定結果を得ると、このことは、ドラム42に巻き取られているすべての紙幣が正常に巻き戻されたことを意味する。このとき制御部10は、ステップSP5に移り、このテープジャム防止処理を終了する。
これに対して、このステップSP4で否定結果を得ると、このことは、まだドラム42に巻き取られている紙幣が残っていることを意味する。このとき制御部10は、n=N−1とすることにより対象紙幣を次の紙幣に移して、ステップSP2に戻り、巻き戻しを開始してからの経過時間がn枚目(すなわちN−1枚目)の紙幣の予想到達時間内であるか否かを判別する。
このようにして制御部10は、ドラム42に巻き取られている各紙幣が正常に巻き戻されているかを監視するようになっている。
ここで、上述のステップSP2で、巻き戻しを開始してからの経過時間が、n枚目の紙幣の予想到達時間を超えたことにより否定結果を得たとする。このことは、n枚目の紙幣が、その予想到達時間内に上部搬送路25との受け渡し部分に到達していないこと、すなわちn枚目の紙幣が、上部搬送路25との受け渡し部分とドラム42との間でジャムとなり紙幣ジャムが発生している可能性があることを意味する。
このとき制御部10は、ステップSP5に移る。ステップSP5において制御部10は、n枚目の紙幣の予想到達時間経過後、さらに許容時間経過するまでの間、n枚目の紙幣の到達を監視する。
この許容時間を説明する前に、紙幣ジャムが引き起こされた場合の、下側テープ47の状態について説明する。
一時保留部23は、上述のように、上側テープ45と下側テープ47の2本のテープで紙幣の中央部分を挟持して搬送する機構の為、テープで挟持されていない両端部分が不安定となり紙幣ジャムを引き起こしてしまうことがある。
ここで、例えば、図8(A)に示すように、ドラム42と紙幣検知センサ51との間で紙幣ジャムが発生することによりこれらの間で紙幣Mが停止したとする。
このとき、紙幣Mが大きく変形していると、この紙幣Mとの摩擦力により、下側テープ47の紙幣Mより先の部分が停止して下側テープ47を下側テープリール44に巻き取れなくなったり、停止してはいないものの巻き取る速度が正常時より大きく低下してしまったりすることになる。
この状態で、ドラム42から下側テープ47が巻き戻され続けると、ジャムとなっている紙幣Mとドラム42との間に、下側テープ47が余分に巻き戻されることになり、この結果、下側テープ47が弛んで下方に垂れ下がっていく。
さらに、下側テープ47が巻き戻され続けると、図8(B)に示すように、ドラム42の下端部と、ドラム42の下端部近傍に位置する筐体40のフレーム60(図8(A)では省略)との間に、下側テープ47の弛んだ部分が巻き込まれてテープジャムを引き起こしてしまう。
この一方で、下側テープ47がドラム42とフレーム60との間に巻き込まれる前であれば、ドラム42を停止させて逆方向(すなわち巻き取り方向)に回転させれば、下側テープ47の弛みを解消することができ、テープジャムの発生を防止できる。
そこで、一時保留部23では、紙幣ジャムの発生時点から、下側テープ47が余分に巻き戻されてドラム42の下端部とフレーム60との間に巻き込まれてしまう直前までの時間が、許容時間として予め設定されている。
実際、ドラム42の上端部から引き出された下側テープ47が、ドラム42の下端部に巻き込まれるまでの時間は、下側テープ47の走行速度と、下側テープ47の弛み部分の長さとをもとに算出することができる。
尚、下側テープ47がドラム42の下端部に巻き込まれてしまうときの弛み部分の長さは、ドラム42の半周の2倍の長さより若干長い程度なので、ここでは、ドラム42の半周×2を下側テープ47の走行速度で割った値を、許容時間として設定している。
制御部10は、テープジャム防止処理のステップSP5(図7)において、n枚目の紙幣の予想到達時間後の経過時間、すなわち紙幣ジャムが発生している可能性があると判断してからの経過時間が、許容時間内であるか否かを判別する。
このステップSP5で、紙幣ジャム発生からの経過時間が許容時間内であることにより肯定結果を得ると、このとき制御部10は、次のステップSP6に移る。
ステップSP6において制御部10は、紙幣検知センサ51がONしたか否かを判別する。
このステップSP6で否定結果を得ると、このことは、紙幣ジャム発生からの経過時間が許容時間内であり、且つまだn枚目の紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達していないことを意味する。このとき制御部10は、再びステップSP5に戻る。
これに対して、このステップSP6で肯定結果を得ると、このことは、許容時間内に、n枚目の紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達したことを意味する。
実際、紙幣は、ドラム42への巻き取り時や巻き戻し時に、その位置がずれる場合があり、この場合、予想到達時間経過後の許容時間内に上部搬送路25との受け渡し部分に到達することがある。
このような紙幣は、ジャムとなっているわけではなく、テープジャムを引き起こす可能性もないので、一時保留部23では、正常に巻き戻された紙幣と判別するようになっている。
ゆえに、この場合、制御部10は、n枚目の紙幣が正常に巻き戻されていると判断して、ステップSP4に移り、n枚目の紙幣が最後の紙幣であるか否かを判別する。
これに対して、上述のステップSP5で、紙幣ジャム発生からの経過時間が許容時間を超えたことにより否定結果を得たとする。このことは、n枚目の紙幣が、予想到達時間経過後、さらに許容時間経過しても上部搬送路25との受け渡し部分に到達せずにタイムアウトとなったことを意味する。
換言すれば、この時点で、紙幣ジャムにより、ドラム42の上端部から引き出された下側テープ47がドラム42の下端部に巻き込まれてしまう直前まで弛んでいる可能性が高いことを意味する。
このとき制御部10は、SP7に移る。ステップSP7において制御部10は、モータを停止させることにより、一旦、ドラム42の回転を停止させて巻き戻しを中断した後、ステップSP8に移る。
ステップSP8において制御部10は、ドラム42を逆方向に回転させて、許容時間以上ドラム42に下側テープ47を巻き取り続けることで、下側テープ47の弛みを解消して、次のステップSP9に移る。
尚、下側テープ47の弛み部分は、紙幣ジャムの発生から許容時間経過するまでの間に、余分に巻き戻された部分であるので、少なくとも許容時間、下側テープ47をドラム42に巻き取れば下側テープ47の弛みを解消できるが、ここでは、より確実に弛みを解消する為に許容時間以上巻き取り続けるようになっている。
ステップSP9において制御部10は、ドラム42の回転を再び停止させて、次のステップSP10に移る。
ステップSP10において制御部10は、エラーを出力した後、このテープジャム防止処理を終了する。
尚、このテープジャム防止処理では、テープジャムについては防ぐことができるものの、紙幣ジャムについては防ぐことができないので、タイムアウトした場合には、紙幣ジャムが発生している可能性がある旨のエラーを出力するようになっている。
さらに、タイムアウトした時点で、ドラム42の回転を停止させて、下側テープ47の弛みを解消せずに、エラーを出力するようにしてもよいが、この場合、その後、作業員が下側テープ47の弛みを無理に解消しようとしてテープジャムを引き起こしてしまうような状況が考えられるので、ここでは、自動で下側テープ47の弛みを解消してからエラーを出力するようになっている。
ちなみに、制御部10から出力されたエラーは、例えば、ログとしてメモリ部11に保存したり、操作表示部2に表示させたりすればよい。
[5.動作及び効果]
以上の構成において、制御部10は、一時保留部23のドラム42に紙幣を巻き取るときに、上部搬送路25との受け渡し部分に配置されている紙幣検知センサ51により紙幣の通過を検知すると共に、このときモータから得られるパルスカウントを、ドラム42に対する紙幣の巻き取り位置を示す情報として取得してメモリ部11に記憶する。
さらに制御部10は、取得したパルスカウントをもとに、ドラム42に巻き取られている紙幣を巻き戻すときの、各紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達するまでの予想到達時間を算出する。
そして制御部10は、図9に示すように、紙幣の巻き戻しを開始すると共に時間の計測を開始し、紙幣検知センサ51を用いて、各紙幣が予想到達時間内に上部搬送路25との受け渡し部分に到達するかを監視する。
ここで、例えば、n枚目の紙幣が、予想到達時間までに上部搬送路25との受け渡し部分に到達しなかったとすると、このことは、n枚目の紙幣がジャムとなっている可能性があることを意味する。
このとき、制御部10は、紙幣ジャムにより弛んでしまう下側テープ47を元の状態に戻すことのできる制限時間を示す許容時間経過するまで、n枚目の紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達するかを監視する。
ここで、n枚目の紙幣が、許容時間までに上部搬送路25との受け渡し部分に到達せずタイムアウトになったとすると、このことは、n枚目の紙幣がジャムとなり、ドラム42とフレーム60との間に巻き込まれる直前まで下側テープ47が弛んでしまっている可能性があることを意味する。
このとき制御部10は、直ちにドラム42の回転を停止させることで、下側テープ47がドラム42とフレーム60との間に巻き込まれることを防ぐ。
さらに制御部10は、ドラム42を許容時間以上巻き取り方向に回転させて下側テープ47を巻き取ることで、下側テープ47の弛みを解消する。
こうすることで、制御部10は、紙幣ジャムの発生に起因するテープジャムの発生を未然に防ぐことができる。
また、自動でテープの弛みを解消するようにしたことで、例えば、その後のメンテナンス時に、作業員が誤って弛んだテープを絡ませてテープジャムを引き起こしてしまうようなことを防ぐこともできる。
さらに、制御部10は、予想到達時間までに紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達しなかった場合に、直ちに、巻き戻しを停止するのではなく、さらに許容時間経過しても紙幣が到達しなかった場合に限り、巻き戻しを停止するようにした。
実際、予想到達時間までに紙幣が上部搬送路25との受け渡し部分に到達しなかった場合に、直ちに、巻き戻しを停止してしまうと、単に紙幣の位置がずれて到達が遅れただけでテープジャムを引き起こす可能性がないにも関わらず巻き戻しを停止するような状況が頻繁に起こり、ATM1の運用に支障をきたしてしまう。
そこで、一時保留部23では、予想到達時間経過後、さらに許容時間経過しても紙幣が到達しなかった場合に限り、巻き戻しを停止するようにしたことで、テープジャムを引き起こす可能性がないにも関わらす頻繁に巻き戻しを停止してしまうような状況を防ぐこともできる。
さらに、一時保留部23では、既存の一時保留部にも搭載されているパルスモータ及び紙幣検知センサ51を利用してテープジャムの発生を防止するようになっていて、テープジャムを防止する為だけに利用する専用の回路部などを必要としない。ゆえに、本実施の形態では、簡易な構成でありながら、テープジャムの発生防止できるようになっているとも言える。
以上の構成によれば、一時保留部23では、テープジャムを確実に防止することができる。
尚、ここでは、主に、紙幣ジャムの発生にともなって下側テープ47が弛んでしまう旨について説明したが、実際、紙幣ジャムの発生にともなって上側テープ45も同様に弛んでしまうことが想定される。
しかしながら、この上側テープ45についても、許容時間経過後にドラム42を巻き取り方向に回転させれば、下側テープ47と同様に弛み部分を解消できるので、ここでは、その説明を省略した。
[6.他の実施の形態]
[6−1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、一時保留部23から紙幣を繰り出すときに、一時保留部23内でテープジャムが発生することを防止するようにした。
これにくわえて、例えば、紙幣ジャムを引き起こす可能性が高い紙幣については、一時保留部23に搬送しないようにして、一時保留部23内での紙幣ジャムの発生率を低下させるようにしてもよい。
すなわち、制御部10は、例えば、鑑別部22を経由して、一時保留部23に紙幣を搬送するときに、鑑別部22の鑑別結果をもとに、その紙幣が紙幣ジャムを引き起こす可能性が高い紙幣であるか否かを判別する。
そして、制御部10は、紙幣ジャムを引き起こす可能性が高い紙幣であると判別した場合には、上部搬送路25上の切替器を制御して、その紙幣を、一時保留部23ではなく、例えば、リジェクト庫29に搬送するようにする。
尚、この場合、例えば、折れていたり切れていたりして基準となる紙幣よりも状態が悪い紙幣を、紙幣ジャムを引き起こす可能性が高い紙幣と判別するようにすればよい。
[6−2.他の実施の形態2]
また、上述した実施の形態では、上下1組2本のテープ(上側テープ45及び下側テープ47)で、紙幣の長手方向の中央部分を挟持してドラム42に巻き取る方式の一時保留部23を用いるようにした。
これに限らず、上下1組2本のテープを複数組(例えば2組)用いて、紙幣の複数個所(例えば長手方向の一端側寄りの部分と他端側寄りの部分)を挟持してドラム42に巻き取る方式の一時保留部23を用いるようにしてもよい。
この場合も、上述した実施の形態と同様の方法で、テープジャムを防止することができる。
[6−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した実施の形態では、ドラム42の半周の2倍の長さを、下側テープ47の走行速度で割った値を許容時間とした。つまり、下側テープ47が、ドラム42の半周の2倍の長さ弛むまでに要する時間を許容時間とした。
これは、下側テープ47が、ドラム42の上端部から下端部に向かって垂れ下がるように弛んでいき、ドラム42の下端部よりさらに下方まで弛んでしまうと、すなわちドラム42の半周の2倍の長さを超えるまで弛んでしまうと、ドラム42の下端部とこの下端部近傍に設けられたフレーム60との間に下側テープ47が巻き込まれて、テープジャムが発生してしまうからである。換言すれば、この許容時間の値は、一時保留部23の構造に依存していることになる。
例えば、一時保留部23の構造が、ドラム42の下方に所定の間隔を隔てて下側第1テープローラ48が配置され、さらにこの下方にフレーム60が位置する構造であるとする。
この場合、下側テープ47がドラム42の上端部から下端部に向かって垂れ下がるように弛んでいき、下側第1テープローラ48まで達してしまうと、この下側第1テープローラ48に巻き込まれて、テープジャムが発生してしまう。
ゆえに、この場合には、例えば、ドラム42の上端部から下側第1テープローラ48までの距離の2倍の長さを、下側テープ47の走行速度で割った値を許容時間とする。
このようにすれば、紙幣の巻き戻し時に、紙幣ジャムが発生して下側テープ47が弛んでいったとしても、下側第1テープローラ48に巻き込まれる直前で、紙幣の巻き戻しを停止することができ、結果としてテープジャムの発生を未然に防ぐことができる。
このように、許容時間については、一時保留部23の構造に応じて適宜設定するようにすればよく、要は、テープが弛んで意図しない箇所に巻き込まれてしまうまでに要する時間より短く、且つできるだけ長く紙幣の到達を待ち続けることのできる時間となっていればよい。
[6−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した実施の形態では、ドラム42に巻き取られた紙幣の位置を示す媒体位置情報として、ドラム42を回転させるパルスカウントを用いるようにした。
これに限らず、ドラム42に巻き取られた紙幣の位置を示す情報であれば、パルスカウント以外の情報を用いるようにしてもよい。
例えば、ドラム42の回転軸42aに、その回転回数を検出するセンサを設け、このセンサから得られるドラム42の回転回数をパルスカウントの代わりに用いるなどしてもよい。
[6−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した実施の形態では、媒体の到達を検知する媒体検知部としての紙幣検知センサ51に、光学センサを用いるようにしたが、これに限らず、媒体の到達を検知できるものであれば、例えば、カメラなどを光学センサの代わりに用いるようにしてもよい。
[6−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した実施の形態では、本発明を、ATM1に設けられた媒体収納繰出装置としての紙幣入出金機5に適用したが、本発明は、これに限らず、ドラムへの媒体の巻き取り及びドラムからの媒体の巻き戻しにより媒体の収納及び繰り出しを行う装置であれば、種々の装置に適用することができる。
また、上述した実施の形態では、紙幣入出金機5の制御部10が、媒体位置情報(パルスカウント)を取得する媒体位置情報取得部、媒体位置情報をもとにドラムに巻き取った媒体を巻き戻すときの予想到達時間を算出する算出部、及び媒体の巻き戻し時に、予想到達時間内に媒体が所定位置に到達しなかった場合には、さらに許容時間経過するまで媒体の到達を待ち受け、当該許容時間内に媒体が所定位置に到達しなかった場合には、媒体の巻き戻しを停止する制御部として機能するようにした。
これに限らず、制御部10の代わりに、媒体位置情報取得部、算出部、制御部のそれぞれとして機能する3つのハードウェアを紙幣入出金機5に設けるなどしてもよい。
さらに上述した実施の形態では、本発明を、媒体処理装置としてのATM1に適用したが、本発明は、これに限らず、ドラムへの媒体の巻き取り及びドラムからの媒体の巻き戻しにより媒体の収納及び繰り出しを行う機構を有する装置であれば、種々の装置に適用することができる。
[6−7.他の実施の形態7]
さらに、本発明は、上述した実施の形態と、上述した他の実施の形態とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
本発明は、紙幣を扱うATMなどの装置で広く利用することができる。
1……ATM、5……紙幣入出金機、10……制御部、11……メモリ部、20……入出金口部、22……鑑別部、23……一時保留部、24、29……リジェクト庫、25……上部搬送路、28……紙幣収納庫、30……下部搬送路、40……筐体、41……紙幣入出口、42……ドラム、43……上側テープリール、44……下側テープリール、45……上側テープ、46……上側テープローラ、47……下側テープ、48……下側第1テープローラ、49……下側第2テープローラ、50……ガイド部、51……紙幣検知センサ、60……フレーム。

Claims (10)

  1. 媒体を2本1組以上のテープで挟持して当該テープと共にドラムに巻き取り、又はドラムから巻き戻すことで媒体を収納又は繰り出す媒体収納繰出装置において、
    媒体入出口と上記ドラムとの間の所定位置に媒体が到達したか否かを検知する媒体検知部と、
    媒体を上記ドラムに巻き取るときに、当該ドラムに対する媒体の巻き取り位置を示す媒体位置情報を取得する媒体位置情報取得部と、
    上記媒体位置情報取得部により取得された媒体位置情報をもとに、上記ドラムに巻き取った媒体を巻き戻すときの、上記所定位置に媒体が到達するまでの予想到達時間を算出する算出部と、
    媒体の巻き戻し時に、上記予想到達時間内に媒体が上記所定位置に到達しなかった場合には、さらに許容時間経過するまで媒体の到達を待ち受け、当該許容時間内に媒体が上記所定位置に到達しなかった場合には、媒体の巻き戻しを停止する制御部と
    を有し、
    上記許容時間は、上記予想到達時間内に媒体が上記所定位置に到達しなかった原因が、媒体ジャムである場合の、上記テープが弛んで意図しない箇所に巻き込まれるまでに要する時間より短く、且つ上記原因が媒体の位置ずれの場合の、当該媒体の到達を待ち続けることのできる時間として設定されている
    媒体収納繰出装置。
  2. 上記制御部は、
    媒体の巻き戻しを停止させた後、上記テープを上記ドラムに巻き取ることで、当該テープの弛みを解消する
    請求項1に記載の媒体収納繰出装置。
  3. 上記制御部は、
    媒体の巻き戻しを停止させた後、少なくとも上記許容時間以上、上記テープを上記ドラムに巻き取り続ける
    請求項2に記載の媒体収納繰出装置。
  4. 上記ドラムに媒体と共に巻き取られた上記テープが、巻き戻し時に、当該ドラムの上端部から当該ドラムと離解する構造でなり、
    上記許容時間には、
    上記ドラムの上端部から当該ドラムと離解した上記テープが媒体ジャムにより弛んで、当該ドラムの下端部側に垂れ下がり、当該ドラムの下端部から当該ドラムに巻き込まれてしまうまでに要する時間より短い時間が設定されている
    請求項3に記載の媒体収納繰出装置。
  5. 上記許容時間には、
    上記テープが上記ドラムの半周の2倍の長さ巻き戻されるまでに要する時間が設定されている
    請求項4に記載の媒体収納繰出装置。
  6. 上記制御部は、
    上記テープを上記ドラムに巻き取った後、媒体ジャムが発生している可能性がある旨を示すエラーを出力する
    請求項3に記載の媒体収納繰出装置。
  7. 上記ドラムを回転させるパルスモータを有し、
    上記媒体位置情報取得部は、
    上記媒体検知部が媒体を検知した時点で、上記パルスモータから得られたパルスカウントを、上記ドラムに対する媒体の巻き取り位置を示す媒体位置情報として取得する
    請求項3に記載の媒体収納繰出装置。
  8. 上記媒体検知部は、
    上記所定位置に配置された光学センサであり、当該光学センサの光軸を媒体が遮っているか否かで、媒体の到達を検知する
    請求項3に記載の媒体収納繰出装置。
  9. 媒体を鑑別する鑑別部と、
    上記鑑別部により鑑別された媒体を2本1組以上のテープで挟持して当該テープと共にドラムに巻き取り、又はドラムから巻き戻すことで媒体を収納又は繰り出す機構でなり、媒体入出口と上記ドラムとの間の所定位置に媒体が到達したか否かを検知する媒体検知部と、媒体を上記ドラムに巻き取るときに、当該ドラムに対する媒体の巻き取り位置を示す媒体位置情報を取得する媒体位置情報取得部と、上記媒体位置情報取得部により取得された媒体位置情報をもとに、上記ドラムに巻き取った媒体を巻き戻すときの、上記所定位置に媒体が到達するまでの予想到達時間を算出する算出部と、媒体の巻き戻し時に、上記予想到達時間内に媒体が上記所定位置に到達しなかった場合には、さらに許容時間経過するまで媒体の到達を待ち受け、当該許容時間内に媒体が上記所定位置に到達しなかった場合には、媒体の巻き戻しを停止する制御部とを有し、上記許容時間が、上記予想到達時間内に媒体が上記所定位置に到達しなかった原因が、媒体ジャムである場合の、上記テープが弛んで意図しない箇所に巻き込まれるまでに要する時間より短く、且つ上記原因が媒体の位置ずれの場合の、当該媒体の到達を待ち続けることのできる時間として設定されている一時保留部と
    を有する媒体処理装置。
  10. さらにリジェクト庫を有し、
    上記鑑別部により鑑別された媒体のうち、媒体ジャムを引き起こす可能性が高いと媒体と判別された媒体については、上記一時保留部に搬送せずに、上記リジェクト庫に搬送して保管する
    請求項9に記載の媒体処理装置。
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