JP2013249160A - パッケージ排出装置および糸巻取機 - Google Patents

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Abstract

【課題】パッケージの径に関わらずパッケージに加わる衝撃を緩和することができるパッケージ排出装置および糸巻取機を提供する。
【解決手段】パッケージ排出装置は、保持部によって保持された巻取管を少なくとも有してなるパッケージを排出するパッケージ排出装置であって、パッケージの外周面に接触可能なパッケージ接触部と、パッケージ接触部を移動させてパッケージ接触部をパッケージの外周面に接触させる第1移動部と、パッケージ接触部がパッケージの外周面に接触するときのパッケージに加わる押圧力を調整する押圧力調整部と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、パッケージ排出装置および糸巻取機に関する。
糸巻取機は、ボビン(巻取管)に糸を巻き取ることによりパッケージを形成する。パッケージは、糸巻取機が備えるクレードルによって保持されている。クレードルによって保持されたパッケージを取り外して排出するため、様々な方法や装置が知られている。
たとえば、下記特許文献1に記載のパッケージ取り外し装置では、ロッドによって、パッケージをボビンの軸方向に押し出し、パッケージをクレードルから外す。下記特許文献2に記載のガイド装置では、クレードルを開放することによりパッケージを巻取ドラム上にいったん移動させる。玉揚機に装備されたパッケージ押し出し部材を突出させることにより、ガイド部材によってパッケージを案内しつつ、パッケージを搬送コンベアまで移動させる。下記特許文献3に記載の玉揚装置では、パッケージを後方へ押し出すための押出しレバーが設けられており、押出しレバーの先端には、パッケージの糸層表面を傷めないための樹脂製カラーを装着している。
実開昭57−18559号公報 実開昭59−61161号公報 実開平3−120171号公報
上述した従来の装置では、パッケージを取り外す際、パッケージに大きな衝撃が加わることがある。たとえば、巻かれる糸の長さ及び/又は材質に応じて、パッケージの最終的な径は変わるが、パッケージの径が大きくなるほど、パッケージを押し出すための部材がパッケージに強く当たる。よって、従来の技術では、パッケージの径に関わらずパッケージに加わる衝撃を緩和することは困難である。
本発明は、パッケージの径に関わらずパッケージに加わる衝撃を緩和することができるパッケージ排出装置および糸巻取機を提供することを目的とする。
本発明のパッケージ排出装置は、保持部によって保持された巻取管を少なくとも有してなるパッケージを排出するパッケージ排出装置であって、パッケージの外周面に接触可能なパッケージ接触部と、パッケージ接触部を移動させてパッケージの外周面に接触させる第1移動部と、パッケージ接触部がパッケージの外周面に接触するときのパッケージに加わる押圧力を調整する押圧力調整部と、を備える。
このパッケージ排出装置によれば、パッケージの巻取管は、保持部によって保持される。パッケージは、巻取管を少なくとも有してなる。パッケージは、糸が巻かれてない空の巻取管そのものと、巻取管に糸が巻き取られたものとを含む意である。パッケージ接触部は、第1移動部によって移動させられ、パッケージの外周面に接触させられる。パッケージの外周面にパッケージ接触部が接触することにより、パッケージは保持部から外れ、排出される。パッケージ接触部がパッケージの外周面に接触するときのパッケージに加わる押圧力は、押圧力調整部によって調整される。押圧力の調整によって、パッケージの径が大きくなるほどパッケージ接触部がパッケージに強く当たるといったことを防止できる。したがって、パッケージの径に関わらずパッケージに加わる衝撃を緩和することができる。
押圧力調整部はバネであると、簡単な構成により、パッケージに加わる衝撃を緩和するパッケージ排出装置を実現することができる。
バネは、パッケージ接触部がパッケージの外周面に接触するときにパッケージ接触部をパッケージに向けて付勢し、バネの弾性力によってパッケージ接触部をパッケージに押し当てる。この構成によれば、バネの付勢力により、略一定の押圧力でパッケージ接触部がパッケージの外周面に接触するため、パッケージに加わる衝撃を確実かつ容易に緩和することができる。第1移動部によって、パッケージ接触部がパッケージの外周面よりも巻取管側に移動された場合、パッケージの外周面から受ける反力により、バネの付勢力に抗してパッケージ接触部が押し戻されることとなり、過剰な押圧力がパッケージに加わることが防止される。
第1移動部は、保持部により保持されたパッケージに接触する接触位置と、保持部により保持されたパッケージから待避した待避位置と、にパッケージ接触部を移動させる。この構成によれば、パッケージ接触部をパッケージに接触させる必要がないときに、第1移動部によって、パッケージ接触部を待避位置に待避させておくことができる。
第1移動部はエアシリンダである。この構成によれば、簡易な構成により、接触位置と待避位置とにパッケージ接触部を移動させる第1移動部を実現することができる。
パッケージ排出装置は、パッケージ接触部の移動距離を調整する移動距離調整部を更に備える。この構成によれば、パッケージ接触部の移動距離が移動距離調整部によって調整されるため、パッケージ接触部の過剰な移動または過少な移動を回避することができる。パッケージ接触部の移動距離を適切に維持することができる。
パッケージ排出装置は、待避位置よりもパッケージから更に待避した待機位置にパッケージ接触部を移動させる第2移動部を更に備える。この構成によれば、第2移動部によって、待避位置にあるパッケージ接触部が更に待避した待機位置に移動させられるため、パッケージ接触部の他の部材に対する干渉または接触を確実に回避することができる。
押圧力調整部は、パッケージ接触部と第1移動部との間に設けられている。この構成によれば、第1移動部の力がパッケージ接触部に直接作用しないため、第1移動部の力が大きい場合であっても、パッケージに加わる衝撃を緩和することができる。
パッケージ接触部は、パッケージ接触部の移動方向に交差する軸線周りに回転可能であって外周部がパッケージの外周面に接触可能なローラである。この構成によれば、ローラの外周部がパッケージの外周面に当接するため、パッケージに対するパッケージ接触部の相対位置が変動しても、確実にパッケージを排出することができる。しかも、ローラは回転可能であるため、パッケージの外周面にローラの外周部が摺るようにして接触することを防止でき、パッケージに与えるダメージを最小限に抑えることができる。
糸巻取機は、上述のパッケージ排出装置と、保持部を有し、保持部により保持した巻取管に糸を巻き取る巻取装置と、を備える。この糸巻取機によれば、パッケージに加わる衝撃を緩和しつつ、巻取装置からパッケージを確実に排出することができる。
巻取装置の保持部は、巻取管の両端部から巻取管を挟持するクレードル本体と、クレードル本体に取り付けられて巻取管の少なくとも一端部に密着するゴム製の密着部と、を有する。ゴム製の密着部が巻取管の少なくとも一端部に密着することにより、クレードル本体による巻取管の保持力は高くなる。このように高い保持力にて巻取管が保持された糸巻取機においては、パッケージを確実に排出できる本発明のパッケージ排出装置を採用することが特に効果的である。
糸巻取機は、巻取装置の保持部を操作する操作部を更に備え、操作部が保持部を操作したときに、パッケージ排出装置を作動させる。この構成によれば、保持部が操作される際にパッケージ排出装置が作動するため、パッケージを一層容易に排出することができる。
糸巻取機は、パッケージの径を取得する径取得部と、径取得部が取得したパッケージの径に応じて、パッケージ排出装置の第1移動部を制御してパッケージ接触部の移動距離を調整する制御部と、を備える。この構成によれば、パッケージ接触部の移動距離がパッケージの径に応じて調整されるため、パッケージ接触部を適切にパッケージに接触させることができる。
本発明によれば、パッケージの径に関わらずパッケージに加わる衝撃を緩和することができる。
第1実施形態に係るワインダユニットを備えた自動ワインダの模式図である。 ワインダユニットの概略的な構成を示した模式図およびブロック図である。 クレードルの概略的な構成を示した平面図である。 第1実施形態に係るパッケージ排出装置を備えた玉揚装置の側面断面図である。 図4の一部を拡大して示す側面断面図である。 (a)はパッケージ排出装置を図4の矢印A方向から見た図、(b)はパッケージ排出装置をパッケージ側から見た図である。 (a)から(c)は、パッケージの排出動作を示す平面図である。 第2実施形態に係るパッケージ排出装置を備えた玉揚装置の側面断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
まず、本実施形態の自動ワインダ(糸巻取機)1の全体的な構成について説明する。本明細書において「上流」及び「下流」は、糸巻取時での糸の走行方向における上流及び下流を意味する。
図1に示されるように、自動ワインダ1は、並べて配置された複数のワインダユニット(巻取ユニット)10と、玉揚装置80と、機台制御装置90とを備えている。複数のワインダユニット10に対して、1台の玉揚装置80および1台の機台制御装置90が設けられている。本実施形態のパッケージ排出装置100は、玉揚装置80に設けられている。
各ワインダユニット10は、給糸ボビン21から解舒された糸20をトラバースしながら巻取ボビン(巻取管)22(図2参照)に巻き取り、パッケージ30を形成する。パッケージ30は、巻取ボビン22を少なくとも有してなる。「パッケージ30」は、糸20が巻かれてない空の巻取ボビン22そのものと、巻取ボビン22に糸20が巻き取られたものとを含む。たとえば、「パッケージ30の外周面30a」は、「巻取ボビン22の外周面22c」を含む(図3から図5参照)。巻取ボビン22およびパッケージ30としては、種々のサイズおよび形状のものが適用可能である。たとえば、パッケージ30の形状は、円柱形状のチーズパッケージであってもよいし、円錐台形状のコーンパッケージであってもよい。
玉揚装置80は、各ワインダユニット10においてパッケージ30が満巻となった際に、当該ワインダユニット10の位置まで走行し、満巻のパッケージ30を回収するとともに空ボビン(空の巻取管)を供給する。玉揚装置80は、パッケージ30を回収する際、パッケージ排出装置100によってパッケージ30を排出させる。排出されたパッケージ30は、巻取ボビン22を保持するクレードル23の近傍であって玉揚装置80とは反対側に配置されたパッケージ載置部79(図7(c)参照)に載置される。なお、玉揚装置80は、パッケージ30が満巻となったときだけではなく、空の巻取ボビン22及び/又は満巻ではないパッケージ30を適宜排出させる。
機台制御装置90は、制御部91と、表示部92とを備えている。制御部91は、オペレータが所定の設定値を入力したり適宜の制御方法を選択したりすることで、各ワインダユニット10に対する設定を行うためのものである。表示部92は、各ワインダユニット10の糸20の巻取状況、及び、発生したトラブルの内容等を表示可能である。
次に、図2を参照して、ワインダユニット10の構成について説明する。各ワインダユニット10は、巻取ユニット本体16と、ユニット制御部50とを備えている。
ユニット制御部50は、たとえば、CPUと、RAMと、ROMと、I/Oポートと、通信ポートと、を備えている。上記ROMには、巻取ユニット本体16の各構成を制御するためのプログラムが記録されている。I/Oポートと通信ポートには、当該巻取ユニット本体16が備える各部および機台制御装置90が接続されており、制御情報等の通信ができるように構成されている。これにより、ユニット制御部50は、巻取ユニット本体16が備える各部の動作を制御することができる。
巻取ユニット本体16において、給糸ボビン21と接触ローラ(タッチローラ)29との間の糸走行経路中に、給糸ボビン21側から順に、糸解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、スプライサ装置(糸継装置)14と、クリアラ15と、が配置されている。
巻取ユニット本体16の下部には、巻取ボビン22側へ糸20を供給するための給糸部11が備えられている。給糸部11は、図略のボビン搬送システムによって搬送されてきた給糸ボビン21を所定の位置に保持できる。
糸解舒補助装置12は、給糸ボビン21の芯管に被さる規制部材40を給糸ボビン21からの糸20の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン21からの糸20の解舒を補助する。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸20の回転と遠心力によって給糸ボビン21上部に形成されたバルーンに接触し、当該バルーンを適切な大きさに制御することによって糸20の解舒を補助する。規制部材40の近傍には給糸ボビン21のチェース部を検出するための図略のセンサが備えられている。糸解舒補助装置12は、このセンサがチェース部の下降を検出すると、それに追従して規制部材40をたとえば図略のエアシリンダによって下降させることができる。
テンション付与装置13は、走行する糸20に所定のテンションを付与する。テンション付与装置13としては、たとえば、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものを用いることができる。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛合せ状態又は解放状態になるように、ロータリ式のソレノイドにより回動することができる。なお、テンション付与装置13には、ゲート式のもの以外にも、たとえば、ディスク式のものを採用することができる。
スプライサ装置14は、クリアラ15が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン21からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン21側の下糸と、パッケージ30側の上糸とを糸継ぎする。このような上糸と下糸とを糸継ぎする糸継装置としては、機械式のもの又は、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用することができる。
クリアラ15は、糸20の太さを検出するための図略のセンサが配置されたクリアラヘッド49と、このセンサからの糸太さ信号を処理するアナライザ52と、を備えている。クリアラ15は、上記センサからの糸太さ信号を監視することにより、スラブ等の糸欠点を検出する。クリアラ15が検出する糸欠点には、糸20の太さ異常の他、糸20に含まれる異物が含まれる。クリアラヘッド49の近傍には、クリアラ15が糸欠点を検出したときに直ちに糸20を切断するためのカッタ39が設けられている。
スプライサ装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の糸端を捕捉してスプライサ装置14に案内する下糸捕捉部材25と、パッケージ30側の糸端を捕捉してスプライサ装置14に案内する上糸捕捉部材26と、がそれぞれ設けられている。下糸捕捉部材25は、下糸パイプアーム33と、この下糸パイプアーム33の先端に形成された下糸吸引口32と、を備えている。上糸捕捉部材26は、上糸パイプアーム36と、この上糸パイプアーム36の先端に形成された上糸吸引口(糸端捕捉部)35と、を備えている。
下糸パイプアーム33と上糸パイプアーム36は、それぞれ軸34と37を中心にして回動可能である。下糸パイプアーム33及び上糸パイプアーム36には適宜の負圧源(図略)がそれぞれ接続されており、下糸吸引口32及び上糸吸引口35に吸引流を発生させて、上糸及び下糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。
図2および図3に示されるように、巻取ユニット本体16は、巻取ボビン22に糸20を巻き取る巻取装置75を備えている。巻取装置75は、巻取ボビン22を着脱可能に保持するクレードル(保持部)23と、パッケージ30の外周面30aに接触して回転可能な接触ローラ29と、を備えている。
巻取装置75は、糸20をトラバースさせるためのアーム式のトラバース装置70をクレードル23近傍に備えており、このトラバース装置70によって糸20をトラバースしながらパッケージ30に糸20を巻き取る。トラバース箇所のやや上流にはガイドプレート28が設けられ、上流側の糸20をトラバース箇所へと案内している。このガイドプレート28の更に上流には、セラミック製のトラバース支点部27が設けられている。トラバース装置70は、サーボモータ等により構成されるトラバース駆動モータ76を有する。トラバース駆動モータ76の作動は、トラバース制御部78により制御される。トラバース装置70は、トラバース駆動モータ76を作動させてトラバースアームを駆動することにより、トラバース支点部27を支点として、図2の矢印に示す方向に糸20をトラバースさせる。トラバース制御部78は、専用のマイクロプロセッサによるハードウエア等から構成されており、ユニット制御部50からの信号を受けてトラバース駆動モータ76の運転及び停止を制御する。トラバース駆動モータ76としては、サーボモータに限られず、ステップモータ、ボイスコイルモータ等の各種のモータを採用することができる。
クレードル23は、巻取ボビン22の大径側端部22aおよび小径側端部22bから巻取ボビン22を挟持するクレードル本体24を有する。クレードル本体24は、回動軸48を中心に回動可能である。巻取ボビン22への糸20の巻取に伴う糸層径の増大を、クレードル23が回動することによって吸収できる。
クレードル本体24は、巻取ボビン22の大径側端部22aに対向する第1クレードルアーム24aと、巻取ボビン22の小径側端部22bに対向する第2クレードルアーム24bと、第1クレードルアーム24aに取り付けられて玉揚装置80に近づく方向に延びるクレードルレバー24cとを有する。第1クレードルアーム24aの巻取ボビン22側には、巻取ボビン22の大径側端部22a内に嵌入されて大径側端部22aに密着するウレタンゴム製の密着部25が固定されている。密着部25は、巻取ボビン22に向けて先細となる円錐台形状(テーパ状)をなしている。密着部25が円錐台形状をなすことにより、巻取ボビン22の径に多少の誤差があっても、密着部25が巻取ボビン22内に嵌入され、巻取ボビン22の内径と密着部25の外径とが一致する位置で停止し、密着部25が巻取ボビン22に密着する。密着部25は、ウレタンゴムからなる場合に限られず、たとえばシリコンゴム等の他の材料からなってもよい。なお、ゴム製の密着部25に代えて、金属製のパッケージ保持部を設けてもよいし、その他の材質のパッケージ保持部を設けてもよい。巻取ボビン22と密着部25がスリップしない材質であれば、密着部25は、その他の材料からなってもよい。密着部25は、略円筒形状であってもよい。
クレードル本体24の第1クレードルアーム24aには、サーボモータで構成されるパッケージ駆動モータ(パッケージ駆動部)41が取り付けられている。パッケージ駆動モータ41は、巻取ボビン22を回転駆動して巻取ボビン22(パッケージ30)に糸20を巻き取る。パッケージ駆動モータ41は、巻取ボビン22(パッケージ30)を巻取方向に回転駆動可能であると共に、反巻取方向にも回転駆動可能である。
パッケージ駆動モータ41のモータ軸は、巻取ボビン22をクレードル23に支持させたときに、当該巻取ボビン22と相対回転不能に連結されるようになっている(いわゆるダイレクトドライブ方式)。本実施形態では、上記した密着部25が第1クレードルアーム24aと巻取ボビン22との間に介在されることにより、クレードル23によるパッケージ30(巻取ボビン22)の保持力を高めている。特に、高速巻取りを行うワインダユニット10においては、このような保持力の向上が必要である。パッケージ駆動モータ41の動作はパッケージ駆動制御部42により制御される。パッケージ駆動制御部42は、ユニット制御部50からの運転信号を受けてパッケージ駆動モータ41の運転及び停止を制御する。なお、パッケージ駆動モータ41としては、サーボモータに限られず、ステップモータ、インダクションモータといった各種のモータを採用することができる。
回動軸48には、クレードル23の角度を検出するための角度センサ44が取り付けられている。この角度センサ44は、たとえばロータリエンコーダからなり,クレードル23の角度に応じた角度信号をユニット制御部50に対して送信する。パッケージ30が巻き太るに従ってクレードル23の回動角度が変化するので、クレードル23の回動角度を角度センサ44によって検出することにより、パッケージ30のパッケージ径を検出することができる。なお、パッケージ径を検出する方法としては、角度センサ44以外にも、ホールICを用いたものやアブソリュート型エンコーダ等、パッケージの径を検出できるものであれば、適宜の構成を用いることができる。
次に、玉揚装置80の構成について説明する。図1に示されるように、玉揚装置80は、本体フレーム85と、糸引出しアーム86と、クレードルオープナー(操作部)87と、ボビン供給部88と、パッケージ排出装置100とを備えている。玉揚装置80は、クレードルオープナー87およびパッケージ排出装置100を作動させることによりパッケージ30を排出し、ボビン供給部88を作動させることにより空の巻取ボビン22を供給する。玉揚装置80は、糸引出しアーム86を作動させることにより、給糸ボビン21の糸20を捕捉し、糸20を空の巻取ボビン22まで案内する。
巻取ユニット本体16の上方には、ワインダユニット10が並べられる方向(図1の左右方向)に沿ってレール83が配置されている。玉揚装置80の本体フレーム85は、レール83に沿って走行可能である。レール83には、各ワインダユニット10と対応した位置に位置決めブロック82が配置されている。玉揚装置80の本体フレーム85は、位置決めブロック82に係合した状態と、係合を解除した状態との間で回動可能な図略のフラッパ機構を備えている。玉揚装置80は、フラッパ機構を位置決めブロック82に係合させることにより、所望のワインダユニット10の直上の適切な位置に位置決めして、停止する。玉揚装置80の停止位置は、ワインダユニット10の直上に限られない。ワインダユニット10に対して必要な操作が出来る位置であれば、玉揚装置80は、ワインダユニット10の直上とは異なる位置に停止してもよい。
糸引出しアーム86は、径の異なる複数の棒状部材が同軸で入れ子状に配置され、いわゆるテレスコープ状に伸縮可能に構成されている。糸引出しアーム86はエアシリンダとして構成されており、図略の圧空源から供給される圧縮空気により伸縮駆動することができる。糸引出しアーム86は、玉揚装置80から巻取ユニット本体16に向けて配置されている。糸引出しアーム86の先端(下端)には、糸捕捉部81が取り付けられている。糸捕捉部81は、糸引出しアーム86の揺動により、ワインダユニット10に近づく方向およびワインダユニット10から離れる方向に移動可能である。
ボビン供給部88は、図略のボビンストッカに保管されている空の巻取ボビン22を掴む。ボビン供給部88は、軸89に対して回動自在に取り付けられている。玉揚装置80は、ボビンストッカに保管されている巻取ボビン22を掴む位置と、巻取ボビン22をクレードル23に取り付ける位置との間で、ボビン供給部88を回動駆動させる。
クレードルオープナー87は、クレードル23のクレードルレバー24c(図3参照)に係合した状態で揺動することにより、第1クレードルアーム24aを操作して開放する。第1クレードルアーム24aが開放された状態とは、第1クレードルアーム24aが巻取ボビン22の保持位置よりも第2クレードルアーム24bから離れる方向に移動した状態である。本実施形態では、密着部25が巻取ボビン22内に嵌入されているため、第1クレードルアーム24aを開放してもクレードル本体24からパッケージ30が外れないことがある(図7(a)参照)。このような場合にパッケージ30を確実に外すため、パッケージ排出装置100は効果的である。
図4および図5に示されるように、パッケージ排出装置100は、パッケージ30の外周面30aに接触可能な樹脂製の第1ローラ(パッケージ接触部)108と、第1ローラ108を移動方向D1に移動させるエアシリンダ(第1移動部)101とを備えている。図4および図5では、上述した糸引出しアーム86、クレードルオープナー87、およびボビン供給部88等の図示は省略されている。
本体フレーム85は、第1側板部85aと第2側板部からなる一対の側板部を備えている。第1側板部85aは、第2側板部よりも機台制御装置90に近い方に位置している。第1側板部85aには、エアシリンダ101が固定されている。エアシリンダ101は、第1側板部85aに対して固定されるシリンダ部102と、図略の圧空源から供給される圧縮空気により移動方向D1に伸縮駆動されるロッド部103とを有している。第2側板部に面する第1側板部85aの内面には、L字板状のブラケット106が固定されている。ブラケット106は、第1側板部85aに固定される取付板部106aと、取付板部106aに連設されてパッケージ30に対面する支持板部106bとからなる。支持板部106bには、シリンダ部102の先端が固定されている。ロッド部103は、支持板部106bと巻取ボビン22との間において、移動方向D1に一定ストロークで往復移動する。ロッド部103のストロークは、ロッド部103が最も伸長した状態で、クレードル23によって保持された巻取ボビン22に第1ローラ108が到達するように設定される。
図6(a)に示されるように、取付板部106aは、第1側板部85aに沿って固定される。支持板部106bは、取付板部106aに対して鋭角をなして延在する。この支持板部106bに対して、エアシリンダ101のシリンダ部102が垂直に固定されている。これによって、ロッド部103の移動方向D1は、水平面および鉛直面のいずれに対しても角度付けされている。ロッド部103は、パッケージ30に向けて、巻取ボビン22の軸線に対し鋭角をなす方向に伸長する。
図4から図6に示されるように、ロッド部103の先端には、金属製のベース104が固定されている。ベース104には、軸110を介して金属製のアーム107が取り付けられている。アーム107は、軸110の位置を基端として2方向に延びる第1アーム部107aおよび第2アーム部107bからなる。第1アーム部107aおよび第2アーム部107bは、鈍角をなしている。第1アーム部107aおよび第2アーム部107bは、一体となって、軸110を中心にして所定の範囲で回動可能である。
第1アーム部107aの先端には、軸111を介して円筒状の第1ローラ108が取り付けられている。第1ローラ108は、第1アーム部107aに対して、軸111の軸線L1周りに回転可能である。軸線L1は、移動方向D1に直交している。軸線L1は、移動方向D1に直交する場合に限られず、移動方向D1に交差する他の方向に沿っていてもよい。第1ローラ108の外周部108aは、エアシリンダ101のロッド部103が移動方向D1に伸長することにより、パッケージ30の外周面30a(巻取ボビン22の外周面22c)に接触可能である。
第1ローラ108がパッケージ30に接触する位置は、パッケージ30の軸方向の略中央部とされる。第1ローラ108の接触位置は、パッケージ30の軸方向の略中央部に限られない。第1ローラ108の接触位置は、パッケージ30の軸方向において、第1クレードルアーム24a側に寄っていてもよいし、第2クレードルアーム24b側に寄っていてもよい。たとえば、パッケージ30が円柱形状のチーズパッケージである場合には、軸方向のどの位置に第1ローラ108が接触しても、パッケージ30は真っ直ぐパッケージ載置部79に移動する(転がる)。パッケージ30が円錐台形状のコーンパッケージである場合には、パッケージ30が斜めに転がることを抑制するため、小径側(第2クレードルアーム24b寄り)に第1ローラ108を接触させることができる。第1ローラ108の接触位置は、上述したブラケット106の形状もしくは取り付け位置、または、エアシリンダ101の取り付け位置もしくは取り付け角度によって、適宜調整可能である。
第2アーム部107bの先端には、軸112(図6(b)参照)を介して樹脂製で円筒状の第2ローラ109が取り付けられている。第2ローラ109は、第2アーム部107bに対して、軸112の軸線L2周りに回転可能である。軸線L2は、軸線L1に平行である。
本実施形態のパッケージ排出装置100は、第1ローラ108がパッケージ30の外周面30aに接触するときのパッケージ30に加わる押圧力を調整するコイルバネ(押圧力調整部)120を備えている(図6(a)および図6(b)参照)。コイルバネ120は、第1ローラ108とエアシリンダ101との間に設けられている。より具体的には、コイルバネ120は、軸110に巻かれたねじりコイルバネであり、その一端がベース104に係止され、その他端がアーム107に係止されている。コイルバネ120は、第1アーム部107aを前傾させる方向(図5の反時計回り方向)にアーム107を付勢する。言い換えれば、コイルバネ120は、第1ローラ108がパッケージ30の外周面30aに接触するときに、第1アーム部107aを介して、第1ローラ108をパッケージ30に向けて付勢する。コイルバネ120は、その弾性力によって第1ローラ108をパッケージ30に押し当てる。コイルバネ120のばね定数は、排出する対象のパッケージ30または巻取ボビン22に応じて、適宜決定することができる。
図5に示されるように、エアシリンダ101は、クレードル23により保持されたパッケージ30に接触する接触位置と、クレードル23により保持されたパッケージ30から待避した待避位置と、に第1ローラ108を移動させる。図5では、第1ローラ108の接触位置として、一定の径を有するパッケージ30の外周面30aに対する接触位置P1と、空の巻取ボビン22に対する接触位置P2とが例示されている。このように、ロッド部103のストロークが一定の場合でも、コイルバネ120の押圧力調整機能により、パッケージ30に加わる押圧力が調整される。コイルバネ120は、パッケージ30を排出する際の排出エネルギ(押し出し力)を調整する。言い換えれば、コイルバネ120は、パッケージ30の径に差異が生じても、その差異を吸収する。
ロッド部103がシリンダ部102内に後退し、第1ローラ108がパッケージ30から待避し待避位置に戻ると、第2ローラ109が支持板部106bの下部に当接する。ロッド部103がさらに後退することで、コイルバネ120の付勢力に抗してアーム107が起立する(図5の時計回り方向に回動する)。アーム107が起立すると、第1ローラ108は待機位置P3に移動する。第1ローラ108が待機位置P3にある場合、第1ローラ108およびアーム107は、第1側板部85aの端縁よりも内側に位置し、本体フレーム85内に収納されている。支持板部106b、アーム107、および第2ローラ109は、第1ローラ108の待避位置において、パッケージ30から更に待避した待機位置に第1ローラ108を移動させる第2移動部121を構成している。
次に、図7(a)から図7(c)を参照して、パッケージ排出装置100の動作について説明する。まず、ワインダユニット10のユニット制御部50は、玉揚げすべきパッケージ30を検出すると、そのワインダユニット10のパッケージ駆動モータ41を停止する(図7(a)参照)。ユニット制御部50は、玉揚げすべきパッケージ30を検出した旨を示す信号を機台制御装置90に出力する。
次に、玉揚装置80が当該ワインダユニット10の前で停止し、クレードルオープナー87をクレードルレバー24cに係合させて第1クレードルアーム24aを開放する。これとほぼ同時に、機台制御装置90は、パッケージ排出装置100のエアシリンダ101を作動させて第1ローラ108をパッケージ30の外周面30aに接触させる(図7(b)参照)。第1ローラ108がパッケージ30の外周面30aに接触する際、コイルバネ120によって、パッケージ30に加わる押圧力が調整され、パッケージ30に加わる衝撃が緩和される。なお、エアシリンダ101を作動させるタイミングは、第1クレードルアーム24aが開放されるタイミングと同時でなくてもよく、第1クレードルアーム24aが開放されるタイミングより後であってもよい。
第1クレードルアーム24aが開放された時点では、密着部25が巻取ボビン22内に嵌入されて密着しており、第1クレードルアーム24aにパッケージ30が片持ち状態で保持されたままとなっている(パッケージ30の径が大きい場合、または、糸20の巻き密度が高い場合等には、第1クレードルアーム24aの開放と同時にパッケージ30が自重で密着部25から外れる場合もある)。そして、パッケージ排出装置100によって排出されたパッケージ30は、パッケージ載置部79に載置される。このようにして、パッケージ排出装置100によるパッケージ30の排出動作が完了する(図7(c)参照)。
パッケージ載置部79に載置されたパッケージ30は、作業者によって手動で回収される。または、パッケージ載置部79にベルトコンベアを適用し、パッケージ30を自動的に所定の位置まで搬送して回収することもできる。
本実施形態のパッケージ排出装置100および自動ワインダ1によれば、パッケージ30の巻取ボビン22は、クレードル23によって保持される。第1ローラ108は、エアシリンダ101によって移動させられ、パッケージ30の外周面30aに接触させられる。パッケージ30の外周面30aに第1ローラ108が接触することにより、パッケージ30はクレードル23から外れ、排出される。第1ローラ108がパッケージ30の外周面30aに接触するときのパッケージ30に加わる押圧力は、コイルバネ120によって調整される。押圧力の調整によって、パッケージ30の径が大きくなるほど第1ローラ108がパッケージ30に強く当たるといったことが防止され、パッケージ30の径に関わらず、パッケージ30に加わる衝撃が緩和される。
コイルバネ120によって押圧力が調整されるため、簡単な構成により、パッケージ30に加わる衝撃を緩和することができる。
コイルバネ120の付勢力(弾性力)により、略一定の押圧力で第1ローラ108がパッケージ30の外周面30aに接触するため、パッケージ30に加わる衝撃が確実かつ容易に緩和される。エアシリンダ101によって、第1ローラ108がパッケージ30の外周面30aよりも巻取ボビン22側に移動された場合、パッケージ30の外周面30aから受ける反力により、コイルバネ120の付勢力に抗して第1ローラ108が押し戻されることとなり、過剰な押圧力がパッケージ30に加わることが防止される。
エアシリンダ101は、クレードル23により保持されたパッケージ30に接触する接触位置(たとえば接触位置P1またはP2)と、クレードル23により保持されたパッケージ30から待避した待避位置と、に第1ローラ108を移動させる。このため、第1ローラ108をパッケージ30に接触させる必要がないときに、エアシリンダ101によって、第1ローラ108を待避位置に待避させておくことができる。
エアシリンダ101によって第1ローラ108を移動させるため、簡易な構成により、接触位置と待避位置とに第1ローラ108を移動させることができる。
第2移動部121によって、待避位置にある第1ローラ108が更に待避した待機位置P3に移動させられるため、第1ローラ108が他の部材に干渉または接触することが確実に回避される。特に、玉揚装置80はレール83に沿って走行するが、ワインダユニット10のクレードル23のクレードルレバー24cに対する接触を回避することができる(図4参照)。
コイルバネ120は、第1ローラ108とエアシリンダ101との間に設けられているため、エアシリンダ101の力が第1ローラ108に直接作用しない。よって、エアシリンダ101の力が大きい場合であっても、パッケージ30に加わる衝撃を緩和することができる。
第1ローラ108の外周部108aがパッケージ30の外周面30aに当接するため、パッケージ30に対する第1ローラ108の相対位置が変動しても、確実にパッケージ30を排出することができる。しかも、第1ローラ108は回転可能であるため、パッケージ30の外周面30aに第1ローラ108の外周部108aが摺るようにして接触することを防止でき、パッケージ30に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
ゴム製の密着部25が巻取ボビン22の大径側端部22aに密着することにより、クレードル本体24による巻取ボビン22の保持力は高くなる。このように高い保持力にて巻取ボビン22が保持された自動ワインダ1においては、パッケージ30を確実に排出できるパッケージ排出装置100を採用することが特に効果的である。特に、パッケージ30の径が小さい場合、または、パッケージ30の径が大きくてもパッケージ30の巻き密度が低い場合(いわゆるソフト巻きの場合)、クレードル本体24からパッケージ30が外れないことが多い。このような場合には、パッケージ排出装置100は効果的に作用する。
クレードルオープナー87がクレードルレバー24cを操作したときに、パッケージ排出装置100が作動するため、パッケージ30を一層容易に排出することができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係るパッケージ排出装置を備えた玉揚装置の側面断面図である。図8に示す玉揚装置80Aのパッケージ排出装置100Aが図4に示したパッケージ排出装置100と違う点は、第1ローラ108に代えて、パッケージ30に対面する円筒状の接触部130を用いた点と、エアシリンダ101にリニアスケール129を取り付け、ロッド部103のストローク長を調整可能とした点である。接触部130は、ロッド部103の先端に固定される。接触部130の先端面(パッケージ30に接触する面)には、ゴム部材を取り付けることができる。パッケージ排出装置100Aでは、アーム107、第1ローラ108、第2ローラ109、およびコイルバネ120等は設けられない。
第2実施形態に係るワインダユニットでは、パッケージ径取得部が設けられる。パッケージ径取得部としては、以下に示す各態様を採ることができる。
パッケージ径取得部の第1の態様はアナライザ52(図2参照)であり、アナライザ52によって、パッケージ30に巻き取られた糸20の総長と、糸20の巻取速度及び糸種類(糸20の太さ等)と、に基づいてパッケージ径を取得する。
パッケージ径取得部の第2の態様は上述した角度センサ44であり、クレードル23の回転角度を検出することにより、パッケージ径を取得する。
パッケージ径取得部の第3の態様はアナライザ52であり、アナライザ52によって、糸20の巻き始めからの時間を計測することにより、演算によってパッケージ径を取得する。巻取速度及び糸種類(糸20の太さ等)が既知であれば、糸20の巻き始めからの経過時間に基づいて、パッケージ径を経験的に求めることができる。巻き始めからの経過時間と、パッケージ径との関係を予めアナライザ52に記憶しておくことにより、経過時間に基づいてパッケージ径を取得することができる。糸切断時や糸継作業時などの巻取中断時には、巻き始めからの経過時間の測定を中断する。
パッケージ径取得部の第4の態様はアナライザ52であり、糸走行速度センサによって検出した糸20の走行速度に基づいて、演算によってパッケージ径を取得する。具体的には、糸20の走行速度と、トラバース速度とによって綾角を演算する。さらに、綾角と、糸20の走行速度とに基づいて、パッケージ30の周速を求める。パッケージ30の回転速度と、パッケージ30の周速とに基づいて、パッケージ径を演算する。
ワインダユニット10のユニット制御部50は、パッケージ径のデータを玉揚装置80Aに送信する。これにより、玉揚装置80Aは、パッケージ径に応じて、リニアスケール129を用いてロッド部103のストローク長すなわち接触部130の移動距離を調整する。図8では、接触部130の接触位置として、一定の径を有するパッケージ30の外周面30aに対する接触位置P5と、空の巻取ボビン22に対する接触位置P6とが例示されている。エアシリンダ101およびリニアスケール129によって、押圧力調整部140および移動距離調整部150が構成される。
第2実施形態のパッケージ排出装置100Aによっても、パッケージ径に関わらず、パッケージ30に加わる衝撃が緩和される。接触部130の移動距離が移動距離調整部によって調整されるため、接触部130の過剰な移動または過少な移動を回避することができ、接触部130の移動距離を適切に維持することができる。
パッケージ径取得部と、ユニット制御部50とによって、接触部130の移動距離がパッケージ30の径に応じて調整されるため、接触部130を適切にパッケージ30に接触させることができる。なお、ユニット制御部50がパッケージ径取得部の機能を有していてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。たとえば、上記第1実施形態では、押圧力調整部としてねじりコイルバネ120を用いる場合について説明したが、これに限られない。押圧力調整部として、パッケージ接触部の移動方向に沿って配置され、パッケージ接触部をパッケージ30に向けて付勢する圧縮コイルバネを用いてもよい。
コイルバネ120および第1ローラ108等により押圧力調整機能を実現した第1実施形態と、パッケージ径取得部、リニアスケール129、およびユニット制御部50等により押圧力調整機能を実現した第2実施形態とを組み合わせてもよい。
また、パッケージ径取得部によって取得したパッケージ径のみに基づいてパッケージ接触部の移動距離を調整する場合に限られず、糸の種類または巻き密度によってパッケージ接触部の移動距離を調整してもよい。たとえば、巻き密度が低いパッケージほど、エアシリンダ101のストロークを大きめに設定することができる。
上記実施形態では、玉揚装置80または80Aは、空の巻取ボビン22の供給操作、および、糸20の捕捉および案内操作を行う場合について説明したが、パッケージ30の排出操作のみを行ってもよい。
上記実施形態では、第1移動部がエアシリンダ101によって構成される場合について説明したが、エアシリンダ101に限られず、別の伸縮構造を採用してもよい。蛇腹構造、ラチス構造、またはスライド構造を採用した移動部であってもよい。
パッケージ接触部の形状、大きさ、または材質は、適宜変更することができる。材質としては、樹脂製に限られず、ゴム製などであってもよい。パッケージ接触部の幅を大きくすることで、巻取ボビン22の軸方向における位置調整を不要とすることができる。密着部25は、円錐台形状をなす場合に限られず、平板状であって巻取ボビンの一端に押し当てられるものであってもよい。
パッケージ排出装置は、玉揚装置80または80Aに設けられる場合に限られず、独立した装置として設けられてもよい。複数のパッケージ排出装置をワインダユニット10毎に設けてもよい。自動ワインダ1が備えるワインダユニット10の数に応じて、複数台の玉揚装置80を設けてもよい。
上記実施形態では、アーム式のトラバース装置70を備えたワインダユニット10について説明したが、糸巻取機は、綾振りドラムを有する巻取装置を備えた糸巻取機であってもよい。糸巻取機は、空気紡績装置を備えた糸巻取機であってもよい。糸巻取機は、オープンエンド紡績機等であってもよく、パッケージに糸を巻き取る糸巻取機であればどのようなものであってもよい。
上記第2実施形態のワインダユニットが備えるパッケージ径取得部(上記した第1の態様から第4の態様の少なくとも1つ)を上記第1実施形態のワインダユニットに適用してもよい。第1実施形態のワインダユニットにおいても、エアシリンダ101にリニアスケール129を取り付け、ロッド部103のストローク長を調整可能としてもよい。
パッケージを軸方向に強制的に引っ張ることにより、パッケージを排出してもよい。
1…自動ワインダ(糸巻取機)、10…ワインダユニット(巻取装置)、22…巻取ボビン(巻取管)、22c…外周面、23…クレードル(保持部)、24…クレードル本体、25…密着部、30…パッケージ、30a…外周面、75…巻取装置、80,80A…玉揚装置、87…クレードルオープナー(操作部)、100,100A…パッケージ排出装置、101…エアシリンダ(第1移動部)、108…第1ローラ(パッケージ接触部)、120…コイルバネ(押圧力調整部)、121…第2移動部、130…接触部(パッケージ接触部)、140…押圧力調整部、150…移動距離調整部、D1…移動方向、L1…軸線。

Claims (13)

  1. 保持部によって保持された巻取管を少なくとも有してなるパッケージを排出するパッケージ排出装置であって、
    前記パッケージの外周面に接触可能なパッケージ接触部と、
    前記パッケージ接触部を移動させて前記パッケージの外周面に接触させる第1移動部と、
    前記パッケージ接触部が前記パッケージの外周面に接触するときの前記パッケージに加わる押圧力を調整する押圧力調整部と、
    を備える、パッケージ排出装置。
  2. 前記押圧力調整部はバネである、請求項1に記載のパッケージ排出装置。
  3. 前記バネは、前記パッケージ接触部が前記パッケージの外周面に接触するときに前記パッケージ接触部を前記パッケージに向けて付勢し、前記バネの弾性力によって前記パッケージ接触部を前記パッケージに押し当てる、請求項2に記載のパッケージ排出装置。
  4. 前記第1移動部は、前記保持部により保持された前記パッケージに接触する接触位置と、前記保持部により保持された前記パッケージから待避した待避位置と、に前記パッケージ接触部を移動させる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパッケージ排出装置。
  5. 前記第1移動部はエアシリンダである、請求項4に記載のパッケージ排出装置。
  6. 前記パッケージ接触部の移動距離を調整する移動距離調整部を更に備える、請求項4または請求項5に記載のパッケージ排出装置。
  7. 前記待避位置よりも前記パッケージから更に待避した待機位置に前記パッケージ接触部を移動させる第2移動部を更に備える、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のパッケージ排出装置。
  8. 前記押圧力調整部は、前記パッケージ接触部と前記第1移動部との間に設けられている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のパッケージ排出装置。
  9. 前記パッケージ接触部は、前記パッケージ接触部の移動方向に交差する軸線周りに回転可能であって外周部が前記パッケージの外周面に接触可能なローラである、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のパッケージ排出装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のパッケージ排出装置と、
    前記保持部を有し、前記保持部により保持した前記巻取管に糸を巻き取る巻取装置と、を備える、糸巻取機。
  11. 前記巻取装置の前記保持部は、
    前記巻取管の両端部から前記巻取管を挟持するクレードル本体と、
    前記クレードル本体に取り付けられて前記巻取管の少なくとも一端部に密着するゴム製の密着部と、を有する、請求項10に記載の糸巻取機。
  12. 前記巻取装置の前記保持部を操作する操作部を更に備え、
    前記操作部が前記保持部を操作したときに、前記パッケージ排出装置を作動させる、請求項10または請求項11に記載の糸巻取機。
  13. 前記パッケージの径を取得する径取得部と、
    前記径取得部が取得した前記パッケージの径に応じて、前記パッケージ排出装置の前記第1移動部を制御して前記パッケージ接触部の移動距離を調整する制御部と、
    を備える、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の糸巻取機。
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