つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。この発明に係る情報特定システムは、車室内に持ち込まれた携帯端末から発信された信号を情報特定装置が検知することによって運転者の携帯端末を特定するように構成されているものである。具体的には、携帯端末は、携帯端末を所持する乗員の乗車動作に基づいた携帯端末の位置変化を検出することによって、車室内に持ち込まれたことを検出するように構成されている。そのため、携帯端末は、車室内に持ち込まれた旨を通知する通信信号を発信するように構成されている。さらに、その携帯端末は、車室内に持ち込まれた他の携帯端末が発信した通信信号を検知できるように構成されており、その通信信号を検知することにより上述の通信信号とは異なる通信信号を発信するように構成されている。すなわち、この発明に係る携帯端末は、携帯端末の動きを検出するように構成されており、その動きを検出することに基づいて能動的に通信信号を発信するように構成されている。それとともに、他の携帯端末が発信した通信信号を検知することに基づいて受動的に通信信号を発信するように構成されている。したがって、情報特定装置は、車両内に持ち込まれた携帯端末が上述のように発信した通信信号を検知することにより、車両内の携帯端末のなかから運転者の携帯端末を特定するように構成されている。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態に係る情報特定システムについて説明する。図1は、この実施形態の情報特定システムに含まれる情報特定装置1と携帯端末2とのそれぞれが備えている機能ブロックを模式的に示した図である。この情報特定システムにおいて、情報特定装置1と携帯端末2とが無線通信可能に構成され、情報特定装置1は車載されたセンサ3から信号が入力されるように構成されている。なお、情報特定装置1は、車両に搭載された装置であってもよく、車両外に設置された装置であってもよい。また、図1に例示する携帯端末2は、車両内に持ち込まれた携帯端末である。図1では、一台のみの携帯端末2を例示しているが、この実施形態の情報特定システムは複数の携帯端末2においても実施可能である。
情報特定装置1は、演算処理装置(CPU)を有し、CPUが実行するコンピュータプログラムと各種データとを記憶する記憶装置(RAM,ROMなど)や外部記憶装置(HDDなど)を制御し、CPUが実行するコンピュータプログラムにより情報処理を実行するように構成されている。そのため、情報特定装置1は、図1に例示するような機能ブロックを構成することができる。具体的には、情報特定装置1は、通信部10と、操作部20と、報知部30と、制御部40と、記憶部50とを備えている。
通信部10は、情報特定装置1が携帯端末2と無線通信する際に情報を受送信する手段である。すなわち、通信部10には、受送信部としての無線通信用のアンテナと、無線通信を制御する制御部とが含まれる。したがって、情報特定装置1は通信部10を介して、携帯端末2から発信された通信信号を検知するとともに、後述する信号生成部44により生成された通信信号を発信するように構成されている。
操作部20は、車室内に設けられ、車両の乗員により操作される手段である。例えば、操作部20として、キーが差し込まれるメインスイッチユニットや、ハイブリッド車におけるハイブリッドシステムの起動停止スイッチや、電気自動車における動力源の起動停止スイッチなどがある。また、操作部20として、車室内の表示部に表示された画像データに基づいて、乗員が表示部の画面に触れることにより操作させる手段も含まれる。すなわち、操作部20は、情報特定装置1における入力部として機能するように構成されている。
報知部30は、車室内に設けられ、車両の状態もしくは情報を車室内の乗員に知らせる手段である。例えば、報知部30として、車室内の乗員が視認できるように画像データを表示する表示部や、車室内に設けられたスピーカなどがある。すなわち、報知部30は、情報特定装置1における出力部として機能するように構成されている。なお、操作部20および報知部30の機能を兼ね備えて、例えばタッチパネルのように、画像データにより情報を表示し、かつ乗員がタッチパネルを操作することを受け付けるように構成されてもよい。
記憶部50には、通信情報記憶部51と、運転者情報記憶部52と、車両情報記憶部53とが含まれる。通信情報記憶部51は、通信部10を介して通信した履歴の情報を含む通信情報を記憶する記憶手段である。具体的には、無線通信における受信データおよび送信データが通信情報記憶部51に記憶される。また、通信情報記憶部51に記憶される通信情報には、通信日時と、受発信した通信信号の種別とが含まれる。
運転者情報記憶部52は、運転者の携帯端末として特定された携帯端末2に関する情報を含む運転者情報を記憶する記憶手段である。運転者情報とは、携帯端末2の識別情報と、特定された日時と、現在の運転者であることを識別できる運転者フラグとが含まれる。例えば、運転者情報記憶部52のデータ構造のうち現在の運転者項目に運転者フラグを有する運転者情報として携帯端末2の情報が記憶される。
車両情報記憶部53は、車両に関する情報を記憶する記憶手段である。例えば、後述に詳細に説明するセンサ3から情報特定装置1に入力される信号に基づいた情報が記憶される。具体的には、そのセンサ3から入力された信号を検出する検出部48が検出した情報や、動力源の始動しくは停止を検知する動力源停止検知部47が検知した情報が車両情報として記憶される。さらに、走行距離や、運転特性などの走行履歴情報が車両情報記憶53に記憶されてもよい。また、現在の運転者として特定されている状態では、運転者情報記憶部52に記憶されている情報と、車両情報記憶部53に記憶されている情報とが関連付けされるように構成されていてもよい。その場合、運転者フラグが立っている運転者情報と、その運転者フラグが立っている間の車両情報とが関連付けられる。
制御部40には、信号取得部41と、信号判別部42と、情報特定部43と、信号生成部44と、通知部45と、タイマー部46と、動力源停止検知部47と、検出部48とが含まれる。信号取得部41は、情報特定装置1が通信部10を介して携帯端末2から発信された通信信号を取得する手段である。すなわち、信号取得部41は、携帯端末2から発信された通信信号を受け付けるように構成されている。例えば、携帯端末2が車室内に持ち込まれたことを通知する持ち込み通知信号と、既に携帯端末2が車室内にあったことを通知する優先権信号とが信号取得部41により取得される。そして、信号取得部41により取得された通信信号に関する情報は、通信情報記憶部51に記憶されるとともに、信号取得部41から信号判別部42へ出力される。
信号判別部42は、通信信号についての判別処理を実施する手段である。具体的には、信号判別部42は、携帯端末2から発信された通信信号を情報特定装置1が検知したか否かを判別するように構成されている。また、信号判別部42は、検知した信号すなわち信号取得部41により取得された信号の種別を判別するように構成されている。例えば、検知した通信信号が持ち込み通知信号や優先権信号などであるかを判別するように構成されているとともに、検知した通信信号が複数であるか否かを判別するように構成されている。そして、信号判別部42により判別された情報は、情報特定部43へ出力される。
情報特定部43は、通信信号を検知したか否かの情報や、検知した通信信号に関する情報に基づいて運転者の携帯端末を特定する手段である。例えば、検知した通信信号が持ち込み通知信号のみであった場合、情報特定部43は、持ち込み通知信号を発信した携帯端末2のなかから運転者の携帯端末を特定するように構成されている。このように持ち込み通知信号から運転者の携帯端末を特定する際、情報特定部43は、運転席に設けられた圧力センサから入力される信号や、車両ドアの開閉を検出する開閉センサから入力される信号などセンサ3から入力される信号と、持ち込み通知信号とに基づいて運転者の携帯端末を特定するように構成されている。一例として、それら信号を検出した時刻の間隔に基づいて運転者の携帯端末を特定できるように構成されている。そして、情報特定部43により特定された携帯端末2の情報が運転者情報記憶部52に現在の運転者の情報として記憶される。すなわち、情報特定部43に因り運転者情報と車両情報とが関連付けられるように構成されている。なお、運転者フラグを有する場合をフラグが立っていると表現する場合がある。
その情報特定部43は、運転者情報記憶部52に記憶されている情報に基づいて運転者の携帯端末を特定するように構成されている。例えば、持ち込み通知信号を発信した携帯端末2の情報が、過去に運転者の携帯端末として運転者情報記憶部52に記憶されている場合、運転者の携帯端末として特定された回数などの履歴情報に基づいて運転者の携帯端末を特定するように構成されている。言い換えれば、情報特定部43は、運転者情報と車両情報との関連付け状態を維持するように構成されている。
また、検知した通信信号に持ち込み通知信号と優先権信号とが含まれていた場合、情報特定部43は、持ち込み通知信号よりも優先権信号を優先し、その優先権信号を発信した携帯端末2を運転者の携帯端末として特定するように構成されている。このように優先権信号から運転者の携帯端末を特定する際、情報特定部43は、運転者情報記憶部52に記憶されている運転者フラグを維持させる。すなわち、前回の特定処理において運転者の携帯端末として特定された状態が維持される。
さらに、情報特定部43は、運転者情報と車両情報とが関連付けられている状態で、どのような通信信号を検知したのか、または通信信号を検知しなかったのかといった情報に基づいて運転者の携帯端末を特定する。具体的には、その関連付けられている状態で、持ち込み通知信号および優先権信号を検知しなかった場合、情報特定部43は、動力源停止検知部47が検知した情報に基づいて運転者の携帯端末を特定するように構成されている。例えば、情報特定部43は、動力源が停止された時刻からの経過時間に基づいて運転者の携帯端末を特定するように構成されている。したがって、情報特定部43が、今回の特定処理において前回の特定処理の結果を維持するか否かを判断するように構成されている。そして、情報特定部43により運転者の携帯端末が特定されたことに基づく情報が信号生成部44に入力される。なお、車両の種類や動力源の種類を問わず、ここで説明する動力源停止とは、いわゆるイグニッションオフと呼ばれる動作もしくは状態を指す表現である。すなわち、この動力源停止状態では、車両システムが完全に停止している状態となる。
信号生成部44は、情報特定装置1から発信させる信号を生成する手段である。具体的には、情報特定部43から入力される情報に基づいて信号生成部44で生成される信号の種別が異なる。例えば、携帯端末2へ向けて発信させる通信信号が生成され、運転者の携帯端末として特定された旨を通知する通信信号や、携帯端末へ返答を要求する確認信号や、関連付け状態が解消された旨を通知するリセット信号などが信号生成部44で生成される。また、報知部30へ出力される信号が生成されるように構成されている。そして、信号生成部44により生成された信号に関する情報が、通知部45へ出力される。
通知部45は、運転者の携帯端末が特定された旨の通知を携帯端末2に通知する手段である。また、通知部45は、運転者の携帯端末が特定された旨の情報を車両の搭乗者へ通知するための手段である。すなわち、通知部45によりその旨の情報が報知部30へ出力される。また、通知部45により情報が通知されたことを示す通知履歴の情報が通信情報記憶部53に記憶される。
タイマー部46は、信号取得部41が通信信号の受け付けを開始してからの経過時間を計測する手段である。したがって、信号取得部41は、タイマー部46が計測した時間が所定時間を超えた場合、通信信号の受け付けを終了するように構成されている。
動力源停止検知部47は、車両の動力源が駆動状態から停止されたことを検知する手段である。例えば、内燃機関を動力源とする車両の場合、内燃機関が駆動状態から停止されたことを検知するように構成されている。また、メインスイッチユニットに差し込んだキーを回して動力源を始動させもしくは停止させる車両の場合、メインスイッチユニットを回すことを検知するように構成されていてもよい。さらに、動力源停止検知部47は、メインスイッチユニットにキーを差し込まずに車室内に持ち込まれた通信装置を検出し、かつ動力源を始動もしくは停止させる操作部20が操作されたことを検出するように構成された車両に適用することができる。
携帯端末2は、携帯電話やスマートフォンやタブレット型コンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)など、利用者が携帯できる携帯端末であるとともに、他の装置との無線通信が可能な通信端末である。具体的には、携帯端末2は、演算処理装置と記憶装置とを備え、その演算処理装置が、記憶装置を制御しかつコンピュータプログラムにより情報処理を行うように構成されている。具体的には、携帯端末2は、通信部100と、報知部110と、制御部120と、記憶部130とを備えている。
通信部100は、携帯端末2が情報特定装置1と無線通信するための手段である。具体的には、通信部100には、無線通信用のアンテナと、その無線通信を制御する手段とが含まれる。すなわち、携帯端末2は通信部100を介して、携帯端末2から発信された通信信号を受信するとともに、後述する信号生成部123により生成された通信信号を発信するように構成されている。
報知部110は、携帯端末の利用者が視認できるように画像データを表示する表示部や、音声データを出力するスピーカなどである。例えばタッチパネルのように、操作部および報知部110の機能を兼ね備えて、画像データにより情報を表示し、かつ利用者がタッチパネルを操作することを受け付けるように構成されてもよい。
記憶部130は、少なくとも通信情報記憶部131を含むように構成されている。通信情報記憶部131は、携帯端末2が他の装置と無線通信した履歴の情報を記憶する記憶手段である。例えば、携帯端末2が持ち込み通知信号を発信した履歴や、優先権信号を発信した履歴を含む発信履歴情報が通信情報記憶部131に記憶される。さらに、携帯端末2が他の装置から発信された通信信号を検知した履歴である発信履歴情報が通信情報記憶部131に記憶される。具体的には、他の携帯端末2から発信された持ち込み通知信号を検知した履歴や、情報特定装置1から発信された確認信号を検知した履歴や、リセット信号を検知した履歴などの受信情報履歴情報が通信情報記憶部131に記憶される。また、通信情報記憶131に記憶される通信情報には、受送信した信号の受発信時刻が含まれる。なお、情報特定装置1から運転者の携帯端末として特定された旨の信号を検知した場合に、その信号を受信した履歴情報が通信情報記憶部131に記憶されるように構成されてもよい。
制御部120は、信号取得部121と、判別部122と、信号生成部123と、通知部124と、車室内検出部125と、加速度センサ126とを備えている。加速度センサ126は、速度の時間変化率すなわち単位時間あたりの速度の変化である加速度を検出するセンサである。その加速度センサ126は、外力が加わったことを検出できるように構成され、加速度検出、傾き検出、振動検出、動き検出、衝撃検出、落下検出などができるように構成されている。例えば、加速度センサ126を備えている携帯端末2の運動によって発生する加速度の変化により携帯端末2の動きを検出するように構成されている。また、加速度センサ126は、大きな加速度が非常に短い時間に発生すること、つまり衝撃によって発生する加速度を検出するように構成されている。また、加速度センサ126は、加速度を検出することにより出力信号を出力するように構成されている。なお、加速度センサ126は、携帯端末2に搭載可能な小型かつ軽量なものであればよい。また、この発明における加速度センサ126では、静電型や圧電型などのセンシング方式、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を採用するか否かなどの製造技術、一軸または多軸などの方向や加速度の大きさや周波数バンド幅などのセンシング量などを特に限定しない。
信号取得部121は、情報特定装置1から発信された信号、もしくは他の携帯端末2から発信された信号を検知する手段である。すなわち、他の装置から無線通信により発信された信号の情報を取得する手段である。また、信号取得部121は取得した信号に関する情報を判別部122へ出力するとともに、取得した信号に関する情報を通信情報記憶部131に記憶させる。
判別部122は、信号取得部121により取得された通信信号の種別を判別する手段である。具体的には、取得された信号が情報特定装置1から発信された確認信号であるか否か、または、他の携帯端末2から発信された持ち込み通知信号であるか否かを判別するように構成されている。すなわち、判別部122は、検知した信号の種別を判別するように構成されている。また、判別部122は、検知した信号に基づいて通信情報記憶部131にその信号に関連する通信履歴の情報が記憶されているか否かを判別する手段である。例えば、他の携帯端末2からの持ち込み通知信号を検知した場合、今回の処理において携帯端末2が持ち込み通知信号を発信しているか否かを判別するように構成されている。または、情報特定装置1からの確認信号を検知した場合、今回の処理において携帯端末2が持ち込み通知信号を発信しているか否かを判別するように構成されている。
信号生成部123は、判別部122および後述する車室内検出部125により情報処理された結果に基づいて携帯端末2から無線通信により発信させる通信信号を生成する手段である。具体的には、車室内検出部125から入力される情報に基づいて持ち込み通知信号を生成し、判別部122から入力される情報に基づいて優先権信号を生成するように構成されている。また、信号生成部123により生成された通信信号に関する情報は通知部124へ出力される。
通知部124は、信号生成部123により生成された通信信号を他の装置へ通知する手段である。また、通知部124は、携帯端末2の報知部110に情報を出力し、その携帯端末2の利用者に情報を通知する手段である。すなわち、通知部124から通信部100へ情報が出力されるとともに、通知部124を介して通信された無線通信に関する情報が通信情報記憶部131に記憶される。
車室内検出部125は、携帯端末2が車室内に持ち込まれたことを検出する手段である。すなわち、携帯端末2が車両内に持ち込まれたことを検出するように構成されている。具体的には、加速度センサ126が加速度を検出して出力した信号に基づいて、車室内検出部125は携帯端末が車室内に持ち込まれたことを検出するように構成されている。言い換えれば、加速度センサ126および車室内検出部125により、携帯端末2は能動的に車室内に持ち込まれたことを検出することができるように構成されている。
センサ3は、車両に搭載されたセンサであり、情報特定装置1へ信号を出力するように構成されている。そのセンサ3には、車両の運転席に設けられ運転者が運転席に座ったことを検出する圧力センサと、車両ドアの開閉を検出する開閉センサとが含まれる。
つぎに、図2を参照して、車両の車室内に持ち込まれた際に携帯端末2で実施される情報処理について説明する。図2は、車室内に持ち込まれた際の情報処理の一例を示したフローチャートである。携帯端末2の車室内検出部125は、加速度センサ126が加速度を検出したことに基づいて出力した出力信号に基づいて、携帯端末2が車室内に持ち込まれたか否かを判別する(ステップS1)。車室内に持ち込まれたことを検出したことによりステップS1で肯定的に判断された場合、信号生成部123は持ち込み通知信号を生成し、その生成された持ち込み通知信号が通知部124によって携帯端末2から発信される(ステップS2)。
つぎに、図3を参照して、車室内に複数の携帯端末2が持ち込まれた場合にその携帯端末2で実施される情報処理について説明する。図3は、他の携帯端末2が車室内に持ち込まれたことによって既に車室内にあった携帯端末2で実施される情報処理の一例を示したフローチャートである。ここでの説明では、既に車室内に持ち込まれていた携帯端末2を第1の携帯端末、後から車室内に持ち込まれた携帯端末2を第2の携帯端末として説明する。
まず、携帯端末2の信号取得部121は、他の携帯端末2から発信された通信信号であって車室内に持ち込まれた旨を通知する持ち込み通知信号を検知したか否かを判別する(ステップS11)。例えば、第1の携帯端末が、第2の携帯端末から発信された持ち込み通知信号を検知したか否かを判別するように構成されている。
他の携帯端末2から発信された持ち込み通知信号を検知しなかったことによりステップS11で否定的に判断された場合、この携帯端末2における情報処理は終了される。一方、他の携帯端末2から発信された持ち込み通知信号を検知したことによりステップS11で肯定的に判断された場合、判別部122は、携帯端末2が持ち込み通信信号を発信済みであるか否かを判別する(ステップS12)。具体的には、今回の情報処理において、携帯端末2が車室内に持ち込まれたことを通知する持ち込み通知信号を発信しているか否かを判別するように構成されている。例えば、前回の情報処理において、携帯端末2が車室内に持ち込まれたことを検出したことによって持ち込み通知信号を発信したが、今回の情報処理において、その携帯端末2が持ち込み通知信号を発信しない場合に、上述のステップS12の処理によって発信済みでない、すなわち否定的に判断される。
この実施形態の携帯端末2は、加速度センサ126の出力信号に基づいて車室内検出部125が車室内に持ち込まれたか否かを判別するように構成されている。したがって、第1の携帯端末が第2の携帯端末よりも先に車室内に持ち込まれていたことにより、第2の携帯端末が持ち込み通知信号を発信するタイミングと近いタイミングで第1の携帯端末は通信信号を発信できない。そのため、ステップS2の処理では、通信情報記憶部131に記憶されている情報に基づいて、持ち込み通知信号の発信履歴の有無を判別するように構成されている。また、第1の携帯端末は、第1の携帯端末自身が発信した持ち込み通知信号が、第2の携帯端末から発信された持ち込み通知信号を検知した時刻から所定の時間以内に発信済みであった信号であるか否かを判別するように構成されていてもよい。
携帯端末2が持ち込み通知信号を発信していることによりステップS12で否定的に判断された場合、この携帯端末2における情報処理は終了される。一方、携帯端末2が持ち込み通知信号を発信していないことによりステップS12で肯定的に判断された場合、信号生成部123は、既に車室内にあった旨を通知する優先権信号を生成し、通知部124は、その生成された優先権信号を通信部110を介して発信させる(ステップS13)。また、通知部124により発信された優先権信号についての発信履歴が通信情報記憶部131に記憶される。
つぎに、図4を参照して、携帯端末2と通信する情報特定装置1で実施される情報処理について説明する。図4は、情報特定装置1で実施される情報処理の一例を示したフローチャート図である。まず、情報特定装置1は、検出部48が車両ドアの開閉を検知することによりセンサ3からから出力された信号を検出したことに基づいて、信号取得部41は、携帯端末2から発信される通信信号を受け付けを開始する(ステップS21)。また、このステップS21の処理で受け付ける通信信号には、持ち込み通知信号と、優先権信号とが含まれる。そして、信号取得部41により取得された通信信号についての情報は通信情報記憶部51に記憶される。さらに、タイマー部46により通信信号の受け付け開始の時刻からの経過時間が測定されている。そして、信号取得部41は、通信信号の受け付け開始から所定の時間が経過したか否かを判別する(ステップS22)。通信信号の受け付け開始から所定の時間が経過してないことによりステップS22で否定的に判断された場合、ステップS21にリターンして処理を繰り返す。
通信信号の受け付け開始から所定の時間が経過したことによりステップS22で肯定的に判断された場合、携帯端末2から発信される通信信号の受け付けは終了され、信号判別部42は、持ち込み通知信号を検知したか否かを判別する(ステップS23)。具体的には、信号判別42は、信号取得部41により受信履歴として通信情報記憶部51に記憶された受信情報に基づいて、持ち込み通知信号を検出したか否かを判別するように構成されている。
持ち込み通知信号が検知されなかったことによりステップS23で否定的に判断された場合、車両の動力源の停止時刻からの経過時間が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS24)。具体的には、動力源停止検知部47により動力源の停止が検知された場合、その動力源停止の検知時刻が車両情報記憶部53に記憶されるように構成されている。例えば、内燃機関を動力源とする車両において、メインスイッチユニットに差し込まれたキーが回転させられて内燃機関が停止された場合、動力源停止検知部47は、そのメインスイッチユニットの操作もしくは動力源の停止そのものを検知するように構成されている。そして、動力源停止の検知時刻から、現在の時刻またはステップS21における信号の受け付け開始時刻までの経過時間が所定値以内であるか否かが判別される。
動力源の停止からの経過時間が所定値以内であることによりステップS24で肯定的に判断された場合、情報特定部43は、運転者情報記憶部52に現在の運転車の携帯端末として特定されている状態を保持させる(ステップS25)。すなわち、このステップS25の処理では、今回の特定処理によって新たに運転者の携帯端末を特定せず、現在運転者の携帯端末として運転者情報記憶部52に記憶されているフラグを維持する。言い換えれば、運転者情報記憶部52に記憶されている前回値が保持される。具体的には、運転者情報記憶部52に記憶されている情報には、現在の運転者として特定されていることを識別できる情報、例えば運転者フラグが記憶されており、その運転者フラグを前回値のまま保持するように構成されている。
また、動力源の停止からの経過時間が所定値より大きいことによりステップS24で否定的に判断された場合、情報特定部43は、今回の特定処理において運転者の携帯端末として特定すべき携帯端末2がないものと判断し、運転者の携帯端末を特定しない(ステップS26)。例えば、運転者情報記憶部52に現在の運転者の携帯端末としてのフラグが立っている運転者情報が記憶されている場合、情報特定部43によりその運転者フラグが解消されるように構成されている。
さらに、持ち込み通知信号が検知されたことによりステップS23で肯定的に判断された場合、信号判別部42は、優先権信号を検知したか否かを判別する(ステップS27)。具体的には、信号判別部42により通信情報記憶部51に今回の信号受け付け処理により取得した信号に優先権信号が含まれているか否かが判別される。優先権信号を検知したことによりステップS27で肯定的に判断された場合、情報特定部43は、その優先権信号を発信した携帯端末2を運転者の携帯端末として特定する(ステップS28)。具体的には、情報特定部43は、今回の特定処理により新たに運転者の携帯端末として特定した携帯端末2の情報を運転者情報記憶部52に記憶させる。すなわち、ステップS28の処理では、情報特定部43により運転者として識別できるフラグの情報が更新される。
また、優先権信号を検知しなかったことによりステップS27で否定的に判断された場合、取得された持ち込み通知信号に基づいてその持ち込み通知信号を発信した携帯端末2のなかから運転者の携帯端末を特定する処理が実施される(ステップS29)。このステップS29の処理は、センサ3に含まれる圧力センサやドア開閉センサなどから出力された出力信号を検出部48が検出し、情報特定部43により持ち込み通知信号と、それら検出された信号とに基づいて運転者の携帯端末を特定するように構成されている。また、ステップS29の処理を実行する機能的手段あるいは電子制御装置が、この発明における第2の特定手段に相当する。
上述のように、携帯端末2が車室内に持ち込まれたことを検出できるように構成された場合であっても、その携帯端末2が他の携帯端末2が発信した通信信号に基づいて優先権信号を発信するように構成されているため、情報特定装置1は、車室内に持ち込まれている携帯端末2を正確に認識することができる。さらに、情報特定装置1が、持ち込み通知信号と優先権信号とを取得できるように構成されているため、車室内に持ち込まれた複数の携帯端末2が持ち込まれた順序を正確に認識することができる。
つぎに、図5を参照して、既に車室内にある携帯端末2で実施される情報処理の変形例について説明する。この変形例では、携帯端末2の通信情報記憶部131に記憶されている通信情報に基づいて優先権信号の発信の有無を判別する。図5は、携帯端末2で実施される情報処理の変形例を示したフローチャートである。また、図5のステップS31,S32は、図4のステップS21,S22と同様の処理である。なお、上述の実施形態で説明した構成と同様の構成は説明を省略する。
携帯端末2が持ち込み通知信号を発信していないことによりステップS32で否定的に判断された場合、判別部122は、携帯端末2が運転者の携帯端末として特定されたことがあるか否かを判別する(ステップS33)。具体的には、運転者の携帯端末として特定された際、情報特定装置1から運転者の携帯端末として特定された旨を通知する特定通知信号が送信され、携帯端末2が特定通知信号を受信することにより、運転者の携帯端末として特定された履歴情報が記憶部に記憶されるように構成されている。すなわち、ステップS33の処理では、判別部122により記憶部に記憶されている履歴情報が判別に用いられ、その履歴情報の有無が判別される。言い換えれば、先回に運転者の携帯端末として特定されたか否かが判別部122により判別されるように構成されている。なお、特定通知信号は、運転者の携帯端末として特定された携帯端末2の宛先に送信される信号である。したがって、運転者の携帯端末として特定されなかった携帯端末2は、その特定通知信号を検知できないように構成されている。なお、ここで記載する先回とは、今回よりも前の情報処理のことを表現し、前回とは、今回の直前の情報処理のことを表現する。
先回運転者の携帯端末として特定された履歴情報あることによりステップS33で肯定的に判断された場合、判別部122は、先回の特定からの経過時間が所定時間内であるか否かを判別する(ステップS34)。例えば、先回の特定通知信号の受信時刻から現在時刻までの経過時間が所定値以内であるか否かを判別するように構成されている。
そして、先回の特定処理からの経過時間が所定時間内であることによりステップS34で肯定的に判断された場合、信号生成部123は、優先権信号を生成し、その生成された優先権信号が通知部124により通信部100から発信させる(ステップS35)。また、優先権信号が通知部124から通信部100を介して無線通信により発信されるとともに、その発信履歴の情報が通信情報記憶部131に記憶される。さらに、通知部124は優先権信号が発信された旨の情報を報知部110に出力し、報知部110を介してその携帯端末2の利用者にその情報を報知するように構成されている。例えば、画像表示部にその旨の文字情報を出力し利用者に報知してもよく、スピーカにより音声出力させてもよい。
一方、持ち込み通知信号を検知しなかったことによりステップS31で否定的に判断された場合や、携帯端末2から持ち込み通知信号を発信済みであったことによりステップS32で肯定的に判断された場合や、先回の処理で運転者の携帯端末として特定されていなかったことによりステップS33で否定的に判断された場合や、先回の特定処理から所定時間が過ぎていたことによりステップS34で否定的に判断された場合には、この携帯端末2での情報処理は終了される。
つぎに、図6を参照して、情報特定装置1で実施される情報処理の変形例について説明する。この変形例では、携帯端末2から複数の優先権信号が発信された場合、情報特定装置1で実施される処理について説明する。なお、上述の実施形態で説明した構成と同様の構成についてはここでの説明を省略する。情報特定装置1の信号判別部42は、信号取得部41により取得された通信信号に複数の優先権信号が含まれているか否かを判別する(ステップS41)。優先権信号を検知しなかった、または取得した優先権信号が一つであったことによりステップS41で否定的に判断された場合、この情報処理は終了される。
一方、信号取得部41により取得された優先権信号が複数であったことによりステップS41で肯定的に判断された場合、情報特定部43は、現在の関連付け状態を解消する(ステップS42)。具体的には、運転者情報記憶部52に記憶されている情報を更新することにより関連付け状態が解消される。例えば、現在運転者の携帯端末として関連付けられている状態から、非関連付け状態を示すフラグに変更することにより、関連付け状態を解消するように構成されている。または、現在の運転者項目から運転者フラグを削除することによって関連付け状態を解消させる。
そして、信号生成部44は、関連付け状態が解消された旨を通知するリセット信号を生成し、その生成されたリセット信号が通知部45により通信部10を介して発信される(ステップS43)。また、通知部45は、関連付け状態が解消された旨の情報を報知部30に出力し、報知部30によりその旨の情報を乗員に報知する(ステップS44)。例えば、報知部30として画像表示手段やスピーカを備え、画像データを出力し、もしくは音声データを出力することにより、車室内の乗員にその旨の情報を報知する。
つぎに、図7を参照して、情報特定装置1から発信されたリセット信号を検知することに基づいて携帯端末2で実施される情報処理について説明する。図7は、携帯端末2で実施される情報処理である。携帯端末2の信号取得部121は、情報特定装置1から発信された通信信号の受け付けを開始し、判別部122は、信号取得部121によりリセット信号を検知したか否かを判別する(ステップS51)。リセット信号を検知したことによりステップS51で肯定的に判断された場合、判別部122は、携帯端末2が優先権信号を発信済みであるか否かを判別する(ステップS52)。具体的には、通信情報記憶部131に記憶されている通信履歴の情報に基づいて判別される。
優先権信号が発信済みであることによりステップS52で肯定的に判断された場合、通知部124は、関連付けが解消された旨の情報を報知部110に出力し、報知部110はその旨の情報を携帯端末2の利用者に報知する(ステップS53)。例えば、報知部110には画像表示部やスピーカなどが含まれ、画像データや音声データによってその旨の情報を利用者に報知するように構成されている。
つぎに、図8を参照して、情報特定装置が、携帯端末から発信された持ち込み通知信号を検知することに基づいて確認信号を発信する変形例について説明する。図8は、情報特定装置1で実施される情報処理の変形例を示したフローチャートである。なお、この変形例では上述の実施形態と同様の構成については説明を省略する。図8に例示するステップS61〜S66,S70〜S72は、図4に例示するステップS21〜S25,S27〜S29と同様の処理である。
持ち込み通知信号を検知したことによりステップS63で肯定的に判断された場合、情報特定装置1の信号生成部44は、携帯端末2に応答を要求する確認信号を生成し、通知部45は、その確認信号を通信部10を介して発信させる(ステップS67)。そして、確認信号が発信されると信号取得部41は、優先権信号の受け付けを開始する(ステップS68)。また、優先権信号の受け付け開始時刻から所定時間が経過したか否かが判別される(ステップS69)。また、優先権信号の受け付け開始時刻から所定時間が経過していないことによりステップS69で否定的に判断された場合、ステップS69にリターンして処理を繰り返す。
つぎに、図9を参照して、情報特定装置1から発信された確認信号を検知する携帯端末2で実施される情報処理について説明する。図9は、確認信号を検知する携帯端末2で実施される情報処理の一例を示したフローチャートである。ここで説明する情報処理は、図3を参照して上述で説明した情報処理の変形例である。携帯端末2の判別部122は、信号取得部121が情報特定装置1から発信された確認信号を検知したか否かを判別する(ステップS81)。確認信号を検知したことによりステップS81で肯定的に判断された場合、ステップS82の処理に進む。なお、図9に例示するステップS82,S83の処理は、図3に例示するステップS12,S13の処理と同様の処理であり、ここでの説明は省略する。
つぎに、図10を参照して、情報特定装置1から発信された確認信号を検知する携帯端末2で実施される情報処理の変形例について説明する。図10は、携帯端末2が優先権信号を発信する情報処理の変形例を示したフローチャートである。ここで説明する情報処理は、図5を参照して上述で説明した情報処理の変形例である。携帯端末2の判別部122は、信号取得部121が情報特定装置1から発信された確認信号を検知したか否かを判別する(ステップS91)。確認信号を検知したことによりステップS91で肯定的に判断された場合、ステップS92へ進む。なお、図10に例示するステップS92〜S95は、図5に例示するステップS32〜S35の処理と同様の処理であり、ここでの説明は省略する。
なお、この発明に係る情報特定システムを採用できる車両には、自動車が含むとともに、船舶や、鉄道や、航空機などが含まれる。また、情報特定装置は、車両に搭載された装置であってもよく、車外に設けられた装置であってもよく、車両に搭載されたセンサと無線通信可能に構成されていてもよい。すなわち、センサから発信された通信信号によって、そのセンサを搭載している車両の情報を特定するように構成されていてもよい。さらに、圧力センサは、運転席と助手席に設けられていてもよい。