JP2013248727A - 切削工具およびその設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強制的なびびり振動の発生を防止する。
【解決手段】第1、第2切れ刃のリード角θ1、θ2、ピッチ角度φ1、φ2、第2切れ刃のすくい角α2、切れ刃先端からの距離L、工具直径Dとし、切れ刃先端から複数の距離において、(1)式で第2切れ刃に対する第1切れ刃の切削抵抗の比Bを算出し、(2)式で第2切れ刃の切削抵抗比A2を算出するとともにA2/Bを求め、(3)式で前記複数の距離のそれぞれにおける第1切れ刃のすくい角α1を求める工程と、
B={L(tanθ2−tanθ1)+Dφ1π/360}
/{L(tanθ1−tanθ2)+Dφ2π/360}・・・(1)
A2=exp(−k・α2)・・・(2)
A2/B=exp(−k・α1)・・・(3)
求めた全ての第1切れ刃のすくい角α1が連続的に繋がる第1切れ刃のすくい角の曲線を算出する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸心回りに回転し周面に設けられた切れ刃により被削材を切削するもので、前記切れ刃が不等ピッチかつ不等リードで形成された不等ピッチ不等リードエンドミルまたは不等ピッチ不等リードフライスなどの切削工具およびその設計方法に関する。
一般的なエンドミル100としては、図7(a)に示すように、周方向(回転方向)において切れ刃101を均等ピッチに配分した、ピッチ角度φが90°である構成に形成されている。このエンドミル100による場合には、自励びびり振動が発生し易いという難点がある。
そのため上記自励びびり振動の発生を抑制すべく、図7(b)に示すように周方向において隣り合う切れ刃111のピッチ角度φを異ならせ、切れ刃111を不等ピッチに配分した不等ピッチエンドミル110が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2006−198767号公報
しかし、上記不等ピッチエンドミルは、切れ刃の配分位置が周方向において不等ピッチであっても、その配分位置が一定な配分位置に固定されているため、上記びびり振動の発生を抑制する効果を発現させ得る条件範囲が狭いという難点がある。
そこで、上記条件範囲を広くするために、図8(工具の軸方向と直交する方向から見た図)に示す不等ピッチ不等リードエンドミルが提案されている。この不等ピッチ不等リードエンドミルは、不等ピッチエンドミルにおける切れ刃のねじれ角度(リード角)を、周方向において隣り合う切れ刃の一方をθ1とするとともに、他方をθ1とは異なるθ2(≠θ1)にした構成である。この構成とすることにより、軸方向の切れ刃の位置により切れ刃の間隔(ピッチ角度)が変化することから、上記びびり振動抑制効果を発現させ得る条件範囲を広くすることが可能になる。なお、図8中において、軸(一点鎖線)に対してθ1またはθ2傾いた実線は、切れ刃の稜線を表す。
しかしながら、上記不等ピッチ不等リードエンドミルは、自励びびり振動の抑制には効果があるものの、工具切れ刃を不等ピッチに配分することにより切削抵抗が増減し、その切削抵抗の増減により新たな強制振動として、加工中における加工振動(強制びびり振動)が発生する場合がある。
その加工振動の発生は以下のようにして起こる。即ち、図9(a)に示すように、等ピッチエンドミルでは各切れ刃の切削により発生する切削抵抗の形状・大きさが理論的に等しくなるため、加工振動は起こらないが、図9(b)に示すように、切れ刃の間隔が異なる不等ピッチ不等リードエンドミルでは、先行する切れ刃との間隔の広い切れ刃Xでは切削抵抗が増加し、逆に先行する切れ刃との間隔が狭い切れ刃Yでは切削抵抗が減少するため、この切削抵抗の変動(差異)が新たな加振力となって働き、加工中に加工振動としての強制的なびびり振動が発生する。
本願発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる切削工具およびその設計方法を提供することを目的とする。
本発明に係る切削工具の設計方法は、周面に軸心を挟んで対称位置に各一対の第1切れ刃および第2切れ刃を有し、隣り合う第1切れ刃および第2切れ刃のそれぞれを回転方向に先行する切れ刃との間隔を異ならせた不等ピッチにして交互に配されるとともに、第1切れ刃及び第2切れ刃の前記軸心に対するリード角を異ならせた不等リードにして、各切れ刃が設けられた切削工具の設計方法であって、第1切れ刃のリード角をθ1、第2切れ刃のリード角をθ2、第1切れ刃のピッチ角度をφ1、第2切れ刃のピッチ角度をφ2、第2切れ刃のすくい角をα2、工具直径をDとし、前記軸心方向での切れ刃の先端から後端までの範囲内における複数の距離に対して、下記(1)式により、第2切れ刃の切削抵抗に対する第1切れ刃の切削抵抗の比Bをそれぞれ算出し、この切削抵抗の比Bの算出の前にまたは後に、下記(2)式により、第2切れ刃のすくい角α2のときの第2切れ刃の切削抵抗比A2を算出し、算出した切削抵抗比A2を前記切削抵抗の比Bのそれぞれで除算してその除算値A2/Bを求め、下記(3)式により、当該除算値A2/Bのときの、前記複数の距離のそれぞれにおける第1切れ刃のすくい角α1を求める工程と、
B={L(tanθ2−tanθ1)+Dφ1π/360}
/{L(tanθ1−tanθ2)+Dφ2π/360}・・・(1)
但し、Lは軸心方向における切れ刃の先端からの距離である。
A2=exp(−k・α2)・・・(2)
A2/B=exp(−k・α1)・・・(3)
但し、kは係数である。
続いて、求めた全ての第1切れ刃のすくい角α1に基づいて、これら全てのすくい角α1が連続的に繋がる第1切れ刃のすくい角の曲線α1’を算出する工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、複数の距離のそれぞれにおける第1切れ刃のすくい角α1を求める工程は、複数の距離のうちの一つについての第1切れ刃のすくい角α1を求め、続いて前記複数の距離のうちの他の一つずつについて順次第1切れ刃のすくい角α1を求めることを含む。
本発明の切削工具の設計方法による場合には、切れ刃先端からの距離が複数の位置における第1切れ刃のすくい角α1に基づき、切削工具の先端からの連続的な第1切れ刃のすくい角の曲線α1’を求めることができ、算出した曲線α1’に基づいて第1切れ刃のすくい角を設定することで、各距離において第1切れ刃と第2切れ刃の切削抵抗を同一にすることが可能になり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる。
本発明の切削工具は、周面に軸心を挟んで対称位置に各1対の第1切れ刃および第2切れ刃が、隣り合う第1切れ刃および第2切れ刃のそれぞれを回転方向に先行する切れ刃との間隔を異ならせた不等ピッチにして交互に配されるとともに、第1切れ刃と第2切れ刃との前記軸心に対するリード角を異ならせた不等リードにして、各切れ刃が設けられた切削工具であって、前記切削工具の設計方法を用いて第1切れ刃及び第2切れ刃のすくい角が設計されていることを特徴とする。
本発明の切削工具にあっても、上述した切削工具の設計方法により算出された、切削工具の切れ刃先端から切れ刃後端までの連続的な第1切れ刃のすくい角の曲線α1’に基づいて第1切れ刃のすくい角が設定されているので、第1切れ刃と第2切れ刃の切削抵抗を同一にすることが可能になり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる。
本発明による場合には、切れ刃先端からの距離が複数の位置における第1切れ刃のすくい角α1に基づき、切削工具の切れ刃先端から切れ刃後端までの連続的な第1切れ刃のすくい角の曲線α1’を求めることができ、算出した曲線α1’に基づいて第1切れ刃のすくい角を設定することで、各距離において第1切れ刃と第2切れ刃の切削抵抗を同一にすることが可能になり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる。
本発明の切削工具に含まれる不等ピッチ不等リードエンドミル工具の切れ刃の展開図である。 本発明の基本となる、切削抵抗比とすくい角との関係を示す図である。 本発明の設計方法により設計するすくい角の説明図である。 鋳鉄系材料の場合の切削抵抗比とすくい角との関係を示す図である。 ステンレス系材料の場合の切削抵抗比とすくい角との関係を示す図である。 炭素鋼系材料の場合の切削抵抗比とすくい角との関係を示す図である。 (a)は等ピッチエンドミルの断面図、(b)は不等ピッチエンドミルの断面図である。 不等ピッチ不等リードエンドミル工具の切れ刃の概要図(正面図)である。 (a)は等ピッチエンドミルにおける切削抵抗と工具の回転角度との関係図であり、(b)は不等ピッチエンドミルにおける切削抵抗と工具の回転角度との関係図である。
本発明は、不等ピッチ不等リードエンドミルや不等ピッチ不等リードフライスなどの切削工具において、強制的なびびり振動の発生を防止することができるようにするものである。
(本発明における切削工具の設計方法の原理)
図1は、不等ピッチ不等リードエンドミルの切れ刃の展開図であり、横軸に軸心回りの周方向位置をとり、縦軸に切れ刃の工具先端からの軸方向距離(L)をとっている。
この切削工具は、4枚刃のエンドミルであって、4つの切れ刃として、一対の第1切れ刃が軸心に対して点対称に配設されるとともに、一対の第2切れ刃が前記軸心に対して点対称に配設され、かつ、軸心回りにおいて第1切れ刃、第2切れ刃、第1切れ刃および第2切れ刃がこの順に設けられた構成となっている。ここで、第1切れ刃のピッチ角度をφ1、第2切れ刃のピッチ角度をφ2(≠φ1)とし、また第1切れ刃のリード角をθ1、第2切れ刃のリード角をθ2(≠θ1)とする。なお、ここでいう第1切れ刃のピッチ角度とは、当該第1切れ刃と、当該第1切れ刃に先行する第2切れ刃との間の軸心回りの角度を意味しており、また第2切れ刃のピッチ角度とは、当該第2切れ刃と、当該第2切れ刃に先行する第1切れ刃との間の軸心回りの角度を意味している。
この切削工具にあっては、切れ刃の軸方向距離(L)に応じて、隣り合う切れ刃の間隔Wが変化する。
ここで、リード角θ2の第2切れ刃の切削抵抗に対するリード角θ1の第1切れ刃の切削抵抗の比Bは、前記軸方向距離(L)の関数として下記(1)式のように表される。
B={L(tanθ2−tanθ1)+Dφ1π/360}
/{L(tanθ1−tanθ2)+Dφ2π/360}・・・(1)
但し、Dは切削工具の直径である。
この(1)式より理解されるように、不等ピッチ不等リードエンドミルにおいては、切れ刃の軸方向距離(L)の変化に伴って切削抵抗の比Bが変化する。従って、切削抵抗の比Bの変化を抑制し、強制的なびびり振動の発生を防止するためには、切れ刃の軸方向距離(L)の各々において(1)式の逆数倍に切削抵抗を変化させることが必要となる。
この切削抵抗の変化は、後述する切削実験を行うことで本願出願人が得た、すくい角αと一定の関係を有する切削抵抗比Aを用いることで可能となる。
図2は、切削抵抗比Aとすくい角αとの関係を示す図であり、横軸にすくい角αをとり、縦軸に切削抵抗比Aをとっている。なお、すくい角αは、図3に示すように切削工具1の軸心Oを通る線分(半径方向の線分)Fに対する刃先2のすくい面の角度である。
この図2は、アルミニウム合金の代表材種において切削実験を行って得られた図である。切削抵抗比Aとしては、切削加工中に測定された切削抵抗の接線方向の力と法線方向の力の合力について、すくい角が0度の時の値を基準とするものであり、図中の実線は実験により得られた切削抵抗の平均値を示す。
なお、実験条件は以下の通りである。工具回転数は2000rpmとし、送り速度は150mm/min、軸方向切込みは5mm、径方向切込みは2mm、工具径は10mm、刃数は4とした。また、実験では、ねじれ角が30度と50度の2種類のエンドミルにおいて実施し、ねじれ角の影響についても考慮した。被削材種についてはA5052(JIS)とし、潤滑剤はユシロ化学製EC50(5%)とした。実験において切削抵抗の測定には、日本キスラー社製動力計(9263A)を使用した。また工具は超硬エンドミルを自作した。
図2から理解されるように、切削抵抗比Aはすくい角αの増加にともない減少する。したがって、切れ刃の軸方向距離(L)の変化に対応してすくい角αを連続的に適正に変化させることで、前述した切れ刃の軸方向距離(L)の各々において(1)式の逆数倍の切削抵抗にすることが実現できる。
実線で示す切削抵抗比Aの平均値は、下記(2)式で表される(すなわち、k=0.0245)。
切削抵抗比A =exp(−0.0245α)・・・(2)
そして、この(2)式を用いることで、上記すくい角αを正確に求めることができる。そして、この求めたすくい角αの刃先を全長(軸方向の全体)にわたって有する切削工具を製造することで、強制的なびびり振動の発生を防止することが可能となる。
(本実施形態における切削工具の設計方法の内容)
以下に、本実施形態における切削工具の設計方法を具体的に説明する。
表1に、実施例1および従来例における種々の条件をまとめて示す。
Figure 2013248727
実施例1では第2切れ刃のすくい角α2を5度、第1切れ刃のすくい角α1を、本発明を適用して求めた角度(*の部分)とした。なお、従来例では第1切れ刃のすくい角α1および第2切れ刃のすくい角α2をそれぞれ10度と一定値にした。また、表1中の実施例1でピッチ角度につき、110−70−110−70度と記載しているが、これは、(第1切れ刃のピッチ角度)−(第2切れ刃のピッチ角度)−(第1切れ刃のピッチ角度)−(第2切れ刃のピッチ角度)ということを表している。このことは、従来例の各ピッチ角度についても同様であり、また、すくい角およびリード角についても同様です。
その他の条件については、以下のようにした。即ち、軸方向切込み、径方向切込み、工具径(直径)、刃数、刃長、潤滑剤は、実施例1および従来例において全て同一であり、各々、5mm、2mm、10mm、4、30mm、ユシロ化学製EC50(5%)とした。また、工具回転数は、実施例1については5000rpmとし、従来例については2000rpmとした。送り速度は、従来例については150mm/minとし、実施例1については500mm/minとした。ピッチ角度については、従来例では、第1切れ刃のピッチ角度φ1を100度とし、第2切れ刃のピッチ角度φ2を80度とし、実施例1では第1切れ刃のピッチ角度φ1を110度とし、第2切れ刃のピッチ角度φ2を70度とした。リード角については、従来例では、第1切れ刃のリード角θ1を30度、第2切れ刃のリード角θ2を31度とし、実施例1では、第1切れ刃のリード角θ1を30度、第2切れ刃のリード角θ2を35度とした。被削材種は、従来例についてはS45C(JIS)とし、実施例1についてはA5052(JIS)とした。
(実施例1)
まず、実施例1のすくい角αの設計内容につき説明する。
実施例1の不等リード不等ピッチエンドミルでは、第2切れ刃のすくい角α2が5度であるので、第2切れ刃の切削抵抗比A2は、下記(3)式より、0.885となる。
切削抵抗比A2 =exp(−0.0245α2)・・・(3)
一方、工具の切れ刃先端(L=0)の位置における切削抵抗の比Bは、φ1=110度、φ2=70度、θ1=30度、θ2=35度および上記(1)式から、B=110/70=1.57倍となる。このため、第1切れ刃の切削抵抗比A1としては、逆に1/1.57≒0.64倍(=1/B)に低減させる必要がある。なお、切削抵抗の比Bの算出は、第2切れ刃の切削抵抗比A2の算出よりも先に行ってもよい。このことは、以下においても同様である。
以上のことから、第1切れ刃の切削抵抗比A1が0.885×0.64(=A2/B)=0.566となる、すくい角α1に第1切れ刃を設定することが必要であることがわかる。
そこで、第1切れ刃の切削抵抗比A1=0.566と下記(4)式とにより、第1切れ刃のすくい角α1を逆算して求めると、第1切れ刃の先端(L=0)の位置におけるすくい角α1は、23.1度となる。
切削抵抗比A1 =exp(−0.0245α1)・・・(4)
次に、L=10mmの場合について、前記同様に演算を行う。つまり、切削抵抗の比Bは、工具の直径(D)が10mmであり、φ1=110度、φ2=70度、θ1=30度、θ2=35度および(1)式から、2.23倍となるため、第1切れ刃の切削抵抗比A1としては、逆に1/2.23≒0.45倍に低減する必要がある。
このことから、第1切れ刃の切削抵抗比A1が0.885×0.45=0.398となる、すくい角α1に第1切れ刃を設定することが必要であることがわかる。
そこで、第1切れ刃の切削抵抗比A1=0.398と(4)式とにより、第1切れ刃のすくい角α1を逆算して求めると、第1切れ刃のL=10mmの位置におけるすくい角α1は、14.0度となる。
続いて、L=20mmの場合と、L=30mm(切れ刃後端)の場合とについて、前記同様に演算を行うことで、第1切れ刃のL=20mmの位置におけるすくい角α1は、8.6度となり、第1切れ刃のL=30mmの後端位置におけるすくい角α1は、5.0度となる。
最後に、L=0mm、10mm、20mm、30mmのときの各々の第1切れ刃のすくい角α1である23.1度、14.0度、8.6度、5.0度に基づいて補間を行うことで、刃長30mmの全長にわたって連続的に繋がった、第1切れ刃のすくい角の曲線α1’を有する切れ刃形状が設計される。なお、前記曲線α1’としては、連続的にかつ滑らかに繋がったものが好ましい。
なお、前記補間の演算としては、理論的に(4)式に示される指数関数で補間可能となる。
以上のようにして設計した切れ刃形状に基づいて製作した、実施例1に係る切削工具にあっては、各距離において第1切れ刃と第2切れ刃の切削抵抗を同一にすることが可能になり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる。
これに対し、従来例の不等リード不等ピッチエンドミルでは、すくい角αが先端からの距離Lに拘わらず一定の10度に設計されているので、自励振動は発生しなかったが、加工中に不等分割による加工振動が発生し、加工音が大きくなった。
この実施例1に係る切削工具を用いて加工を行う場合、更なる切込み量の増加等が可能になることに加え、高速加工や高効率加工などが可能となると考えられる。
(実施例2)
実施例1では、被削材種としてアルミニウム合金(具体的にはA5052(JIS))を用いた場合の切れ刃のすくい角αを求めたが、実施例2では、鋳鉄系材料について得られた、切削抵抗比Aとすくい角αとの関係を利用して、第1切れ刃のすくい角α1を求めるものである。
図4は、鋳鉄系材料の代表材種について切削実験を行って得られた線図である。この線図から分かるように、切削抵抗Aとすくい角αとの間には、以下の式(5)
切削抵抗比A=exp(−0.0122α)・・・(5)
が成立する(すなわち、k=0.0122)。なお、切削抵抗比Aは、切削加工中に測定された切削抵抗の接線方向の力と法線方向の力の合力について、すくい角が0度の時の値を基準とするものであり、図中の実線は実験により得られた切削抵抗の平均値を示す。
前記切削実験の実験条件は、表2に示す通りである。すなわち、工具回転数は2000rpmとし、送り速度は150mm/min、軸方向切込みは5mm、径方向切込みは2mm、工具径は10mm、刃数は4とした。また、実験では、ねじれ角が30度と50度の2種類のエンドミルにおいて実施し、ねじれ角の影響についても考慮した。被削材種としては、FCD−S、FCD400、FC300(JIS)を用い、潤滑剤はユシロ化学製EC50(5%)とした。切削抵抗の測定には、日本キスラー社製動力計(9263A)を使用した。また工具は超硬エンドミルを自作した。
Figure 2013248727
実験に用いた工具は、第2切れ刃のすくい角α2を10度とし、第1切れ刃のすくい角α1を、式(1)及び式(5)を適用して求めた角度(*の部分)とした。すなわち、工具の軸方向距離L=0,10,20,30の場所での切削抵抗の比Bを式(1)から導出し、式(5)を用いて第2切れ刃のすくい角α2(=10)から切削抵抗比A2を算出し、以下の式(6)
A2/B=exp(−0.0122α1)・・・(6)
を用いて第1切れ刃のすくい角α1を各Lに対して導出した。
実施例2に係る切削工具にあっては、軸方向の距離Lが異なる各部位において、第1切れ刃と第2切れ刃の切削抵抗を同一にすることが可能になり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる。
(実施例3)
実施例3では、被削材種としてステンレス系材料を用いた場合の、切削抵抗比Aとすくい角αとの関係を利用して、第1切れ刃のすくい角α1を求めるものである。ステンレス系材料としては、13Cr―3.8Ni、SUS630、15−5PH、SUS304(JIS)を用いた。
図5は、ステンレス系材料の代表材種について切削実験を行って得られた線図である。この線図から分かるように、切削抵抗Aとすくい角αとの間には、以下の式(7)
切削抵抗比A=exp(−0.0077α)・・・(7)
が成立する(すなわち、k=0.0077)。なお、切削抵抗比Aは、切削加工中に測定された切削抵抗の接線方向の力と法線方向の力の合力について、すくい角が0度の時の値を基準とするものであり、図中の実線は実験により得られた切削抵抗の平均値を示す。切削実験の実験条件は、実施例2で説明した切削実験のときの実験条件と同様である。
実験に用いた工具は、第2切れ刃のすくい角α2を10度とし、第1切れ刃のすくい角α1を、式(1)及び式(7)を適用して求めた角度(*の部分)とした。すなわち、工具の軸方向距離L=0,10,20,30の場所での切削抵抗の比Bを式(1)から導出し、式(7)を用いて第2切れ刃のすくい角α2(=10)から切削抵抗比A2を算出し、以下の式(8)
A2/B=exp(−0.0077α1)・・・(8)
を用いて第1切れ刃のすくい角α1を各Lに対して導出した。
実施例3に係る切削工具にあっては、軸方向の距離Lが異なる各部位において、第1切れ刃と第2切れ刃の切削抵抗を同一にすることが可能になり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる。
(実施例4)
実施例4では、被削材種として炭素鋼系材料を用いた場合の、切削抵抗比Aとすくい角αとの関係を利用して、第1切れ刃のすくい角α1を求めるものである。炭素鋼系材料としては、SCW480、SCM440、S45C、S25C、SACM645(JIS)を用いた。
図6は、炭素鋼系材料の代表材種について切削実験を行って得られた線図である。この線図から分かるように、切削抵抗Aとすくい角αとの間には、以下の式(9)
切削抵抗比A=exp(−0.0188α)・・・(9)
が成立する(すなわち、k=0.0188)。なお、切削抵抗比Aは、切削加工中に測定された切削抵抗の接線方向の力と法線方向の力の合力について、すくい角が0度の時の値を基準とするものであり、図中の実線は実験により得られた切削抵抗の平均値を示す。切削実験の実験条件は、実施例2で説明した切削実験のときの実験条件と同様である。
実験に用いた工具は、第2切れ刃のすくい角α2を10度とし、第1切れ刃のすくい角α1を、式(1)及び式(9)を適用して求めた角度(*の部分)とした。すなわち、工具の軸方向距離L=0,10,20,30の場所での切削抵抗の比Bを式(1)から導出し、式(9)を用いて第2切れ刃のすくい角α2(=10)から切削抵抗比A2を算出し、以下の式(10)
A2/B=exp(−0.0188α1)・・・(10)
を用いて第1切れ刃のすくい角α1を各Lに対して導出した。
実施例4に係る切削工具にあっては、軸方向の距離Lが異なる各部位において、第1切れ刃と第2切れ刃の切削抵抗を同一にすることが可能になり、強制的なびびり振動の発生を防止することができる。
なお、上述した特許文献1には、不等ピッチの切削工具において、ピッチ角度が大きければ大きいほど、すくい角も一義的に大きくすることが開示されている。しかし、この開示内容を不等ピッチ不等リードの切削工具に適用する場合は、周方向において前後する切れ刃の切削抵抗を等しくすることができない。より詳細には、図5に示す不等ピッチ不等リード切削工具において、軸方向の位置Cでは切れ刃121と122との間隔c1が切れ刃121と122との間隔c2よりも大きく、逆に位置Dでは切れ刃121と122との間隔d1が切れ刃121と122との間隔d2よりも小さくなり、軸方向の位置によって切れ刃の間隔が逆転するからである。
上述した実施形態では、第2切れ刃のすくい角α2を一定にし、第1切れ刃のすくい角α1を対象にして算出する例を説明しているが、本発明はこれに限らず、第2切れ刃のすくい角α2を変化させ、第1切れ刃のすくい角α1を対象にして算出するようにしても実施できることは勿論である。
また、上述した実施形態では、第2切れ刃のすくい角α2を一定にし、第1切れ刃のすくい角α1を対象にして算出する例を説明しているが、本発明はこれに限らず、第1切れ刃のすくい角α1を一定にしまたは変化させ、第2切れ刃のすくい角α2を対象にして算出する場合にも同様に適用することができる。

Claims (2)

  1. 周面に軸心を挟んで対称位置に各一対の第1切れ刃および第2切れ刃を有し、隣り合う第1切れ刃および第2切れ刃のそれぞれを回転方向に先行する切れ刃との間隔を異ならせた不等ピッチにして交互に配されるとともに、第1切れ刃及び第2切れ刃の前記軸心に対するリード角を異ならせた不等リードにして、各切れ刃が設けられた切削工具の設計方法であって、
    第1切れ刃のリード角をθ1、第2切れ刃のリード角をθ2、第1切れ刃のピッチ角度をφ1、第2切れ刃のピッチ角度をφ2、第2切れ刃のすくい角をα2、工具直径をDとし、前記軸心方向での切れ刃の先端から後端までの範囲内における複数の距離に対して、下記(1)式により、第2切れ刃の切削抵抗に対する第1切れ刃の切削抵抗の比Bをそれぞれ算出し、この切削抵抗の比Bの算出の前にまたは後に、下記(2)式により、第2切れ刃のすくい角α2のときの第2切れ刃の切削抵抗比A2を算出し、算出した切削抵抗比A2を前記切削抵抗の比Bのそれぞれで除算してその除算値A2/Bを求め、下記(3)式により、当該除算値A2/Bのときの、前記複数の距離のそれぞれにおける第1切れ刃のすくい角α1を求める工程と、
    B={L(tanθ2−tanθ1)+Dφ1π/360}
    /{L(tanθ1−tanθ2)+Dφ2π/360}・・・(1)
    但し、Lは軸心方向における切れ刃の先端からの距離である。
    A2=exp(−k・α2)・・・(2)
    A2/B=exp(−k・α1)・・・(3)
    但し、kは係数である。
    続いて、求めた全ての第1切れ刃のすくい角α1に基づいて、これら全てのすくい角α1が連続的に繋がる第1切れ刃のすくい角の曲線α1’を算出する工程と、を含むことを特徴とする切削工具の設計方法。
  2. 周面に軸心を挟んで対称位置に各1対の第1切れ刃および第2切れ刃が、隣り合う第1切れ刃および第2切れ刃のそれぞれを回転方向に先行する切れ刃との間隔を異ならせた不等ピッチにして交互に配されるとともに、第1切れ刃と第2切れ刃との前記軸心に対するリード角を異ならせた不等リードにして、各切れ刃が設けられた切削工具であって、請求項1に記載の切削工具の設計方法を用いて第1切れ刃のすくい角及び第2切れ刃のすくい角が設計されていることを特徴とする切削工具。
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