以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照しながら、本発明の一実施形態である燃料電池システムの構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態である燃料電池システムを搭載した燃料電池車両の構成を、上面視において模式的に示した図である。図1に示されるように、燃料電池車両1は、燃料電池システムを構成する燃料電池装置2と、燃料タンク3と、DC−DCコンバータ4と、インバータ5と、トラクションモーター6と、ラジエータ7を搭載している。
尚、以下の説明においては、特に断らない限り「前方」とは燃料電池車両1の前進方向(図1等においてFRとして示す方向)のことを示し、「後方」とは燃料電池車両1の後進方向のことを示す。また、「右側」とは燃料電池車両1の前進方向を向いた場合の右側のことを示し、「左側」とは燃料電池車両1の前進方向を向いた場合の左側のことを示す。
燃料電池装置2は、燃料電池車両1を走行させるための電力を発生させる装置であって、燃料電池車両1のフロアパネルの下方に配置されている。また、燃料電池装置2の一部(上部)は、運転席8と助手席9との間に形成されたセンタートンネルの内部に配置されている。
燃料電池装置2は、複数の燃料電池セル(単セル)を積層し電気的に直列接続してなる燃料電池スタックFSTを、燃料電池ケース200の内部に収納した構成となっている。単セルは、例えば高分子電解質型燃料電池であって、イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面に空気極を有し、他方の面に燃料極を有し、さらに空気極および燃料極を両側から挟み込むように一対のセパレータを有する構造となっている。この場合、一方のセパレータの水素ガス通路に水素ガスが供給され、他方のセパレータの酸化ガス通路に酸化ガスが供給され、これらの反応ガスが化学反応することで電力が発生する。
複数の単セルは、燃料電池車両1の左右方向に沿って積層されている。燃料電池ケース200のうち単セルの積層方向の一端部(燃料電池車両1の右側における端部)には、燃料ガス供給ポンプ等の補機類を内部に収納した補機ユニットAU(補機ケース)が接続固定されている。
燃料タンク3は、燃料電池装置2に供給する水素ガスを貯えておくためのタンクであって、燃料電池車両1の後方に配置されている。燃料タンク3から燃料電池装置2に供給される水素ガスの流量は、アクセル開度等によって定まる要求電力に応じて、図示しない制御装置及び流量調整弁等により制御されている。
DC−DCコンバータ4は、直流の電圧変換器であり、燃料電池装置2から入力された電力を、その直流電圧(燃料電池スタックFSTの出力電圧)を昇圧してからインバータ5に出力する機能を有する。本実施形態においては、DC−DCコンバータ4は、燃料電池車両1のフロアパネルの下方で、且つ運転席8と助手席9との間に形成されたセンタートンネルの内部に配置されている。DC−DCコンバータ4は、FDC容器400の内部に収納された状態で、燃料電池装置2の前方に配置されている。
フロアパネルの下方には、側面衝突時における車両の変形を抑制するための保護柱PLが、燃料電池車両1の左右方向に沿って配置されている。保護柱PLは、燃料電池車両1の右側側面近傍から中央に向かって延びる右側柱PL1と、燃料電池車両1の左側側面近傍から中央に向かって延びる左側柱PL2とを備えている。燃料電池車両1の中央付近においては、右側柱PL1の先端と左側柱PL2の先端とが対向しており、両者は離間した状態となっている。これは、後に説明するように燃料電池ケース200とDC−DCコンバータ4とを接続するための空間を確保するためである。右側柱PL1の先端と左側柱PL2の先端とは、燃料電池ケース200とDC−DCコンバータ4との接続部分の上方において、図示しない接続柱により接続されている。
フロアパネルの下方の空間は、保護柱PLが存在することにより、燃料電池車両1の前後方向に沿って連続して広い空間を確保することができない。このため、図1に示したように、燃料電池ケース200は保護柱PLよりも後方側に配置する一方で、DC−DCコンバータ4は当該保護柱PLよりも前方側に配置している。すなわち、燃料電池ケース200とDC−DCコンバータ4は、保護柱PLを挟んだ状態で、燃料電池車両1の前後方向に沿って並ぶように配置されている。
図1においては、燃料電池ケース200とDC−DCコンバータ4との位置関係を模式的に示す便宜のため、両者が離間したように描いている。しかし実際には、DC−DCコンバータ4は、フロアパネルの下方の空間のうち保護柱PLよりも下方となる位置において、燃料電池ケース200に対し締結固定されている。また、このように締結固定された部分において、両者は電気的にも接続された状態となっている。この具体的な締結固定方法や電気的な接続方法については、後に詳しく説明する。
インバータ5は、DC−DCコンバータ4から出力された直流電力を三相交流電力に変換し、トラクションモーター6に供給する機能を有する。インバータ5は、燃料電池装置2の出力電圧よりも大きい例えば650Vの入力電圧を受けて動作する仕様となっている。DC−DCコンバータ4は、燃料電池装置2とインバータ5との間に配置されることで、燃料電池装置2の出力電圧と、インバータ5が動作可能な入力電圧との差を埋める役割を果たしている。
トラクションモーター6は、インバータ5から出力される三相交流電力の供給を受け、燃料電池車両1を走行させるための駆動力を発生させる電磁モーターである。トラクションモーター6が発生させる駆動力は、図示しない制御装置がアクセル開度等に基づいて要求電力を算出し、かかる要求電力基づいて燃料電池装置2の出力電力及びインバータ5の出力電力を制御することにより調整される。
ラジエータ7は、燃料電池車両1に搭載された燃料電池装置2、DC−DCコンバータ4、トラクションモーター6等の冷却を行うための装置である。ラジエータ7は、冷却対象であるそれぞれの装置との間で、図1には図示しない配管を通じて冷媒を循環させるものである。燃料電池車両1のバンパフェイス部分に設けられた通風口10から導入した外気が、ラジエータ7を通過する冷媒から熱を奪うことにより、各装置の冷却が行われる。このため、ラジエータ7は車両の最前方に配置されている。
続いて、図2を参照しながら、燃料電池ケース200の具体的な形状について説明する。図2に示したように、燃料電池ケース200は略直方形状のケースであって、その長手方向が燃料電池車両1の左右方向に沿うように配置されている。燃料電池ケース200の内部には、複数の単セルが燃料電池車両1の左右方向に沿って積層された状態で収納されている。
燃料電池ケース200の側面に接続固定された補機ユニットAUは、燃料電池車両1の側面から見た場合において燃料電池ケース200と略同一の外形を有している。このため、燃料電池ケース200と補機ユニットAUとは、両者で一つの略直方形状をなしているということができる。
燃料電池ケース200のうち前方側の端部近傍には、燃料電池ケース200の上面よりも低い位置において水平なFC側シール面203が形成されている。FC側シール面203には、長辺が燃料電池車両1の左右方向に沿うように形成された略長方形状の貫通孔204が形成されている。燃料電池装置2が発電した電力をDC−DCコンバータ4に向けて出力するための端子である二つのバスバー(FC出力バスバー201、202)が、燃料電池車両1の左右方向に並ぶように配置されており、これらは貫通孔204から上方に向けて突出している。FC出力バスバー201、202の先端且つ中央寄りの部分には、それぞれ締結用ボルト穴220、221が形成されている。
燃料電池ケース200の上方部分であって、燃料電池車両1の左右方向における中央部分(換言すれば、燃料電池ケース200と補機ユニットAUとを含めた略直方形状の中央部分)には、安全装置であるサービスプラグSPが配置されている。サービスプラグSPは、引き抜きプラグSPPを有しており、作業者が把持部SPGを掴んで引き抜きプラグSPPを上方に引き抜くと、燃料電池装置2とFC出力バスバー201、202とが電気的に遮断された状態とすることができる。サービスプラグSPは、燃料電池ケース200の上方に向けて突出しており、その一部が燃料電池車両1のセンタートンネルの内部空間に配置されている。
サービスプラグSPとFC出力バスバー201、202とは、図2においては図示しない内部出力バスバーOB1、OB2によりそれぞれ接続されている。当該内部出力バスバーOB1、OB2は、燃料電池ケース200の外部に露出することのないよう、FCバスバーケース205の内部に収納されている。
FCバスバーケース205は、燃料電池ケース200の上面から前方側側面に亘るように配置されており、サービスプラグSPと燃料電池ケースとの間に配置される第一水平部205aと、第一水平部205aの前方側端部から下方に向けて延びる垂直部205bと、垂直部205bの下端から前方側に向けて延びる第二水平部205cとを有している。第一水平部205a、垂直部205b、及び第二水平部205cは、いずれも内部に空間が形成されており、互いに連通している。
尚、FCバスバーケース205のうち垂直部205bの内部の空間には、内部出力バスバーOB1、OB2の他、サービスプラグSPと燃料電池装置2とを接続するためのバスバーも配置されている。サービスプラグSPと他の構成機器(DC−DCコンバータ4や第一リレーRL1等)との電気的な接続や各バスバーの配置等については、後に詳しく説明する。
左右方向に沿った垂直部205bの幅は、第一水平部205aの幅よりも広く、燃料電池ケース200全体の幅よりも狭い。また、垂直部205bの左側側面及び左側側面は、いずれも上端部が中央側に向かうように僅かに傾斜している。このため、左右方向に沿った垂直部205bの長さ(幅)は、上方から下方に行くに従って徐々に長くなっている。
垂直部205bの前方側側面は、燃料電池車両1の前後方向に対して垂直となっている。図2に示したように、垂直部205bが配置されることによって、燃料電池ケース200の前方側側面の一部が前方に向けて突出した状態となっている。
第二水平部205cは、先述のFC側シール面203及び貫通孔204がその上面に形成されている。貫通孔204から上方に突出するFC出力バスバー201、202は、第二水平部205cの内部空間内において、サービスプラグSPから延びる内部出力バスバーOB1、OB2とそれぞれ接続されている。
第二水平部205cの前方側側面には、第二水平部205cの内部空間に通じるサービスホールが形成されており、サービスカバー206が当該サービスホールを塞いでいる。サービスホールは、第二水平部205cの内部において、FC出力バスバー201等を内部出力バスバーOB1等に締結固定する作業を行うために形成された開口である。
サービスカバー206は、ボルトBT1、BT2により第二水平部205cに対して固定されている。このため、第二水平部205cの前方側側面からは、ボルトBT1、BT2が前方側に向かって突出している。
燃料電池ケース200には、第二水平部205cを左右両側から挟むように締結ベース207、208が形成されている。締結ベース207は、第二水平部205cの右側に位置しており、FC側シール面203と同一の高さにおいて水平な締結面209を有している。締結面209には、内部が雌螺子加工された二か所のボルト挿入穴210a、210cが形成されている。また、締結面209のうちボルト挿入穴210aの後方側には、シャフト211の下端が固定されている。シャフト211は円柱形状の金属製シャフトであって、その中心軸が鉛直方向に沿うように、締結面209に対し垂直に固定されている。
シャフト211は、ボルト挿入穴210aの後方側に設ける代わりに、ボルト挿入穴210cの前方側に設けてもよい。すなわち、シャフト211の下端とボルト挿入穴210cとが燃料電池車両1の前後方向に沿う列を成すように、シャフト211を配置してもよい。
締結ベース207のうちボルト挿入穴210aが形成されている部分の左側側面と、第二水平部205cの右側側面とは離間しており、両者の間には隙間212が形成されている。
締結ベース208は、第二水平部205cの左側に位置しており、FC側シール面203と同一の高さにおいて水平な締結面213を有している。締結面213には、内部が雌螺子加工された二か所のボルト挿入穴214a、214cが形成されている。また、締結面213のうちボルト挿入穴214aの後方側には、シャフト215の下端が固定されている。シャフト215は円柱形状の金属製シャフトであって、その中心軸が鉛直方向に沿うように、締結面213に対し垂直に固定されている。シャフト215の長さは、シャフト211の長さと同一である。
シャフト215は、ボルト挿入穴214aの後方側に設ける代わりに、ボルト挿入穴214cの前方側に設けてもよい。すなわち、シャフト215の下端とボルト挿入穴214cとが燃料電池車両1の前後方向に沿う列を成すように、シャフト215を配置してもよい。
締結ベース208のうちボルト挿入穴214aが形成されている部分の右側側面と、第二水平部205cの左側側面とは離間しており、両者の間には隙間216が形成されている。
燃料電池ケース200の前方側側面には、2枚のFC側リブ217、218が、前方に向けて突出するように形成されている。FC側リブ217、218は互いに平行で且つ対向配置された薄板であって、締結ベース207及び締結ベース208を、その間に挟むような位置に形成されている。すなわち、FC側リブ217は締結ベース207よりも右側となる位置に形成されており、FC側リブ218は締結ベース208よりも左側となる位置に形成されている。
燃料電池ケース200の前方側は、図2に示したように階段状に形成されており、上面よりも低い位置において水平面FL1、FL2を有している。水平面FL1は燃料電池ケース200の前方側のうち右側に形成されており、その上部は右側柱PL1を配置するための空間となっている。右側柱PL1は、水平面FL1の上方において燃料電池車両1の右側から中央に向かって延び、その先端はFC側リブ217の近傍に位置している。
水平面FL2は燃料電池ケース200の前方側のうち左側に形成されており、その上部は左側柱PL2を配置するための空間となっている。左側柱PL2は、水平面FL2の上方において燃料電池車両1の左側から中央に向かって延び、その先端はFC側リブ218の近傍に位置している。
続いて、図3を参照しながら、DC−DCコンバータ4の具体的な形状について説明する。図3はDC−DCコンバータ4の外観示した斜視図である。
DC−DCコンバータ4は、複数のリアクトル(コイル)やスイッチング回路、コンデンサ等を備えた直流の電圧変換器であって、これらをFDCケース401及びFDCカバー402により構成されたFDC容器400の内部に収納している。FDCケース401は、その上部が開口しており、DC−DCコンバータ4の構成要素を下方から支えるケースである。FDCケース401の上端部には、水平な上部シール面が形成されている。FDCカバー402は、FDCケース401の上部の開口部を覆う蓋であって、その下端部がFDCケース401の上部シール面に当接した状態で、FDCケース401に締結固定されている。
FDCケース401の上端部且つ後方側には、後方に向かって水平に突出するような板状のFDCフランジ403が形成されている。後に説明するように、FDCフランジ403は、DC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定する際において、燃料電池ケース200の締結面209、213に対し上方から重ねられて締結固定される部分である。
FDCフランジ403には、上下方向に貫通する4つのボルト用貫通穴410a、410c、414a、414cが形成されている。これらのボルト用貫通穴410a、410c、414a、414cは、DC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定した状態において、それぞれボルト挿入穴210a、210c、214a、214cと上面視で同一の位置に形成されている。以上の説明で明らかなように、DC−DCコンバータ4と燃料電池ケース200とは、ボルト挿入穴210a等とボルト用貫通穴410a等とを重ねた上で、これらに上方からボルトを挿入し締結することによって互いに固定される。
FDCフランジ403のうち、ボルト用貫通穴410aの後方側には、シャフト用貫通穴411が形成されている。同様に、FDCフランジ403のうち、ボルト用貫通穴414aの後方側には、シャフト用貫通穴415が形成されている。これらのシャフト用貫通穴411、415は、DC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定した状態において、それぞれシャフト211、215と上面視で同一の位置に形成されている。
FDCフランジ403のうち左右方向の中央部には、長軸が燃料電池車両1の左右方向に沿うように形成された略長方形状の貫通穴420が形成されている。貫通穴420は、燃料電池ケース200の貫通孔204と略同一の形状となるように形成されている。また、貫通穴420は、DC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定した状態において、上面視で貫通孔204と同一の位置に形成されている。
貫通穴420の内側においては、燃料電池装置2が発電した電力を受け入れるための端子である二つのバスバー(FDC入力バスバー425、426)が、燃料電池車両1の左右方向に並ぶように配置されている。FDC入力バスバー425、426は、それぞれFC出力バスバー201、202と電気的に接続されるものであって、FDC容器400の内側から後方側に向かって、水平に突出するように配置されている。FDC入力バスバー425、426は、DC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定した状態において、それぞれFC出力バスバー201、202と上面視で重なる位置に配置されている。FDC入力バスバー425、426の先端且つ中央寄りの部分には、それぞれ締結用ボルト穴427、428が形成されている。
DC−DCコンバータ4には図示しないFDC冷却装置が設けられており、FDC入力バスバー425、426の温度の上昇が抑制されている。このようなFDC冷却装置としては、例えば、FDC入力バスバー425、426の近傍に配置された冷却水路内に水を循環させる水冷方式のもの等が用いられる。
FDCカバー402は、その一部が後方に向かって延出し、FDCフランジ403の一部を上方から覆っている。FDCカバー402のうち、FDCフランジ403に形成された貫通穴420の上方となる位置には、貫通穴430が形成されている。貫通穴430は、FC出力バスバー201とFDC入力バスバー425との締結作業、及び、FC出力バスバー202とFDC入力バスバー426との締結作業を上方から行うために形成されている。これらの締結作業が完了した後には、貫通穴430を覆うように保護カバー440が取り付けられる。保護カバー440は、FC出力バスバー202等に対するアクセスを制限するためのものであって、その左右方向の両端において、FDC容器400に対しボルトにより締結固定される。
FDCフランジ403の下方には、2枚のFDC側リブ460、461が形成されており、FDCフランジ403を下方から支えている。FDC側リブ460は、車両の左右方向に対して垂直な板状に形成されており、その上部側がFDCフランジ403の下面のうち右側の部分に接続され、その前方側がFDCケース401の後部側側面に接続されている。FDC側リブ460の厚さ(左右方向の幅)は、締結ベース207に形成された隙間212の幅よりも僅かに狭い。DC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定した状態においては、FDC側リブ460は、隙間212の内部に挿入された状態となる。
FDC側リブ461は、車両の左右方向に対して垂直な板状に形成されており、その上部側がFDCフランジ403の下面のうち左側の部分に接続され、その前方側がFDCケース401の後部側側面に接続されている。FDC側リブ461の厚さ(左右方向の幅)は、締結ベース208に形成された隙間216の幅よりも僅かに狭い。DC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定した状態においては、FDC側リブ461は、隙間216の内部に挿入された状態となる。
次に、燃料電池車両1のフロアパネルの下方に燃料電池ケース200及びDC−DCコンバータ4を配置し、両者を締結固定する手順について説明する。DC−DCコンバータ4を配置するよりも前に、先ず燃料電池ケース200をフロアパネルの下方の所定位置に配置し固定する。燃料電池ケース200は、FC側シール面203を前方側に向けた状態で配置され、フロアパネルの下方において車体フレーム等に対し締結固定される。このときの燃料電池ケース200の位置は、燃料電池車両1の左右方向に沿って配置されている保護柱PLが、水平面FL1、FL2の鉛直上方に存在するような位置となっている。
燃料電池ケース200を所定位置に固定した後、DC−DCコンバータ4を配置する。DC−DCコンバータ4は、FDCフランジ403を燃料電池ケース200側(後方側)に向けた上で、FDCフランジ403を上方から締結ベース207、208、及びFC側シール面203に被せるように配置される。
具体的には、まず、FDCフランジ403の後方側端部を、垂直部205bの上端部近傍に対して近づける。その後、DC−DCコンバータ4を徐々に下し、FDCフランジ403を締結ベース207、208に近づけていく。その過程で、シャフト211がシャフト用貫通穴411に挿通され、シャフト215がシャフト用貫通穴415に挿通される。
シャフト211がシャフト用貫通穴411に挿通され、シャフト215がシャフト用貫通穴415に挿通された後は、FDC−DCコンバータ4がシャフト211、215に導かれて位置合わせされながら、燃料電池ケース200の締結ベース207、208に近づいて行く。
更に、FDC側リブ460が締結ベース207に形成された隙間212に侵入し、FDC側リブ461が締結ベース208に形成された隙間216に侵入する。このため、DC−DCコンバータ4は、隙間212、216によっても所定の位置(燃料電池ケース200に対して締結固定される位置)に導かれる。
このように、DC−DCコンバータ4は、シャフト211、215、及び隙間212、216によって導かれながら下降していき、最終的には、FDCフランジ403の下面が締結ベース207の締結面209、及び締結ベース208の締結面213に当接した状態となる。この状態においては、FDCフランジ403に形成されたボルト用貫通穴410a、410cの位置は、上面視で、締結ベース207に形成されたボルト挿入穴210a、210cの位置とそれぞれ一致している
同様に、FDCフランジ403に形成されたボルト用貫通穴414a、414cの位置は、上面視で、締結ベース208に形成されたボルト挿入穴214a、214cの位置とそれぞれ一致している。
また、FDC入力バスバー425は、その下面がFC出力バスバー201の上面に接触した状態となっており、締結用ボルト穴427と締結用ボルト穴220との位置が上面視で一致している。同様に、FDC入力バスバー426は、その下面がFC出力バスバー202の上面に接触した状態となっており、締結用ボルト穴428と締結用ボルト穴221との位置が上面視で一致している。この状態で、締結用ボルト穴427、428に対してそれぞれボルトを挿入し締結する。その結果、FDC入力バスバー425とFC出力バスバー201が電気的に接続され、FDC入力バスバー426とFC出力バスバー202が電気的に接続される。当該接続作業を行った後、貫通穴430を覆うように保護カバー440を取り付けて、FDCカバー402に対し締結固定する。以上のような手順によってDC−DCコンバータ4を燃料電池ケース200に締結固定した後の状態を、上面図により図4に示した。
次に、燃料電池ケース200の内部構成、特に、燃料電池ケース200の内部に配置された各種構成機器(DC−DCコンバータ4や第一リレーRL1等)の電気的な接続等について、図5を参照しながら説明する。図5は、燃料電池車両1に搭載された燃料電池システムにおける、電気的な構成を模式的に示した図である。図5に示したように、燃料電池ケース200の内部に収納された燃料電池スタックFSTは、その積層方向における両端部に配置された第一集電部ET1及び第二集電部ET2によって挟まれている。第一集電部ET1及び第二集電部ET2は、いずれも燃料電池スタックFSTの断面形状と略同一の形状に形成された金属板である。
第一集電部ET1は、燃料電池スタックFSTのうち右側の端面に沿って配置され、右側端部に位置する単セルのカソード極と接続されている。第二集電部ET2は、燃料電池スタックFSTのうち左側の端面に沿って配置され、左側端部に位置する単セルのアノード極と接続されている。すなわち、第一集電部ET1及び第二集電部ET2は、燃料電池スタックFSTから電力を取り出すための、一対の電極端子として機能するものである。
第一集電部ET1及び第二集電部ET2においては、燃料電池スタックFSTからの大電流が流れた際にジュール熱が発生する。このため、第一集電部ET1及び第二集電部ET2にはそれぞれ図示しない冷却装置が設けられており、その温度の上昇が抑制されている。このような冷却装置としては、例えば、第一集電部ET1及び第二集電部ET2それぞれの面に沿って配置された冷却水路内に水を循環させる水冷方式のもの等が用いられる。
燃料電池ケース200の内部であり、且つ燃料電池スタックFSTの前方側には、第一リレーRL1及び第二リレーRL2が配置されている。第一リレーRL1及び第二リレーRL2は、DC−DCコンバータ4よりも左側(DC−DCコンバータ4を挟んで補機ユニットAUとは反対側)となる位置において、左右方向に沿って互いに隣り合うように配置されており、いずれも燃料電池ケース200に対して固定されている。後に説明するように、第一リレーRL1及び第二リレーRL2は、燃料電池スタックFSTが発電した電力を取り出すための電流経路において、最も上流側となる位置に配置されるものである。
第一リレーRL1は、第二リレーRL2よりも中央寄りとなる位置に配置されており、左右方向に沿って並ぶ二つの端子(端子RT1a、RT1b)を有している。第一リレーRL1は図示しない制御装置によってその開閉動作を制御され、閉状態においては端子RT1aと端子RT1bとが電気的に接続された状態となり、開状態においては端子RT1aと端子RT1bとの間が電気的に遮断された状態となる。端子RT1aは、冷却バスバーCB1により第一集電部ET1と接続されている。
第二リレーRL2は、第一リレーRL1の左側に配置されており、左右方向に沿って並ぶ二つの端子(端子RT2a、RT2b)を有している。第二リレーRL2は図示しない制御装置によってその開閉動作を制御され、閉状態においては端子RT2aと端子RT2bとが電気的に接続された状態となり、開状態においては端子RT2aと端子RT2bとの間が電気的に遮断された状態となる。端子RT2bは、冷却バスバーCB2により第二集電部ET2と接続されている。
第一リレーRL1及び第二リレーRL2は、燃料電池車両1の左右方向における略中央に配置されたDC−DCコンバータ4よりも左側に配置されている。このため、図5からも明らかなように、第一リレーRL1と第一集電部ET1との距離は、第二リレーRL2と第二集電部ET2との距離よりも長い。その結果、第一リレーRL1と第一集電部ET1とを繋ぐ冷却バスバーCB1は、電流の流れる方向に沿った長さにおいて、第二リレーRL2と第二集電部ET2とを繋ぐ冷却バスバーCB2よりも長くなっている。
燃料電池スタックFSTの上方に配置されたサービスプラグSPは、前後方向に沿って一列に並ぶ4つの端子ST1、ST2、ST3、ST4を有している。引き抜きプラグSPPが引き抜かれていない状態においては、引き抜きプラグSPPの内部に配置された接続バスバーIB1によって、互いに隣り合う端子ST1と端子ST2とが結線された状態となっている。また、引き抜きプラグSPPの内部に配置された接続バスバーIB2によって、互いに隣り合う端子ST3と端子ST4とが結線された状態となっている。
作業者が把持部SPGを掴んで引き抜きプラグSPPを上方に引き抜くと、接続バスバーIB1及び接続バスバーIB2が取り外された状態となるため、端子ST1と端子ST2の間が開放(電気的に遮断)され、同時に、端子ST3と端子ST4の間も開放(電気的に遮断)される。
換言すれば、サービスプラグSPは、端子ST1、端子ST2、及び接続バスバーIB1を有する第一のサービスプラグSP1と、端子ST3、端子ST4、及び接続バスバーIB2を有する第二のサービスプラグSP2とからなっており、これら二つのサービスプラグSP1、SP2が、前後方向に並んだ状態で一体形成されたものということができる。
サービスプラグSP1の端子ST1は、放熱バスバーAB1により第一リレーRL1の端子RT1bと接続されている。また、サービスプラグSP2の端子ST4は、放熱バスバーAB2により第二リレーRL2の端子RT2aと接続されている。端子ST1は端子ST4よりも後方側に配置されているため、放熱バスバーAB1は、電流の流れる方向に沿った長さにおいて放熱バスバーAB2よりも長い。
サービスプラグSP1の端子ST2は、内部出力バスバーOB1及びFC出力バスバー201により、DC−DCコンバータ4のFDC入力バスバー425と接続されている。また、サービスプラグSP1の端子ST3は、内部出力バスバーOB2及びFC出力バスバー202により、DC−DCコンバータ4のFDC入力バスバー426と接続されている。
次に、燃料電池ケース200の内部における発熱について説明する。燃料電池スタックFSTが発電した電力をDC−DCコンバータ4に供給(出力)している状態においては、燃料電池スタックFSTにおいて発電熱が発生する。これに加えて、第一リレーRL1、第二リレーRL2、サービスプラグSP1、サービスプラグSP2を大きな電流が流れるため、これら構成機器においてジュール熱が発生する。
既に説明したように、第一集電部ET1及び第二集電部ET2には、それぞれ図示しない冷却装置が設けられている。燃料電池スタックFSTの発電熱量は大きく、また、冷却対象である第一集電部ET1、第二集電部ET2は表面積が大きい為、当該冷却装置の冷却性能は比較的高い。
第二リレーRL2は、このように高い冷却性能の冷却装置で冷却される第二集電部ET2に対し、冷却バスバーCB2によって接続されている。このため、第二リレーRL2は冷却バスバーCB2を介した伝熱によって冷却される。また、第一リレーRL1は、高い冷却性能の冷却装置で冷却される第一集電部ET1に対し、冷却バスバーCB1によって接続されている。このため、第一リレーRL1は冷却バスバーCB1を介した伝熱によって冷却される。
ここで、冷却バスバーCB1は、電流の流れる方向に沿った長さにおいて冷却バスバーCB2よりも長い。このため、冷却バスバーCB1の熱抵抗は、冷却バスバーCB2の熱抵抗よりも高くなっており、第一リレーRL1の温度は、第二リレーRL2の温度よりも上昇する傾向がある。その結果、放熱バスバーAB1を介した熱伝達によって、サービスプラグSP1の温度が過度に上昇してしまうことが考えられる。
しかし、本実施形態では、放熱バスバーAB1が、電流の流れる方向に沿った長さにおいて放熱バスバーAB2よりも長くなるように形成されている。このような構成によって、第一リレーRL1から放熱バスバーAB1に伝達された熱のうち、大部分はサービスプラグSP1に到達する前に周囲の空間に放散することとなる。その結果、サービスプラグSP1の温度上昇が抑制される。このように本実施形態では、冷却バスバーCB1と冷却バスバーCB2との長さが異なっていても、放熱バスバーAB1や放熱バスバーAB2の長さを調整するという簡単な構成により、第一リレーRL1、第二リレーRL2、サービスプラグSP1、及びサービスプラグSP2の温度が過度に上昇してしまうことを防止している。
また、サービスプラグSP1において、端子ST1は、端子ST2よりも後方側に配置されている。すなわち、サービスプラグSP1と放熱バスバーAB1との接続箇所は、サービスプラグSP1と内部出力バスバーOB1との接続箇所よりも、DC−DCコンバータ4からみて遠方側(後方側)となる位置に配置されている。
このような構成とすることで、放熱バスバーAB1がより長くなるため、第一リレーRL1からの伝熱によってサービスプラグSP1の温度が上昇することが更に抑制されている。また、内部出力バスバーOB1がより短くなるため、FDC冷却装置と内部出力バスバーOB1とによってサービスプラグSP1を効率的に冷却することが可能となっている。
続いて、図6を参照し、燃料電池ケース200の内部における具体的な構成を説明する。図6は、燃料電池ケース200の内部構成の一部を示した図であって、第一集電部ET1、第二集電部ET2、第一リレーRL1、第二リレーRL2、サービスプラグSP、及びこれらを接続する各種バスバー(放熱バスバーAB1等)を示している。一方、第一集電部ET1と第二集電部ET2との間に配置される燃料電池スタックFSTについては、図示を省略している。
既に説明したように、サービスプラグSPには、放熱バスバーAB1、AB2、内部出力バスバーOB1、OB2という4本のバスバーが接続されている。これら4本のバスバーは、サービスプラグSPの下端から前方側に向けて延びており、FCバスバーケース205の内部に配置されている。
FCバスバーケース205のうち第一水平部205aの内部において、これら4本のバスバーは、上下方向に2本ずつ重なった状態で、上面視で2列となってサービスプラグSPから前方に向かうよう配置されている。具体的には、内部出力バスバーOB1と内部出力バスバーOB2とが同一の高さとなる位置に配置されており、これらが左右方向に離間した状態で互いに平行となっている。また、内部出力バスバーOB1の下方には放熱バスバーAB1が配置され、内部出力バスバーOB2の下方には放熱バスバーAB2が配置されている。放熱バスバーAB1と放熱バスバーAB2とは同一の高さとなる位置に配置されており、これらが左右方向に離間した状態で互いに平行となっている。
放熱バスバーAB1、AB2、内部出力バスバーOB1、OB2は、いずれも第一水平部205aの前方側端部の近傍において折り曲げられており、垂直部205bの内部を下方に向かって延びるように配置されている。
放熱バスバーAB1は、垂直部205bの高さ方向における略中央部分で湾曲しており、当該部分から下方の部分が内部出力バスバーOB1の右側に位置している。その結果、放熱バスバーAB1の下端部近傍においては、放熱バスバーAB1と内部出力バスバーOB1とは互いに平行になっており、左右方向に離間している。
同様に、放熱バスバーAB2は、垂直部205bの高さ方向における略中央部分で湾曲しており、当該部分から下方の部分が内部出力バスバーOB2の左側に位置している。その結果、放熱バスバーAB2の下端部近傍においては、放熱バスバーAB2と内部出力バスバーOB2とは互いに平行になっており、左右方向に離間している。
その結果、垂直部205bの下端部近傍から第二水平部205cの内部空間においては、放熱バスバーAB1、AB2、内部出力バスバーOB1、OB2が左右方向に沿って一列となっている。放熱バスバーAB1、AB2、内部出力バスバーOB1、OB2の下端部は、いずれも第二水平部205cの内部に設置された端子台TBLに接続されている。
端子台TBLは、第二水平部205cの内部において左右方向に沿って配置されている。端子台TBLにおいて、内部出力バスバーOB1とFC出力バスバー201とがボルト締結により互いに接続されている。同様に、内部出力バスバーOB2とFC出力バスバー202とがボルト締結により互いに接続されている。
また、放熱バスバーAB1は、第一水平部205a及び垂直部205bの内部に配置される部分である放熱バスバーAB1aと、第二水平部205cの内部に配置される部分である放熱バスバーAB1b(図示省略)という二つのバスバーにより構成されており、端子台TBLにおいて放熱バスバーAB1aと放熱バスバーAB1bとがボルト締結により互いに接続されている。
同様に、放熱バスバーAB2は、第一水平部205a及び垂直部205bの内部に配置される部分である放熱バスバーAB2aと、第二水平部205cの内部に配置される部分である放熱バスバーAB2b(図示省略)という二つのバスバーにより構成されており、端子台TBLにおいて放熱バスバーAB2aと放熱バスバーAB2bとがボルト締結により互いに接続されている。
これまでの説明及び図5から明らかなように、放熱バスバーAB1bは、端子台TBLにおいて放熱バスバーAB1aと接続され、放熱バスバーAB1aの下端と第一リレーRL1の端子RT1bとを接続するものである。また、放熱バスバーAB2bは、端子台TBLにおいて放熱バスバーAB2aと接続され、放熱バスバーAB2aの下端と第二リレーRL2の端子RT2aとを接続するものである。尚、図6においては、煩雑さを避けるためにこれら放熱バスバーAB1b、AB2bの図示を省略している。
第一集電部ET1はその前方側の一部が屈曲しており、水平なバスバー締結部FB1が形成されている。冷却バスバーCB1は、端子台TBLの下方を左右方向に沿うように配置されており、その一端がバスバー締結部FB1に接続され、他端が第一リレーRL1の端子RT1aに接続されている。
第二集電部ET2はその前方側の一部が屈曲しており、水平なバスバー締結部FB2が形成されている。冷却バスバーCB2は、その一端がバスバー締結部FB2に接続され、他端が第二リレーRL2の端子RT2bに接続されている。
冷却バスバーCB1、CB2は、第一集電部ET1、ET2に設けられた冷却装置の冷却性能を有効に利用するために、他のバスバー(放熱バスバーAB1等)よりも板厚が厚くなるように形成されている。
次に、燃料電池ケース200の内部における第一リレーRL1の固定方法について説明する。尚、第二リレーRL2の固定方法については、第一リレーRL1と同様であるために説明を省略する。
第一リレーRL1及び第二リレーRL2は、いずれも燃料電池スタックFSTの前方側であって、端子台TBLの左側となる位置に配置されている。すなわち、燃料電池ケース200の内部のうち水平面FL2の下方となる位置(図2を参照)に配置されている。
図7(A)は、本実施形態とは異なる従来の形態を有するリレーを配置して固定した状態を、本実施形態と比較するために示したものである。図7(A)に示したように、従来の(一般的な)リレーは、バスバーや可動接点等を内部に収納する本体部RMと、リレーを他の構成機器に締結固定するためのフランジ部FMとを有しており、本体部RMの一端(上端)にフランジ部FMが形成されている。
燃料電池ケース200に対するリレーの固定は、フランジ部FMに下方から挿通させたボルトBT3,BT4を、水平面FL2の下方から突出形成されたボスBSに対して締結することにより行われる。ここで、水平面FL2の上方には左側柱PL2が配置されているため、燃料電池ケース200のうち左側柱PL2の下方の部分は、高さ方向の寸法を大きくすることができないという制約がある。かかる制約を考慮すれば、図7(A)に示したようにフランジ部FMを水平面FL2に近づける必要がある。しかし、その場合、ボルトBT3,BT4の上端位置が水平面FL2よりも高くなることとなり、左側柱PL2の下面にも雌螺子加工を施す必要が生じるために現実的ではない。
このため、本実施形態に係る第一リレーRL1は、図7(B)に示したように、本体部RMの一端(上端)ではなく高さ方向の略中央となる位置に、フランジ部FMを形成している。このような構成とすることにより、本体部RMの位置については図7(A)に示した従来のリレーと略同一としながらも、フランジ部FMの位置は水平面FL2から遠い位置とすることができる。その結果、ボルトBT3,BT4の上端位置は水平面FL2よりも下方となるため、左側柱PL2の下面に雌螺子加工を施す必要は無い。
図7(B)に示したように、燃料電池ケース200のうち第一リレーRL1が配置されている部分の近傍には、放熱フィンFIが形成されている。放熱フィンFIにより、燃料電池ケース200の壁面の温度や、第一リレーRL1の周囲における気温を下げることができるため、第一リレーRL1やサービスプラグSP1の温度が上昇することが抑制されている。尚、放熱フィンFIは、図7(B)のように燃料電池ケース200の壁面の外側に形成することに限られず、壁面の内側に形成してもよい。また、内側と外側との両方に形成してもよい。
図8及び図9を参照しながら、燃料電池システムの起動時等において行われる、リレーの開閉動作等について説明する。図8は、本実施形態に係る燃料電池システム全体の電気的な構成を模式的に示しており、図9は、DC−DCコンバータ4の内部における回路を模式的に示している。
これまでに説明したように、燃料電池スタックFSTとDC−DCコンバータ4とが接続されており、両者の間には第一リレーRL1、第二リレーRL2、サービスプラグSP1、サービスプラグSP2が配置されている。図8では、燃料電池ケース200の内部に収納される構成要素を点線で囲んでいる。
DC−DCコンバータ4の出力端子は、負荷Mに接続されている。燃料電池スタックFSTが発電した電力は、その直流電圧がDC−DCコンバータ4よって昇圧された後、DC−DCコンバータ4の出力端子から負荷Mに供給される。尚、図8における負荷Mは、図1に示したトラクションモーター6と、インバータ5とを総合的に示すものである。
また、DC−DCコンバータ4の出力端子には、負荷Mと並列に、パワーコントロールユニットPCUが接続されている。パワーコントロールユニットPCUは、DC−DCコンバータ4の出力電力を受けて、第一リレーRL1等を動作させるために必要な12Vの直流電力に変換するための装置である。
更に、DC−DCコンバータ4の出力端子には、DC−DCコンバータ4aを介してバッテリ装置BATが接続されている。バッテリ装置BATは、燃料電池スタックFSTが発電した余剰の電力やトラクションモーター6からの回生電力を蓄えたり、燃料電池スタックFSTの発電電力が不足した場合においてこれを補う電力を共有したりするために備えられた蓄電装置である。DC−DCコンバータ4aは、DC−DCコンバータ4の出力端子とバッテリ装置BATとの間に配置されており、バッテリ装置BATの蓄電や放電の制御を行う装置である。
バッテリ装置BATとDC−DCコンバータ4aとの間には、リレーRL3、RL4を備えている。リレーRL3、RL4は、燃料電池システムの停止時においてバッテリ装置BATとDC−DCコンバータ4aとの間の電流経路を開放(遮断)し、バッテリ装置BATの放電を抑制すること等を目的として備えられている。
尚、リレーRL3、RL4を閉じることによりバッテリ装置BATとDC−DCコンバータ4aとを接続した際、リレーRL3、RL4に大電流が流れてしまい、リレーRL3、RL4の接点が溶着してしまう可能性がある。このような現象は、DC−DCコンバータ4a内のコンデンサが充電されていない状態で、リレーRL3、RL4を閉じた場合に発生する。
本実施形態ではこれを防止するために、リレーRL3と並列にプリチャージ回路PCCを設けている。プリチャージ回路PCCは、リレーRL5と抵抗R1とが直列接続されているものである。リレーRL3を閉じる前にリレーRL5を閉じ、DC−DCコンバータ4a内のコンデンサを充電した後でリレーRL3を閉じることにより、リレーRL3、RL4の接点が溶着してしまうことを防止することができる。
燃料電池システムの起動時においては、上記のようなプリチャージ回路PCCの動作に続いてリレーRL3、RL4をまず閉状態とする。これにより、バッテリ装置BATからの電力がDC−DCコンバータ4aに供給され、DC−DCコンバータ4の出力端子間電圧VHが上昇する。
このとき、パワーコントロールユニットPCUにも電力が供給されるため、パワーコントロールユニットPCUは第一リレーRL1、第二リレーRL2に対し、これらの動作に必要な12Vの直流電力を供給することが可能な状態となっている。
続いて、第一リレーRL1、第二リレーRL2を閉状態とする。これにより、燃料電池スタックFSTからの電力がDC−DCコンバータ4に供給され、DC−DCコンバータ4の入力端子間電圧(FDC入力バスバー425、426間の電圧)VLが上昇する。
以上のように、第一リレーRL1、第二リレーRL2が動作する直前において、パワーコントロールユニットPCUから12Vに管理された(電圧誤差の少ない)電圧が第一リレーRL1、第二リレーRL2に供給される。このため、第一リレーRL1、第二リレーRL2が動作可能な許容電圧範囲を広く確保する必要がなく、第一リレーRL1、第二リレーRL2の構成を簡素なものとすることが可能となっている。
図9に示したように、DC−DCコンバータ4の内部にはリレーRL6とダイオードD1が配置されている。仮に、出力端子間電圧VHが入力端子間電圧VLよりも低い状態のまま、第一リレーRL1、第二リレーRL2を閉状態としてしまうと、ダイオードD1を通じて大きな電流が流れ、第一リレーRL1、第二リレーRL2の接点が溶着してしまう可能性がある。しかし、本実施形態では上記のように、出力端子間電圧VHが入力端子間電圧VLよりも高い状態とした後で第一リレーRL1、第二リレーRL2を閉状態とする。この場合、ダイオードD1を通じて電流は流れないため、第一リレーRL1、第二リレーRL2の接点が溶着してしまうことはない。
図8に戻って説明を続ける。燃料電池システムを停止する際は、DC−DCコンバータ4やDC−DCコンバータ4aのディスチャージ制御(DC−DCコンバータ4等の内部コンデンサに蓄えられた電荷を開放する制御)を、パワーコントロールユニットPCUにより行う必要がある。このとき、先に第一リレーRL1、第二リレーRL2を開状態とした後でディスチャージ制御を行うことが望ましい。第一リレーRL1、第二リレーRL2が閉状態のままでディスチャージ制御を行ってしまうと、燃料電池スタックFSTの内部に残留した燃料ガス等を消費してしまうこととなるため、燃料利用効率の観点から望ましくない。また、ディスチャージ制御の過程で燃料電池セルの電位が変動してしまうため、電極触媒の耐久性の観点からも望ましくない。
ただし、燃料電池スタックFSTの内部に燃料ガス等を残留させたくない等の特段の事情がある場合には、第一リレーRL1、第二リレーRL2が閉状態のままでディスチャージ制御を行い、その後で第一リレーRL1、第二リレーRL2を開状態とすることも考えられる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。