JP2013246352A - 薄膜製造方法および薄膜製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄膜製造方法において被成膜面の裏側の被成膜体表面の汚染を防止することができ、被成膜体の外径や外周部の大きさが変わっても容易に保持することができるようにする。
【解決手段】被成膜体10を保持部3に保持して、第1面10aに液状の薄膜形成材料を供給し、保持部3を回転中心軸線P回りに回転させて、第1面10a上に薄膜形成材料を塗り拡げて成膜する薄膜製造方法であって、保持部3は、回転中心軸線Pに直交する面内において回転中心軸線P回りの周方向の異なる位置で回転中心軸線Pに向かう方向において進退可能に設けられ、回転中心軸線Pに対向して周方向に線状に延びる保持用外縁部13aによって回転中心軸線Pを囲む拡縮可能な開口17を形成する複数の羽部材13を備え、被成膜体10を保持する際に、保持用外縁部13aを側面10cの一部に外接させて、被成膜体10を保持する方法を用いる。
【選択図】図2
【解決手段】被成膜体10を保持部3に保持して、第1面10aに液状の薄膜形成材料を供給し、保持部3を回転中心軸線P回りに回転させて、第1面10a上に薄膜形成材料を塗り拡げて成膜する薄膜製造方法であって、保持部3は、回転中心軸線Pに直交する面内において回転中心軸線P回りの周方向の異なる位置で回転中心軸線Pに向かう方向において進退可能に設けられ、回転中心軸線Pに対向して周方向に線状に延びる保持用外縁部13aによって回転中心軸線Pを囲む拡縮可能な開口17を形成する複数の羽部材13を備え、被成膜体10を保持する際に、保持用外縁部13aを側面10cの一部に外接させて、被成膜体10を保持する方法を用いる。
【選択図】図2
Description
本発明は、薄膜製造方法および薄膜製造装置に関する。
従来、光学薄膜を形成する場合、蒸着やスパッタリングなどのドライプロセスが用いられている。
しかし、有限の曲率を持ったレンズなどの被成膜体に光学薄膜を形成する場合は、湿式法(ウエットプロセス)が適している。ウエットプロセスとは、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ロールコート法などにより、液体を基板に塗布して乾燥・熱処理することにより成膜する方法である。真空蒸着法やスパッタ法などのドライプロセスでは均一に光学薄膜をコーティングすることが困難であるが、ウエットプロセスの中でもスピンコート法であれば、大面積や曲率半径の小さい曲面に対して周縁部領域を除く全域で均一に成膜できる。また、スピンコート法の特長としては、ドライプロセスと異なり大型の装置が不要で、しかも大気中で成膜できるのでコストを大幅に低下できることが挙げられる。
スピンコート法の被成膜体の保持方法としては、例えば、特許文献1のように被成膜体であるレンズ基材の裏面を吸着パッドで吸引することにより保持する方法が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、プラスチック眼鏡レンズの外周側に、先端にV字状の切込が設けられたばね部材を配置し、プラスチック眼鏡レンズをばね部材の切込に差し込んだ状態でチャックして保持するスピンコート用保持具およびスピンコート装置が記載されている。
この保持具では、ばね部材の切込が、プラスチック眼鏡レンズのレンズ面と外周縁部(コバ部)との境界において当接し、ばね部材が表裏のレンズ面およびコバ面に接触しないようになっている。
しかし、有限の曲率を持ったレンズなどの被成膜体に光学薄膜を形成する場合は、湿式法(ウエットプロセス)が適している。ウエットプロセスとは、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ロールコート法などにより、液体を基板に塗布して乾燥・熱処理することにより成膜する方法である。真空蒸着法やスパッタ法などのドライプロセスでは均一に光学薄膜をコーティングすることが困難であるが、ウエットプロセスの中でもスピンコート法であれば、大面積や曲率半径の小さい曲面に対して周縁部領域を除く全域で均一に成膜できる。また、スピンコート法の特長としては、ドライプロセスと異なり大型の装置が不要で、しかも大気中で成膜できるのでコストを大幅に低下できることが挙げられる。
スピンコート法の被成膜体の保持方法としては、例えば、特許文献1のように被成膜体であるレンズ基材の裏面を吸着パッドで吸引することにより保持する方法が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、プラスチック眼鏡レンズの外周側に、先端にV字状の切込が設けられたばね部材を配置し、プラスチック眼鏡レンズをばね部材の切込に差し込んだ状態でチャックして保持するスピンコート用保持具およびスピンコート装置が記載されている。
この保持具では、ばね部材の切込が、プラスチック眼鏡レンズのレンズ面と外周縁部(コバ部)との境界において当接し、ばね部材が表裏のレンズ面およびコバ面に接触しないようになっている。
しかしながら、上記のような従来の薄膜製造方法および薄膜製造装置には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、被成膜体の被成膜面である一方のレンズ基材表面の反対側のレンズ基材表面に吸着パッドを接触させて保持している。このため、被成膜面の外縁を伝って落下する成膜材料が反対側のレンズ基材表面に回り込んで、反対側のレンズ基材表面や吸着バッドを汚染するおそれがあるという問題がある。
特許文献2に記載の技術では、被成膜体を保持するばね部材が被成膜面の上方に突出しているため、遠心力で飛散する成膜材料がばね部材に当たって跳ね返って、被成膜面に再付着して被成膜面を汚染してしまうという問題がある。
また、特許文献2の保持方法では、被成膜体の大きさ、例えば、外径やコバ面の高さなどによっては、ばね部材を変更しなければならないという問題もある。
特許文献1に記載の技術では、被成膜体の被成膜面である一方のレンズ基材表面の反対側のレンズ基材表面に吸着パッドを接触させて保持している。このため、被成膜面の外縁を伝って落下する成膜材料が反対側のレンズ基材表面に回り込んで、反対側のレンズ基材表面や吸着バッドを汚染するおそれがあるという問題がある。
特許文献2に記載の技術では、被成膜体を保持するばね部材が被成膜面の上方に突出しているため、遠心力で飛散する成膜材料がばね部材に当たって跳ね返って、被成膜面に再付着して被成膜面を汚染してしまうという問題がある。
また、特許文献2の保持方法では、被成膜体の大きさ、例えば、外径やコバ面の高さなどによっては、ばね部材を変更しなければならないという問題もある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、被成膜面の裏側の被成膜体表面の汚染を防止することができ、被成膜体の外径や外周部の大きさが変わっても容易に保持することができる薄膜製造方法および薄膜製造装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の薄膜製造方法は、被成膜体を保持部に保持して、前記被成膜体上の被成膜面に液状の薄膜形成材料を供給し、前記保持部を回転中心軸線回りに回転させて、前記被成膜面上に前記薄膜形成材料を塗り拡げて成膜する薄膜製造方法であって、前記保持部は、前記回転中心軸線に直交する面内において前記回転中心軸線回りの周方向の異なる位置で前記回転中心軸線に向かう方向において進退可能に設けられ、前記回転中心軸線に対向して前記周方向に線状に延びる外縁部によって前記回転中心軸線を囲む拡縮可能な開口を形成する複数の板状部材を備え、前記被成膜体を保持する際に、前記線状に延びる外縁部を前記被成膜体の外周部の一部に外接させて、前記被成膜体を保持する方法とする。
また、本発明の薄膜製造方法では、前記開口は、前記被成膜体を保持したときに、前記被成膜体の外周部との間の隙間が、0mmより大きく2mm以下であることが好ましい。
また、本発明の薄膜製造方法では、前記成膜体を保持する際、前記被成膜体の外周部において前記回転中心軸線に沿う方向の中間部を保持することが好ましい。
また、本発明の薄膜製造方法では、前記複数の板状部材は、それぞれの進退量が同調されていることが好ましい。
本発明の薄膜製造装置は、被成膜体を保持部に保持して、前記被成膜体上の被成膜面に液状の薄膜形成材料を供給し、前記保持部を回転中心軸線回りに回転させて、前記被成膜面上に前記薄膜形成材料を塗り拡げて成膜する薄膜製造装置であって、前記保持部は、前記回転中心軸線に直交する面内において前記回転中心軸線回りの周方向の異なる位置で前記回転中心軸線に向かう方向において進退可能に設けられ、前記回転中心軸線に対向して線状に延びる外縁部によって前記回転中心軸線を囲む拡縮可能な開口を形成する複数の板状部材を備え、前記被成膜体を保持する際に、前記線状に延びる外縁部を前記被成膜体の外周部の一部に外接させて、前記被成膜体を保持する構成とする。
本発明の薄膜製造方法および薄膜製造装置によれば、回転中心軸線に対向して周方向に線状に延びる、複数の板状部材の外縁部を被成膜体の外周部の一部に外接させて、前記被成膜体を保持するため、被成膜面の裏側の被成膜体表面の汚染を防止することができ、被成膜体の外径や外周部の大きさが変わっても容易に保持することができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施形態の薄膜製造装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態の薄膜製造装置を示す模式的な正面図である。図2(a)は、図1のA視の拡大図である。図2(b)は、図2(a)におけるB−B断面図である。図3(a)、(b)は、本発明の実施形態の薄膜製造装置における保持部の縮径時の様子を示す模式的な平面図、およびその内部構成を示す平面図である。図4(a)、(b)は、本発明の実施形態の薄膜製造装置における保持部の拡径時の様子を示す模式的な平面図、およびその内部構成を示す平面図である。図5は、本発明の実施形態の薄膜製造装置における保持部の羽部材の一例を示す模式的な平面図である。
まず、本発明の実施形態の薄膜製造装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態の薄膜製造装置を示す模式的な正面図である。図2(a)は、図1のA視の拡大図である。図2(b)は、図2(a)におけるB−B断面図である。図3(a)、(b)は、本発明の実施形態の薄膜製造装置における保持部の縮径時の様子を示す模式的な平面図、およびその内部構成を示す平面図である。図4(a)、(b)は、本発明の実施形態の薄膜製造装置における保持部の拡径時の様子を示す模式的な平面図、およびその内部構成を示す平面図である。図5は、本発明の実施形態の薄膜製造装置における保持部の羽部材の一例を示す模式的な平面図である。
本実施形態の薄膜製造方法に用いる薄膜製造装置1は、図1に示すように、被成膜体10上に液状の薄膜形成材料9を供給し、被成膜体10を回転させて液状の薄膜形成材料9による薄膜を形成する装置である。
被成膜体10は、平面視円形の外形を有する板状部材であり、外表面が、板厚方向の一方側の表面である第1面10a(被成膜面)と、板厚方向の他方側の表面である第2面10bと、第1面10aと第2面10bとにそれぞれ隣接し、板厚方向に延ばされた円筒面からなる側面10c(外周部)で構成されている。
図1では、被成膜体10の形状を、一例として、円板状の形状に描いている。ただし、第1面10a、第2面10bの形状は特に限定されず、それぞれ、平面であってもよいし、適宜の凸面や凹面であってもよい。
また、第1面10a、第2面10bは、曲面と平面との組み合わせからなっていてもよく、例えば、中心部に凸面または凹面が形成され、これらの外周側に平面が形成された形状を有していてもよい。
このような被成膜体10は、例えば、メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ等のレンズであってもよいし、レンズ以外の光学素子、例えば、プリズム、ミラー、フィルタ、平行平板などの光学素子も可能である。
また、被成膜体10は、光学素子以外の部材であってもよい。
また、被成膜体10の材質は特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック、金属、無機非金属材料、あるいはこれらが複合されたり積層されたりした構成を採用することができる。
図1では、被成膜体10の形状を、一例として、円板状の形状に描いている。ただし、第1面10a、第2面10bの形状は特に限定されず、それぞれ、平面であってもよいし、適宜の凸面や凹面であってもよい。
また、第1面10a、第2面10bは、曲面と平面との組み合わせからなっていてもよく、例えば、中心部に凸面または凹面が形成され、これらの外周側に平面が形成された形状を有していてもよい。
このような被成膜体10は、例えば、メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ等のレンズであってもよいし、レンズ以外の光学素子、例えば、プリズム、ミラー、フィルタ、平行平板などの光学素子も可能である。
また、被成膜体10は、光学素子以外の部材であってもよい。
また、被成膜体10の材質は特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック、金属、無機非金属材料、あるいはこれらが複合されたり積層されたりした構成を採用することができる。
第1面10aと第2面10bとは、いずれを被成膜面としてもよいが、薄膜製造装置1では、一面ずつ成膜するため、以下の説明では、第1面10aが被成膜面であるとして説明する。
薄膜形成材料9は、第1面10aに形成する薄膜の種類に応じて、適宜の液状の材料を採用することができる。例えば、被成膜体10がレンズ等の光学素子であって、形成する薄膜が反射防止膜の場合には、反射防止膜の膜構成に必要な屈折率を有するシリカゾルを採用することができる。
薄膜製造装置1の概略構成は、図1に示すように、保持台部2、保持部3、駆動モータ4、および材料滴下部5を備える。
保持台部2は、被成膜体10を回転中心軸線P回りに回転可能に保持する部材であり、上端部には保持部3が固定されている。回転中心軸線Pは、本実施形態では、鉛直軸に沿って形成されている。
保持台部2の上端の中心部には、被成膜体10を上方から出し入れ可能な穴部2aが形成されている。この穴部2aの穴底2bには、上方から挿入された被成膜体10を下方から支持して被成膜体10の配置高さを調整するための被成膜体受け部2cが設けられている。
被成膜体受け部2cは、被成膜体10の配置高さに合わせて回転中心軸線Pに沿う方向に進退可能に設けられている。これにより、保持台部2に被成膜体10が保持された後は下方に待避して被成膜体10から離れることができるようになっている。
また、被成膜体受け部2cは、被成膜体10の外形に合わせて、受け位置を変更できるように、回転中心軸線Pに向かって進退可能に設けられている。
保持台部2の上端の中心部には、被成膜体10を上方から出し入れ可能な穴部2aが形成されている。この穴部2aの穴底2bには、上方から挿入された被成膜体10を下方から支持して被成膜体10の配置高さを調整するための被成膜体受け部2cが設けられている。
被成膜体受け部2cは、被成膜体10の配置高さに合わせて回転中心軸線Pに沿う方向に進退可能に設けられている。これにより、保持台部2に被成膜体10が保持された後は下方に待避して被成膜体10から離れることができるようになっている。
また、被成膜体受け部2cは、被成膜体10の外形に合わせて、受け位置を変更できるように、回転中心軸線Pに向かって進退可能に設けられている。
保持部3は、図2(a)、(b)に示すように、被成膜体10の側面10cに側方から当接して被成膜体10を保持する複数の羽部材13(板状部材)が、回転中心軸線Pに向かう方向において進退に設けられたものである。
本実施形態では、羽部材13は6枚のものが、回転中心軸線Pを中心とする周方向を6等分する位置に配置され、隣り合う羽部材13同士の一部が重なり合うように(図2(b)参照)配置されている。
これら羽部材13は、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)に示すように、下方側の固定板12と上方側の駆動板11との間に挟まれている。
本実施形態では、羽部材13は6枚のものが、回転中心軸線Pを中心とする周方向を6等分する位置に配置され、隣り合う羽部材13同士の一部が重なり合うように(図2(b)参照)配置されている。
これら羽部材13は、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)に示すように、下方側の固定板12と上方側の駆動板11との間に挟まれている。
固定板12、駆動板11は、略同一の円環状の外形を有する板状部材であり、保持台部2上にこの順に積層して配置されている。このため、駆動板11の外表面11cは、保持部3の最上面を構成している。
固定板12、駆動板11の中心部には、それぞれ開口12a、11aが、板厚方向に貫通して設けられている。
開口12a、11aは、薄膜製造装置1によって成膜可能な被成膜体10のすべてが挿入可能となる大きさに形成された円孔である。すなわち、薄膜製造装置1によって成膜すべき被成膜体10の側面10cの最大半径を、半径rmax(図示略)とすると、開口12a、11aの半径R0(図4(a)、(b)参照)は、R0>rmaxの関係を満足する。
固定板12、駆動板11の中心部には、それぞれ開口12a、11aが、板厚方向に貫通して設けられている。
開口12a、11aは、薄膜製造装置1によって成膜可能な被成膜体10のすべてが挿入可能となる大きさに形成された円孔である。すなわち、薄膜製造装置1によって成膜すべき被成膜体10の側面10cの最大半径を、半径rmax(図示略)とすると、開口12a、11aの半径R0(図4(a)、(b)参照)は、R0>rmaxの関係を満足する。
固定板12の外縁部近傍には、図4(b)に示すように、駆動板11側の表面に各羽部材13を回転支持する回転支軸14が立設されている。回転支軸14は、回転中心軸線Pを中心とする円周上に周方向を6等分する位置に設けられている。
駆動板11には、各羽部材13の進退駆動する駆動ピン15の動きを制御するためのカム穴11bがそれぞれ設けられている。
羽部材13は、図5に示すように、基端部13Bと、基端部13Bから延出された先端部13Aとを備える略L字状の外形を有する板状部材である。羽部材13の板厚h1(図2(b)参照)は、被成膜体10の側面10cの回転中心軸線Pに沿う方向の長さh0より小さい適宜の板厚寸法を採用することができる。
基端部13Bの端部には、回転支軸14に回動可能に係合する軸受孔13bが貫通して設けられている。
また、基端部13Bにおいて、軸受孔13bの中心を通る直線上に駆動ピン挿通孔13cが羽部材13の板厚方向に貫通して設けられている。
駆動ピン挿通孔13cは、駆動ピン15を挿通させて駆動ピン15からの駆動力を羽部材13に伝達するための係合孔である。
基端部13Bの端部には、回転支軸14に回動可能に係合する軸受孔13bが貫通して設けられている。
また、基端部13Bにおいて、軸受孔13bの中心を通る直線上に駆動ピン挿通孔13cが羽部材13の板厚方向に貫通して設けられている。
駆動ピン挿通孔13cは、駆動ピン15を挿通させて駆動ピン15からの駆動力を羽部材13に伝達するための係合孔である。
また、先端部13Aには、被成膜体10の側面10cに当接するための保持用外縁部13aが形成されている。
各羽部材13の保持用外縁部13aは、それぞれ軸受孔13b、駆動ピン挿通孔13cに、回転支軸14、駆動ピン15を挿通して、保持部3に組み込まれた状態では、図2(a)、図3(a)、(b)に示すように、回転中心軸線Pに対向して配置され、回転中心軸線P回りの周方向に線状に延びた状態とされる。保持用外縁部13aは、線状に延びていれば、直線状に延びていても曲線状に延びていてもよい。
ここで、「回転中心軸線P回りの周方向に線状に延びた」とは、回転中心軸線Pに沿う方向から羽部材13を見たときに、保持用外縁部13aの外形が線状になっているという意味である。すなわち、保持用外縁部13aは、回転中心軸線Pに沿う方向においては羽部材13の板厚に相当する幅を有する平面または曲面からなる。
このような組み込み状態では、各羽部材13が重なり合うことによって、隣接する保持用外縁部13a同士が重なり合っている。このため、これら保持用外縁部13aは、全体として、被成膜体10を囲む略多角形状(多角形状を含む)の開口17を形成している。
各羽部材13の保持用外縁部13aは、それぞれ軸受孔13b、駆動ピン挿通孔13cに、回転支軸14、駆動ピン15を挿通して、保持部3に組み込まれた状態では、図2(a)、図3(a)、(b)に示すように、回転中心軸線Pに対向して配置され、回転中心軸線P回りの周方向に線状に延びた状態とされる。保持用外縁部13aは、線状に延びていれば、直線状に延びていても曲線状に延びていてもよい。
ここで、「回転中心軸線P回りの周方向に線状に延びた」とは、回転中心軸線Pに沿う方向から羽部材13を見たときに、保持用外縁部13aの外形が線状になっているという意味である。すなわち、保持用外縁部13aは、回転中心軸線Pに沿う方向においては羽部材13の板厚に相当する幅を有する平面または曲面からなる。
このような組み込み状態では、各羽部材13が重なり合うことによって、隣接する保持用外縁部13a同士が重なり合っている。このため、これら保持用外縁部13aは、全体として、被成膜体10を囲む略多角形状(多角形状を含む)の開口17を形成している。
保持用外縁部13aの形状は、本実施形態では、図4(b)に示すように、各羽部材13を開口12a、11aの径方向外側に退避して開口17を最大化したときに、開口12a、11aの内径よりも大径の円周上に整列する円弧形状を採用している。すなわち、保持用外縁部13aは、半径R0よりも大きな半径R1(ただし、R1>R0>rmax)の円周上に整列される。
このような構成の保持部3では、開口17を後述するように拡縮することで、種々の外形、外径を有する被成膜体10を保持することができる。
被成膜体10の外形が半径rの円筒面である場合、図2(a)に示すように、開口17の最小内半径は、被成膜体10の側面10cと当接する位置における半径rである。
また、開口17の最大半径は、隣り合う保持用外縁部13a同士が交差する位置におけるr+dである。このため、側面10cと開口17との間には、径方向に最大dmmの隙間が形成されている。ここで、距離dは、羽部材13の枚数と保持用外縁部13aの曲率半径R1とから計算される定数である。
本実施形態では、例えば、r=10(mm)、R1=50(mm)の場合、d=1.2(mm)となる。
距離dは、あまり大きいと、後述するように薄膜形成材料9が側面10cを伝って、第2面10b側に移動しやすくなるため、薄膜形成材料9の粘性など応じて、適宜値以下となるように設定することが好ましい。
本実施形態では、距離dは、保持可能な最大外径の被成膜体10を保持した場合でも、2mm以下になるようにしている。このため、側面10cと開口17との間の隙間は、0mmより大きく、2mm以下になっている。
被成膜体10の外形が半径rの円筒面である場合、図2(a)に示すように、開口17の最小内半径は、被成膜体10の側面10cと当接する位置における半径rである。
また、開口17の最大半径は、隣り合う保持用外縁部13a同士が交差する位置におけるr+dである。このため、側面10cと開口17との間には、径方向に最大dmmの隙間が形成されている。ここで、距離dは、羽部材13の枚数と保持用外縁部13aの曲率半径R1とから計算される定数である。
本実施形態では、例えば、r=10(mm)、R1=50(mm)の場合、d=1.2(mm)となる。
距離dは、あまり大きいと、後述するように薄膜形成材料9が側面10cを伝って、第2面10b側に移動しやすくなるため、薄膜形成材料9の粘性など応じて、適宜値以下となるように設定することが好ましい。
本実施形態では、距離dは、保持可能な最大外径の被成膜体10を保持した場合でも、2mm以下になるようにしている。このため、側面10cと開口17との間の隙間は、0mmより大きく、2mm以下になっている。
駆動モータ4は、図1に示すように、保持台部2を回転駆動するもので、保持台部2の下方に配置され、回転駆動力を伝達する駆動軸4aが、保持台部2の下端部に連結されている。
本実施形態では、駆動軸4aは、一例として鉛直方向に沿って配置され、これにより、駆動軸4aの中心軸線が回転中心軸線Pを構成している。
駆動モータ4の回転数は、例えば、2000rpmから8000rpmの範囲になる適宜回転数に設定する。
本実施形態では、駆動軸4aは、一例として鉛直方向に沿って配置され、これにより、駆動軸4aの中心軸線が回転中心軸線Pを構成している。
駆動モータ4の回転数は、例えば、2000rpmから8000rpmの範囲になる適宜回転数に設定する。
材料滴下部5は、保持台部2上の保持部3に保持された被成膜体10の被成膜面の中心位置に薄膜形成材料9を供給するものである。本実施形態の第1面10aを上に向けた配置では、材料滴下部5は滴下口5aを第1面10aの中心に向けて、保持台部2の上方に配置され、図示略の材料貯留部から送出される薄膜形成材料9を、第1面10aに向けて一定量だけ滴下できるようになっている。
次に、薄膜製造装置1の動作について、本実施形態の薄膜製造方法を中心として説明する。
図6(a)、(b)は、本発明の実施形態の薄膜製造装置の動作説明図である。
図6(a)、(b)は、本発明の実施形態の薄膜製造装置の動作説明図である。
薄膜製造装置1によって、第1面10aに薄膜形成材料9の薄膜を成膜するには、まず、駆動モータ4の駆動を停止した状態で、第1面10aを上に向けて、被成膜体10を保持部3に保持させる。例えば、被成膜体10の一例としては、外径20mm(外半径r=10(mm))、厚さh1=3(mm)のガラス基板であるS−BSL7(商品名;(株)オハラ製)を保持させることができる。
まず、操作レバー16を回動して、図4(a)、(b)に示すように、開口12a、11a内から、羽部材13を退避させる。
図3(a)に示すように、駆動板11上に設けられた操作レバー16を、回転中心軸線Pを中心として図示反時計回り(矢印C参照)に回動させると、駆動ピン15がカム穴11bに沿って相対的に駆動板11の径方向外側に移動する(矢印C’参照)。駆動ピン15は、羽部材13の駆動ピン挿通孔13cに係合されているため、駆動ピン15の移動に伴って、羽部材13が回転支軸14回りに図示反時計回りに回動する。これにより、各保持用外縁部13aが、回転中心軸線Pに対して径方向外側に後退する。
例えば、操作レバー16を矢印C方向に最大限回動させると、図4(a)、(b)に示すように、各保持用外縁部13aが、固定板12および駆動板11の間に退避した状態となる。
図3(a)に示すように、駆動板11上に設けられた操作レバー16を、回転中心軸線Pを中心として図示反時計回り(矢印C参照)に回動させると、駆動ピン15がカム穴11bに沿って相対的に駆動板11の径方向外側に移動する(矢印C’参照)。駆動ピン15は、羽部材13の駆動ピン挿通孔13cに係合されているため、駆動ピン15の移動に伴って、羽部材13が回転支軸14回りに図示反時計回りに回動する。これにより、各保持用外縁部13aが、回転中心軸線Pに対して径方向外側に後退する。
例えば、操作レバー16を矢印C方向に最大限回動させると、図4(a)、(b)に示すように、各保持用外縁部13aが、固定板12および駆動板11の間に退避した状態となる。
次に、保持する被成膜体10の形状に合わせて被成膜体受け部2cを移動する。本実施形態では、回転中心軸線Pに直交する方向では、側面10cの中心軸Oが回転中心軸線Pと略整列する(整列する場合を含む)位置となり、回転中心軸線Pに沿う方向では、側面10cの中心軸Oに沿う方向(以下、厚さ方向と称する)の中間部に、保持用外縁部13aが対向する位置となるようにする。
この状態から、操作レバー16を、回転中心軸線Pを中心として図示時計回り(図3(a)における矢印D参照)に回動させる。
このように操作レバー16が操作されると、矢印Cの方向に回動されたのと反対に、駆動ピン15がカム穴11bに沿って相対的に駆動板11の径方向内側に移動する(矢印D’参照)。駆動ピン15は、羽部材13の駆動ピン挿通孔13cに係合されているため、駆動ピン15の移動に伴って、羽部材13が回転支軸14回りに図示時計回りに回動する。これにより、各保持用外縁部13aが、回転中心軸線Pに対して径方向内側に進出する。
このようにして、開口17が縮径され、各保持用外縁部13aが側面10cに外接し、被成膜体10が羽部材13に保持される。このとき、側面10cと開口17との間の最大の隙間は、d=1.2(mm)になっている。
回転中に保持が外れない程度の保持力が発生するまで押しつけたら、操作レバー16の位置を固定する。
このように操作レバー16が操作されると、矢印Cの方向に回動されたのと反対に、駆動ピン15がカム穴11bに沿って相対的に駆動板11の径方向内側に移動する(矢印D’参照)。駆動ピン15は、羽部材13の駆動ピン挿通孔13cに係合されているため、駆動ピン15の移動に伴って、羽部材13が回転支軸14回りに図示時計回りに回動する。これにより、各保持用外縁部13aが、回転中心軸線Pに対して径方向内側に進出する。
このようにして、開口17が縮径され、各保持用外縁部13aが側面10cに外接し、被成膜体10が羽部材13に保持される。このとき、側面10cと開口17との間の最大の隙間は、d=1.2(mm)になっている。
回転中に保持が外れない程度の保持力が発生するまで押しつけたら、操作レバー16の位置を固定する。
次に、被成膜体受け部2cを下方に移動して、被成膜体10から離間する位置に退避させる。
このようにして、図2(a)、(b)に示すように、被成膜体10が羽部材13のみで保持された状態が形成される。このとき、本実施形態では、各保持用外縁部13aは、それぞれ共通形状のカム穴11bにより同調して進退するため、側面10cの中心軸Oは、開口17の内接円の中心である回転中心軸線Pと整列される。
また、開口17を構成する各保持用外縁部13aは、平面視ではその一部が側面10cと点状に当接され、この当接位置において、回転中心軸線Pを通る断面では、保持用外縁部13aの板厚方向の全体が側面10cと線状に当接されている。
保持用外縁部13aの当接部は、側面10cの厚さ方向の中間部になっており、羽部材13の板面13dは、第1面10aよりも下方に位置している。
このようにして、図2(a)、(b)に示すように、被成膜体10が羽部材13のみで保持された状態が形成される。このとき、本実施形態では、各保持用外縁部13aは、それぞれ共通形状のカム穴11bにより同調して進退するため、側面10cの中心軸Oは、開口17の内接円の中心である回転中心軸線Pと整列される。
また、開口17を構成する各保持用外縁部13aは、平面視ではその一部が側面10cと点状に当接され、この当接位置において、回転中心軸線Pを通る断面では、保持用外縁部13aの板厚方向の全体が側面10cと線状に当接されている。
保持用外縁部13aの当接部は、側面10cの厚さ方向の中間部になっており、羽部材13の板面13dは、第1面10aよりも下方に位置している。
次に、材料滴下部5から薄膜の形成に必要な一定量の薄膜形成材料9を滴下する。滴下された薄膜形成材料9は、図1に示すように、第1面10aの中心に液滴として供給される。例えば、薄膜形成材料9として、屈折率1.26(λ=520nm)を15μL滴下する。
薄膜形成材料9を滴下したら、駆動モータ4を駆動して保持台部2の回転を開始する。 これにより、第1面10a上の薄膜形成材料9に遠心力が作用して、図6(a)、(b)に示すように、薄膜形成材料9が中心から外周側に移動する。このため、薄膜形成材料9は第1面10a上で平面視円状に拡がって薄層化されていく。
塗り拡げられた薄膜形成材料9は、第1面10aの外縁部に到達すると、遠心力によって側方に飛散され、自重により下降して、羽部材13の板面13dに着地する。
このとき、薄膜形成材料9の着地位置は、遠心力のため側面10cから離間した位置になるため、図6(b)に示すように、側面10cと開口17との間に距離d程度の隙間があっても、薄膜形成材料9は、この隙間に落下することなく、板面13d上に着地する。
板面13d上に着地した薄膜形成材料9は、さらに遠心力を受け続けるため、板面13dに沿って径方向の外側に移動される。
薄膜形成材料9を滴下したら、駆動モータ4を駆動して保持台部2の回転を開始する。 これにより、第1面10a上の薄膜形成材料9に遠心力が作用して、図6(a)、(b)に示すように、薄膜形成材料9が中心から外周側に移動する。このため、薄膜形成材料9は第1面10a上で平面視円状に拡がって薄層化されていく。
塗り拡げられた薄膜形成材料9は、第1面10aの外縁部に到達すると、遠心力によって側方に飛散され、自重により下降して、羽部材13の板面13dに着地する。
このとき、薄膜形成材料9の着地位置は、遠心力のため側面10cから離間した位置になるため、図6(b)に示すように、側面10cと開口17との間に距離d程度の隙間があっても、薄膜形成材料9は、この隙間に落下することなく、板面13d上に着地する。
板面13d上に着地した薄膜形成材料9は、さらに遠心力を受け続けるため、板面13dに沿って径方向の外側に移動される。
このようにして、第1面10a上に必要な厚さの薄膜が形成されたら、駆動モータ4を停止する。これにより、第1面10a上に薄膜が成膜される。
例えば、上述の具体例では、回転速度3000rpmで10秒間回転させることで、良好な薄膜を形成することができる。
例えば、上述の具体例では、回転速度3000rpmで10秒間回転させることで、良好な薄膜を形成することができる。
次に、被成膜体受け部2cを上昇させて、被成膜体10の第2面10bを支持し、操作レバー16を操作して、開口17を拡径して、羽部材13による保持を解除する。各羽部材13を退避させたら、開口12a、11aから被成膜体10を上方に引き上げて、被成膜体10を薄膜製造装置1から取り外す。
以上で、本実施形態の薄膜製造方法が終了する。
なお、必要に応じて、上記と同様にして、他の被成膜体10に成膜を行う、被成膜体10の第2面10bに成膜を行う、第1面10aに形成された薄膜上に他の薄膜を形成する、といった他の薄膜製造の工程を続けて行うことも可能である。
このようにして、薄膜製造装置1によれば、被成膜体10に薄膜が形成された光学素子などを製造することができる。
なお、必要に応じて、上記と同様にして、他の被成膜体10に成膜を行う、被成膜体10の第2面10bに成膜を行う、第1面10aに形成された薄膜上に他の薄膜を形成する、といった他の薄膜製造の工程を続けて行うことも可能である。
このようにして、薄膜製造装置1によれば、被成膜体10に薄膜が形成された光学素子などを製造することができる。
本実施形態の薄膜製造装置1によれば、第1面10aから飛散された薄膜形成材料9は、開口17と側面10cとの間の隙間を超えて、側面10cの外周側を囲んで配置された複数の羽部材13の板面13d上を円滑に移動する。このため、余剰の薄膜形成材料9が、側面10cを伝わって第2面10bに到達することがないため、第2面10bを汚染することができる。
このような本実施形態の作用の特徴について、比較例を対照して簡単に説明する。
図7(a)、(b)、(c)は、比較例の薄膜製造装置の動作説明図である。
図7(a)、(b)、(c)は、比較例の薄膜製造装置の動作説明図である。
図7(a)に示す比較例は、羽部材100の保持用外縁部100aと側面10cとの間の距離が、距離dよりも大きい距離d1になっている場合の例である。
この比較例では、第1面10aから飛散された薄膜形成材料9が、羽部材100の上側の板面100dに着地する前に、少なくとも一部の薄膜形成材料9が保持用外縁部100aと衝突する。このため、衝突による飛沫109aが側面10c側に飛散するため、側面10cが薄膜形成材料9によって汚染されてしまう。側面10cに飛沫109aが蓄積すると、やがて自重で落下して、側面10cの下方に隣接する第2面10bに伝わり、第2面10bを汚染してしまう。
本実施形態では、保持可能な被成膜体10の外径の範囲で、側面10cと保持用外縁部13aとの隙間が距離d以下になっているため、このような汚染を防止することができる。
この比較例では、第1面10aから飛散された薄膜形成材料9が、羽部材100の上側の板面100dに着地する前に、少なくとも一部の薄膜形成材料9が保持用外縁部100aと衝突する。このため、衝突による飛沫109aが側面10c側に飛散するため、側面10cが薄膜形成材料9によって汚染されてしまう。側面10cに飛沫109aが蓄積すると、やがて自重で落下して、側面10cの下方に隣接する第2面10bに伝わり、第2面10bを汚染してしまう。
本実施形態では、保持可能な被成膜体10の外径の範囲で、側面10cと保持用外縁部13aとの隙間が距離d以下になっているため、このような汚染を防止することができる。
図7(b)に示す比較例は、羽部材100の上側の板面100dが、第1面10aよりも突出した状態で、被成膜体10が保持されている場合の例である。
この比較例では、第1面10aから径方向外側に飛散される薄膜形成材料9は、第1面10aの外縁部で、必ず保持用外縁部100aと衝突する。このため、衝突による飛沫109aが薄膜の形成された第1面10a上に飛散して再付着するため、薄膜が汚染されたり、薄膜の層厚が不均一になったりしてしまう。
本実施形態では、板面13dが、第1面10aの上方に突出しないように、保持するため、このような不具合を防止することができる。
この比較例では、第1面10aから径方向外側に飛散される薄膜形成材料9は、第1面10aの外縁部で、必ず保持用外縁部100aと衝突する。このため、衝突による飛沫109aが薄膜の形成された第1面10a上に飛散して再付着するため、薄膜が汚染されたり、薄膜の層厚が不均一になったりしてしまう。
本実施形態では、板面13dが、第1面10aの上方に突出しないように、保持するため、このような不具合を防止することができる。
図7(c)に示す比較例は、保持部材101が、被成膜体10よりも厚く、先端部にV字溝101aを備えており、被成膜体10の第1面10aと側面10cとのなす角部の稜線Ea、と第2面10bと側面10cとのなす角部の稜線Ebが、それぞれV字溝101aと当接することにより、被成膜体10が保持されている場合の例である。
この比較例では、第1面10aから径方向外側に飛散される薄膜形成材料9は、図7(b)に示す比較例と同様に、第1面10aの外縁部で、必ずV字溝101aと衝突する。このため、衝突による飛沫109aが薄膜の形成された第1面10a上に飛散して再付着するため、薄膜が汚染されたり、薄膜の層厚が不均一になったりしてしまう。
さらに、この比較例では、稜線EaとV字溝101aとの間で点状に当接するため、薄膜形成材料9は、側面10cにも容易に流れ込むため、側面10cを伝って薄膜形成材料9が第2面10bに移動し、液滴109bが形成されるため、第2面10bが汚染されてしまう。
本実施形態では、板面13dが、第1面10aの上方に突出しないように、保持するため、このような不具合を防止することができる。
この比較例では、第1面10aから径方向外側に飛散される薄膜形成材料9は、図7(b)に示す比較例と同様に、第1面10aの外縁部で、必ずV字溝101aと衝突する。このため、衝突による飛沫109aが薄膜の形成された第1面10a上に飛散して再付着するため、薄膜が汚染されたり、薄膜の層厚が不均一になったりしてしまう。
さらに、この比較例では、稜線EaとV字溝101aとの間で点状に当接するため、薄膜形成材料9は、側面10cにも容易に流れ込むため、側面10cを伝って薄膜形成材料9が第2面10bに移動し、液滴109bが形成されるため、第2面10bが汚染されてしまう。
本実施形態では、板面13dが、第1面10aの上方に突出しないように、保持するため、このような不具合を防止することができる。
また、薄膜製造装置1によれば、羽部材13による開口17を拡縮することで、外径の異なる被成膜体10も保持部3の構成を変更することなく保持可能であるため、外径の異なる被成膜体10の混合生産を効率的に行うことができる。
また、薄膜製造装置1によれば、複数の羽部材13によって、被成膜体10を保持するため、被成膜体10の板厚を薄い場合でも、良好に保持することができる。
また、薄膜製造装置1によれば、複数の羽部材13によって、被成膜体10を保持するため、被成膜体10の板厚を薄い場合でも、良好に保持することができる。
[第1変形例]
次に、本実施形態の第1変形例の薄膜製造装置について説明する。
図8は、本発明の実施形態の第1変形例の薄膜製造装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。
次に、本実施形態の第1変形例の薄膜製造装置について説明する。
図8は、本発明の実施形態の第1変形例の薄膜製造装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。
本変形例は、上記実施形態の羽部材13に代えて、図8に示す羽部材23(板状部材)を備える。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
羽部材23は、上記実施形態の羽部材13の円弧状の保持用外縁部13aに代えて、直線状の保持用外縁部23a(外縁部)を備えるものである。これにより、開口17に代えて、正六角形状の開口27が形成されている。
羽部材23は、上記実施形態の羽部材13の円弧状の保持用外縁部13aに代えて、直線状の保持用外縁部23a(外縁部)を備えるものである。これにより、開口17に代えて、正六角形状の開口27が形成されている。
本変形例では、開口27の形状が異なるのみであるため、開口27と側面10cとの間との隙間の大きさのみが異なる。
本変形例では、d=(1/cos30°−1)・rである。したがって、半径約12.9mm以下であれば、距離dが2mmを超えないため、外径25.8mm以下の被成膜体10であれば、上記実施形態とまったく同様にして、良好な成膜を行うことが可能である。
本変形例では、d=(1/cos30°−1)・rである。したがって、半径約12.9mm以下であれば、距離dが2mmを超えないため、外径25.8mm以下の被成膜体10であれば、上記実施形態とまったく同様にして、良好な成膜を行うことが可能である。
[第2変形例]
次に、本実施形態の第2変形例の薄膜製造装置について説明する。
図9は、本発明の実施形態の第2変形例の薄膜製造装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。
次に、本実施形態の第2変形例の薄膜製造装置について説明する。
図9は、本発明の実施形態の第2変形例の薄膜製造装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。
本変形例は、上記実施形態の羽部材13に代えて、図9に示す羽部材33(板状部材)を合計12枚備える。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
羽部材33は、上記実施形態の羽部材13の円弧状の保持用外縁部13aに代えて、直線状の保持用外縁部33a(外縁部)を備えるものである。これにより、開口17に代えて、正十二角形状の開口37が形成されている。
羽部材33は、上記実施形態の羽部材13の円弧状の保持用外縁部13aに代えて、直線状の保持用外縁部33a(外縁部)を備えるものである。これにより、開口17に代えて、正十二角形状の開口37が形成されている。
本変形例では、開口37の形状が異なるのみであるため、開口37と側面10cとの間との隙間の大きさのみが異なる。
本変形例では、d=(1/cos15°−1)・rである。したがって、半径約56.6mm以下であれば、距離dが2mmを超えないため、外径113mm以下の被成膜体10であれば、上記実施形態とまったく同様にして、良好な成膜を行うことが可能である。
本変形例では、d=(1/cos15°−1)・rである。したがって、半径約56.6mm以下であれば、距離dが2mmを超えないため、外径113mm以下の被成膜体10であれば、上記実施形態とまったく同様にして、良好な成膜を行うことが可能である。
[第3変形例]
次に、本実施形態の第3変形例の薄膜製造装置について説明する。
図10は、本発明の実施形態の第3変形例の薄膜製造装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。
次に、本実施形態の第3変形例の薄膜製造装置について説明する。
図10は、本発明の実施形態の第3変形例の薄膜製造装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。
本変形例は、上記実施形態の羽部材13に代えて、図10に示す羽部材43(板状部材)を合計5枚備える。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
羽部材43は、上記実施形態の羽部材13の円弧状の保持用外縁部13aに代えて、曲率半径50mmの円弧状の保持用外縁部43a(外縁部)を備えるものである。これにより、開口17に代えて、略五角形状の開口47が形成されている。
羽部材43は、上記実施形態の羽部材13の円弧状の保持用外縁部13aに代えて、曲率半径50mmの円弧状の保持用外縁部43a(外縁部)を備えるものである。これにより、開口17に代えて、略五角形状の開口47が形成されている。
本変形例では、開口47の形状が異なるのみであるため、開口47と側面10cとの間との隙間の大きさのみが異なる。
本変形例では、側面10cの半径が10mmの被成膜体10を保持する場合、距離dは、1.8mmとなり、距離dが2mmを超えないため、上記実施形態とまったく同様にして、良好な成膜を行うことが可能である。
本変形例では、側面10cの半径が10mmの被成膜体10を保持する場合、距離dは、1.8mmとなり、距離dが2mmを超えないため、上記実施形態とまったく同様にして、良好な成膜を行うことが可能である。
なお、上記の実施形態および各変形例の説明では、薄膜の一例として、反射防止膜の場合の例で説明したが、これに限定されず、被成膜面の反射率、透過率、偏光特性等の光学特性を変更する適宜の薄膜を採用することができる。例えば、反射膜、半透過膜、波長選択膜、偏光膜、光吸収膜等を挙げることができる。
また、他の薄膜の種類の例としては、被成膜面の機械的、物理的、電気的な特性を変更する薄膜であって、高精度な膜厚管理を行う必要がある薄膜を挙げることができる。このような薄膜の例としては、光学素子において、機能上、光を透過させたり反射させたりする光学面に用いられるハードコート膜、帯電防止膜、導電膜、撥水膜、撥膜油等を挙げることができる。
また、薄膜は、一層には限定されず、複数層設けてもよい。複数層設ける場合には、各層ごとに、硬化を行ってから、硬化された薄膜上に薄膜形成材料を塗り拡げた後に硬化させて薄膜を重ねる工程を繰り返せばよい。
また、他の薄膜の種類の例としては、被成膜面の機械的、物理的、電気的な特性を変更する薄膜であって、高精度な膜厚管理を行う必要がある薄膜を挙げることができる。このような薄膜の例としては、光学素子において、機能上、光を透過させたり反射させたりする光学面に用いられるハードコート膜、帯電防止膜、導電膜、撥水膜、撥膜油等を挙げることができる。
また、薄膜は、一層には限定されず、複数層設けてもよい。複数層設ける場合には、各層ごとに、硬化を行ってから、硬化された薄膜上に薄膜形成材料を塗り拡げた後に硬化させて薄膜を重ねる工程を繰り返せばよい。
また、上記実施形態では、羽部材13の保持用外縁部13aが、回転中心軸線P側に凹形状の円弧状の形状を有する場合の例で説明したが、開口17と側面10cとの間の隙間が好適であれば、回転中心軸線P側に凸の曲線状に形成してもよい。
また、上記の実施形態および各変形例で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
1 薄膜製造装置
2 保持台部
3 保持部
4 駆動モータ
5 材料滴下部
9 薄膜形成材料
10 被成膜体
10a 第1面(被成膜面)
10b 第2面
10c 側面(被成膜体の外周部)
13、23、33、43 羽部材(板状部材)
13a、23a、33a、43a 保持用外縁部(外縁部)
13d 板面
17、27、37、47 開口
O 中心軸
P 回転中心軸線
2 保持台部
3 保持部
4 駆動モータ
5 材料滴下部
9 薄膜形成材料
10 被成膜体
10a 第1面(被成膜面)
10b 第2面
10c 側面(被成膜体の外周部)
13、23、33、43 羽部材(板状部材)
13a、23a、33a、43a 保持用外縁部(外縁部)
13d 板面
17、27、37、47 開口
O 中心軸
P 回転中心軸線
Claims (5)
- 被成膜体を保持部に保持して、前記被成膜体上の被成膜面に液状の薄膜形成材料を供給し、前記保持部を回転中心軸線回りに回転させて、前記被成膜面上に前記薄膜形成材料を塗り拡げて成膜する薄膜製造方法であって、
前記保持部は、前記回転中心軸線に直交する面内において前記回転中心軸線回りの周方向の異なる位置で前記回転中心軸線に向かう方向において進退可能に設けられ、前記回転中心軸線に対向して前記周方向に線状に延びる外縁部によって前記回転中心軸線を囲む拡縮可能な開口を形成する複数の板状部材を備え、
前記被成膜体を保持する際に、前記線状に延びる外縁部を前記被成膜体の外周部の一部に外接させて、前記被成膜体を保持する
ことを特徴とする薄膜製造方法。 - 前記開口は、
前記被成膜体を保持したときに、前記被成膜体の外周部との間の隙間が、0mmより大きく2mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。 - 前記成膜体を保持する際、前記被成膜体の外周部において前記回転中心軸線に沿う方向の中間部を保持する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜製造方法。 - 前記複数の板状部材は、それぞれの進退量が同調されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜製造方法。 - 被成膜体を保持部に保持して、前記被成膜体上の被成膜面に液状の薄膜形成材料を供給し、前記保持部を回転中心軸線回りに回転させて、前記被成膜面上に前記薄膜形成材料を塗り拡げて成膜する薄膜製造装置であって、
前記保持部は、前記回転中心軸線に直交する面内において前記回転中心軸線回りの周方向の異なる位置で前記回転中心軸線に向かう方向において進退可能に設けられ、前記回転中心軸線に対向して線状に延びる外縁部によって前記回転中心軸線を囲む拡縮可能な開口を形成する複数の板状部材を備え、
前記被成膜体を保持する際に、前記線状に延びる外縁部を前記被成膜体の外周部の一部に外接させて、前記被成膜体を保持する
ことを特徴とする薄膜製造装置。
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JP2012120915A Pending JP2013246352A (ja) | 2012-05-28 | 2012-05-28 | 薄膜製造方法および薄膜製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013246352A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11255011B1 (en) | 2020-09-17 | 2022-02-22 | United Semiconductor Japan Co., Ltd. | Mask structure for deposition device, deposition device, and operation method thereof |
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2012
- 2012-05-28 JP JP2012120915A patent/JP2013246352A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11255011B1 (en) | 2020-09-17 | 2022-02-22 | United Semiconductor Japan Co., Ltd. | Mask structure for deposition device, deposition device, and operation method thereof |
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