JP2013245781A - 等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】内側継手部材とシャフトの嵌合抜け止めを確実に行う等速自在継手を提供する。
【解決手段】外側継手部材と、この外側継手部材との間でトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔にシャフトの端部が挿入され、抜け止め構造にて内側継手部材の軸孔からのシャフトの抜けが規制される等速自在継手である。記抜け止め構造は、シャフトの端部の周方向凹溝に嵌着する拡縮可能な止め輪と、この止め輪が相対面する内側継手部材端面に設けられて止め輪嵌合状態での止め輪の拡径を規制する凹窪部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械などで使用される等速自在継手に関する。
等速自在継手は、自動車や各種産業機械などの動力伝達系において使用され、例えば、自動車のドライブシャフトやプロペラシャフトに組み込まれる固定式あるいは摺動式の等速自在継手がある。
ドライブシャフトは、エンジンの回転力をデファレンシャルギヤからタイヤに伝達する車軸であり、アウトボード側の固定式等速自在継手と、インボード側の摺動式等速自在継手と、両等速自在継手を連結するトルク伝達用シャフトとを備える。また、エンジンの回転力をデファレンシャルギヤなどに伝達する回転軸であり、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手とを連結用継手として自動車の前後方向に配置される。
固定式等速自在継手は角度変位のみを許容し、摺動式等速自在継手は角度変位および軸方向変位の双方を許容する。固定式等速自在継手には、バーフィールド型やアンダーカットフリー型の等速自在継手があり、摺動式等速自在継手には、ダブルオフセット型、トリポード型、クロスグルーブ型等の種々のタイプの等速自在継手がある。
すなわち、等速自在継手は、一般には、外側継手部材と、この外側継手部材との間でトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔にシャフトの端部が挿入され、抜け止め構造にて内側継手部材の軸孔からのシャフトの抜けが規制される。
このような抜け止め構造には、通常、図18と図19に示すような止め輪100が用いられる。すなわち、シャフト101の端部には雄スプライン102が形成され、内側継手部材103の軸孔の内径面には雌スプライン104が形成されている。また、雄スプライン102の端部には、周方向凹溝105が形成されている。
そして、図19に示すように、シャフト101の雄スプライン102を内側継手部材103の軸孔に嵌入する。そして、止め輪100を周方向凹溝105に嵌着する。これによって、内側継手部材103からのシャフト101の矢印B方向の抜けを規制する。
ところで、プロペラシャフト等においては、車両衝突時の安全性を確保するため、特許文献に示されるように、ある大きさの衝撃力が入力されたときに、内側継手部材とシャフトの嵌合状態を積極的に外すように構成しているものがある。
特開2009−79690号公報
ドライブシャフトで用いる摺動式等速自在継手では、安全性の観点からシャフトが内側継手部材から外れないようにする必要がある。またプロペラシャフトにおいても、内側継手部材とシャフト間以外に衝突安全のための対策を付与している場合は、ドライブシャフト用と同様にシャフトが内側継手部材から外れないようにする必要がある。
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、内側継手部材とシャフトの嵌合抜け止めを確実に行う等速自在継手を提供しようとするものである。
本発明の等速自在継手は、外側継手部材と、この外側継手部材との間でトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔にシャフトの端部が挿入され、抜け止め構造にて内側継手部材の軸孔からのシャフトの抜けが規制される等速自在継手であって、前記抜け止め構造は、シャフトの端部の周方向凹溝に嵌着する拡縮可能な止め輪と、この止め輪が相対面する内側継手部材端面に設けられて止め輪嵌合状態での止め輪の拡径を規制する凹窪部を有し、その凹窪みの深さが止め輪の肉厚よりも小さいものである。
本発明の等速自在継手によれば、シャフトに抜け力が作用しても、止め輪が凹窪部に嵌合状態となって、その拡径を規制し、シャフトの端部の周方向凹溝からの止め輪の外れ防止が図れる。
前記止め輪は、スリット状の切欠部を有するリング状体であって、切欠両端部には、外径側に突出する膨出部を備え、前記内側継手部材は、凹窪部の深さが0.1mm〜0.5mmで、止め輪の膨出部が嵌合する座ぐり部が形成されているのが好ましい。この場合、シャフトに抜け力が作用しても、止め輪が凹窪部に嵌合状態となり、さらには、止め輪の膨出部が座ぐり部に嵌合して、その拡径を規制する。
前記止め輪は、スリット状の切欠部を有するリング状体であって、切欠端部には内径側に突出する突部を備え、断面扁平矩形状であって、前記内側継手部材は、凹窪部の深さを0.1mm〜0.5mmとし、凹窪部の内径寸法を、自由状態での止め輪の外径よりも大きく、拡径状態の外径よりも小さくしたものであってもよい。凹窪部の深さが0.1mm未満では、止め輪の凹窪部の嵌合代が小さく、拡径の規制力が弱いものとなる。また、凹窪部の深さが0.5mmを越えれば、内側継手部材とシャフトとの軸方向に比較的大きなガタが生じる。このような大きなガタが生じることになれば、車両のNVH性能の悪化を招くおそれがある。このため、止め輪装着状態における内側継手部材とシャフト間の軸方向のガタを0.5mm以内とするのが好ましい。NVHとは、「Noise(騒音)」、「Vibration(振動)」および「Harshness(乗り心地)」である。
また、凹窪部の内径寸法が装着状態での止め輪の外径よりも小さければ、止め輪がこの凹窪部に嵌合できず、逆に凹窪部の内径寸法が拡径状態の外径よりも大きければ、止め輪の拡径を規制できない。
内側継手部材の軸孔に嵌入されるシャフトの端部には、雄スプラインが形成されるとともに、内側継手部材の軸孔の内径面には雌スプラインが形成され、内側継手部材の雌スプライン入口チャンファ径をDNとし、雄スプラインのスプライン大径をDSとしたときに、DN≦DSとするのが好ましい。
DN>DSであれば、抜け力(止め輪が相対面する内側継手部材端面と反対側の端面側に引き抜かれる力)が作用した場合、シャフトの周方向凹溝の反凹窪側の開口端が作用点となって、雌スプライン入口チャンファの外径端が支点となる。すなわち、抜け方向側の支点が、反抜け方向側の作用点よりも外径側に位置することになって、止め輪は、外形側が反抜け方向に倒れて外れるおそれがある。これに対して、DN≦DSであれば、抜け方向側の支点が、反抜け方向側の作用点よりも内径側に位置することになって、抜け力が作用しても、止め輪が倒れにくいものとなる。
等速自在継手として、外側継手部材と内側継手部材との間で角度変位及び軸方向変位を許容する摺動式であっても、外側継手部材と内側継手部材との間で角度変位のみを許容する固定式であってもよい。
ドライブシャフトに用いるものであっても、プロペラシャフトに用いるものであってもよい。
本発明では、シャフトに抜け力が作用しても、止め輪が凹窪部に嵌合状態となって、その拡径を規制することができ、シャフトの抜けを防止できる。
凹窪部の深さを0.1mm〜0.5mmとすれば、シャフトに抜け力が作用した状態において、止め輪の拡径を安定して防止でき、それによってシャフトの抜けを有効に防止でき、しかも、車両のNVH性能の悪化を防止できる。また、凹窪部の内径寸法を、自由状態での止め輪の外径よりも大きく、拡径状態の外径よりも小さくすることによって、止め輪の凹窪部への嵌合性の向上を図ることができる。
DN≦DSとすることよって、シャフトに抜け力が作用した際の止め輪の倒れを防止できて、外れを有効に防止できる。
等速自在継手として、摺動式であっても、固定式であってもよく、さらには、ドライブシャフトに用いるものであっても、プロペラシャフトに用いるものであってもよいので、汎用性に優れる。
本発明の実施形態を示す等速自在継手の内側継手部材とシャフトとの関係を示す断面図である。 前記図1の等速自在継手の要部拡大断面図である。 等速自在継手の内側継手部材にシャフトを嵌入する前の断面図である。 前記内側継手部材の要部拡大断面図である。 止め輪を示し、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。 ドライブシャフトを示す断面図である。 内側継手部材とシャフトとの要部を示し、(a)は凹窪部の内径と嵌着状態の止め輪の外径との関係を示す拡大図であり、(b)は凹窪部の内径と拡径状態の止め輪の外径との関係を示す拡大図である。 内側継手部材とシャフトとの関係を示し、(a)は抜け力が作用する前の拡大図であり、(b)は抜け力が作用している状態の拡大図である。 内側継手部材とシャフトとの参考図を示し、(a)は抜け力が作用する前の拡大図であり、(b)は抜け力が作用している状態の拡大図である。 本発明の他の実施形態を示す等速自在継手の内側継手部材とシャフトとの関係を示す断面図である。 前記図10に示す等速自在継手の要部拡大断面図である。 前記図10に示す等速自在継手の止め輪と凹窪部との関係を示す正面図である。 前記図10に示す等速自在継手の内側継手部材にシャフトを嵌入する前の断面図である。 前記図10に示す等速自在継手の内側継手部材の要部拡大断面図である。 前記図10に示す等速自在継手の内側継手部材の正面図である。 前記図10に示す等速自在継手に用いる止め輪を示し、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。 前記図10に示す等速自在継手の組立方法を示し、(a)は止め輪がシャフトの周方向溝に嵌合する前の要部断面図であり、(b)は止め輪がシャフトの周方向溝に嵌合した状態の要部断面図であり、(c)は止め輪の膨出部と内側継手部材の座ぐり部との位相合わせが完了した状態の要部断面図である。 従来の等速自在継手の抜け止め構造の分解図である。 従来の等速自在継手の内側継手部材とシャフトとの関係を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図6に本発明にかかるドライブシャフトを示す。このドライブシャフトは、アウトボード側の等速自在継手1と、インボード側の等速自在継手2と、一端部がアウトボード側の等速自在継手に連結されるとともに他端部がインボード側の等速自在継手2に連結されるシャフト3とを備える。アウトボード側の等速自在継手1が2軸間の角度変位のみを許容する固定型であり、インボード側の等速自在継手2が角度変位および軸方向変位を許容する摺動型である。
すなわち、アウトボード側の等速自在継手1は、外側継手部材5と、外側継手部材5の内側に配された内側継手部材6と、外側継手部材5と内側継手部材6との間に介在してトルクを伝達する複数のボール7と、外側継手部材5と内側継手部材6との間に介在してボール7を保持するケージ8とを主要な部材として構成される。内側継手部材6はその軸孔にシャフト3の端部3aを嵌入することによりスプライン嵌合してシャフト3とトルク伝達可能に結合されている。
外側継手部材5はその内球面13に、軸方向に延びた複数のトラック溝14が円周方向等間隔に形成されている。内側継手部材6は、その外球面15に、軸方向に延びた複数のトラック溝16が円周方向等間隔に形成されている。
外側継手部材5のトラック溝14と内側継手部材6のトラック溝16とは対をなし、各対のトラック溝14,16で構成されるボールトラックに1個ずつ、トルク伝達要素としてのボール7が転動可能に組み込んである。ボール7は外側継手部材5のトラック溝14と内側継手部材6のトラック溝16との間に介在してトルクを伝達する。ケージ8は外側継手部材5と内側継手部材6との間に摺動可能に介在し、外球面にて外側継手部材5の内球面と接し、内球面にて内側継手部材6の外球面と接する。なお、この場合の等速自在継手は、ツェパー型を示している。
また、外側継手部材5の開口部はブーツ18にて塞がれている。ブーツ18は、大径部18aと、小径部18bと、大径部18aと小径部18bとを連結する蛇腹部18cとからなる。大径部18aが外側継手部材5の開口部に外嵌され、この状態でブーツバンド19aにて締結され、小径部18bがシャフト3のブーツ装着部3bに外嵌され、この状態でブーツバンド19bにて締結されている。
インボード側の等速自在継手2は、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ型等速自在継手)とされ、円筒状の内径面21に複数の直線状のトラック溝22を軸方向に形成した外側継手部材23と、球面状の外径面24に複数の直線状のトラック溝25を軸方向に形成した内側継手部材26と、外側継手部材23のトラック溝22と内側継手部材26のトラック溝25とが協働して形成されるボールトラックに配された複数のトルク伝達ボール27と、トルク伝達ボール27を保持する保持器28とで構成される。内側継手部材26はその軸孔にシャフト3の端部3cを嵌入することによりスプライン嵌合してシャフト3とトルク伝達可能に結合されている。
また、外側継手部材23の開口部はブーツ30にて塞がれている。ブーツ30は、大径部30aと、小径部30bと、大径部30aと小径部30bとを連結する蛇腹部30cとからなる。大径部30aが外側継手部材23の開口部に外嵌され、この状態でブーツバンド31aにて締結され、小径部30bがシャフト3のブーツ装着部3dに外嵌され、この状態でブーツバンド31bにて締結されている。
インボード側の等速自在継手2では、内側継手部材26とボール27と保持器28等で構成される内部部品Sは、外側継手部材23を軸方向に沿って往復動する。このため、外側継手部材23の開口部側には、内部部品Sの抜けを規制する抜け止め手段35が設けられている。抜け止め手段35は、一般的には、外側継手部材23の内径面の開口部側に周方向溝36を設け、この周方向溝36に止め輪37を嵌着してなるものである。
等速自在継手2において、抜け止め構造Mにて内側継手部材26の軸孔からのシャフト3の抜けが規制される。抜け止め構造Mとしては、図5等に示すように、止め輪50が用いられる。この止め輪50は、スリット状の切欠部51を有するリング状体であって、切欠端部には内径側に突出する突部が設けられて幅広部52,52が形成されている。そして、この幅広部52,52には、この止め輪50を拡径させる装着工具が挿入される穴部53,53が設けられている。また、この止め輪50は、その断面形状としては、扁平矩形状とされる。なお、図6に示す固定式等速自在継手1においても、内側継手部材6の軸孔からのシャフト3の抜けが規制する必要があるが、この図例のものでは、外側継手部材5のカップ部(マウス部)の底壁が閉じられているので、図6の摺動式等速自在継手2の止め輪50を用いた抜け止め構造Mを適用できない。すなわち、このような止め輪50を用いた抜け止め構造Mは、固定式等速自在継手では、外側継手部材がフランジタイプやディスクタイブ等のカップ部の底壁が閉じられていないものである。
等速自在継手2側に設けられる抜け止め構造Mについて述べると、図1に示すように、シャフト3の端部3cには雄スプライン55が形成され、内側継手部材26の軸孔の内径面には雌スプライン56が形成される。雄スプライン55の端部には周方向凹溝57が形成され、この周方向凹溝57に止め輪50が嵌着されることになる。
この場合、シャフト3の端部3cは、図3に示すように、内側継手部材26に対して矢印A方向に嵌入して、シャフト3の雄スプライン55の端部を内側継手部材26の一方の端面26a(外側継手部材奥側の端面)から突出させる。そして、周方向凹溝57に止め輪50を嵌着することになる。すなわち、幅広部52,52の穴部53,53に装着工具を挿入して、止め輪50を拡径した状態で、シャフト3の端部3cの端面側から軸方向に沿って嵌入することになる。
ところで、内側継手部材26の端面26aには、図2等に示すように、凹窪部60が設けられる。この凹窪部60の深さ寸法L1(図4参照)としては、0.1mm〜0.5mm、好ましくは、0.2mm〜0.4mm程度に設定される。また、凹窪部60の内径をD1とし、図7(a)に示すように、周方向凹溝57に嵌着された状態の止め輪50の外径をD2とし、図7(b)に示すように、止め輪50を拡径させて、雄スプライン55を通過させる際の止め輪50の外径をD3としたときに、D1>D2とする。D1<D3とする。すなわち、D2<D1<D3となる。
止め輪50の肉厚をTとし、周方向凹溝57の幅寸法をWとした場合、W>Tとし、Tを、例えば、1.5mmとした場合、W(T+L1+m)を、1.7mm〜2.1mm程度とる。すなわち、(T+L1+m)=(1.5+0.1+0.1)mm=1.7mmとしたり、(T+L1+m)=(1.5+0.5+0.1)mm=2.1mmとしたりする。なお、L1は、凹窪部60の深さ寸法L1(図4参照)を示し、mは図2等に示す微小すきまを示す。
また、内側継手部材26の雌スプライン56の端面26a側の開口部には、図7等に示すように、チャンファ61が形成され、この入口チャンファ径をDNとし、雄スプライン55のスプライン大径をDSとしたときに、DN>DSとしている。しかしながら、後述するように、DN≦DS(図9(a)参照)とするのが好ましい。
次に、このような抜け止め構造Mを備えた等速自在継手において、内側継手部材26からシャフト3が図8(b)の矢印Bのような抜け力が作用した場合にもシャフト3が内側継手部材26から抜けにくいものであることについて説明する。
まず、抜け力が作用する前は、図8(a)に示すように、止め輪50がシャフト3の周方向凹溝57に嵌合している。すなわち、周方向凹溝57の継手開口側の側面57aと、凹窪部60の底面60aとが同一平面上に配設され、止め輪50の継手奥側の端面50bが周方向凹溝57の継手奥側の側面57bと接触した状態となっている。このため、周方向凹溝57の継手開口側の側面57a乃至凹窪部60の底面60aが成す端面と、止め輪50の端面50aとの間に隙間が形成されている。また、止め輪50の継手開口側の端面50aと、内側継手部材26の端面26aとは、同一平面上に配設されないで、図2に示すように、微小すきまm(図2参照)が設けられる。
この状態において、図8(b)に示すように、内側継手部材26に対して、シャフト3に矢印B方向の引き抜き力が作用した場合、凹窪部60に止め輪50が嵌合状となる。このため、止め輪50が拡径しようとした場合、止め輪50の外径面50cが凹窪部60の周壁60cに接触して拡径が規制される。このため、シャフト3の抜けが規制される。
ところで、このような抜け力が作用した場合、シャフト3の周方向凹溝の反凹窪側の開口端65が作用点となって、雌スプライン56の入口チャンファ61の外径端66が支点となる。この場合、図9(b)に示すように、DN>DS、つまり、H=DN−DS>0であれば、抜け方向側の支点66が、反抜け方向側の作用点65よりも外径側に位置することになって、止め輪50は、外形側が反抜け方向に倒れて外れるおそれがある。これに対して、図9(a)に示すように、DN≦DSであれば、抜け方向側の支点66が、反抜け方向側の作用点65と同一高さ、または内径側に位置することになって、抜け力が作用しても、止め輪が倒れにくいものとなる。
次に図10と図11等に示す抜け止め構造Mは、図12と図16等に示す止め輪50を用いる。この止め輪50は、スリット状の切欠部71を有するリング状体であって、切欠両端部には、外径側に突出する膨出部70が設けられて幅広部72,72が形成されている。そして、この幅広部72,72には、この止め輪50を拡径させる装着工具が挿入される穴部73,73が設けられている。
このため、内側継手部材26の凹窪部60には、図15等に示すような座ぐり部75が設けられ、この座ぐり部75に止め輪50の膨出部70、70が図12に示すように、嵌合する。座ぐり部75としては、図例では、正面視円弧状とされ、膨出部70、70の嵌合状態で、図12の矢印C方向の幅広部72,72の離間動作を規制することができる。なお、座ぐり部75の曲率半径rとしては、止め輪50の幅広部72,72が嵌合して、その離間を規制するものであればよい。このため、座ぐり部75の形状として、円弧状でなくてもよい。
この抜け止め構造Mであっても、凹窪部60乃至座ぐり部75の深さ寸法L1(図14参照)としては、0.1mm〜0.5mm、好ましくは、0.2mm〜0.4mm程度に設定される。また、図11に示すように、凹窪部60の内径をD1とし、周方向凹溝57に嵌着された状態の止め輪50の外径をD2とし、止め輪50を拡径させて、雄スプライン55を通過させる際の止め輪50の外径をD3としたときに、D1>D2とする。D1<D3とする。すなわち、D2<D1<D3となる。
止め輪50の肉厚をTとし、周方向凹溝57の幅寸法をWとした場合、W>Tとし、Tを、例えば、1.5mmとした場合は、Wを、例えば、1.7mm〜2.1mm程度とする。さらに、入口チャンファ径をDNとし、雄スプライン55のスプライン大径をDSとしたときに、図11では、DN>DSであるが、前記理由により、DN≦DSとするのが好ましい。
ところで、図17は、この抜け止め構造Mの組み付け方法を示す。まず、図13に示す状態から、内側継手部材26の軸孔に対して、シャフト3の雄スプライン55を矢印Aのように嵌入して、図17(a)に示すように、周方向凹溝57の継手開口側の側面57aと、凹窪部60の底面60aとが同一平面上に配設されるまで嵌入する。そして、止め輪50を拡径させて、シャフト3の端部3cの端面側から軸方向に沿って矢印のように嵌入することになる。
そして、図17(b)に示すように、シャフト3の周方向凹溝57に止め輪50を嵌合させる。この状態では、止め輪50の継手奥側の端面50bと周方向凹溝57の継手奥側の側面57bとが接触した状態となっている。この場合も、周方向凹溝57の継手開口側の側面57a乃至凹窪部60の底面60aが成す端面と、止め輪50の端面50aとの間に隙間が形成されている。また、止め輪50の継手開口側の端面50aと、内側継手部材26の端面26aとは、同一平面上に配設されないで、図2に示すように、微小すきまmが設けられる。
その後は、止め輪50の幅広部(つまみ部)72,72と内側継手部材26の座ぐり部75との位相合わせを行って、止め輪50の継手開口側の端面50aと、周方向凹溝57の継手開口側の側面57a乃至凹窪部60の底面60aが成す端面に押し付けた状態とする。これによって、図12に示すように、止め輪50の幅広部(つまみ部)72,72が座ぐり部75に嵌合した状態となる。
本発明では、シャフト3に抜け力が作用しても、止め輪50が凹窪部60に嵌合状態となって、その拡径を規制することができ、シャフト3の抜けを防止できる。
凹窪部60の深さを0.1mm〜0.5mmとすれば、シャフト3に抜け力が作用した状態において、止め輪50の拡径を安定して防止でき、シャフト3の抜けを有効に防止でき、しかも、車両のNVH性能の悪化を防止できる。また、凹窪部60の内径寸法を、自由状態での止め輪50の外径よりも大きく、拡径状態の外径よりも小さくすることによって、止め輪50の凹窪部60への嵌合性の向上を図ることができる。
DN≦DSとすることよって、抜け方向側の支点が、反抜け方向側の作用点と同一高さ、または内径側に位置することになって、抜け力が作用しても、止め輪50が倒れにくいものとなる。これによって、外れを有効に防止できる。
ところで、抜け止め構造Mとして、摺動式等速自在継手側についてのみ説明したが、固定式等速自在継手側の抜け止め構造Mも、前記実施形態と同様の構成でもって構成できる。すなわち、シャフト3の固定式等速自在継手側の端部3aに形成される雄スプラインに周方向凹溝57を設けるとともに、内側継手部材6の継手奥側の端面に凹窪部60を設けるようにすればよい。
この場合も、シャフト3の端部3aを内側継手部材6の軸孔に嵌入させて、この雄スプラインを、内側継手部材6の軸孔の内径面の雌スプラインに嵌合させる。そして、内側継手部材6から継手内部に突出したシャフト3の周方向溝に、止め輪50を嵌着すればよい。また、止め輪50として図16に示すようないわゆるC型止め輪を用いる場合、凹窪部60に座ぐり部を設ければよい。
前記実施形態では、ドライブシャフトを示したが、本発明の抜け止め構造Mとしては、プロペラシャフトに用いるものであってもよい。この場合も、固定式等速自在継手のみに用いても、摺動式等速自在継手のみに用いても、両等速自在継手に用いてもてもよい。このため、この抜け止め構造Mは汎用性に優れる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、等速自在継手として、図例では、ツェッパ型の固定式等速自在継手やアンダーカットフリー型の固定式等速自在継手であっても、ダブルオフセット型、クロスグルーブ型、又はトリポード型等の摺動式等速自在継手であってもよい。
凹窪部60の深さと抜け防止及びNVHとの関係を調べた。その結果を次の表1に示す。この場合、凹窪部を有さない従来品と凹窪部を有する発明品とを比較した。従来品と発明品とに用いる等速自在継手として、図6に示すダブルオフセットタイプ(NTN(株)社製のDOJ)のものを用い、また、止め輪としては、図5に示すタイプのものを用いた。
Figure 2013245781
この表1から分かるように、深さ寸法L1(段差幅)が0.2mm以上であれば、従来品に比べて格段に優れた抜け防止効果を示し、0.1mmでは、従来品に比べて優れる効果があった。また、NVH性能では、0.5mmまでは、従来品と同等、もしくは許容レベルであったが、0.6mmではNVH性能の悪化がみられた。なお、止め輪50を図16に示すタイプのものを用い、かつ凹窪部60に座ぐり部75を設けたものを用いた場合も、結果は同じであった。
3 シャフト
23 外側継手部材
26 内側継手部材
27 トルク伝達ボール
50 止め輪
55 雄スプライン
56 雌スプライン
57 周方向凹溝
60 凹窪部
70 膨出部
71 切欠部
75 座くり部
M 抜け止め構造

Claims (5)

  1. 外側継手部材と、この外側継手部材との間でトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔にシャフトの端部が挿入され、抜け止め構造にて内側継手部材の軸孔からのシャフトの抜けが規制される等速自在継手であって、
    前記抜け止め構造は、シャフトの端部の周方向凹溝に嵌着する拡縮可能な止め輪と、この止め輪が相対面する内側継手部材端面に設けられて止め輪嵌合状態での止め輪の拡径を規制する凹窪部を有し、その凹窪みの深さが止め輪の肉厚よりも小さいことを特徴とする等速自在継手。
  2. 前記止め輪は、スリット状の切欠部を有するリング状体であって、切欠両端部には、外径側に突出する膨出部を備え、前記内側継手部材は、凹窪部の深さが0.1mm〜0.5mmで、止め輪の膨出部が嵌合する座ぐり部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
  3. 前記止め輪は、スリット状の切欠部を有するリング状体であって、切欠端部には内径側に突出する突部を備え、断面扁平矩形状であって、前記内側継手部材は、凹窪部の深さを0.1mm〜0.5mmとし、凹窪部の内径寸法を、自由状態での止め輪の外径よりも大きく、拡径状態の外径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手。
  4. 止め輪装着状態における内側継手部材とシャフト間の軸方向のガタを0.5mm以内としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手。
  5. 内側継手部材の軸孔に嵌入されるシャフトの端部には、雄スプラインが形成されるとともに、内側継手部材の軸孔の内径面には雌スプラインが形成され、内側継手部材の雌スプライン入口チャンファ径をDNとし、雄スプラインのスプライン大径をDSとしたときに、DN≦DSとしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の等速自在継手。
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