JP2013245709A - 軸受のリテーナ、および該リテーナを有する軸受を備えた撓み噛合い式歯車装置 - Google Patents

軸受のリテーナ、および該リテーナを有する軸受を備えた撓み噛合い式歯車装置 Download PDF

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Abstract

【課題】動力損失をより低減することのできる軸受のリテーナ、および該リテーナを有する軸受を備えた撓み噛合い式歯車装置を得る。
【解決手段】円環状のリング部28Aと、該リング部28Aから軸方向に突出され転動体の位置を規制する複数の柱部28Bとを有する起振体軸受20のリテーナ28であって、柱部28Bは、周方向において端部28B1、28B2に近づくに従って径方向の厚みtが小さくなる先細り形状とされている。
【選択図】図4

Description

本発明は、軸受のリテーナ、および該リテーナを有する軸受を備えた撓み噛合い式歯車装置に関する。
特許文献1に、非円形の起振体と、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置が開示されている。
起振体と外歯歯車との間には、軸受が配置されている。この軸受は、複数の転動体と該転動体の位置を規制するリテーナとを備えている。リテーナは、円環状のリング部と、該リング部から軸方向に突出された複数の柱部とを有している。軸受の転動体は、この複数の柱部によって位置規制されながら転動する。
特開2011−158072号公報(図1、図2、図4)
円環状のリング部から軸方向に突出された複数の柱部を備えたリテーナを有する軸受の場合、該柱部やリング部によって転動体の位置規制が行われることになるため、該リテーナの柱部やリング部の具体的な形状や構造は、軸受における動力損失に大きく影響する。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、動力損失をより低減することのできる軸受のリテーナ、および該リテーナを有する軸受を備えた撓み噛合い式歯車装置を提供することをその課題としている。
本発明は、円環状のリング部と、該リング部から軸方向に突出され転動体の位置を規制する複数の柱部とを有する軸受のリテーナであって、前記柱部は、周方向において端部に近づくに従って径方向の厚みが小さくなる先細り形状とされた構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明においては、軸受のリテーナの柱部の形状を、周方向において端部に近づくに従って径方向の厚みが小さくなる、所謂「先細り」の形状に構成している。
このため、潤滑剤が軸受空間(転動体およびリテーナの柱部が存在する空間)内に引き込まれてきても、該引き込まれてきた潤滑剤を柱部の径方向内側あるいは外側に沿って円滑に流すことができ、その分、潤滑剤の動きに起因した動力損失をより低減することができる。
なお、本発明は、断面が非円形の起振体と、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した内歯歯車と、前記起振体と外歯歯車との間に配置された軸受と、を備えた撓み噛合い式歯車装置であって、前記軸受は、複数の転動体とリテーナとを備え、該リテーナは、円環状のリング部と、該リング部から軸方向に突出され前記転動体の位置を規制する複数の柱部とを有し、前記柱部は、周方向において端部に近づくに従って径方向の厚みが小さくなる先細り形状とされたことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置と、捉えることもできる。
本発明によれば、動力損失をより低減することのできる軸受のリテーナ、および該リテーナを有する軸受を備えた撓み噛合い式歯車装置を得ることができる。
本発明の実施形態の一例が適用された撓み噛合い式歯車装置の全体構成の一例を示す斜視図 図1の軸心を含む断面図 図2の矢視III−III線に沿う断面図 上記実施形態で適用されているリテーナの全体を示す斜視図 上記リテーナを軸方向中央で切断した部分拡大斜視図 本発明の他の実施形態に係るリテーナの柱部の例を示す断面図 リテーナの近傍における潤滑剤の流れを示す模式図であって、(A)は、負荷が高い領域におけるもの、(B)は、無負荷または軽負荷の領域におけるもの 図7の従来例に相当する模式図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例が適用された撓み噛合い式歯車装置の全体構成の一例を示す斜視図、図2は、図1の軸心O1を含む断面図、図3は、図2の矢視III−III線に沿う断面図である。
この撓み噛合い式歯車装置12は、断面が非円形の起振体14と、該起振体14の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車16と、該外歯歯車16が内接噛合する剛性を有した内歯歯車18と、前記起振体14と外歯歯車16との間に配置された起振体軸受20と、を備える。
以下、各構成要素について詳細に説明を行う。
起振体14は、柱形状とされ、径方向の中央に図示せぬ入力軸が入力される入力軸孔14Aが形成されている。入力軸孔14Aにはキー溝14Bが設けられている。起振体14の断面は、2つの円弧を繋ぎ合わせることで、長軸X−Xおよび短軸Y−Yを有する形状(非円形)に形成されている。
起振体14の外周には、起振体軸受20が配置されている。起振体軸受20は、内輪22、外輪24、ころ(転動体)26、および該ころ26の位置を規制するリテーナ28を備える。なお、内輪22は、後述する第2の起振体軸受20−2と共通である。起振体軸受20については、後に詳述する。
起振体軸受20の外周には、該起振体軸受20の外周に沿って弾性変形する外歯歯車16が組み込まれている。外歯歯車16は、基部16Aおよび外歯部16Bから構成されている。基部16Aは、起振体軸受20の外輪24と一体化され、起振体14の外周に沿って弾性変形する。外歯部16Bは、基部16Aと一体化され、基部16Aの変形に倣って弾性変形する。
外歯歯車16の外歯部16Bは、内歯歯車18に内接噛合している。内歯歯車18は、剛性を有した部材で構成され、図示せぬケーシングと一体化・固定されている。内歯歯車18の内歯の数は外歯歯車16の外歯部16Bの外歯の数よりも2の倍数(この実施形態では2)だけ多い。
この実施形態では、以上のような構成要素からなる撓み噛合い機構を有し、入力軸の回転によって起振体14を回転させることにより、該起振体14の長軸X−X位置の近傍で外歯歯車16の外歯部16Bと内歯歯車18とを噛合させ、歯数差に起因して発生する外歯歯車16の自転成分を取り出す構成とされている。
外歯歯車16は、撓みながら自転するため、該撓み成分を吸収しつつ自転成分のみを取り出す必要がある。この自転成分のみを取り出す構成として、この実施形態では、撓み噛合い機構の起振体14および外歯歯車16の基部16Aを軸方向に(軸心と平行に)延在させている。そして、延在した起振体14と基部16Aの間に、(起振体軸受20と同一構成で、内輪22が共通とされた)第2の起振体軸受20−2を配置すると共に、延在された基部16Aの外周に外歯部16Bと同一の動きをする第2の外歯部16B−2を形成している。そして、該第2の外歯部16B−2と同一の歯数の内歯を備えた剛性を有する出力歯車32を、該第2の外歯部16B−2と「等速噛合」させている。
この等速噛合は、「長軸X−X位置の近傍では深く噛合し合って動力の伝達を行うが、短軸Y−Y位置の近傍では浅く噛合しているため(或いは全く噛合していないため)動力の伝達は行わない」という構成の噛合である。長軸X−X位置および短軸Y−Y位置は回転するが、噛み合っている外歯部16Bの外歯と出力歯車32の内歯は、常に同一の歯同士が噛合しており変化しない。この等速噛合によって外歯歯車16の外歯部16B(および第2の外歯部16B−2)の撓みを吸収しつつ、該外歯部16B(16B−2)の自転成分のみを出力歯車32から取り出すことを可能としている。この取り出し構成は、(従来のいわゆるカップ型と称される外歯歯車を使用した取り出し構成と比較して)各構成要素の軸方向の各位置での伝達トルクをより均一化できるため、転動体として(「玉」ではなく)耐荷重性の高い「ころ26」を使用できるようになるというメリットがある。
ここで、起振体軸受20の構成、特にそのリテーナ28の構成について詳細に説明する。なお、第2の起振体軸受20−2は、起振体軸受20と全く同一の構成である。
主に図2、図3を参照して、起振体軸受20は、起振体14と外歯歯車16との間に配置され、起振体14の外周に沿って外歯歯車16を径方向に撓ませながら円周方向に回転させる軸受である。前述したように、起振体軸受20は、内輪22、外輪24、ころ(転動体)26、および該ころ26の位置を規制するリテーナ28を備える。
内輪22は、可撓性の素材で形成されている。内輪22の内側は起振体14と当接・一体化されており、内輪22は、起振体14とともに弾性変形する。外輪24も可撓性の素材で形成されており、ころ26を介して内輪22の弾性変形に倣って弾性変形する。外輪24の外側は外歯歯車16の基部16Aと当接・一体化されている。また、ころ(転動体)26は、ほぼ円柱体で構成されている。ころ26は、自転、公転を行うと共に、径方向にも変位する。なお、本実施形態における「ころ」には、「ニードル」の概念が含まれる。
ところで、起振体軸受のリテーナは、従来、大きく分けて、2つのタイプが提案されている。その一つは、現在、多くの起振体軸受で採用されているもので、リテーナが起振体に組み込まれたときに該リテーナ自体が、起振体の外周に沿って内外輪と共に径方向に撓むように構成したタイプである。もう一つは、図3に示されるように、リテーナ28が起振体14に組み込まれたときに該リテーナ28自体は、剛性を有していて真円を維持し、内輪22、外輪24およびころ26の全体が該リテーナ28に対して相対的に径方向に変位するように構成したタイプである。
この実施形態においては、後者(図3)の真円を維持するタイプのリテーナ28を採用するようにしている。その理由は、本実施形態では、「ころ26」を転動体として採用しているため、リテーナ28がころ26と共に撓む構成とすると、ころ26は、常にリテーナ28あるいは内外輪22、24と相応の圧力で接触するようになることから、軸方向における接触圧力のバランスが僅かでも崩れると、容易にスキューが発生してしまう虞があるためである。この点、この図3のタイプは、後述するように、短軸Y−Y位置の近傍で、ころ26を無負荷(あるいは無負荷に近い状態)とすることができ、このときに一度発生したスキューを矯正することが可能である。
図4、図5に本実施形態のリテーナ28の具体的な構成を示す。既に述べたように、このリテーナ28は、剛性を有し、該リテーナ28が起振体14に組み込まれたときに常に真円を維持する。このリテーナ28は、円環状の一対のリング部28Aと、該一対のリング部28Aから軸方向に突出された複数の柱部28Bとを有する。一対のリング部28Aは、この柱部28Bによって連結されている。
柱部28Bは、周方向において等間隔に複数配置されている。柱部28Bは、ころ26を各柱部28Bの間(ポケット)に収容し、ころ26の周方向の位置を規制する。各柱部28Bは、周方向において端部28B1、28B2に近づくに従って径方向の厚みtが小さくなる先細り形状となるように形成される。この実施形態の場合、柱部28Bは、周方向前側(ころ26の公転方向前側)の端部28B1、および周方向後側(ころ26の公転方向後側)の端部28B2の双方とも、先細り形状とされている。即ち、柱部28Bは、その周方向中央に対して、公転方向および反公転方向に対称である。なお、端部28B1、28B2側とで形状が異なっていてもよい。
また、この実施形態では、端部28B1、28B2は、軸直角断面で2等辺三角形の形状となる先細り形状とされている。すなわち、柱部28Bは、径方向中央に対しても、径方向内側方向および外側方向にほぼ対称となるように構成されている。ころ26の周方向の位置決めは、柱部28Bの当該先細り形状とされた先端部28B1a、28B2aにて行われる。なお、先端部28B1a、28B2aは、実際には、適宜丸みが付けられている。
次に、この撓み噛合い式歯車装置12の作用を説明する。
図示しない入力軸の回転により、起振体14が回転すると、起振体軸受20を介して、外歯歯車16の外歯部16Bが撓み変形する。なお、このとき、外歯部16Bの延長部である第2の外歯部16B−2も、第2の起振体軸受20−2を介して、外歯部16Bと同位相で撓み変形する。
外歯歯車16の外歯部16Bが起振体14で撓み変形されることにより、(起振体14の長軸X−X位置に相当する)外歯部16Bと内歯歯車18との噛合位置が回転してゆく。起振体14が1回転すると、外歯歯車16は内歯歯車18との歯数差に相当する分だけ回転位相が遅れる。つまり、固定状態にある内歯歯車18に対し、外歯部16B(および第2の外歯部16B−2)は、歯数差に相当する分だけ自転することになる。この自転成分(減速された回転)が、第2の外歯部16B−2と等速噛合している出力歯車32から(第2の外歯部16B−2の撓みを吸収しながら)取り出される。
ここで、起振体軸受20のころ26の周速(公転速度)は、軌道が円形でないため、長軸X−X位置の近傍において速く、短軸Y−Y位置の近傍において遅くなる傾向となる。すなわち、入力軸(起振体14)の回転速度が一定であっても、起振体軸受20内のころ26は、その公転位置によってそれぞれ周速が異なることになる。したがって、各柱部28Bところ26の周方向の間隔(隙間:図7参照)S1が狭すぎると、この速くなったり遅くなったりするころ26の周速の変化を吸収することができなくなってしまう。
このため、本実施形態の撓み噛合い式歯車装置12の起振体軸受20にあっては、ころ26と柱部28Bとの間に、通常の真円の軸に装着される軸受と比較してより大きな周方向の隙間S1が確保され、その分、軸受空間(内輪22と外輪24とに囲まれた空間:より具体的には、ころ26およびリテーナ28の柱部28Bが存在する空間)P1内に潤滑剤が流入し易く、且つ該軸受空間P1内で潤滑剤が移動し易くなっている。
この背景を踏まえた上で、起振体軸受20のリテーナ28の作用について詳細に説明する。
図7は、リテーナ28の近傍における潤滑剤の流れを示す模式図であって、(A)は、長軸X−X位置の近傍(負荷領域)、(B)は、短軸Y−Y位置の近傍(無負荷または軽負荷領域)の状態をそれぞれ示している。また、図8は、図7の従来例に相当する模式図である。便宜上、図8の従来例の模式図から説明する。
図8の(A)に示されるように、長軸X−X位置の近傍、すなわち負荷領域においては、内輪22の高速回転によって潤滑剤が軸受空間P1内に引き込まれると、従来は、リテーナ28tの柱部28Btの周方向前側(ころ26の公転方向前側)の端部28B1tが平坦な形状であったことから、リテーナ28tはこの引き込まれてきた潤滑剤を押し分けるようにして進むことになり、動力損失が大きくなっていた。
また、図8の(B)に示されるように、短軸Y−Y位置の近傍、すなわち無負荷(または軽負荷)の領域においては、ころ26と内輪22との間、あるいはころ26と外輪24との間にも隙間S2、S3が発生するため、より多くの潤滑剤が軸受空間P1内に流入してくることになり、リテーナ28tの柱部28Btの周方向(ころ26の公転方向)後側の周方向端部28B2t付近で複雑な渦や乱流が発生した。そのため、ころ26は、この潤滑剤の複雑な渦や乱流の中を、押し分けながら進むことになり、ここでも動力損失が発生し易くなっていた。
これに対し、本実施形態に係る起振体軸受20のリテーナ28によれば、図7の(A)に示されるように、柱部28Bが周方向前側(ころ26の公転方向前側)の端部28B1に近づくに従って径方向の厚みtが小さくなる先細り形状とされている。このため、特に、長軸X−X位置の近傍の負荷領域において、リテーナ28の柱部28Bが潤滑剤を押し分ける抵抗を小さく抑えることができる。
また、図7(B)に示されるように、この実施形態では、柱部28Bの周方向後側(ころ26の公転方向後側)についても、周方向において端部28B2に近づくに従って、径方向の厚みtが小さくなる先細り形状とされている。このため、特に、短軸Y−Y位置の近傍の無負荷(或いは軽負荷)の領域において、潤滑剤を円滑に柱部28Bの上下に誘導する効果が得られ、柱部28Bの周方向後側の端部28B2の近傍に渦や乱流が発生するのを防止できる。これにより、ころ26が潤滑剤を押し分ける抵抗を軽減することが可能となり、この点でも動力損失の低減された運転を行うことが可能となる。
とりわけ、この実施形態においては、周方向の両端部28B1、28B2とも先細り形状としているため、上述したように、ころ26の公転方向の前側および後側の双方において動力損失を低減することができる。また、先細り形状とされた先端部28B1a、28B2aの径方向位置が柱部28Bの径方向の中央に位置し、かつ軸直角断面で2等辺三角形の形状となる先細り形状とされていることから、潤滑剤を柱部28Bの外側および内側にほぼ均等に振り分けて円滑に流すことができる。
特に、この実施形態では、柱部28Bの先細り形状の先端部28B1a、28B2aで、ころ26の周方向の位置決めを行うようにしているため、潤滑剤の流れが「リテーナ28ところ26の位置決めのための当接」によって阻害されることがない。この点についてより具体的に説明すると、リテーナ28は、その本来の機能、すなわち「ころ26の位置を規制するという機能」を果たすためには、必然的にころ26と当接することになるが、もし、ころ26とリテーナ28との当接部が先細り形状の先端部28B1a、28B2a以外の箇所に存在すると、せっかく先端部28B1a、28B2aによって潤滑剤の流れが整理・案内されても、この当接部の近傍で再び潤滑剤は当該円滑な流れが阻害されてしまうことになる。この不具合は、本実施形態のように、転動体としてころ26を採用した場合に、(リテーナ28ところ26が線で接触するため)顕著となり易い。しかし、この実施形態では、先細り形状の先端部28B1a、28B2aでころ26の周方向の位置決めを行っているため、潤滑剤はこの先端部28B1a、28B2aで径方向内側と外側とに分流され、そのまま(抵抗なく)流れることができる。なお、この効果は、転動体が「玉」で構成されているときにも得られる効果である。
また、この実施形態では、リテーナ28を剛性を有する素材で構成し、リテーナ28が起振体14に組み込まれたときに該リテーナ28自体は(撓まずに)真円を維持するように構成している。そのため転動体に「ころ26」を採用していながら、スキューを効果的に抑制することができている。すなわち、この構成により、ころ26は、仮に、何らかの原因でスキューが発生したとしても、短軸Y−Y位置の近傍においては、内外輪22、24から受ける負荷が0、または0に近い値にまで低減されるため、ほぼ無負荷状態下におかれる。このため、ころ26は先端部28B1a、28B2aと当接することによって容易に整列させられ、スキューが解消されるという効果も得られる。
何よりも、本実施形態では、このスキューの抑制効果があるが故に、転動体に(玉ではなく)高い荷重に耐えられるころ26を使用することができている。このため、伝達トルクを高めることができると共に、起振体軸受20の長寿命化が可能となる。
本発明には、さまざまなバリエーションが考えられる。
まず、上記実施形態においては、リテーナ28を剛性を有する素材で構成し、リテーナ28が起振体14に組み込まれたときに該リテーナ28自体は(撓まずに)真円を維持するように構成した例が示されていたが、本発明は、リテーナ自体が内外輪や転動体と共に撓むように構成した場合にも適用可能であり、基本的に上述した作用効果と類似する効果を得ることができる。特に、転動体に玉を採用した場合には、スキューの問題が発生しないため、リテーナ自体を撓ませる構成を、問題なく採用することができる。
また、上記実施形態においては、柱部28Bは、周方向の両端部28B1、28B2とも、先細り形状とされていたが、片側の端部のみを先細り形状とするものであってもよい。特に、本発明を撓み噛合い式歯車装置の起振体軸受に適用する場合、例えば、上記実施形態で詳述したように、リテーナの周方向前側と後側(転動体の公転方向前側と後側)とでは、リテーナと転動体の関係は同一ではなく、先細り形状としたときの作用効果も同一ではない。したがって、必ずしも両端部を先細り形状とする必要はなく、実際、周方向片側の端部のみに適用しても相応の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、先細り形状とされた先端部28B1a、28B2aの径方向位置が、柱部28Bの径方向の中央に位置し、かつ軸直角断面で2等辺三角形の形状となる先細り形状とされていた。しかし、本発明の先細りの形状は、この形状に限定されない。例えば、撓み噛合い式歯車装置の起振体軸受において、該軸受の転動体がころであり、リテーナが真円を維持する軸受であるときであって、スキューの矯正をより優先する場合には、例えば、図6の(A)に示されるように、「起振体の短軸位置」において、先細り形状とされた先端部28B1eの径方向位置R2が、ころ26の径方向の中心Roにより近い位置で当接するように、柱部28Bの径方向の中央Rcよりδ1だけ内側に位置しているような構成としてもよい。これにより、先述した短軸位置でのスキューの矯正効果をより確実に得ることができるようになる。なお、先細りの角度α、βも内側と外側とで必ずしも等しくする必要はない。
一方、同じく撓み噛合い式歯車装置の起振体軸受において、例えば軸受の転動体が玉であり、リテーナが起振体に組み込まれたときに該リテーナが真円を維持しない軸受であるときは、(内外輪、転動体、およびリテーナ間に径方向の相対変位が殆どないため)上述したように、先細り形状とされた先端部の径方向位置が、柱部28Bの径方向の中央Rcに位置しているのが好ましい。しかし、この場合でも、例えば図6の(B)で示されるように、敢えて先端部28B1fの径方向位置R3を径方向中央Rcからずらすようにしてもよい。これにより、柱部28Bの内輪22側を流れる潤滑剤の量を少なくすると共に、柱部28Bの外輪24側を流れる潤滑剤の量を多くすることができる。図6に示されるように、柱部28Bの内側は、周速が速く且つ潤滑剤が流れる方向とは逆方向に内輪22が回転しているが、外側は、潤滑剤が流れる方向と同一の方向に外輪24が回転しているため、このように内輪22側に誘導される潤滑剤の量をより少なくすることにより、一層の動力損失の低減を図ることができる。
また、上記実施形態では、柱部28Bの先細り形状の先端部28B1a、28B2aで、ころ26の周方向の位置決めを行うようにすることで、先端部28B1a、28B2aによって整理・案内された潤滑剤の流れが「リテーナ28ところ26の位置決めのための当接」によって阻害されることがないように構成していた。しかし、本発明は、柱部の先細り形状の先端部以外の箇所で、転動体の周方向の位置決めを行うことを禁止するものではなく、設計によっては、先端部以外の箇所で(あるいは先端部以外の箇所でも)転動体の位置規制を行うものであってもよい。
また、上記実施形態においては、外歯歯車16の外歯部16Bの自転成分の取り出しに当たって、第2の外歯部16B−2および該第2の外歯部16B−2と等速噛合する出力歯車32を備えるようにしていたが、本発明は、どのような構成で外歯歯車の自転成分を取り出すかについては、特に限定されず、例えば、軸方向片側の側部が解放された(所謂カップ型の)外歯歯車を用いて、該外歯歯車の軸方向他側から直接動力を取り出す構成としてもよい。
また、本発明は、これまで述べてきたように、撓み噛合い式歯車装置の起振体軸受に適用すると、特に顕著な効果が得られるが、本発明は、そもそも撓み噛合い式歯車装置の起振体軸受のみに用途が限定されるものはなく、例えば、剛体の外歯歯車が揺動しながら内歯歯車に内接噛合する偏心揺動型の遊星歯車装置の軸受に適用することもでき、また、より一般的な通常の平行軸歯車装置、或いは直行軸歯車装置等の(真円の軸に使用する)軸受にも適用することができ、同様に動力損失の低減という効果が得られる。さらには、必ずしも歯車装置に限定されず、歯車装置以外の軸受、例えば、プーリ装置やチェーン装置等の軸受にも適用可能である。
また、上記実施形態においては、リング部を柱部の軸方向両側に有するリテーナが例示されていた。この構成に係るリテーナは、潤滑剤が2つのリング部の間に閉じ込められるような状態となるため、本発明の効果がより顕著に得られるが、本発明は、リング部を柱部の軸方向片側にのみ有するリテーナにも適用することができ、相応の効果が得られる。
12…撓み噛合い式歯車装置
14…起振体
16…外歯歯車
16A…基部
16B…外歯部
18…内歯歯車
20…起振体軸受
22…内輪
24…外輪
26…ころ(転動体)
28…リテーナ
28A…リング部
28B…柱部
28B1、28B2…端部
t…径方向の厚み

Claims (8)

  1. 円環状のリング部と、該リング部から軸方向に突出され転動体の位置を規制する複数の柱部とを有する軸受のリテーナであって、
    前記柱部は、周方向において端部に近づくに従って径方向の厚みが小さくなる先細り形状とされた
    ことを特徴とする軸受のリテーナ。
  2. 請求項1において、
    前記柱部は、前記周方向の両端部とも、前記先細り形状とされた
    ことを特徴とする軸受のリテーナ。
  3. 請求項1または2において、
    前記先細り形状とされた先端部の径方向位置が、前記柱部の径方向の中央に位置し、かつ軸直角断面で2等辺三角形の形状となる先細り形状とされている
    ことを特徴とする軸受のリテーナ。
  4. 請求項1または2において、
    前記先細り形状とされた先端部の径方向位置が、前記柱部の径方向の中央より内側に位置している
    ことを特徴とする軸受のリテーナ。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記柱部の前記先細り形状の先端部で、前記転動体の周方向の位置決めを行う
    ことを特徴とする軸受のリテーナ。
  6. 断面が非円形の起振体と、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した内歯歯車と、前記起振体と外歯歯車との間に配置された軸受と、を備えた撓み噛合い式歯車装置であって、
    前記軸受は、複数の転動体とリテーナとを備え、
    該リテーナは、円環状のリング部と、該リング部から軸方向に突出され前記転動体の位置を規制する複数の柱部とを有し、
    前記柱部は、周方向において端部に近づくに従って径方向の厚みが小さくなる先細り形状とされた
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  7. 請求項6において、
    前記軸受は、前記転動体がころであるとともに、前記起振体に組み込まれたときに前記リテーナが真円を維持する軸受であり、
    前記先細り形状とされた先端部の径方向位置が、前記柱部の径方向の中央より内側に位置している
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  8. 請求項6において、
    前記軸受は、前記転動体が玉であるとともに、前記起振体に組み込まれたときに前記リテーナが真円を維持しない軸受であり、
    前記先細り形状とされた先端部の径方向位置が、前記柱部の径方向の中央に位置している
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
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