JP2013242214A - 電気化学測定用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素材料を用いた電気化学測定用電極で、耐蝕性が強く、酸化側還元側ともに電位窓が広いという炭素材料の特性を発揮した高い精度の測定ができるようにする。
【解決手段】この電気化学測定用電極は、絶縁層101の上に形成された2つの櫛形電極102,櫛形電極103を備える。櫛形電極102は櫛歯部121を備え、櫛形電極103は櫛歯部131を備える。櫛形電極102と櫛形電極103とは、櫛歯部121と櫛歯部131とが交互に入り込んで対向配置されている。加えて、この電気化学測定用電極は、櫛形電極102および櫛形電極103の少なくとも一方が、グラフェンから形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】この電気化学測定用電極は、絶縁層101の上に形成された2つの櫛形電極102,櫛形電極103を備える。櫛形電極102は櫛歯部121を備え、櫛形電極103は櫛歯部131を備える。櫛形電極102と櫛形電極103とは、櫛歯部121と櫛歯部131とが交互に入り込んで対向配置されている。加えて、この電気化学測定用電極は、櫛形電極102および櫛形電極103の少なくとも一方が、グラフェンから形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電気化学的な測定で用いられる電気化学測定用電極に関するものである。
電気化学測定は、溶液中の水素イオン,微量金属イオン,および生体分子などを対象とした高感度検出に優れた測定法である。測定に使用される電極には、広い電位範囲において安定な材料を用いることが重要である。測定可能な電位範囲(電位窓)は、電極,溶媒,支持電解質によっても異なる。最も一般的な水溶液系の場合、電解質の種類が同一である場合は、第1に、実際の水素発生電位と理論的平衡電位との差(水素過電圧)が大きいものほど電位窓が広い。第2に、実際の酸素の発生電位と理論的平衡電位との差(酸素過電圧)が大きいものほど電位窓が広い。第3に、電極の溶解電位が高いものほど、電位窓が広い。
このような状況の下、電極材料としては金,白金,パラジウムなどの貴金属、また、水銀、また、SnO2,In2O3などの半導体、グラッシーカーボン、結晶性カーボンなどの炭素材料が使用されている。これらの材料の中で、貴金属類は酸素過電圧が高く酸化溶解し難いため、酸化側では広い電位範囲内において測定用電極として使用可能である。しかしながら、貴金属は、水素過電圧が小さいために還元側の測定に使用し難い欠点もあり、使用が限定される。一方、水銀電極では、水素過電圧が大きく還元側の測定には適するが、酸化側では溶解が生じるため酸化反応の測定には使用できない。SnO2、In2O3は透明電極として使用され、測定可能の電位範囲も相当に広いが、還元側では、錫やインジウムに電極が還元される欠点がある。
上述した電極材料に対し、炭素材料は、耐蝕性が強く、酸化側還元側ともに電位窓が広い。この特徴により、炭素材料による電極は、他の材料で作製した電極に比べて多種類の物質の電気化学検出が可能となり、電気化学用電極として利用する場合の長所となっている。
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しかしながら、現在一般に用いられている炭素材料による電極は、構造が不定であることが原因となり、耐蝕性が強く、酸化側還元側ともに電位窓が広いという炭素材料の特性を発揮した高い精度の測定ができないという問題がある。
炭素を用いた電極には、様々な形態があり、多種多様の製造方法がある。例えば、グラッシーカーボン、アモルファスカーボン、スパッタカーボン、などの呼称で知られる多様な形態がある。電気化学反応は、溶液中における電極表面での電子移動反応であり、電極表面の形状(状態)は、電気化学反応の効率や反応物質の選択性に重要な影響を及ぼす。しかしながら、上記の炭素材料の表面構造は多様であり、かつ完全には同定されていない。このことが、炭素材料で作製された電気化学電極の性能発揮を阻害する制限となっている。
近年は、電気化学検出装置の小型化や集積化に対する要求、あるいは測定対象の微量化に対する要求を満たすべく、電気化学電極自体の小型化が望まれている。電気化学電極の小型化は、電極サイズが減少するに従って応答が速くなるという利点がある反面、電気化学電流は電極面積に比例して増減するため一般的に感度が悪くなるという欠点がある。これらの点を解決するために、様々な電極形状を有する微小電極が検討されている。この電気化学電極の小型化は、上記の構造不定性の影響をさらに顕著に受けることになる。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、炭素材料を用いた電気化学測定用電極で、耐蝕性が強く、酸化側還元側ともに電位窓が広いという炭素材料の特性を発揮した高い精度の測定ができるようにすることを目的とする。
本発明に係る電気化学測定用電極は、絶縁層の上に形成されて交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極を備え、少なくとも一方の櫛形電極は、グラフェンから形成されている。ここで、少なくとも一方の櫛形電極は、複数層グラフェンから構成されていてもよい。また、他方の櫛形電極は、金属から構成されていてもよい。なお、グラフェンは、SiCを加熱することで形成されたものであればよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、炭素材料を用いた電気化学測定用電極で、耐蝕性が強く、酸化側還元側ともに電位窓が広いという炭素材料の特性を発揮した高い精度の測定ができるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における電気化学測定用電極の構成を示す平面図である。この電気化学測定用電極は、絶縁層101の上に形成された2つの櫛形電極102,櫛形電極103を備える。櫛形電極102は櫛歯部121を備え、櫛形電極103は櫛歯部131を備える。櫛形電極102と櫛形電極103とは、櫛歯部121と櫛歯部131とが交互に入り込んで対向配置されている。加えて、この電気化学測定用電極は、櫛形電極102および櫛形電極103の少なくとも一方が、グラフェンから形成されている。
グラフェンは、炭素材料の新規形態として注目を集めている。グラフェンは、炭素のsp2混成軌道による結合のみから構成される原子層一層分の厚さを有する平面状の炭素材料である。グラフェンは、高い移動度を有するなど、二次元的な構造に起因する特異な電子物性が明らかにされて以来、世界的に研究が加速している。
グラフェンの作製方法は、グラフェンが多数重なった構造を持つグラファイトを、基板上に押し付けて剥離・転写する方法が一般的である(非特許文献1参照)。炭素含有原料を用いてグラフェンを生成する方法も多く開発されている。例えば、シリコンカーバイド(SiC)の熱分解(非特許文献2参照)、ニッケルや銅などの触媒金属表面での化学気相成長法(非特許文献3,4参照)、分子線エピタキシ法(非特許文献5参照)などが知られている。
ここで、グラフェンから構成した本実施の形態における電気化学測定用電極は、表面の状態などが特定されたものと言える。前述したように、グラフェンは、炭素のsp2混成軌道による結合のみから構成されており、単結晶の構造体と言え、シート状の表面および端面の状態は、均一であり、既知の状態である。従って、より小型の電極形状を形成する場合、既知である表面構造に基づく設計が可能となり、高感度化や高選択性の付加も可能となる。このような設計は、グラッシーカーボン、アモルファスカーボン、スパッタカーボンなどの表面状態などが特定できない炭素材料では困難であった。また、グラフェンを用いた実施の形態の電気化学測定用電極によれば、これまで実現が困難あるいは不可能であった測定対象への応用も期待できる。
次に、本実施の形態における電気化学測定用電極を用いた電極チップの構成例について図2,図3,図4を用いて説明する。図2,図3,図4は、本実施の形態における電気化学測定用電極を用いた電極チップの構成を示す斜視図である。
まず、図2を用いて電極チップについて説明する。この電極チップは、SiCからなる基板201と、基板201の上に形成されたグラフェンからなる櫛形電極202および櫛形電極203を備える。また、櫛形電極202には、電極パッド204が接続され、櫛形電極203には、電極パッド205が接続されている。電極パッド204,電極パッド205は、例えば、Auなどの金属から構成されている。また、電極パッド204および電極パッド205以外の領域を覆う絶縁層206を備える。絶縁層206は、櫛形電極202および櫛形電極203の櫛歯部が露出する開口部207を備える。
各櫛形電極を構成するグラフェンは、基板201の表面のSiCを熱分解することで生成することができる。また、ニッケルや銅などの触媒になる金属表面に化学気相成長法により生成されたグラフェンや分子線エピタキシにより生成されたグラフェンを用いることができる。これらの場合、成長させたグラフェンやグラファイトを、転写法によってチップとする基板に転写して形成したグラフェンより各櫛形電極を形成すればよい。このように転写して形成する場合、基板の選択には制限がなく、ガラス,金属,プラスチック,セラミクスなどの基板が使用できる。さらに、各櫛形電極を、複数層のグラフェンから構成してもよい。グラフェンの層数の制御は、例えば、SiCの熱分解法では、製造の条件を変えることなどで実現できる。また、転写法では、転写の回数を増やすことなどで、グラフェンの層数の制御が実現できる。
上述したようにすることで、基板201の上に形成したグラフェンを、公知のリソグラフィ技術およびエッチング技術により加工することで、櫛形電極202および櫛形電極203が形成できる。また、電極パッド204,電極パッド205についても同様であり、公知のリソグラフィ技術およびエッチング技術や、リフトオフ法などにより形成できる。また、絶縁層206は、感光性を有するレジスト材料から構成すればよく、この場合、リソグラフィのみで開口部207を有する形状が形成できる。
また、各櫛形電極の櫛歯部の数、長さ、幅、かみ合った状態で交互に配置されている櫛歯部の間隔についての制限はない。櫛歯部の数は、加工対象となるグラフェンの大きさに依存し、例えば、10〜200対の範囲で作製することができる。また、櫛歯部の長さは、加工対象となるグラフェンの大きさに依存し、例えば、1〜20mmの範囲で作製することができる。また、櫛歯部の幅は、加工対象となるグラフェンの大きさに依存し、1〜20μmの範囲で作製することができる。また、隣り合う櫛歯部の間隔は、加工対象となるグラフェンの大きさに依存し、1〜20μmの範囲で作製することができる。
この電気化学測定用電極を形成したチップを用いた電気化学測定に際しては、開口部207に露出する櫛歯部に、測定対象溶液を滴下すればよい。また、開口部207に露出する櫛歯部に測定対象が接触するように、測定対象溶液にチップを浸漬して測定を行えばよい。この場合、電極パッド204,電極パッド205は、溶液には接触しない状態とする。
次に、図3を用いて電極チップについて説明する。この電極チップは、SiCからなる基板201と、基板201の上に形成されたグラフェンからなる櫛形電極202を備える。また、この電極チップは、金属から構成した櫛形電極303を備える。櫛歯電極303は、例えば、Au,Pt,Agなどから構成すればよい。また、櫛形電極202には、電極パッド204が接続され、櫛形電極303には、電極パッド205が接続されている。また、電極パッド204,電極パッド205以外の領域を覆う絶縁層206を備える。絶縁層206は、櫛形電極202および櫛形電極303の櫛歯部が露出する開口部207を備える。櫛形電極303以外は、図2を用いて説明した電極チップと同様である。
ここで、上述した絶縁層206は、レジスト材料に限らず、酸化シリコンなどの酸化物から構成してもよい。また、絶縁層を用いずに構成してもよい。また、図4の電極チップに示すように、グラフェンから構成されている櫛形電極202の上面に絶縁層401を形成する構成としてもよい。この場合、櫛形電極202の電極として機能する領域は、端部(側部)となる。この構成とすることで、測定溶液は、グラフェンからなる櫛形電極202の端部のみに接触する状態となり、グラフェン端に選択的に反応する物質の検出に応用することができる。
次に、本実施の形態における電気化学測定用電極の製造方法について説明する。
[製造方法例1]
はじめに、製造方法例1について説明する。まず、図5Aに示すように、単結晶の6H−SiC(0001)(米国Wide Band Gap社製)からなる基板(絶縁層)501を用意する。基板501は、1辺10mmの正方形の板に成型してある。基板501は、絶縁基板である。次に、基板501を、アルゴンガス中(104Pa)で1800℃に加熱し、図5Bに示すように、基板501表面の全体に一層のグラフェン502を成長させた。
はじめに、製造方法例1について説明する。まず、図5Aに示すように、単結晶の6H−SiC(0001)(米国Wide Band Gap社製)からなる基板(絶縁層)501を用意する。基板501は、1辺10mmの正方形の板に成型してある。基板501は、絶縁基板である。次に、基板501を、アルゴンガス中(104Pa)で1800℃に加熱し、図5Bに示すように、基板501表面の全体に一層のグラフェン502を成長させた。
次に、図5Cに示すように、グラフェン502の上に、櫛形のレジストパターン503を形成した。例えば、グラフェン502を形成した基板501をアセトンおよびエタノールで洗浄した後、90℃のホットプレート上に2分間載置して乾燥させる。次いで、グラフェン502の上に、フォトレジスト(独micro resist technology社製:S1813)によるフォトレジスト膜を形成する。例えば、上記フォトレジストをグラフェン502の上に滴下し、基板501を回転させるスピンコート法により、膜厚約1μmのフォトレジスト膜が形成できる。
次に、90℃に設定したホットプレート上に基板501を5分間載置することで、塗布したフォトレジスト膜をプリベークした。次に、対となるかみ合った櫛形電極の形状のCrパターンを備えるフォトマスクを用いた露光により、上記形状の潜像をフォトレジスト膜の上に形成する。この露光は、例えば、等倍のコンタクト露光機(ミカサ社製:MA−10)を用い、所定の光量で、10秒間密着露光すればよい。このようにして露光した後、室温(23℃)下で60秒間の現像処理により、潜像をパターン化した。上記フォトレジストは、ポジ型であり、光が照射された箇所が、以下の現像処理により現像液に溶解し、光が照射されない領域が、現像処理後にパターンとして残る。現像処理をした後は、水洗および乾燥を行った。これらのフォトリソグラフィにより、グラフェン502の上に、レジストパターン503が形成できる。
次に、形成したレジストパターン503をマスクとしてグラフェン502を選択的にエッチング除去し、図5Dに示すように、基板501の上に、グラフェンからなる櫛形電極504および櫛形電極505を形成する。ここでは、各々3本の櫛歯を備える櫛形電極504および櫛形電極505を形成した。なお、図5Dでは、レジストパターンを除去した後の状態を示している。このエッチングでは、例えば、プラズマリアクタ装置(ヤマト科学社製:PR301)を用い、この装置の処理室内に基板501を載置し、毎分30mLの酸素ガス流量下、高周波出力100Wの条件で60秒間エッチングを行えばよい。このエッチングにより、レジストパターン503に覆われていないグラフェン502が除去され、櫛形電極504および櫛形電極505が形成できる。このようにして各櫛形電極を形成した後、基板501をアセトンに30分間浸漬すれば、レジストパターン503が除去できる。
次に、図5Eに示すように、電極パッド形成領域に開口506a,開口506bを備えるレジストパターン506を形成する。レジストパターン506の形成は、上述したレジストパターン503の形成と同様である。次いで、レジストパターン506の上から金属材料を蒸着する。例えば、電子ビーム蒸着装置(アネルバ社製:L−043E−CN)を用い、真空排気している成膜室内で、レジストパターン506が形成されている上より、チタンを5nm、続いて金を200nm蒸着すればよい。
以上のようにして金属材料を堆積(蒸着)した後、蒸着装置より基板501を搬出し、搬出した基板501を液温50℃としたアセトン中に30分間浸漬する。この溶液処理により、レジストパターン506が溶解し、レジストパターン506の上に形成されていた金属材料も除去される。一方、開口506a,開口506bに蒸着されていた金属材料は、このまま残る。このリフトオフ法により、図5Fに示すように、櫛形電極504に接続する電極パッド507および、櫛形電極505に接続する電極パッド508が形成できる。
以上のようにして、櫛形電極504,櫛形電極505,電極パッド507,および電極パッド508を形成した後、図5Gに示すように、絶縁層509を形成する。絶縁層509は、櫛形電極504および櫛形電極505の櫛歯部が露出する開口部510を備える。絶縁層509は、レジストパターンであり、前述したレジストパターン506と同様にパターニングし、大気中200℃にて2時間熱処理(ポストベーク)することで形成できる。
このようにして作製した電気化学測定用電極を用い、1μmol/Lのフェロセン溶液の電気化学応答を測定した。デュアルポテンショスタット(エー・エル・エス社製:Model 832C)を用い、参照電極に対し、櫛形電極504の電位を0.7Vに、櫛形電極505の電位を−0.1Vに設定して測定した結果、飽和電流値550nAを示した。
[製造方法例2]
次に、製造方法例2について説明する。単結晶の6H−SiC(0001)(米国Wide Band Gap社製)からなる基板(絶縁層)601を用意する。基板601は、1辺10mmの正方形の板に成型してある。次に、基板601を、アルゴンガス中(104Pa)で1800℃に加熱し、基板601表面の全体に一層のグラフェンを成長させた。次いで、成長したグラフェンをフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングし、図6Aに示すように、グラフェンパターン602を形成した。このパターニングは、前述した製造方法例1の櫛形電極504および櫛形電極505の場合と同様である。
次に、製造方法例2について説明する。単結晶の6H−SiC(0001)(米国Wide Band Gap社製)からなる基板(絶縁層)601を用意する。基板601は、1辺10mmの正方形の板に成型してある。次に、基板601を、アルゴンガス中(104Pa)で1800℃に加熱し、基板601表面の全体に一層のグラフェンを成長させた。次いで、成長したグラフェンをフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングし、図6Aに示すように、グラフェンパターン602を形成した。このパターニングは、前述した製造方法例1の櫛形電極504および櫛形電極505の場合と同様である。
ここで、グラフェンパターン602は、対となる2つの櫛形電極が形成される領域を含む領域に形成する。
次に、グラファイトから構成する櫛形電極に接続する電極パッドを形成する。まず、図6Bに示すように、電極パッド形成領域に開口603aを備えるレジストパターン603を形成する。レジストパターン603の形成は、前述したレジストパターン503の形成と同様である。次いで、レジストパターン603の上から金属材料を蒸着する。例えば、電子ビーム蒸着装置(アネルバ社製:L−043E−CN)を用い、真空排気している成膜室内で、レジストパターン603が形成されている上より、チタンを5nm、続いて金を200nm蒸着すればよい。
以上のようにして金属材料を蒸着した後、蒸着装置より基板601を搬出し、搬出した基板601を液温50℃としたアセトン中に30分間浸漬する。この溶液処理により、レジストパターン603が溶解し、レジストパターン603の上に形成されていた金属材料も除去される。一方、開口603aに蒸着されていた金属材料は、このまま残る。このリフトオフ法により、図6Cに示すように、一方の電極パッド604が形成できる。
次に、金属から構成する櫛形電極およびこれに接続する電極パッドを形成する。まず、図6Dに示すように、金属から構成する櫛形電極およびこれに接続する電極パッドとなる部分に開口パターン605aを有するレジストパターン605を形成する。レジストパターン603の形成は、前述したレジストパターン503の形成と同様である。次いで、形成したレジストパターン605をマスクとしてグラフェンパターン602を選択的にエッチング除去する。例えば、プラズマリアクタ装置(ヤマト科学社製:PR301)を用い、この装置の処理室内に基板601を載置し、毎分30mLの酸素ガス流量下、高周波出力100Wの条件で60秒間エッチングを行えばよい。このエッチングにより、レジストパターン605に覆われていないグラフェンパターン602が除去される。
次に、レジストパターン605の上から金属材料を蒸着する。例えば、電子ビーム蒸着装置(アネルバ社製:L−043E−CN)を用い、真空排気している成膜室内で、レジストパターン605が形成されている上より、チタンを5nm、続いて金を200nm蒸着すればよい。
以上のようにして金属材料を蒸着した後、蒸着装置より基板601を搬出し、搬出した基板601を液温50℃としたアセトン中に30分間浸漬する。この溶液処理により、レジストパターン605が溶解し、レジストパターン605の上に形成されていた金属材料も除去される。一方、開口パターン605aに蒸着されていた金属材料は、このまま残る。このリフトオフ法により、図6Eに示すように、金属からなる櫛形電極606およびこれに接続する電極パッド607が形成できる。
次に、図6Fに示すように、グラフェンからなる櫛形電極となる箇所にレジストパターン608を形成する。レジストパターン603の形成は、前述したレジストパターン503の形成と同様である。次に、例えば、プラズマリアクタ装置(ヤマト科学社製:PR301)を用い、この装置の処理室内に基板601を載置し、毎分30mLの酸素ガス流量下、高周波出力100Wの条件で60秒間エッチングを行う。このエッチングにより、レジストパターン608に覆われていないグラフェンパターン602が除去され、図6Gに示すように、グラフェンからなる櫛形電極609が形成できる。このようにして各櫛形電極を形成した後、基板601をアセトンに30分間浸漬すれば、レジストパターン608が除去され、図6Hに示すように、交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極606,櫛形電極609が、基板601の上に形成できる。
以上のようにして、櫛形電極606,櫛形電極609,電極パッド607,および電極パッド604を形成した後、図6Iに示すように、絶縁層610を形成する。絶縁層610は、櫛形電極606および櫛形電極609の櫛歯部が露出する開口部611を備える。絶縁層610は、レジストパターンであり、前述したレジストパターン603などと同様にパターニングし、大気中200℃にて2時間熱処理(ポストベーク)することで形成できる。以上のことにより、一方の櫛形電極はグラフェンから構成し、他方の櫛形電極は金属から構成した電気化学測定用電極による電極チップが製造できる。
[製造方法例3]
次に、製造方法例3について説明する。まず、製造方法例2と同様にすることで、グラフェンパターン602および金属からなる櫛形電極606を形成した後、図7Aの平面図および図7Bの断面図に示すように、グラフェンからなる櫛形電極となる箇所にレジストパターン608を形成する。
次に、製造方法例3について説明する。まず、製造方法例2と同様にすることで、グラフェンパターン602および金属からなる櫛形電極606を形成した後、図7Aの平面図および図7Bの断面図に示すように、グラフェンからなる櫛形電極となる箇所にレジストパターン608を形成する。
次に、やはり、製造方法例2と同様のプラズマリアクタ装置を用い、この装置の処理室内に基板601を載置し、製造方法例3では、四フッ化炭素ガスを用いてグラフェンパターン602を選択的にエッチング除去する。ここで、このエッチングでは、グラフェンとともに、SiCからなる基板601も選択的にエッチングされる。なお、金属からなる櫛形電極606は、エッチングされない。このエッチングにより、図7Cに示すように、グラフェンからなる櫛形電極609が形成されるとともに、櫛形電極606および櫛形電極609の側方の基板601がエッチングされ、基板601の上に凸部701が形成される。
例えば、基板601を20nm程度エッチングすれば、高さ20nmの凸部701が形成される。この状態では、櫛形電極606および櫛形電極609は、凸部701の上に形成された状態となる。比較のために、図7Dの断面図に、製造方法例2により製造した櫛形電極606および櫛形電極609の状態を示す。製造方法例3によれば、櫛形電極609の側部が、基板601の表面より離間した空間に露出した構造となる。この構成とすることで、測定溶液は、グラフェンからなる櫛形電極609の側部(端部)のみに接触する状態となり、加えて、櫛形電極609の側部からみて基板601の側にも測定溶液が存在する状態となり、グラフェン端に選択的に反応する物質の検出への応用において、高感度化が期待できる。
以上に説明したように、本発明によれば、櫛形電極を、グラフェンから構成したので、グラッシーカーボン、アモルファスカーボン、スパッタカーボンなどによる電気化学測定用炭素電極の欠点が克服され、表面構造の不定性のためこれまでの炭素材料では制御不可能であった電極特性を、予測し、また、予測に基づく電極設計が可能な、構造が規定された電気化学測定用電極が得られるようになる。この結果、本発明によれば、炭素材料を用いた電気化学測定用電極で、耐蝕性が強く、酸化側還元側ともに電位窓が広いという炭素材料の特性を発揮した高い精度(感度)の測定ができるようになる。
また、本発明の電気化学測定用電極は、高い感度を有する状態で微細化(小型化)が容易であり、近年のマイクロトータルアナリティカルシステムやマイクロ流路デバイスへの適用が可能である。また、グラフェンからなる櫛形電極の表面や端には、選択的に化学修飾することが可能であり、感度や選択性をさらに向上させた電極の設計のプラットフォームとして、工業的に高い利用価値がある。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、製造方法例3で示した構成において、2つの櫛形電極ともに、グラフェンから構成してもよい。
101…絶縁層、102…櫛形電極、103…櫛形電極。
Claims (4)
- 絶縁層の上に形成されて交互に入り込んで対向配置された2つの櫛形電極を備え、
少なくとも一方の前記櫛形電極は、グラフェンから形成されていることを特徴とする電気化学測定用電極。 - 請求項1記載の電気化学測定用電極において、
少なくとも一方の前記櫛形電極は、複数層グラフェンから構成されていることを特徴とする電気化学測定用電極。 - 請求項1または2記載の電気化学測定用電極において、
他方の前記櫛形電極は、金属から構成されていることを特徴とする電気化学測定用電極。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学測定用電極において、
前記グラフェンは、SiCを加熱することで形成されたものであることを特徴とする電気化学測定用電極。
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