JP2013241822A - 津波退避部屋及びそれに用いる空気放出穴、空気放出調整用バルブ - Google Patents

津波退避部屋及びそれに用いる空気放出穴、空気放出調整用バルブ Download PDF

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Abstract

【課題】想定外の津波、高潮、洪水の来襲のとき、その逃げる間もない巨大外力に対して、身近に退避部屋があることが最も重要である。ただし、密閉構造体とすると大圧力がかかるため、気密扉を含めて絶対に安全とは言い切れない。そこで、室内に外部の圧力を導入すれば、気密扉の圧力負担が相対的に軽減され安全性が高まり解決できる。
【解決手段】密閉構造体の壁に、小さな空気放出穴を開ける。そこから空気泡が徐々に水中に放出され、津波の外部水が導入されるので内部の圧力が徐々に高まり、相対的に外圧力との差が縮まり、気密扉を押し戻す作用が働く。例えば内部の圧力が外水圧の半分となるよう空気放出量を調整する。この場合重要なことは、仕切り壁で上方に保たれた生存必要空気量以外の空気量を放出に当てることである。すなわち、津波のピークを過ぎるまで空気放出ができるように穴径を調整した空気放出穴を設け、津波の水を導入する。
【選択図】図1

Description

本発明は、気密扉を用いた退避部屋に空気放出の調整穴を設けることで、密閉構造体の圧力負荷を軽減するとした津波退避部屋に関する。
津波対策として高い防潮堤、高台、高い建物が有効であるといわれている。そこにいち早く逃げることである。しかし、高い防潮堤の構築や高台移転には巨額の予算と長い歳月を要する。沿岸部に高い建物があるとは限らない。しかも、いずれも想定外の津波にどこまでなら絶対安全という保証はない。災害は時と場所を選ばない。明日かもしれない巨大地震の発生確率が高まっている。日中の訓練があるにしても津波警報のたびに避難しているかというとそうでもなさそうだ。夜中や介護高齢者は行動を伴わない。津波がこない空振りもある。そういう時に、寺田寅彦先生の名言「天災は、忘れられたる頃来る」がある。幸いに、津波は地震のあとにしか来ない。到達時間も予想され、時間的余裕もある。しかし、予想と実際は異なることが多々ある。予想が大きすぎても現実味がない。オオカミ少年のたとえがある。想定外の津波では、すぐ逃げることができる退避部屋が、身近にあることが最も重要である。すなわち、日頃の避難訓練があるにしても遠いところに車で逃げる前提では集中渋滞は明らかで、晩酌後の飲酒運転はどうするのか。沿岸地域の住民は酒も飲めない。入浴中では着の身着のままである。そこで、身近な津波退避部屋が考えられている。従来、退避部屋の構造は入口解放式か入口閉鎖式で、前者は水の侵入する水面上昇で空気圧縮を伴い、後者は密閉構造体であるため入口の気密扉に耐圧、防水性が求められ、安全のため設計値が相当に大きめとなり、その気密扉は高価となる。
特願2011−133703 特願2012−086021 特願2012−096149
平成5年版土木学会構造力学公式集、p341、p405
津波高さが予測されるとしても、それは中央値か、最大値か、それともその想定外があり得るのか。いずれにしても密閉構造体の場合は、それを外力として設計する。しかし依然としてそれを超える想定外の津波はあり得る不安は解消されない。すなわち、津波退避部屋は、密閉構造体とすると水没しても生存必要空気量を保持する必要があるため大きな水圧がかかるが、気密扉が破壊されると一挙に水が突入し、逃げようのない空間では多くの犠牲を伴う。そのため、その気密扉に、より大きな安全率を取らざるを得なく高価となり、それでも不安は残る。そこで、密閉構造体内の必要空気量を保ちつつ、室内に水を導き、内外の圧力差を少なくすれば圧力負荷を軽減することができ課題を解決できるといえる。
このような課題を解決するために、本発明の津波退避部屋は、密閉構造体の壁または気密扉に、津波の水没中に室内空気を室外に徐々に放出するとともに津波の水を室内に徐々に導入する空気放出穴を設けたことを特徴とする。
また、本発明の津波退避部屋は、前記空気を放出する空気放出穴に、空気放出調整用バルブを接続したことを特徴とする。
また、本発明の津波退避部屋は、前記空気を放出する空気放出穴に、床近くの低い位置までの管を接続したことを特徴とする。
また、本発明の津波退避部屋は、前記空気を放出する空気放出穴に接続した管の途中のいずれかの位置に、空気放出調整用バルブを設けたことを特徴とする。
また、本発明の津波退避部屋は、前記密閉構造体の空気を放出する空気放出穴、空気放出調整用バルブとは区分けされた別空間となるよう、天井から床近くまでの仕切り壁を設けたことを特徴とする。
また、本発明の津波退避部屋は、前記密閉構造体の空気を放出する空気放出穴、空気放出調整用バルブとは区分けされた別空間となるよう、側壁、天井沿いに、上に凸の強化プラスチィック、防水シートなどで壁とは別の空気量保持空間を形成したことを特徴とする。
また、本発明の津波退避部屋は、前記密閉構造体の空気を放出する空気放出穴、空気放出調整用バルブとは区分けされた別空間となるよう、天井から床近くまでの仕切り壁、側壁、天井沿いに、上に凸の強化プラスチィック、防水シートなどで壁とは別の空気量保持空間を形成したことを特徴とする。
また、本発明の津波退避部屋は、前記密閉構造体に高床、足場を設けたことを特徴とする。
津波退避部屋を密閉構造体とすれば入口の気密扉に大きな圧力がかかり、その設計に相当の安全率を要するし、累乗的に高価となる。本発明では、水没中の密閉構造体の空気を徐々に放出することで、その体積相当分の外の水が入り込んで外水圧に近づき、気密扉の受ける圧力は、外の大圧力から内側の入り込んだ圧力の差、すなわち、内側に入り込んだ圧力相当分が軽減される。例えるなら、内側から気密扉を支えて、押し返すという軽減効果があるといえる。このことは想定外の津波となった場合も内側にそれなりに比例した圧力が入り込むので、サポートされる気密扉の安全率は相殺され、安全性は飛躍的に高まる。当然に相当のコスト縮減効果になる。想定外の津波を想定すると、その水没中でも生存必要空気を確保する密閉構造の退避部屋は、大きな水圧を構造体全体に受け、とりわけ入口の気密扉は耐水、防水性の潜水艦並みのハッチとなる。しかも、その設計は想定高さを満足すればよしとするにしても、予測高さの追加変更やさらなる想定外の津波には追従できない。したがって、相当の安全率が必要となるがそれでも安全とは言い切れないところに不安がある。そこで、本発明では、空気を放出して内部圧力を高める調整をする。それでも、密閉構造体の退避中の水中で空気量が抜けてしまっては元も子もない。すなわち、水中では空気は上に抜けるため、天井からの仕切り壁や上に凸に張った防水シート内に生存必要空気量を確保しながら放出する空気量を調整すれば安心である。ただし、空気が抜けないとしても早々に外水圧とつながって外と同じ圧力になっては高価な気密扉を使う意味がない。したがって、小さな穴から徐々に放出することになる。徐々に空気を放出することで内部の圧力も徐々に高めることができる。流入した水が仕切り壁の下端に達し、さらには空気穴高さまで達する時点で外水圧と同じになるが、その時間が津波のピークを過ぎた時点になるように空気放出量を調整する。すなわち、穴のある空間から仕切り壁の下端までの空間の合計体積と、穴から放出される(放出空気量/時間)*時間の放出空気量が等しくなる時間に対して、その時間が津波のピークすぎとなるように穴の大きさを調整する。生存必要空気量は、圧力に応じて体積圧縮されるが、天井からの仕切り壁や防水シートなどの上に凸の別空間で確保される。防水シートなどで構成される空間は、直前の地震で壁がひび割れた場合でも、壁とは別の生存空気量保持空間として2重、3重の安全・安心を提供する。大勢の人命が退避部屋に退避するがその退避部屋が潰れたり、密閉空気を失ったりしては大惨事である。皮肉にも地震で避難前に崩壊していればまだしも、高台に逃げればよかったと遺族に責められる。数多くの人の命を預かる責任は重大である。万が一の安全対策を講じる必要がある。すなわち、例え構造体本体が地震でひび割れるなど損傷したときでも、津波の水没中に密閉空気量が逃げださないことが肝要である。この場合には、入口気密扉の完全密閉構造体は、構造的には入口解放の構造体と同じく上昇水面で形成する密閉構造に移行する。より安心できるため家族もバラバラで逃げる必要もない。マンションなどの室内用には、鋼製、強化プラスチック製であれば、壁に装着すると浮き上がらず、流されず、漂流物にも強いため、まさしく退避時間数分であり、救命率は飛躍的に上がる。夜中や介護高齢者の避難訓練の負担も相当に軽減される。水没時間に対応して大きな空気量が必要であるが、鉄筋コンクリート造りの避難部屋では容量も大きく、学校などでは校庭や屋上に設置すれば百人単位の収容も可能で、大勢の学童の命が助かる。構造壁を兼ねることができるので学校などの耐震補強にも役立つ。防潮堤の嵩上げや高台移転では想定外の津波に対して安全に限がなく、巨額の予算、長い歳月を要する。災害は、時と場所を選ばない。本発明で、来る東南海地震等に対しても早期に対応でき、津波到達時間が短い地域では例えば1kmごとの配置とかで防災計画立案に役立つ。さらに、津波以外にも、高潮や台風、竜巻、大雨時の洪水、堤防決壊による河川氾濫時、海抜以下や天井川沿い地域の想定外の防災対策としても有効である。いずれにしても、水没しても生存空気量を保つことができる身近な退避部屋を計画配置した早急な地域防災総合計画の立案に役立つ。順次、個別に建設することができるので、無理のない予算計画、合意形成の順などでも実現性が高い。
密閉構造の退避部屋に設けた気密扉、空気放出穴、仕切り壁、空気量保持防水シート、高床の配置関係断面図 空気放出穴に、床近くまでの管と空気放出調整用バルブを接続した例 津波の高さ34.4mと到達時間30分、引き潮時間10分とし、内部空気圧の上昇をおおむね外水圧の半分程度となるよう空気放出を調整した津波高さと経過時間、内部空気圧力の関係説明図
本発明では、水没中の密閉構造体の空気を徐々に放出する空気放出穴、空気放出調整用バルブを設けることで退避室内外の圧力差を中間となるよう調整する。すなわち、空気泡の放出とともにその体積相当分の外の水が入り込み外水圧に近づく。このことにより、気密扉の受ける圧力は、外の大圧力から内側の入り込んだ圧力の差、すなわち、内側に入り込んだ圧力分が軽減される。このことは想定外の津波となった場合も内側にそれなりに比例した圧力が入り込むので気密扉の安全は飛躍的に高まる。ただし、退避中の水中で空気量が抜けてしまっては元も子もない。すなわち、水中では空気は上に抜けるため、上に凸の別空間に生存必要空気量を確保しながら放出空気量を調整する。空気量調節は、壁にあけた穴に設けた弁やキャップの開閉具合、テーパーが付いた挿入棒の出し入れ、ねじの雄雌の欠損断面部の合わせ具合などをハンドル、レバーなどで調整することが考えられるが、簡単には高圧水道用の蛇口、消火栓のバルブ装置などで調節機能が満足されるといえる。空気放出穴の位置は、天井とすると雨水の侵入が危惧される。側壁の低い位置に設けると津波の早々から濡れることになるとともに空気放出穴径を相当に小さくしないとすぐ外水圧と同じとなってしまう。側壁のできるだけ高い位置で斜め下向きとすれば雨水の侵入の心配もない。空気放出穴に管を接続して床近くまで延長すれば、空気保持空間がそこより上の空間となるため空気保持量が大きく取れる。また、外水位が下がるときに、管で連続しているとサイホン効果で侵入水が多く排出される。津波の高さと到達時間、引き潮時間と内部空気圧の上昇をおおむね外圧の半分程度となるよう調整した関係を図3に示す。調整には訓練者が当たる。一般退避者のみで調整することは困難なので、構造体内外の圧力計と空気穴開閉調整の自動装置を設けることとなる。しかし、高価となるため、あらかじめ調整した穴径の空気放出穴をあける方法が現実的である。内空体積にもよるが、天井付近の大きな穴とすると仕切り壁がなければ一挙に全体空気が抜け危険となる。床付近に大きな穴を設けても内部がすぐ外水圧と同じとなるため、入口を解放とした場合と同じとなり高価な気密扉を採用した意味がない。その場合、内部空間は外水圧とバランスするまで体積圧縮されていく。それでも、天井からの仕切り壁があると空気は保持されるのであわてる必要はない。そのためにも、高床、足場の備えは必要といえる。したがって、小さな穴から徐々に放出することになる。徐々に空気を放出することで内部の圧力も徐々に高めることができる。流入した水が仕切り壁の下端に達し、さらに空気穴高さまで達する時点で外水圧と同じになるが、その時間が津波のピークを過ぎた時点になるように空気放出量を調整する。空気放出を調整装置とする場合は操作訓練が必要である。一般退避者のみでは操作、調整することは困難なので、あらかじめ調整した小さい貫通穴をあけておくことになる。すなわち、穴のある空間から仕切り壁の下端までの空間の合計体積と、穴から放出される(放出空気量/時間)*時間の放出空気量が等しくなる時間に対して、その時間が津波のピークすぎとなるように穴の大きさを調整する。早々に外水圧と同じになっては意味がない。生存必要空気量は、圧力に応じて体積圧縮されるが、空気放出穴、空気放出調整用バルブとは別空間の、天井からの仕切り壁や上に凸の防水シートなどで仕切られた空気量保持空間で確保される。要するに仕切り壁や防水シートで囲われた生存必要空気量を残し、残りの余分な空間の空気量を津波のピーク過ぎまで徐々に放出するように穴径を調整する。防水シートなどで構成される空間は、直前の地震で壁がひび割れた場合、空気量保持空間として2重、3重の安全・安心を提供する。強化プラスチィックの場合は入口扉高さまで縦切れ目を入れて人の出入口とし全員が室内に退避後にガムテープでふさぐ程度で、水圧がバランスしているので機能は保てる。本発明では水の侵入があるので高床、足場などを備えておく。内部にスクーバ・タンクを設置しておくのも空気補充で安心につながる。引き潮後、入口に泥が堆積すると出られないので、気密扉の設計下端は、出入りに多少不便だが低くならないように30cm程度は上げておく必要がある。また、気密扉は漂流物の衝撃に耐えなければならないためにもできるだけ小さい径が有利となる。例えば70cm程度。泥土が堆積している状況を察知して、津波直後に外部の助け、見回りが来るよう日頃の地域連携訓練が必要だ。
気密扉を設けた津波退避部屋において、空気放出穴を側壁の高い位置に設け、近くに天井からの仕切り壁を設け空気量保持空間とし、さらに安全・安心のため生存空気量保持の防水シートを設けた実施例を図1に示す。空気放出穴は、図3に示した内部空気圧がおよそ外水圧の半分となるよう穴径を調整する。そうすることで、気密扉の設計外力が半分となり、負担がかなり軽減される。穴径、その位置によっては空気がすべて抜けてしまうので、空気穴の径を事前に求めておく。空気は泡となって放出されるが、放出される量は、当然に穴径の大きさ、穴径の2乗に従って大きくなり、外水圧との差が大きいほど大きいといえ、逆に壁の厚み、壁の穴の抵抗、粗度によって小さくなるといえる。
津波の高さを34.4mとし、ピーク到達時間を30分、その後の引き潮時間を10分とし、内部空気圧の上昇をおおむね外水圧の半分程度となるよう空気放出を調整する。放出空気量は内部の仕切り壁、または防水シートの生存必要空気量を残して、それから外の残り空間の空気量以下になるように、放出時間との関係で調整する。ピークを過ぎて引き潮となってもしばらくは空気が放出されるので考慮に入れておく必要がある。
参考として、空気を放出しない全くの密閉構造体とした退避部屋本体の設計例を示す。鉄筋コンクリート造りの退避部屋であって、退避入口に気密扉を用いた場合の、空地に設置する退避部屋の例を示す。人一人が生存に必要な空気量は1m3/時といわれている。大人50人の退避部屋とすると、一時間耐えるには50m3の空気体積が必要で、概略計算のために、部屋は単独の高さ3m、幅4m、奥行き6mの直方体の部屋とすると、内部体積は3*4*6=72m3で、引き潮までが1時間としても十分な空気がある。退避する平面スペースは、4人/m2とすると、50/4*6≒2人/m2で退避用としては余裕がある。浮力は3*4*6=72tf、重量は、コンクリート壁厚を35cmとすると表面積*コンクリート壁厚*単位重量=2*(12+18+24)*0.35*2.5=94.5tfで、重量>浮力となり浮き上がらない。港湾空港技術研究所の射流実験を参考に水平掃力15t/m2を海側面の3m*4mが受けると、その水平モーメント=15*(3*4)*3/2=270t・m、抵抗モーメント=94.5*6/2=283.5t・mで、水平力である掃力に抵抗して転倒しない。ただし、海辺近辺では同時の浮力も考慮して、退避部屋の高さを低くし海側面積を少なくした直方体にするか、床底辺を厚くするか、下にせん断キーすなわち下駄の歯のような突起を設けるか、地中にアンカーをとるなどのさらなる対策が考えられる。東日本大震災の津波の最大は40m超であるが50mの高さを想定する場合、設計で津波高さ50mとして、水深50mとすると50t/m2の荷重がかかる。気密扉もその設計条件にあわせた耐圧防水性のものを用いる。鉄筋コンクリート造等の建物には水圧が50t/m2の荷重としてかかる。平板の等分荷重を受ける4辺固定板の最大モーメントは、平成5年版土木学会構造力学公式集のp341から、a=4m、b=6mmではb/a=1.5で、表より
M=−0.0757*p*a2
ここに M:平板の等分荷重を受ける4辺固定板のモーメント
p:等分荷重(tf/m)
a:短辺(m)
したがって、p:奥行き幅1m当たりでは50tf/m、a:4mで、
M=−0.0757*50*4*4=60.56tf・mとなる。
簡易計算での終局時の必要鉄筋量は、
As=M/σs*(7/8)*d
ここに As:必要鉄筋量(cm2)
σs:降伏点又は0.2%耐力(N/mm2)
d:部材の有効高さ(cm)
したがって、σs:SD345の降伏点又は0.2%耐力=345N/mm2、部材厚35cm、かぶり10cmとすると、d=25cmとなり、As=6,056,000/3,520*(7/8)*25=78.64cm2、すなわち、鉄筋径D32を10本/mを配置すれば79.42cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。したがって、50mの津波でも鉄筋コンクリートの壁厚を35cmとすれば実現可能である。構造体の中間に隔壁を設けると、モーメントはb=4m,a=6/2=3mではb/a=1.33で、表より補間して、M=−0.0699*50*3*3=31.455tf・mとなり約半減できる。建物の壁や屋上の床と一体構造とする場合、浮力は問題にならないので、建物の一般的な壁厚に合わせて薄い壁で設計できる。壁部材厚25cm、かぶり10cmとするとd=15cmで、As=M/σs*(7/8)*d=3,145,500/3,520*(7/8)*15=68.08cm2となり、鉄筋径D32を9本/mを配置すれば71.478cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。ただし、ひび割れがあっては密閉性が保たれないので鋼板とかの強度補強で2重の安全を施すことでより安心につながる。さらに参考として、学校の教室の壁に退避部屋を設ける場合の例を記す。生徒40人、子供一人当たりの必要空気量は0.5m3/時として20m3、教室の横幅8m、高さ3mに1m幅の退避部屋を造れば、24m2>20m2で空気量は満足され、耐震補強ともなる。マンションの隣との壁に退避部屋を設ける場合の例を記す。大人2人、子供2人では1時間の必要空気量は3m3で、横幅8mの壁を隣どうしで半分にして、高さは3mに0.5m幅の退避部屋を造れば、(8/2)*3*0.5=6m3>3m3で空気量は満足できる。この場合も耐震補強となる。もちろん、筒状の単独の退避部屋として壁に装着することも家族用として有望である。
地震による大津波が想定される東南海地域においては、早期かつ効果的、経済的対策が求められる。身近に設置でき、かつ想定外の津波にも安全安心な退避部屋は、大容量で大勢の退避が可能である。マンション室内壁に装着すれば、家族用にも有望である。建物の骨組み構造を兼ねることも可能で、さらに耐震補強壁としても設計施工に対応可能である。また、その他地域でも、既設建物に退避部屋を設置する増築工事で、より効果的な耐震対策、津波、高潮、洪水など幅広い地域防災対策が可能となる。
1密閉構造体の入口気密扉
2コンクリート造の退避部屋の壁(天井、側壁、床)
3下向きにつけた空気放出穴
4天井からの仕切り壁
5側壁、天井沿いの防水シート
6高床
7取手
8空気放出穴に接続した床近くまでの管
9管に接続した空気放出調整用バルブ
10空気放出穴から放出された空気泡

Claims (8)

  1. 密閉構造体の壁または気密扉に、津波の水没中に室内空気を室外に徐々に放出するとともに津波の水を室内に徐々に導入する空気放出穴を設けたことを特徴とする津波退避部屋。
  2. 前記空気を放出する空気放出穴に、空気放出調整用バルブを接続したことを特徴とする請求項1に記載の津波退避部屋。
  3. 前記空気を放出する空気放出穴に、床近くの低い位置までの管を接続したことを特徴とする請求項1に記載の津波退避部屋。
  4. 前記空気を放出する空気放出穴に接続した管の途中のいずれかの位置に、空気放出調整用バルブを設けたことを特徴とする請求項1、2または3のいずれかに記載の津波退避部屋。
  5. 前記密閉構造体の空気を放出する空気放出穴、空気放出調整用バルブとは区分けされた別空間となるよう、天井から床近くまでの仕切り壁を設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4のいずれかに記載の津波退避部屋。
  6. 前記密閉構造体の空気を放出する空気放出穴、空気放出調整用バルブとは区分けされた別空間となるよう、側壁、天井沿いに、上に凸の強化プラスチィック、防水シートなどで壁とは別の空気量保持空間を形成したことを特徴とする請求項1、2、3または4のいずれかに記載の津波退避部屋。
  7. 前記密閉構造体の空気を放出する空気放出穴、空気放出調整用バルブとは区分けされた別空間となるよう、天井から床近くまでの仕切り壁、側壁、天井沿いに、上に凸の強化プラスチィック、防水シートなどで壁とは別の空気量保持空間を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4または5のいずれかに記載の津波退避部屋。
  8. 前記密閉構造体に高床、足場を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7のいずれかに記載の津波退避部屋。
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