JP2013238586A - 光ポンピング磁力計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1のアルカリ金属原子群と、該第1のアルカリ金属原子群とスピン交換相互作用をする第2のアルカリ金属原子群と、が内包されたセル101と、第1のアルカリ金属原子群をスピン偏極させる第1の波長を有するポンプ光107をセルに入射させるポンプ光光学系102と、第1の波長とは異なる第2の波長を有し、第2のアルカリ金属原子群のスピン偏極を測定するプローブ光108を、ポンプ光と同一光軸をなすようにセルに入射させるプローブ光光学系103と、セルを通過したポンプ光とプローブ光を、波長の違いにより弁別する波長弁別手段105と、セルを通過したプローブ光の偏光面の回転角を検出する検出手段106と、を有する。
【選択図】図1
Description
このような光ポンピング磁力計として、特許文献1には、アルカリ金属ガスが内包されたセルと、ポンプ光用光源と、プローブ光用光源とを有し、微弱な磁場を検出できるようにした光ポンピング磁力計が記載されている。
この特許文献1では、プローブ光はポンプ光の光路と垂直な方向に入射させている。
また、非特許文献1では、デバイス配置の自由度を高めるため、1軸の楕円偏光の光をセルに入射する光ポンピング磁力計が示されている。
また、特許文献2においては、磁力計目的ではなく、3Heを偏極させることを目的として、RbとKのスピン交換相互作用を利用してRbの偏極をKに移すことにより、Rbを光ポンピングしてKを偏極し、最終的に3Heを偏極させる手法が報告されている。
このスピン交換相互作用を用いても、光ポンピングと同様にKを十分に偏極することができる。
上記特許文献1のものでは、ポンプ光とプローブ光が直交に配置されていたため、デバイス配置の自由度が制限されてしまうという問題があった。
特に、複数のセルをアレイ状に配置しようとした場合、ポンプ光とプローブ光の光軸とセルが干渉してしまうという問題があった。
また、上記非特許文献1に記載の技術では、プローブ光を楕円偏光にすることで円偏光であるポンプ光と直線偏光であるプローブ光を同軸に重ね合わせたものと同じ作用を持たせた配置を取っている。
しかし、プローブ光の偏光面の回転角を測定する際に、ポンプ光として作用する成分とプローブ光として作用する成分を分離することは困難であり、ポンプ光として作用する成分による光のショットノイズが信号から分離できず、その結果、雑音レベルが上昇するという問題があった。
第1のアルカリ金属原子群と、該第1のアルカリ金属原子群とスピン交換相互作用をする第2のアルカリ金属原子群と、が内包されたセルと、
前記第1のアルカリ金属原子群をスピン偏極させる第1の波長を有するポンプ光を前記セルに入射させるポンプ光光学系と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記第2のアルカリ金属原子群のスピン偏極を測定するプローブ光を、前記ポンプ光と同一光軸をなすように前記セルに入射させるプローブ光光学系と、
前記セルを通過した前記ポンプ光と前記プローブ光を、波長の違いにより弁別する波長弁別手段と、
前記セルを通過した前記プローブ光の偏光面の回転角を検出する検出手段と、を有することを特徴とする。
本実施形態における光ポンピング磁力計は、図1に示すように、セル101と、ポンプ光用光源(ポンプ光光学系)102と、プローブ光用光源(プローブ光光学系)103と、ダイクロイックミラー104、105と、偏光検出系(検出手段)106と、を備える。
セル101には、第1のアルカリ金属原子群と、該第1のアルカリ金属原子群とスピン交換相互作用をする第2のアルカリ金属原子群とによる、2種類の異なるアルカリ金属原子群(原子集団)が内包されている。
その際、前記第1のアルカリ金属原子群として、カリウム原子(K)、ルビジウム原子(Rb)あるいはセシウム原子(Cs)を用いることができる。
また、前記第2のアルカリ金属原子群として、カリウム原子(K)、ルビジウム原子(Rb)あるいはセシウム原子(Cs)を用いることができる。
ここで、ポンプ光用光源102から出射されるポンプ光107の偏光は円偏光である。
一方、プローブ光用光源103から出射されるプローブ光108の偏光は直線偏光である。
第1のアルカリ金属原子群としてルビジウム原子(Rb)を用い、第2のアルカリ金属原子群としてカリウム原子(K)を用いた際、
ポンプ光として、第1の波長である795.0nmの波長を有する光を用い、プローブ光として、第2の波長である769nm以上、771nm以下の波長を有する光を用いることができる。
また、第1のアルカリ金属原子群としてセシウム原子(Cs)を用い、第2のアルカリ金属原子群としてカリウム原子(K)を用いた際、
ポンプ光として、第1の波長である894.6nmの波長を有する光を用い、プローブ光として、第2の波長である769nm以上、771nm以下の波長を有する光を用いることができる。
また、第1のアルカリ金属原子群としてカリウム原子(K)を用い、第2のアルカリ金属原子群としてルビジウム原子(Rb)を用いた際、
ポンプ光として、第1の波長である770.1nmの波長を有する光を用い、プローブ光として、第2の波長である794nm以上、796nm以下の波長を有する光を用いることができる。
また、第1のアルカリ金属原子群としてカリウム原子(K)を用い、第2のアルカリ金属原子群としてセシウム原子(Cs)を用いた際、
ポンプ光として、第1の波長である770.1nmの波長を有する光を用い、プローブ光として、第2の波長である893nm以上、896nm以下の波長を有する光を用いることができる。
また、第1のアルカリ金属原子群としてセシウム原子(Cs)を用い、第2のアルカリ金属原子群としてルビジウム原子(Rb)を用いた際、
ポンプ光として、第1の波長である894.6nmの波長を有する光を用い、プローブ光として、第2の波長である794nm以上、796nm以下の波長を有する光を用いることができる。
また、第1のアルカリ金属原子群としてルビジウム原子(Rb)を用い、第2のアルカリ金属原子群としてセシウム原子(Cs)を用いた際、
ポンプ光として、第1の波長である795.0nmの波長を有する光を用い、プローブ光として、第2の波長である893nm以上、896nm以下の波長を有する光を用いることができる。
ダイクロイックミラー104は、第2のアルカリ金属原子群のスピン偏極を測定するプローブ光を、ポンプ光と同一光軸をなすようにセル101に入射させるように配置されている。
セル101を通過したプローブ光108は、ダイクロイックミラー(波長弁別手段)105を透過し、偏光検出系106へ入射する。
また、セル101を通過したポンプ光107は、ダイクロイックミラー105により遮断され、検出器106へは入らないように構成されている。
上記構成において、円偏光のポンプ光107は、セル101内のルビジウム原子のスピンの方向を揃え、スピン偏極する。
この際ポンプ光107の波長は、ルビジウム原子のD1遷移波長にあわせておく。カリウム原子とルビジウム原子は絶えず互いのスピンを交換している。
そのため、光ポンピングによりルビジウム原子が偏極されスピンの向きが揃うと、このスピン交換相互作用により同一方向にカリウム原子のスピンの向きが揃う。
原子集団のスピン偏極は、磁場に応じたトルクを受けて歳差運動を行う。磁場中で光ポンピングを受けているスピンの運動方程式として、光ブロッホ方程式を用いることで、スピンの挙動を記述できることが知られている。
K原子集団,Rb原子集団のスピンベクトル、
を、下記(式1)によって表す。
QRb,QKはスローダウンファクターと呼ばれる量であり、スピン偏極率に依存する。ベクトルBは磁場ベクトルを表している。
この項は、スピン偏極の向きがベクトルBを回転軸として歳差運動を行うことを示している。
両式右辺第2項は、スピン偏極の緩和を表している。
RRb rel、RK relはRb原子、K原子それぞれのスピン緩和レートであり、スピン偏極が緩和する大きさを表している。また、(式2)上式に存在するRRb OPはポンピングレートと呼ばれる量であり、ポンプ光107によるRb原子に対する光ポンピングの大きさを表している。
ポンプ光はまた同時にスピン偏極の緩和にも寄与する。上式右辺第2項に存在するRRb OPの項にはその寄与も含まれている。
両式右辺第3項はK原子及びRb原子間のスピンの交換を表している。
γRb SEはRb原子群がK原子群からうけるスピン交換相互作用の大きさを表し、γK SEはK原子群がRb原子群からうけるスピン交換相互作用の大きさを表している。この2つの間には(式3)のような関係がある。
この相互作用により光ポンピングにより誘起されたRb原子のスピン偏極がK原子に移り、K原子も偏極される。
(式2)上式右辺第4項は、ベクトルσはポンプ光107の円偏光ベクトルであり、ポンプ光107の伝播方向を向いたベクトルである。
その大きさは右回り円偏光の場合に+1、左回り円偏光の場合に−1の値となり、楕円偏光の場合は絶対値が1より小さい値となる。
光ポンピング磁力計には、測定対象の磁場の周波数に応じて2つの動作状態が存在する。
以下では、磁場によるスピンの挙動を表した図2を参照しながら、この2つの動作状態について説明する。
ここで言うDC磁場とは、測定対象磁場の周波数がおおよそ10Hz以下の場合を意味している。
このとき、セル内の磁場を、およそnT(ナノテスラ)以下となるように調整する。
(式2)において、スピン偏極の時間変化がゼロという定常解によってこの状況をよく記述できる。
図2(A)はほぼゼロ磁場に近い環境下のセルにポンプ光201を入射した状況を表している。プローブ光は省略してある。ポンプ光201によって偏極したRb原子スピン202aはK原子スピン202bとスピン交換相互作用をおこし、K原子スピン202bもまたポンプ光201の方向に偏極する。図2(B)はその状況にポンプ光201と直交した方向(図2(B)中y方向)に測定対象磁場205を印加した場合を表している。この測定対象磁場205より、K原子スピン202bが回転する。プローブ光203により、磁場により回転したK原子集団のスピン202bのx成分SK xを測定する。このような測定では、ポンプ光201と直交方向、つまり図2(B)中y方向あるいはz方向の磁場に関して感度を有する。
ここで言うAC磁場とは、測定対象磁場の周波数がおおよそ10Hz以上の場合に該当する。すなわち、ラーモア周波数も10Hz以上にあわせるのである。ポンプ光方向にバイアス磁場を印加して、光ポンピング磁力計を共鳴動作させ振動磁場を測定することもできる。
図2(C)は磁力計にx方向にバイアス磁場204を印加し、K原子集団のスピン202bが、バイアス磁場204の方向を回転軸としてバイアス磁場204の大きさBxで定まるラーモア周波数fで歳差運動をしているところを表す。
バイアス磁場204の大きさBxとラーモア周波数fの間には(式4)のような関係がある。
このとき、K原子スピン202bの挙動は、ラーモア歳差運動する定常解によって記述され、(式2)に回転波近似を用いて解くことが出来る。
この測定では、振動磁場成分のうち回転磁場成分を測定しているため、バイアス磁場204と直交方向、つまり図2(C)中y方向あるいはz方向の磁場に関して感度を有する。
この偏光面の回転角(ファラデー回転角)は、プローブ光108の伝播方向と平行な方向のスピン偏極の大きさで決まる。
したがって、DC磁場測定、AC磁場測定の磁力計におけるファラデー回転角は、磁場ベクトルBの強度を反映した大きさとなる。
偏光測定系106は、プローブ光108におけるファラデー回転角を測定する。このような測定系として、バランス型偏光測定系やクロスニコル型偏光測定系などを利用することができる。
偏光測定では光子数の平方根に比例する光のショットノイズと呼ばれる原理的なノイズが存在する。
ダイクロイックミラー105でポンプ光107の光を遮蔽することによりポンプ光由来の光のショットノイズを取り除くことができる。
図3は偏光測定方法のうち、バランス型偏光測定系の模式図である。
バランス型偏光測定系は、半波長板302、偏光ビームスプリッタ303、2つのフォトダイオード304a、304b及び差動回路305を有している。
直線偏光のプローブ光301を入射すると、半波長板302はプローブ光301の偏光面を回転させる。
また、偏光ビームスプリッタ303は、プローブ光301を、偏光ビームスプリッタ303の軸に沿ってp偏光の成分と、それと直交するs偏光の成分とに分割する。
偏光ビームスプリッタ303によって2つに分割された光は、それぞれフォトダイオード304a,304bに入射し、それぞれの光の強度に応じた光電流に変換される。
差動回路305は、そのふたつの光電流の差分値を電圧に変換して出力する。測定磁場がゼロの時に2つのフォトダイオード304a,304bに、同じ強度の光が入射するように半波長板302の向きを調整しておく。
この場合、差動回路305の出力信号はゼロとなる。
そのため、差動回路305の出力信号によって、ファラデー回転角を測定することができる。
プローブ光301が完全に直線偏光の場合、この出力信号の磁場に対する傾きは偏光ビームスプリッタ303に入射する光子数に比例する。
一方、出力信号に対して、光のショットノイズが原理的なノイズとして寄与する。
このショットノイズは偏光ビームスプリッタ303に入射する光子数の平方根に比例する。このため、ショットノイズに対するSN比は光子数が多くなるほど大きくなる。
しかし、円偏光のポンプ光は出力信号に寄与しないため、ポンプ光がこのバランス型偏光検出系に入っても磁場に対する応答信号は増大しない。だが、円偏光のポンプ光も光のショットノイズとしては同じように寄与する。
このため、ポンプ光が混入するとポンプ光に由来する光のショットノイズの分ノイズだけが大きくなるが信号は増大せず、SN比は低下する。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用した光ポンピング磁力計の構成例について、図4を用いて説明する。
本実施例のアルカリ金属ハイブリッド光ポンピング磁力計は、図4に示すように、2種類の異なるアルカリ金属原子群、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)が内包されたセル401と、ポンプ光用光源402と、プローブ光用光源403を備える。
更に、ダイクロイックミラー404、405と、偏光測定系406と、光ターミネータ409と、直線偏光子411a、411bと、四分の一波長板412と恒温断熱槽421と、3軸ヘルムホルツコイル422と、光学窓423a,423bを備える。
セル401内にはアルカリ金属原子群としてルビジウム(Rb)、カリウム(K)を封じており、気密となっている。
また、その他にバッファガス及びクエンチャガスとして、ヘリウム(He)と窒素(N2)とを封入しておく。
バッファガスは偏極アルカリ金属原子の拡散を抑えるので、セル壁との衝突によるスピン緩和を抑制し偏極率を高めるために有効である。
また、N2ガスは励起状態にあるRbからエネルギーを奪い、Rbの発光を抑えるクエンチャガスであり、光ポンピングの効率を上げるために有効である。
K原子は自原子同士、及びHe原子との衝突によるスピン偏極破壊における散乱断面積がアルカリ金属原子の中で最も小さく、Rb原子がその次に小さい。
そのため、緩和時間が長く信号に対する応答が大きい磁気センサを作るためには、アルカリ金属原子の組み合わせとしてはK原子とRb原子が好ましい。
測定時には、セル401内のアルカリ金属ガスの密度を高めるために、セル401を最大摂氏200度程度まで加熱する。
加熱方式としては、恒温断熱槽421に加熱された不活性な気体を外部から流し込み、セル401を加熱する。この熱が外に逃げないようにする役割を恒温断熱槽421は担っている。
恒温断熱槽421には、ポンプ光407及びプローブ光408の光路上に光学窓423aおよび423bが設置されポンプ光、プローブ光の光路を確保している。
この磁気シールドは外部環境から侵入する磁場を低減している。3軸ヘルムホルツコイル422はセル401周囲の磁場環境を操作するために用いられる。
DC動作時には、セル401周囲をゼロ磁場にするために用い、AC動作時には測定周波数とラーモア周波数が一致し共鳴するようにバイアス磁場を発生させるために使用する。
バイアス磁場はポンプ光と同じ方向(図中x方向)に印加する。また磁場の不均一を補正するために更にシムコイルを追加しても良い。
このポンプ光の偏光は、直線偏光子411aにより直線偏光に成形された後、四分の一波長板412によって円偏光に変換される。
この際、右回り円偏光と左回り円偏光のどちらに変換しても良い。
信号応答を最大にする離調の値はセル401のバッファガス圧及び温度に依存する。
プローブ光の偏光は、直線偏光子411bにより直線偏光になる。
ここでは、ダイクロイックミラー404はポンプ光407の波長の光を反射し、プローブ光408の波長を透過するよう設計されているものを利用する。
ポンプ光およびプローブ光を重ね合わせてセルに照射できれば、ハーフミラーでも代替できる。
しかし、ハーフミラーの場合はポンプ光とプローブ光を重ね合わせる際にそれぞれの光の光強度が半減してしまうというデメリットを持っている。
セル出射側ダイクロイックミラー405もまた、ポンプ光407の波長を反射しプローブ光408の波長の光は透過するよう設計されているものを利用する。
ダイクロイックミラー405は、ポンプ光とプローブ光を分けプローブ光のみを偏光測定系406に導ければよい。
一方、反射されたポンプ光407は光ターミネータ409により吸収される。また、ダイクロイックミラー405にてポンプ光407を180度反射し再度セルに入射することで偏極率を稼ぐことが出来る場合がある。
この場合ポンプ光407の強度が強い場合、この配置ではポンプ光源402にポンプ光407が帰らないようにアイソレータなど利用する必要がある。
また、特定の波長帯の光のみ透過させるシャープカットフィルターも利用できる。
その場合ポンプ光の終端処理は必要ないため配置は吸収と透過の波長特性を保つ範囲で任意の角度で置くことが出来る。
このような偏光測定系として、図3のバランス型検出系を利用できる。また、偏光測定系とダイクロイックミラーの組み合わせは図5のような形態も考えられる。
図5は、偏光測定系(検出手段)の中にダイクロイックミラー(波長弁別手段)を配置した構成例の概念図を表している。
この構成例では、ダイクロイックミラーが、偏光ビームスプリッタ(偏光子)及びフォトダイオード(光受光素子)を備えて構成されている偏光測定系の中に配置されている。
そして、偏光子を通過したポンプ光とプローブ光が、ダイクロイックミラーを透過するように構成されている。
具体的には、半波長板502、偏光ビームスプリッタ503、2つのフォトダイオード504a、504b及び差動回路505に加えて、2枚のダイクロイックミラー506a、506bを有している。
このダイクロイックミラーは偏光ビームスプリッタの直後に存在し、ポンプ光500を反射し、プローブ光501を透過させる。
この構成例では、ダイクロイックミラーの点数は増えるが、偏光ビームスプリッタ503の後ろに置くことでプローブ光501の偏光面に対するダイクロイックミラーの影響を気にしなくても良くなる効果がある。
実施例2として、実施例1と異なる形態の1軸型光ポンピング磁力計のAC磁場計測の構成例について、図6を用いて説明する。
本実施例のアルカリ金属ハイブリッド光ポンピング磁力計は、図6に示すように、2種類の異なるアルカリ金属原子群、ルビジウム(Rb)、カリウム(K)が内包されたセル601と、ポンプ光用光源602と、プローブ光用光源603を備える。
更に、ダイクロイックミラー604、605と、偏光検出系606とターミネータ609と、光チョッパー610と直線偏光子611a,611bと、四分の一波長板612と、恒温断熱槽621と、3軸ヘルムホルツコイル622と、光学窓623a、623bを備える。
光チョッパー610はポンプ光607を測定対象振動磁場の周波数と同期するようにon状態とoff状態を交互に繰り返すon/off動作を行う。
ここでon状態とはセル601にポンプ光607を入射させている状態のことであり、off状態とは、セル601にポンプ光が入らないよう遮蔽、もしくはポンプ光の光量を大きく減らしている状態を表している。
チョッパー610は羽が回転し光を遮断したり通過させたりするものであり、ポンプ光607とプローブ光608を重ね合わせる前に置き、ポンプ光607のみをチョッピングする。
チョッパー610のかわりに、ポンプ光源602の駆動電流に変調を掛け、強度を変化させるようにすることもできる。
また、ポンプ光607に周波数変調をかけ、D1線共鳴からずらして光ポンピングを止める、あるいはEO変調器などを用いてリタデーション変調をかけ円偏光状態から直線偏光状態にかえ光ポンピングを止めるようにすることもできる。
2種類の原子の核スピンが等しくない場合、磁気回転比が異なり、静磁場の下で2種の原子スピンは異なる周期で回転する。常にスピンを交換している2種の原子が異なる周期で回転すると、スピン交換は回転の位相を緩和して、T2緩和を促進する。
磁力計がスピン偏極ベクトルの中で静磁場中で周期振動する成分を使って磁場を読み出す場合には、T2緩和時間が短くなると測定対象磁場に対する応答が小さくなり、得られる出力信号は小さくなる。
この問題をさけるため、この実施例では2種の原子の核スピンが等しい方が好ましい。
ポンプ光701はチョッパーによって測定対象振動磁場703の周波数と同じ周波数でon/offを繰り返している。
バイアス磁場705はポンプ光701と直交する方向(図7中z方向)に印加する。
ポンプ光701がセルに入射されている時は、Rb原子スピン711及びK原子スピン712は図7(A)のようにx方向に偏極される。
ポンプ光がoff状態のとき、K原子スピン712は図7(B)のようにx−y平面内で回転運動をする。このとき、バイアス磁場705の大きさは、回転運動のラーモア周波数が測定対象振動磁場703の周波数と一致するように選定する。
x−y面内で回転するK原子スピン712は同じ周波数で振動する測定対象磁場と共鳴し、スピンはトルクを受けてz方向の成分を生じる。
これに伴って、x−y面内で回転しているスピンのx−y面内成分の大きさは小さくなる。
この変化量は、測定対象磁場の振幅に応じて決まるので、プローブ光で読み出す。これにより、変調を掛けやすくなる利点がある。
102:ポンプ用光源
103:プローブ用光源
104:ダイクロイックミラー
105:ダイクロイックミラー
106 偏光測定系
107:ポンプ光
108:プローブ光
Claims (10)
- 原子の電子スピンあるいは核スピンを利用した光ポンピング磁力計であって、 第1のアルカリ金属原子群と、該第1のアルカリ金属原子群とスピン交換相互作用をする第2のアルカリ金属原子群と、が内包されたセルと、
前記第1のアルカリ金属原子群をスピン偏極させる第1の波長を有するポンプ光を前記セルに入射させるポンプ光光学系と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記第2のアルカリ金属原子群のスピン偏極を測定するプローブ光を、前記ポンプ光と同一光軸をなすように前記セルに入射させるプローブ光光学系と、
前記セルを通過した前記ポンプ光と前記プローブ光を、波長の違いにより弁別する波長弁別手段と、
前記セルを通過した前記プローブ光の偏光面の回転角を検出する検出手段と、を有することを特徴とする光ポンピング磁力計。 - 前記第1のアルカリ金属原子群及び前記第2のアルカリ金属原子群として、核スピンの等しい2種のアルカリ金属原子群が内包されたセルと、
前記ポンプ光に測定対象磁場と同期するチョッピングをかける手段と、
を備え、
前記ポンプ光と直交する方向にバイアス磁場をかけることにより、振動磁場を測定することを特徴とする請求項1に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記波長弁別手段を透過した前記ポンプ光と前記プローブ光が、前記検出手段に入射するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ポンピング磁力計。
- 前記波長弁別手段が、偏光子及び光受光素子を備えて構成されている前記検出手段の中に配置され、
前記偏光子を通過した前記ポンプ光と前記プローブ光が、前記波長弁別手段を透過するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1のアルカリ金属原子群がルビジウム原子で構成され、
前記第2のアルカリ金属原子群がカリウム原子で構成され、
前記ポンプ光が、前記第1の波長として795.0nmの波長を有し、
前記プローブ光が、前記第2の波長として769nm以上、771nm以下の波長を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1のアルカリ金属原子群がセシウム原子で構成され、
前記第2のアルカリ金属原子群がカリウム原子で構成され、
前記ポンプ光が、前記第1の波長として894.6nmの波長を有し、
前記プローブ光が、前記第2の波長として769nm以上、771nm以下の波長を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1のアルカリ金属原子群がカリウム原子で構成され、
前記第2のアルカリ金属原子群がルビジウム原子で構成され、
前記ポンプ光が、前記第1の波長として770.1nmの波長を有し、
前記プローブ光が、前記第2の波長として794nm以上、796nm以下の波長を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1のアルカリ金属原子群がカリウム原子で構成され、
前記第2のアルカリ金属原子群がセシウム原子で構成され、
前記ポンプ光が、前記第1の波長として770.1nmの波長を有し、
前記プローブ光が、前記第2の波長として893nm以上、896nm以下の波長を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1のアルカリ金属原子群がセシウム原子で構成され、
前記第2のアルカリ金属原子群がルビジウム原子で構成され、
前記ポンプ光が、前記第1の波長として894.6nmの波長を有し、
前記プローブ光が、前記第2の波長として794nm以上、796nm以下の波長を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ポンピング磁力計。 - 前記第1のアルカリ金属原子群がルビジウム原子で構成され、
前記第2のアルカリ金属原子群がセシウム原子で構成され、
前記ポンプ光が、前記第1の波長として795.0nmの波長を有し、
前記プローブ光が、前記第2の波長として893nm以上、896nm以下の波長を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ポンピング磁力計。
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