JP3531919B2 - 光ジャイロ、及びその駆動方法並びに信号処理方法 - Google Patents

光ジャイロ、及びその駆動方法並びに信号処理方法

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JP3531919B2 JP2000211854A JP2000211854A JP3531919B2 JP 3531919 B2 JP3531919 B2 JP 3531919B2 JP 2000211854 A JP2000211854 A JP 2000211854A JP 2000211854 A JP2000211854 A JP 2000211854A JP 3531919 B2 JP3531919 B2 JP 3531919B2
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optical gyro
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    • H01S3/08Construction or shape of optical resonators or components thereof
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、リング共振器型半
導体レーザを用いて回転を検知する光ジャイロ装置、特
に回転方向を検知可能な半導体光ジャイロ装置とその駆
動方法と信号処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、物体の回転、すなわち角速度を検
知するジャイロとしては、回転子や振動子をもつ機械的
ジャイロや、光ジャイロが知られている。光ジャイロ
は、瞬間起動が可能でダイナミックレンジが広いため、
ジャイロ分野で革新をもたらしつつある。光ジャイロに
は、リングレーザ型ジャイロ、光ファイバジャイロ、受
動型リング共振器ジャイロなどがある。ガスレーザを用
いたリングレーザ型ジャイロはすでに航空機などで実用
化されている。また、小型で高精度なリングレーザ型ジ
ャイロとして、半導体基板上のリング共振器型半導体レ
ーザからなるジャイロが提案されている。この公知文献
として、特公昭62−39836号公報、特開平4−1
74317号公報、特公平6−38529号公報があ
る。
【0003】リング共振器型半導体レーザからなるジャ
イロは、振動子を有する機械式ジャイロと比べて、さら
に素子サイズを小さくできる、消費電力を低減できる、
起動時間を短縮できるという特徴を有し、スチルカメラ
およびビデオカメラの手振れによる撮影ミスを防ぐ防振
制御装置に使用するのに好適な素子である。
【0004】このような、ジャイロでは、ビート周波数
が角速度の情報をもっている。そして、ビート周波数を
検出するために、周波数−電圧変換回路によってビート
周波数を電圧信号に変換する方法や、周波数カウンタに
よって直接ビート周波数を検出する方法などがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
リング共振器型半導体レーザからなるジャイロは、その
ままの出力信号からは回転方向の検知ができなかった。
そのため、微小回転振動(ディザ)を加えて、ディザと
信号の相関から回転方向を検知していた。また、特公昭
62−39836号公報、特開平4−174317号公
報においては、回転方向検知の方法は示されていない。
【0006】また、特公平6−38529号公報におい
ては、2個の電極から得られる信号の位相情報を比較す
ることで、回転方向を検知することができると述べられ
ているが、そのための信号処理方法は、具体的には示さ
れていない。
【0007】そこで、本発明の第1の目的は、精度よく
角速度と回転方向を検知する光ジャイロを提供すること
である。
【0008】また、本発明の第2の目的は、精度よく角
速度と回転方向を検知する光ジャイロの駆動方法を提供
することである。
【0009】また、本発明の第3の目的は、精度よく角
速度と回転方向を検知する光ジャイロの信号処理方法を
提供することである。
【0010】また、本発明の第4の目的は、静止時のビ
ート周波数が変動することを抑制する光ジャイロの駆動
方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の光ジャイロは、印加された角速度に応じて
端子間のインピーダンス変動の周期が変わり、かつ前記
インピーダンス変動を検知する電気端子を備えた2つの
リング共振器型半導体レーザを、お互いに光学的に独立
になるように、お互いに垂直でない面上に備えた光ジャ
イロであって、ある方向の角速度が増大するときに、第
1のリング共振器型半導体レーザにおいてはインピーダ
ンス変動の周波数が低くなり、第2のリング共振器型半
導体レーザにおいてはインピーダンス変動の周波数が高
くなるようにしている。
【0012】
【0013】上記構成において、前記2つのリング共振
器型半導体レーザにおけるインピーダンス変動の周波数
変化を信号処理することで、リング共振器型半導体レー
ザ間で反対符号の変化となる角速度に依存する信号と、
同符号の変化となる静止時ビート周波数の変動や雑音と
を分離することが可能となり、信号対雑音比を改善でき
る。この結果、角速度に依存する信号から、精度良く角
速度と回転方向を知ることができる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】また、上記第1の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロは、上記構成において、前記2
つのリング共振器型半導体レーザがその光導波路の一部
にテーパ部をもち、前記テーパ部は時計回りのレーザ光
の伝搬方向に沿って光導波路の幅が広くなる第1の部分
と光導波路の幅が狭くなる第2の部分とで構成されてい
て、第1のリング共振器型半導体レーザにおいては前記
第1の部分が前記第2の部分よりも長く、第2のリング
共振器型半導体レーザにおいては前記第2の部分を前記
第1の部分よりも長くしている。
【0018】ここで、上記リング共振器型半導体レーザ
のテーパ部は、静止時の時計回りのレーザ光と反時計回
りのレーザ光との発振周波数に差を与えるために導入し
た構造である。さらに、第1と第2のリング共振器型半
導体レーザでは、上記テーパ部の第1の部分と第2の部
分の長さの大小関係が逆転している。このことによっ
て、第1と第2のリング共振器型半導体レーザの間で
は、共振器損失の周回方向依存性が逆転したものにな
り、これによって、時計回りのレーザ光と反時計回りの
レーザ光との発振周波数の大小関係が逆転している。
【0019】ここで上記テーパ部は、より詳細には以下
のように作用する。光共振器内のレーザ光は、光導波路
界面において全反射を繰り返しながら伝搬していく。上
記テーパ部においては、光導波路界面への入射角が全反
射条件からずれるので、導波損が生じる。周回方向によ
って、テーパ部での界面への入射角が異なるので損失に
差が生じ、共振器損失が周回方向に依存することにな
る。共振器損失に差があるので、リングレーザの発振し
きい値に差が生じ、周回方向の異なる2つのレーザ光が
共存して発振するときに、その光子数密度に差が生じ
る。この光子数密度の差は、非線形効果によってレーザ
光の発振周波数に差を与える。
【0020】さて、各リング共振器型半導体レーザ内
で、時計回りのレーザ光と反時計回りのレーザ光の発振
周波数は異なっており、光ビートを発生する。さらに、
前記2つのリング共振器型半導体レーザはおたがいに光
学的に独立なので、これらを備えた前記ジャイロが回転
したときに、それぞれのレーザ光の発振周波数は、独立
に変化する。上記時計回りのレーザ光と反時計回りのレ
ーザ光との発振周波数の大小関係が、前記2つのリング
共振器型半導体レーザの間で逆転しているので、これら
の光共振器内での光のビート周波数は、ジャイロの回転
時に一方で増加しもう一方で減少するという関係にあ
る。この光ビートの周波数の変化を、リング共振器型半
導体レーザの端子間におけるインピーダンス変動の周波
数の変動として検出する。
【0021】得られた周波数の変動を信号処理すること
で、リング共振器型半導体レーザ間で反対符号の変化と
なる角速度に依存する信号と、同符号の変化となる静止
時ビート周波数の変動や雑音とを分離することが可能と
なり、信号/雑音比を改善できる。この結果、角速度に
依存する信号から、精度良く角速度と回転方向を知るこ
とができる。
【0022】また、上記第1の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロは、上記構成において、前記第
1のリング共振器型半導体レーザにおける共振器の囲む
面積と共振器の周回長との比が、前記第2のリング共振
器型半導体レーザにおける共振器の囲む面積と共振器の
周回長との比と等しくしている。
【0023】上記構成において、それぞれのリング共振
器型半導体レーザにおける、共振器の囲む面積と共振器
の周回長との比は、角速度変化に対するビート周波数の
変化量の絶対値を決めるパラメータである。2つのリン
グ共振器型半導体レーザ間で、このパラメータが等しい
ときには、上記ビート周波数の変化量は、絶対値が等し
く符号が異なったものとなる。そこで、リング共振器型
半導体レーザ間で反対符号の変化となる角速度に依存す
る信号と、同符号の変化となる静止時ビート周波数の変
動や雑音とを分離することがさらに容易になり、信号/
雑音比を改善できる。この結果、角速度に依存する信号
から、さらに精度良く角速度と回転方向を知ることがで
きる。
【0024】また、上記第1の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロは、上記構成において、前記第
1と第2のリング共振器型半導体レーザは、それぞれの
共振器の形状がおたがいに鏡像関係であることを特徴と
する。
【0025】上記構成において、前記第1と第2のリン
グ共振器型半導体レーザの共振器の形状が鏡像関係であ
ることは、共振器損失の周回方向依存性を、2つのリン
グ共振器型半導体レーザで鏡像対称にする。すなわち、
第1のリング共振器型半導体レーザにおける、時計周り
のレーザ光の周回損失は、第2のリング共振器型半導体
レーザにおける、反時計周りのレーザ光の周回損失と同
じとなる。逆も同様である。そこで、前記2つのリング
共振器型半導体レーザで駆動条件が同じときには、静止
時のビート周波数が一致する。この静止時のビート周波
数は、角速度とインピーダンス変動周波数との関係にお
いて、角速度に依存しない成分である。この値が2つの
リング共振器型半導体レーザにおいて一致しているとき
には、2つのリング共振器型半導体レーザからの信号の
減算によって、角速度に依存する信号成分を高精度に分
離することが可能となる。2つの信号の減算によって、
角速度に依存しない雑音成分も抑圧されるので、信号/
雑音比を改善できる。この結果、精度良く角速度と回転
方向を知ることができる。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】また、上記第1の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロは、上記構成において、前記2
つのリング共振器型半導体レーザ間の光学的結合を防ぐ
吸収体ないし遮光体を有し、かつ前記吸収体ないし遮光
体が前記リング共振器型半導体レーザに反射光を戻さな
いようにしている。
【0031】上記構成において、光学的結合を防ぐ吸収
体ないし遮光体は、それぞれのリング共振器型半導体レ
ーザが、光学的に独立にレーザ発振することを可能にす
る。また、前記吸収体ないし遮光体による反射光を、前
記リング共振器型半導体レーザに戻さないことで、時計
回りのレーザ光と反時計回りのレーザ光との間の光学的
結合をふせぎ、ロックインを抑える。
【0032】このように構成した、光学的に独立な2つ
のリング共振器型半導体レーザからなる前記ジャイロが
回転すると、各リング共振器型半導体レーザ内で、時計
回りと反時計回りのレーザ光の発振周波数が、独立に変
動する。これを信号処理することで角速度がわかるの
で、広い角速度範囲で安定して動作する光ジャイロが実
現できる。
【0033】また、上記第2の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロの駆動方法は、前記2つのリン
グ共振器型半導体レーザの各々を定電流駆動し、前記電
気端子から電圧変動を検知するようにしている。
【0034】また、上記第2の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロの駆動方法は、前記2つのリン
グ共振器型半導体レーザの各々を定電圧駆動し、前記電
気端子から駆動電流の変動を検知するようにしている。
【0035】上記構成において、定電圧駆動および定電
流駆動という駆動方法は、簡単な回路構成によって素子
のインピーダンス変動を取りだすことを可能にし、さま
ざまな信号の処理回路との容易な接続が実現できる。信
号の処理回路において、リング共振器型半導体レーザ間
で反対符号の変化となる角速度に依存する信号と、同符
号の変化となる静止時ビート周波数の変動や雑音とを分
離することが可能となり、信号/雑音比を改善できる。
この結果、角速度に依存する信号から、精度良く角速度
と回転方向を知ることができる。
【0036】また、上記第2の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロの駆動方法は、上記方法におい
て、前記2つのリング共振器型半導体レーザへの注入電
流ないし印加電圧が、同一である。
【0037】上記構成において、注入電流ないし印加電
圧が同一であることは、第1と第2のリング共振器型半
導体レーザ内でのレーザ光の発振周波数、光強度、発熱
などの差を小さくし、静止時のビート周波数を一致させ
るものであり、上記2つのリング共振器型半導体レーザ
の共振器の形状が鏡像対称である場合に、特に有効であ
る。このように駆動することで、角速度とインピーダン
ス変動周波数の関係において、角速度に依存しない成分
となる静止時のビート周波数が、各々のリング共振器型
半導体レーザにおいて共通となる。そこで、角速度に依
存する信号成分と、角速度に依存しない静止時のビート
周波数との分離を、容易かつ高精度に行うことが可能に
なり、信号/雑音比を改善できる。この結果、角速度に
依存する信号から、精度良く角速度と回転方向を知るこ
とができる。
【0038】また、上記第3の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロの信号処理方法は、前記2つの
リング共振器型半導体レーザの各々におけるインピーダ
ンス変動の周波数にたいして演算して、角速度と回転方
向を得るようにしている。
【0039】上記構成において、上記2つのリング共振
器型半導体レーザの各々におけるインピーダンス変動の
周波数にたいする演算は、角速度に依存する信号と、角
速度に依存しない静止時のビート周波数成分とを分離す
るものである。
【0040】このとき、リング共振器型半導体レーザ間
で反対符号の変化となる角速度に依存する信号が、同符
号の変化となる静止時ビート周波数の変動や雑音から分
離されるので、信号/雑音比を改善できる。この結果、
角速度に依存する信号から、さらに精度良く角速度と回
転方向を知ることができる。
【0041】また、上記第3の目的を達成するため、
出願の発明の光ジャイロの信号処理方法は、上記方法
おいて、前記演算が減算ないし、負の重みつき加重平均
である。
【0042】上記構成において、減算によって得られる
インピーダンス変動周波数の差は、回転方向を表す符号
を含めて角速度に比例したものとなる。前記2つのリン
グ共振器型半導体レーザにおいて、同一駆動条件下、静
止時のビート周波数がおおむね等しく、また、角速度の
変化に対するビート周波数の変化量の絶対値が等しく符
号が異なっているときに、特に効果的である。
【0043】また、負の重み付き加重平均によって、角
速度に依存しない静止時のビート周波数による信号成分
を相殺して、回転方向を表す符号を含めて角速度に比例
した信号が得られる。これは、前記2つのリング共振器
型半導体レーザで、静止時のビート周波数が等しくない
場合に、有効である。
【0044】重み付けは、以下のようにおこなえばよ
い。すなわち、前記2つのリング共振器型半導体レーザ
の、静止時のインピーダンス変動周波数それぞれの逆数
をとり、このうちの1つに(−1)を乗じたものを重み
として加重平均をおこなえばよい。
【0045】このとき、リング共振器型半導体レーザ間
で反対符号の変化となる角速度に依存する信号が、同符
号の変化となる静止時ビート周波数の変動や雑音から分
離されるので、信号/雑音比を改善できる。この結果、
角速度に依存する信号から、さらに精度良く角速度と回
転方向を知ることができる。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【発明の実施形態】[第1の実施形態]図1にしたがっ
て、本発明の光ジャイロの第1の実施形態を説明する。
【0051】10は本発明による光ジャイロ素子であ
り、11、12はそれぞれリング共振器型半導体レー
ザ、13と14は光導波路の一部に設けた導波路幅の変
化する部分(テーパ部)である。リング共振器型半導体
レーザには15に示す反時計回りの周回モードと16に
示す時計回りの周回モードが存在している。
【0052】2つのリング共振器型半導体レーザ11、
12は、以下のようにして作製した。はじめに、図1の
素子断面図に示す半導体多層構造を有機金属気相成長法
によって成膜した。すなわち、n−InP基板102上
に、1.3μm組成のアンドープInGaAsP光ガイ
ド層103(厚さ0.15μm)、1.55μm組成の
アンドープInGaAsP活性層104(厚さ0.1μ
m)、1.3μm組成のアンドープInGaAsP光ガ
イド層105(厚さ0.15μm)、p−InPクラッ
ド層106(厚さ1.5μm)、p−InGaAsキャ
ップ層107を結晶成長した。フォトレジストを塗布
し、マスクパタンを露光、現像してリング共振器形状の
レジストパタンを形成した。塩素ガスを用いたリアクテ
ィブイオンエッチングによって、高さ3μmのハイメサ
形状のリッジ導波路からなるリング共振器型半導体レー
ザを形成した。Cr/Auをリッジ導波路上部に蒸着し
て、p−電極108とした。ウェハの下側にはAuGe
/Ni/Auを蒸着してn−電極101とした。水素雰
囲気中でアロイ化して、p、nの電極をオーミック接触
とした。
【0053】さて、リング共振器を形成する光導波路の
形状について、以下に詳細に説明する。リング共振器型
半導体レーザ11、12は、各々が非対称な形状となっ
ている。すなわち、テーパ部13(および14)は、反
時計回り(時計回り)のレーザ光の伝搬方向に沿って、
徐々に光導波路の幅が広くなる第1の部分と、徐々に光
導波路の幅が狭くなる第2の部分からなっていて、第1
の部分と第2の部分では長さが異なっている。特に図示
した例では第1の部分が極端に短くなっている。リング
共振器型半導体レーザ11とリング共振器型半導体レー
ザ12の共振器の形状は、相互に鏡像の関係となってい
る。
【0054】同一の基板上に形成されるリング共振器型
半導体レーザ11とリング共振器型半導体レーザ12の
配置に際しては、互いのレーザ光が結合しないように間
隔をあけて配置した。エバネッセント光の影響を避ける
ためにおよそ15mm以上の間隔としている。また、非
対称のテーパ部では、モード変換に伴って光導波路外に
放射されるレーザ光が存在するので、このテーパ部同士
を対向させることや、同一軸上に配置することを避けて
いる。また、それぞれのリング共振器型半導体レーザ間
に、半導体層をエッチングせずに残した吸収体を形成し
てもよい。さらに、この吸収体の側面および上面に絶縁
膜、電極金属を形成して遮光体としてもよい。また、素
子側面に形成した絶縁膜とこの上に形成した電極金属に
よって、遮光体としてもよい。これらの遮光体は、遮光
体表面での反射光がリング共振器型半導体レーザに戻ら
ないように傾けて配置するとよい。これらの素子配置、
吸収体、遮光体によって、リング共振器型半導体レーザ
間の相互作用を低減させ、光学的に独立にできる。ま
た、反射光が時計回りのレーザ光と反時計回りのレーザ
光とを光学的に結合させることをふせぎ、ロックインを
抑えた。
【0055】リング共振器型半導体レーザ11と12
に、それぞれ独立に電流注入をして端子電圧を検出する
ために、図2に示すような回路を用いた。
【0056】図2において、10は本発明による光ジャ
イロであり、11、12はそれぞれリング共振器型半導
体レーザ、201、202は駆動電流入力端子、20
3、204はカップリングコンデンサ、205、206
はコンパレータ、207、208はカウンタ、209は
ゲイン(−1)の反転器、210、211は加算器、2
12は信号出力端子、213は誤差信号出力端子であ
る。
【0057】端子201と202のそれぞれを、リング
共振器型半導体レーザの発振しきい値電流以上で定電流
駆動する。発振しきい値以上の電流注入によって利得の
生じたリング共振器型半導体レーザ11(および12)
では、それぞれ時計回りと反時計回りのレーザ光が独立
に存在している。
【0058】時計回りのレーザ光と反時計回りのレーザ
光とでは、静止時のレーザ光の発振周波数が異なってい
る。これは以下にのべるように、リング共振器型半導体
レーザ11(および12)の非対称なテーパ部の作用に
よる。レーザ光は光導波路界面で全反射を繰り返しなが
ら伝搬していくが、テーパ部においては、光導波路界面
への入射角度が変化するので導波損が生じる。周回方向
によって、テーパ部での入射角が異なるので損失に差が
生じ、共振器損失が周回方向に依存することになる。
【0059】レーザ光の周回方向によって共振器損失に
差があるため、リング共振器型半導体レーザの発振しき
い値に周回方向による差が生じる。2つのレーザ光が共
存して発振する状態では、非線形光学効果によって、2
つのレーザ光の光子数密度に差が生じる。共存する2つ
のレーザ光(モード)の発振周波数fjと光子数密度Sj
の間には以下の関係があり、光子数密度に差があれば、
発振周波数に差が生じることがわかる。 2πf1+dΦ1/dt=Ω+σ1−ρ11−τ122 2πf2+dΦ2/dt=Ω+σ2−ρ22−τ211 (1) ここで、Fiは位相、Ωは共振角周波数、σiはモードの
引き込み係数、ρiはモードの自己押し出しを示す係
数、τijは、モードの相互押し出しを示す係数である。
ただし、i、j=1、2;i≠jである。静止時にレー
ザ光の発振周波数f 10とf20が異なっているので、Δf
0=f20−f10という周波数でビートが生じる。
【0060】ここで、リング共振器型半導体レーザが角
速度Ωで時計回りに回転すると、時計回りの第1のレー
ザ光の発振周波数は、非回転時の発振周波数f10と比べ
て Δf1=2SΩ/(λ1 L) (2) だけ減少する。ここでSはリング共振器の囲む面積、L
は光路長、λ1は時計回りのレーザ光の媒質内波長であ
る。また同時に、反時計回りの第2のレーザ光の発振周
波数は、非回転時の発振周波数f20と比べて Δf2=2SΩ/(λ2 L) (3) だけ増加する。ここで、λ2は反時計回りのレーザ光の
媒質内波長である。
【0061】リング共振器の中で、時計回りの第1のレ
ーザ光と反時計回りの第2のレーザ光が共存しているの
で、第1のレーザ光と第2のレーザ光の発振周波数との
差の周波数に相当した光強度のビートが発生する。回転
時の、ビートの周波数Δfは、 Δf=f2−f1 =f20−f10+(Δf2+Δf1) =f20−f10+(2SΩ/L)・(1/λ2+1/λ1) (4) である。光強度のビートは、同じ周波数Δfでの反転分
布の脈動を引き起こし、端子間のインピーダンスを変化
させる。そこで、定電流駆動をしている場合には、端子
間電圧に、上記Δfという周波数での電圧変動が観測さ
れる。ただし、観測できる周波数は常に正なので、|Δ
f|が得られる。
【0062】上に述べたように、静止時にレーザ光の発
振周波数f10とf20が異なっていれば、図3に示すよう
に、静止時にΔf0=(f20−f10)というビートが生
じ、図3の直線部に示すように、回転時に回転方向に応
じてビート周波数が増減する。
【0063】このようにして、リング共振器型半導体レ
ーザから得られる電圧信号の周波数と角速度の関係につ
いて、図3によって説明する。
【0064】図3において、実太線の直線部と、これを
延長した実細線が、(3)式で表されるΔfである。2
つのレーザ光の発振周波数差があるしきい値以下のとき
(実細線部)には、2つのレーザ光の間は強結合状態と
なって、2モード独立のレーザ発振ができなくなる場合
がある。このとき、光のビートおよび電圧の周期的変動
は観測できない。
【0065】このようなときには、角速度と電圧信号の
周波数との関係は、図3の実太線((f20−f10)>0
の場合)や破線((f20−f10)<0の場合)のように
なる。いずれも、Δf0=|f20−f10| である。
【0066】おたがいに鏡像対称にあるリング共振器型
半導体レーザ11と12の同一駆動条件下での、角速度
と電圧信号の周波数との関係は、角速度Wに対して対称
になっている。また、静止時のビート周波数Δf0 は等
しい。
【0067】図2に示す信号処理回路で、以下のように
角速度を検出した。コンデンサ203、204を介し
て、各々のリング共振器型半導体レーザからの電圧変動
の信号を取り込み、コンパレータ205、206によっ
て周波数信号を矩形波状に整形した。カウンタ207、
208で所定時間内のパルス数をカウントした。反転器
209を介して2つのカウンタ207と208の出力を
加算器210において加算した。すなわち、2つのリン
グ共振器型半導体レーザのビート周波数の差を得た。ふ
たつのリング共振器型半導体レーザが同一の駆動条件下
のとき、あるいは、さらに後述するように静止時のビー
ト周波数が一致するように駆動条件を制御したときに、
2つのリング共振器型半導体レーザのビート周波数の差
-は、 f- =(2SΩ/L)・(1/λ1CW+1/λ1CCW +1/λ2CW+1/λ12CCW )(5) と、角速度に正比例する。ただし、λjcw、λj
ccw (j=1、2)は、第jのリング共振器型半導体レ
ーザでの、時計回りおよび反時計回りのレーザ光の発振
波長であり、おたがいにほぼ等しい。こうして、回転方
向を表す符号を含めて角速度に比例するとして信号出力
212が得られた。ただし、信号が角速度に比例する範
囲は、図3に示す−ΩL <Ω <ΩLの範囲である。ここ
で、ΩLはロックインの影響で式(3)の線形な関係が
維持できなくなる角速度を示す。
【0068】また、加算器211において、2つのカウ
ンタ207と208の出力を加算した。すなわち、2つ
のリング共振器型半導体レーザのビート周波数の和f+
を得た。この量は、 f+ =Δf01+Δf02 (6) と表され、角速度に依存しない。ここで、Δf0j は、
第jのリング共振器型半導体レーザにおける静止時のビ
ート周波数である。この量が変動する時には、2つのリ
ング共振器型半導体レーザの少なくとも一方において、
静止時のビート周波数が変動しているので、式(5)に
よる角速度の検出は、誤差を含んだものとなる。そこ
で、この量を駆動電流のフィードバック制御回路への誤
差信号として用いた。すなわち、設定部214にてあら
かじめ設定した量(静止時のビート周波数の2倍に相当
するf+の初期値)に対する誤差信号215としてビー
ト周波数の和の信号213を用いた。これにしたがっ
て、調整部216において、リング共振器型半導体レー
ザの駆動電流を調整する。
【0069】リング共振器型半導体レーザの駆動電流を
しきい値より増加していくと式(1)に示す2モード間
の光強度の差も増加し、静止時のビート周波数が大きく
なる傾向がある。そこで、静止時のビート周波数が増大
したときには駆動電流を減少し、静止時のビート周波数
が減少したときには駆動電流を増やすようにフィードバ
ックを制御すればよい。
【0070】上に述べたように、ビート周波数の差をと
ることで、信号処理に際して静止時のビート周波数とい
う基準値を用いることなく、回転方向を表す符号も含め
て角速度に比例した信号が得られた。また同時に、静止
時のビート周波数に相当する量を安定させるフィードバ
ック制御を行って、安定性に優れた光ジャイロとするこ
とができた。
【0071】この実施形態では半導体材料としてInG
aAsP/InP系を用いたが、GaAs系、ZnSe
系、InGaN系などの電流注入によってレーザ発振さ
せることのできる材料系であっても構わない。また、フ
ィードバック制御系が駆動電流を制御する例を示した
が、素子の温度調整回路に対するフィードバック制御を
行って静止時のビート周波数を安定させてもよい。この
場合、素子の温度を下げることで素子のしきい値電流を
下げると、同一駆動電流での2モード間の強度差が大き
くなって静止時のビート周波数は増大する傾向がある。
静止時のビート周波数が増大したときには素子の温度を
上げ、静止時のビート周波数が減少したときには素子の
温度を下げるように制御すればよい。
【0072】図9は、本実施形態のジャイロを用いた防
振システムを有するコンパクトカメラを示す。このカメ
ラは、光軸91に対して、矢印92、93で示すカメラ
の縦振れおよび横振れに対して振れ補正を行う機能を有
している。94は補正手段、95、96は本実施形態の
ジャイロと駆動回路を1パッケージに収めた振動検出装
置、97はカメラマイコン、98は補正レンズであるで
ある。
【0073】振動検出装置95、96からの出力信号
は、それぞれ、カメラの縦振れおよび横振れの角速度に
相当する。この信号を、カメラマイコン97に入力す
る。カメラのレリーズボタンが押し切り状態となったと
きに、カメラマイコン97にて、焦点距離、被写体の距
離に応じた信号の補正を加え、この信号によって補正手
段94を駆動する。補正手段94では、駆動信号に応じ
て、光軸と直交する面内で2軸方向に補正レンズ98を
移動させて、振れ補正を行い、カメラの振れによる撮影
ミスを防ぐ。
【0074】本実施形態のジャイロからなる振動検出装
置は、小型、低消費電力であるので、コンパクトカメラ
に適した防振システムを構成することができた。
【0075】[第2の実施形態]図4は、本発明に係る
光ジャイロの他の一例を示す斜視図であり、リング共振
器型半導体レーザを、一つの筐体内に複数設けた場合を
示す。
【0076】図4において、40は筐体として用いたス
テム、41はステムに接続された共通電極、42、43
は、それぞれリング共振器型半導体レーザ、44はリン
グ共振器型半導体レーザ 42、43のそれぞれに対応
した電極、45は各電極44とリング共振器型半導体レ
ーザ42、43とを接続するワイヤである。ここで、リ
ング共振器型半導体レーザ42、43の各々の層構成
は、第1の実施の形態として示したリング共振器型半導
体レーザと同じ構成である。また、各々のリング共振器
型半導体レーザ42、43は、時計回りのレーザ光の伝
搬方向に沿って、光導波路の幅が広くなる第1の部分
と、光導波路の幅が狭くなる第2の部分からなるテーパ
部を有している。リング共振器型半導体レーザ42と4
3とは周回長が同じであり、図5に示すように鏡像対称
となっている。
【0077】上記構成では、各リング共振器型半導体レ
ーザ42、43の基板側を共通電極として、ステム41
に半田によって個別に接着するとともに、各リング共振
器型半導体レーザ42、43のキャップ層側の電極は各
ワイヤ45によって、個別の電極44に接続した。
【0078】図4のように、各リング共振器型半導体レ
ーザに電流が流せるように接続し、電流注入を行いなが
ら、電極間での電圧の変化を検出する。電流の注入と電
圧の検出を同一の電極で行うために、ここでは図6に示
すような回路を用いた。
【0079】図6において、40は本発明による光ジャ
イロ素子であり、42、43はそれぞれリング共振器型
半導体レーザ、601、602は駆動電流入力端子、6
03、604はカップリングコンデンサ、605、60
6はf−V変換回路、607はゲイン(−1)の反転
器、608、609は加算器、610は信号出力端子、
611は誤差信号出力端子である。
【0080】端子601と602のそれぞれから、リン
グ共振器型半導体レーザの発振しきい値電流以上の電流
でリング共振器型半導体レーザ42と43を定電流駆動
する。発振しきい値以上の電流注入によって利得の生じ
たリング共振器型半導体レーザ42と43では、各々に
時計回りのレーザ光と反時計回りのレーザ光が独立に存
在し、ビート信号が発生する。角速度とビート信号の周
波数の関係は、図3に示したものと同様になる。
【0081】図6に示す信号処理回路で、以下のように
角速度を検出した。コンデンサ603、604を介し
て、各々のリング共振器型半導体レーザからの電圧変動
の信号を取り込み、f−V変換回路605、606によ
ってビート信号の周波数に応じた電圧を取りだした。反
転器607を介して2つのf−V変換回路605と60
6の出力を加算器608において加算した。すなわち、
2つのリング共振器型半導体レーザのビート周波数の差
を得た。第1の実施形態同様、ふたつのリング共振器型
半導体レーザをほぼ同一の駆動条件下で、静止時のビー
ト周波数が一致するように駆動したときに、回転方向を
表す符号を含めて角速度に比例する信号出力610が得
られた。
【0082】また、加算器609において、2つのf−
V変換回路605と606の出力を加算した。すなわ
ち、2つのリング共振器型半導体レーザのビート周波数
の和に相当する出力を得た。第1の実施形態同様、この
量は、角速度によらない一定値となる。2つのリング共
振器型半導体レーザそれぞれが静止しているときのビー
ト周波数の和に相当する量である。そこで、この量を誤
差信号611として取出し、駆動電流のフィードバック
制御回路によってリング共振器型半導体レーザの駆動電
流を調整する。第1の実施形態同様、静止時のビート周
波数が増大したときには駆動電流を減少し、静止時のビ
ート周波数が減少したときには駆動電流を増やすように
制御すればよい。
【0083】上記説明では筐体としてステムを用いた例
を示したが、本発明による筐体は、複数個のリング共振
器型半導体レーザをハイブリッド実装することができれ
ばどのような形態のものでもよく、例えばケースなどで
も構わない。これまで述べた2つの実施形態では、リン
グ共振器型半導体レーザのリング共振器形状として四角
形のものを示したが、円周状、三角形状など閉じた経路
をなすものを適用してよい。
【0084】[第3の実施形態]図7は、本発明に係る
光ジャイロの他の駆動と信号処理の方法を示す図であ
る。
【0085】図7において、70は本発明による光ジャ
イロであり、71、72はそれぞれリング共振器型半導
体レーザ、701、702は駆動電流入力端子、70
3、704はカップリングコンデンサ、705、706
はコンパレータ、707、708はカウンタ、709は
ゲイン(−1)の反転器、710、711は加算器、7
12は静止時オフセット除去回路、713は信号出力端
子、714は誤差信号出力端子である。また、715は
注入電流の設定部、716は電流制御ブロックに対する
誤差信号の入力端子、717は注入電流の調整部であ
る。
【0086】光ジャイロ素子は、第1の実施形態に示し
たものである。端子701と702のそれぞれをリング
共振器型半導体レーザ71、72それぞれの発振しきい
値電流以上で定電流駆動する。ただし、リング共振器型
半導体レーザ71、72では、注入電流がおたがいに異
なっている。発振しきい値以上の電流注入によって利得
の生じたリング共振器型半導体レーザ71(および7
2)では、時計回りのレーザ光と反時計回りのレーザ光
とが独立に存在している。すでに説明したように、テー
パ部によって、時計回りのレーザ光と反時計回りのレー
ザ光の発振周波数は異なっており、これによって静止時
にもビート信号が生じる。ところでこのビート信号の周
波数は、式(1)に示すように周回方向の異なる2つの
レーザ光の強度差に依存している。そこで、2つのリン
グ共振器型半導体レーザにおいて、注入電流が異なって
いるときには、時計回りと反時計回りのレーザ光の強度
差も異なるので、静止時のビート周波数に差が生じる。
【0087】次に、ジャイロの回転角速度Ωとビート周
波数Δfの関係を図8に示す。実太線と点線は、それぞ
れリング共振器型半導体レーザ71と72の特性を示
す。角速度にたいするビート周波数の傾きの絶対値は、
式(4)に示すように、(1/λ、cw+1/λjccw)・
S/Lとなる。この傾きの絶対値は、両素子の波長がほ
ぼ等しく、S/Lが等しいときには、ほぼ等しくなる。
【0088】このようなリング共振器型半導体レーザ7
1、72からの電圧変動の信号を、コンデンサ703、
704を介して取り込み、コンパレータ705、706
によって周波数信号を矩形波状に整形した。カウンタ7
07、708で所定時間内のパルス数をカウントした。
利得(−Δf01/Δf02)の反転増幅器709を介して
2つのカウンタ707と708の出力を加算器710に
おいて加算した。すなわち、2つのリング共振器型半導
体レーザのビート周波数にたいする負の重み付き和とし
て、角速度に正比例する信号出力712を得た。
【0089】また、第1の実施形態同様に加算器711
において、2つのカウンタ707と708の出力を加算
した。すなわち、2つのリング共振器型半導体レーザの
ビート周波数の和を得た。この量は、第1の実施形態同
様角速度に依存しないので、この量が変動する時には、
2つのリング共振器の少なくとも一方において静止時の
ビート周波数が変動している。この量を誤差信号714
として取りだし、駆動電流のフィードバック制御回路へ
の誤差信号として戻す。すなわち、設定部715にてあ
らかじめ設定した量(静止時のビート周波数の和((Δ
01+Δf02)に相当))に対する誤差信号716とし
てビート周波数の和の信号714を用い、調整部717
において、リング共振器型半導体レーザの駆動電流を調
整した。
【0090】上述したように、2つの素子からのビート
周波数を用いた演算によって、回転方向を表す符号も含
めて角速度に比例した信号が得られた。また同時に、角
速度によらず静止時のビート周波数を安定させるフィー
ドバック制御を行って、安定性に優れた光ジャイロとす
ることができた。
【0091】これまで述べた3つの実施形態では、定電
流駆動を行い、素子の角速度に応じた端子間電圧変動を
検出する場合を示したが、素子を駆動しているときに素
子の受けた角速度によって素子インピーダンスが変化す
るのを検出するという測定原理から明らかなように、素
子を定電圧駆動して、その電流変化を検出するなど、そ
の他のインピーダンス測定法によってインピーダンス変
化を計測して角速度を知ることもできる。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、
精度よく角速度と回転方向を検知する光ジャイロが得ら
れた。
【0093】
【0094】また、本発明によって2つのリング共振器
型半導体レーザが光学的に独立であり、安定して動作す
る光ジャイロが得られた。
【0095】また、本発明によって、容易な回路構成に
よって素子のインピーダンス変動を観測でき、種々の信
号の処理回路と容易に接続できるので、精度よく角速度
と回転方向を検知できる光ジャイロの駆動方法が得られ
た。
【0096】また、本発明によって、信号処理が容易か
つ高精度におこなえる光ジャイロの駆動方法が得られ
た。
【0097】また、本発明によって、精度よく角速度と
回転方向を検知することができる光ジャイロの信号処理
方法が得られた。
【0098】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施形態の光ジャイロの平
面図及び断面図
【図2】本発明による第1の実施形態の光ジャイロと駆
動、信号処理回路の回路図
【図3】本発明による第1の実施形態の光ジャイロにお
けるビート信号の周波数と角速度の関係を示すグラフ
【図4】本発明による第2の実施形態の光ジャイロの斜
視図
【図5】本発明による第2の実施形態の光ジャイロの平
面図
【図6】本発明による第2の実施形態の光ジャイロと駆
動、信号処理回路の回路図
【図7】本発明による第3の実施形態の光ジャイロと駆
動、信号処理回路の回路図
【図8】本発明による第3の実施形態の光ジャイロにお
けるビート信号の周波数と角速度の関係を示すグラフ
【図9】本発明による第1の実施形態の光ジャイロで振
動を検出して、防振を行うカメラの概念図
【符号の説明】
10、40、70 光ジャイロ素子 11、12、42、43、71、72 リング共振器型
半導体レーザ素子 13、14 テーパ部 15 反時計回りの周回モード光 16 時計回りの周回モード光 205、206、705、706 コンパレータ 207、208、707、708 カウンタ 605、606 f−V変換回路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−146150(JP,A) 特開 平4−174317(JP,A) 特開 平7−139954(JP,A) 特開 平10−261837(JP,A) 特開 昭49−88547(JP,A) 特開 昭57−43486(JP,A) 特開2002−22459(JP,A) 特開2002−22457(JP,A) 特開2002−22456(JP,A) 特許3323844(JP,B2) 特許3363862(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 19/64 - 19/72 H01S 3/083 H01S 5/10 H01S 5/22 610 H04N 5/232

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印加された角速度に応じて端子間のイン
    ピーダンス変動の周期が変わり、前記インピーダンス変
    動を検知する電気端子を備えた2つのリング共振器型半
    導体レーザを、お互いに光学的に独立になるように、お
    互いに垂直でない面上に備え、ある方向の角速度が増大
    するときに、第1のリング共振器型半導体レーザにおい
    てはインピーダンス変動の周波数が低くなり、第2のリ
    ング共振器型半導体レーザにおいてはインピーダンス変
    動の周波数が高くなる光ジャイロであって、 前記2つのリング共振器型半導体レーザはその光導波路
    の一部にテーパ部があり、前記テーパ部は時計回りのレ
    ーザ光の伝搬方向に沿って光導波路の幅が広くなる第1
    の部分と光導波路の幅が狭くなる第2の部分とで構成さ
    れていて、 第1のリング共振器型半導体レーザにおいては前記第1
    の部分が前記第2の部分よりも長く、第2のリング共振
    器型半導体レーザにおいては前記第2の部分が前記第1
    の部分よりも長いことを特徴とする光ジャイロ。
  2. 【請求項2】 前記第1のリング共振器型半導体レーザ
    における共振器の囲む面積と共振器の周回長との比が、
    前記第2のリング共振器型半導体レーザにおける共振器
    の囲む面積と共振器の周回長との比と等しい請求項1に
    記載の光ジャイロ。
  3. 【請求項3】 前記第1と第2のリング共振器型半導体
    レーザは、それぞれの共振器の形状がお互いに鏡像関係
    にある請求項1記載の光ジャイロ。
  4. 【請求項4】 前記2つのリング共振器型半導体レーザ
    間の光学的結合を防ぐ吸収体ないし遮光体を有し、前記
    吸収体ないし遮光体が前記リング共振器型半導体レーザ
    に反射光を戻さない請求項1に記載の光ジャイロ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載された光ジャイロの駆動
    方法であって、 前記2つのリング共振器型半導体レーザの各々を定電流
    駆動し、前記電気端子から電圧変動を検知することを特
    徴とする光ジャイロの駆動方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載された光ジャイロの駆動
    方法であって、 前記2つのリング共振器型半導体レーザの各々を定電圧
    駆動し、前記電気端子から駆動電流の変動を検知するこ
    とを特徴とする光ジャイロの駆動方法。
  7. 【請求項7】 前記2つのリング共振器型半導体レーザ
    への注入電流又は印加電圧が、同一である請求項5又は
    6のいずれか一つに記載の光ジャイロの駆動方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載された光ジャイロからの
    信号の処理方法であって、 前記2つのリング共振器型半導体レーザの各々における
    インピーダンス変動の周波数に基づいて演算処理を行
    い、角速度と回転方向を得ることを特徴とする光ジャイ
    ロの信号処理方法。
  9. 【請求項9】 前記演算処理は、減算又は負の重みつき
    加重平均である請求項8記載の光ジャイロの信号処理方
    法。
  10. 【請求項10】 前記重みが、それぞれのリング共振器
    型半導体レーザにおける静止時のビート周波数の比に相
    当する請求項9に記載の光ジャイロの信号処理方法。
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