JP2002243452A - ジャイロ装置及びその駆動方法 - Google Patents

ジャイロ装置及びその駆動方法

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JP2002243452A
JP2002243452A JP2001035792A JP2001035792A JP2002243452A JP 2002243452 A JP2002243452 A JP 2002243452A JP 2001035792 A JP2001035792 A JP 2001035792A JP 2001035792 A JP2001035792 A JP 2001035792A JP 2002243452 A JP2002243452 A JP 2002243452A
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gyro
gyro device
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circular
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JP2001035792A
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Takaaki Numai
貴陽 沼居
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ジャイロにおいて、ディザがなくても回転方
向・速度を検出する。又、ロックインが生じない方法で
発振モード数を制限する。 【解決手段】 非周回状の経路1で発生した光21が、
周回状の経路2で構成される光共振器に入射される。こ
の光21は、時計回りのレーザー光11のみと結合し、
反時計回りのレーザー光12とは結合しない。そして、
半導体ジャイロ装置の中でレーザー光11と12が干渉
する。このとき、電源電流が一定となるよう調整してお
き、アノードとカソードの間の電圧をモニターすると、
振幅100 mVで周波数20kHzの信号が得られる。すなわ
ち、半導体ジャイロ装置が静止しているときでも、ビー
ト信号が検出できる。又、後方散乱光によるロックイン
を避けるため非周回状の経路1の端面をレーザー光の伝
搬方向から傾斜させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転を検出するジ
ャイロ装置に関し、特にリングレーザー型のジャイロ装
置及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジャイロは、移動する物体の角速度を検
出するためのセンサである。そして、航空機やロボット
の姿勢制御、カーナビゲーションでの位置検出、車の横
滑り検知や、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメ
ラの手ぶれ防止などに用いることができる。
【0003】ジャイロとしては、回転子や振動子をもつ
機械的なジャイロや、ジャイロ装置が知られている。特
にジャイロ装置は、瞬間起動が可能でダイナミックレン
ジが広いため、ジャイロ技術分野に革新をもたらしつつ
ある。ジャイロ装置には、ジャイロ装置、光ファイバー
ジャイロ、受動型リング共振器ジャイロなどがある。こ
のうち、最も早く開発に着手されたのが、気体レーザー
を用いたジャイロ装置であり、すでに航空機などで実用
化されている。また、小型で高精度なジャイロ装置とし
て、半導体レーザーを用いたジャイロも提案されてい
る。この公知文献としては、例えば特公昭62−039
836号公報があり、例を図10(a)-(e)に示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ジャイロ装置では、回
転にともなって、お互いに反対方向に周回するレーザー
光の発振周波数がシフトする。しかし、回転速度が小さ
いときは、発振周波数の差が小さくなる。この場合、媒
質の非線形性によって、発振周波数が一方のモードに引
き込まれるロックイン現象が生じていた。このロックイ
ン現象を解除するために、ジャイロ装置にディザをかけ
ることがよく行われている。また、従来のジャイロ装置
は、それ単体では回転方向の検出が出来なかった。この
ため、前述のディザの方向と信号との相関から回転方向
を決定していた。
【0005】さて、ジャイロ装置において、信号雑音比
を大きくするためには、発振モード数をなるべく少なく
することが望ましい。もっとも望ましいのは、時計回
り、反時計回りにつき、それぞれ単一モードとすること
である。しかし、従来のジャイロ装置では、発振モード
数を制限することに関して、あまり検討されてこなかっ
た。特に半導体レーザーの場合、利得帯域が10 nm程
度と大きいため、この帯域の中にある共振モードは、発
振することができる。つまり、半導体ジャイロ装置は、
多モード発振しやすい。
【0006】発振モード数を制限するには、利得帯域内
に存在する共振モードの数を減らせばよいが、ファブリ
ペロー共振器や回折格子などの共振型の光フィルターを
用いることはできない。なぜならば、共振型の光フィル
ターは、進行波と後退波を結合させるからである。も
し、共振型の光フィルターを用いると、お互いに反対方
向に周回しているレーザー光どうしが強結合となり、一
方のモードの発振が抑制されてしまう。この現象は、ロ
ックインとして知られており、回転数が小さいときのよ
うに、反対方向に周回しているレーザー光の発振周波数
の差が小さい場合に特に問題となる。このため、進行波
と後退波が結合しない状態で、発振モード数を制限でき
るジャイロ装置が望まれていた。
【0007】そこで、本発明は、ディザなどの機械的な
機構がなくても、回転方向および回転速度の検出を行う
ことができる、ジャイロ装置を提供することを課題とし
ている。
【0008】更に、本発明は、ロックインが生じない方
法で発振モード数を制限することで、精度よく安定に動
作するジャイロ装置を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明のジャイロ装置は、光利得を有する周回状の経
路と、前記周回状の経路の少なくとも一部と光学的に結
合した光利得を有する非周回状の経路とを少なくとも含
み、かつ前記非周回状の経路の端部を反射抑制構造とし
ている。
【0010】又、本発明のジャイロ装置の駆動方法は、
光利得を有する周回状の経路と、前記周回状の経路の少
なくとも一部と光学的に結合した光利得を有する非周回
状の経路とを少なくとも含み、前記非周回状の経路の端
部が反射抑制構造であり、前記経路のうち少なくとも一
部を電気的に独立に制御することのできる複数の電極を
備えたジャイロ装置を駆動する方法であって、前記複数
の電極のうち少なくとも一部を電気的に独立に制御する
ようにしている。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のジャイロ装置の電流−光
出力(I-L)特性がどのようにして決まるかを、図1と図
2を参照しながら、数式を使って説明する。数式は、
[発明の実施の形態]欄の末尾に一括して記載する。
【0012】図1は、本発明のジャイロ装置の構造を模
式的に示す上面図であり、非周回状の経路(光導波路)
1が周回状の経路(光導波路)2と光学的に結合してい
る。また、11は時計回りのレーザー光、12は反時計
回りのレーザー光、21は非周回状の経路1で発生した
光である。
【0013】このように、周回状の経路2で構成される
光共振器に、光共振器の外部である非周回状の経路1か
ら光21が入射するとき、光共振器内の光子数密度Sと
キャリア濃度nに対するレート方程式は、式(1)で与
えられる。式(1)において、G(n)は誘導放出による増
幅レートでキャリア濃度nの関数である。また、τph
光共振器内に光子がとどまる時間すなわち光子寿命、β
spは自然放出光結合係数、τrは発光再結合寿命、ηは
外部からの入射光の光共振器への結合レート、S inは外
部からの入射光の光子数密度、Iは注入電流、eは電気素
量、Vは活性層の体積、τnはキャリア寿命である。
【0014】式(1)から、定常状態(d/dt=0)で
は、光子数密度Sと注入電流Iは、式(2)のように表さ
れる。
【0015】外部からの入射光が存在しないとき、自然
放出光の結合を無視すると、発振条件は式(3)で表さ
れる。式(3)において、nthは発振しきいキャリア濃
度、nは媒質が透明になるキャリア濃度である。
【0016】そして、発振しきい値未満では、式(4)
が成り立つ。
【0017】しかしながら、自然放出光の結合や、外部
からの入射光が存在すれば、式(4)が成り立つときで
も、式(2)からS>0となり、レーザー発振が始まる。
【0018】この様子を明らかにするために、計算結果
を図2に示す。この図において、横軸は注入電流I (m
A)、縦軸は光強度P (mW)である。パラメータは,外部か
らの入射光の光子数密度Sinである。また、ここで外部
からの入射光の光共振器への結合レートは、式(3)に
等しいとした。なお、光強度Pは、光子数密度Sと式
(5)の関係にある。式(5)の冒頭はプランク定数を
2πで割ったものである。ωはレーザー光の角周波数、
g=c/nrはレーザー光の群速度(cは真空中の光速、nr
は媒質の屈折率)、SBはレーザービームの断面積であ
る。計算に用いたパラメータをまとめると、式(6)の
通りである。
【0019】図2から、外部からの入射光の光子数密度
Sinが大きいほど、発振しきい値が低下することがわか
る。また、発振後に同一電流で比較すると、Sinが大き
いほど、光強度Pが大きくなる。このことから、ジャイ
ロ装置において、第1の周回方向に伝搬するレーザー光
に対してのみ結合し、第1の周回方向と反対の第2の周
回方向に伝搬するレーザー光に対しては結合しない光を
入射すれば、周回方向によってレーザー光の光強度に差
を設けることができることがわかる。
【0020】さて、2つのモードのレーザー光が共存す
る場合、発振周波数fiと光子数密度Si(i=1,2)との
間には、式(7)の関係があることが知られている。式
(7)において、Φiは位相、Ωiは共振角周波数、σi
はモードの引き込みを表す係数、ρiはモードの自己押
し出しを示す係数、τijはモードの相互押し出しを示す
係数である。ただし、ここでi,j=1,2、i≠jである。
いま、反対方向に周回する2つのレーザー光の光強度が
異なる、すなわち光子数密度S≠Sの場合、式(7)
からf≠fとなる。
【0021】上述のようなジャイロ装置において、光共
振器内でお互いに反対の周回方向に伝搬し、かつ発振周
波数の異なるレーザー光が共存すると、回転方向検知が
可能なジャイロを実現することができる。
【0022】以下、回転方向検知が可能なジャイロの原
理について説明する。時計回りに周回する第1のレーザ
ー光の波長をλとする。また、反時計回りに周回する
第2のレーザー光の波長をλ(<λ)とする。
【0023】ジャイロ装置を時計回りに回転させると
き、時計回りの第1のレーザー光の発振周波数fは、
非回転時の発振周波数f10に比べて式(8)に示す分
だけ減少する。式(8)において、Sは第1のレーザー光
の光路が囲む閉面積、Lは第1のレーザー光の光路
長、Ωは回転の角速度である。
【0024】一方、反時計回りの第2のレーザー光の発
振周波数fは、非回転時の発振周波数f20に比べて
式(9)に示す分だけ増加する。式(9)において、S
は第2のレーザー光の光路が囲む閉面積、Lは第2
のレーザー光の光路長である。
【0025】このとき、ジャイロ装置の中に第1のレー
ザー光と第2のレーザー光が共存する。したがって、ジ
ャイロ装置の中で第1のレーザー光と第2のレーザー光
の発振周波数の差、すなわち式(10)の周波数をもつ
ビート光が発生する。
【0026】一方、ジャイロ装置が反時計回りに回転し
たときは、式(11)の周波数をもつビート光が発生す
る。
【0027】ジャイロ装置の中に2つ以上の発振モード
が存在すると、反転分布はモードの発振周波数の差に応
じた時間変動を示す。この現象は、反転分布の脈動とし
て知られている。気体レーザーや半導体レーザーのよう
に、電流注入型レーザーの場合、反転分布とレーザーの
インピーダンスには1対1の対応関係がある。そして、
レーザーの中で光が干渉すると、それに応じて反転分布
が変化し、その結果、レーザーの電極間のインピーダン
スが変化する。この変化の様子は、駆動電源として定電
圧源を用いれば、端子電流の変化として現れる。また、
定電流源を用いれば、端子電圧の変化として、光の干渉
の様子を信号として取り出すことができる。もちろん、
直接インピーダンスメーターで、インピーダンスの変化
を測定することもできる。したがって、ジャイロ装置の
電流、電圧またはインピーダンス変化を回転に応じたビ
ート信号として用いることができる。もちろん、ジャイ
ロ装置の共振器内をお互いに反対の周回方向に伝搬する
レーザー光を外部に出射し、同時に光検出器に入射すれ
ば、光検出器からビート信号を取り出すことができる。
ビート信号として、ジャイロ装置の電流、電圧またはイ
ンピーダンス変化と光検出器からの信号の両方を用い、
平均、差分などの統計処理を行うのも雑音を低減するう
えで好適なものである。
【0028】さて、本発明によれば、式(10)、式
(11)に示すように、回転方向に応じてビート周波数
が増減する。従って、ビート周波数の非回転時からの増
減を観測することによって、回転方向を検知することが
できる。
【0029】なお、回転方向を検知できるのは、発振周
波数の差が、式(12)を満たすときである。
【0030】もし、第1のレーザー光と第2のレーザー
光の発振波長が等しければ、式(13)が成り立ち、ビ
ート周波数(f−f)は正負の値をとる。ビート周
波数の絶対値が等しければ、同じ信号が検出されるだけ
なので、この場合は回転方向の検知ができない。
【0031】これに対して、本発明のように、ビート周
波数の符号が常に同一(ただし説明では、符号を正にと
った)で、その絶対値だけが回転方向によって変化する
構成にすれば、回転方向の検知が可能となる。
【0032】ここで、注意すべきことがある。ジャイロ
装置において、後方散乱光が存在すると、進行波と後退
波が結合し、一方のモードのみが発振する、いわゆるロ
ックインが生じる。これを避けるためには、ジャイロ装
置において、反射点をなくすことが大切である。
【0033】従って、反射抑制構造を実現するために、
図1の例では、非周回状の経路1の端面をレーザー光の
伝搬方向から傾斜させている。
【0034】また、反射抑制構造として、図3のように
端部に近づくにつれて細くなっている経路3を採用する
とか、図4のように反射防止膜5を非周回状の経路4の
端面に形成してもよい。これらの反射抑制構造を組み合
わせると、後方散乱光の低減にいっそう効果があること
はいうまでもない。
【0035】次に、図5を参照して、時計回り、反時計
回りのレーザー光をそれぞれ単一モード化する構成につ
いて説明する。
【0036】内側の経路(1周の長さd)と外側の経
路(1周の長さd>d)が、点Aおよび点Bで接続さ
れている。なお、図5では、素子への注入電流をなるべ
く小さくするために、レーザー光がなるべく共通の経路
を伝搬するように、内側の経路と外側の経路とが2点で
光学的に結合する構成としている。経路の等価屈折率を
neffとすると、内側の経路に対する共振波長λと、外
側の経路に対する共振波長λは、それぞれ λ=neff
・d/m、λ4=neff・d/mと表される。ここ
で、m、mは、それぞれ正の整数である。
【0037】図6(a)、(b)には、等価屈折率neff=
3.2のとき、d=600μm、d =660μmに対す
る共振特性をそれぞれ示す。同図において、横軸は波
長、縦軸はリング共振器のパワー透過率である。この図
から、複数の透過率の等しい共振ピークが存在し、かつ
図6(a)、(b)で共振モードの間隔がわずかにずれている
ことがわかる。
【0038】内側の経路(1周の長さd)と外側の経
路(1周の長さd>d)が、少なくとも1点で光学
的に結合している場合、このリング共振器は、複合共振
器となる。そして、この複合共振器の共振モードは、図
6(a)、(b)において、共振波長が重なったところで決定
される。この結果を図6(c)に示す。この図からわかる
ように、共振モードの数が、図6(a)、(b)に比べて格段
に減っている。しかも、透過率の大きい主モードと、透
過率の小さい副モードとが現れている。なお、図5で
は、内側の経路と外側の経路とが2点で光学的に結合し
ているが、リング共振器が複合共振器となるためには、
内側の経路と外側の経路が、少なくとも1点で光学的に
結合していればよいことは、言うまでもない。
【0039】さて、発振モードは、利得スペクトルの利
得帯域内に存在する共振モードで決まる。図7(a) に、
内側の経路だけでリング共振器を構成した場合の発振ス
ペクトルを、(b)に複合共振器における発振スペクトル
を示す。この図から、(a)のように単一の経路だけをも
つジャイロ装置では、多モード発振しやすいのに対し
て、(b)のような複合共振器では副モードが充分抑制さ
れ、縦モードが単一となっていることがわかる。なお、
この例では、光学長の異なる2つの経路を用いて複合共
振器を構成したが、複合共振器を構成する経路の数が3
つ以上でもよいことは、言うまでもない。
【0040】複合共振器を形成する際に、注意しなけれ
ばならないことがある。それは、レーザー光が複合共振
器内を伝搬するうちに、その周回方向が反転しないとい
うことである。もし、レーザー光の周回方向が反転する
と、経路の一部で進行波と後退波が結合し、ロックイン
が生じるためである。
【0041】以上説明したように、本発明のジャイロ
は、静止時および回転時にビート信号を発生する。この
信号のビート周波数は、ビート信号を周波数―電圧変換
回路に入力することで、電圧の大きさに変換して出力す
ることができる。また、周波数―電圧変換回路の代わり
に周波数カウンタを用いてもよいことはいうまでもな
い。先にも述べたように、ビート周波数は、回転の角速
度に比例した成分を含むため、回転速度と周波数―電圧
変換回路や周波数カウンタの出力との関係をあらかじめ
求めておくことで、これらの出力を角速度に換算するこ
とができる。こうして、お互いに反対方向に周回し、か
つ発振周波数の異なるレーザー光を光共振器内に共存さ
せることで、回転方向検知の可能なジャイロ装置が実現
できる。
【0042】最後に、複数の経路の少なくとも一部を、
他の経路とは独立に電気制御する理由について説明す
る。注入電流あるいは、印加電圧の大きさを変えること
で、経路の屈折率を変調することができる。このため、
電気制御によって、経路の光学長を変えることができ
る。複数の経路の光学長の違いによって、共振モードの
数を制限できることから、複数の経路の少なくとも一部
を、他の経路とは独立に電気制御できれば、もっとも安
定な単一縦モード動作が実現できるように、光学長の差
を制御できるようになる。この結果、複数の経路の屈折
率を単一電極によって制御する場合(各経路の屈折率が
同じように変わる)に比べて、光学長の差が最適となる
ように制御しやすくなる。
【0043】
【数1】
【0044】
【数2】
【0045】
【数3】
【0046】
【実施例】(第1の実施例)図1は、第1の実施例のジ
ャイロ装置の光導波路の上面図である。同図において、
1は非周回状の経路、2は周回状の経路、11は時計回
りのレーザー光、12は反時計回りのレーザー光、21
は非周回状の経路1で発生した光である。非周回状の経
路1は、周回状の経路(光導波路)2と光学的に結合し
ている。
【0047】上記構成において、光共振器の外部である
非周回状の経路1で発生した光21が、周回状の経路2
で構成される光共振器に入射する。この光21は、時計
回りのレーザー光11のみと結合し、反時計回りのレー
ザー光12とは結合しない。このため、時計回りのレー
ザー光の発振しきい値が、反時計回りのレーザー光の発
振しきい値よりも小さくなる。その結果、これら両方の
レーザー光が発振しているときは、時計回りのレーザー
光の光強度が、反時計回りのレーザー光の光強度よりも
大きくなる。注入電流が6 mAのとき、時計回り、反時
計回りのレーザー光の光強度は、それぞれ3.3 mW、
2.6 mWである。この半導体ジャイロ装置が静止してい
るときは、レーザー光11とレーザー光12の発振波長
はほぼ等しく、発振波長λは約1.55μmである。し
かし、これらのレーザー光の光強度が異なることから、
駆動電流6 mAにおいて、レーザー光11とレーザー光
12の発振周波数は20kHzだけ異なる。そして、半
導体ジャイロ装置の中でレーザー光11と12が干渉す
る。このとき、電源電流が一定となるよう調整してお
き、アノードとカソードの間の電圧をモニターすると、
振幅100 mVで周波数20kHzの信号が得られる。
すなわち、半導体ジャイロ装置が静止しているときで
も、ビート信号が検出できる。
【0048】図1において、周回状の経路2は円形であ
り、1周の長さは600μmである。このとき、カメラ
の手ぶれや自動車の振動程度の毎秒30度の速度で時計
回りに回転を受けると、反時計回りのレーザー光12の
発振周波数は103.225Hzだけ増加する。一方、時
計回りのレーザー光11の発振周波数は103.225
Hzだけ減少する。したがって、ビート周波数Δfは、
20kHz+206.45Hzとなる。
【0049】一方、半導体ジャイロ装置が、毎秒30度
の速度で反時計回りに回転を受けると、ビート周波数Δ
fは、20kHz−206.45Hzとなる。
【0050】こうして、静止時からのビート周波数の増
減によって、回転角速度だけでなく、回転方向の検知が
可能になる。
【0051】ここで、注意すべきことがある。ジャイロ
装置において、後方散乱光が存在すると、進行波と後退
波が結合し、一方のモードのみが発振する、いわゆるロ
ックインが生じる。これを避けるためには、ジャイロ装
置において、反射点をなくすことが必要である。したが
って、反射抑制構造を実現するために、図1の例では、
非周回状の経路1の端面をレーザー光の伝搬方向から傾
斜させている。
【0052】なお、本実施例では、リング共振器の形状
を円形としたが、円形に限らず、六角形、四角形、三角
形など、レーザー光がリング共振器の中を周回すること
さえできれば、どのような形状でもよいことは言うまで
もない。
【0053】(第2の実施例)図3は、第2の実施例の
ジャイロ装置の光導波路の上面図である。同図におい
て、3は非周回状の経路、23は非周回状の経路3で発
生した光である。第1の実施例との違いは、非周回状の
経路3の構造が、図3のように端部に近づくにつれて細
くなっていることである。このような反射抑制構造も、
後方散乱光の低減に効果がある。
【0054】(第3の実施例)図4は、第3の実施例の
ジャイロ装置の光導波路の上面図を示している。同図に
おいて、4は非周回状の経路、24は非周回状の経路4
で発生した光である。第1の実施例との違いは、非周回
状の経路4の端面に反射防止膜5が形成してあることで
ある。このような反射抑制構造も、後方散乱光の低減に
効果がある。
【0055】なお、非周回状の経路の端面がレーザー光
の伝搬方向から傾斜していたり、非周回状の経路が端部
に近づくにつれて細くなっていたり、反射防止膜が端面
に形成したりしている構造を組み合わせるのも、後方散
乱光のいっそうの低減に対して好適なものである。
【0056】(第4の実施例)図5は、第4の実施例の
ジャイロ装置の光導波路の上面図である。同図におい
て、内側の経路(1周の長さd)2と外側の経路(1
周の長さd>d)6が、点Aおよび点Bで接続されて
いる。経路の等価屈折率をneffとすると、内側の経路に
対する共振波長λと、外側の経路に対する共振波長λ
は、それぞれλ=neff・d/m、λ4=neff・d/
と表される。ここで、m、mは、それぞれ正の
整数である。図6(a)、(b)には、等価屈折率neff=
3.2のとき、d=600μm、d=660μmに対す
る共振特性をそれぞれ示す。同図において、横軸は波
長、縦軸はリング共振器のパワー透過率である。この図
から、複数の透過率の等しい共振ピークが存在し、かつ
図6(a)、(b)で共振モードの間隔がわずかにずれている
ことがわかる。図5において、内側の経路(1周の長さ
)2と外側の経路(1周の長さd>d)6が、
点Aと点Bで光学的に結合していることから、このリング
共振器は、複合共振器となる。そして、この複合共振器
の共振モードは、図6(a)、(b)において、共振波長が重
なったところで決定される。
【0057】この結果を図6(c)に示す。この図からわ
かるように、共振モードの数が、図6(a)、(b)に比べて
格段に減っている。しかも、透過率の大きい主モード
と、透過率の小さい副モードとが現れている。なお、図
5では、 内側の経路と外側の経路とが2点で光学的に
結合しているが、リング共振器が複合共振器となるため
には、内側の経路と外側の経路が、少なくとも1点で光
学的に結合していればよいことは、言うまでもない。さ
て、発振モードは、利得スペクトルの利得帯域内に存在
する共振モードで決まる。
【0058】図7(a) に、内側の経路2だけでリング共
振器を構成した場合の発振スペクトルを、(b)に複合共
振器における発振スペクトルを示す。この図から、(a)
のように単一の経路だけをもつジャイロ装置では、多モ
ード発振しやすいのに対して、(b)のような複合共振器
では副モードが充分抑制され、縦モードが単一となって
いることがわかる。なお、この例では、光学長の異なる
2つの経路を用いて複合共振器を構成したが、複合共振
器を構成する経路の数が3つ以上でもよいことは、言う
までもない。
【0059】さらに、図5のように内側の経路と外側の
経路が光学的に結合することで、レーザー光が複合共振
器内を伝搬するうちに、その周回方向は反転しない。こ
の結果、経路の結合により進行波と後退波が結合するこ
とはない。したがって、ロックインが生じない状態で単
一縦モード化を実現することができる。
【0060】図5のリング共振器を用いて、半導体ジャ
イロ装置を構成する。駆動電流6 mAにおいて、この半
導体ジャイロ装置が静止しているときの発振波長λは約
0.8495μmである。これらのレーザー光の光強度
が異なることから、駆動電流6 mAにおいて、レーザー
光11とレーザー光12の発振周波数は20kHzだけ
異なる。そして、半導体ジャイロ装置の中でレーザー光
11と12が干渉する。このとき、電源電流が一定とな
るよう調整しておき、アノードとカソードの間の電圧を
モニターすると、振幅100 mVで周波数20kHzの
信号が得られる。すなわち、半導体ジャイロ装置が静止
しているときでも、ビート信号が検出できる。
【0061】図5において、周回状の経路2は円形であ
り、1周の長さは600μmである。このとき、カメラ
の手ぶれや自動車の振動程度の毎秒30度の速度で時計
回りに回転を受けると、反時計回りのレーザー光12の
発振周波数は188.233Hzだけ増加する。一方、
時計回りのレーザー光11の発振周波数は188.23
3Hzだけ減少する。したがって、ビート周波数はΔf
は、20kHz+376.466Hzとなる。一方、半
導体ジャイロ装置が、毎秒30度の速度で反時計回りに
回転を受けると、ビート周波数Δfは、20kHz−3
76.466Hzとなる。こうして、静止時からのビー
ト周波数の増減によって、回転角速度だけでなく、回転
方向の検知が可能になる。
【0062】さて、このときのビート信号をスペクトラ
ムアナライザで計測したときの様子を図8に示す。図8
(a)は、レーザー光の経路が一つだけの時のものであ
る。一方、 図8(b)は図1のように複合共振器を構成し
た場合である。どちらの図も、横軸は中心周波数からの
変位、縦軸はスペクトル強度である。縦モードが多モー
ド化している場合、図8(a)のように、スペクトル幅が
広い。これに対して、ジャイロ装置が単一縦モード発振
している場合、図8(b)のように、スペクトル幅が狭く
なり、ビート信号検出の信号雑音比が改善される。な
お、図8(b)のスペクトル線幅は、図8(a)の100分の
1である。
【0063】また、複数の経路の少なくとも一部を、他
の経路とは独立に電気制御するのも好適なものである。
これから、この理由について説明する。注入電流あるい
は、印加電圧の大きさを変えることで、経路の屈折率を
変調することができる。このため、電気制御によって、
経路の光学長を変えることができる。複数の経路の光学
長の違いによって、共振モードの数を制限できることか
ら、複数の経路の少なくとも一部を、他の経路とは独立
に電気制御できれば、もっとも安定な単一縦モード動作
が実現できるように、光学長の差を制御できるようにな
る。この結果、複数の経路の屈折率を単一電極によって
制御する場合(各経路の屈折率が同じように変わる)に
比べて、光学長の差が最適となるように制御しやすくな
る。
【0064】なお,半導体材料や,発振波長については
何ら制限はなく,どのような選択をしてもよいことは言
うまでもない.(第5の実施例)図9は、本発明の第5の
実施例のジャイロ装置の光導波路の平面図である。同図
において、6は非周回状の経路、26は非周回状の経路
6で発生した光である。第1の実施例との違いは、非周
回状の経路6と周回状の経路2とが接続されていないこ
とである。しかし、図9のように、非周回状の経路6と
周回状の経路2とが近接して配置されていれば、光学的
に結合し、その結果、第1の実施例と同様な効果を得る
ことができる。
【0065】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、ロックイ
ンが生じない方法で発振モード数を制限することのでき
る、ジャイロ装置を提供することができる。このように
発振モード数を制限した上で、さらに、ディザなどの機
械的な機構がなくても、回転方向および回転速度の検出
を精度よく安定に行うことができる、ジャイロ装置が実
現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るジャイロ装置を説
明する図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る半導体ジャイロ装
置の電流−光出力特性を説明する図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係るジャイロ装置を説
明する図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係るジャイロ装置を説
明する図である。
【図5】本発明の第4の実施例に係るジャイロ装置を説
明する図である。
【図6】本発明の第4の実施例に係るジャイロ装置の共
振モードを説明する図である。
【図7】本発明の第4の実施例に係るジャイロ装置の発
振スペクトルを説明する図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係るジャイロ装置のビ
ート信号のスペクトルを説明する図である。
【図9】本発明の第5の実施例に係るジャイロ装置を説
明する図である。
【図10】従来例を説明する図である。
【符号の説明】
1 非周回状の経路 2 周回状の経路 3 非周回状の経路 4 非周回状の経路 5 反射防止膜 6 非周回状の経路 11 時計回りのレーザー光 12 反時計回りのレーザー光 21、23、24、26 非周回状の経路で発生した光

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光利得を有する周回状の経路と、前記周
    回状の経路の少なくとも一部と光学的に結合した光利得
    を有する非周回状の経路とを少なくとも含み、 前記非周回状の経路の端部が、反射抑制構造であること
    を特徴とするジャイロ装置。
  2. 【請求項2】 前記反射抑制構造が、レーザー光の伝搬
    方向から傾斜している端面から構成されることを特徴と
    する請求項1記載のジャイロ装置。
  3. 【請求項3】 前記反射抑制構造が、端部に近づくにつ
    れて細くなっている経路から構成されることを特徴とす
    る請求項1記載のジャイロ装置。
  4. 【請求項4】 前記反射抑制構造が、反射防止膜が形成
    された端面から構成されることを特徴とする請求項1記
    載のジャイロ装置。
  5. 【請求項5】 前記反射抑制構造が、レーザー光の伝搬
    方向から傾斜している端面、端部に近づくにつれて細く
    なっている経路、又は反射防止膜が形成された端面のう
    ち2つ以上の組み合わせから構成されることを特徴とす
    る請求項1記載のジャイロ装置。
  6. 【請求項6】 前記周回状の経路が、光学長の異なる複
    数の経路を有し、かつ前記複数の経路のうち少なくとも
    一部が光学的に結合し、光共振器内を伝搬するレーザー
    光の周回方向が前記複数の経路によって反転しないこと
    を特徴とする請求項1乃至5記載のジャイロ装置。
  7. 【請求項7】 光共振器内でお互いに反対の周回方向に
    伝搬し、かつ光強度の異なるレーザー光が共存すること
    を特徴とする請求項1乃至6記載のジャイロ装置。
  8. 【請求項8】 光共振器内でお互いに反対の周回方向に
    伝搬し、かつ発振周波数の異なるレーザー光が共存する
    ことを特徴とする請求項1乃至7記載のジャイロ装置。
  9. 【請求項9】 前記経路のうち、少なくとも一部を電気
    的に独立に制御することのできる複数の電極を備えてい
    ることを特徴とする請求項1乃至8に記載のジャイロ装
    置。
  10. 【請求項10】 光利得を有する周回状の経路と、前記
    周回状の経路の少なくとも一部と光学的に結合した光利
    得を有する非周回状の経路とを少なくとも含み、前記非
    周回状の経路の端部が反射抑制構造であり、前記経路の
    うち少なくとも一部を電気的に独立に制御することので
    きる複数の電極を備えたジャイロ装置を駆動する方法で
    あって、 前記複数の電極のうち少なくとも一部を電気的に独立に
    制御することを特徴とするジャイロ装置の駆動方法。
  11. 【請求項11】 周回状経路と、前記周回状経路と光学
    的に結合した非周回状経路とを含み、 第1の周回方向に伝搬するレーザー光に対してのみ結合
    し、第1の周回方向と反対の第2の周回方向に伝搬する
    レーザー光に対しては結合しない光を前記非周回状経路
    から前記周回状経路に入射させ、 前記非周回状経路における後方散乱を抑制して、第1及
    び第2の周回方向に伝搬するレーザー光の結合を抑制
    し、 前記周回状経路内において発信周波数が異なるレーザー
    光を共存させ、 前記発振周波数の差が定符号であることを特徴とするジ
    ャイロ装置。
  12. 【請求項12】 前記周回状経路は2以上の周回経路を
    含み、 各周回経路は、少なくとも1点で光学的に結合してお
    り、 各周回経路は、複数の共振ピークを共有し、 前記第1及び第2の周回方向に伝搬するレーザー光はそ
    れぞれ単一モードであることを特徴とする請求項11記
    載のジャイロ装置。
  13. 【請求項13】 前記経路のうち少なくとも一部を電気
    的に独立に制御することのできる複数の電極を備えたこ
    とを特徴とする請求項11、又は12記載のジャイロ装
    置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のジャイロ装置を駆動
    する方法であって、 前記複数の電極のうち少なくとも一部を電気的に独立に
    制御することを特徴とするジャイロ装置の駆動方法。
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