JP2002277250A - ジャイロ装置 - Google Patents

ジャイロ装置

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JP2002277250A
JP2002277250A JP2001074347A JP2001074347A JP2002277250A JP 2002277250 A JP2002277250 A JP 2002277250A JP 2001074347 A JP2001074347 A JP 2001074347A JP 2001074347 A JP2001074347 A JP 2001074347A JP 2002277250 A JP2002277250 A JP 2002277250A
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gyro
laser
layer
peripheral wall
ring
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JP2001074347A
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Takaaki Numai
貴陽 沼居
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化、軽量化しても駆動電力が大きくなら
ないようにする。 【解決手段】 互いに反対方向に周回する発振波長が異
なる2つのレーザ光を全反射する面を有する光導波路を
備えたジャイロ装置において、光導波路の外周壁1を各
レーザ光が全反射するように形成し、光導波路の内周壁
2を各レーザ光が全反射しないように形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジャイロ装置に関
し、特に、リング状リッジ型構造の半導体レーザジャイ
ロ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジャイロは、移動する物体の角速度を検
出するためのセンサであり、航空機やロボットの姿勢制
御、カーナビゲーションでの位置検出、車の横滑り検知
や、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラの手ぶ
れ防止などに用いられている。
【0003】ジャイロには種々のタイプがあり、回転子
や振動子をもつ機械的なジャイロや、光ジャイロがよく
知られている。特に光ジャイロは、瞬間起動が可能でダ
イナミックレンジが広いため、ジャイロ技術分野に革新
をもたらしつつある。
【0004】光ジャイロには、リングレーザ型ジャイ
ロ、光ファイバージャイロ、受動型リング共振器ジャイ
ロなどがある。このうち、最も早く開発に着手されたの
が、気体レーザを用いたリングレーザ型ジャイロであ
り、すでに航空機などで実用化されている。また、小型
で高精度なリングレーザ型ジャイロとして、半導体レー
ザを用いたジャイロも提案されている。この公知文献と
しては、たとえば特公昭62−039836号公報があ
る。
【0005】図17(a)は、上記公報に記載されてい
るジャイロの斜視図である。図17(b)は、図17
(a)のA−A’間の断面の拡大図である。
【0006】図17(a),図17(b)に示すよう
に、従来のジャイロは、電極19−a,19−b間に抵
抗11を介して駆動用電源12が接続された半導体レー
ザ素子18を備えている。半導体レーザ素子18は半導
体層24,25を有し、また、半導体レーザ素子18と
電極19−aとの間には、半導体層等20〜22及びリ
ング状導波路23を有している。
【0007】ここで、リング状に導波路23を成形した
り、図17(b)に示すように絶縁層20により実質的
に導波路の外側周囲にのみ電流が注入されるようにする
と駆動電力を小さくできるというメリットがある。その
ため、リングレーザ型ジャイロの携帯機器などへの搭載
が容易に可能となる。また、リング状に導波路23が成
形されるようにすると、リング共振器の形状が、設計値
からずれにくいというメリットもある。
【0008】つぎに、図17(a),図17(b)に動
作について説明する。図17(a)等に示すジャイロに
電流を注入すると、電極19−aから内部にリング状に
流れて、リング状導波路23が成形され、リングレーザ
発振が行われる。
【0009】さらに、この装置に角速度が加わると、時
計回りと反時計回りとの光の周波数に差が生じ、この差
がビート信号として半導体レーザ素子10の端子電圧に
生じる。したがって、このビート信号は直流素子用コン
デンサ14を介して端子15から検出することができ
る。
【0010】ところで、従来のリングレーザ型ジャイロ
では、回転速度が遅いときは、媒質の非線形性によっ
て、発振周波数が一方のモードに引き込まれるロックイ
ン現象が生じていた。このロックイン現象を解除するた
めに、リングレーザ型ジャイロにディザ(微少振動)を
かけることがよく行われている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術の
ように、リング状導波路を成形している場合には、導波
路を伝搬する導波モードは、導波路の外周と内周との各
界面での反射を利用しているので、たとえばリングレー
ザ型ジャイロの小型化、軽量化のために、電極19−a
の径、すなわち素子サイズを小さくしようとすると、導
波モードに対する曲げ損失が増大し、駆動電流が大きく
なる場合がある。駆動電流が大きくなると電力消費量が
上がり、携帯機器などへの搭載に向かなくなる。
【0012】ところで、リングレーザ型ジャイロにおい
て、信号雑音比を高くするためには、発振モード数をな
るべく少なくすることが望ましく、具体的には、利得帯
域内(10nm)に存在する共振モードの数を減らせば
よい。最も望ましいのは、時計回り、反時計回りにつ
き、それぞれ単一モードとすることである。
【0013】しかし、従来の技術では、発振モード数を
制限することに関して、あまり検討されておらず、ま
た、利得帯域中にある共振モードは、発振することが多
いので、半導体リングレーザ型ジャイロは、多モード発
振しやすい。
【0014】また、共振モードの数を減らすために、フ
ァブリペロー共振器や回折格子などの共振型の光フィル
ターを用いることも考えられるが、共振型の光フィルタ
ーは、進行波と後退波とを結合させるため、お互いに反
対方向に周回しているレーザ光どうしが強結合となり、
一方のモードの発振が抑制されてしまい妥当でない。こ
の現象は、ロックインとして知られており、回転数が少
ないときなどのように、反対方向に周回しているレーザ
光の発振周波数の差が小さい場合に特に問題となる。こ
のため、進行波と後退波とが結合しない状態で、発振モ
ード数を制限できるリングレーザ型ジャイロが望まれ
る。
【0015】さらに、従来のリングレーザ型ジャイロ
は、ディザ等の機械的機構を用意しなければ、単体では
移動体の回転方向の検出ができず、その改善が望まれて
いた。
【0016】そこで、本発明は、小型化、軽量化しても
駆動電力が大きくならないようにすることを課題とす
る。
【0017】また、本発明は、ジャイロ装置の信号雑音
比を高めることを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、互いに反対の周回方向に2つのレーザ光
が伝搬するリング状リッジ型構造のジャイロ装置であっ
て、該レーザ装置の発振主モードがウィスパリング・ギ
ャラリー・モードとなるように、少なくとも活性層上の
クラッド層が円形状の外周壁、及び非円形状の内周壁を
有することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を用いて説明する。
【0020】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1のリングレーザ型ジャイロの光導波路及びその周辺の
模式的な平面図である。図2は、図1のA−A’の断面
図である。図1,図2において、11はカソード,21
は半導体基板,22はバッファー層,23は光ガイド
層,24は活性層,25は光ガイド層,26はクラッド
層,27はキャップ層,28はアノード,1は半導体層
等22〜28の外周,2は半導体層等22〜28の内周
である。
【0021】本実施形態では、図1に示すように、光導
波路の内周壁2と外周壁1との幅を、位置に応じて異な
らせており、具体的には、外周壁1の形状は円形状のま
まで、内周壁2の形状をたとえば楕円のように非円形状
としている。図2では、半導体層等22〜28全体をリ
ング状のリッジ型構造としているが、少なくとも活性層
上の上部クラッド層26がリング状リッジ型構造であれ
ばよい。
【0022】このため、外周壁1にそって螺旋状に伝搬
するウィスパリング・ギャラリーモード(Whispering Ga
llery Mode)をレーザ発振させ、かつ、導波モードはレ
ーザ発振させないようにすることができ、したがって、
たとえばリングレーザ型ジャイロの小型化、軽量化のた
めに素子サイズを小さくしても、余分な損失が生じない
ので、駆動電流が上昇しない。
【0023】また、図1に示すような形状の光導波路を
成形すると、図16に示すような四角の経路4や六角形
の経路5を通るようなモードの発振も抑制される。
【0024】これは、これらのモードに対する全反射条
件が満たされず、損失が大きくなるためである。この結
果、光利得は、ウィスパリング・ギャラリーモードに集
中し、信号雑音比が高くなる。なお、図1,図16で
は、内周壁2をたとえば楕円形状にしている様子を図示
しているが、内周壁2の形状はこれに限られず、ウィス
パリング・ギャラリーモードが発振主モードとなるよう
な非円形であれば多角形などでもよい。
【0025】なお、光などの全反射は、光導波路と外部
空間との境界部における複素屈折率の差によって生じ
る。図2の場合では、半導体層22〜27と空気との境
界部における屈折率の差により全反射が起こる。屈折率
の実部に差を与えるには、この境界部に図2に示すよう
な壁、すなわちリッジの側面を設けるとよい。もちろ
ん、活性層24よりも屈折率の低い材料であれば、空気
の代わりに何を用いてもよい。
【0026】一方、屈折率の虚部に差を与えるには、図
17に示したように、境界部で光利得に差を与えるよう
にすればよい。
【0027】また、駆動電流を低減するために、後述す
るように、発光部である活性層24のみに効率よく電流
を注入するためには、非発光部である光ガイド層23を
高抵抗化するのも有効である。このための手法として、
非発光部を絶縁膜で被覆したり、非発光部にプロトン注
入したりという構造などが考えられる。ただし、あくま
でも内周壁2の形状は、非円形であることが低消費電力
化のためには必須である。
【0028】図3〜図9は、図1,図2の製造工程図で
ある。なお、図5〜図7において、31はフォトレジス
トである。図3〜図9を参照しながら、図1,図2のリ
ングレーザ型ジャイロの製造工程について説明する。
【0029】まず、図3に示すように、半導体基板21
であるところのn−InP基板に、バッファー層22と
してInPバッファー層,光ガイド層23としてアンド
ープInGaAsP光ガイド層,活性層24として1.
55μm組成のアンドープInGaAsP活性層,光ガ
イド層25としてアンドープInGaAsP光ガイド
層,クラッド層26としてp−InPクラッド層,キャ
ップ層27としてp−InGaAsPキャップ層を形成
する。
【0030】具体的には、有機金属気相成長法などを用
いて、たとえば厚みが350μmのn−InP基板21
の上に、厚みが0.05μm程度のInPバッファー層
22、厚みが0.15μm程度のアンドープInGaA
sP光ガイド層23、厚みが0.1μm程度の1.55
μm組成のアンドープInGaAsP活性層24、厚み
が0.15μm程度の1.3μm組成のアンドープIn
GaAsP光ガイド層25、厚みが2μm程度のp−I
nPクラッド層26、厚みが0.3μm程度の1.4μ
m組成のp−InGaAsPキャップ層27を成長す
る。
【0031】結晶成長後、図4のように、p−InGa
AsPキャップ層27の上にアノード28としてCr/
Auを蒸着によって形成する。そして、スピンコーター
を用いて、アノード28の上にフォトレジスト31とし
てAZ−1350(ヘキスト製)を膜厚がたとえば1μ
mとなるように塗布する。
【0032】プリベークとして、80℃程度で30分間
の熱処理を行った後、ウェハーにマスクをかけて露光す
る。現像、リンス後のフォトレジスト31は、図5に示
すようにややテーパ形状をしている。また、ストライプ
は、たとえば最小幅が5μm、最大幅が20μm、外周
の1周の長さが600μmである。
【0033】この後、ウェハーをリアクティブ・イオン
エッチング装置に導入し、図6のように、フォトレジス
ト31をエッチングマスクとして、アノード28のCr
/Auをドライエッチングする。エッチングに用いたガ
スは、Auに対してAr、Crに対してCF4 である。
つぎに、塩素ガスを用いて、光導波路の高さが3.2μ
mとなるように、半導体層をエッチングする。この様子
を図7に示す。
【0034】そして、図8のように、フォトレジスト3
1を剥離する。その後、アノード28を水素雰囲気でア
ニールし、オーミック接触を実現する。
【0035】つぎに、図9のように、n−InP基板2
1にAuGe/Ni/Auを蒸着して、カソード11を
形成する。最後に水素雰囲気中でアニールし、オーミッ
ク接触をとる。
【0036】以下で、本実施形態のリングレーザ型ジャ
イロの動作について説明する。駆動用電源により、図
1,図2に示すジャイロに電流を注入すると、アノード
28から光導波路内部に電流が流れて、発振しきい値を
越えるとレーザ発振が始まる。この状態で、リングレー
ザ型ジャイロに角速度が加わると、時計回りと反時計回
りとの光の発振周波数に差が生じる。発振周波数の差
は、周波数―電気変換回路や周波数カウンタに入力する
ことでビート信号として検出用端子によって検出するこ
とができる。
【0037】なお、駆動用電源として定電圧源を用いれ
ば、検出用端子には端子電流のレベルの変化が現れ、ま
た、駆動用電源として定電流源を用いれば端子電圧のレ
ベルの変化が現れるので、その変化により、角速度が加
わったことを検出することができる。もちろん、角速度
が加わったことの検出は、直接インピーダンスメーター
で、インピーダンスの変化を測定することによって行う
こともできる。
【0038】さらに、リングレーザ型ジャイロの共振器
内を、互いに反対の周回方向に伝搬するレーザ光を外部
に出射し、出射した各レーザ光を同時に光検出器に入射
して光検出器からビート信号を取り出すことで、角速度
が加わったことを検出してもよい。
【0039】特に、ビート信号を、リングレーザ型ジャ
イロ側と光検出器との双方で検出し、これらの平均、差
分などの統計処理を行えば、雑音などの外乱の影響の少
ない角速度の検出を行えるので好適である。
【0040】ビート周波数は、回転の角速度に比例した
成分を含むため、回転速度と周波数―電圧変換回路、周
波数カウンタの出力との関係をあらかじめ求めておくこ
とで、これらの出力を角速度に換算することができる。
【0041】つづいて、角速度に応じたビート信号の発
生メカニズムについて説明する。一般に、2つのモード
のレーザ光が共存する場合には、発振周波数fiと光子
数密度Si(i=1,2)との間には、次のような関係
があることが知られている。
【0042】
【0043】ここでは、時計回りのレーザ光に対する損
失が、反時計回りのレーザ光に対する損失よりも小さく
なるので、時計回りのレーザ光の強度が、反時計回りの
レーザ光の強度よりも大きくなる。このように光強度が
異なる場合、すなわち光子数密度S1=S2の場合には、
数式(1),数式(2)から2つの発振周波数が異なる
ことになる。
【0044】数式(1),数式(2)において、時計回
りに周回する第1のレーザ光については添字1、反時計
回りに周回する第2のレーザ光については添字2で表せ
ば、リングレーザ型ジャイロが時計回りに回転するとき
に、第1のレーザ光の発振周波数f1は、非回転時の発
振周波数をf10に比べて、 Δf1=2S1Ω/λ11 …(3) だけ減少する。
【0045】ここで、S1は第1のレーザ光の光路が囲
む閉面積、L1は第1のレーザ光の光路長、Ωは回転の
角速度である。
【0046】一方、リングレーザ型ジャイロが時計回り
に回転するときに、第2のレーザ光の発振周波数f
2は、非回転時の発振周波数f20に比べて、 Δf2=2S2Ω/λ22 …(4) だけ増加する。
【0047】ここで、S2は第2のレーザ光の光路が囲
む閉面積、L2は第2のレーザ光の光路長である。
【0048】このとき、リングレーザ型ジャイロの中
に、第1のレーザ光と第2のレーザ光とが共存するの
で、リングレーザ型ジャイロの中で各レーザ光の発振周
波数の差(ビート周波数)f2−f1は、 f2−f1=(f20+Δf2)−(f10−Δf1) =f20−f10+(2S2Ω/λ22+2S1Ω/λ11 …(5 ) となり、この差を有するビート光が発生する。
【0049】逆に、リングレーザ型ジャイロが反時計回
りに回転するときは、上記の理由と同様の理由により、
次の発振周波数の差を有するビート光が発生する。
【0050】 f2−f1=(f20−Δf2)−(f10+Δf1) =f20−f10−(2S2Ω/λ22+2S1Ω/λ11 …(6 ) 以上が、図1,図2に示すリングレーザ型ジャイロで角
速度を検出する際の動作である。
【0051】つぎに、リングレーザ型ジャイロで回転方
向を検知する方法について説明する。上記のように、回
転方向に応じてビート光が発生し、数式(5),数式
(6)に示すように、ビート周波数の非回転時からの増
減に基づいて角速度を検知することができるが、リング
レーザ型ジャイロで回転方向を検知することができるの
は、回転時の発振周波数f1,f2の間に、たとえば以下
の関係が成立する場合である。すなわち、 f2−f1≧0 …(7) が成立する場合である。このように、ビート周波数の符
号が常に同一(ただし、ここでは、符号を正としている)
で、その絶対値だけが回転方向によって変化するように
構成すれば、回転方向の検知が可能となる。
【0052】一方、このように構成しないと、第1のレ
ーザ光と第2のレーザ光の発振波長が等しければ、非回
転時の発振周波数f10とf20とが等しくなる。ビート周
波数f2−f1は正負の値になり、ビート周波数の絶対値
が等しければ、同じ信号が検出されるだけなので、回転
方向の検知ができない。
【0053】なお、上記のように、ビート周波数の符号
が常に同一となるようにしておけば、符号を負と設定し
てもよい。
【0054】図15(a)は、図1に示す光導波路を有
するリングレーザ型ジャイロのレーザ発振モードの光強
度を示す3次元プロット図であり、縦軸に光強度、横軸
に位置をそれぞれ図示している。図15(b)は、図1
5(a)の光強度の等高線図である。
【0055】ちなみに、本実施形態のリングレーザ型ジ
ャイロは、注入電流が6mAのときに、時計回り、反時
計回りのレーザ光の光強度が、どちらも4mWとなる。
また、リングレーザ型ジャイロが静止しているときは、
時計回りのレーザ光と反時計回りのレーザ光との発振波
長は等しく、発振波長λはともに1.55μmとなる。
【0056】そして、カメラの手ぶれや自動車の振動程
度で、一般的に生じると考えられる毎秒30度の速度
で、たとえば時計回りの回転を受けると、数式(3)、
数式(4)において、外周がL1=L2=600μmの円
であり、真空中のレーザー光の波長λ1=λ2=1.55
μmゆえ、反時計回りのレーザ光の発振周波数は10
3.225Hzだけ増加する。なお、光導波路の等価屈
折率は、3.2である。一方、時計回りのレーザ光の発
振周波数は103.225Hzだけ減少する。
【0057】したがって、ビート周波数Δfは、 Δf=f2−f1=206.45Hz …(8) となる。
【0058】本実施形態では、光導波路の外周壁1を円
形状とし、内周壁2を楕円状とすることによって、内周
壁2と外周壁1との幅を位置に応じて異ならせているの
で、ウィスパリング・ギャラリーモードでは、素子サイ
ズを小さくしても余分な損失が生じず、素子サイズを縮
小しても、駆動電流が上昇しない。本発明においては、
リング形状の曲率半径が、100μm以下の場合に顕著
な効果がある。
【0059】(実施形態2)図10は、本発明の実施形
態2のリングレーザ型ジャイロの光導波路の断面図であ
り、図2に相当するものである。図10において、30
はSiNやSiO2などの絶縁膜である。なお、図10
において図2に示した部分と同様の部分については同一
符号を付している。
【0060】つぎに、図10に示すリングレーザ型ジャ
イロの製造方法について説明する。まず、図1,図2に
示すようなリングレーザ型ジャイロの製造時と同様に、
図3〜図5のように各半導体層等22〜27を、半導体
基板21に積層する。なお、ここでは、図4に示すよう
にアノード28を形成しない。
【0061】つづいて、図6,図7のように、フォトレ
ジスト31を塗布した状態で、ドライエッチング等を行
い半導体層等22〜27を除去して、所要の形状の光導
波路を形成する。それから、フォトレジスト31を外し
て、絶縁層30を形成する。そして、アノード28及び
カソード11を形成して、図10に示すようなリングレ
ーザ型ジャイロが完成する。
【0062】図10に示すように、絶縁膜30を形成す
ると、活性層24である発光部のみに効率よく電流が注
入されるようになる。また、絶縁膜30が物理的に、リ
ッジ側面を保護することになるので、リッジの強度が上
がり素子の信頼性が向上する。
【0063】(実施形態3)図11は、本発明の実施形
態3のリングレーザ型ジャイロの光導波路の断面図であ
り、図2に相当するものである。図11において、40
はFeドープ抵抗層やpnpn構造などの多層構造又は
ポリイミドなどを用いた高抵抗層である。なお、高抵抗
層40は、活性層24に効率よく光を閉じ込めるため
に、活性層24よりも屈折率を低くしている。また、図
11において図2に示した部分と同様の部分については
同一符号を付している。
【0064】つぎに、図11に示すリングレーザ型ジャ
イロの製造方法について説明する。まず、図1,図2に
示すようなリングレーザ型ジャイロの製造時と同様に、
図3〜図5のように各半導体層等22〜27を、半導体
基板21に積層する。なお、ここでは、図4に示すよう
にアノード28を形成しない。
【0065】つづいて、図6,図7のように、フォトレ
ジスト31を塗布した状態で、ドライエッチング等を行
い半導体層等22〜27を除去して、所要の形状の光導
波路を形成する。そして、フォトレジスト31を外し
て、キャップ層27が埋まるような厚さでポリイミド等
を塗布する。
【0066】それから、化学的機械的研磨(CMP)な
どにより、塗布しているポリイミド等をキャップ層27
の表面が露出する程度まで研磨して除去することで、高
抵抗層40を形成する。そして、アノード28及びカソ
ード11を形成して、図11に示すようなリングレーザ
型ジャイロが完成する。
【0067】なお、高抵抗層40として半導体を用い、
これを選択成長によって形成する場合も想定しており、
図11の製造方法は、上記製造工程に限定されるもので
はない。
【0068】図11に示すように、高抵抗層40を形成
すると、活性層24である発光部のみに効率よく電流が
注入されるようになる。また、高抵抗層40が物理的
に、リッジを固定することになるので、リッジの強度が
上がり素子の信頼性が向上する。
【0069】(実施形態4)図12は、本発明の実施形
態4のリングレーザ型ジャイロの光導波路の断面図であ
り、図10に相当するものである。なお、図12におい
て図10に示した部分と同様の部分については同一符号
を付している。
【0070】図12と図10との各リングレーザ型ジャ
イロは、クラッド層26の高さの点と、活性層24に適
用可能な材料の種類の多少の点とが異なる。すなわち、
図12に示すように、半導体層等22〜25を除去しな
いようにすると、活性層24のうち光導波路が空気にさ
らされなくなるので、活性層24の材料として酸化しや
すいAlGaAs系のものなどを用いることができる。
【0071】ちなみに、半導体層等22〜28を図12
に示すような形状とするには、インサイチュモニタしな
がら、ドライエッチングを行い、不要な箇所の半導体層
等22〜28を除去している。なお、他の製造工程は、
図10の製造工程と同様である。
【0072】以上説明したように、図12に示すリング
レーザ型ジャイロは、酸化しやすい材料かどうかに拘わ
らず、所要の材料を活性層24の材料とすることができ
るので、材料選択の幅が拡がる。
【0073】(実施形態5)図13は、本発明の実施形
態5のリングレーザ型ジャイロの光導波路の断面図であ
り、図12に相当するものである。図13において40
は高抵抗層である。なお、図13において図12に示し
た部分と同様の部分については同一符号を付している。
【0074】図13と図12との各リングレーザ型ジャ
イロは、高抵抗層40の有無の点で相違する。すなわ
ち、図13に示すリングレーザ型ジャイロは、高抵抗層
40を活性層24等であって、リッジ下以外の部分にプ
ロトン中により形成している。
【0075】このため、図13に示すリングレーザ型ジ
ャイロは、酸化しやすい材料かどうかに拘わらず、所要
の材料を活性層24の材料とすることができるととも
に、効率よく発光部であるリッジ下の活性層24に電流
が注入されることになる。
【0076】(実施形態6)図14は、本発明の実施形
態6のリングレーザ型ジャイロの光導波路の平面図であ
り、図1に相当するものである。図14には、光導波路
の内周壁2に時計回りのレーザ光の照射面と反時計回り
のレーザ光の照射面との広さが異なるテーパ3を形成し
ている。
【0077】テーパ3により、内周部にしみ出したウィ
スパリング・ギャラリーモードに対して、照射面の面積
の差に応じた曲げ損失に差が生じる。ここでは、テーパ
3は、時計回りのレーザ光の照射面の方が反時計回りの
レーザ光の照射面より広いので、時計回りのレーザ光に
対する損失が、反時計回りのレーザ光に対する損失より
も小さくなる。
【0078】このため、時計回りのレーザ光の発振しき
い値が、反時計回りのレーザ光の発振しきい値よりも小
さくなり、この結果、両方のレーザ光が発振していると
きは、時計回りのレーザ光の光強度が、反時計回りのレ
ーザ光の光強度よりも大きくなる。
【0079】ちなみに、注入電流が6mAのとき、時計
回り、反時計回りのレーザ光の光強度は、それぞれ3.
3mW、2.6mWである。この半導体リングレーザ型
ジャイロが静止しているときは、両方のレーザ光の発振
波長はほぼ等しく、発振波長λは約1.55μmであ
る。
【0080】しかし、これらのレーザ光の光強度が異な
ることから、駆動電流6mAにおいて、時計回りのレー
ザ光と反時計回りのレーザ光の発振周波数は20kHz
だけ異なる。20kHzの発振周波数差は、テーパ3を
構成する第1のテーパ部100と第2のテーパ部101
とのの長さ及び両者のなす角を適宜調整することにより
得られる。
【0081】そして、半導体リングレーザ型ジャイロの
中でこれらのレーザ光が干渉する。このとき、電源電流
が一定となるよう調整しておき、アノードとカソードと
の間の電圧をモニターすると、振幅100mVで周波数
20kHzの信号が得られる。すなわち、半導体リング
レーザ型ジャイロが静止しているときでも、ビート信号
が検出できる。
【0082】このとき、カメラの手ぶれや自動車の振動
程度の毎秒30度の速度で時計回りに回転を受けると、
反時計回りのレーザ光の発振周波数は103.225H
zだけ増加する。一方、時計回りのレーザ光の発振周波
数は103.225Hzだけ減少する。したがって、ビ
ート周波数は Δf=20kHz+206.45Hz …(9) となる。
【0083】一方、半導体リングレーザ型ジャイロが、
毎秒30度の速度で反時計回りに回転を受けると、ビー
ト周波数は、 Δf=f2−f1=20kHz−206.45Hz …(10) となる。こうして、静止時からのビート周波数の増減に
よって、回転角速度だけでなく、回転方向の検知が可能
になる。回転方向検知のために、既述のディザなどの機
械的な機構を更に付加しても良い。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
発振主モードがウィスパリング・ギャラリー・モードと
なるようにしているので、ジャイロ装置の小型化に伴う
駆動電力の増大を抑制し、かつ信号雑音比を高くするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のリングレーザ型ジャイロ
の光導波路及びその周辺の模式的な平面図である。
【図2】図1のA−A’の断面図である。
【図3】図1,図2の製造工程図である。
【図4】図1,図2の製造工程図である。
【図5】図1,図2の製造工程図である。
【図6】図1,図2の製造工程図である。
【図7】図1,図2の製造工程図である。
【図8】図1,図2の製造工程図である。
【図9】図1,図2の製造工程図である。
【図10】本発明の実施形態2のリングレーザ型ジャイ
ロの光導波路の断面図である。
【図11】本発明の実施形態3のリングレーザ型ジャイ
ロの光導波路の断面図である。
【図12】本発明の実施形態4のリングレーザ型ジャイ
ロの光導波路の断面図である。
【図13】本発明の実施形態5のリングレーザ型ジャイ
ロの光導波路の断面図である。
【図14】本発明の実施形態6のリングレーザ型ジャイ
ロの光導波路の断面図である。
【図15】図1に示す光導波路を有するリングレーザ型
ジャイロのレーザ発振モードの光強度を示す3次元プロ
ット図及び光強度の等高線図である。
【図16】図1に示す光導波路内を進行するレーザ光を
示す図である。
【図17】従来のジャイロの斜視図及び拡大図である。
【符号の説明】
1 外周壁 2 内周壁 3 非対称なテーパ 4 レーザ光の光路 5 レーザ光の光路 11 カソード 21 半導体基板 22 バッファー層 23 光ガイド層 24 活性層 25 光ガイド層 26 クラッド層 27 キャップ層 28 アノード 30 絶縁膜 31 フォトレジスト 40 高抵抗層 100 第1のテーパ部 101 第2のテーパ部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに反対の周回方向に2つのレーザ光
    が伝搬するリング状リッジ型構造のジャイロ装置であっ
    て、 該レーザ装置の発振主モードがウィスパリング・ギャラ
    リー・モードとなるように、少なくとも活性層上のクラ
    ッド層が円形状の外周壁、及び非円形状の内周壁を有す
    ることを特徴とするジャイロ装置。
  2. 【請求項2】 前記外周壁と前記内周壁との幅を、位置
    に応じて異ならせていることを特徴とする請求項1記載
    のジャイロ装置。
  3. 【請求項3】 前記内周壁は、一方の前記レーザ光の反
    射損を他方の前記レーザ光の反射損よりも小さくさせる
    テーパ部が形成されており、互いに反対の周回方向に伝
    搬する2つのレーザ光の発振周波数が互いに異なってい
    ることを特徴とする請求項1記載のジャイロ装置。
  4. 【請求項4】 前記外周壁及び内周壁を、該クラッド層
    よりも高抵抗な高抵抗層で覆うことを特徴とする請求項
    1から3のいずれか1項記載のジャイロ装置。
  5. 【請求項5】 前記活性層側面を、該活性層が酸素に曝
    されないように絶縁層で覆うことを特徴とする請求項1
    から4のいずれか1項記載のジャイロ装置。
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