JP2013237745A - 重合体溶液の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液から、効率的にこれらの金属残渣を除去し、精製重合体溶液を得る重合体溶液の精製方法を提供する。
【解決手段】少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液を調製する工程1と、
前記重合体溶液と無機吸着剤とを接触させる工程2と、
を含む重合体溶液の精製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は重合体溶液の精製方法に関する。
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様に成形加工及びリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが幅広い分野で多用されている。
例えば、1,3−ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエン単量体の重合体、又は、共役ジエン単量体と、当該共役ジエン単量体と共重合可能なスチレンのようなビニル芳香族単量体と、の共重合体は、耐衝撃性透明樹脂、ポリオレフィン、及びポリスチレン樹脂の改質剤として非常に重要である。
また、上記共役ジエン系重合体に含まれる、オレフィン性二重結合部分に水素を付加させた水添重合体は、耐候性に優れるという特徴を活かし、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、雑貨、履物などに使用されている。
一般的に、上記共役ジエン系重合体は、アルキルリチウムなどを開始剤としたリビングアニオン重合によって得ることができる。また、上記水添重合体に関しては、共役ジエン系重合体を重合した後に周期律表第VIII族又は第IV族金属を触媒としてオレフィン性二重結合部分に水素添加反応(以下、「水素化反応」ともいう。)を行うことで得ることができる。
オレフィン性二重結合を有する共役ジエン系重合体を水素化させる方法については様々な方法が報告されており、例えば、周期律表第VIII族金属、特に、ニッケル又はコバルトの化合物とアルキルアルミニウム化合物等の適当な還元剤を組み合わせた触媒を使用した水素化の方法が知られている。他にも、周期律表第IV族金属であるチタンの化合物、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタン化合物とアルキルアルミニウム化合物等の適当な還元剤を組み合わせた触媒を使用し、共役ジエン系重合体の不飽和二重結合を水素化する方法が知られている。
以上のように、熱可塑性エラストマー、特に、上記したような共役ジエン系重合体や、その水添重合体には、開始剤や水素添加触媒などに由来する金属残渣(以下、「触媒残渣」ともいう。)が含まれることになる。重合体溶液中の金属残渣は、製品のブツ、表面肌荒れ、着色、濁りなど様々な品質低下に繋がるため、製造工程で効率的に除去しなければならない。
そこでこの問題を解決する目的で、重合体溶液中に残存する金属残渣を除去する方法として、いくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1では、噛み合せ構造を有する回転分散機を用いて、重合体溶液と水とを激しく混合することによって、重合体溶液中のリチウム残渣を除去する方法が開示されている。
また、特許文献2では、酸化剤とジカルボン酸を用いて、ニッケルをはじめとする周期律表第VIII族金属の残渣を除去する方法が開示されている。さらに、特許文献3では、ケイ酸塩に吸着させる方法で、ニッケルをはじめとする周期律表第VIII族金属の残渣を除去する方法が開示されている。
上記以外にも、リチウムや周期律表第VIII族金属の除去については、これまでに多数の先行文献で開示されている。
一方、チタン残渣を除去する方法に関してはこれまで殆ど報告されておらず、例えば、特許文献4には、無機酸とアルコールと水とを用いたチタン残渣の除去が開示されており、特許文献5には、有機酸とアルコールと水とを用いたチタン残渣の除去が開示されている程度である。
特開平6−136034号公報 米国特許第4,595,749号明細書 米国特許第5,104,972号明細書 特開2002−167406号公報 特開2009−91574号公報
製品の品質悪化を引き起こす金属残渣は、重合体溶液中から効率的に除去する必要がある。しかしながら、前述のように従来技術では複数の金属残渣に対して、中でもリチウムやチタンに高い効果を示す除去方法は殆ど報告されていなかった。また、特許文献4及び5に記載の方法においては、金属除去の際に大量のアルコールと水とを使用する必要があり、工業生産においては廃液処理が大きな問題となる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液から、効率的にこれらの金属残渣を除去し、精製重合体溶液を得る重合体溶液の精製方法を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液を、無機吸着剤で処理することで、重合体溶液中に含まれる金属残渣を短時間で効率的に除去できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕
少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液を調製する工程1と、
前記重合体溶液と無機吸着剤とを接触させる工程2と、
を含む重合体溶液の精製方法。
〔2〕
前記工程1と前記工程2との間に、前記重合体溶液と、R−OH (R=Cn2n+1、n=0〜10)で表される添加剤と、を接触・混合させる工程1’をさらに含む、前記〔1〕に記載の重合体溶液の精製方法。
〔3〕
前記添加剤が、R−OH (R=Cn2n+1、n=1〜10)で表されるアルコール化合物である、前記〔2〕に記載の重合体溶液の精製方法。
〔4〕
前記重合体溶液が、さらにアルミニウムを含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
〔5〕
前記無機吸着剤が、水酸基を表面に有している固体である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
〔6〕
前記無機吸着剤が、Si、Al、Mg、及びCからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を主要構成元素とする、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
〔7〕
前記無機吸着剤が、主要構成元素としてPを含まない、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
本発明によれば、重合体溶液中に含まれるリチウム残渣やチタン残渣を、無機吸着剤を用いて処理することにより短時間で効率的に除去でき、これにより金属残渣の少ない重合体溶液を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔重合体溶液の精製方法〕
本実施形態の重合体溶液の精製方法は、少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液を調製する工程1と、
前記重合体溶液と無機吸着剤とを接触させる工程2と、を少なくとも含む。
以下、各工程について詳述する。
[工程1]
本実施形態の重合体溶液の精製方法において、工程1は、少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液を調製する工程である。
(リチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液)
本実施形態で精製される重合体溶液は、少なくともリチウム、チタン、又はこれらの両方を含有するものであり、さらにアルミニウムを含んでいてもよい。重合体溶液を調整する方法は、特に限定されないが、例えば、リチウム系重合触媒によって重合した共役ジエン系重合体に、チタン化合物と各種還元剤とから成る触媒下で水素化反応を行い、水素化された共役ジエン系共重合体溶液を調製する方法が挙げられる。また、本実施形態では、精製される重合体溶液として水素化反応前の共役ジエン系重合体溶液を調製することもできる。
(重合体)
前記共役ジエン系重合体は当分野で一般的に使用されるものであれば特別に限定されないが、具体的には、数平均分子量500〜1,000,000である共役ジエンホモポリマー又は共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム、テーパー又はブロック共重合体などを使用することができる。また、これらの共役ジエン単位の不飽和二重結合に対して水素添加をした重合体も使用可能である。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めることができる。
使用可能な共役ジエン単量体は、特に限定されないが、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンなどのような4〜12個の炭素原子を含有する共役ジエン系化合物を使用することができる。この中でも、1,3−ブタジエン及びイソプレンを使用することが好ましい。共役ジエン単量体と共重合が可能なビニル芳香族系単量体は、特に限定されないが、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、アルコキシ基で置換されたスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルナフタレン及びアルキル基で置換されたビニルナフタレンなどのようなビニルアリル化合物を使用することができる。この中でも、スチレン及びα−メチルスチレンを使用することが好ましい。
この時、共役ジエン単量体とビニル芳香族系単量体を混合して共重合体を製造する場合は、特に限定されないが、具体的には、5:95〜95:5質量比を混合使用することができる。共役ジエンの使用量が5質量比以上であれば、耐衝撃性が良好で、さまざまな用途に使用が可能となる。また、95質量比以下であれば、製品加工性が良好となる。そのため前記範囲を維持することが好ましい。
このような共役ジエン系重合体は当分野で一般的に使用される重合法により製造することができる。例えば、本実施形態では有機リチウム化合物を開始剤として利用したアニオン重合を行うことができる。有機リチウム化合物は、特に制限されないが、具体的には、n−ブチルリチウムやs−ブチルリチウムなどを使用することができる。このような開始剤の使用量は当分野で一般的に使用されるものであり、目的とする高分子の分子量により自由自在に調節が可能である。
(水素化反応)
得られた重合体溶液に対して、その後、水素化反応を行うことで水素化された共役ジエン系重合体を製造することができる。
前記水素化反応に使用されるチタン化合物としては当分野で一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、具体的には、シクロペンタジエニルチタン化合物が挙げられ、例えば、シクロペンタジエニルチタンハロゲン化物、シクロペンタジエニル(アルコキシ)チタンジハロゲン化物、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジハロゲン化物、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジアルキル化物、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジアリル化物及びビス(シクロペンタジエニル)チタンジアルコキシ化合物などの中から、単独又は混合して使用することができる。
前記チタン化合物は、共役ジエン系重合体100g当り0.01〜20mmolを使用することが好ましく、重合体100g当り0.05〜5mmolを使用することがより好ましい。触媒として使用するチタン化合物の使用量が0.01mmol以上であれば、水添反応が効率よく進行し、生産性に優れる。また、20mmol以下であれば、十分な触媒添加量となり経済性がよく、さらに反応後に触媒除去のために過量の化学物質を使用することも抑制される。そのため、前記範囲を維持することが好ましい。
前記チタン化合物と共に使用することができる還元剤としては、当分野で一般的に使用される還元剤であれば特に限定されないが、具体的には、アルキルアルミニウム化合物、アルキルマグネシウム化合物、有機リチウム化合物、金属ヒドリドなどが挙げられ、単独でも複数種を組み合わせても使用することができる。
上記チタン系触媒を用いた水素添加反応としては、特に限定されないが、具体的には、国際特許出願第00/08069号、米国特許第4,501,857号、第4,673,714号、第4,980,421号、第5,753,778号、第5,910,566号、第6,020,439号などに記載された方法を用いて実施することができる。
前記水素化反応は不活性溶媒中で行うことができる。ここで、不活性溶媒とは重合反応や水素化反応の際のいずれの反応物とも反応しない溶媒を意味する。このような不活性溶媒は、特に限定されないが、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンのような脂環族炭化水素類;及びジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類を挙げることができ、これらの中から選択して単独又は混合して使用することができる。
工程1における重合体溶液中の重合体濃度は特に限定されないが、5〜50質量%が好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。重合体濃度が前記範囲内であると、取り扱いし易い重合体溶液粘度に調整でき、且つ、生産性が良好となるので好ましい。
一方、水素化反応は、重合体溶液を水素やヘリウム、アルゴン、窒素のような不活性気体雰囲気下で一定温度に維持した後、撹拌又は未撹拌状態で水素化触媒を添加し、水素ガスを一定圧力で注入することで行うことが好ましい。さらに、水素化反応の温度は30〜150℃、圧力は2〜30kg/cm2の範囲で行うことが好ましい。
水素化反応の温度が前記範囲内であると、反応性が向上して十分な反応収率を得ることができ、また、高分子の熱劣化による副反応が抑制できる。水素化反応の圧力が前記範囲内であると、反応速度が向上して反応時間が短くなり、また、反応器に投資する費用を抑制でき、経済的に好ましい。
[工程2]
本実施形態の重合体溶液の精製方法において、工程2は、工程1で得られた重合体溶液に無機吸着剤を接触させる工程である。
一般的に、重合体溶液中に含まれるリチウムやチタンなどの触媒残渣は非常に小さな粒子として存在している場合が多く、こうした微小粒子は粘性のある重合体溶液中では沈降し難いなどの理由で、金属除去が困難となっている。本実施形態においては、触媒残渣を含む重合体溶液を無機吸着剤と接触させることにより、無機吸着剤が有する細孔に金属残渣を吸着することによって、及び/又は、無機吸着剤の表面官能基と金属残渣との相互作用によって、金属残渣を無機吸着剤で捕捉することができる。
(無機吸着剤)
本実施形態で用いる無機吸着剤としては、当分野で一般的に使用されるものであれば特に限定されず、具体的には、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、活性炭やカーボンブラックなどの炭素系吸着剤;その他金属の酸化物から成る無機吸着剤;層状粘土鉱物類;多孔質セラミックなどの各種多孔質材料;及び合成吸着剤などが挙げられる。
この中でも、Si、Al、Mgの酸化物や炭素系の吸着剤(活性炭、カーボンブラック、黒鉛など)は良好な金属除去効果を示す。特に、Si、Al、Mg、及びCからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を主要構成元素とする無機吸着剤が、リチウムやチタンなどの金属残渣の吸着能力に優れる。
また、リン酸マグネシウムのようなリン元素(P)を主要構成元素とする無機吸着剤も、リチウムやチタンなどの金属残渣の吸着能は良好である。しかし、残存したリン成分の影響だと思われる重合体の変色性を回避するため、無機吸着剤は、主要構成元素としてPを含まないことが好ましい。なお、本実施形態における用語「主要構成元素」とは、無機吸着剤全体の質量の10%以上を占める構成元素を意味する。
本実施形態においては、無機吸着剤の比表面積は特に限定されないが、比表面積として、500m2/g以上が好ましく、1000m2/g以上がより好ましく、2000m2/g以上がさらに好ましい。無機吸着剤の比表面積が上記範囲であると、リチウムやチタンなどの金属残渣を吸着しやすくなり、金属残渣の効果的な低減が可能となる。比表面積の測定方法は特に限定されないが、比表面積測定装置NOVA1200(ユアサアイオニクス株式会社製)を用いて、一般的な比表面積の測定方法である、液体窒素を用いるBET法により測定することができる。
本実施形態においては、無機吸着剤が表面官能基を有していることが好ましい。官能基の種類としては、金属残渣と相互作用するものであれば特に限定されないが、具体的には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、イミノ基、二トリル基、カルボニル基、チオール基などが挙げられる。この中でも、無機吸着剤として、水酸基を表面に有している固体が好ましい。このような無機吸着剤であれば、リチウムやチタンなどの金属残渣との相互作用が増大することで吸着効率が向上し、金属残渣の効果的な低減が可能となる。
本実施形態において、無機吸着剤の粒径は特に限定されず、当該分野において一般的な粒径のものを広範に使用することができるが、0.1μm〜50mmの範囲が好ましく、1μm〜20mmがより好ましく、10μm〜10mmがさらに好ましい。無機吸着剤の粒径を上記範囲とすることで、リチウムやチタンなどの金属残渣を効果的に吸着することができ、さらに重合体溶液からの無機吸着剤の除去も容易に行うことができるようになるので好ましい。無機吸着剤の粒径を測定する方法は特に限定されないが、例えば、顕微鏡法や、「LA−300粒度分布計」(株式会社堀場製作所製)等により分析することができる。
無機吸着剤の使用量は、触媒残渣の量や、無機吸着剤の表面官能基数などによって変わってくるが、除去対象となる触媒残渣に対して、0.0001〜10000質量倍を添加するのが好ましく、0.001〜1000質量倍がより好ましく、0.01〜100質量倍がさらに好ましい。無機吸着剤の添加量が上記範囲であれば十分な金属除去効果が得られ、製造コストの面からも好ましい。
(接触方法)
前記無機吸着剤と重合体溶液の接触方法は特に限定されず、リチウムやチタンを含有する重合体溶液に無機吸着剤を固体のまま添加してもよいし、水やアルコールに懸濁させて添加してもよい。こうした方法の場合、最終的には、触媒残渣が吸着した無機吸着剤を重合体溶液から分離除去するが、ろ過や遠心分離などの物理的な分離方法によって容易に分離することができる。また、重合体溶液と無機吸着剤の接触方法としては、無機吸着剤を充填した吸着塔に重合体溶液を通過させる方法でもよい。この場合には、後工程において重合体溶液から無機吸着剤を分離する必要がないため、簡便なプロセスとなるので好ましい。また、工程2において、水やアルコールを添加しない場合には、アルコールや水を再利用するための大掛かりな精製設備は不要となり、金属除去の過程において、重合体溶液と水やアルコールとの分離に長い時間を要することもない。そのため、排液の少ない、優れた金属除去プロセスを提供することができる。
[工程1’]
本実施形態の重合体溶液の精製方法においては、前記工程1と前記工程2との間に、前記重合体溶液と、R−OH (R=Cn2n+1、n=0〜10)で表される添加剤と、を接触・混合させる工程1’をさらに含むことができる。
本実施形態においては、必要に応じて、前記工程1と工程2との間で、重合体溶液に添加剤を加えることで重合体溶液中のリチウムやチタンなどの触媒残渣と無機吸着剤との相互作用を高めることができる。そのような効果のある添加剤であれば添加剤の種類は特に限定されないが、中でも好ましいものとしては、水やアルコール化合物である。これらを添加することで、触媒残渣の無機吸着剤への反応性を活性化することができる。
アルコール化合物の種類としては、特に限定されないが、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール化合物;カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、リノリルアルコールなどの高級アルコール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール類;その他多価アルコール化合物が挙げられる。これらの中でも、添加剤として、式R−OH (R=Cn2n+1、n=0〜10)で表される水及び/又はアルコール化合物が好ましい。その中でも、R−OH (R=Cn2n+1、n=1〜10)のアルコール化合物がより好ましい。重合体溶液に含まれるリチウムやチタンなどの金属残渣をこうした添加剤で処理することによって、工程2において、無機吸着剤、特に表面水酸基を有する無機吸着剤との反応性が向上し、より効率的にリチウムやチタンなどの金属残渣を吸着することが可能となる。
本実施形態における、上記添加剤、例えば水やアルコールの添加量は、金属残渣の量や、化学状態などによって変わってくるが、除去対象となる金属残渣に対して、0.01〜100倍モルを添加するのが好ましく、0.05〜80倍モルがより好ましく、0.1〜50倍モルがさらに好ましい。上記範囲で添加することによって、金属残渣と無機吸着剤との相互作用が活性化し、効率的にリチウムやチタンなどの金属残渣を吸着することができる。
以下、本発明を実施例に基づき詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本実施例においては下記をそれぞれ使用した。
無機吸着剤1・・・活性炭「CW130BR」(フタムラ化学株式会社製)
無機吸着剤2・・・モレキュラーシーブ「DS−2000」(ユニオン昭和株式会社製)
無機吸着剤3・・・シリカゲル「クロマトレックス」(富士シリシア株式会社製)
無機吸着剤4・・・ゼオライト「HSZ−600」(東ソー株式会社製)
[製造例1]
アルキルリチウムを開始剤とした従来公知のアニオン重合法によって、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(スチレン含量:30.0質量%、ブタジエン含量:70.0質量%、数平均分子量:50,000)のシクロヘキサン溶液を得た。得られた重合体溶液を真空乾燥させ、固体状の重合体中に含まれる金属の量を、誘導結合プラズマ(ICP,Inductivity coupled plasma)を用いた元素分析(株式会社島津製作所社製、ICPS−7510。以下、同じ。)を通じて測定した結果、Li残渣の量は100ppmであった。
[製造例2]
製造例1で得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体400gを含むシクロヘキサン溶液2800gを、5リットルのオートクレーブ反応器に入れ400rpmで攪拌しながら60℃に加熱した。その後、トリエチルアルミニウム1.5mmolとビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド0.8mmolとを添加して、10kg/cm2の水素で加圧して水素化反応を行うことで水素化された重合体溶液を得た。このように水素化された重合体(高分子)をNMRで分析した結果、ポリブタジエンブロック内の98%以上の二重結合が水素化されたことを確認した。得られた重合体中に含まれる金属の量を、誘導結合プラズマ(ICP,Inductivity coupled plasma)を用いた元素分析を通じて測定した結果、Ti残渣:102ppm、Li残渣:100ppm、Al残渣:101ppmであった。
[実施例1]
製造例1で得られたリチウムを含有する重合体の20質量%シクロヘキサン溶液を、流量2.0T/hrで無機吸着剤1を充填した容器内を通過させ(無機吸着剤との接触時間:5sec)、得られた重合体溶液を真空乾燥させることで、固体状の重合体を得た。得られた固体状の重合体に含まれる金属の量を、誘導結合プラズマ(ICP,Inductivity coupled plasma)を用いた元素分析を通じて測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例2]
製造例2で得られた重合体溶液を、流量2.0T/hrで無機吸着剤2を充填した容器内を通過させ(無機吸着剤との接触時間:5sec)、得られた重合体溶液を真空乾燥させることで、固体状の重合体を得た。得られた固体状の重合体に含まれる金属の量を、誘導結合プラズマ(ICP,Inductivity coupled plasma)を用いた元素分析を通じて測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例3]
製造例2で得られた重合体溶液に対して、リチウム及びチタン含有量に対して、5倍モルのエタノールを添加し、タンク内で10分混合した。その後、得られた混合物を、流量2.0T/hrで無機吸着剤3を充填した容器内を通過させ(無機吸着剤との接触時間:5sec)、得られた重合体溶液を真空乾燥させることで、固体状の重合体を得た。得られた固体状の重合体に含まれる金属の量を、誘導結合プラズマ(ICP,Inductivity coupled plasma)を用いた元素分析を通じて測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例4]
製造例2で得られた重合体溶液に対して、リチウム及びチタン含有量に対して、5倍モルのエタノールを添加し、タンク内で10分混合した。その後、得られた混合物を、流量2.0T/hrで無機吸着剤4を充填した容器内を通過させ(無機吸着剤との接触時間:5sec)、得られた重合体溶液を真空乾燥させることで、固体状の重合体を得た。得られた固体状の重合体に含まれる金属の量を、誘導結合プラズマ(ICP,Inductivity coupled plasma)を用いた元素分析を通じて測定した。該測定結果を表1に示す。
[比較例1]
製造例2で得られた重合体溶液に対して、リチウム及びチタン含有量に対して、5倍モルのエタノールを添加し、タンク内で10分混合した。その後、タンク内で10分間滞留させて静置分離を試みたが、重合体溶液中にエタノールが部分的に溶解した状態であった。分離可能なエタノール相のみ除去した後に、得られた重合体溶液を真空乾燥させることで、固体状の重合体を得た。得られた固体状の重合体に含まれる金属の量を、誘導結合プラズマ(ICP,Inductivity coupled plasma)を用いた元素分析を通じて測定した。該測定結果を表1に示す。
本発明の重合体溶液の精製方法は、重合体溶液中に残存する金属残渣を除去する方法として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (7)

  1. 少なくともリチウム及び/又はチタンを含有する重合体溶液を調製する工程1と、
    前記重合体溶液と無機吸着剤とを接触させる工程2と、
    を含む重合体溶液の精製方法。
  2. 前記工程1と前記工程2との間に、前記重合体溶液と、R−OH (R=Cn2n+1、n=0〜10)で表される添加剤と、を接触・混合させる工程1’をさらに含む、請求項1に記載の重合体溶液の精製方法。
  3. 前記添加剤が、R−OH (R=Cn2n+1、n=1〜10)で表されるアルコール化合物である、請求項2に記載の重合体溶液の精製方法。
  4. 前記重合体溶液が、さらにアルミニウムを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
  5. 前記無機吸着剤が、水酸基を表面に有している固体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
  6. 前記無機吸着剤が、Si、Al、Mg、及びCからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を主要構成元素とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
  7. 前記無機吸着剤が、主要構成元素としてPを含まない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体溶液の精製方法。
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