JP2013237440A - 排水量型船舶の船尾形状 - Google Patents

排水量型船舶の船尾形状 Download PDF

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Abstract

【課題】フルード数がラストハンプより小さい速度域で航走する排水量型船舶において、船体抵抗の低減及びプロペラキャビテーションの抑制を可能にした排水量型船舶の船尾形状を提供する。
【解決手段】ナックルライン14の船体幅方向内側にあるフレームライン12aを上に凸の曲率を有するドーム形状に形成し、ドーム形状を形成する船体長さを全長の10%以上またはプロペラ直径の1倍以上に設定するとともに、始点の船体幅方向位置をプロペラ半径位置よりも外側となるように設定し、ナックルライン14が、船体後方へ徐々に船体中心線へ接近するように、あるいは、船体中心線と平行に形成されて、終点にライン間幅を持って終わり、終点は船尾端まで続いており、船尾端断面形状が左右舷のナックルライン14の終点を直線で結んだ形状に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、たとえばタンカー、コンテナ船やフェリー等のように、フルード数(Fn)がラストハンプより小さい速度域で航走する排水量型船舶の船尾形状に関する。
従来、船体の一部が水中を航走する排水量型船舶においては、流れをプロペラ上方の位置に誘導するスタンタンネルフィンと呼ばれるフィンをプロペラ前方の船体からプロペラ上方の船体に取り付けたものが知られている。このような排水量型船舶は、スタンタンネルフィンがプロペラに流入する流れを加速・均一化してプロペラキャビテーションの発生を抑制するので、船体振動の発生が抑制される。(たとえば、特許文献1参照)
また、プロペラ上部の船尾船底を上方へ湾曲させることにより、プロペラと船体との距離を保つようにした船尾形状が提案されている。この船尾形状によれば、プロペラ起振力による船尾振動を従来船尾形状船と同等に保ち、プロペラ直径の増大による推進効率向上が可能になるとされる。(たとえば、特許文献2参照)
また、フルード数がラストハンプよりも大きい高速の速度域において、船体を喫水線より浮上させた状態で航走する滑走型高速艇に適用される船型として、チャイン船型と呼ばれるものが知られている。このチャイン船型は、船底部がドーム状となっており、船底部と船側外板とが角度をもって接合されている。(たとえば、特許文献3参照)
実公昭59−28960号公報(図5参照) 特許第2716658号公報(図1及び図2参照) 特開昭61−44090号公報
ところで、近年の排水量型船舶においては、船舶の大型化や高速化が求められている。このため、船体抵抗を減少させるとともに、プロペラキャビテーションを抑制して、船体振動を減少させることが必要となる。
しかし、上述したスタンタンネルフィンには、流れを加速・整流することによる船体抵抗低減の効果があるものの、船体から突出したフィンが抵抗発生源ともなる。このため、船体抵抗低減効果及び抵抗発生源というように相反する特性から、スタンタンネルフィン全体としては必ずしも抵抗低減とならない場合もある。このため、スタンタンネルフィンを採用する場合には、船体形状等の制約を受けることとなる。
さらに、スタンタンネルフィンは、形状を大きくするほどプロペラ上方の流れを加速・均一化する効果が増大する反面、フィンの抵抗も増加して速力性能を大きく低下させるため、実用上あまり大きなものを採用できないという問題を有している。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フルード数がラストハンプより小さい速度域で航走する排水量型船舶を対象とし、船体抵抗の低減及びプロペラキャビテーションの抑制により、船体振動の低減が可能になる排水量型船舶の船尾形状を提供することにある。
なお、ラストハンプは、フルード数Fn(Fn=船速/(船長×重力加速度)1/2)が0.4〜0.5の付近にある抵抗係数が最大になる点である。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の排水量型船舶の船尾形状は、フルード数がラストハンプより小さい速度域で航走する排水量型船舶の船尾形状であって、船尾の船体断面形状に設けた凸部を結んでプロペラ前方の始点からプロペラ後方の終点まで船体前後方向に連続して形成される凸部ラインを備え、前記凸部ラインはその内側のフレームラインと外側のフレームラインが不連続に繋がるナックルラインとして形成されており、前記ナックルラインの船体幅方向内側にある前記フレームラインを上に凸の曲率を有するドーム形状に形成し、前記ドーム形状を形成する船体長さを全長の10%以上またはプロペラ直径の1倍以上に設定するとともに、前記始点の船体幅方向位置をプロペラ半径位置よりも外側となるように設定し、前記ナックルラインが、船体後方へ徐々に船体中心線へ接近するように、あるいは、前記船体中心線と平行に形成されて、前記終点にライン間幅を持って終わり、前記終点は船尾端まで続いており、船尾端断面形状が左右舷の前記ナックルラインの終点を直線で結んだ形状に形成されていることを特徴とするものである。
上記の発明において、前記内側のフレームラインは、上に凸の曲率を有する曲面を部分的に形成する領域を前記凸部の近傍に備えていることが望ましい。
また、上記の発明においては、前記凸部の外側フレームラインと内側フレームラインの間にフィレット部が形成されており、該フィレット部は、前記フレームラインの曲率変化が前記フレームライン外側からの急激な増大と前記フレームライン内側への急激な減少との転換点となる前記フレームライン途中の最大曲率位置であることが望ましい。
また、上記の発明においては、前記ナックルラインが、船体後方へ徐々に船体中心線へ接近するように、あるいは、前記船体中心線と平行に形成されていることが望ましい。
また、上記の発明においては、前記ドーム形状に船底突起物の取付位置前方で下降する部分を設けることが望ましい。
また、上記の発明においては、前記ナックルラインの直下に舵を設置することが望ましい。
また、上記の発明においては、前記ナックルラインの直下に推進器を設置することが望ましい。なお、この場合の推進器としては、アジマススラスタやPOD等がある。
また、上記の発明においては、前記ナックルラインの間の船尾端部にウエッジ部を設けることが望ましい。
また、上記の発明において、船尾端部に船底面が局部的に後方下がりとなるウエッジ部が設けられており、船尾端断面でのウエッジ下端の形状は、左右舷の前記ナックルラインの終点を結んだ直線で形成されていることが望ましい。
上述した本発明の排水量型船舶の船尾形状によれば、プロペラ位置から船尾船底部へかけての流れを加速することで船体抵抗を低減し、さらに、プロペラに流入する流れを均一化することでプロペラキャビテーションを抑制して船体振動を低減することができる。
また、船底突起物の前方で周辺のドーム形状より船体が下降する部分や凸部ラインの直下に舵や推進器等の船底突起物を設置すれば、船底突起物の船体からの露出量を低減することができ、船底突起物による航走時の抵抗増加を低減することができる。
また、上述した本発明の船尾形状は船尾船底部の流れを加速するので、船尾端にウエッジ形状を備えている場合には、その抵抗低減効果を増大させることができる。
本発明に係る第1の参考例として、1軸船を船尾側から見た排水量型船舶の船尾形状を示す断面図(図2のA−A断面、B−B断面及びC−C断面)である。 本発明に係る排水量型船舶の船尾形状として、1軸船の船尾側船底部分を示す側面図である。 図1及び図2に示した排水量型船舶の船尾形状を示す船尾船底部分の底面図である。 本発明に係る第1の参考例を2軸船に適用した場合の船尾形状を示す図である。 図1に示した第1の参考例について、船尾形状の第1変形例を示す図である。 本発明に係る第2の参考例として排水量型船舶の船尾形状を示す図である。 図6Aの船尾形状について船体幅方向の曲率変化を示す図である。 図6Aに示した第2の参考例に係るフィレット部の第1変形例を示す図である。 図6Aに示した第2の参考例に係るフィレット部の第2変形例を示す図である。 本発明に係る第3の参考例として、排水量型船舶の船尾形状を示す船尾船底部分の底面図である。 本発明に係る第4の参考例として、排水量型船舶の船尾形状を示す図である。 図9の船尾形状に取り付けられた船底突起物を示す図で、舵を取り付けた状態が示されている。 図9の船尾形状に取り付けられた船底突起物を示す図で、PODを取り付けた状態が示されている。 本発明に係る第4の参考例をスケグに適用した例として船尾側船底部分を示す側面図である。 本発明に係る第5の参考例を2舵船に適用した場合について、排水量型船舶の船尾形状(図12BのG−G断面)を示す図である。 図12Aの側面図である。 本発明に係る第5の参考例を二つのPODを備えた船舶に適用した場合について、排水量型船舶の船尾形状(図13BのH−H断面)を示す図である。 図13Aの側面図である。 本発明に係る第5の参考例を一対のプロペラ及び舵と二つのPODとを備えた船舶に適用した場合について、排水量型船舶の船尾形状を示す図である。 図14Aの側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るウエッジ部を示す図で、船尾端近傍の船底面に設けた例が示されている。 本発明の第1の実施形態に係るウエッジ部を示す図で、船尾端の後部に張り出して設けた例が示されている。 本発明の第1の実施形態に係るウエッジ部を示す図で、船尾端の船尾形状が示されている。 本発明の第1の実施形態に係るウエッジ部を示す図で、船底形状の横断面図(図16CのF−F断面図)が示されている。 本発明の第1の実施形態に係るウエッジ部を示す図で、図16A及び図16BのD−D断面及びE−E断面を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る排水量型船舶の船尾形状を示す船尾側船底部分の底面図である。 第2の実施形態について、変形例を示す船尾側船底部分の底面図である。 図18Aの船体中心線に沿う縦断面図である。 図18A及び図18Bの船尾側から見た排水量型船舶の船尾形状を示す断面図(図18A及び図18BのX−X断面、Y−Y断面及びZ−Z断面)である。 本発明の第6の参考例に係る排水量型船舶の船尾形状を示す船尾側船底部分の底面図である。 図19Aに示す船尾形状の作用を示す図で、上向き方向速度(Wf)について船体幅方向の速度分布を比較した図である。 第6の参考例について変形例を示す船体幅方向の断面図である。 図20Aに示す船尾形状の作用を示す図で、上向き方向速度(Wf)について船体幅方向の速度分布を比較した図である。
以下、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の参考例>
最初に、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第1の参考例を図1から図3に基づいて説明する。
図2は、フルード数がラストハンプより小さい速度域で航走する排水量型船舶の船尾形状として、船尾側船底部分を示す側面図である。排水量型船舶は、船体下部が部分的に水中にあって浮力を受けるとともに、船体の一部が水中を航走する船舶である。図示の排水量型船舶は1軸船であり、船体1の船尾側船底11には、船体中心線(軸線)CL上にプロペラ2及び舵3がそれぞれ1つずつ設けられている。
図1は、左右対称の船体1を船尾側から見て、船体中心線CLの左側半分のみを示す船尾形状図であり、図2のA−A断面、B−B断面及びC−C断面が同一図面上に重ねて示されている。なお、図3は、船体1の船尾側船底11を示す底面図である。
図示の船尾形状には、船尾の断面形状を形成するフレームライン12に凸部となるナックル点(角部)13が設けられている。そして、このナックル点13を結ぶことにより、船尾側船底11の両側面には、プロペラ2の前方に位置する始点Sからプロペラ2の後方に位置する終点Eまで、船体前後方向に連続するナックルライン(凸部ライン)14が形成されている。
フレームライン12のうち、上述したナックルライン14の船体幅方向内側、すなわちナックルライン14より船体中心線CL側となる部分のフレームライン(以下、「内側ドームライン」とも呼ぶ)12aは、図1に示すように、上に凸の曲率を有するドーム形状を形成している。一方、ナックルライン14の船体幅方向外側となるフレームライン(以下、「外側ライン」とも呼ぶ)12bは、下側に凸の曲率を有して船側部に連結されている。このため、フレームライン12は、ナックルライン14を境にして、下側に凸の曲率を有する外側ライン12bが上に凸の曲率を有する内側ドームライン12aに変化することで、ナックルライン14より内側に上に凸となる曲面のドーム形状を形成している。換言すれば、フレームライン12は、船側部から船体1の外向きに凸の曲面を形成している外側ライン12bが、ナックルライン14を境にして、船体1の内向きに凸の曲面を形成する内側ドームライン12aに変化する。
上述したドーム形状を形成する船体長さLd(図3参照)は、船体1の全長Lを基準にして10%以上(Ld≧0.1L)となるように、あるいは、プロペラ2の直径Dを基準として1倍以上(Ld≧D)となるように設定されている。すなわち、ドーム形状は、なるべく船体1の前方から開始されるとともに、プロペラ2の位置より後方まで続くように形成されることが好ましい。
この場合の船体長さLdは、船体1の平面視において、船体中心線CL上でドーム形状が形成されている船体長さ方向の範囲である。換言すれば、この場合の船体長さLdは、船体1の平面視において、船体中心線CLに沿って測定されるナックルライン14の始点Sから終点Eまでの長さである。なお、より好ましい船体長さLdは、船体1の全長Lを基準にして20%以上(Ld≧0.2L)であるが、船体1の最大横断面位置が船体長さLdの上限を規定する際の前方位置となる。
また、ナックルライン14の始点Sは、船体1の幅方向においてプロペラ2の半径位置より外側に設定されている。すなわち、船体中心線CLから始点Sまでの船体幅方向距離Wdは、プロペラ2の半径(D/2)より大きな値(Wd>D/2)となるように設定されている。
ここで、上述したナックル点13は、船尾側船底11となる板材をプレス成形したり、あるいは板材の接合等により形成される凸部であり、後述する流れの誘導作用を増すためには、可能な限りシャープな(角張った)エッジ形状とすることが好ましい。しかし、実際の製造及び成形加工においては、加工方法や板厚等の諸条件に応じてナックル点13の先端がR形状や溶接線となることもある。このため、本発明では、先端形状にR形状や溶接線が残ったナックル点13も包含するものとする。
以下、上述した排水量型船舶の船尾形状について、その作用効果を説明する。
上述したように、ナックルライン14を形成して内側のフレームライン12aをドーム形状とした船尾形状によれば、航走時における水流は、図3に矢印Fで示すように、ナックル点13付近の流れが船体中心線CLの方向へ誘導される。このため、左右一対のナックルライン14より内側の流れは、プロペラ2の位置から上方の船尾部へ効率よく引き込まれる。このとき、ナックルライン14の始点S側を幅広とし、さらに、始点Sをなるべく船体1の前方に配置することにより、流れの誘導及び引き込みを効果的に行うことができる。
なお、図中に示す矢印F′は、ナックルライン14がない場合の水流を示しており、船体中心線CLと略平行な流れとなっている。
このようにして、ナックルライン14より内側の流れがプロペラ2の位置より上方の船尾部へ効率よく引き込まれると、プロペラ2の位置から上方の船尾部では流れが加速されるので、船体抵抗を減少させることができる。また、プロペラ2に流入する流れが均一化されるため、プロペラキャビテーションを抑制して船体振動を低減することができる。なお、プロペラキャビテーションを防止するためには、終点Eの位置について、少なくともプロペラ2の位置より船尾側とする必要がある。
さらに、上述した船尾形状は、従来技術で説明したスタンタンネルフィンのように船体1から突出する大きな突起物がないため、突起物により抵抗が発生することはない。このため、船体抵抗や船体振動を低減する効果を増す場合には、ナックルライン14の幅を増すことで対応できるので、スタンタンネルフィンのように船体抵抗低減効果とともに抵抗も増大するようなことはない。
すなわち、本参考例の船尾形状によれば、ナックル点13を形成する位置を船体1の幅方向に調整することで、ドーム形状となる部分の幅を変化させて流場の改善効果を調整できるので、突起物による抵抗の発生及び変動を伴うことなく、スタンタンネルフィンの大きさを変化させることと同様の流場改善効果が得られる。
ところで、上述した参考例では、ナックルライン14の終点Eがプロペラ2の後方に位置するものとしたが、船体抵抗を一層低減するためには、ナックルライン14を船尾側船底11で最も後端となる船尾端まで連続して延長することが好ましい。すなわち、ナックルライン14の終点Eは、船尾端に位置することが好ましい。
また、上述した参考例においては、排水量型船舶の1軸船に適用した例を示して説明したが、これに限定されることはなく、たとえば図4に示すように、プロペラ2が左右一対設けられる2軸船への適用も可能である。
また、上述した参考例においては、ナックルライン14の船体幅方向外側にある外側ライン12bが、船側部から下側に凸の曲率を有するものとしたが、この外側ライン12bは、図1に示すように、下に凸の曲率を有するとともに略垂直な船側外板へ滑らかに接する曲面に形成されていることが好ましい。このように、外側ライン12bの船体幅方向外側が船側外板へ滑らかに接する曲面になれば、航走時に船側部から船底部に流れ込む流れ(図1に示す矢印Fs参照)が当たって渦を発生する角部をなくすことができるので、航走時の抵抗低減に有効である。
また、図5に示した第1変形例(参考例)のフレームライン12Aでは、ナックルライン14の船体幅方向外側にあるフレームライン12bが、上に凸の曲率を有する曲面を部分的に形成する領域として、ナックル点13の近傍に曲面部12cを備えている。このような曲面部12cを備えたフレームライン12Aを採用すると、より角張って明確な形状のナックル点13を容易に形成することができる。すなわち、ナックル点13の両側を上に凸の曲面とすることで、流れの誘導作用向上に有効であるシャープな鋭角形状のナックル点13を容易に形成することができる。
<第2の参考例>
続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第2の参考例を図6A、図6B、図7A及び図7Bに基づいて説明する。なお、上述した参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例において、船尾の断面形状に設けた凸部は、たとえば図6Aに示すように、フレームライン12Bの途中に形成されたフィレット部20である。従って、本参考例における凸部ラインは、フィレット部20を結んで船体前後方向に連続して形成されたフィレットラインとなる。
上述したフィレット部20の先端は円弧形状とされ、製造要件から定められる最小の角部R形状である。このフィレット部20を具体的に説明すると、たとえば図6Bに示すように、フレームライン12Bの曲率変化が、船体幅方向の船側部側となるフレームライン外側からの急激な増大と、船体幅方向の船体中心側となるフレームライン内側への急激な減少との転換点となる位置である。すなわち、フィレット部20は、フレームライン12Bの途中において、下側に凸の曲率を有する外側ライン12bと上に凸の曲率を有する内側ドームライン12aとの連結点であり、曲率が最大となる最大曲率位置となる。なお、フィレット部20は、船体1に後付けされる別部品としてもよい。
この場合、フィレットラインを形成するフィレット部20は、設計(CAD)上の形状定義が容易になるため、曲率が一定の円弧とすることが望ましい。さらに、フィレット部20の円弧半径をフィレットラインの全長にわたって一定にすれば、設計上の形状定義がより一層容易になる。
なお、ここでの曲率の正負(大小)は、船体1の外側への凸面を正(大)とし、凹面を負(小)としている。
このようなフィレット部20の採用により、工作や建造上の都合により船体形状にナックル点13による凸部の形成が困難な場合であっても、上述した第1の参考例と同様の作用効果を得ることができる。換言すれば、船体1の船尾側船底11に対し、曲率半径の小さいフィレット部20を形成して凸部を設けることが容易になる。
また、円弧形状のフィレット部20は、流れの誘導作用を増すためにはフレームライン12Bの曲率を大きく(曲率半径を小さく)し、鋭角のシャープな角形状に近づけることが好ましい。このため、フィレット部20の曲率半径は、500mm以下のできるだけ小さな値に設定することが望ましい。
ところで、上述したフィレット部20は円弧状としたが、たとえば図7A、図7Bに示す変形例(参考例)を採用することも可能である。
図7Aに示す第1変形例では、円弧状としたフィレット部20から船体外側へ突出する三角形断面形状の突起部21が設けられている。また、図7Bに示す第2変形例では、円弧状としたフィレット部20から船体外側へ突出する平板状の突起部22が設けられている。
このような突起部21,22は、船体1の船尾側船底11に取り付けた別部品であり、上述したナックル点13に近いシャープな形状の凸部を容易に形成して、流れの誘導作用を向上させることができる。
<第3の参考例>
続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第3の参考例を図3及び図8に基づいて説明する。なお、上述した参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例においては、たとえば図3に示すように、ナックルライン(凸部ライン)14が、船体1の後方へ向けて徐々に船体中心線CL側へ接近して船体後方(船尾側)が狭まるように、あるいは、船体中心線CLと平行となるように形成されている。
ナックルライン14は、流れを効果的にコントロールする誘導作用の観点と、船体抵抗低減の観点とから、船体近傍の流れと大きく交差しないことが望ましい。船体後半部の流れは、船体中心線CLに平行から、後方へ行くにつれて幅方向へ狭まる方向の角度を有しているので、ナックルライン14にも同様の傾斜を設けてある。
しかし、たとえば図8に示すナックルライン14′のように、水流F′との傾斜角θが急すぎて大きい場合には、ナックル点13の流れはナックルライン14′と交差して流れる。このため、船体中央部に流れを導く誘導作用が十分に発揮されないばかりか、ナックル点13で渦が発生して船体抵抗を増加させることとなる。
従って、CFD計算や模型試験等により、船体近傍の流線を知ることができれば、この流線にあわせてナックルライン14の形状を決定すればよい。この場合、良好な誘導作用を得るためには、流線との角度が5度以上とならないように、ナックルライン14の形状を決定することが好ましい。
この結果、ナックルライン14は、プロペラ2の付近に流れを効率よく誘導するとともに、ナックルライン14から発生する渦に起因する抵抗も低減することができる。
<第4の参考例>
続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第4の参考例を図9から図11に基づいて説明する。なお、上述した参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例においては、上述したドーム形状に対し、船底突起物の取付位置前方で下降する部分(以下、「下降部」と呼ぶ)が設けられている。この下降部12dは、船底突起物に当たる流れを減速するとともに、船底突起物の船体からの露出を低減するものである。この場合の船底突起物には、舵3の他にも、POD30やスケグ40等がある。
図9に示す下降部12dは、船底突起物が船体中央部に設置されている場合に適用されるものであり、船底突起物の前方から船底突起物の位置にかけての船底形状が、ナックル点13より内側でいったん上方へ上昇してドーム形状をなし、さらに、最上点から船体中心線CLに向かって下降している船尾形状である。
このような船尾形状では、プロペラ2の付近から後方の船尾船底部において流れが加速されるので、舵3等の船底突起物に当たる流れも加速されている。従って、舵3等の船底突起物には通常よりも速い流れが当たり、船底突起物の抵抗を増加することになる。
そこで、たとえば図10Aに示す通常の1軸1舵船のように、船体中央に舵3が設置されている場合には、舵3の前方から舵位置にかけて、図9のように船体中心線CLで下に下がる下降部12dを備えた船体形状を採用する。この結果、下降部12dの存在により舵3に当たる流れを減速することができ、さらに、舵3の船体1からの露出部分を減らすこともできるので、航走時における舵3の抵抗を減少させることができる。
また、上述した下降部12dは、たとえば図10Bに示すPOD30等のように、船体1から吊り下げられて支持されている形式の推進器が船体中央部に設置されている場合についても同様の作用効果が得られる。
さらに、上述した下降部12dは、たとえば図11に示すスケグ40を備えている場合についても同様の作用効果が得られる。
<第5の参考例>
続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第5の参考例を図12Aから図14Bに基づいて説明する。なお、上述した参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12A、図12Bに示す参考例には、ナックルライン14の直下に舵3を1つずつ2枚設置した構成例が示されている。すなわち、二つの舵3が設けられる船舶では、2本のナックルライン14を形成し、各ナックルライン14の直下に舵3を1つずつ設置する構成が好ましい。また、舵3が2以上の複数設けられている船舶では、舵3と同数のナックルライン14を形成し、各ナックルライン14の直下に舵3を1つずつ設置する構成が好ましい。
このような構成とすれば、上述した第4の参考例と同様に、舵3が船体1から露出する部分の割合を減らすことができるので、航走時に発生する舵3の抵抗を減少させることができる。
図13A、図13Bに示す参考例では、POD30やアジマススラスタのような推進器とナックルライン14とが設けられている場合、ナックルライン14の直下に推進器を1つずつ設置した構成例が示されている。すなわち、POD30とナックルライン14とが設けられる船舶では、ナックルライン14の直下にPOD30を設置する構成が好ましい。また、POD30等の推進器が2以上の複数設けられている船舶では、推進器と同数のナックルライン14を形成し、各ナックルライン14の直下にPOD30を1つずつ設置する構成が好ましい。
このような構成とすれば、上述した第4の参考例と同様に、POD30等の推進器が船体1から露出する部分の割合を減らすことができるので、航走時に発生する推進器の抵抗を減少させることができる。
図14A、図14Bに示す参考例は、上述した図10Aの構成及び図13A、図13Bの構成を組み合わせたものである。すなわち、船体中央に設置された舵3の前方から舵位置にかけて下降部12dを備えた船体形状を採用するとともに、ナックルライン14の直下にPOD30を1つずつ設置する構成とを組み合わせている。
このような構成とすれば、下降部12dの存在により舵3に当たる流れを減速することができ、さらに、舵3やPOD30が船体1からの露出する部分の割合を減らすこともできる。従って、航走時に発生する舵や推進器の抵抗を減少させることができる。
<第1の実施形態>
続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第1の実施形態を図15Aから図16Cに基づいて説明する。なお、上述した参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、上述した参考例の船尾形状に加えて、船体の船尾端にウエッジ部が設けられている。このウエッジ部は、たとえば図15A、図15Bに示すように、船尾端近傍の船底面または船尾端後部に対して、局部的な後方下がりの傾斜面を設けたものである。このうち、図15Aに示すウエッジ部50は、船尾端近傍の船底面を局部的に後方下がりの傾斜面としたものであり、図15Bに示すウエッジ部60は、船尾端の後部に張り出して底面が後方下がりの傾斜面を有する付加物(別部品)を取り付けたものである。
上述したウエッジ部50,60は、船体抵抗を低減する技術として知られている。そこで、上述した各参考例の船尾形状にウエッジ部50,60を組み合わせると、ドーム形状を有する船尾形状ではプロペラ2から後方の船尾端部の流れを加速する効果が得られるため、このような流速増大により船尾端に設けたウエッジ部50,60の抵抗低減効果はより一層顕著になる。
また、図16Cに示すウエッジ部70は、ナックルライン14が船尾端まで続いており、ドーム状の凹曲面をなす船体断面形状が船尾端まで続いている船体1において、船尾端付近にあるナックル点13,13間の船底面に後方下がりの傾斜を設けてウエッジ形状としたものである。この場合のウエッジ部70は、後方下がりの量を幅方向に調整することにより、図16Aに示すように、船尾端ではナックル点13,13間の船底面高さが等しい水平な直線としている。
このような構成を採用しても、ウエッジ部70の抵抗低減効果はより一層顕著になる。さらに、船尾端においてウエッジ部70とその外側との不連続が解消されているので、ウエッジ部70と船体1との不連続部から発生する造波及び波崩れによる抵抗増加も防止できるので、これによってもウエッジ部70による抵抗低減効果をより一層増大させることができる。
<第2の実施形態>
続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第2の実施形態を図17に基づいて説明する。なお、上述した実施形態または参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態において、図中に太線で示すナックルライン14Aは、始点Sからプロペラ位置Pへ向けて船体後方へ徐々に船体中心線CLへ接近し、かつ、プロペラ位置Pから終点Eへ向けて船体中心線CLから離れるように形成されている。この場合のプロペラ位置Pは、船長方向においてプロペラ2が取り付けられている位置である。なお、図中に参考用の比較例として示す細い実線は、第3の参考例として図8に示したナックルライン14′である。
すなわち、この場合のナックルライン14Aは、船体前方から後方のプロペラ2へ向かって行くにつれて船体中心線CL寄りになるので、左右のライン間幅が船体後方へ狭まるようになっている。さらに、この場合のナックルライン14Aは、プロペラ2から船尾後端へ向かって行くにつれて船体中心線CLから徐々に離れるので、左右のライン間幅が船体後方へ広がるようになっている。
このように、始点Sからプロペラ位置Pまで徐々に左右のライン間幅を狭めた後、プロペラ位置Pから終点Eまで徐々に左右のライン間幅を広げるナックルライン14Aは、始点Sからプロペラ位置Pまでの間で流路断面積が徐々に狭まるため、流れを効果的にコントロールするとともに、船体抵抗の低減に有効である。
具体的に説明すると、上述したナックルライン14Aは、始点Sから後方のプロペラ位置Pまで後方狭まりの傾斜を有している。このため、ナックルライン14Aは、船体近傍の流れと、すなわち、船体中心線CLと平行な状態から後方へ行くほど幅方向を狭めるような角度を有する船体後半部の流れと大きく交差しない傾斜を有しているので、船体抵抗の低減に有効である。
また、上述したナックルライン14Aは、船体付近の流れをコントロールして船体中央部へ誘導するので、プロペラ2の上部への流入速度を上げ、プロペラ2への流入速度をより均一化することができる。
さらに、上述したナックルライン14Aは、プロペラ位置Pから終点Eまで徐々に左右のライン間幅を広げるため、船体抵抗の低減に有効である。すなわち、プロペラ2の後方では、徐々に流路断面積が水平方向に広がるため、船尾後端に向かう流れを減速するとともに、船体後端の圧力を増加させることができる。この結果、排水量型船舶は、船体抵抗の低減が可能となる。
なお、プロペラ位置Pから終点Eまで徐々に左右のライン間幅を広げるための傾斜角度は、流れの剥離を防止する観点から20度以内に設定することが好ましい。
続いて、上述した実施形態の変形例を図18Aから図18Cに基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例では、上述した実施形態の、ドーム形状をなすフレームライン12aが、プロペラ位置Pより後方で上に凸の曲率を増したドーム形状とされる。
すなわち、上述した実施形態では、プロペラ位置Pより後方でナックルライン14Aのライン間幅を広げて流路断面積を増加させているが、この変形例では、船尾側船底11の底面を上方の船体側へえぐって形成されるトンネル部分において、プロペラ位置Pを境にして後方となるドーム形状の高さ(深さ)を前方より増すことにより、流路断面積を上下方向に増加させている。
具体的に説明すると、船尾におけるドーム形状は、たとえば図18B及び図18Cに示すように、直線としたナックルライン14Bから船体中心線CL側へ向かう上に凸の曲率R(図18C参照)が、プロペラ2より後方のZ−Z断面で大きくなるように設定されている。換言すれば、船体1の船尾におけるドーム形状は、図中に破線表示した比較形状(X−X断面及びY−Y断面と略同じ曲率)より大きく(深く)船体船底をえぐる形状とされる。
また、このドーム形状は、図18Bに示すように、船長方向においても破線で示す比較形状よりプロペラ位置Pより後方が大きく(深く)えぐられている。
なお、この変形例では直線状のナックルライン14Bとしたが、これに限定されることはなく、たとえば上述したナックルライン14,14A等を採用してもよい。
この結果、プロペラ2の後方では、流路断面積の増加により船尾後端に向かう流れが減速されるとともに、船尾後端の圧力を増加させることができる。すなわち、船体1の船底に形成されたトンネル部分のドーム形状について、プロペラ2より後方のえぐり(上に凸の曲率R)をプロペラ2の前方より大きく設定することにより、プロペラ2の後流側で流路断面積が増加するので、流速を低下させて船体抵抗を低減することが可能となる。
このように、船体抵抗の低減は、プロペラ2の後流側で流路断面積を増せばよいので、プロペラ2の後流側には、ライン間幅を広げるナックルライン14Aや上に凸の曲率を増すドーム形状のいずれを採用してもよい。また、ライン間幅を広げるナックルライン14Aと、上に凸の曲率を増すドーム形状とを適宜組み合わせることにより、プロペラ2の後流側で流路断面積を増すようにしてもよい。
<第6の参考例>
続いて、本発明に係る排水量型船舶の船尾形状について、第6の参考例を図19A及び図19Bに基づいて説明する。なお、上述した実施形態または参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例において、ナックルライン14L,14Rの船体幅方向位置は、プロペラ回転方向の下流側が上流側より船体中心線に近くなるように設定されている。すなわち、図19Aに示す底面図において、プロペラ2の回転方向を船体後方から見て右回りとすれば、プロペラ回転方向下流側となる右舷側のナックルライン14Rが、プロペラ回転方向上流側となる左舷側のナックルライン14Lよりも船体中心線に近い位置にある。
なお、図示のナックルライン14L,14Rは直線とされるが、これに限定されることはない。
右回りのプロペラ2を有する一般的な排水量型船舶では、ナックルライン位置を船体中心線CLから左右対称に設けた場合、プロペラに流入する流速の上向き方向成分Wfは、図19Bに示す速度線F1のように、左右対称となる。
これに対し、上述したナックルライン14L,14Rのように、船体中心線CLに近いプロペラ回転方向下流側(右舷側)の幅WRを、プロペラ回転方向上流側(左舷側)の幅WLより狭めて小さく(WR<WL)することにより、プロペラ2に流入する流れの内巻き傾向が、左舷側では強まり、右舷側では弱まって上向き傾向となる。すなわち、図19Bに示す速度線F2のようになり、全体としてプロペラの回転方向と逆向きの回転流れとなり、プロペラ効率を向上させることができる。
続いて、上述した参考例の変形例を図20A及び図20Bに基づいて説明する。なお、上述した参考例または実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例では、ドーム形状をなすフレームライン12aを、その下部の流路断面積において、船体中心線CLよりプロペラ回転方向の上流側が下流側より大きくなるようなドーム形状としている。すなわち、船尾側船底11に形成されるトンネルの断面形状は、船体中心線CLよりプロペラ回転方向の上流側を大きくえぐったドーム形状となる。
図20Aは、船体1を船体後方から見た横断面図であり、紙面右側が右舷となり、プロペラ2が右回りに回転する。このような船体1の船尾側船底11において、船体中心線CLより左舷側の船底を大きくえぐったドーム形状のトンネルが形成されている。
このようにしても、上述した参考例と同様に、プロペラ2の回転方向と逆向きの回転流れをつくり、プロペラ効率を向上させることができる。
すなわち、ドーム形状を船体中心線CLから左右対称に設けた場合、プロペラに流入する流速の上向き方向成分Wfは、図20Bに示す速度線F3のように、左右対称となる。
これに対し、船体中心線CLより左舷側の船底を大きくえぐったドーム形状を採用することにより、プロペラ2に流入する流れの内巻き傾向が、左舷側では強まり、右舷側では弱まって上向き傾向となる。すなわち、図20Bに示す速度線F4のようになり、全体としてプロペラの回転方向と逆向きの回転流れとなり、プロペラ効率を向上させることができる。
上述したように、本発明または参考例の排水量型船舶の船尾形状によれば、プロペラ2の位置から船尾船底部へかけての流れを加速することで船体抵抗を低減し、さらに、プロペラ2に流入する流れを均一化することでプロペラキャビテーションを抑制して船体振動を低減することができる。
また、船底突起物の前方で周辺のドーム形状より船体1が下降する部分やナックルライン13の直下に舵3やPOD30等の船底突起物を設置すれば、船底突起物の船体からの露出量を低減することができるので、船底突起物による航走時の抵抗増加を低減することができる。
また、本発明または参考例の船尾形状は、船尾船底部の流れを加速して船底抵抗を低減するので、船尾端に設けたウエッジ部50等においては、その抵抗低減効果が増大する。
また、本発明または参考例の船尾形状は、船体後半部の流れを効果的にコントロールするとともに、船体後半部の流れを船体中央部に誘導してプロペラ2の上部への流入速度を上げることができる。
また、船尾後端に向かう流れを減速させて船体後端の圧力を増加させることができるので、船体1の抵抗の低減が可能となる。
また、プロペラ2の前縁に当たる流れの左右相対速度差を低減することができるので、排水量型船舶の航行性能を維持または向上させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば上述した各実施形態を適宜組み合わせた構成を採用するなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
1 船体
2 舵
3 プロペラ
11 船尾側船底
12,12A〜12C フレームライン
12a フレームライン(内側ドームライン)
12b フレームライン(外側ライン)
12c 曲面部
12d 下降部
13 ナックル部(凸部)
14,14′,14A,14B,14L,14R ナックルライン(凸部ライン)
20 フィレット部(凸部)
21,22 突起部
30 POD(推進器)
40 スケグ
50,60,70 ウエッジ部
S 始点
E 終点

Claims (9)

  1. フルード数がラストハンプより小さい速度域で航走する排水量型船舶の船尾形状であって、
    船尾の船体断面形状に設けた凸部を結んでプロペラ前方の始点からプロペラ後方の終点まで船体前後方向に連続して形成される凸部ラインを備え、
    前記凸部ラインはその内側のフレームラインと外側のフレームラインが不連続に繋がるナックルラインとして形成されており、
    前記ナックルラインの船体幅方向内側にある前記フレームラインを上に凸の曲率を有するドーム形状に形成し、
    前記ドーム形状を形成する船体長さを全長の10%以上またはプロペラ直径の1倍以上に設定するとともに、
    前記始点の船体幅方向位置をプロペラ半径位置よりも外側となるように設定し、
    前記ナックルラインが、船体後方へ徐々に船体中心線へ接近するように、あるいは、前記船体中心線と平行に形成されて、前記終点にライン間幅を持って終わり、
    前記終点は船尾端まで続いており、船尾端断面形状が左右舷の前記ナックルラインの終点を直線で結んだ形状に形成されていることを特徴とする排水量型船舶の船尾形状。
  2. 前記内側のフレームラインが、上に凸の曲率を有する曲面を部分的に形成する領域を前記凸部の近傍に備えていることを特徴とする請求項1に記載の排水量型船舶の船尾形状。
  3. 前記凸部の外側フレームラインと内側フレームラインの間にフィレット部が形成されており、該フィレット部は、前記フレームラインの曲率変化が前記フレームライン外側からの急激な増大と前記フレームライン内側への急激な減少との転換点となる前記フレームライン途中の最大曲率位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の排水量型船舶の船尾形状。
  4. 前記ナックルラインが、船体後方へ徐々に船体中心線へ接近するように、あるいは、前記船体中心線と平行に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
  5. 前記ドーム形状に船底突起物の取付位置前方で下降する部分を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
  6. 前記ナックルラインの直下に舵を設置したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
  7. 前記ナックルラインの直下に推進器を設置したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
  8. 前記ナックルラインの間の船尾端部にウエッジ部が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
  9. 船尾端部に船底面が局部的に後方下がりとなるウエッジ部が設けられており、船尾端断面でのウエッジ下端の形状は、左右舷の前記ナックルラインの終点を結んだ直線で形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の排水量型船舶の船尾形状。
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