JP2013237282A - 作業車両のhst変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】HSTの特性に対し、変速レバーの中立位置の位置決め操作及び低速域での操作性の向上並びに高速域でのレバー保持を確実にする作業車両のHST変速装置を提供する。
【解決手段】変速レバー10の操作に基づく摩擦板20と保持片17との摺接による摩擦制動力によって、レバー操作位置を保持するHSTレバー保持装置13を備える作業車両のHST変速装置において、前記保持片17と摺接する摩擦板20の摺接面を、摩擦係数の異なる低摩擦面部26と高摩擦面部27との組合せにより構成するにあたり、変速レバー10の中立位置又はその近傍では前記保持片17と摩擦係数の低い低摩擦面部26とが接し、高速側へ操作するほど前記保持片17と摩擦係数の高い高摩擦面部27との摺接面積が増加するように、低摩擦面部26を挟んで高摩擦面部27を配置した。
【選択図】図4

Description

本発明は、乗用田植機やトラクタ等に使用可能な作業車両のHST変速装置に関する。
従来、乗用田植機のHST変速装置は、中立位置を起点に両側に揺動操作することによりHSTの変速域を調整自在とする変速レバーと、該変速レバーの操作に基づく摩擦板と保持片との相対的な摺接による摩擦力によってレバー操作位置を保持するHSTレバー保持装置(ブレーキ機構)を備えている(例えば特許文献1参照)。
上記HSTレバー保持装置は、一般にブレーキ用ライニング部材によって円盤形状となした複数の摩擦板に、変速レバー側に設けた複数の保持片を交互に組合せスプリングで押圧する摩擦制動力により、レバー操作位置を保持するように構成されている。またHSTレバー保持装置の摩擦制動力は、変速レバーが中立位置からトラニオン軸が高速側に回動され、油圧による作動圧が上昇するほど中立位置に戻ろうとする力(中立位置側復帰力)が働くHSTの特性に対し、変速レバーを上記高速操作域での最も大きな中立位置側復帰力に抗して高速操作位置に姿勢保持をさせるように、摩擦板と保持片の摩擦係数及び摺接面積並びに押圧力等が定められるものである。
特開2002−257229号公報
上記特許文献1に示されるHST変速装置は、HSTレバー保持装置をHST特性に対し、高速操作域での大きな中立位置側復帰力に抗して変速レバーを高速操作位置に確実に姿勢保持することができる反面、摩擦板と保持片による大きな摩擦制動力により、変速レバーの低速操作域における操作荷重が必要以上に大きくなる欠点がある。その結果オペレータは、微調整操作が困難になり、低速操作域での操作性を低下させると共に、変速レバーの中立位置に対する位置決め操作も行い難くする等の問題がある。
上記課題を解決するための本発明による作業車両のHST変速装置は、第1に、中立位置Nを起点とし両側に揺動操作してHST9を変速操作する変速レバー10を設け、摩擦板20と保持片17とを摺接させて両者の摩擦制動力によってレバー操作位置を保持するHSTレバー保持装置13を、該変速レバー10とHSTのトラニオン軸9aとの間に備えた作業車両のHST変速装置3において、
前記保持片17と摺接する摩擦板20の摺接面を、摩擦係数の異なる低摩擦面部26と高摩擦面部27との組合せにより構成するにあたり、変速レバー10の中立位置N、又はその近傍では前記保持片17と摩擦係数の低い低摩擦面部26とが接し、高速側へ操作するほど前記保持片17と摩擦係数の高い高摩擦面部27との摺接面積が増加するように、低摩擦面部26を挟んで高摩擦面部27を配置したことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、変速レバーの操作に基づく摩擦板と保持片との摺接による摩擦制動力によって、レバー操作位置を保持するHSTレバー保持装置を備える作業車両のHST変速装置において、保持片と摺接する摩擦板の摺接面を、摩擦係数の異なる低摩擦面部と高摩擦面部との組合せにより構成するにあたり、変速レバーの中立位置、又はその近傍では前記保持片と摩擦係数の低い低摩擦面部とが接し、高速側へ操作するほど前記保持片と摩擦係数の高い高摩擦面部との摺接面積が増加するように、低摩擦面部を挟んで高摩擦面部を配置したことにより、
変速レバーは、中立位置及びその近傍で保持片を摩擦板の摩擦係数の低い低摩擦面部と摺接させ、高速側へ操作するほど摺接板部を摩擦係数の高い高摩擦面部と摺接面積が増加するように摺接させるため、変速レバーは中立位置の両側近傍では小さい力で軽く操作することができる。従って、中立位置への位置決め操作及び前進及び後進への切換え並びに低速走行速度の微小調整操作を精度よく行うことができる。またトラニオン軸の中立位置側への復帰力の増加に対応して、レバー保持力を増加させることができる。
作業車両の操縦部に設置される作業車両のHST変速装置の側面図である。 図1の要部の構成を示す背面図である。 HSTレバー保持装置の構成を示す背面図である。 HSTレバー保持装置の摩擦板及び保持片の構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2において符号1は乗用田植機又はトラクタ等の作業車両に設置される操縦部であり、図示例では操縦部1のステアリング装置2及びHST変速装置3を示し、両者は走行機体側のトランスミッション5の上方に配置構成されている。即ち、ステアリング装置2は、ステアリングハンドル6をトランスミッション5のケース上部に立設されるステアリング支柱7に回転操作自在に軸装されている。HST変速装置3は、HST変速レバー機構8をステアリング装置2の左方において、ステアリング支柱7を利用して取付け構成しており、このHST変速レバー機構8の操作に基づき変速操作されるHST9を、トランスミッション5の側方に取付け設置している。
HST変速装置3について図1〜図4を参照し詳述する。先ず、HST変速レバー機構8は、機体走行用の主変速レバーとなる変速レバー10を、ステアリング支柱7から上下方向に沿って立設されるブラケット11に対し、ブラケット11に横向きに突設されるレバー軸12に本発明に係るHSTレバー保持装置13を備えて前後方向に揺動回動自在に軸支している。そして、変速レバー10はレバー杆10aの中途部を、ステアリング支柱7側又は走行機体側から延設される取付アーム14に取付けた、レバーガイド15のガイド溝15aに挿入している。このレバーガイド15は、ガイド溝15aを前後方向に長いクランク状の長溝となし、長溝中途のクランク部を中立位置(ニュートラル位置)Nとし、該中立位置Nの前部側と後部側に前進変速ガイド域Fと後進変速ガイド域Rを一連に形成している。
これにより変速レバー10は、レバー軸12を支点に中立位置Nから前進変速ガイド域Fに向けて揺動(回動)操作すると、レバー下端の作動軸16を図4で示す実線矢印方向に揺動作動させて、HST9のトラニオン軸9aを前進変速方向に回動させることができる。また変速レバー10を中立位置Nから後進変速ガイド域Rに向け点線矢印方向に操作すると、上記作動軸16を介してHST9のトラニオン軸9aを後進変速方向に回動させる。これによりHST9は、出力回転方向を切り換えて前進走行又は後進走行をするように切換えると共に、出力回転数を変化させることができて、作業車両の走行速度を変更(変速)調節することができる。このとき変速レバー10は、中立位置N及び前進変速ガイド域F並びに後進変速ガイド域Rの各操作位置において、HSTレバー保持装置13によって安定的に姿勢保持される。
次に、上記HST変速レバー機構8の具体構造について説明する。先ず、変速レバー10は、前記把持部を有するレバー杆10aの下端を、レバー軸12に回動自在に支持される板状のレバー片10bの上部に対し、前後方向の連結軸10cを介して左右方向に揺動自在となるように連結し、且つレバー杆10aをスプリング10dによって右側に向けて引っ張り付勢しガイド溝15aに摺接揺動自在に取付けている。上記レバー片10bは、レバー軸12に対し中途部に固設される筒軸10eを挿入させることにより回動自在に軸支している。またレバー片10bは、下端に作動軸16を左右方向に突設しており、該作動軸16の左端側にHSTレバー保持装置13の各保持片17を一連に挿入していると共に、作動軸16の右端側にHST作動片18を挿入し係合させている。上記HST作動片18はレバー軸12に回動自在に軸支されており、他側にトラニオン軸9aと連結するトラニオン連結杆19を自在継手等を介して軸支している。
次に、図3,図4を参照しHSTレバー保持装置13について説明する。このHSTレバー保持装置13は、後述する構成からなる4枚の保持片17と、摩擦板(制動板)20を有する3枚の制動片21とを、レバー軸12に交互複数段に重ね合わせて挿入する一方、各保持片17の他側を作動軸16に挿入し、各制動片21の他側をブラケット11から横向きに突設した支軸11aに挿入して取付けている。そして、レバー軸12の軸端から押圧用の座金22,スプリング23,座金24を嵌挿し、軸端にナット25を螺挿し、ナット25を締め込みスプリング23を圧縮調節することにより、所定の付勢力によって各保持片17と各制動片21の摩擦板20とを押圧している。これによりHSTレバー保持装置13は、摩擦板20と保持片17の摩擦係数及び摺接面積並びに押圧力等によって生ずる制動力により、変速レバー10を任意操作位置に姿勢保持をする。
上記構成において摩擦板20は、在来のものと同様にブレーキ用ライニング部材による側面視で軸孔を有するドーナツ形状の円盤となし、制動片21の両側面又は片側面に接着等の固定手段によって設ける一方、保持片17と摺接する円盤面に対し、低い摩擦係数のエリアである低摩擦面部26と、該低摩擦面部26より高い摩擦係数のエリアである高摩擦面部27とを、軸孔の略対称位置で上下及び左右方向で対をなすように形成している。即ち、図示例の低摩擦面部26と高摩擦面部27とは、円盤面を4分割状に区画されてそれぞれ放射方向の扇形状をなし、摩擦係数を異にするエリアを互いに隣接させて一体構成している。これにより、低摩擦面部26の中央部を変速レバー10の中立位置Nに対応させ、その両側を前進変速ガイド域F及び後進変速ガイド域Rの操作域に対応させている。また各高摩擦面部27は、前進変速ガイド域F及び後進変速ガイド域Rの高速操作域に対応させている。
そして、図4で示すように保持片17は、作動軸16を挿入するアーム部17aと、該アーム部17aの他側でレバー軸12に挿入された状態において、摩擦板20と摺接する摺接部17bとを平板部材によって一体形成している。即ち、図示例の摺接部17bは変速レバー10の中立位置N姿勢において、対をなす上下の摺接板部30を、相対向する上下の低摩擦面部26に摺接自在に対向させ、且つ上下の摺接板部30の基部左右を半円弧状の接続板部31によって接続した鼓型形状にしている。そして、各摺接板部30は、その幅を低摩擦面部26及び高摩擦面部27の幅よりやや幅狭にしている。
これによりHSTレバー保持装置13は、保持片17の摺接板部30が低摩擦面部26の中央部に位置した変速レバー10の中立位置Nであるとき、当該変速レバー10を摩擦係数と摺接面積等による低制動力(小ブレーキ力)を有する制動状態で保持する。また変速レバー10が上記制動力即ちレバー操作抵抗に抗して、図4で示す実線矢印と点線矢印の方向に前後揺動操作されるとき、摺接板部30の操作回動量が低摩擦面部26の範囲内である場合には、低制動力で前進又は後進のレバー操作位置に保持される。
また変速レバー10が前進又は後進位置で高速側に向けてさらに大きく揺動操作されるときは、各摺接板部30はその操作初期において低摩擦面部26から高摩擦面部27を跨ぎながら順次回動移動し、摺接板部30の全面が高摩擦面部27と全面接触した状態で最高速域になり、当該摩擦係数と摺接面積等による高制動力(大ブレーキ力)を有する制動状態で変速レバー10を保持する。つまり変速レバー10は、中立位置N及びその近傍で摺接板部30を摩擦板20の摩擦係数の低い低摩擦面部26と摺接させ、高速側へ操作するほど摺接板部30を摩擦係数の高い高摩擦面部27と摺接面積が増加するように摺接させるため、変速レバー10は中立位置Nの両側近傍では小さい力で軽く操作することができる。従って、変速レバー10は専ら指先のみによる中立位置近傍操作、即ち、中立位置Nへの位置決め操作、及び前進及び後進への切換え、並びに低速走行速度の微小調整操作を容易且つ精度よく行うことを可能にする。
以上のように構成されるHST変速装置3を備える作業車両は、変速レバー10をレバーガイド15の中立位置Nを起点として、前進変速ガイド域F又は後進変速ガイド域Rに沿って、前後方向に揺動角度を増加及び減少させる方向に揺動操作することにより、HSTレバー保持装置13を介してトラニオン軸9aを回動させ、HST9による機体の前後進の切換えと走行速度の調節を行いながら走行作業を行う。このとき変速レバー10は、中立位置N及び前進変速ガイド域F並びに後進変速ガイド域Rの各操作位置において、HSTレバー保持装置13によって安定的に姿勢保持される。
このように走行作業を行うHST変速装置3は、HSTレバー保持装置13を、摩擦係数の異なる低摩擦面部26と高摩擦面部27との組合せにより摩擦板20を構成し、保持片17を中立位置N又はその近傍で摩擦係数の低い低摩擦面部26と摺接させ、高速側へ操作するほど摩擦係数の高い高摩擦面部27との摺接面積が増加するように摩擦係数が低い摩擦板の両サイドに摩擦係数が高い摩擦板を配置していることにより、変速レバー10の中立位置Nの位置決め操作及び低速域並びに高速域での操作性の向上とレバー保持を確実にすることができる。
即ち、HSTレバー保持装置13は、トラニオン軸9aが高速側に回動されるほど作動圧が上昇し、中立位置Nに戻ろうとする力(中立位置側復帰力)が大きく働くHST9の特性に対応し、中立位置N近傍の低速域では保持片17を低摩擦面部26に対応させ低制動力を以て摺接させるため、変速レバー10を指先による微調整操作することができるので、微小段階の調節を要する低速走行の微調整を精度よく適正に設定することができると共に、適正低速操作位置に対し変速レバー10の保持を確実にすることができる。また変速レバー10の低速操作位置から中立位置Nへの復帰操作も、指先操作によって中立位置Nを看過することなく簡単且つ速やかに行うことができる。
そして、HSTレバー保持装置13は、トラニオン軸9aが高速側に回動されるほど中立位置側復帰力が大きくなる高速域において、高摩擦面部27に対し保持片17の摺接面積を増加させるため、例えば前進最高速走行を行う際には、オペレータは低速域から徐々に大きくなるレバー操作荷重(レバー操作抵抗)を感知しながら手(腕)全体を使用しレバー操作抵抗に抗して、変速レバー10の最高速側への操作を慎重に操作設定することができる。従って、この際に最大となるHST9の中立位置側復帰力に抗して変速レバー10を高速域に確実に位置決め保持することになるため、最高速変速操作時の安全性を高めることができる。
また上記のようにHST9の特性に対し、変速レバー10の中立位置Nの位置決め操作及び低速域での操作性の向上並びに高速域でのレバー保持を確実にするHSTレバー保持装置13は、円盤状の摩擦板20に対し低摩擦面部26と高摩擦面部27とを隣接させて設けて保持片17を摺接させるだけの簡単な構造によって廉価に製作することができる等の特徴もある。
尚、摩擦板20は、低摩擦面部26と高摩擦面部27を摩擦係数の異なるブレーキ用ライニング部材で製作することができるほか、両者を同一のブレーキ用ライニング部材で製作する場合には、低摩擦面部26を形成するエリアは、例えば図4に示すように、軸孔から点線Aの範囲のライニング部材の設置を省略する等の手段によって摩擦力を異ならせるようにしてもよいものである。
1 操縦部
3 HST変速装置
9 HST
9a トラニオン軸
10 変速レバー
13 HSTレバー保持装置
17 保持片
20 摩擦板
21 制動片
26 低摩擦面部
27 高摩擦面部
N 中立位置

Claims (1)

  1. 中立位置(N)を起点とし両側に揺動操作してHST(9)を変速操作する変速レバー(10)を設け、摩擦板(20)と保持片(17)とを摺接させて両者の摩擦制動力によってレバー操作位置を保持するHSTレバー保持装置(13)を、該変速レバー(10)とHSTのトラニオン軸(9a)との間に備えた作業車両のHST変速装置(3)において、
    前記保持片(17)と摺接する摩擦板(20)の摺接面を、摩擦係数の異なる低摩擦面部(26)と高摩擦面部(27)との組合せにより構成するにあたり、変速レバー(10)の中立位置(N)、又はその近傍では前記保持片(17)と摩擦係数の低い低摩擦面部(26)とが接し、高速側へ操作するほど前記保持片(17)と摩擦係数の高い高摩擦面部(27)との摺接面積が増加するように、低摩擦面部(26)を挟んで高摩擦面部(27)を配置したことを特徴とする作業車両のHST変速装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016121759A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 多摩川精機株式会社 ディテント機構
JP2017126107A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 多摩川精機株式会社 ディテント機構

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