JP2013234881A - 放射性廃棄物焼却灰のセメント固化体の製造方法及びその固化体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放射性廃棄物の焼却灰のセメント固化体の製造方法であって、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を測定し、処理焼却灰と水量を勘案した前記吸着剤の最低必要量と、前記焼却灰と、水とを混合して撹拌し、次いで、固化に使用するセメントの一部を水分とともに撹拌処理して、前記廃棄物焼却灰中の両性金属の少なくとも一部をイオン化し、又は両性金属水酸化物とした後、残余のセメントを投入して混練りして、成形して固化させることを特徴とするセメント固化体の製造方法、を提供する。
【選択図】 図1
Description
焼却灰中のセシウム放射線量を測定する。セシウム放射線量から、半減期を考慮して、セシウム全量を算出する。初期条件は、前記焼却灰のもとの放射性廃棄物の発生した日となる。
次いで、セシウム吸着剤を準備する。ハンドリング性を高めるため、粉末を顆粒状にした
ものももちいることができる。例えば、天然ゼオライトとして、クリノプチロライト、モ
ルデナイトが用いられる。合成ゼオライト、シリカゲル、アルミノシリケート系化合物、
活性アルミナ、活性炭、ケイチタン酸塩も好ましい。また、フェロシアン化塩として、フ
ェロシアン化コバルト、フェロシアン化鉄、マンガン系吸着剤として、酸化マンガン、マ
ンガン砂を好適に用いることができる。また、放射性セシウムの吸着処理時間を短くするためには、粉末状の吸着剤の適用が望まれる。
ウムイオンを吸着して移行させる実験により算出できる。その実験方法は、所定濃度Co
のセシウムイオン水溶液の所定量(V)と吸着剤所定量(m)を混合、振盪して、吸着後
のセシウムイオン濃度Cを測定して、Kdを算出する。即ち、Coは、模擬水のセシウム
イオン濃度であり、セメントの練混ぜ又は圧縮成形に用いる水で測定する。Cは、吸着剤で吸着後に測定した前記模擬水中のセシウム濃度である。mは実験に用いた吸着剤量である。ここで算出されたKdから、本発明で使用する吸着剤の使用量を求めることができる。このとき、セシウムは、放射性セシウムを含む全量である。
表2に、セシウム吸着処理に用いた吸着剤等の処理量を示した。
(吸着処理(A))
吸着剤を無添加の水11kg、模擬焼却灰10kgを混合し、1時間、20℃で撹拌した。
吸着剤として、クリノプチロライト(山形県板谷地区の天然ゼオライト)17.85gを懸濁した水11kg、模擬焼却灰10kgを混合し、1時間、20℃で撹拌した。クリノプチロライトのKdを、式(1)から算出すると、1.0×106であった。この値を用いて、水11kgにセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/100にするために、吸着させるための必要量を式(2)から算出して、17.85gを得たものである。
吸着剤として、フェロシアン化鉄粉末、1gを懸濁した水11kg、模擬焼却灰10kgを混合し、1時間、20℃で撹拌した。クリノプチロライトのKdを、式(1)から算出すると、5.6×103であった。この値を用いて、水11kgにセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/1000にするために、吸着させるための必要量を式(2)から算出して、1gを得たものである。
吸着剤として、結晶性ケイチタン酸塩CST−2(米国UOP社製)、6.25gを懸濁した水11kg、模擬焼却灰10kgを混合し、1時間、20℃で撹拌した。クリノプチロライトのKdを、式(1)から算出すると、1.6×105であった。この値を用いて、水11kgにセシウムが溶解したと仮定したイオン濃度を1/1000にするために、吸着させるための必要量を式(2)から算出して、6.25gを得たものである。
前記3種の吸着処理に引き続き、次緻密化処理をおこなった。
セメントは、通常の普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、また、高炉スラグセメント、エコセメント、ジェットセメント等のセメントを用いることができる。早期に金属アルミニウムと反応するセメントとして、普通ポルトランドセメントが、好ましい。また、高炉スラグセメントを用いると焼却灰中の6価クロムを3価クロムに還元して初期水和物であるエトリンガイト中のアルミニウムに置換固溶して、固定する効果が増大することもあって、好ましい。
まず、吸着処理した懸濁液に一部のセメントを、追加混合する。一部のセメント量、又は複材を添加したとき(以下、一部のセメント等)は、その合計量は、最終的に固化に用いるセメント100重量部に対して、5〜20重量部とするのが好ましい。5重量部以下では、両性金属等の阻害効果を十分に抑制することができず、20重量部以上では、一体として固化したセメントの強度が十分でなくなる虞がある。一部のセメントと、残余のセメントを別の種類とすることもできる。
セメント20重量部が、一部セメントの使用量の上限であるので、CaO成分(セメントの60wt%)の2割がCa(OH)2を潜在的に提供可能な重量部と概算して、15.6重量部(セメント100重量部で水和物が130重量部生成し、その0.6*0.2倍で15.6重量部)となるので、潜在的に反応可能な金属アルミニウムは、15.6*27/101(当量比)となり、金属アルミニウム4.17重量部が潜在的処理可能量の上限となる。これを超過する金属アルミニウム含有量の焼却灰を処理するときは、水酸化カルシウム及び/又は生石灰を使用することが好ましく、更には、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを添加して、反応速度を高めることが好ましい。
通常のセメントモルタル等の混練容器(ミキサー)で、一部のセメント等を投入後、十分に撹拌する。このとき、撹拌効果を得るために、撹拌機付容器を用いることが好ましい。撹拌温度は、室温(20℃程度)、外気温度で良いが、20〜80℃であると、反応の完結を早めることができる。
一部セメント量を、20重量部とすると、4.2重量部の金属アルミニウムを処理できるので、焼却灰中の金属アルミニウム量含有量を予め測定して、一部セメント量を設定しておくことが好ましい。焼却灰に含まれる金属アルミニウム量が4.2重量部を越えたり、反応を早めるときは、複材を追加した。前記撹拌時間は、12〜24時間を目安とした。一部セメントによる反応完結は、具体的には、処理する焼却灰の由来やロット間の変動を勘案して、金属アルミニウム量を予め把握して経験的に定めることができる。
表3に、緻密化処理に用いた、一部セメント等と、固化処理に用いたセメントの処理量を纏めて示した。
実験例A1
先ず、ブランク試験として、吸着剤を加えない模擬焼却灰の懸濁液に、普通ポルトランドセメント11kg(A1)を加え、室温20℃にて、モルタルミキサーを用いて、混練り後、混練り物を型枠に注入して、充填し、20℃、湿空養生した。
二つめのブランク試験として、吸着剤を加えない模擬焼却灰の懸濁液に、一部セメントとして普通ポルトランドセメント1kgを加え、室温40℃にて、モルタルミキサーを用いて懸濁させ、緩やかに撹拌しながら24時間、反応させた。
その後、これに、さらに普通ポルトランドセメント10kgを加えて、同一のモルタルミキサーに投入して、混練り後、混練り物を型枠に注入して、充填し、20℃で、湿空養生した。
一部セメント等として普通ポルトランドセメント1kg、水酸化カルシウム固形分10重量%懸濁させたスラリー液の1kgを加えた。室温40℃にて、モルタルミキサーを用いて懸濁させ、緩やかに撹拌しながら12時間(C1)、及び24時間(C2)、反応させ、2種の混合物を得た。
その後、これらに、それぞれ、普通ポルトランドセメント10kgを、モルタルミキサーに追加投入して、混練り後、混練り物を型枠に注入して、充填し、湿空養生した。
一部セメント等として普通ポルトランドセメント1kg、水酸化カルシウム固形分10重量%懸濁させた懸濁液の1kgと、水酸化ナトリウム100重量部を水100重量部に溶解した溶液100gを加えた。室温40℃にて、モルタルミキサーを用いて懸濁させ、緩やかに撹拌しながら12時間(D1)、24時間(D2)、及び48時間(D3)、反応させ、3水準の混合物を得た。
その後、これらに、それぞれ、普通ポルトランドセメント10kgをモルタルミキサーに追加投入して、混練り後、混練り物を型枠に注入して、充填し、20℃、湿空養生した。
実験例D1(12時間撹拌)で、水酸化カルシウム固形分10重量%懸濁させたスラリー液の1kgの代替として、生石灰粉末を、75.7gを用いた他は、同様の実験を行った。
実験例D1(12時間撹拌)で、普通ポルトランドセメントに替えて、B種高炉スラグセメントの同一重量部(一部セメントも残余セメントも実験例D1と同一重量部)を用い、水酸化カルシウム固形分10重量%懸濁させたスラリー液の1kgの代替として、生石灰粉末を、75.7gを用いた他は、同様の実験を行った。
Claims (6)
- 放射性廃棄物の焼却灰のセメント固化体の製造方法であって、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を測定し、処理焼却灰量と水量を勘案した前記吸着剤の必要量以上と、前記焼却灰と、水とを混合して撹拌し、次いで、固化に使用するセメントを投入して混練りして、成形して固化させることを特徴とするセメント固化体の製造方法。
- 放射性廃棄物の焼却灰のセメント固化体の製造方法であって、ゼオライト、フェロシアン化塩、マンガン化合物、ケイチタン酸塩から選ばれた1以上の吸着剤のセシウムに対する固液分配係数を測定し、処理焼却灰量と水量を勘案した前記吸着剤の必要量以上と、前記焼却灰と、水とを混合して撹拌し、次いで、固化に使用するセメントの一部を水分とともに撹拌処理して、前記廃棄物焼却灰中の両性金属の少なくとも一部をイオン化し、又は両性金属水酸化物とした後、残余のセメントを投入して混練りして、成形して固化させることを特徴とするセメント固化体の製造方法。
- 前記焼却灰と固化に使用する前記セメントの一部に換えて、又はセメントの一部とともに、水酸化カルシウム及び/又は、生石灰を添加して、撹拌又は混練りして、成形して固化させることを特徴とする請求項2記載のセメント固化体の製造方法。
- 更に、前記焼却灰と固化に使用する前記セメントの一部に換えて、又はセメントの一部とともに、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムを添加して、撹拌又は混練りして、成形して固化させることを特徴とする請求項2又は3記載のセメント固化体の製造方法。
- 前記成形が、圧縮成形であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかのセメント固化体の製造法。
- 請求項1乃至5記載のいずれかの製造方法で製造したセメント固化体。
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- 2012-05-08 JP JP2012106447A patent/JP5047400B1/ja active Active
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