JP2009294017A - 放射性被処理物の処理方法及び土地遮蔽工法 - Google Patents

放射性被処理物の処理方法及び土地遮蔽工法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、比較的安価且つ簡易な作業で放射性被処理物を処理することができる新規な放射性被処理物の処理方法、及びこの放射性被処理物の処理方法を用いて、対象土地周辺適宜箇所に遮断層を形成する土地遮蔽工法を提供することを目的とする。
【解決手段】
放射性被処理物に対し、ハロゲン化物を主成分とする安定化剤、固定化担体及び水で処理することにより、当該被処理物内に存在する放射性物質を安定化すると共に当該被処理物を固定化担体に担持することを特徴とする放射性被処理物の処理方法及びこの放射性被処理物の処理方法を用いた土地遮蔽工法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放射性被処理物の処理方法及びこの放射性被処理物の処理方法を用いた土地遮蔽工法に関する。
ウランやプルトニウム或いはラドンなどの各種放射性元素は、原子力発電所等における燃料や、医療機関等における放射線治療など多岐にわたって利用されており、もはや、現代社会の営みを維持するためにはなくてはならない非常に重要な資源となっている。
ところが、このように放射性元素を利用するにあたっては、それに伴って排出される放射性廃棄物を安全に処理する必要がある。現在、このような放射性破棄物に対する処理方法としては、放射性廃棄物を、必要に応じて焼却処理等した後に、セメント系固形化材料を用いて固化処理し、然るべき処分場に保管する方法が実施されている。
しかしながら、焼却処理等した放射性破棄物にはアルミニウム等の両性金属が入っていることが多く、セメント中のアルカリ成分と反応して水素ガスが発生し、固化体の膨張、ひび割れ等が生じ、そこから放射性物質が溶出することから、長期間にわたって固化体中に放射性廃棄物を封じ込めることができないことが指摘されている。
そのため、最近では、セメント系固化材料中にリチウム化合物を添加することによりアルミニウム表面をアルミン酸リチウム被膜で保護し、固化体中でアルミニウムとアルカリ成分が直接接触しないようにして水素ガスの発生を抑制する手段(例えば、下記特許文献1参照。)や、焼却処理後の放射性廃棄物を予めアルカリ溶液や酸性溶液に浸漬する手段(例えば、下記特許文献2〜4参照。)が提案されている。
特開平6−102397号公報 特開平2−62200号公報 特開平4−287000号公報 特開平9−101398号公報
しかしながら、前者のリチウム化合物を添加する手段によって形成されるアルミン酸リチウム被膜は非常に薄く、固化体の長期的な保存中に、アルミン酸リチウム被膜によって保護されているアルミニウムが再び露出するおそれがある。
一方、後者の放射性廃棄物を予めアルカリ溶液や酸性溶液に浸漬する手段においては、処理時間が長くなり、実用に適さないといった課題がある。
加えて、放射性廃棄物をセメント系固形化材料で固化処理してなる固化体の体積は、被処理物である放射性廃棄物の数倍になるため、処分場における保管場所がすぐに満杯となる問題がある。
そこで、本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、放射性被処理物に対し、ハロゲン化物を主成分とする安定化剤、固定化担体及び水で処理することにより、当該被処理物内に存在する放射性物質を安定化すると共に当該被処理物を固定化担体に担持することを特徴とする本発明の放射性被処理物の処理方法を開発するに至ったのである。
即ち、本発明者は、ハロゲンイオンが有する極めて高い電気陰性度及び電子的結合力に着目し、水に溶解したハロゲン化物を放射性被処理物と混合すれば、イオン化したハロゲンイオンが、多種多様の放射性物質と電子的な相互関係を構築し、その状態を非常に安定化するとの知見を得たのである。
そして、ハロゲンイオンにより安定化した放射性物質は、長年に亘って放射線の放出が抑制されるとの知見を得たのである。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、比較的安価且つ簡易な作業で放射性被処理物を処理することができる新規な放射性被処理物の処理方法、及びこの放射性被処理物の処理方法を用いて、対象土地周辺適宜箇所に遮断層を形成する土地遮蔽工法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決する手段である本発明の放射性被処理物の処理方法は、放射性被処理物に対し、ハロゲン化物を主成分とする安定化剤、固定化担体及び水で処理することにより、当該放射性被処理物内に存在する放射性物質を安定化すると共に当該被処理物を固定化担体に担持することを特徴とする。
以下、本発明の放射性被処理物の処理方法について詳細に説明し、追って、この放射性被処理物の処理方法を用いた本発明の土地遮蔽工法について詳細に説明する。
本発明の放射性被処理物の処理方法は、「放射性被処理物」に対し、少なくとも「ハロゲン化物を主成分とする安定化剤」、「固定化担体」及び「水」で処理するものである。
本発明において「放射性被処理物」とは、最終的な廃棄処分が必要となった放射能を有するもの全般を意味する。従って、原子力発電所、核燃料製造施設及び再処理工場などの核関連施設、放射性同位体を使用する実験施設や病院の検査部門から廃棄される放射性物質を含む廃棄物(放射性廃棄物)に限られず、原子炉内で燃焼した燃料棒、作業員が使用した衣服・備品などの放射線に被曝することにより放射能を持つようになったもの(汚染廃棄物)も本発明における放射性被処理物に含まれる。更に、例えば、ウラン採掘現場等においては、燃料等として使用されるウラン235を採取するために不要なウラン238を膨大に採掘する必要があるが、このようなウラン採掘現場におけるウラン残土等も本発明の放射性被処理物に含まれる。
そして、本発明において用いられる前記「ハロゲン化物を主成分とする安定化剤」は、放射性被処理物中に含まれる放射性物質を安定化するために配合するものである。
ここで、放射性元素が放射線を出すメカニズムとしては、α崩壊やβ崩壊と称される放射性崩壊によるα線及びβ線の放射に加えて、放射性元素内の電子が励起状態から基底状態へ移動する際のエネルギー差によって生じるγ線の放射がある。
一方、ハロゲン元素は周期表の17族に属し、いずれも7個の価電子を持っていることから、一個の電子を取り入れて1価の陰イオンになりやすいという特性を有する。
そして、このイオン化したハロゲンイオンは、多種多様の陽イオンや求電子体を取り入れることによりポテンシャルエネルギーを下げ、その状態を安定化することができる。
これより、ハロゲン化物を水に溶解すると共に放射性被処理物と混合すれば、イオン化したハロゲンイオンが、放射性被処理物中の放射性元素と電子的な相互関係を構築し、その状態を非常に安定化することができるのである。
即ち、電気的に陽性の放射性元素に対して、電気的に陰性のハロゲンイオンが電子的な相互関係を構築することにより電子を共有し、もって、放射線の放出が抑制されてその毒性を弱毒化ないし無毒化するのである。
ここで、本発明において「ハロゲン化物」とは、フッ素、塩素、臭素或いはヨウ素などのいわゆるハロゲン元素が、他の原子或いは分子と化学的に結合した化合物を意味する。特に、本発明においては、水中において速やかにハロゲンイオンを生成するものが好ましい。
本発明において、安定化剤の主成分として使用し得るハロゲン化物の好適な例としては、ハロゲン元素が水素と結合したハロゲン化水素、ハロゲン元素がナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属と結合したアルカリ金属ハロゲン塩、及びマグネシウム及びカルシウムなどのアルカリ土類金属と結合したアルカリ土類金属ハロゲン塩などから選ばれた少なくとも1種以上を挙げることができる。なお、放射性被処理物中の放射性物質が多種多様であることから、これらハロゲン化物は2種以上の複数種を混合して用いることが好ましい。
なお、上記ハロゲン化物のうち、フッ化物については、フッ化物自身が有害物に指定されているという側面があることから、その施与量に注意が必要となる。
しかしながら、フッ素は、他のハロゲン元素に比べて極めて電気陰性度が高く、電子的な結合力に優れることから、放射性物質を安定化させる作用が著しく高い。このため、本発明においては、フッ化水素やフッ化カルシウムなどのフッ化物を必須構成成分として、安定化剤に極少量配合することが好ましい。
又、本発明においては、前記ハロゲン化物と併用して、やはり電子的結合力に優れる硫酸化物を安定化剤に配合することが好ましい。この硫酸化物としては、特に限定されるものではない。一般的には、硫酸を適当に希釈した硫酸水溶液や、硫酸カルシウム及び硫酸マグネシウム等の金属硫酸塩を用いることが好ましい。
中でも、硫酸については、極少量の配合により、固化体のアルカリ化を抑制する作用も有することから、積極的に安定化剤に配合することが好ましい。
一方、本発明の放射性被処理物の処理方法において用いられる前記「固定化担体」は、前記安定化剤により安定化された放射性物質を担持し、その移動に関する自由度を制限するための担体となるものである。
この固定化担体としては、安定化剤の作用により安定化した放射性物質を担持し得るものであれば特に限定されるものではない。なお、本発明において前記固定化担体は、その性質に応じて、「固化性固定化担体」と「吸着性固定化担体」の2種類に分けることができる。
前者「固化性固定化担体」とは、主として放射性被処理物を固化・固定化する性質を有するもののことをいう。この固化性固定化担体の一般的に好適な例としては、セメントや石膏などを挙げることができる。
なお、使用し得るセメントの種類としては特に限定されるものではない。具体的に例えば、現在一般的に使用されている「ポルトランドセメント」や、ポルトランドセメントのクリンカーに適当な急冷高炉スラグやボゾラン材料を綴合して粉砕した「混合セメント」、或いは「特殊セメント」のいずれを用いても良い。
前記「ポルトランドセメント」としては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント及びこれらのセメント中の全アルカリを0.6%以下に抑えた低アルカリ型のものを挙げることができる。又、前記「混合セメント」としては、高炉セメント、シリカセメント、及びフライアッシュセメントを挙げることがでる。更に、前記「特殊セメント」としては、ボーキサイトにほぼ等量の石灰石を混合し、溶融焼成した後、急冷粉砕したアルミナセメントや、アルミナセメントと同じように超速硬性を有し、長期にわたって安定した強度増進を示し、高強度を期待することができる超速硬セメントを挙げることができる。
又、石膏とは硫酸カルシウムを主成分とする鉱物の総称であり、無水石膏、半水石膏及び二水石膏等をその代表的な例としてあげることができる。なお、硫酸化物である石膏は、放射性被処理物中の放射性物質を安定化する作用も有する。
後者「吸着性固定化担体」とは、主として放射性被処理物をその表面又は内部に吸着・固定化する性質を有するもののことをいう。
この吸着性固定化担体の好適な例としては、酸化カルシウム(生石灰)や水酸化カルシウム(消石灰)などのアルカリ土類金属酸化物や水酸化物、或いは遷移金属の酸化物や水酸化物、石炭灰などの焼却灰、シリカゲル、ゼオライト、パーライト、パーミキュライト、アルミナ、活性炭及び活性白土等を挙げることができる。
中でも、本発明においては、比較的安価な焼却灰や吸着能の高い消石灰、及び電子的吸着能の高いゼオライトを吸着剤として用いることが好ましい。
ここで、ゼオライトとしては、天然に産出するゼオライトや、「モレキュラーシーブ」の商品名で称される合成ゼオライトなどを用いることもできる。しかしながら、天然ゼオライトは精度が不均一で、価格帯が幅広く、又、このような合成ゼオライトは高価である。そのため、本発明においては、特に、非晶質珪酸アルミニウム塩を含む原料をゼオライト化した人工ゼオライトを用いることが好ましい。
即ち、石炭火力において生じる石炭灰(フライアッシュ)、都市ゴミなどの焼却で生じる焼却灰、或いは製紙会社のペーパースラッジなどを焼却した焼却灰や、これらの焼却灰を溶融処理により固化したいわゆる溶融炉スラグ或いは高炉スラグなどのスラグなどは、大量に排出される廃棄物でありながら、非晶質珪酸アルミニウム塩を豊富に含む。従って、これらを原料としてゼオライト化した人工ゼオライトは、比較的安価で品質が均一であり、本発明を大規模に実施する際や、当該ゼオライトをセメント組成物に大量に配合する場合などにおいて、非常に有益となるのである。
なお、非晶質珪酸アルミニウム塩を含む原料をゼオライト化する方法としては、原料を、水酸化ナトリウム水溶液などの強アルカリ水溶液中で、高温加熱処理を施す方法などが開発されている。しかしながらこのような手段を実行するためには、強アルカリ水溶液を高温加熱するための処理設備が必要となる。そのため、設備投資上のコストが嵩み、しかも作業環境の安全性の確保が困難となるといった問題が生じる。
この点につき、本発明者は、非晶質珪酸アルミニウム塩を含む原料をゼオライト化する好ましい方法として、非晶質珪酸アルミニウム塩を含む原料、水和熱発生剤及び水を混合することにより比較的安全且つ安価に人工ゼオライトを製造する方法を見出しており、本発明においては、このような製造方法により製造された人工ゼオライトを用いることが好ましい。
更に詳しくは、この人工ゼオライトの製造方法は、生石灰のような、水と接触することにより水和反応を起こし、その際に水和熱を発生すると共にアルカリ値を示す性質を有する水和熱発生剤と水を混合することによって発生する水和熱とアルカリ性を利用したものである。この方法によれば、非常に簡易な処理設備及び簡単な作業をもって、人工ゼオライトを製造することができるのである。
本発明においては、固定化担体として、これら固化性固定化担体及び吸着性固定化担体から選ばれた少なくとも1種以上を好適に用いることができる。即ち、本発明においては、固化性固定化担体のみを用いる場合、吸着性固定化担体のみを用いる場合、及び固化性固定化担体と吸着性固定化担体の両方を併用する場合がある。
但し、より長期的な放射性物質の溶出を防止する観点からは、固定化担体として、固化性固定化担体を必須構成成分とすることが好ましい。特に、固化性固定化担体と吸着性固定化担体の両方を併用し、各固定化担体の奏する性質が協力し合った固定化状態を実現することがより好ましい。
本発明において用いられる前記「水」は、前記安定化剤及び固定化担体と共に放射性被処理物に対して施与することにより、各成分の混合を容易にすると共に、安定化剤からハロゲンイオンを生成したり、固定化担体中のセメントなどの固化性固定化担体との水和による硬化反応を開始したりするものである。
配合される水としては、特に限定されるものではなく、通常は、水道水が用いられる。又、作業上の観点からは、前述の安定化剤や固定化担体は、施与前に、水と混合した状態にすることが一般的に好ましい。
次に、本発明の土地遮蔽工法を詳細に説明する。
本発明の土地遮蔽工法は、前記本発明の放射性被処理物の処理方法により、対象土地周辺適宜箇所に遮断層を形成することを特徴とするものである。
例えば、ウラン採掘現場においては、燃料等として使用されるウラン235を採取するために不要なウラン238を膨大に採掘する必要があるが、このウラン採掘現場におけるウラン残土からも放射線が放出されており、大きな社会問題となっている。
このような放射性元素採掘地などの放射性物質により汚染されている土地に対しては、その土地全体に存する一定の深さまでの土壌に対し、本発明の放射性被処理物の処理方法を施工することが好ましいのであるが、隣接する土地も同様の汚染が懸念される。そのため、施工後の土地と未施工の土地を遮断し、未施工の土地からの有害物質流入を防ぐ必要が生じる場合がある。
そこで、このような場合、有害物質を包含する土地周辺適宜箇所に本発明の放射性被処理物の処理方法を施工することにより、改質した土壌による遮断層を形成すれば、少ない資材コスト且つ短期間の施工日数で、当該遮断層内土地に隣接する土地からの有害物質が遮断層内に流入しないようにすることができ、汚染土壌からの放射性物質の流出による二次的な土壌汚染を防止することができるのである。
ところで、単にセメントと水を混合した如きのセメント組成物においては、有機物を多く含む土壌と混合された場合、極端に硬化・固形化が阻害される。そのため、一旦固形化したセメント組成物は非常に脆弱であり、数日〜数十日で再び土壌が露出し、放射性物質が流出するといった問題が生じる。
この点につき、本発明の土地遮蔽工法においては、固定化担体に加えて施与される安定化剤が土中の放射性物質を安定化すると共に、土壌中の有機物によるセメントなどに対する硬化阻害作用も抑制することから、十分な固化性を長期間にわたって保持することができるのである。
なお、本発明において「周辺適宜箇所」とは、必ずしも施工対象土地周辺全体にわたって連続的な遮断層を形成することを要さないことを意味する。即ち、施工対象土地の傾斜や水の流れなどに応じて、1箇所ないしは複数箇所に断続的な遮断層を効果的に設ける場合も含まれることを意味する。
本発明は、前記構成を有し、比較的安価且つ簡易な作業で放射性被処理物を処理することができる新規な放射性被処理物の処理方法、及びこの放射性被処理物の処理方法を用いて、対象土地周辺適宜箇所に遮断層を形成する土地遮蔽工法である。
即ち、本発明の放射性被処理物の処理方法は、ハロゲン化物を主成分とする安定化剤を放射性被処理物と混合するから、イオン化したハロゲンイオンが放射性物質と電子的な相互関係を構築し、その状態を非常に安定化するのである。
そして、ハロゲンイオンにより安定化された放射性物質は、固定化担体に担持されることにより自由な移動が制限されるため、放射性物質の溶出を長年に亘って防止することができるのである。
一方、本発明の土地遮蔽工法は、前記本発明の放射性被処理物の処理方法を用いて、対象土地周辺適宜箇所に遮断層を形成し、該土地中の放射性物質の流入・流出を防止するものであり、少ない資材コスト且つ短期間の施工日数で、当該遮断層によって隔離された土地に存する放射性物質の溶出を防止することができるのである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本発明の放射性被処理物の処理方法は、前記安定化剤、固定化担体及び水を用いて、放射性被処理物を「処理」するものである。ここでいう「処理」とは、前記安定化剤、固定化担体及び水を放射性被処理物に施与し、当該放射性被処理物と混合することをいう。
なお、放射性被処理物と、前記安定化剤、固定化担体及び水との混合方法としては、放射性被処理物と各成分が充分に混合されるのであれば、その手段としては特に限定されるものではない。具体的に例えば、放射性被処理物と各成分を攪拌用の装置に投入して混合したり、パワーショベルなどの重機を用いて、バケットにより攪拌したりする方法を挙げることができる。
ここで、本発明においては、前記放射性被処理物につき、焼却処理などの予備的な処理を施せるものにあっては、前もって施し、その体積をできるだけ減じると共に粉末状にすることが好ましい。
前記安定化剤の施与量としては、放射性被処理物の汚染状況や使用される安定化剤の種類などに応じて適宜決定すれば良く、特に限定されるものではないが、一般的には、放射性被処理物1kgに対して、20〜300g程度の施与量が好ましい。更に50〜100g程度がより好ましく、特に、60〜80g程度が一層好ましい。又、これら安定化剤は、施与前に、水などの溶媒に溶解したり分散したりした状態のものを用いても良い。
又、安定化剤としてフッ化物を配合する場合においては、放射性被処理物1kgに対して、フッ化物の施与量が20g程度以下となるように調節することが好ましい。更に、10g以下とすることがより好ましく、特に、5g以下となるようにすることが一層好ましい。
更に、安定化剤として硫酸化物を配合する場合にあっては、放射性被処理物1kgに対して、硫酸化物の施与量が20〜200g程度となるようにすることが好ましい。更に、50〜100g程度とすることがより好ましく、特に、60〜80g程度となるようにすることが一層好ましい。
一方、固定化担体としては、固化性固定化担体10〜100重量部に対して、吸着性固定化担体0〜90重量部程度を配合したものが一般的に好ましい。更に、固化性固定化担体30〜80重量部に対して、吸着性固定化担体20〜70重量部程度を配合したものがより好ましく、特に、固化性固定化担体40〜60重量部に対して、吸着性固定化担体40〜60重量部程度を配合したものが一層好ましい。
なお、本発明において、前記固定化担体の施与量としては、放射性被処理物の汚染の程度や配合される固定化担体の種類などに応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、放射性被処理物1kg対して、固定化担体100〜300g程度の施与量が一般的となる。
しかしながら、固定化担体としてセメントや石膏などの固化性固定化担体を配合した場合においては、前記固定化担体の施与量を多くして、放射性被処理物を比較的大きな塊状に固めてしまうと、非常に嵩高くなり、処分場における保管場所を逼迫するといった問題が生じる。
そこで、固定化担体としてセメントや石膏などの固化性固定化担体を配合した場合においては、放射性被処理物が粉状ないし粒状となるようにすべく、放射性被処理物1kg対して、固化性固定化担体の施与量が200g以下程度となるように調整することが好ましい。更に100g以下程度がより好ましく、特に、80g以下程度が一層好ましい。
本発明において前記安定化剤及び固定化担体に対する水の配合割合としては、使用する安定化剤及び固定化担体の種類や量に応じて適宜決定するものであり、特に限定されるものではない。
しかしながら、固定化担体としてセメントや石膏などの固化性固定化担体を配合した場合においては、固化性固定化担体に対する水の配合割合を多くすることが好ましい。
即ち、固定化担体中の固化性固定化担体に対する水の配合割合を過剰にすることにより、放射性被処理物が塊状に固まってしまうことを防止することが好ましいのである。
そこで、本発明においては、施与される固定化担体100重量部に対して、水100〜2000重量部の配合割合とすることが一般的に好ましく、更に、200〜1000重量部の配合割合とすることがより好ましく、特に、300〜600重量部の配合割合とすることが一層好ましい。
このような水の配合割合とすれば、固定化担体としてセメントや石膏などの固化性固定化担体を配合した場合においても、放射性被処理物を塊状に固めてしまうことがなくなるのである。
一方、本発明の土地遮断工法にあっては、より強固な遮断層を形成することが必要な場合が多いことから、土壌に対する固定化担体の施与量を多くすることが好ましい。一般的な混合割合としては、処理対象の土壌1m(乾燥重量約1600kg)に対して、100〜300kg程度の施与量とすることが好ましい。
又、水の配合割合としても、より強固な遮断層を形成することが必要な場合が多いことから、土壌に対する水の施与量を少なくすることが好ましい。一般的な混合割合としては、処理対象の土壌1m対して、100〜400kg程度の施与量とすることが好ましい。
更に、固定化担体として吸着性固定化担体を多く配合すると、遮断層内外の通水性を保持したまま、遮断層外の放射性物質の溶出をより一層防止することができる。そのため、本発明の土地遮蔽工法においては、固定化担体として吸着性固定化担体を多く配合することが好ましく、その配合割合としては、固化性固定化担体10〜60重量部に対して、吸着性固定化担体40〜90重量部程度を配合することが一般的に好ましい。更に、固化性固定化担体20〜40重量部に対して、吸着性固定化担体60〜80重量部程度を配合することがより好ましい。

Claims (10)

  1. 放射性被処理物に対し、ハロゲン化物を主成分とする安定化剤、固定化担体及び水で処理することにより、当該被処理物内に存在する放射性物質を安定化すると共に当該被処理物を固定化担体に担持することを特徴とする放射性被処理物の処理方法。
  2. 安定化剤が、フッ化物を必須構成成分とする請求項1に記載の放射性被処理物の処理方法。
  3. 安定化剤には、更に、硫酸化物を配合してなる請求項1又は2に記載の放射性被処理物の処理方法。
  4. 硫酸化物が、硫酸である請求項3に記載の放射性被処理物の処理方法。
  5. 固定化担体が、固化性固定化担体及び/又は吸着性固定化担体である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の放射性被処理物の処理方法。
  6. 固化性固定化担体が、セメント及び/又は石膏を主成分とする請求項5に記載の放射性被処理物の処理方法。
  7. 吸着性固定化担体が、アルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、遷移金属の酸化物及び水酸化物、焼却灰、シリカゲル、ゼオライト、パーライト、パーミキュライト、アルミナ、活性炭、又は活性白土から選ばれた少なくとも1種以上である請求項5に記載の放射性被処理物の処理方法。
  8. ゼオライトが、非晶質珪酸アルミニウム塩を含む原料をゼオライト化した人工ゼオライトである請求項7に記載の放射性被処理物の処理方法。
  9. ゼオライトが、非晶質珪酸アルミニウム塩を含む原料に、水和熱発生剤及び水を混合することによりゼオライト化した人工ゼオライトである請求項8に記載の放射性被処理物の処理方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の放射性被処理物の処理方法により、処理対象土地周辺適宜箇所に遮断層を形成することを特徴とする土地遮蔽工法。
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