JP2013234679A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小噴射量を制御可能な燃料噴射装置の制御方法を供給する。
【解決手段】内燃機関に使用される燃料噴射装置であって、燃料通路を開閉可能な弁体114と、弁体114との間で力を伝達して開閉弁動作を行わせる可動子102と、可動子102の駆動手段として設けられたコイル105及び磁気コア107と磁気コア107および可動子102の外周側に設置された筒状のノズルホルダ101とで構成される電磁石を備え、コイル105に電流を供給することにより磁気コア107と可動子102との間に磁気吸引力を作用させて弁体114を開弁させる機能を有する燃料噴射装置において、弁体114の閉弁位置と最大リフト位置との間の中間位置で閉弁動作を開始させ、弁体114に対して閉弁方向に作用する流体力が閉弁動作を開始するリフト位置まで増加することを特徴とする燃料噴射装置。
【選択図】 図4

Description

本発明は内燃機関で使用される燃料噴射装置、その駆動方法及び駆動回路に関する。
近年、炭酸ガスの排出規制の強化や、化石燃料枯渇の懸念から、内燃機関の燃費低減が求められている。このため、内燃機関の各種損失の低減によって、燃費の低減を図る努力が行われている。一般に、損失を低減すると、機関の運転に必要な出力が低下するため、内燃機関の最低出力も低下する。
このような内燃機関においては、最低出力に対応した少ない燃料量まで制御して供給する必要が生じる。近年では、内燃機関の燃費を低減する手法として、排気量を減らして小型化するとともに、過給器によって出力を得るダウンサイジングエンジンがある。ダウンサイジングエンジンでは、排気量を減らすことで、ポンピングロスやフリクションを低減することができるため、燃費を低減することができる。一方で、過給器を用いることで十分な出力を得ると共に、筒内直接噴射を行うことによる吸気冷却効果により、過給に伴う圧縮比の低下を抑制し、低燃費を実現できる。特に、このダウンサイジングエンジンに用いる燃料噴射装置は、低排気量化によって得る最低出力に対応した最小噴射量から、過給によって得る最高出力に対応した最大噴射量までの広範囲に亘って燃料を噴射できる必要がある。従って、低燃費化のためには、燃料噴射装置が制御可能な最小噴射量を低減する必要がある。微小量の噴射を行わせるために、弁のリフト量を全開位置よりも低い位置に制御する方法がある。例えば、特開2000−27725号公報記載の燃料噴射装置のように、圧力制御室からの高圧燃料のリーク量を針弁の上流部に設けた開閉弁のリフト量によって決定し、圧力制御室の圧力降下に応じて針弁のリフト、即ち燃料噴射率を制御し、微小量の噴射を行う方法が開示されている。
また、特開2002−70682号公報記載の燃料噴射装置のように、圧力制御室内の圧力が圧力制御弁によって制御され、圧力制御室が圧力制御弁により密閉され、その密閉された圧力制御室によってニードル弁が全開位置と全閉位置との間の任意のリフト位置に停止される方法が開示されている。
特開2000−27725号公報 特開2002−70682号公報
一般に、電磁力によって弁を直動させる燃料噴射装置の噴射量は、ECU(エンジンコントロールユニット)より出力される駆動パルスのパルス幅によって弁の開いている時間を変化させることで制御する。パルスを長くすると噴射量が大きく、パルスを短くすると噴射量が小さくなり、その関係は略線形的である。しかしながら、駆動パルスが短い領域では、弁体が最大リフト位置に到達せず、閉弁位置と全開位置との間のいわゆる中間リフト位置で弁体は運動し、その挙動は不安定となる。中間リフト位置での弁体のリフト量は、燃料圧力等の変動の影響を受け易く、このような条件においては、噴射する流量の1ショットごとのばらつきや個体差のばらつきが大きく、失火を引き起こす可能性がある。このような問題に対する対処は、特許文献1および特許文献2には記載がない。
特許文献1および特許文献2において、開示されている方法は、燃料噴射装置内の油圧で弁が駆動される噴射弁に適した技術であって主にディーゼルエンジンに用いられる。このような方法を安価な電磁弁に用いるためには、弁体のリフト量を制御するために圧力センサーが必要となり、コスト面からガソリン用の内燃機関で使用することが難しいという問題があった。また、ニードル弁に合わせて、ニードル弁を制御するための圧力制御室と圧力制御室内の圧力を調整するための調整弁および、調整弁を駆動するための駆動部が必要となり、燃料噴射装置の構成が複雑かつ大きくなるという課題があった。
本発明では、弁体の閉弁位置と最大リフト位置との間の中間位置で閉弁動作を開始させ、弁体に対して閉弁方向に作用する流体力が閉弁動作を開始するリフト位置まで増加させる。
本発明によれば、低コストかつ制御可能な噴射量を低減した燃料噴射装置の駆動が行える。
本発明の実施形態における燃料噴射装置の縦断面図である。 本発明の実施形態におけるECUから出力される噴射パルスと燃料噴射装置に供する電圧と励磁電流のタイミング,弁体のリフト量の関係を示した図である。 図2におけるECUから出力される噴射パルスのパルス幅Tiと燃料噴射量の関係を示した図である。 本発明の第一の実施形態における弁体のリフト量と弁体に作用する閉弁方向の力と、可動子102に作用する開弁方向の力との関係を示した図である。 本発明の第一の実施形態における燃料噴射装置の弁体先端部の断面拡大図である。 本発明の第一の実施形態における燃料噴射装置を駆動するための駆動回路の構成図である。 本発明の第二の実施形態における燃料噴射装置の弁体先端部の断面拡大図である。 本発明の第三の実施形態における燃料噴射装置の弁体先端部の断面拡大図である。 本発明の第四の実施形態における燃料噴射装置の弁体先端部の断面拡大図である。 本発明の第五の実施例におけるECUから出力される噴射パルス幅と、コンパレータより出力される開弁検知信号,励磁電流の微分値,励磁電流のタイミング,弁体のリフト量の関係を示した図である。 本発明の第六実施例におけるECUから出力される噴射パルス幅と燃料噴射量の関係を示した図である。
最初に、図1を用いて、燃料噴射装置及びその駆動装置の構成と基本的な動作を説明する。図1は、燃料噴射装置の縦断面図とその燃料噴射装置を駆動するためのEDU(駆動回路:エンジンドライブユニット)121,ECU(エンジンコントロールユニット)120の構成の一例を示す図である。本実施例ではECU120とEDU121とは別体の部品として構成されているが、ECU120とEDU121は一体の部品として構成されてもよい。
ECU120は、エンジンの状態を示す信号を各種センサーから取り込み、内燃機関の運転条件に応じて適切な噴射パルスの幅や噴射タイミングの演算を行う。ECU120より出力された噴射パルスは、信号線123を通して燃料噴射装置のEDU121に入力される。EDU121は、ソレノイド(コイル)105に印加する電圧を制御し、電流を供給する。ECU120は、通信ライン122を通して、EDU121と通信を行っており、燃料噴射装置に供給する燃料の圧力や運転条件によってEDU121によって生成する駆動電流を切替えることが可能である。EDU121は、ECU120との通信によって制御定数を変化できるようになっており、制御定数に応じて電流波形が変化する。
燃料噴射装置の縦断面を用いて構成と動作について説明する。図1に示した燃料噴射装置は通常時閉型の電磁弁(電磁式燃料噴射弁)であり、ソレノイド105に通電されていない状態では、弁体114はスプリング110によって付勢され、弁座118に密着し閉状態となっている。この閉状態においては、可動子102は、ゼロスプリング112によって、弁体114に密着させられ、弁体114が閉じた状態で可動子102と磁気コア107との間に空隙を有している。燃料は燃料噴射装置の上部より供給され、弁座118で燃料をシールしている。閉弁時には、スプリング110による力および燃料圧力による力が弁体に作用し、閉方向に押されている。
開閉弁のための電磁力を発生させる磁気回路は、磁気コア107と可動子102の外周側に配置された筒状部材であるノズルホルダ101と磁気コア107,可動子102,ハウジング103によって構成されている。ソレノイド105に電流が供給されると、磁気回路中に磁束が発生し、可動部品である可動子102と磁気コア107との間に磁気吸引力が発生する。可動子102に作用する磁気吸引力がスプリング110による荷重と、燃料圧力によって弁体に作用する力の和を超えると、可動子102が上方へ動く。このとき弁体114は可動子102と共に上方へ移動し、可動子102の上端面が磁気コア107の下面に衝突するまで移動する。その結果、弁体114が弁座118より離間し、供給された燃料が、複数の噴射口119から噴射される。なお、噴射口119の孔数は単孔であってもよい。次に、可動子102の上端面が磁気コア107の下面に衝突した後、弁体114は可動子から離脱し、オーバーシュートするが、一定の時間の後に弁体114は可動子102上で静止する。ソレノイド105への電流の供給が切れると、磁気回路中に発生していた磁束が減少し、磁気吸引力が低下する。磁気吸引力がスプリング110による荷重と、燃料圧力によって弁体114および可動子102が受ける流体力を合わせた力よりも小さくなると、可動子102および弁体114は下方へ動き、弁体114が弁座118と衝突した時点で、可動子102は弁体114から離脱する。一方弁体114は弁座118と衝突した後に静止し、燃料の噴射が停止する。なお、可動子102と弁体114は同じ部材として一体成形するかもしくは、別部材で構成し溶接もしくは圧入等の方法で結合されていてもよい。可動子102と弁体が同じ部材である場合、ゼロスプリング112は構成上ない場合であっても、本発明の効果は変わらない。
次に、燃料噴射装置を駆動する一般的な噴射パルスと駆動電圧と駆動電流(励磁電流)と弁体変位量(弁体挙動)との関係(図2)、及び噴射パルスと燃料噴射量との関係(図3)を説明する。
EDU121に噴射パルスが入力されると、EDU121はバッテリ電圧よりも高い電圧に昇圧された高電圧源からソレノイド105に高電圧201を印加し、ソレノイド105に電流の供給が開始される。電流値が、予め定められたピーク電流値Ipeakに到達すると、高電圧201の印加を停止する。その後、印加する電圧を0V以下にし、電流202のように電流値を低下させる。電流値が所定の電流値204より小さくなると、EDU121はバッテリ電圧の印加をスイッチングによって行い、所定の電流203になるように制御する。
このような供給電流のプロファイルにより、燃料噴射装置は駆動される。高電圧201の印加からピーク電流に到達するまでの間に弁体114のリフトは開始され、弁体114はやがて目標リフト位置に到達する。目標リフト位置到達後は、可動子102と磁気コア107との衝突により、弁体114がバウンド動作を行い、やがて所定の電流203による保持電流が生成する磁気吸引力によって、弁体114は所定の位置(以降、目標リフト位置と称する)に静止し、安定した開弁状態となる。なお、弁体114は可動子102に対して相対変位可能に構成されているため、目標リフト位置を超えて変位している。
次に、噴射パルス幅Tiと燃料噴射量との関係について説明する。図3は、ECUより出力された噴射パルス幅と燃料噴射装置より噴射される燃料噴射量の関係を示した図である。噴射パルス幅が一定の時間よりも短い場合には、弁体114は開弁しないため、燃料は噴射されない。噴射パルス幅が短い、例えば点301のような条件では、弁体114はリフトを開始するが、ソレノイド105に通電される時間が短いために弁体114が目標リフト位置に達する前に閉弁を開始するため、小さいリフト量での噴射となり、噴射パルス幅が大きい領域で噴射パルス幅と燃料噴射量の関係が線形となる直線領域320から外挿される破線330に対して噴射量は少なくなる。点302のパルス幅では、弁体114が目標リフト位置に達した直後すなわち、可動子102と磁気コア(固定コア)107が接触した直後に閉弁を開始する。点303の噴射パルス幅では、弁体114のバウンド量が最大となるタイミングt23において閉弁を開始するため、噴射パルスOFFから弁体114が弁座118と接触するまでの時間(以降、閉じ遅れ時間と称する)が小さくなり、その結果噴射量は破線330に対して少なくなっている。点304は、弁体114のバウンドが収束した直後のタイミングt24に閉弁を開始するような状態であり、点304より大きい噴射パルス幅では、噴射パルス幅の増加に応じて燃料の噴射量が線形的に増加する。点304より噴射パルス幅が小さい領域での弁体114のリフト量は、弁体114が目標リフトの位置で安定して保持されていないため、燃料圧力等の環境条件の変化によって弁体114のリフト量が不安定になり易く、噴射量を安定させることが難しい。
次に、図4,図5を用いて本発明における第一実施例の構成と動作について説明する。図4は本発明における弁体114のリフト量と弁体114に作用する閉弁方向の力と、可動子102に作用する開弁方向の力との関係を示した図である。図中の実線410は、弁体114に作用する閉弁方向の力の絶対値であり、破線411は、可動子102に作用する開弁方向の力の絶対値を表している。
ソレノイド105に電流が供給されていない状態点401では、弁体114がスプリング110による荷重と燃料圧力による力(以降、流体力と称する)によって閉弁方向に付勢されている。ソレノイド105に電流を供給すると、可動子102と磁気コア107との間に開弁方向の力である吸引力が発生し、吸引力が弁体114に作用するスプリング110による荷重と流体力による力の和で表される閉弁方向の力を超えた状態点402で弁体114がリフトを開始する。スプリング110による荷重は、スプリング110のバネ定数とスプリング110の自然長からの押し込み量で決定されるため、弁体114のリフト量とスプリング110による荷重は線形的な関係となる。弁体114のリフト量がゼロの時には、スプリング110による荷重と燃料圧力と受圧面積(弁座118と弁体114の接触部の面積)の積の力により、弁体114が閉弁方向に付勢されている。弁体114が弁座118から離間して弁体114のリフト量が小さい時には、弁体114と弁座118間の通路断面積が小さいため、弁体114と弁座118との隙間を流れる燃料の流速が増加し、弁体114と弁座118間の圧力損失の増加とベルヌーイの定理による静圧の低下によって、弁体114に作用する流体力が大きくなる。弁体114のリフト量が大きくなると、弁体114と弁座118との間の通路断面積が大きくなるため、弁体114と弁座118との間を流れる燃料の流速が低下し、弁体114に作用する流体力は小さくなる。以上の理由によって、弁体114に作用する流体力の大きさは、弁体114のリフト量で決定され、弁体114のリフト量と弁体114に作用する流体力の関係は、弁体114が目標リフトに到達するまでの間に正の相関となる範囲があり、あるリフト量を超えると負の相関となる範囲がある。弁体114に作用する流体力およびスプリング110による荷重の和と弁体114のリフト量の関係が正の相関となる範囲で、吸引力を所定の大きさに制御し、弁体114のリフト量に応じて流体力が磁気吸引力に優るようにすることで、所定のリフト量に応じて弁体114の閉弁を開始させることが可能となる。このように、弁体114のリフト量の増加に応じて流体力が増加する範囲で弁体114の閉弁を開始させることで、ソレノイド105へ供給する電流の打ち切りタイミングによらず、弁体114を閉弁位置と目標リフト位置との間の中間リフトの状態で、弁体114のリフト量を正確に制御することができ、噴射量の正確なコントロールが可能となる。また、弁体114が中間リフトとなる状態においては、吸引力の大小を制御することで、弁体114のリフト量を制御し、噴射量を制御することが可能となる。また、ガソリン用内燃機関の燃料噴射装置では、噴射量が弁体114のリフト量の積算値で決まり、スプリング110による荷重を調整することによって、噴射パルスをONにしてから弁体114が目標リフトに到達するまでの時間と噴射パルスをOFFにしてから弁体114が弁座118に到達するまでの時間を調整し、動的な流量の個体差が一定の範囲に収まるように流量調整を行っている場合がある。このような燃料噴射装置においては、スプリング110による荷重が燃料噴射装置の個体ごとに変動し、同じ燃料圧力等の条件変化によってもソレノイド105へ電流を供給してから弁体114が弁座118から離脱するまでの開弁タイミングが変動する。弁体114に作用する流体力がリフト量に対して正の相関となるリフト量の範囲で使用し、開弁後の吸引力を一定にコントロールすることにより、開弁タイミングの個体差の変動に関わらず、所定のリフト量で流体力が吸引力に優り、弁体114の閉弁タイミングが決定されるため、弁体114のリフト量を正確にコントロールすることができ、噴射量の個体差ばらつきを低減することができる。
次に図4のような動作を行わせる方法の一つとして、図1,図5を用いて本発明の第一の実施形態における燃料噴射装置の構造について説明する。図5は、燃料噴射装置の弁体114先端部の断面拡大図である。弁体114が弁座118と接触している閉弁状態では、弁体114と弁座118の接触位置のシート径dsの面積と燃料圧力の積となる流体力とスプリング110による荷重の和によって弁体114が閉弁方向に付勢されている。弁体114が閉弁状態から、弁座118から離脱してリフトを開始すると、弁体114と弁座118との間の燃料通路502に燃料が流れる。燃料通路502を流れる流量は、弁体114と弁座118の隙間が最小となる燃料通路502の断面積(以降、燃料通路断面積As)によって決定され、燃料通路断面積ASはシート面501の角度と弁体114のリフト量およびシート径dsで導出することができ、その関係は式(1)となる。
s=st ds πsin(θ/2) …(1)(但し、st:弁体114のリフト量、θ:シート面501の角度、ds:シート径)
弁体114のリフト量が小さい場合、燃料通路断面積Asが小さいため、シート径ds近傍を流れる燃料の流速が増加し、燃料通路502で圧力損失が発生する。一般的に、圧力損失は、動圧(ρv2)/2(但しρは流体の密度、vは流速)に比例して大きくなることから、流速が大きくなると圧力損失が大きくなる。また、流速が大きくなるとベルヌーイの定理による静圧の低下が大きくなるため、シート径ds近傍の圧力が低下する。シート径ds近傍での静圧の低下と圧力損失によって、弁体114の先端部の圧力が低下する。弁体114に作用する流体力は、弁体114の上流側(例えばスプリング110との接触位置)の圧力と先端部の圧力の差圧と受圧面積(例えば、弁体先端部外径の面積)との積となるため、弁体114の先端部の圧力が低下すると、弁体114に作用する流体力が大きくなる。また、弁体114のリフト量が小さい時には、シート径ds近傍を流れる燃料の流速が速くなるため、ベルヌーイの定理による静圧の低下により、シート径dsより下流側の圧力が上昇できず、弁体114の上流側と先端部の差圧が大きくなり、弁体114に作用する流体力は大きくなる。リフト量が大きくなると、弁体114と弁座118との間の燃料通路断面積Asが大きくなるため、シート径dsでの流速が低下する。シート径ds近傍での流速が低下すると、ベルヌーイ効果による静圧の低下が抑制されるため、シート径ds近傍およびシート径dsより下流側に位置する弁体114の先端部の圧力が上昇し、弁体114の上流側と先端部の差圧が小さくなり、弁体114に作用する流体力が低下する。閉弁時に弁体114に作用する流体力と、開弁後に弁体114に作用する流体力の最大値との差分を大きくすることによって、弁体114に働く流体力と弁体114のリフト量の関係が正の相関となる範囲を拡大することができ、弁体114を閉弁位置と目標リフト位置との間の中間リフトの状態で安定させられるリフト量の範囲を大きくすることが可能となる。また、弁体114の先端部の形状は、弁体114が弁座118と接触している閉弁時におけるシート径dsの面積に対して、弁体114が開弁したときに圧力の低下が発生する弁体114の先端部外径dpの面積が大きくなるように構成すると良い。この効果により、ベルヌーイの定理による静圧の低下が発生する範囲を弁体114の開弁時に大きくすることができるため、閉弁時に弁体114に作用する流体力に比べて、開弁時に弁体114に作用する流体力を大きくすることが可能となる。また、弁体114の先端部形状は球面Rで構成するとよい。このような構成によって、開弁した状態で弁体114と弁座118の燃料通路が微小隙間となる範囲を大きくできるため、圧力の低下を受圧する弁体114の面積を拡大することができ、弁体114に作用する流体力を大きくすることができる。この効果により、弁体114を中間リフトの状態で安定させられるリフト量の範囲を大きくすることが可能となる。
図6を用いて本発明の第一の実施形態における燃料噴射装置の駆動回路と所定の吸引力を制御するための回路構成について説明する。図6は燃料噴射装置617を駆動する回路構成を示した図である。CPU601は例えばECUに内包され、内燃機関の運転条件に応じて適切な噴射パルス幅Tiや噴射タイミングの演算を行い、通信ライン604を通して燃料噴射装置の駆動IC602に噴射パルスTiを出力する。その後駆動IC602によって、スイッチング素子605,606,607のON,OFFを切替えて、燃料噴射装置607へ駆動電流を供給する。
スイッチング素子605は駆動回路に入力された電圧源VBよりも高い高電圧源VHと燃料噴射装置607の高電圧側の端子間に接続されている。スイッチング素子は、例えばFETやトランジスタ等によって構成される。高電圧源VHは例えば、60Vであり、バッテリ電圧を昇圧回路614によって昇圧することで生成される。昇圧回路は例えば、DC/DCコンバータ等により構成される。スイッチング素子607は、低電圧源VBと燃料噴射装置の高圧端子間に接続されている。低電圧源VBは例えば、バッテリ電圧であり12Vである。スイッチング素子606は、燃料噴射装置の低電圧側の端子と設置電位の間に接続されている。駆動IC602は、電流検出用の抵抗608,612,613により、燃料噴射装置607に流れている電流値を検出し、検出した電流値によって、スイッチング素子605,606,607のON,OFFを切替え、所望の1駆動電流を生成している。ダイオード609と610は電流を遮断するために備え付けられている。CPU601は駆動IC602と通信ライン603を通して、通信を行っており、燃料噴射装置に供給する燃料の圧力や運転条件によって駆動IC602によって生成する駆動電流を切替えることが可能である。電流検出用の抵抗である508には、微分器615が接続されコンパレータ616を通して、CPU601に接続されている。ソレノイド105両端における電圧は、ソレノイド105の抵抗と電流値の積となるオームの法則による電圧降下とソレノイド105のインダクタンスとソレノイド105を流れる電流の時間微分の積となる自己誘導による逆起電圧の和となる。ソレノイド105に電流が供給されると、ソレノイド105に逆起電圧が発生する。逆起電圧が大きくなると、オームの法則による電圧降下が小さくなるため、一定の電圧源から電流をソレノイド105に供給していても、電流の供給時間とソレノイド105を流れられる電流の関係は線形とならず、一般的に1次遅れの関係となる。また、ソレノイド105へ一定の電圧源から電流を供給すると、時間の経過とともに、ソレノイド105に流れる電流とインダクタンスの積となる磁気回路に発生する磁束が増加し、可動子102に作用する吸引力が、弁体114に作用する閉弁方向の力を超えたタイミングで弁体114は弁座118から離脱し、リフトを開始する。弁体114がリフトを開始すると、可動子102と磁気コア107の間のギャップが小さくなり、磁気回路の磁気的な抵抗が小さくなるため、可動子102と磁気コア107間に発生可能な磁束が増加する。電流の時間微分値は磁束と反比例の関係にあるため、磁気ギャップが小さくなり磁束が急峻に増加すると電流の時間微分値が急峻に小さくなる。電流の時間微分が急峻に小さくなるタイミングは、例えば、電流検出用の抵抗508に接続された微分器615を通して、コンパレータ616で予め設定されたしきい値の電圧よりも下がるタイミングをCPU601によって検知することが可能である。また、電流検出用の抵抗508に微分器を2個直列に接続し、磁束の増加に伴うインダクタンスの変化を電流微分値の傾きの変化としてCPU601で検出することもできる。以上の方法によって、弁体114が弁座118から離間してリフトを開始する際の開弁タイミングをCPU601で検知することが可能となる。CPU601で検知した開弁タイミングから所定の時間後にソレノイド105への電流供給を停止することで、所定の吸引力を制御することができる。このような構成によって、開弁タイミングが燃料噴射装置の個体ごとに変動した場合であっても吸引力を制御し、弁体114が中間リフトの状態でリフト量を正確に制御することが可能となる。ソレノイド105に供給する電流値を一定にした場合、吸引力は、可動子102と磁気コア107間の隙間の高さ(以降、磁気ギャップと称する)に依存して変化する。磁気ギャップが大きいと、可動子102と磁気コア107間の磁気的な抵抗が大きくなり、吸引面を通過可能な磁束数が減少し、吸引力が小さくなる。また、弁体114が開弁して磁気ギャップが小さくなると、磁気回路内に渦電流が磁束を打ち消す方向に作用するため、一定の遅れ時間を伴った後に吸引力が変化する。従って、開弁タイミングと可動子102と磁気コア107が衝突するタイミング(以降、目標リフト到達タイミングと称する)を検知することで、間接的に弁体114のリフト量を推定することができる。これにより、磁気ギャップの変化に伴う磁束の変化を考慮した吸引力の制御ができるため、中間リフトの状態で閉弁を開始する際のリフト量の精度を向上することが可能である。また、ソレノイド105へ供給する電流による吸引力の変化が急峻であると、弁体114がリフトを開始してからのリフト量の変化も急峻となるため、電流の供給を停止させるタイミングの制御が困難になることから、ソレノイド105への電流の印加はバッテリ電源もしくは、高電圧電源VHよりも小さい電圧源で行うとよい。また、微分器615とコンパレータ616の間には、ノイズ除去のためのローパスフィルターを配置すると良い。ローパスフィルターによって高周波成分であるノイズを除去し、CPU601で弁体114の開弁タイミングを安定して検知することが可能となる。なお、電流検出用の抵抗608,微分器615,コンパレータ616は回路の構成上、駆動IC602内に内包されていてもよい。この場合、微分器615からの信号は、CPU601ではなく、駆動IC602に入力するとよい。このような構成では、微分器615からの信号を入力トリガーとして駆動IC602からスイッチング素子605,606,607を直接駆動して開弁後のソレノイド105への電流供給を停止するタイミングを制御することが可能である。
図7を用いて本発明に係る第二の実施例について説明する。図7は第二実施例における燃料噴射装置の弁体先端部の拡大断面図である。なお図7において図1,図5と同一の構成部品には同一符号を付す。
図7に示した例では、第一の実施例に加えて、弁体114のシート径ds1を縮小し、シート径ds1の上流部にテーパー面701を設けている。閉弁時に弁体114へ作用する流体力は、シート径ds1の面積と燃料圧力の積であるため、シート径ds1を小さくすることで、閉弁時に弁体114に作用する閉弁方向の力を小さくすることが可能となる。また、シート径ds1の上流部にテーパー701を設けることで、弁体114のシート径ds1上流をシート径ds1部と同等の球面Rで構成した場合と比べて、弁座118のシート面501と弁体114先端部の燃料通路702の隙間Hgを小さくすることができ、弁体114が開弁後にベルヌーイの定理による静圧の低下が発生する範囲の面積を大きくできるため、弁体114に作用する流体力を大きくすることができる。なお、テーパー701の角度は、弁座118のシート面501の角度と同等にするとよい。これにより、弁体114と弁座118との隙間を正確に決めることができるため、開弁後に弁体114に作用する流体力の個体差ばらつきを低減し、管理することが容易となる。以上の効果により、閉弁時に弁体114に作用する流体力と開弁後に弁体に作用する流体力の最大値との差を大きくすることができ、弁体114のリフト量と流体力が正の相関となるリフト量の範囲を大きくすることが可能となる。これにより、弁体114を閉弁位置と目標リフト位置との間の中間リフトの状態で安定させられるリフト量の範囲が大きくなり、制御可能な噴射量の範囲が向上する。
図1,図8を用いて本発明に係る第三の実施例について説明する。図8は第三実施例における燃料噴射装置の弁体先端断面の拡大図である。なお図8において図1,図5と同一の構成部品には同一符号を付す。
図8に示した例では、第一の実施例に加えて、弁体114のシート径ds2を縮小し、シート径ds2の上流にテーパー801を設け、オリフィスカップ116に傾斜部803を設けている。このような構成にすることで、テーパー801と傾斜部803との間に微小隙間hg1を設けることができ、弁体114のシート径ds1近傍の他に、ベルヌーイの定理による静圧の低下が発生する範囲をテーパー801に設けることが可能である。なお、傾斜部803は、オリフィスカップ116ではなくPRガイド115と一体となる構成にしても上記と同等の効果を得ることができる。
また、オリフィスカップ116に平面部804を設け、弁体114が目標リフトに位置する時に、閉弁時のシート径ds2の高さ方向の位置が平面部804より上流にくるように構成するとよい。一般的に、燃料噴射装置から噴射される単位時間当たりの流量(以降、静流と称する)は、燃料圧力が一定の場合、弁体114の燃料通路断面積と噴射口119の総断面積で決定され、シート径を縮小した際には、燃料通路断面積が小さくなるため、目標リフト位置での静的な流量が小さくなる。目標リフト位置の時に、シート径dsの高さ方向の位置が平面部803より上流となるように構成することで、目標リフトに到達した位置で、弁体114とオリフィスカップ116との最小隙間がシート径ds2に依存しなくなるため、シート径ds2を小さくしたまま、弁体114が目標リフト位置となる時の静流を大きくすることが可能となる。従って、弁体114を中間リフトの状態で安定させるために必要な流体力を大きくとりながら、静流を大きくすることができるため、燃料噴射装置の設計が容易となる。また、弁体114が目標リフトに位置するときの静流の値に比べて、中間リフト時の静流の値を小さくすることができるため、弁体114が中間リフトの状態における流量を小さくすることができる。
図1,図9を用いて本発明に係る第四の実施例について説明する。図9は第四実施例における燃料噴装置の弁体114先端部断面の拡大図である。なお図9において図1,図5と同一の構成部品には同一符号を付す。
図9に示した例では、第一の実施例に加えて、弁体114と弁座118が接触するシート径ds3を縮小し、弁体114のシート径ds3の上流に平面部902を設け、オリフィスカップ116に平面部901を設けている。
このような構成によって、オリフィスカップ116の平面部901と弁体114の平面部902との間に微小隙間hg2を設けることができ、弁体114のシート径ds3近傍の他にベルヌーイの定理による静圧の低下が発生する範囲を平面部902に設けることができるため、弁体114に作用する流体力が大きくなり、流体力とリフト量が正の相関となる範囲を大きくすることができる。また、平面部902の外径dpの径を変更することで、ベルヌーイの定理による静圧の低下が発生する範囲(以降、受圧部と称する)を変更することができるため、受圧部の面積でもって弁体114に作用する流体力を設計でき、燃料噴射装置の設計が容易となる。
第5の実施形態は、図1に示した燃料噴射装置の弁体114のシート部分が図5のように構成され、図6のような駆動回路を用いてその駆動を行う場合の制御方法を図10に示すようにしたものである。
図10は第五実施例におけるECU(エンジンコントロールユニット)から出力される噴射パルス幅と、コンパレータ616より出力される開弁タイミングの検知信号(以降、開弁検知信号と称する),駆動電流の微分値,駆動電流のタイミング,弁体114のリフト量の関係を示した図である。図10には、弁体114が目標リフトに到達しないように制御された中間リフト状態の弁体114の挙動を実線133で示し、弁体114が目標リフトに到達するように制御された場合の噴射パルス,弁体114の挙動を破線130で記載する。
噴射パルスが入力されると、バッテリ電圧VBから電圧が印加され、ソレノイド105に電流の供給が開始される。弁体114がリフトを開始すると、可動子102と磁気コア107の間のギャップが小さくなり、磁気回路内の磁気的な抵抗が小さくなるため、可動子102と磁気コア107間に発生可能な磁束が増加する。電流の時間微分値は磁束と反比例の関係にあるため、磁気ギャップが小さくなり磁束が急峻に増加すると電流の時間微分値が急峻に小さくなる。電流の時間微分値に応じた参照電圧が与えられたコンパレータ616のしきい値131を超えたタイミングt101で開弁検知信号がONとなる。開弁検知信号は、ソレノイド105への通電によって、磁気吸引力が一定の値に達したことを意味している。タイミングt101からの時間ΔTは、タイマやカウンタを用いて計算し、ΔT経過後に、噴射パルスをOFFにすることで、可動子102に作用する磁気吸引力を安定して制御することができる。このように磁気吸引力を所定の値に制御すると、弁体114があるリフト量に達した時点で、弁体114に作用する流体力が磁気吸引力に優り、閉弁を開始する。磁気吸引力の大小を制御することで、図4における閉弁開始点403のリフト量を正確に制御できるようになる。リフト量の正確なコントロールにより、噴射量のコントロールも正確に行うことができる。この時の弁体114のリフト量は、いわゆる中間リフトの状態にあるため、弁体114が目標リフトに到達した場合と比較して、リフト量が小さく、したがって微小な噴射量を得られるようになる。また、開弁検知信号をCPU601ではなく、駆動IC602に直接入力した場合には、ΔTの時間を駆動IC602にタイマ機能を持たせ、駆動IC602で制御することもできる。この場合であっても、本発明における効果は変わらない。
このように制御した場合、噴射パルスをOFFにしてから弁体114が弁座118と接触するまでの時間(以降、閉じ遅れ時間と称する)は、燃料噴射装置の構造と燃料圧力等の環境条件が同じ場合、閉弁を開始する際の弁体114のリフト量に依存して決まる。弁体114の移動距離と時間の関係は、弁体114と可動子102に作用する磁気吸引力,流体力,スプリングによる荷重などの力の時間積算値で決定されるため、作用する力が同じ場合、リフト量が大きいほど閉弁するまでに要する時間は増加する。従って、弁体114が目標リフトに到達するように制御される場合の弁挙動130における閉じ遅れ時間Td2に比べて、中間リフト位置で閉弁を開始する中間リフト状態の弁挙動133における閉じ遅れ時間Td1を小さくすることができる。また、中間リフトの状態から弁体114が閉弁を開始する時には、目標リフト位置から閉弁を開始する時に比べて、閉弁を開始するタイミングでの可動子102と磁気コア107との間のギャップが大きくなるため、磁気回路中に発生可能な磁束が小さくなり、磁気吸引力が小さい。閉弁を開始するタイミングでの吸引力は、ソレノイド105への電流供給を停止してから、磁気回路中の磁束が消滅し、磁気吸引力が低下するまでの時間に影響する。したがって、閉弁を開始するタイミングでの吸引力が小さい中間リフトの状態では、閉じ遅れ時間を小さくすることが可能となる。噴射量が弁体114のリフト量の時間積分値に依存するため、閉じ遅れ時間の低減により、制御可能な噴射量を小さくすることが可能となる。
また、図1のように可動子102と弁体114が別体構造となる燃料噴射装置では、閉弁時に弁体114が弁座118に衝突すると、可動子102が弁体114から離間して、運動を継続する。可動子102が運動を継続する時間は、弁体114と弁座118が衝突する際の可動子102が持つ運動エネルギーに依存する。運動エネルギーは可動子102と弁体114の質量および弁体114と弁座118が衝突する際の速度(以降、衝突速度と称する)で決定される。弁体114のリフト量が大きくなると、弁体114と可動子102が閉弁するまでに加速可能な時間が増加するため、衝突速度が大きくなり、弁体114と弁座118が衝突する際に可動子102が持つ運動エネルギーも大きくなる。従って、目標リフトで閉弁を開始する場合に比べて、中間リフトの状態から閉弁を開始する際には、弁体114が弁座118と衝突する際の運動エネルギーを小さくできる。このため、閉弁後に可動子102が静止するまでの時間を短縮することが可能となる。弁体114が閉弁後に可動子102が運動を継続している途中で次の噴射を行うと再噴射時の噴射量が安定しにくくなることがあるため、可動子102が静止するまでの時間を短縮することで、1行程中に1回目の噴射が終わった後に次の再噴射を行う間隔を小さくすることができ、1行程中に噴射可能な噴射回数を増加させることができる。また、中間リフトにおいては、弁体114の閉弁速度が低減されるため、弁体114と弁座118が衝突する際に発生する駆動音を低減する効果がある。
例えば、エンジンをアイドリングしている時には、燃料噴射装置の作動音が相対的に大きく聞こえやすく、必要な噴射量も小さいため、中間リフトで閉弁を開始させる駆動を用いると、騒音低減を行い易くなる。また、弁体114と弁座118の衝突速度を減ずることで、弁座118や弁体114の磨耗低減の効果を得ることができ、例えば、高い燃料圧力で使用することなどを行い易くなる。
図1,図11を用いて本発明に係る第六の実施例について説明する。図11は第六実施例におけるECU(エンジンコントロールユニット)から出力される噴射パルス幅と燃料噴射量の関係を示した図である。
噴射パルス幅と燃料噴射量の関係は、噴射パルス幅が小さい時の非線形な領域(以降、非線形領域)141と、噴射パルス幅が大きい時の線形な領域(以降、線形領域)142がある。線形領域142では、噴射パルス幅を変更することで所望の燃料噴射量を得ることができる。非線形領域141では、噴射パルス幅と燃料噴射量の関係が線形ではないため、噴射パルス幅で燃料噴射量をコントロールすることができない。非線形領域141での燃料噴射量をコントロールするため、中間リフトで閉弁を開始する駆動を用いる。
非線形領域141での燃料噴射量をコントロールするための中間リフトを用いた駆動では、磁気吸引力を所定の値に制御することで、弁体114があるリフト量に達した時点で弁体114に作用する流体力が磁気吸引力に優り、閉弁を開始する。磁気吸引力の大小を制御することで、閉弁開始タイミングのリフト量を正確に制御し、燃料噴射量が燃料圧力の(1/2)乗に比例することから、燃料噴射装置へ供給されている燃料の圧力を増減させることで、燃料噴射量をコントロールすることができる。また、中間リフトを用いた駆動で1行程中に噴射する回数を変更することで所望の燃料噴射量をコントロールすることが可能となる。弁体114のリフト量,燃料圧力,噴射回数を調整することで所望の燃料噴射量を得ることができる。
101 ノズルホルダ
102 可動子
103 ハウジング
104 ボビン
105 ソレノイド(コイル)
107 磁気コア
110 スプリング
112 ゼロスプリング
113 ロッドガイド
114 弁体
115 PRガイド
116 オリフィスカップ
118 弁座
119 噴射口
120 ECU(エンジンコントロールユニット)
121 EDU(エンジンドライブユニット)
501 シート面
601 CPU
602 駆動IC
615 微分器
616 コンパレータ
617 燃料噴射装置
804 平面部

Claims (4)

  1. 弁座と接することによって燃料通路を閉じ、前記弁座から離れることによって燃料通路を開く弁体と、前記弁体と共動して開閉弁動作を行わせる可動子と、前記可動子の駆動手段として設けられたコイル及び磁気コアと前記磁気コアおよび前記可動子の外周側に設置された筒状のノズルホルダとで構成される電磁石と、前記弁体を前記駆動手段による駆動力の向きとは逆向きに付勢する付勢手段を備え、前記コイルに電流を供給することにより前記磁気コアと前記可動子との間に磁気吸引力を作用させて前記弁体を開弁させる機能を有する燃料噴射装置において、前記弁体が前記弁座と接触する閉弁位置と前記弁体の最大リフト量との間の中間位置で前記弁体に閉弁動作を開始させ、前記弁体と前記可動子に対して閉弁方向に作用する流体力が少なくとも前記閉弁動作を開始するリフト位置まで増加するようにしたことを特徴とする電磁式燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射装置を駆動するための駆動回路において、前記コイルへの通電時に生じる逆起電圧の変化に起因するインダクタンスの変化を、前記コイルに流れる電流の時間微分値を検出することで、前記弁体が前記弁座から離脱するタイミングを検知し、駆動回路の演算装置ないしタイマにフィードバックすることによって前記磁気吸引力を制御することを特徴とする燃料噴射装置の駆動回路。
  3. 請求項1乃至2に記載の燃料噴射装置において、燃料噴射装置に電流を供給する駆動回路は、電源に接続され入力された電源電圧より高い電圧に昇圧する昇圧回路を有することで、高い電圧源と低い電圧源を有し、前記中間位置で前記弁体に前記閉弁動作を開始させる際には、前記低い電圧源から燃料噴射装置に電流を供給することを特徴する燃料噴射装置の駆動方法。
  4. 請求項3に記載の駆動方法で駆動される燃料噴射装置の駆動回路において、前記弁体が前記弁座と接触した状態から前記弁体が開弁する際に、前記駆動回路に設けた前記高い電圧源と低い電圧源を切替え可能なことを特徴する燃料噴射装置の駆動回路。
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