JP2013233458A - ファスナーストリンガー及びスライドファスナー - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット方式を利用してファスナーエレメントにファスナーテープと同様に所望の模様や色彩を綺麗に付与することが可能なファスナーストリンガーを提供する。
【解決手段】本発明のファスナーストリンガー(1)は、前記ファスナーエレメント(11,21,31,61)の少なくとも一面に着色処理が施されるファスナーストリンガー(1)であって、前記胴部(11c)、前記首部(11b)、及び前記噛合頭部(11a)の一面に、複数の凹部(13,63)又は凸部(33)が千鳥状に配されており、前記凹部(13,63)内に形成される空間部、又は前記凸部(33)の周囲に形成される空間部により、複数の定着空間部が構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ファスナーテープとともにファスナーエレメントが着色材により着色されるファスナーストリンガー、及び、同ファスナーストリンガーを有するスライドファスナーに関する。
一般に、スライドファスナーは、織成又は編成されるファスナーテープの対向側縁部に、合成樹脂製又は金属製のファスナーエレメントを取り付けてファスナーストリンガーを構成し、更に、得られたファスナーストリンガーを2つ一組として、左右のファスナーストリンガーのエレメント列にスライダーを摺動可能に取り付けることにより製造されている。このようなスライドファスナーでは、スライダーをエレメント列に沿って摺動させることによって、対向するファスナーエレメント同士の噛合・解除が行われる。
一般に、衣類やカバン類などには、従来から様々なデザインが施されており、また、商品の価値を高めることなどを目的として新しいデザインが求められている。最近では、このような衣類やカバン類などに使用されるスライドファスナーに対してもデザイン性が求められてきており、ファスナーテープやファスナーエレメントに様々な模様や色彩を施したものが市販されている。
ファスナーテープやファスナーエレメントに模様や色彩を施す方法としては、例えば、所定の模様などを有する熱転写シートをファスナーストリンガーに貼り付けた後、同ファスナーストリンガーに熱処理を行うことによって、その模様などをファスナーストリンガーに転写する方法や、また、インクジェット方式によってファスナーストリンガーに所定の模様などをプリントした後、同ファスナーストリンガーに熱処理を行うことによってファスナーストリンガーを着色する方法などが知られている。
例えば、インクジェット方式によってスライドファスナーを染色する方法及び装置については、特開平4−24004号公報(特許文献1)に記載されている。
前記特許文献1に記載されているスライドファスナーの染色方法は、先ず、合成樹脂製のファスナーエレメントを備えるスライドファスナーの一表面に対して、インクジェットノズルからインク滴を噴射することにより、スライドファスナーの表面に模様を形成する。その後、模様が付されたスライドファスナーに熱処理を行うことによって、スライドファスナーに付着した染料をファスナーテープとファスナーエレメントに染着させている。
ところで、米国特許第2,041,558号明細書(特許文献2)には、ファスナーエレメントの表面に大きな凹部(又は溝部)が形成されたスライドファスナーが開示されている。この凹部は、基本的にファスナーエレメントのデザインの一つとして装飾的にエレメント表面に形成されている。また、前記特許文献2によれば、ファスナーエレメントにコーティング又はメッキを施した後に、同ファスナーエレメントの凹部に充填物を詰めることにより、ファスナーエレメントの表面に色の違いを出すことが可能になるとしている。
特開平4−24004号公報 米国特許第2,041,558号明細書
前記特許文献1のようにインクジェット方式を利用してファスナーテープとファスナーエレメントとを着色する場合、ファスナーテープは吹き付けたインク滴が繊維に染み込みこと等によりすぐに定着するため、ファスナーテープに所望の模様や色彩を綺麗に形成することが可能である。
しかし、ファスナーエレメントの表面にインク滴を噴射した場合、エレメント表面に付着した各インク滴が、熱処理が行われるまで定着し難いため、隣り合うインク滴が互いに混ざり合って模様や色彩がにじみ易い(模様や色彩の輪郭がぼやけ易い)。このため、ファスナーエレメントに対しては、所望の模様や色彩をファスナーテープほど綺麗に形成できないという欠点があった。
一方、前記特許文献2に記載されているスライドファスナーは、ファスナーエレメントに形成した凹部に充填物を詰めることにより、充填物を詰めた部分と詰めていない部分との間で色彩を異ならせて、ファスナーエレメントに所定の模様を与えることはできるものの、例えば前記特許文献1のようにインクジェット方式を利用してファスナーエレメントを着色する場合のように、細かい模様や色彩をファスナーエレメントに綺麗に与えることができない。
また、エレメント表面に形成した凹部に充填物を単に詰めるだけでは、例えばスライダーを摺動させたときや、スライドファスナーが他の物品に衝突したときなどに、ファスナーエレメントが受ける摩擦や衝撃により、充填物がファスナーエレメントから脱落し易いという問題があった。
ところで、ファスナーストリンガー(又はファスナーチェーン)に対して、染色を行う方法の1つとして、後染め(ビーム染色とも言う)が一般的に知られている。この後染めによる染色方法は、染色用のビームにファスナーストリンガーを巻き付けて、そのファスナーストリンガーを巻き付けたビームごと染色釜に収容して染色を行うものである。
このような後染めを利用してファスナーストリンガーを染色する場合、ファスナーストリンガーをビームに何層にも重ねて巻き付けたときに、各層に巻き付けられたファスナーエレメントの表面と、その次の層に巻き付けられたファスナーエレメントの裏面とが密接し易い。このため、染色釜内でビームに巻き付けられたファスナーストリンガーに染色を行う際に、ファスナーエレメントの表面や裏面に染料が行き渡り難く、染色後のファスナーエレメントに染色ムラが発生することがあった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、ファスナーテープに取着されたファスナーエレメントに対して、インクジェット方式を利用して着色する場合にあっては、ファスナーテープと同様に所望の模様や色彩を綺麗に付与することが可能であり、また、後染めによる染色を行う場合にあっては、エレメント表面に染料を確実に行き渡らせて、色ムラを生じさせることなく安定して着色することが可能なファスナーストリンガーを提供すること、及び同ファスナーストリンガーを用いて構成されたスライドファスナーを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるファスナーストリンガーは、基本的な構成として、ファスナーテープと、前記ファスナーテープの一側縁部に沿って取着された複数のファスナーエレメントとを有し、前記ファスナーエレメントの少なくとも一面に着色処理が施されるファスナーストリンガーであって、前記ファスナーエレメントは、
前記ファスナーテープに固着される胴部と、前記胴部からテープ外方に延出する首部と、前記首部の先端に配される噛合頭部とを有し、前記ファスナーエレメントの前記着色処理が施される一面に、複数の凹部又は凸部が千鳥状に配され、互いに隣接する前記凹部間、又は互いに隣接する前記凸部間に所定の間隔が設けられ、前記凹部内に形成される空間部、又は前記凸部の周囲に形成される空間部により、複数の定着空間部が構成されてなることを最も主要な特徴とするものである。
特に本発明では、前記ファスナーエレメントの前記着色処理が施される少なくとも一面に、前記凹部又は凸部が1mm2当たりに1個以上25個以下の割合で配されている。
また、1つの前記凹部又は前記凸部に対して形成される空間部の容積が、0.002mm3以上0.27mm3以下に設定されていることが好ましい。また、前記ファスナーエレメントの前記一面に配される複数の前記凹部又は前記凸部は、互いに同一の形状に又は相似形に形成されていることが好ましい。更に、前記定着空間部は、染料又は顔料を定着させる空間であることが好ましい。
更に、本発明のファスナーストリンガーにおいて、前記ファスナーエレメントは、インクジェット方式により着色されていることが好ましい。或いは、前記ファスナーエレメントは、後染色により着色されていても良い。
そして、本発明によれば、上述の構成を有するファスナーストリンガーを有するスライドファスナーが提供される。
本発明に係るファスナーストリンガーは、ファスナーエレメントの少なくとも一面に着色処理が施されるものであって、ファスナーエレメントの着色処理が施される一面に、複数の凹部又は凸部が千鳥状に配されており、互いに隣接する凹部間、又は互いに隣接する凸部間に所定の間隔が設けられている。また、凹部内に形成される空間部、又は凸部の周囲に形成される空間部により、複数の定着空間部が構成されている。特に本発明では、凹部又は凸部が1mm2当たりに1個以上25個以下の割合で配されている。
なお、本発明において、ファスナーエレメントに対して行う着色処理とは特に限定されるものではない。ファスナーエレメントに行う着色処理としては、例えば前述のようなインクジェット方式により染料系インク又は顔料系インクを用いて着色する方法を好適に用いることができ、またその他にも、後染めによる染色方法や、吹き付けによる塗装処理などを用いることができる。また、ファスナーエレメントに行う表面処理としては、メッキ処理及び蒸着処理などの皮膜形成処理や、熱転写によりシート状のフィルムを貼着する処理などを用いることができる。
従って、上述のようにファスナーエレメントの表面に凹部又は凸部により定着空間部が形成された本発明に係るファスナーストリンガーに対して、例えばインクジェット方式を利用して着色を行う場合には、ファスナーエレメントの表面に噴射されたインク滴をエレメント表面の定着空間部で受け止めて、エレメント表面に付着したインク滴を安定して定着させることができる。
これにより、エレメント表面に付着した隣り合うインク滴同士が混ざり合うことを防止できるため、ファスナーエレメントに付される模様や色彩がにじむ(模様や色彩の輪郭がぼやける)ことを防いで、その模様や色彩の輪郭をくっきりと綺麗に形成することができる。従って、ファスナーエレメントに対して、所望の模様や色彩をファスナーテープと同様に綺麗に付与することが可能となる。
特に、ファスナーエレメントの一面(例えば、胴部、首部、及び噛合頭部の一面)に、複数の凹部又は凸部が千鳥状に配されていて、互いに隣接する凹部間、又は互いに隣接する凸部間に所定の間隔が設けられていることにより、ファスナーエレメントの表面全体に凹部又は凸部を一様に設けることが可能となる。このため、ファスナーエレメントの表面全体に噴射された各インク滴を、それぞれの位置で効率的に安定して定着させることができ、インク滴同士が混ざり合うことをより効果的に防止できる。
なお、前記特許文献2のスライドファスナーにも、ファスナーエレメントの表面に凹部は設けられているものの、この特許文献2に形成されている凹部は、凹部自体を装飾として見せるほど大きく形成されている。このため、例えば特許文献2のファスナーエレメントの表面にインクジェット方式によりインクを噴射しても、凹部内で複数のインク滴が混じり合って、模様や色彩がにじんで輪郭がぼやけるという問題が生じる。
一方、本発明のファスナーストリンガーに対して後染めによる染色を行う場合、ファスナーストリンガーをビームに重ねて巻き付けても、ファスナーエレメントの表面に定着空間部が設けられていることにより、ファスナーエレメントの表面や裏面に染料を円滑に行き渡らせることができる。このため、ファスナーエレメントに色ムラを生じさせることなく、ファスナーストリンガーを所望の色彩で均一に染色することができる。
また、同ファスナーストリンガーに対して、吹き付けにより塗装を行う着色処理、又はメッキ処理及び蒸着処理などの皮膜形成処理や、熱転写によりシート状のフィルムを貼着する処理を含む表面処理を行う場合には、ファスナーエレメントの表面に定着空間部が設けられていることにより、ファスナーエレメントの一表面と、同一表面上に形成される皮膜(塗装膜などを含む)又は同一表面上に貼着されるフィルムとの接着性又は固着性を向上させることができる。従って、ファスナーエレメント上に配される皮膜又はフィルムを剥離し難くして、ファスナーストリンガーの品質を長期に渡り安定して保持することができる。
また、本発明に係るファスナーストリンガーにおいて、前記凹部又は前記凸部が、半球体状、錐体状、又は錐台状に形成されている。これにより、インクジェット方式を利用してファスナーストリンガーに着色を行う場合に、ファスナーエレメントの表面に噴射されたインク滴を確実に定着させることができる。また、同ファスナーストリンガーに対して後染めによる染色を行う場合には、ファスナーエレメントの表面や裏面に染料を確実に行き渡らせて、ファスナーストリンガーを安定して染色することができる。
更に、ファスナーストリンガーに対して、吹き付けにより塗装を行う着色処理、又はメッキ処理及び蒸着処理などの皮膜形成処理や、熱転写によりシート状のフィルムを貼着する処理を含む表面処理を行う場合には、ファスナーエレメント上に配される皮膜又はフィルムの接着性又は固着性をより一層高めることができる。
この場合、1つの前記凹部又は前記凸部に対して形成される空間部の容積が、0.002mm3以上0.27mm3以下に設定されていることにより、例えばインクジェット方式を利用してファスナーストリンガーに180dpi程度の解像度で着色を行う場合に、ファスナーエレメントの表面に噴射されたインク滴を安定して定着させることができる。
なお、本発明において1つの凹部に対して形成される空間部の容積とは、ファスナーエレメントの表面に対して窪んでいる部分に形成される空間の容積であり、その空間部の容積は、一般的に知られている立体の体積を求める計算式などを用いて求めることができる。例えば凹部が半球状に形成されている場合、その半球状凹部における半径の値から空間
部の容積を算出することができる。一方、1つの凸部に対して形成される空間部の容積は、例えば所定の領域において、エレメント表面に形成された各凸部の頂点を結ぶ平面とファスナーエレメントの表面との間に形成される空間部の容積を算出し、その算出した所定領域における定着空間部の容積を、同所定領域内に配される凸部の個数で割ること等によって求められる。
更に、着色処理されるファスナーエレメントの前記一面に配される複数の前記凹部又は前記凸部が、互いに同一の形状に若しくは相似形に形成されていることにより、ファスナーエレメントの表面全体に凹部又は凸部を一様に設けることが可能となる。このため、ファスナーエレメントの表面全体に噴射された各インク滴を、それぞれの位置で安定して定着させることができ、インク滴同士が混ざり合うことをより確実に防止することができる。
本発明のファスナーストリンガーにおいて、ファスナーエレメントの定着空間部は、染料又は顔料を定着させる空間として特に有効に用いられる。これによって、インクジェット方式を利用してファスナーストリンガーに着色を行う場合に、ファスナーエレメントの表面に噴射されたインク滴を確実に定着させることができる。
そして、本発明のファスナーストリンガーにおいて、ファスナーエレメントがインクジェット方式により着色されていることにより、ファスナーテープとファスナーエレメントとに所望の模様や色彩が連続して付され、且つ、その模様や色彩の輪郭をくっきりと綺麗に形成することができる。このため、ファスナーストリンガーの見栄えを向上させることができる。
一方、本発明のファスナーストリンガーにおいて、ファスナーエレメントが後染色により着色されていることによっても、ファスナーエレメントに染色ムラが生じることを防止して、所望の色彩を均一に付与することができる。このため、ファスナーストリンガーの見栄えを向上させることができる。
そして、本発明により提供されるスライドファスナーは、上述のような構成を有する前記ファスナーストリンガーを用いて構成されている。このような本発明のスライドファスナーは、ファスナーストリンガーがインクジェット方式を利用して着色されることにより、ファスナーエレメントに付される模様や色彩の輪郭が綺麗に形成され、見栄えの向上したスライドファスナーとなる。また、同スライドファスナーは、ファスナーストリンガーが後染めによって染色されることにより、ファスナーエレメントに染色ムラが生じてなく、見栄えの向上したスライドファスナーとなる。
図1は、本発明の実施例1に係るスライドファスナーを示す正面図である。 図2は、同スライドファスナーのファスナーエレメントを拡大して示す斜視図である。 図3は、同ファスナーエレメントの正面図である。 図4は、同ファスナーエレメントの断面図である。 図5は、インクジェット方式を利用してファスナーエレメントの裏面側に着色を施したときのスライドファスナーを示す背面図である。 図6は、実施例1の変形例に係るファスナーエレメントの正面図である。 図7は、同ファスナーエレメントの背面図である。 図8は、本発明の実施例2に係るスライドファスナーのファスナーエレメントを拡大して示す斜視図である。 図9は、同ファスナーエレメントの正面図である。 図10は、同ファスナーエレメントの断面図である。 図11は、本発明の実施例3に係るスライドファスナーのファスナーエレメントを拡大して示す正面図である。 図12は、ファスナーエレメントの他に上止及び開離嵌挿具にも着色を施したスライドファスナーの正面図である。 図13は、ファスナーエレメントの他にスライダーにも着色を施したスライドファスナーの正面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する各実施例に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
例えば、以下の実施例では、ファスナーテープの一側縁部に沿って、合成樹脂製の複数のファスナーエレメントが射出成形により取着されたファスナーストリンガー及びスライドファスナーについて説明するが、本発明に係るファスナーストリンガー及びスライドファスナーは、これに限定されず、ファスナーテープの一側縁部に沿って、金属製の複数のファスナーエレメントがダイキャスト成形により取着されていても良い。
図1は、本実施例1に係るスライドファスナーを示す正面図である。図2は、同スライドファスナーのファスナーエレメントを拡大して示す斜視図であり、図3及び図4は、それぞれ同ファスナーエレメントの正面図及び断面図である。
本実施例1に係るスライドファスナー10は、対向するテープ側縁部にエレメント列2を備えた左右一対のファスナーストリンガー1と、エレメント列2の一端側に固着された左右の上止3と、エレメント列2の他端側に配された開離嵌挿具4と、左右のエレメント列2を噛合・分離させるためにエレメント列2に沿って摺動可能に配されたスライダー5とを有している。
本実施例1における左右のファスナーストリンガー1は、それぞれ、ファスナーテープ6と、ファスナーテープ6の対向するテープ側縁部に取着された合成樹脂製の複数のファスナーエレメント11とを備えている。左右の各ファスナーテープ6は、細幅の帯状に織成又は編成されており、ファスナー被着製品に縫い付けられるテープ主体部6aと、複数のファスナーエレメント11が取り付けられるエレメント取付部6bとを有している。また、ファスナーテープ6のエレメント取付部6b側のテープ側端縁には芯紐部6cが設けられている。芯紐部6cは、膨大状に形成され、ファスナーテープ6と一体に織編成されている。
このファスナーテープ6の芯紐部6cを含むエレメント取付部6bには、合成樹脂製のファスナーエレメント11が射出成形によりテープ長さ方向に沿って列設されて、エレメント列2が形成されている。この場合、各ファスナーエレメント11は、ファスナーテープ6を挟んでテープ表裏方向に対称的に形成されており、テープ長さ方向に長円形状を呈する噛合頭部11aと、芯紐部6cを挟持するようにしてファスナーテープ6に固着している胴部11cと、噛合頭部11a及び胴部11c間に括れるように形成され、噛合相手となるファスナーエレメント11の噛合頭部11aが嵌まり込む首部11bと、首部11b及び胴部11c間に亘って延設された翼状の肩部11dとを有している。また、噛合頭部11aにおける先端側の周壁面には、噛合相手となるファスナーエレメント11の肩部11dを嵌入するための凹溝11eが形成されている。
更に、各ファスナーエレメント11は、スライドファスナー10の外面側に配される第1表面12aと、第1表面12aとは反対の裏面側に配される第2表面12bとを有し、これらの第1及び第2表面12a,12bは、噛合頭部11a、首部11b、及び胴部11cに亘って形成されている。例えば、第1表面12aは、図1で示す正面側の面であり、第2表面12bは、その反対側の面である。
このファスナーエレメント11の第1表面12aには、平面部に対して複数の凹部13が凹設されており、これらの凹部13は千鳥状に規則的に配列されている。以下の説明において、千鳥状とは、凹部13(後述する実施例3では凹部63)が隣り合う凹部13と間隔を置いて列状に配列され、且つ、1つの列を形成する凹部13が、当該列の隣の列を形成する凹部13の間に位置するように配列されることである。なお、千鳥状に配列とは、凹部13の場合だけでなく、後述する凸部33の場合であっても同様である。このように千鳥状の配列を採用することにより、同一面積内に、より多くの凹部13(若しくは凹部63)又は凸部33を形成することができる。
本実施例1では、これらの凹部13の内部に形成された空間部が、例えば後述するようにファスナーエレメント11にインクジェット方式により着色を行ったときに、第1表面12aに噴射されたインク滴を受け止めて定着させる定着空間部として機能する。
また本実施例1において、各ファスナーエレメント11に設けられた凹部13は、第1表面12aの略全体に設けられた半球体状の第1凹部13aと、胴部11cの稜線に沿った周縁部に配され、第1凹部13aよりも小さく凹設された半球体状の第2凹部13bとを有している。この場合、噛合頭部11aの周縁部と首部11bの周縁部に配される第1凹部13aは、半球体の一部が欠けたような形状を有している。
なお、本発明において、ファスナーエレメント11の第1表面12aに設けられる全ての凹部13は、同じ大きさに設定されていても良いし、3つ以上の異なる大きさに設定されていても良い。また、第1表面12aに設けられる凹部13の形状は、半球体状に限定されるものではなく、錐体状(例えば、後述する実施例3のファスナーエレメント61を参照)や錐台状(錐体を底面に平行な平面で切り、小錐体の部分を除いた部分の形状)を採用することも可能であるが、この第1表面12aに設けられる全ての凹部13は、同一の形状又は相似形になっていることが好ましい。これにより、ファスナーエレメント11にインクジェット方式により着色するときに、ファスナーエレメント11にインク滴を安定して定着させることができ、また、ファスナーエレメント11の見栄えを向上させることができる。
この場合、ファスナーエレメント11に設けられた凹部13は、1mm2の面積当たりに1個以上25個以下の割合で配されている。特に後述するようにインクジェット方式により180dpiの解像度で着色を行う場合には、図3に仮想線で示したように、9個以上16個以下の割合で配されていることが好ましい。図3では、仮想線で示す1mm2の領域当たりに、8個の凹部13と、仮想線で半分にされた2個の凹部13とにより、合計で9個の凹部13が配されている。
一般に、ファスナーストリンガー1のファスナーテープ6は繊維を織成又は編成して構成されていることから、テープ表面には繊維の太さに対応した凹凸が形成されている。このため、ファスナーストリンガー1をインクジェット方式により着色する場合、ファスナーテープ6の凹凸を考慮して、180dpi程度の解像度が採用されることが多い(例えばインクジェット方式により720dpi程度の180dpiよりも高い解像度でファスナーテープ6を着色したしても、実際には180dpi相当でファスナーテープ6に着色
したように見える)。
更に本発明者等により行われた実験及び検討によれば、例えばインクジェット方式によりファスナーエレメント11を着色する場合(特に染色する場合)、ファスナーエレメント11に付する模様や色彩の発色をきれいに出したり、濃淡を持たせたりするためには、ファスナーエレメント11の第1表面12a上に、0.05mm以上の厚さを有するインクの膜が形成される必要があることが明らかとなった。
更に、インクジェット方式により180dpi程度の解像度でファスナーエレメント11に着色をする場合、上述のような厚さを有するインクの膜を形成するためには、1画素に対して0.002mm3〜0.005mm3のインク量が必要となることも明らかとなった。
従って、ファスナーストリンガー1に対してインクジェット方式により180dpi程度の解像度で着色を行う際に上述のようなインク量が必要となる場合において、ファスナーエレメント11における第1表面12aの1mm2の面積当たりに対する凹部13の割合が1個よりも少なければ、ファスナーエレメント11の表面に噴射された各インク滴(インク量)をそれぞれの凹部(定着空間部)13で十分に受け止めることができず、隣り合うインク滴が互いに混ざり合って模様や色彩がにじんだり、粗くなったりし易くなる。
一方、第1表面12aの1mm2の面積当たりに対する凹部13の割合が25個よりも多くなれば、凹部13の個数は十分に多くなるものの、各凹部13のサイズ(直径)が却って小さくなり過ぎてしまい、各凹部13の定着空間部に十分な容積を確保することができない。
このため、ファスナーエレメント11の表面に噴射されたインク滴(インク量)を凹部13で的確に受け止めることができず、隣り合うインク滴が互いに混ざり合い易くなる。更に、1mm2の面積当たりに対する凹部13の割合を25個よりも多くするためには、ファスナーエレメント11を成形する金型の加工にかかる手間やコストが大きくなり、ファスナーストリンガー1の製造コストが大幅に増大することも考えられる。
従って、本実施例1のように第1表面12aの1mm2の面積当たりに対する凹部13の割合が1個以上25個以下に設定されることにより、ファスナーエレメント11の第1表面12aに噴射されたインク滴を各凹部13(定着空間部)で確実に受け止めて、同インク滴を第1表面12aに安定して定着できる。このため、隣り合うインク滴が互いに混ざり合うことを効果的に防止でき、また、ファスナーストリンガー1の製造コストが増大することを抑えられる。
更に、本発明者等による実験及び検討によれば、上述のように1mm2の面積当たりに対する凹部13の割合が設定される場合において、1画素に対して0.002mm3〜0.005mm3のインク量を凹部13で受け止めて安定して定着させるためには、ファスナーエレメント11に設けられる各凹部13(凹部13の一部が欠けているものを除く)の空間部(定着空間部)の容積を0.002mm3以上0.27mm3以下に設定し、更に、各凹部13の直径を0.05mm以上0.5mm以下に設定することが好ましいことが明らかとなった。その上、互いに隣接する凹部13間の間隔は、0.05mm以上0.3mm以下に設定されることが好ましいことも明らかとなった。
従って、本実施例1のファスナーエレメント11においては、第1凹部13aの第1表面12a上における直径が0.3mmで、その空間部の容積が0.008mm3に設定されている。また、第2凹部13bの第1表面12a上における直径が0.2mmで、その
空間部の容積が0.002mm3に設定されている。
更に、互いに隣接する第1凹部13a間の間隔は、0.05mmに設定されている。一方、第2凹部13bは、図2及び図3に示したように、ファスナーエレメント11の胴部11cにおける第1表面12aの周縁部に配されており、隣接する第1凹部13aとの間の間隔は0.10mmに設定されている。
上述のような複数の凹部13を有するファスナーエレメント11は、射出成形用金型を用いてファスナーテープ6に合成樹脂を射出成形することにより、ファスナーテープ6に所定の形状を有して固着されている。この場合、ファスナーエレメント11の材質としては、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、ファスナーエレメント11に複数の凹部13を所定の位置及び大きさで設けるために、射出成形用金型のキャビティ面には複数の凸部が設けられており、このような複数の凸部は、同キャビティ面に放電加工が施されることによって形成されている。
また、本実施例1のファスナーエレメント11において、上述の凹部13は、噛合頭部11a、首部11b、及び胴部11cの第1表面12aに形成されており、噛合頭部11a、首部11b、及び胴部11cの側壁面には形成されていない。特に、同ファスナーエレメント11においては、胴部11cのテープ内方側に向いた側壁面が平坦に形成されている。
前記側壁面は、胴部11cにおいて、列状に配された隣り合うファスナーエレメント11同士がファスナーテープ6の長手方向で対面する面と、ファスナーテープ6の長手方向に沿い、噛合頭部11aと反対側のテープ幅方向に向かう面とにより成る。ここで、ファスナーテープ6において、エレメント取付部6bの縁部から相手側のファスナーテープ6側をテープ外方側とし、テープ外方側と反対で、エレメント取付部6bの縁部からテープ主体部6a側をテープ内方側とする。また、側壁面が平坦であるとは、上記したような定着空間部(凹部13)が側壁面に配されていないことを言う。
このように胴部11cのテープ内方側に向いた側壁面が平坦に形成されていることにより、スライドファスナー10を正面側から見たときに、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11との境界を判別し難くするとともに、当該側壁面にインク滴が付着したときに隣り合うインク滴が互いに混ざり合い易くなる。このため、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11とに亘って付された模様や色彩を、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11との間の境界で途切れさせることなく、連続しているように見せることができる。
また、肩部11dの第1表面12a側及び第2表面12b側の面は平坦であり、何れの面にも定着空間部(凹部13)が形成されていない。肩部11dは、左右のファスナーエレメント2が噛み合った際に、噛合相手方の凹溝11eに嵌まる部分である。このため、肩部11dの第1表面12a及び第2表面12bに凹部13が形成されていないことにより、噛合した左右のファスナーエレメント2がテープ表裏方向の力を受けたときに、肩部11dの第1表面12a又は第2表面12bと凹溝11eの内壁面との接触面積が大きくなり、その表裏方向の力に耐える強度を容易に確保することができる。
一方、本実施例1のスライドファスナー10において、左右の上止3、開離嵌挿具4、及びスライダー5は、従来から一般的に使用されているものと同様に構成されている。
即ち、左右の上止3は、ファスナーエレメント11と同じ種類の合成樹脂を射出成形することにより、エレメント列2の一端側に固着されており、エレメント列2の一端側から
スライダー5が抜けることを防止している。
開離嵌挿具4は、蝶棒、箱棒及び箱体を有しており、蝶棒が箱体に対して抜き差し可能に構成されている。スライドファスナー10に開離嵌挿具4が配されていることにより、左右のファスナーストリンガー1を分離することが可能となっている。
スライダー5は、上翼板と、下翼板と、上下翼板間を連結する案内柱と、上下翼板の左右側端縁から互いに接近するに延設された上下フランジと、上翼板の上面に立設された引手取付柱と、引手取付柱に回動可能に取り付けられた引手とを有している。
上述のような構成を有する本実施例1のスライドファスナー10に対して、例えば前記特許文献1に記載されているようなインクジェット方式による染色方法を用いて、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11とに180dpiの解像度で着色を行うことにより、図1に示すようにファスナーテープ6とファスナーエレメント11とに連続するような所望の模様と所望の色彩を容易に付することができる。
この染色方法について、より具体的に説明すると、先ず、本実施例1のスライドファスナー10をテープ長さ方向に所定の速度で搬送しながら、所定の位置に設置されたインクジェットノズルから、スライドファスナー10の外表面(ファスナーエレメント11の第1表面12aと同じ側の面)に向けて、ファスナーテープ6のテープ幅方向全体に染料系のインク滴を噴射する。
このとき、インクジェットノズルは、同ノズルに配された超音波ヘッドからインクを噴射するとともに、超音波ヘッドにおいてインクに超音波振動を与えることにより、インクが微小な液滴の状態で噴射される。また、このインクジェットノズルでは、超音波ヘッドからインク滴を噴射する際に、電極によってそのインク滴に電荷が与えられる。
更に、超音波ヘッドから噴射されたインク滴は、同インクジェットノズルに配された偏向電極を通過する際に、インク滴の軌道が、同インク滴に与えられた電荷によって所要の方向に曲げられて、所望の模様や色彩を形成するようにファスナーテープ6やファスナーエレメント11に吹き付けられる。
そして、ファスナーテープ6に吹き付けられたインク滴は、同ファスナーテープ6を構成する繊維に染み込みこと等によってファスナーテープ6に定着する。また、ファスナーエレメント11に吹き付けられたインク滴は、同ファスナーエレメント11の第1表面12aに千鳥状に配された複数の半球体状の凹部13で受け止められて、同第1表面12aに定着する。
特に、本実施例1のファスナーエレメント11に設けられた凹部13は、上述のように所定の大きさ及び空間部の容量を有しているため、ファスナーエレメント11に吹き付けられた各インク滴を凹部13の定着空間部で確実に受け止めて、そのインク滴をファスナーエレメント11の第1表面12aに安定して定着させることができる。
このため、ファスナーエレメント11の第1表面12aに付着した隣り合うインク滴同士が混ざり合うことを効果的に防止できる。しかも、本実施例1のファスナーエレメント11では、胴部11cの周縁部に第1凹部13aよりも小さく形成された第2凹部13bが配されており、また、噛合頭部11aの周縁部、首部11bの周縁部、及び胴部11cの周縁部には、半球体の一部が欠けたように形成された第1凹部13aが配されているため、第1表面12aの周縁部においてもインク滴を第1及び第2凹部13a,13bで安定して受け止めて定着させることができる。
その後、ファスナーテープ6及びファスナーエレメント11にインク滴が付着したスライドファスナー10に熱処理を行うことによって、図1に示すように、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11とに所望の模様(例えば、アルファベットの文字)や色彩が連続して染着され、且つ、その模様や色彩の輪郭がくっきりと綺麗に形成されて見栄えが向上したスライドファスナー10を得ることができる。
熱処理は、例えば加熱した雰囲気中にスライドファスナー10を通す処理により行われ、乾熱処理とも言われる。なお、前述の説明では、所定長さのスライドファスナー10にインク滴を吹き付けて熱処理を行う例を示したが、本発明では、例えば所定長さに切断する前の連続状のファスナーストリンガー1にインク滴を吹き付けて付着させ、続いて、その連続状のファスナーストリンガー1に熱処理を行うことで染着し、その後、一対のファスナーストリンガー1に、上止3、開離嵌挿具4、及びスライダー5を取り付けてから、所定長さに切断することにより、スライドファスナー10を得ることもできる。
なお、上述のインクジェット方式による染色方法では、染料系インクを用いてスライドファスナー10に着色を行う場合について説明しているが、本発明では、染料系インクの代わりに顔料系インクを用いてスライドファスナー10に着色を行うことも可能である。顔料系インクは、染料が溶媒に溶ける染料系インクとは異なり、染料が溶媒に溶けずに溶媒中を分散しているタイプのインクである。このような顔料系インクを用いてスライドファスナー10に着色を行う場合でも、インク滴をファスナーエレメント11に安定して定着させることができ、模様や色彩の輪郭を綺麗に見せることができる。
また、本発明では、上述のようにファスナーテープ6とファスナーエレメント11に着色を行う場合に、スライドファスナー10の形態で着色を行うことができるし、また、ファスナーチェーンの形態やファスナーストリンガー1の形態で着色を行うことも可能である。
更に、本実施例1におけるスライドファスナー10は、上述のようなインクジェット方式を利用して着色が行われる代わりに、後染めにより染色を行うことができる。
この後染めを行う場合、スライダー5が取り付けられる前のファスナーチェーンの形態や、ファスナーストリンガー1の形態にて染色が行われる。例えば、ファスナーチェーン(又はファスナーストリンガー1)を染色用のビームに何層にも重ねて巻き付け、更に、そのファスナーチェーンをビームに巻き付けた状態のまま染色釜に収容し、同染色釜内でファスナーチェーンを染色する。
このとき、本実施例1に係るファスナーチェーンは、各ファスナーエレメント11の第1表面12aに複数の凹部13が表面全体に亘って形成されている。更に、その第1表面12aの凹部13が配されていない部分は、目視により観察した場合には平面に形成されているように見えるものの、顕微鏡などでマイクロメートルのオーダーで観察した場合には、凹部13を形成したことに起因して、同平面内にも高い部分と低い部分とが形成され、同平面が僅かに高低差を有している。
これにより、ファスナーチェーンをビームに何層にも重ねて巻き付けても、各層に巻き付けられたファスナーエレメント11の表面と、その次の層に巻き付けられたファスナーエレメント11の裏面との間には僅かな隙間が形成される。このため、染色釜内でファスナーチェーンに染色を行う際に、前記隙間に染料が流通することにより、ファスナーエレメント11の表面や裏面に染料を円滑に行き渡らせることができる。その結果、ファスナーエレメント11に色ムラを生じさせることなく、ファスナーチェーンを所望の色彩で均一に且つ安定して染色することができる。
更にまた、本実施例1のスライドファスナー10に対しては、吹き付けによりファスナーエレメント11の第1表面12aに塗装を行う着色処理を行うことができる。また、ファスナーエレメント11に金属メッキ処理を行って、又はファスナーストリンガー1に所定の雰囲気中(例えばアルミニウム雰囲気中)で蒸着処理を行ってファスナーエレメント11の表面に皮膜を形成する表面処理を行うことができる。更に、ファスナーエレメント11の表面に、熱転写によりシート状のフィルムを貼着する表面処理を行うこともできる。
そして、本実施例1のスライドファスナー10に上述のような塗装による着色処理や、金属メッキ処理や蒸着処理などの表面処理を行った場合、各ファスナーエレメント11の第1表面12aに複数の凹部13が配され、各凹部13には所定の容積を有する微細な定着空間部が形成されているため、その定着空間部に塗装膜又は皮膜の一部が入り込んで確実に定着する。これによって、ファスナーエレメント11の第1表面12aと、その第1表面12a上に形成される塗装膜若しくは皮膜との固着強度を大幅に高めることができるため、ファスナーエレメント11上に形成された塗装膜又は皮膜を剥離し難くすることができる。
上記の染色と塗装に関して、染色とは、染料が樹脂の表面及び表面近傍の内部を染めることであり、塗装とは、表面上に色が積層することである。このため、ファスナーテープとファスナーエレメントに染色を行う場合、ファスナーテープとファスナーエレメントとには同じ染料で染まる材質を採用することが好ましい。例えばファスナーテープの材質がポリエステル樹脂の場合、ファスナーエレメントには、ポリエステル系樹脂やポリブチレンテレフタレートを使用することが好ましく、また、ファスナーテープの材質がポリアミド樹脂の場合、ファスナーエレメントには、ポリアミド系樹脂を使用することが好ましい。
また、本実施例1のスライドファスナー10に、熱転写によりシート状のフィルムを貼着する表面処理を行った場合、各ファスナーエレメント11の第1表面12aに複数の凹部13が配され、各凹部13には所定の容積を有する微細な定着空間部が形成されているため、その定着空間部に接着剤が入り込んで確実に定着する。これによって、ファスナーエレメント11の第1表面12aと、その第1表面12a上に貼着されるフィルムとの接着強度を大幅に高めることができるため、ファスナーエレメント11の第1表面12aに貼着されたフィルムを剥離し難くすることができる。
なお、本実施例1に係るスライドファスナー10では、ファスナーエレメント11の第1表面12aのみに凹部13が形成されている場合について説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半球体状の凹部13がファスナーエレメント11の第1表面12aではなく、その反対側の第2表面12bのみに形成されていても良いし、第1表面12aと第2表面12bの両面に形成されていても良い。
例えば、ファスナーエレメント11の第1表面12aと第2表面12bの両面に半球体状の凹部13が形成されていれば、図1に示すように、インクジェット方式を利用して、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11の外面(第1表面12a)側に所望の模様や色彩を着色するとともに、図5に示すように、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11の裏面(第2表面12b)側にも所望の模様(例えば、アルファベットの文字)や色彩を容易に着色することができる。
更に、本実施例1に係るスライドファスナー10では、ファスナーエレメント11がファスナーテープ6の表面側と裏面側とで対称的な形状を有しているが、本発明では、ファスナーエレメント11がファスナーテープ6の表面側と裏面側とで異なる形状を有してい
ても良い。
例えば、図6及び図7に本実施例1の変形例を示すように、この変形例に係るスライドファスナー20では、ファスナーエレメント21がファスナーテープ6の表面側と裏面側とで異なる形状を有している。即ち、ファスナーエレメント21のテープ表面側に配される半部(図7を参照)は、前記実施例1と同様に、胴部11cと、首部11bと、噛合頭部11aとを有しているものの、同ファスナーエレメント21のテープ裏面側に配される半部(図6を参照)は、ファスナーテープ6に固着された胴部21cと、同胴部21cからテープ外方に延設された略三角形状の頭部21aとを有している。この場合、テープ表面側に配される胴部11c、首部11b、及び噛合頭部11aの表面が第1表面22aとなり、テープ裏面側に配される胴部21c及び頭部21aの表面が第2表面22bとなる。
また、この変形例に係るファスナーエレメント21の第1表面22aと第2表面22bの両面に、複数の凹部13が千鳥状に配されており、第1及び第2表面22a,22bに配された凹部13は、全て同じ大きさの半球体状に形成されている。この場合、第1及び第2表面22a,22bに配された凹部13は、1mm2の面積当たりに1個以上25個以下の割合で、好ましくは9個以上16個以下の割合で配されている。
更に、その第1及び第2表面22a,22bに配された各凹部13(凹部13の一部が欠けているものを除く)は、0.002mm3以上0.27mm3以下の容積を有し、且つ、0.05mm以上0.5mm以下の直径を有している。更にまた、第1及び第2表面22a,22bにおいて、互いに隣接する凹部13間の間隔は0.05mm以上0.3mm以下に設定されている。
このような条件で第1及び第2表面22a,22bに凹部13が形成されたファスナーエレメント21を有する変形例のスライドファスナー20に対して、インクジェット方式により、ファスナーテープ6とファスナーエレメント21の表裏両面に着色を行う場合、ファスナーエレメント21の第1表面22aに吹き付けられたインク滴を、実施例1のときと同様に、千鳥状に配された複数の半球体状の凹部13で受け止めて、同第1表面22aに安定して定着させることができる。また、ファスナーエレメント21の第2表面22bに吹き付けられたインク滴についても同様に、千鳥状に配された複数の半球体状の凹部13で受け止めて、同第2表面22bに安定して定着させることができる。
その後、ファスナーテープ6及びファスナーエレメント21の表裏両面にインク滴が付着したスライドファスナー20に熱処理を行うことによって、ファスナーテープ6とファスナーエレメント21の表裏両面に所望の模様や色彩が連続して染着され、且つ、その模様や色彩の輪郭がくっきりと綺麗に形成されたスライドファスナー20を得ることができる。なお、模様のデザインは特に限定されるものではなく、また、模様は、2色以上の色で形成されるものを含む。
一方、上述のような変形例に係るスライドファスナー20用のファスナーチェーンに対して、後染めにより染色が行われる場合には、各ファスナーエレメント21の第1表面22aと第2表面22bとに複数の凹部13が表面全体に亘って形成されているため、同ファスナーチェーンをビームに巻き付けて染色釜内で染色を行う際に、ファスナーエレメント21の表面や裏面に染料をより円滑に行き渡らせることができる。このため、ファスナーエレメント21に色ムラを生じさせることなく、ファスナーチェーンを所望の色彩で均一に且つ安定して染色することができる。
更に、この変形例に係るスライドファスナー20に対して、吹き付けにより塗装を行う
着色処理、又は、金属メッキ処理や蒸着処理などの表面処理若しくは熱転写によりシート状のフィルムを貼着する表面処理がファスナーエレメント21の第1及び第2表面22a,22bに行われる場合には、第1及び第2表面22a,22b上に配された塗装膜、皮膜、又はフィルムの固着強度又は接着強度を高めて、塗装膜、皮膜、又はフィルムを第1及び第2表面22a,22bから剥離し難くすることができる。
また、同スライドファスナー20では、ファスナーエレメント21の第1表面22a側の半部と第2表面22b側の半部とでは、互いに形状が異なり、使用者に異なる印象を与えることができる。
なお、テープ表面側に配される噛合頭部11aにおける第2表面22b側の面(図6を参照)と、テープ裏面側に配される頭部21aにおける第1表面22a側の面(図7を参照)とには、凹部13が形成されていない。これは、左右のファスナーエレメント21が噛み合った際に、噛合頭部11aの第2表面22b側の面と、噛合相手方の頭部21aの第1表面22a側の面とをより広い面積で接触させることにより、テープ表裏方向の力に耐える強度を確保するためである。
図8は、本実施例2に係るスライドファスナーのファスナーエレメントを拡大して示す斜視図である。また、図9は、同ファスナーエレメントの正面図であり、図10は、同ファスナーエレメントの断面図である。
本実施例2に係るスライドファスナー30では、各ファスナーエレメント31の第1表面32aに、前述の実施例1のファスナーエレメント11に設けられている複数の半球体状の凹部13の代わりに、複数の半球体状の凸部33が設けており、それ以外については、前述の実施例1に係るスライドファスナー10と実質的に同様に構成されている。
従って、本実施例2では、各ファスナーエレメント31の第1表面32aに設けられた複数の凸部33の構成について主に説明を行い、前述の実施例1のスライドファスナー10と同様の構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。なお、後述する実施例3においても同様に、前述の実施例1のスライドファスナー10と同様の構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。
本実施例2における各ファスナーエレメント31には、同じ形状及びサイズを有する半球体状の複数の凸部33が第1表面32aの略全体に千鳥状に配されている。なお、これらの凸部33は、相似形を有していれば、異なる大きさに形成されていても良い。また、凸部33の形状は、半球体状に限定されるものではなく、錐体状や錐台状を採用することも可能である。
この場合、各ファスナーエレメント31に設けられた凸部33は、1mm2の面積当たりに1個以上25個以下の割合で配されている。特にインクジェット方式により180dpiの解像度で着色を行う場合には、9個以上16個以下の割合で配されていることが好ましい。
更に、本実施例2のファスナーエレメント31においては、第1表面32aに凸部33が形成されることによって、各凸部33の頂点を結ぶ平面とファスナーエレメント31の平坦な第1表面32aとの間には空間部が形成される。本実施例2において形成されるこのような空間部は、例えばインクジェット方式によりファスナーエレメント31を着色する場合には、インク滴を受け止めて定着させる定着空間部として機能し、また、例えばフ
ァスナーチェーンに後染めにより染色が行われる場合には、染料を流通させて同染料をファスナーエレメント31の第1表面32aに行き渡らせるための定着空間部として機能する。
この場合、1つの凸部33に対して形成される定着空間部の容積は、0.002mm3以上0.27mm3以下に設定されている。ここで、1つの凸部33に対して形成される定着空間部の容積とは、例えばある所定の領域における定着空間部の容積を計算により求め、その求めた定着空間部の容積を、所定の領域内に配された凸部33の個数で割ることによって得られる数値である。
更に、第1表面32aに配された各凸部33の第1表面32a上における直径が、0.05mm以上0.5mm以下に設定されるとともに、互いに隣接する凸部33間の間隔は0.05mm以上0.3mm以下に設定されている。
このような条件で凸部33が第1表面32aに形成されたファスナーエレメント31を有する本実施例2のスライドファスナー30に対して、インクジェット方式により、ファスナーテープ6とファスナーエレメント31に180dpiの解像度で着色を行う場合、ファスナーエレメント31の第1表面32aに吹き付けられたインク滴を、千鳥状に配された各凸部33の周囲に形成される所定容量の定着空間部で受け止めて、そのインク滴をファスナーエレメント31の第1表面32aに安定して定着させることができる。このため、第1表面32aに付着した隣り合うインク滴同士が混ざり合うことを効果的に防止できる。
その後、ファスナーテープ6及びファスナーエレメント31にインク滴が付着したスライドファスナー30に熱処理を行うことによって、ファスナーテープ6とファスナーエレメント31とに所望の模様や色彩が連続して付され、且つ、その模様や色彩の輪郭がくっきりと綺麗に形成されて見栄えが向上したスライドファスナー30を得ることができる。
一方、本実施例2に係るスライドファスナー30用のファスナーチェーンに対して、後染めにより染色が行われる場合には、各ファスナーエレメント31の第1表面32a上には所定の容積を有する定着空間部が各凸部33の周囲に配されているため、同ファスナーチェーンをビームに巻き付けて染色釜内で染色を行う際に、ファスナーエレメント31の表面や裏面に染料をより円滑に行き渡らせることができる。このため、ファスナーエレメント31に色ムラを生じさせることなく、ファスナーチェーンを所望の色彩で均一に且つ安定して染色することができる。
更に、本実施例2に係るスライドファスナー30に対して、吹き付けにより塗装を行う着色処理、又は、金属メッキ処理や蒸着処理などの表面処理若しくは熱転写によりシート状のフィルムを貼着する表面処理がファスナーエレメント31の第1表面32aに行われる場合には、各ファスナーエレメント31の第1表面32a上には所定の容積を有する定着空間部が各凸部33の周囲に配されているため、第1表面32aと第1表面32a上に形成される塗装膜、皮膜、又はフィルムとの固着強度又は接着強度が高められ、塗装膜、皮膜、又はフィルムを第1表面32aから剥離し難くすることができる。
図11は、本実施例3に係るスライドファスナーのファスナーエレメントを拡大して示す正面図である。
本実施例3に係るスライドファスナー60では、各ファスナーエレメント61の第1表面62aに、前述の実施例1のファスナーエレメント11に設けられている複数の半球体状の凹部13の代わりに、複数の正四角錘体状の凹部63が設けている。
即ち、本実施例3における各ファスナーエレメント61には、同じ寸法を有する正四角錘体状の複数の凹部63が第1表面62aに千鳥状に配されている。本実施例3では、これらの凹部63の内部に形成された空間部が、定着空間部として機能する。
この場合、第1表面62aに設けられる凹部63は、全て同じ形状及びサイズで形成されており、1mm2の面積当たりに1個以上25個以下の割合で、好ましくは9個以上16個以下の割合で配されている。また、この第1表面62aに配された各凹部63は、0.002mm3以上0.27mm3以下の容積を有し、且つ、凹部63の第1表面62a上における一辺の長さが、0.05mm以上0.5mm以下に設定されている。
このような条件で第1表面62aに正四角錘体状の複数の凹部63が形成されたファスナーエレメント61を有する本実施例3のスライドファスナー60に対して、インクジェット方式により、ファスナーテープ6とファスナーエレメント61に180dpiの解像度で着色を行う場合、ファスナーエレメント61の第1表面62aに吹き付けられたインク滴を、正四角錘体状の複数の凹部63で受け止めて、そのインク滴をファスナーエレメント61の第1表面62aに安定して定着させることができる。このため、エレメント表面に付着した隣り合うインク滴同士が混ざり合うことを効果的に防止できる。
一方、本実施例3に係るスライドファスナー60用のファスナーチェーンに対して、後染めにより染色が行われる場合には、各ファスナーエレメント61の第1表面62aに正四角錘体状の複数の凹部63が形成されており、且つ、その第1表面62aにおける凹部63が配されていない部分を顕微鏡などでマイクロメートルのオーダーで観察した場合に同平面内に僅かな高低差が形成されている。
このため、ファスナーチェーンをビームに何層にも重ねて巻き付けても、各層に巻き付けられたファスナーエレメント61の表面と、その次の層に巻き付けられたファスナーエレメント61の裏面との間には小さな隙間が形成される。このため、染色釜内でファスナーチェーンに染色を行う際に、ファスナーエレメント61の表面や裏面に染料を円滑に行き渡らせることができる。このため、ファスナーエレメント61に色ムラを生じさせることなく、ファスナーチェーンを所望の色彩で均一に且つ安定して染色することができる。
更に、本実施例3に係るスライドファスナー60に対して、吹き付けによりファスナーエレメント61の第1表面62aの塗装を行う着色処理が行われる場合、又は、金属メッキ処理や蒸着処理などの表面処理若しくは熱転写によりシート状のフィルムを貼着する表面処理がファスナーエレメント61の第1表面62aに行われる場合には、前述の実施例1と同様に、塗装膜、皮膜、又はフィルムの固着強度又は接着強度が高められ、塗装膜、皮膜、又はフィルムを第1表面62aから剥離し難くすることができる。
なお、上述の実施例1〜実施例3では、スライドファスナー10〜60に対して、インクジェット方式により、ファスナーテープ6とファスナーエレメント11〜61に着色を行う場合について説明している。しかし、本発明に係るスライドファスナー10〜60では、例えば、上止3や開離嵌挿具4の第1表面及び/又は第2表面にも、ファスナーエレメント11〜61に形成した凹部又は凸部と同じ形状(又は相似形)の凹部又は凸部を、同ファスナーエレメント11〜61と同じような条件で設けることができる。
これにより、スライドファスナー10〜60のファスナーテープ6とファスナーエレメント11〜61に、インクジェット方式により着色を行う際に、上止3や開離嵌挿具4にもインクジェット方式により着色を行うことができる。しかもこの場合、上止3や開離嵌挿具4に所望の模様や色彩をファスナーテープ6やファスナーエレメント11〜61から
連続するように付され、且つ、その模様や色彩の輪郭をくっきりと綺麗に形成することができる。このため、例えば図12に示したように、ファスナーテープ6と、ファスナーエレメント11と、上止3又は開離嵌挿具4とに連続するような模様(例えば、アルファベットの文字)や色彩を綺麗に且つ安定して付することができる。
また同様に、本発明に係るスライドファスナー10〜60では、スライダーの第1表面及び/又は第2表面にも、ファスナーエレメント11〜61に形成した凹部又は凸部と同じ形状(又は相似形)の凹部又は凸部を、同ファスナーエレメント11〜61と同じような条件で設けることができる。なお、この場合、スライダーとしては、例えば図13に示したように、引手がスライダーの側面に回動可能に取着され、上翼板が表面に露呈し易いようなスライダー8(フラットスライダーと呼ばれることもある)を用いることが好ましい。
これにより、スライダー8に対してもインクジェット方式により着色を行った際に、図13に示したように、同スライダー8に所望の模様(例えば、アルファベットの文字)や色彩をファスナーテープ6やファスナーエレメント11から連続するように付され、且つ、その模様や色彩の輪郭をくっきりと綺麗に形成することができる。このため、ファスナーテープ6と、ファスナーエレメント11と、スライダー8とに連続するような模様や色彩を綺麗に且つ安定して付することができる。
なお、上記の各実施例において、ファスナーエレメント表面の凹部又は凸部は、ファスナーエレメントの射出成形やダイキャスト成形と同時に形成されるが、本発明はこれに限定されず、例えばファスナーエレメントの成形後に、凹部又は凸部を後加工により形成しても良い。この場合、後加工として、凹凸を有するローラーをファスナーエレメントに押し当てる加工や、切削による加工を利用することが可能である。
金属製のファスナーエレメントが用いられる場合、同ファスナーエレメントに着色材が定着しやすくするために、ファスナーエレメントの金属表面に合成樹脂を塗布することなどによりコーティングを施すことが可能である。この場合、ファスナーエレメント表面に形成された樹脂層は、コーティング後にもファスナーエレメント表面の凹部又は凸部の定着空間部を埋めることはないため、その後の着色材による着色(染着)を行う際に、定着空間部に着色材を安定して定着できる。また、このファスナーエレメント表面に形成する樹脂層として、透明の樹脂層を用いることにより、着色したファスナーエレメントに金属独特の色合いを持たせることもできる。
1 ファスナーストリンガー
2 エレメント列
3 上止
4 開離嵌挿具
5 スライダー
6 ファスナーテープ
6a テープ主体部
6b エレメント取付部
6c 芯紐部
8 スライダー
10 スライドファスナー
11 ファスナーエレメント
11a 噛合頭部
11b 首部
11c 胴部
11d 肩部
11e 凹溝
12a 第1表面
12b 第2表面
13 凹部
13a 第1凹部
13b 第2凹部
20 スライドファスナー
21 ファスナーエレメント
21a 頭部
21c 胴部
22a 第1表面
22b 第2表面
30 スライドファスナー
31 ファスナーエレメント
32a 第1表面
33 凸部
60 スライドファスナー
61 ファスナーエレメント
62a 第1表面
63 凹部

Claims (8)

  1. ファスナーテープ(6) と、前記ファスナーテープ(6)の一側縁部に沿って取着された複数のファスナーエレメント(11,21,31,61) とを有し、前記ファスナーエレメント(11,21,31,61) の少なくとも一面に着色処理が施されるファスナーストリンガー(1)であって、
    前記ファスナーエレメント(11,21,31,61)は、前記ファスナーテープ(6)に固着される胴部(11c)と、前記胴部(11c)からテープ外方に延出する首部(11b)と、前記首部(11b)の先端に配される噛合頭部(11a)とを有し、
    前記ファスナーエレメント(11,21,31,61)の前記着色処理が施される一面に、複数の凹部(13,63) 又は凸部(33)が千鳥状に配され、
    互いに隣接する前記凹部(13,63)間、又は互いに隣接する前記凸部(33)間に所定の間隔が設けられ、
    前記凹部(13,63)内に形成される空間部、又は前記凸部(33)の周囲に形成される空間部により、複数の定着空間部が構成されてなる、
    ことを特徴とするファスナーストリンガー。
  2. 前記凹部(13,63)又は凸部(33)が1mm2当たりに1個以上25個以下の割合で配されてなる請求項1記載のファスナーストリンガー。
  3. 1つの前記凹部(13,63)又は前記凸部(33)に対して形成される空間部の容積が、0.002mm3以上0.27mm3以下に設定されてなる請求項1又は2記載のファスナーストリンガー。
  4. 前記ファスナーエレメント(11,21,31,61)の前記一面に配される複数の前記凹部(13,63)又は前記凸部(33)は、互いに同一の形状に又は相似形に形成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のファスナーストリンガー。
  5. 前記定着空間部は、染料又は顔料を定着させる空間である請求項1〜4のいずれかに記載のファスナーストリンガー。
  6. 前記ファスナーエレメント(11,21,31,61)は、インクジェット方式により着色されてなる請求項1〜5のいずれかに記載のファスナーストリンガー。
  7. 前記ファスナーエレメント(11,21,31,61)は、後染色により着色されてなる請求項1〜5のいずれかに記載のファスナーストリンガー。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の前記ファスナーストリンガー(1)を有することを特徴とするスライドファスナー。
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