JP2013232836A - 発振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度特性に基づく影響を高精度に抑えることができる制御信号を出力すると共にその構成を簡素化することができる発振装置を提供すること。
【解決手段】第1の発振回路の発振出力f1及び第2の発振回路の発振出力f2の差分に応じた差分信号を温度検出値として取り扱い、当該差分信号に基づいて、f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号を出力し、前記f1を発振出力とする発振装置において、外部コンピュータからパラメータを記憶する記憶部にアクセスするために前記外部コンピュータを接続するための第1の接続端及び第2の入力端が当該記憶部に接続された第1の状態と、第1の接続端、第2の接続端から夫々f1、f2が外部の周波数測定部に取り出されるように前記第1の信号路及び第2の信号路に第1の接続端及び第2の接続端が接続される第2の状態とを互いに切り替える。
【選択図】図1

Description

本発明は、第1の発振回路の発振出力f1及び第2の発振回路の発振出力f2の差分に応じた信号を温度検出値として取り扱い、f1の温度特性に基づく影響を抑える発振装置に関する。
図18は発振装置であるTCXOの一般的な構成を示している。90は水晶振動子、91は発振回路であり、制御電圧発生部93から電圧可変容量素子92に供給される制御電圧を変えることにより、電圧可変容量素子92の容量をコントロールして発振周波数(出力周波数)が調整される。
水晶振動子90は温度に応じて周波数が変化するため、制御電圧発生部93は、温度検出器94により検出した温度に応じて制御電圧を補正している。具体的には、水晶振動子90の周波数温度特性を基準温度にて正規化した関数である例えば3次関数をメモリ95内に格納し、この関数(周波数温度特性)に基づいて温度検出値に対応する周波数を読み出す。即ち基準温度時の周波数に対してそのときの温度おける周波数がどのくらいずれているかを読み出し、この周波数のずれ分に対応する制御電圧を温度補償量として、基準温度時の周波数に対応する制御電圧から差し引くようにしている。ここで挙げた例の他に、詳しくは実施形態で説明するが、第1の発振回路の発振出力f1及び第2の発振回路の発振出力f2の差分に応じた信号を温度検出値として取り扱うことで、さらに高精度な出力を得る発振装置を用いることが検討されている。
ところで、発振装置は安定した発振出力を得るために調整を行う必要がある。前記TCXOを用いた例では、上記の温度検出値に対応する制御電圧を決定するための関数を設定する。しかし、このように調整を行うために、例えば調整用に周波数を測定する機器などを接続可能な構成としたことで、発振装置の構成が複雑化してしまわないように対処することが求められている。
特許文献1の図2及び図3には、共通の水晶片に2対の電極を設けて2つの水晶振動子(水晶共振子)を構成することが記載されている。また段落0018には、温度変化に応じて2つの水晶振動子の間で周波数差が現れるので、この周波数差を計測することにより温度を計測することと同じになると記載されている。そしてこの周波数差Δfと補正すべき周波数の量との関係をROMに記憶させ、Δfに基づいて周波数補正量を読み出している。しかし、この装置は上記の問題を解決できるものではない。
特開2001−292030号
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、温度特性に基づく影響を高精度に抑えることができる制御信号を出力すると共に、その構成を簡素化することができる発振装置を提供することである。
本発明の発振装置は、第1の発振回路の発振出力f1及び第2の発振回路の発振出力f2の差分に応じた差分信号を温度検出値として取り扱い、当該差分信号に基づいて、f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号を出力し、前記f1を発振出力とする発振装置において、
前記制御信号を出力するためのパラメータが記憶される記憶部と、
前記f1、f2を夫々取り込むための第1の信号路及び第2の信号路に接続され、取り込まれた前記f1、f2から前記差分信号を求め、当該差分信号と前記パラメータとに基づいて前記制御信号を出力する信号処理部と、
外部コンピュータを接続するための第1の接続端及び第2の接続端と、
前記外部コンピュータから前記記憶部にアクセスするために前記第1の接続端及び第2の接続単端が当該記憶部に接続された第1の状態と、第1の接続端、第2の接続端から夫々f1、f2が外部の周波数測定部に取り出されるように前記第1の接続端及び第2の接続端が前記第1の信号路及び第2の信号路に接続される第2の状態とを互いに切り替えるための切り替え部と、
を備えることを特徴とする。
本発明の具体的な態様としては例えば下記の通りである。
(1)前記切り替え部は、前記記憶部に設けられる接続状態の切り替え用の記憶領域に記憶される論理値に基づいて前記第1の状態と、第2の状態とを切り替え、
前記切り替え用の記憶領域には、前記切り替え部を第1の状態にするための第1の論理値と、前記切り替え部を第2の状態にするための第2の論理値とのうち一方が選択されて記憶され、
前記外部コンピュータからは独立して、前記切り替え用の記憶領域の論理値を第1の論理値にリセットするリセット部が設けられる。
(2)前記リセット部は、発振装置の電源投入時に論理値記憶領域を第1の論理値にリセットすることを特徴とする請求項2記載の発振装置。
(3)f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号は、f1における基準温度時のf1の値からの変化分と、f1及びf2の差分に応じた信号と、の関係に基づいて、基準温度時のf1に対する周波数補正値に相当する信号である置。
(4)前記第1の発振回路及び第2の発振回路に接続される第1の水晶振動子及び第2の水晶振動子の温度を一定に維持するための温度調整部を備え、
f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号は、前記温度調整部の発熱量を制御するための信号である。
本発明の発振装置は、第1の発振回路の発振出力f1及び第2の発振回路の発振出力f2の差分に応じた差分信号に基づいて、f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号を出力する構成とされ、外部コンピュータが接続される第1の接続端及び第2の接続端が、前記制御信号を出力するための信号処理部に用いるパラメータを記憶する記憶部に接続された状態と、信号処理部にf1、f2を供給する信号路に接続される状態と、を互いに切り替える。それによって温度による周波数変動を高精度に抑え、且つf1、f2を取り出すための専用の端子を設ける必要が無いので、装置構成を簡素化することができる。
本発明に係る発振装置の全体構成を示すブロック図である。 前記発振装置の一部を示すブロック図である。 図2に示す一部の出力の波形図である。 図2に示す、DDS回路部を含むループにおいてロックしていない状態を模式的に示す各部の波形図である。 図2に示す、DDS回路部を含むループにおいてロックしている状態を模式的に示す各部の波形図である。 第1の発振回路の周波数f1及び第2の発振回路の周波数f2と温度との関係を示す周波数温度特性図である。 f1、f2の各々を正規化した値と温度との関係を示す周波数温度特性図である。 f1を正規化した値と温度との関係、及びf1を正規化した値とf2を正規化した値との差分ΔFと温度との関係を示す周波数温度特性図である。 図8の縦軸を正規化した値と、周波数補正値との関係を示す特性図である。 補正値演算部を示すブロック図である。 前記発振装置を構成するマイクロコントローラのブロック図である。 発振装置の概略縦断側面図である。 スイッチの切り替え動作を示す作用図である。 スイッチの切り替え動作を示す作用図である。 スイッチの切り替え動作を示す作用図である。 スイッチの切り替え動作を示す作用図である。 比較例の発振装置のブロック図である。 従来の発振装置の回路図である。
図1は本発明の実施形態にかかる水晶発振器を適用して構成した発振装置1Aの全体を示すブロック図である。この発振装置1Aは、設定された周波数の周波数信号を出力する周波数シンセサイザとして構成され、水晶振動子を用いた電圧制御発振器100と、この電圧制御発振器100におけるPLLを構成する制御回路部200と、前記PLLの参照信号を生成するためのDDS201を動作させるためのクロック信号を生成する水晶発振器(符号は付していない)と、この水晶発振器における水晶振動子10、20の置かれる雰囲気の温度を調整するためのヒータ回路50と、を備えている。従って前記水晶発振器はOCXOである。
前記制御回路部200は、PLL(Phase locked loop)であり、DDS(Direct Digital Synthesizer)回路部201から出力するリファレンス(参照用)クロックと、電圧制御発振器100の出力を分周器204で分周したクロックの位相とを位相周波数比較部205にて比較し、その比較結果である位相差がチャージポンプ204によりアナログ化される。アナログ化された信号はループフィルタに入力され、PLLが安定するように制御される。DDS回路部201は、後述の第1の発振回路1から出力される周波数信号を基準クロックとして用い、目的とする周波数の信号を出力するための周波数データ(ディジタル値)が入力されている。
しかし前記基準クロックの周波数が温度特性をもっているため、この温度特性をキャンセルするためにDDS回路部201に入力される前記周波数データに後述の周波数補正値に対応する信号を加算している。DDS回路部201に入力される周波数データを補正することで、基準クロックの温度特性変動分に基づくDDS回路部201の出力周波数の温度変動分がキャンセルされ、結果として温度変動に対して参照用クロックの周波数が安定し、以って電圧制御発振器100からの出力周波数が安定することになる。つまり、前記水晶発振器はTCXOとしても構成されており、発振装置1Aはいわば二重の温度対応が行われた、高い精度で出力を安定させることができる装置として構成されている。
前記水晶発振器は、第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20を備えており、これら第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20は、共通の水晶片Xbを用いて構成されている。例えば短冊状の水晶片Xbの領域を長さ方向に2分割し、各分割領域(振動領域)の表裏両面に励振用の電極が設けられる。そして一方の分割領域と一対の電極11、12とにより第1の水晶振動子10が構成され、他方の分割領域と一対の電極21、22とにより第2の水晶振動子20が構成される。
第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20には夫々第1の発振回路1及び第2の発振回路2が接続されている。ここで便宜上、第1の発振回路1から周波数f1の周波数信号が出力され、第2の発振回路2から周波数f2の周波数信号が出力されるものとすると、周波数f1の周波数信号は、前記制御回路部200に基準クロックとして供給される。
3は周波数差検出部であり、この周波数差検出部3は概略的な言い方をすれば、f1とf2との差分と、Δfrとの差分である、f2−f1−Δfrを取り出すための回路部である。Δfrは、基準温度例えば25℃におけるf1(f1r)とf2(f2r)との差分である。f1とf2との差分の一例を挙げれば、例えば数MHzである。本発明は、周波数差検出部3によりf1とf2との差分に対応する値と、基準温度例えば25℃におけるf1とf2との差分に対応する値との差分であるΔFを計算することにより成り立つ。より詳しく言えば、周波数差検出部3で得られる値は、{(f2−f1)/f1}−{(f2r−f1r)/f1r}である。
図2は、周波数差検出部3の具体例を示している。31はフリップフロップ回路(F/F回路)であり、このフリップフロップ回路31の一方の入力端に第1の発振回路1からの周波数f1の周波数信号が入力され、他方の入力端に第2の発振回路2から周波数f2の周波数信号が入力され、第1の発振回路1からの周波数f1の周波数信号により第2の発振回路2からの周波数f2の周波数信号をラッチする。以下において記載の冗長を避けるために、f1、f2は、周波数あるいは周波数信号そのものを表しているとして取り扱う。フリップフロップ回路31は、f1とf2との周波数差に対応する値である(f2−f1)/f1の周波数をもつ信号が出力される。
フリップフロップ回路31の後段には、ワンショット回路32が設けられ、ワンショット回路32では、フリップフロップ回路31から得られたパルス信号における立ち上がりにてワンショットのパルスを出力する。図3はここまでの一連の信号を示したタイムチャートである。ワンショット回路32の後段にはPLLが設けられ、このPLLは、ラッチ回路33、積分機能を有するループフィルタ34、加算部35及びDDS回路部36により構成されている。ラッチ回路33はDDS回路部36から出力された鋸波をワンショット回路32から出力されるパルスによりラッチするためのものであり、ラッチ回路33の出力は、前記パルスが出力されるタイミングにおける前記鋸波の信号レベルである。ループフィルタ34は、この信号レベルである直流電圧を積分し、加算部35はこの直流電圧とΔfr(基準温度例えば25℃におけるf1とf2との差分)に対応する直流電圧と加算する。
DDS回路部36には、加算部35にて演算された直流電圧、即ちΔfrに対応する直流電圧からループフィルタ34の出力電圧を差し引いた電圧が入力され、この電圧値に応じた周波数の鋸波が出力される。PLLの動作の理解を容易にするために図4に極めて模式的に各部の出力の様子を示し、かつ直感的に把握できるようにするために極めて模式的な説明をしておく。装置の立ち上げ時には、Δfrに対応する直流電圧が加算部35を通じてDDS回路部36に入力され、例えばΔfrが5MHzであるとすると、この周波数に応じた周波数の鋸波がDDL36から出力される。
前記鋸波がラッチ回路33により(f2−f1)に対応する周波数のパルスでラッチされるが、(f2−f1)が例えば6MHzであるとすると、鋸波よりもラッチ用のパルスの周期が短いことから、鋸波のラッチポイントは図4(a)に示すように徐々に下がっていき、ラッチ回路33の出力及びループフィルタ34の出力は図4(b)、(c)に示すように−側に徐々に下がっていく。加算部35におけるループフィルタ34の出力側の符号が「−」であることから、加算部35からDDS回路部36に入力される直流電圧が上昇する。このためDDS回路部36から出力される鋸波の周波数が高くなり、DDS回路部36に6MHzに対応する直流電圧が入力されたときに、鋸波の周波数が6MHzとなって図5(a)〜(c)に示すようにPLLがロックされる。このときにループフィルタ34から出力される直流電圧は、Δfr−(f2−f1)=−1MHzに対応した値となる。つまりループフィルタ34の積分値は、5MHzから6MHzへ鋸波が変化するときの1MHzの変化分の積分値に相当するということができる。
この例とは逆に、Δfrが6MHz、(f2−f1)が5MHzの場合には、鋸波よりもラッチ用のパルスの周期が長いためにことから、図4(a)に示すラッチポイントは徐々に高くなり、これに伴い、ラッチ回路33の出力及びループフィルタ34の出力も上昇する。このため加算部35において差し引かれる値が大きくなるので、鋸波の周波数が徐々に下がり、やがて(f2−f1)と同じ5MHzとなったときにPLLがロックされる。このときにループフィルタ34から出力される直流電圧は、Δfr−(f2−f1)=1MHzに対応した値となる。
ところで既述のように実際には周波数差検出部3の出力、即ち図2に示す平均化回路37の出力は、{(f2−f1)/f1}−{(f2r−f1r)/f1r}の値を34ビットのディジタル値で表した値である。−50℃付近から100℃付近までのこの値の集合は、(f1−f1r)/f1=OSC1(単位はppmあるいはppb)、(f2−f2r)/f2r=OSC2(単位はppmあるいはppb)とすると、温度に対する変化はOSC2−OSC1と実質同じカーブとなる。従って周波数差検出部3の出力は、OSC2−OSC1=温度データとして取り扱うことができる。
またフリップフロップ回路31においてf2をf1によりラッチする動作は非同期であることから、メタステーブル(入力データをクロックのエッジでラッチする際、ラッチするエッジの前後一定時間は入力データを保持する必要があるが、クロックと入力データとがほぼ同時に変化することで出力が不安定になる状態)など不定区間が生じる可能性もあり、ループフィルタ34の出力には瞬間誤差が含まれる可能性がある。このためループフィルタ34の出力側に、予め設定した時間における入力値の移動平均を求める平均化回路37を設け、前記瞬間誤差が生じても取り除くようにしている。
ここでPLLのループフィルタ34にて得られた変動温度分の周波数ずれ情報であるOSC2−OSC1に関して図6から図8を参照して説明する。図6は、f1及びf2を基準温度で正規化し、温度と周波数との関係を示す特性図である。ここでいう正規化とは、例えば25℃を基準温度とし、温度と周波数との関係について基準温度における周波数をゼロとし、基準温度における周波数からの周波数のずれ分と温度との関係を求めることを意味している。第1の発振回路1における25℃のときの周波数をf1r、第2の発振回路2における25℃のときの周波数をf2rとすると、図7の縦軸の値は(f1−f1r)及び(f2−f2r)ということになる。
また図7は、図6に示した各温度の周波数について、基準温度(25℃)における周波数に対する変化率を表わしている。従って図7の縦軸の値は、(f1−f1r)/f1r及び(f2−f2r)/f2r(単位ppm)であり、即ち既述のようにOSC1及びOSC2である。図8は、OSC1と温度との関係及び(OSC2−OSC1)と温度との関係を示しており、(OSC2−OSC1)が温度に対して直線関係にあることが分かる。従って(OSC2−OSC1)は基準温度からの温度変動ずれ分に対応していることが分かる。
図1に説明を戻すと、周波数差検出部3の出力値は、実質(OSC2−OSC1)であり、水晶振動子10、20が置かれている雰囲気の温度検出値ということができる。そこで周波数差検出部3の後段に加算部(偏差分取り出し回路)51を設け、ディジタル信号である温度設定値(設定温度におけるOSC2−OSC1の34ビットのディジタル値)と周波数差検出部3の出力であるOSC2−OSC1との差分を取り出すようにしている。温度設定値は、OSC1の値が温度変化により変動しにくいように、例えば図8に示すOSC1と温度との関係カーブにおいて例えばボトム部分に対応する50℃が選択される。
そして加算部51の後段にはヒータ制御回路52が設けられている。ヒータ制御回路52は、加算部51から出力されたディジタル信号を、対応する直流電圧に変換して、ヒータ回路50に供給する。ヒータ回路50は発熱抵抗を備え、供給された直流電圧に応じて発熱する。つまり、既述の温度データと温度設定値との差分に応じて当該ヒータ回路50の発熱温度が制御される。図1中、周波数差検出部3、補正値演算部4、加算部51及びヒータ制御回路52を信号処理部5として示している。
また、既述のように発振装置1Aは制御回路部200に入力される基準クロックの温度補償を行う。PLLのループフィルタ34にて得られた変動温度分の周波数ずれ情報は、図1に示す補正値演算部4に入力され、ここで周波数の補正値が演算される。図8に示すように(OSC2−OSC1)は温度に対して直線関係にあり、(OSC2−OSC1)は基準温度からの温度変動ずれ分に対応する。そして一般的には水晶振動子の周波数温度特性による周波数変動分を相殺する周波数補正値と(OSC2−OSC1)との関係を求めておけば、(OSC2−OSC1)の検出値に基づいて周波数補正値が求まることになる。
この実施形態の発振装置1Aは、既述のように第1の発振回路1から得られる周波数信号(f1)を図1に示す制御回路部200の基準クロックとして用いており、この基準クロックに周波数温度特性が存在することから、基準クロックの周波数に対して温度補正を行おうとしている。このため先ず基準温度で正規化した、温度とf1との関係を示す関数を予め求めておき、この関数によるf1の周波数変動分を相殺するための関数を図9のように求めておく。なお詳しくは、前記関数のf1は、基準温度における周波数の変動率である(f1−f1r)/f1r=OSC1である。従って図9の縦軸は−OSC1である。図9の横軸は正規化したOSC2−OSC1の値である。この例では(OSC2−OSC1)が−30ppmであるときに+1、+30ppmであるときに−1として取り扱かうように正規化を行っている。なお、上述の実施形態において、図7から図9の説明では、周波数の変化分を「ppm」単位で表示しているが、実際のディジタル回路では全て2進数での扱いとなるため、DDS回路36の周波数設定精度は構成ビット数で計算され、例えば34ビットである。
水晶振動子における温度に対する周波数特性は、この例では9次の多項近似式として取り扱っている。補正値演算部4は、これら多項近似式係数を用いて(1)式の演算処理を行う。
Y=P1・X +P2・X +P3・X +P4・X +P5・X +P6・X +P7・X +P8・X +P9・X ………(1)
(1)式においてXは周波数差検出情報、Yは補正データ、P1〜P9は多項近似式係数である。ここで、Xは図1に示す周波数差検出部3により得られた値、即ち図2に示す平均化回路37により得られた値(OSC2−OSC1)である。図10は補正値演算部4のブロック図であり、図中401〜409は(1)式の各項の演算を行う演算部、400は加算部、410は丸め処理を行う回路である。
次に発振装置1Aの通常運転時の動作についてまとめる。この発振装置1Aの水晶発振器に着目すると、水晶発振器の出力は第1の発振回路1から出力される周波数信号に相当する。そしてヒータ回路50により水晶振動子10、20の置かれる雰囲気が設定温度になるように加熱されている。第1の水晶振動子10及び第1の発振回路1は、水晶発振器の出力である周波数信号を生成するものであるが、第2の水晶振動子20及び第2の発振回路2と共に温度検出部としての役割を持っている。これら発振回路1、2から各々得られる周波数信号の周波数差に対応する値OSC2−OSC1は、既述のように温度に対応し、加算部51にて温度設定値との差分が取り出される。
この差分は直流電圧に変換されてヒータ回路50の制御電力が調整される。例えば50℃のときのOSC1の値を−1.5×10とすると、加算部51の出力は、温度が50℃よりも低いときには正の値であって、温度が下がるに従って大きくなる。従って水晶振動子10、20が置かれている雰囲気温度が50℃よりも低くなるほど、ヒータ回路50の制御電力が大きくなるように作用する。また雰囲気温度が50℃よりも高いときには負の値になり、温度が上がるにつれてその絶対値が大きくなる。従って温度が50℃よりも高くなるほど、ヒータの供給電力が小さくなるように作用する。このため水晶振動子10、20が置かれる雰囲気の温度は設定温度である50℃に維持されようとするので、発振出力である第1の発振回路1からの出力周波数が安定する。この結果、第1の発振回路1からの出力をクロック信号として用いている制御回路部200において、位相周波数比較部205に供給される参照信号の周波数が安定するので、発振装置1A(周波数シンセサイザ)の出力である電圧制御発振器100からの出力周波数も安定する。
一方、周波数差検出部3からの出力(OSC2−OSC1)は補正値演算部4に入力され、既述の(1)式の演算が実行されて温度補正データである周波数補正分が得られる。(1)式の演算は、図9に示す特性図において、周波数差検出部3の出力値に基づいて得られた値に対応する補正周波数曲線の縦軸の値を求める処理である。
第1の水晶振動子10及び第2の水晶振動子20は共通の水晶片Xbを用いて構成されていることから、発振回路1、2の周波数差は、環境温度に正確に対応した値であり、従って周波数差検出部3の出力は、環境温度と基準温度(この例では25℃)との温度差情報である。第1の発振回路1より出力される周波数信号f1は制御回路部200のメインクロックとして使用されるものであることから、補正値演算部4にて得られた補正値は、温度が25℃からずれたことによるf1の周波数ずれ分に基づく制御回路部200の動作への影響を相殺するために制御回路部200の動作を補償するための信号として用いられる。
ところで、周波数信号f1と、補正値演算部4にて得られた温度補正値に対応する信号とが加算されて制御回路部200に入力されるように記載してきたが、実際には上記のように周波数信号f1と、発振装置1Aを構成するマイクロコントローラ7から出力される信号と、前記温度補正値に対応する信号とが図1に示す加算部71にて加算され、制御回路部200に出力される。そして、外部コンピュータ60によってマイクロコントローラ7から加算部71への補正出力信号を変更することにより、メーカー側で決める公称周波数に対して発振装置1Aの出力周波数を可変できるように構成されている。
マイクロコントローラ7は、上記の加算部71への周波数可変用の補正出力信号、係数P1〜P9、前記Δfrに対応する電圧信号、加算部51へ出力する温度設定値などの発振装置ごとに固有の情報を送信する役割を有する。また、VCXO100から上記のように所望の発振出力を取り出すモードを発振装置1Aの通常運転モードと呼ぶことにすると、発振装置1Aは、この通常運転モードと、そのように発振出力を取り出さずことを目的とせずf1、f2を測定するために外部へ取り出すための周波数測定モードと、を互いに切り替えて実行する。この周波数測定モードは、例えば前記係数P1〜P9を設定するために行われるモードであり、マイクロコントローラ7は、これらのモード切り替え制御を行う役割も有する。
図11を参照しながらマイクロコントローラ7の構成について説明する。72は周波数調整量出力部に相当する第1のレジスタであり、第1のレジスタ72は、例えば2の補数で表現した24ビットのディジタル値により周波数調整量を設定する役割を有する。この周波数調整量は、メーカー側で設定された可変幅の中で、ユーザが公称周波数に対する比率を設定するためのものである。この周波数調整量が決まると、前記補正値演算部4により補正された周波数f1に、前記比率に応じた周波数が加算された値に対応する信号が加算部71から制御回路部200に出力されることになる。またマイクロコントローラ7には、第2のレジスタ73と第3のレジスタ74とが設けられる。75及び76は、各々乗算部である。図中70はバスである。レジスタ73、74に夫々記憶される第1のゲインG1、第2のゲインG2は、第1のレジスタ72にて設定された周波数調整量に乗算され、前記周波数調整量×G1×G2の値が可変し、それによって加算部71への出力が変化し発振周波数が変化する。第1のゲインG1は、例えば2の補数で表現した8ビットのディジタル値として表される。第2のゲインG2は、前記周波数調整量に第1のゲインG1を乗算した値に対して丸め処理(2−n を乗算する処理(nは自然数))を行うための値である。周波数調整量を最小値から最大値に変更することで、周波数の可変幅がメーカーの定める最小値から最大値へ変更されるように各ゲインが設定される。
マイクロコントローラ7には上記のモードの切り替えを行うための第4のレジスタ77が設けられる。この第4のレジスタ77はモード切り替え用の論理値として「0」または「1」が書き込まれ、当該論理値により接続切り替え部63のスイッチの切り替えが制御される。また、マイクロコントローラ7は、上記の係数P1〜P9、Δfr、加算部51に出力される温度設定値などの発振装置1Aの固有情報が格納される第5のレジスタ78を備えており、これらの各固有情報が信号処理部5に読み出される。
マイクロコントローラ7にはパワーオンリセット回路79が設けられている。これは、発振装置1Aの電源の投入時に上記の各レジスタのデータを初期化して0を書き込む役割を有する。この電源の入力端子を図中61として示しており、62は当該電源のオンオフを切り替えるスイッチである。また、マイクロコントローラ7は、発振装置1Aに接続される外部コンピュータ60との間で通信を行うためのインターフェイス回路81を備えている。
マイクロコントローラ7の外部の構成について説明すると、発振装置1Aは接続切り替え部63を備えており、接続切り替え部63はスイッチ601、602により構成されている。そして、第1の発振回路1、第2の発振回路2と信号処理部5とを夫々接続する信号路を603、604とすると、これらの信号路603、604に夫々接続される信号路605、606が設けられている。スイッチ601は、第1の接続端子58を前記インターフェイス回路81と信号路605との間で切り替えて接続し、スイッチ602は、第2の接続端子59をインターフェイス回路81と信号路606との間で切り替えて接続する。上記のように、第4のレジスタ77に書き込まれる切り替え用の論理値に応じて当該スイッチ603、604の切り替え動作が制御される。前記論理値が0である場合にはインターフェイス回路81と第1及び第2の接続端子58、59とが接続された状態となり、論理値が1である場合には信号路605、606と第1及び第2の接続端子58、59とが接続された状態となるようにスイッチ601、602が切り替えられる。
発振装置1Aの外部について説明する。この例では、周波数測定モードと通常運転モードとの切り替えを速やかに行うために接続切り替え冶具64が設けられ、前記外部コンピュータ60はI2Cバスを介してこの冶具64に接続される。また、冶具64にはバッファ回路65を介して周波数測定部である周波数カウンタ66が接続される。接続切り替え冶具64はスイッチ607、608を備えており、上記のように第1及び第2の接続端子58、59をバッファ回路66と、外部コンピュータ60との間で切り替えて接続する。冶具64の各スイッチ607、608は、外部コンピュータ60により切り替えできるように構成されている。
後述するように通常運転モード実行時には、外部コンピュータ60がマイクロコントローラ7、即ち第1〜第5のレジスタに接続され、これら各レジスタのデータを書き換えることができるように、接続切り替え部63及び接続切り替え用冶具64の各スイッチが切り替わる。つまり、この通常運転モード実行時には、ユーザは外部コンピュータ60から上記の第1のレジスタ72の周波数調整量を変更することによって、上記の公称周波数からの変更を行うことができる。そして、周波数測定モード実行時には、第1の発振回路1及び第2の発振回路2が周波数カウンタ66に接続されるように前記各スイッチが切り替わる。
発振装置1Aの外部には不揮発性メモリ、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)からなる外部メモリ82が接続されている。外部メモリ82には、前記第1〜第3のレジスタ72〜74、第5のレジスタ78に記憶される各固有情報が格納されており、電源の投入時にこれらの固有情報が、マイクロコントローラ7に設けられるプログラム83によって対応する各レジスタに読み込まれて発振装置1Aを運用することができる。この外部メモリ82には外部コンピュータ60がアクセスして、各固有情報を設定することができる。
図12は、図1に示す発振装置1Aの概略構造を示す縦断側面図である。56は容器、57は容器56内に設けられたプリント基板である。プリント基板57の上面側には、水晶振動子10、20、発振回路1、2及び集積回路部300が設けられている。集積回路部300は、信号処理部5、制御回路部200、マイクロコントローラ7及び接続切り替え部64により構成される。またプリント基板57の下面側には、例えば水晶振動子10、20と対向する位置にヒータ回路50が設けられる。プリント基板57には、基板57上に形成される配線(図示はしていない)を介して集積回路部300に接続される第1の接続端子58及び第2の接続端子59が設けられる。これらの接続端子58、59の先端は容器56の外側に突出しており、前記接続切り替え用冶具64を介して周波数カウンタ66または外部コンピュータ60に接続される。
続いて、発振装置1Aの各スイッチの切り替えにより通常運転モードと周波数測定モードとの切り替えを行う手順について、スイッチの状態を示す前記図11及び図13〜図15を参照しながら説明する。この例では発振装置1Aの製造時に係数P1〜P9の設定を行うためにこの切り替えを行うものとする。また、図16は当該モードの切り替えを概略的に記載した図であり、この図16についても適宜参照しながら説明する。
図11は、通常運転モードで動作中の発振装置1Aを示しており、図16中の状態A1に相当する。この図11の状態では、第1の接続端子58及び第2の接続端子59は、接続切り替え冶具64の各スイッチ607、608によりI2Cバスを介して外部コンピュータ60に接続されている。また、第4のレジスタ77には切り替え用論理値として0が記憶されており、それによって接続切り替え部63のスイッチ601、602は、第1の接続端子58及び第2の接続端子59をインターフェイス回路81に接続し、外部コンピュータ60からマイクロコントローラ7へアクセスできるようになっている。第1〜第3のレジスタ72〜73には外部メモリ82から読み込まれた周波数調整量、第1のゲイン、第2のゲインが記憶され、第5のレジスタ78には同様に外部メモリ82から読み込まれた各種の固有情報が記憶される。ただし、係数P1〜P9については、まだ装置固有の情報が決定されていないので例えば所定の標準値が設定されている。
例えば、この発振装置1Aを内部の温度が変更自在な恒温槽内に格納する。そして、図13に示すようにユーザが外部コンピュータ60から第4のレジスタ77にアクセスし、切り替え用論理値として「1」を書き込む(図16中B1)。それによって接続切り替え部63のスイッチ601、602が切り替わり、第1の接続端子58及び第2の接続端子59とマイクロコントローラ7との接続が切断される代わりに、これら接続端子58、59は夫々信号路605、606に接続される。このようなスイッチ601、602の切り替わりにより、外部コンピュータ60と発振装置1Aとの間でのI2Cバスによる通信が終了し、例えば外部コンピュータ60はこの通信が終了したことを検出すると、接続切り替え用冶具64の各スイッチ607、608を切り替える。なお、このように通信の終了を検出する代わりに前記論理値「1」を書き込んでから所定の時間経過後に外部コンピュータ60がスイッチ607、608の切り替えを行うようにしてもよい。このように各スイッチ607、608が切り替えられることによって、第1の接続端子58及び第2の接続端子59は、外部コンピュータ60に接続される代わりに周波数カウンタ66に接続され、発振装置1Aは周波数測定モードに移行する(図16中A2)。
図14に示すように第1の発振回路1の出力f1が信号路605、第1の接続端子58及びバッファ回路65を介して周波数カウンタ66に出力され、周波数カウンタ66により当該f1の測定が行われる。また、第2の発振回路2の出力f2が信号路606、第2の接続端子59及びバッファ回路65を介して周波数カウンタ66に出力され、当該f2の測定が行われる。そして、前記恒温槽内の温度を順次変更し、各温度におけるf1、f2の測定を行い、取得した各温度のf1、f2を用いて(OSC2−OSC1)と温度との関係を取得する。そして、この実測データから上記の公称周波数を出力できるように、温度に対する周波数変動分を相殺する、温度と−OSC1との関係を示す補正周波数曲線を導き出し、最小二乗法により9次の多項近似式係数P1〜P9を算出する。
P1〜P9算出後、例えばユーザが装置の電源スイッチ62を動作させ、発振装置1Aの電源をオフにし(図16中A3、B2)、発振装置1Aを恒温槽から取り出す。そして、ユーザは例えば外部コンピュータ60を操作し、第1の接続端子58及び第2の接続端子59が、周波数カウンタ66に代わり外部コンピュータ60に接続されるように冶具64のスイッチ607、608を切り替える。また、外部コンピュータ60と外部メモリ82とを接続する図示しない信号路により、外部コンピュータ60を用いて外部メモリ82に記憶されるP1〜P9を算出したP1〜P9に書き換える。
その後、ユーザは装置の電源スイッチ62を動作させて発振装置1Aの電源をオンにすると(図16中B3)、パワーオンリセット回路79は、マイクロコントローラ7の第1〜第5のレジスタのデータを初期化して「0」にする。上記のように外部メモリ82から各固有情報が読み込まれ、対応する各レジスタに書き込まれる。そして、第4のレジスタ77に記憶される切り替え用論理値が0になったことにより、図15に示すように接続切り替え部63のスイッチ601、602が切り替わり、第1の接続端子58及び第2の接続端子59と信号路605、606との接続が切断される代わりに、第1の接続端子58及び第2の接続端子59とインターフェイス回路81との間で接続される。これによって、発振装置1Aは図16のA1の状態、即ち通常運転モードに戻り、変更されたP1〜P9に基づいて発振出力が得られ、外部コンピュータ60から各レジスタ73、74のゲインの変更により周波数調整が可能になる(図16中A4、B4)。
なお、図16に示すように周波数測定モード実行時には外部コンピュータ60とマイクロコントローラ7との接続が絶たれるので、周波数測定モードから通常運転モードへの移行は、説明したように一旦装置1Aの電源をオフにすることが必要になる。また、図示していないが通常運転モードの状態で電源をオフにしたときは、第4のレジスタ77の論理値は電源の再投入の前後で0のままであるため、スイッチ601、602は接続端子58、59とインターフェイス回路81とを接続したままである。
このようにP1〜P9を設定し、発振装置1Aの製造を終了して出荷するときはバッファ回路65、周波数カウンタ66及び接続切り替え冶具64は不要なので、これらは発振装置1Aから取り外される。そして、使用時には例えば接続端子58、59に冶具64を介さずに外部コンピュータ60が接続される。再度P1〜P9の設定を行うときは、上記のようにこれらバッファ回路65、周波数カウンタ66及び冶具64を接続する。例えば周波数測定モードを実行するときには接続端子58、59に周波数カウンタ67を接続し、通常運転モードを行うときには外部コンピュータ60を接続するように、モードを切り替えるたびに接続端子58、59の接続先を切り替えてもよい。つまり、冶具64を用いずにモードを切り替えてもよい。
装置の電源スイッチ62は、接続端子58、59を介さずに外部コンピュータ60に接続され、外部コンピュータ60からオンオフを切り替えることができるようにしてもよい。冶具64の各スイッチは、外部コンピュータ60が切り替える代わりにユーザが手動で切り替えてもよい。
この発振装置1Aによれば、外部コンピュータ60からマイクロコントローラ7の各レジスタにアクセスするために接続端子58、59と前記マイクロコントローラ7とが接続された状態と、接続端子58、59から発振周波数f1、f2を取り出すために、第1の発振回路1及び第2の発振回路2と当該接続端子58、59とが接続された状態とが接続切り替え部63のスイッチにより互いに切り替えられ、電源のオンオフによるリセットによりマイクロコントローラ7のレジスタ77が初期化されると接続端子58、59と前記マイクロコントローラ7とが接続された初期状態になる。これによって、f1、f2を取り出すための専用の端子を設ける必要がなくなるので発振装置の構成を簡素化し、当該発振装置の製造コストを抑えることができる。
図17には比較例として他の発振装置を示している。発振装置1Aとの差異点を挙げると接続端子58、59とは異なる別の端子621、622を設け、端子621、622は信号路605、606に夫々接続されている。そして、端子621、622を導電路であるジャンパ線623、624によりバッファ回路66に接続し、周波数f1、f2が周波数カウンタ67に取り込まれるように構成されている。しかし、上記のように端子621、622及びジャンパ線623、624を設ける分、発振装置の構成が複雑化して、製造工数が増える。また、ジャンパ線623、624の接続は作業者がはんだ付けにより行うので、装置の製造精度の信頼性を上げ難い。また、f1、f2の周波数を測定する前後でジャンパ線623、624に熱が伝わるので、その熱によりf1、f2の値が変化するおそれがある。上記の発振装置1Aではそのような不具合が起こることを防ぐことができる。
ところで、電源投入に基づくレジスタ77の初期状態に対応する切り替え用の論理値は、「0」に限るものではない。例えば電子機器の電源を投入した後、操作スイッチをオンにすることにより、内部のデバイスにより論理値記憶領域71に論理値「1」を書き込み、この論理値を通常運転モード実行用の論理値とした場合にも、本発明の技術的範囲に含まれる。
補正値演算部4で用いるP1〜P9を設定する例について示したが、他の固有情報についても書き換えることができる。例えばP1〜P9を設定する場合と同様に恒温槽の温度を変えてf1、f2の温度変化を測定する。そして、この測定結果に基づいて、各温度においてヒータ回路50の出力が適切になるように当該ヒータ回路50及びヒータ制御回路52の回路定数の設定を行う場合にも有効である。つまり、発振装置1Aは、補正値演算部4で演算する補正値またはヒータ回路50による周囲温度の一方のみを制御して、取得された発振周波数f1を制御回路部200に出力する構成としてもよく、その場合にも本発明が有効である。また、記憶部であるマイクロコンピュータ7の揮発性メモリである各レジスタ72〜74、77、78の代わりにRAM(Random Access memory)を用いてもよい。また、リセット回路としては、外部コンピュータ60とは別個に第4のレジスタ77をリセットできるものであればよい。例えばマイクロコントローラ7に接続される手動スイッチを設け、そのスイッチを操作することで電源をオンオフしなくても第4のレジスタ77の論理値がリセットされるように回路を構成してもよい。また、そのように手動スイッチを設けた場合、論理値によらず接続切り替え部のスイッチを切り替えるものであってもよい。ところで通常運転時には外部コンピュータ60が接続端子58、59に接続されているものとして説明したが、外部コンピュータ60は各レジスタの値を設定した後、接続端子58、59から取り外してもよい。つまり運転時に外部コンピュータ60が接続されていなくてもよく、レジスタあるいは外部メモリ82の各固有情報の変更が必要になったときに再度接続端子58、59に接続してもよい。
1A 発振装置
1 第1の発振回路
2 第2の発振回路
10 第1の水晶振動子
20 第2の水晶振動子
3 周波数差検出部
36 DDS回路部
4 補正値演算部(補正値取得部)
7 マイクロコントローラ
77 レジスタ
79 パワーオンリセット回路
82 外部メモリ
100 電圧制御発振器
200 制御回路部

Claims (5)

  1. 第1の発振回路の発振出力f1及び第2の発振回路の発振出力f2の差分に応じた差分信号を温度検出値として取り扱い、当該差分信号に基づいて、f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号を出力し、前記f1を発振出力とする発振装置において、
    前記制御信号を出力するためのパラメータが記憶される記憶部と、
    前記f1、f2を夫々取り込むための第1の信号路及び第2の信号路に接続され、取り込まれた前記f1、f2から前記差分信号を求め、当該差分信号と前記パラメータとに基づいて前記制御信号を出力する信号処理部と、
    外部コンピュータを接続するための第1の接続端及び第2の接続端と、
    前記外部コンピュータから前記記憶部にアクセスするために前記第1の接続端及び第2の接続単端が当該記憶部に接続された第1の状態と、第1の接続端、第2の接続端から夫々f1、f2が外部の周波数測定部に取り出されるように前記第1の接続端及び第2の接続端が前記第1の信号路及び第2の信号路に接続される第2の状態とを互いに切り替えるための切り替え部と、
    を備えることを特徴とする発振装置。
  2. 前記切り替え部は、前記記憶部に設けられる接続状態の切り替え用の記憶領域に記憶される論理値に基づいて前記第1の状態と、第2の状態とを切り替え、
    前記切り替え用の記憶領域には、前記切り替え部を第1の状態にするための第1の論理値と、前記切り替え部を第2の状態にするための第2の論理値とのうち一方が選択されて記憶され、
    前記外部コンピュータからは独立して、前記切り替え用の記憶領域の論理値を第1の論理値にリセットするリセット部が設けられることを特徴とする請求項1記載の発振装置。
  3. 前記リセット部は、発振装置の電源投入時に論理値記憶領域を第1の論理値にリセットすることを特徴とする請求項2記載の発振装置。
  4. f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号は、f1における基準温度時のf1の値からの変化分と、f1及びf2の差分に応じた信号と、の関係に基づいて、基準温度時のf1に対する周波数補正値に相当する信号であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の発振装置。
  5. 前記第1の発振回路及び第2の発振回路に接続される第1の水晶振動子及び第2の水晶振動子の温度を一定に維持するための温度調整部を備え、
    f1の温度特性に基づく影響を抑えるための制御信号は、前記温度調整部の発熱量を制御するための信号であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の発振装置。
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