JP2013231611A - 高さ分布測定モニタ - Google Patents

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Abstract

【課題】安価かつ簡易な構成を採用して低価格化を実現し、軽量化・小型化により持ち運びを可能とし、また、サンプルの取り扱いを容易にして作業現場でモニタリングできるようにし、高さ分布による高分解能のモニタ結果を得られるようにした高さ分布測定モニタを提供する。
【解決手段】高背なサンプルの側面を検出する検出器を高さ別に複数個配置し、ターンテーブルによりサンプルを回転させて各層の側面の検出を行い、これら各層の検出器から得た検出値に基づいて放射能濃度の高さ分布を取得する高さ分布測定モニタとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射能を含んだサンプルの高さ別の放射能濃度分布のモニタリングを行って高さ分布を得る高さ分布測定モニタに関する。
土壌の放射能濃度とは、土壌に放射性物質がどの程度含まれているかについての指標である。このような放射線濃度をモニタリングするため、従来からゲルマニウム半導体検出器が利用されている。このゲルマニウム半導体検出器を用いるモニタリングは以下のように行われていた。
(1)まず、汚染土壌からサンプルである汚染土を採取し、放射線管理が行われている施設(検査所)内に持ち帰る、
(2)サンプルである汚染土をほぐして放射線がサンプルから偏りなく放射されるようにする、
(3)施設内に設置されているゲルマニウム半導体検出器にサンプルをセットする、
(4)サンプルに含まれる放射性物質からの放射能量を検出し、放射能濃度を割り出す、
というものである。
このようなゲルマニウム半導体検出器に係る従来技術として、例えば、特許文献1(特開2002−98768号公報、発明の名称「体積試料中の放射能をゲルマニウム半導体検出器によって測定する方法」)に記載の発明が知られている。特許文献1に記載のゲルマニウム半導体検出器は、その特許文献1の図1で示すように、遮蔽用の鉛のカバーに入れられ、さらにゲルマニウム結晶のまわりにクリスタルカップが設けられている。
特開2002−98768号公報(段落番号[0014],図1)
本願出願時において、広範囲にわたる農地・牧草地等の土壌が放射性物質(セシウム134+セシウム137)で汚染されるという事象が発生している(以下、単に事象という)。この汚染土壌に対する除染が急がれている。このような除染を効果的に行うために、汚染土壌の状態を迅速に把握したいという要請がある。
そして、現状行われている上記の土壌のモニタリング方法は、広範囲にわたる土壌が放射性物質で汚染される事象が発生する前に確立された方法である。現状の広範囲にわたる汚染土壌の除染を行うためには迅速にモニタリングを行う必要があるが、従来のモニタリング方法では迅速なモニタリングは困難となる。
例えば、除染では放射能濃度に応じて汚染土壌を剥ぎ取る作業を行うことがあり、高さ方向の最適な土壌剥ぎ取り厚を決定する必要がある。剥ぎ取り厚は汚染土の減容の観点からもできるだけ薄いことが好ましい。そこで剥ぎ取り厚を決定するため、除染の作業現場にてモニタリングを行い、そのモニタリング結果をその場で取得したいという要望がある。しかしながら、現状のゲルマニウム半導体検出器は、装置全体では1500kg〜2000kgという大型重量装置である。したがって、ゲルマニウム半導体検出器は持ち運びに適しておらず、土壌サンプルを施設に持ち帰るしかなかった。従来技術ではこのようなモニタリング方式で問題はなかったが、広範囲にわたる農地・牧草地等の土壌の除染を行うには時間を要することになり、問題があった。また、サンプルの移動等に時間が掛かる場合にはさらに問題があった。
また、測定精度向上のためサンプルの均一化が要求される。そこで、サンプルである汚染土壌をほぐす必要があり、このような作業自体も、作業回数が増えるにつれて作業時間を要することとなり、問題があった。
また、土壌が汚染するという事象において、例えば放射性物質(セシウム134+セシウム137)は土壌の表面から深さ5cmまでに95%が分布し、それより下へはほとんど放射性物質が沈降していないことが知見された。したがって、深さ5cmまでの土壌をサンプリングし、深さに応じた放射能濃度分布(以下高さ分布という)を得ることで剥ぎ取り厚が直ちに決定できるなど迅速かつ効果的な除染が可能になる。しかしながら、従来のモニタリング方式では先に述べたようにサンプルである汚染土壌をほぐさないと検出できないため、高さ分布が得られないという問題があった。そこで、土壌サンプルを輪切りにして複数層のサンプルを得て各層の放射能濃度を得ることが考えられるが、厚さ毎にサンプリングすると時間及び費用が膨大になる。しかしながら、高さ分布は特に除染を深さどれくらい程度まで行えば良いかを判断するファクターであり、迅速かつ簡易に把握したいという要請が起こっていた。
また、現状のゲルマニウム半導体検出器は高価(例えば1500万円)であり、導入できる台数も少なくなり、除染のための多量のサンプル数に対してモニタリング作業は僅かしかできないという問題があった。安価な装置として導入できる台数を増加させたいという要請があった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価かつ簡易な構成を採用して低価格化を実現し、軽量化・小型化により持ち運びを可能とし、また、サンプルの取り扱いを容易にして作業現場でモニタリングできるようにし、高さ分布による高分解能のモニタ結果を得られるようにした高さ分布測定モニタを提供することにある。
本発明の請求項1に係る発明は、
円柱状のサンプルの側面と横側で対向し、このサンプルの側面から放射される放射線を検出して検出信号を出力する検出器を高さ別に複数備えてなる側面検出器と、
側面検出器の外側に設けられ、外界からのバックグラウンドを遮蔽する遮蔽体と、
遮蔽体内に設けられ、サンプルが収容される収容空間と、
収容空間内のサンプルを回転させるターンテーブルと、
を備え、
ターンテーブルでサンプルを回転させ、側面検出器の複数の検出器が高さ別にサンプルの全外周について放射線を検出し、サンプルに対して高さ方向に層別のモニタリングを行うことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
側面検出器はn個の検出器を有するものであり、
サンプルを高さ方向に第n層に分割したものとみるときに第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルにそれぞれ対向する第i番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[i]とし、
第i番目の検出器へ入射する第j層(j=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][j]とし、
第j層のサンプルの放射能量をAct[j]としたとき、
Count[i]=ΣEff[i][j]×Act[j] (但しj=1,2,・・・,n)に実測値であるCount[i]と予め算出したEff[i][j]を代入して放射能量Act[j]を算出し、放射能量Act[j] に係数を掛けてサンプルの層別の放射能濃度を算出することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る発明は、
円柱状のサンプルの側面と横側で対向し、このサンプルの側面から放射される放射線を検出して検出信号を出力する検出器を高さ別に複数備えてなる側面検出器と、
側面検出器の外側に設けられ、外界からのバックグラウンドを遮蔽する遮蔽体と、
遮蔽体内に設けられ、サンプルが収容される収容空間と、
サンプルの側面と検出器との間に介在し、視野を絞りつつ対向させるコリメータと、
収容空間内のサンプルを回転させるターンテーブルと、
を備え、
ターンテーブルでサンプルを回転させ、側面検出器の複数の検出器が高さ別にサンプルの全外周について放射線を検出し、サンプルに対して高さ方向に層別のモニタリングを行うことを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る発明は、
請求項3に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
側面検出器は(n+1)個の検出器を有するものであり、
サンプルを高さ方向に第n層に分割したものとみるときに第1層のサンプルからコリメータを介して対向する第1番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[1]とし、第(i-1)層(但し、i=2,・・・,nである)のサンプルと第i層のサンプルからコリメータを介して対向する第i番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[i]とし、第n層のサンプルからコリメータを介して対向する第(n+1)番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[n+1]とし、
第1層のサンプルから第1番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[1][1]とし、
第(i-1)層のサンプルから第i番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][i-1] とし、また、第i層のサンプルから第i番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][i]とし、
第n層のサンプルから第(n+1)番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[n+1][n]とし、
第1層のサンプルの放射能量をAct[1]、第i層のサンプルの放射能量をAct[i]、第n層のサンプルの放射能量をAct[n]としたとき、
Count[1]=Eff[1][1]×Act[1]、
Count[i]=Eff[i][i-1]×Act[i-1]+Eff[i][i]×Act[i]、
Count[n+1]=Eff[n+1][n]×Act[n]、
に実測値であるCount[1],Count[i], Count[n+1]と予め算出したEff[1][1]、Eff[i][i-1]、Eff[i][i]およびEff [n+1] [n]を代入して放射能量Act[i]を算出し、放射能量Act[i] に係数を掛けてサンプルの層別の放射能濃度を算出することを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る発明は、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
前記側面検出器は、複数の検出器を高さとともに平面から見て角度を変化させた位置に配置されており、螺旋状の検出器とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
円柱状のサンプルが収容される前記収容空間は断面円状に形成される空間であり、かつ、サンプルの側面に対向する側面検出器の各検出器が径方向にサンプルから等距離に配置されることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る発明は、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
円柱状のサンプルの平面と上側で対向しており、このサンプルの平面から放射される放射線を検出して検出信号を出力する上面検出器を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項8に係る発明は、
請求項7に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
円柱状のサンプルを高さ方向にn層に分割したものとみるときに第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射線を上面検出器が検出した放射線パルスの計数率をCountNaIとし、
第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射能濃度の影響を表す検出効率をEffNaI[i]とし、
第i層のサンプルの放射能濃度をAct[i]と、また、全放射能量をAtotとしたときに各Act[i]を係数×Atotで表しておき、
CountNaI=ΣEffNaI[i]×Act[i]に実測値であるCountNaI、予め算出したEffNaI[i]および係数×Atotを代入して放射能量Atotを算出し、放射能量Atotに係数を掛けて放射能濃度を算出することを特徴とする。
本発明によれば、安価かつ簡易な構成を採用して低価格化を実現し、軽量化・小型化により持ち運びを可能とし、また、サンプルの取り扱いを容易にして作業現場でモニタリングできるようにし、高さ分布による高分解能のモニタ結果を得られるようにした高さ分布測定モニタを提供することができる。
本発明を実施するための形態に係る高さ分布測定モニタの外観図である。 本発明を実施するための形態に係る高さ分布測定モニタの蓋部を開けた外観図である。 本発明を実施するための形態に係る高さ分布測定モニタの内観透視図である。 本発明を実施するための形態に係る高さ分布測定モニタの内部構成図である。 本発明を実施するための形態に係る高さ分布測定モニタの回路ブロック図である。 6個の検出器を有する側面検出器の配置の説明図であり、図6(a)は上面から見た側面検出器の配置図、図6(b)は側面から見た側面検出器の配置図である。 本発明を実施するための他の形態に係る高さ分布測定モニタによる測定の説明図である。 n個の検出器を有する側面検出器の配置の説明図であり、図8(a)は上面から見た側面検出器の配置図、図8(b)は螺旋状配置の説明図、図8(c)は側面から見た側面検出器の配置図である。 本発明を実施するための他の形態に係る高さ分布測定モニタの内観透視図である。 本発明を実施するための他の形態に係る高さ分布測定モニタの内部構成図である。 7個の検出器を有する側面検出器の配置の説明図であり、図11(a)は上面から見た側面検出器の配置図、図11(b)は側面から見た側面検出器の配置図である。 (n+1)個の検出器を有する側面検出器の配置の説明図であり、図12(a)は上面から見た側面検出器の配置図、図12(b)は螺旋状配置の説明図、図12(c)は側面から見た側面検出器の配置図である。
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。
本形態の高さ分布測定モニタ1は、図1で示すようにケース11を備える。また、図2で示すように、さらに遮蔽体12、ターンテーブル13、側面検出器14を備える。また、図3で示すように、さらに上面検出器15を備える。また、図4で示すように、さらにモータ16を備える。また、図5で示すように、さらにアンプ17,18、SCA(シングルチャンネルアナライザ)19、マルチチャンネルカウンタ20、二次電池21、情報処理装置22、スイッチ23を備える。高さ分布測定モニタ1は、図2,図3,図4で示すように、円柱状で高背の土壌サンプル2の放射能量や放射能濃度についてのモニタリングを行う。
続いて各部構成について説明する。図1の高さ分布測定モニタの外観図で示すように、高さ分布測定モニタ1はケース11により外側が覆われている。このケース11は円柱体を有しており、下側では蓋部111が配置されている。ケース11は例えば合成樹脂製としたり、または、外界からのバックグラウンドによる影響を排除すべく、後述する遮蔽体12と同様に鉛により形成したケースとしても良い。
図2は、高さ分布測定モニタ1の蓋部111を開けた外観図である。ケース11の蓋部111を開けると収容空間121が現れる。収容空間121は遮蔽体12の内側にある空間であり、高背円柱状の土壌サンプル2が収容されるように円柱状の空間として形成されている。この収容空間121内には側面検出器14が配置され、また、下側ではターンテーブル13が配置されている。側面検出器14は少なくとも収容空間121と連通する空間により、土壌サンプル2と直接対向するように設けられている。
遮蔽体12は、例えば、3cm〜5cm程度の充分に厚い鉛により土壌サンプル2の外側を覆うように形成され、外界からのγ線によるバックグラウンドを遮蔽するシールド体である。遮蔽体12は、図3,図4で示すように、ケース11内に配置されており、土壌サンプル2を配置する収容空間121が形成されている。円柱状の土壌サンプル2が収容される収容空間121は断面円状に形成される空間である。遮蔽体12は、ターンテーブル13、側面検出器14、上面検出器15を内部に収容する。また、側面検出器14、および、上面検出器15が土壌サンプル2に直接対向するように配置される。遮蔽体12は、図2,図3でも示すように蓋部111の内側にも形成されている。側面検出器14および上面検出器15は遮蔽体12の内側に配置されているため、検出時にバックグラウンドによる影響が及ばないように機能する。
ターンテーブル13は、円板であって、収容空間121内に配置されて回転支持部により回転可能に支持されている。図4の高さ分布測定モニタの内部構成図でも明らかなように、駆動軸16aを介してモータ16により回転駆動されるようになされている。この駆動軸16aは遮蔽体12を貫通するようになされており、収容空間121外まで延伸されているが、モータ16を遮蔽体12内に配置する構成を採用しても良い。モータ16は、図4,図5で示すように、スイッチ23に接続されており、電源供給がなされる。モータ16は駆動軸16aを介してターンテーブル13を回転させる。なお、本形態ではモータ駆動はダイレクトドライブ方式であるものとして説明したが、図示しない減速器を介在させたり、または、ベルトドライブ方式を採用するような構成としても良い。
側面検出器14は、図3の高さ分布測定モニタの内観透視図でも示すように、複数の検出器141を備える。後述するが図3でも明らかなように複数の検出器141は螺旋状に配置される。個数は適宜選択されるが本形態では具体例として個数が6個であるものとして説明する。以下、図3,図4,図6で示すように、上から検出器[1]、検出器[2]、検出器[3]、検出器[4]、検出器[5]、検出器[6]とする。これら6個の検出器は、土壌サンプル2に近接させており、サンプル2の側面に対向する側面検出器の各検出器が径方向にサンプル2から等距離となるように調整されている。この理由であるが土壌サンプル2の放射能濃度は低く、土壌サンプル2が形状直径12cmで厚さ1cmの場合、100Bq/kgの放射能濃度で20Bq程度となりバックグラウンド放射線以下となってしまう。このため、距離が離れると検出可能な信号が減少するため検出が困難となる。そこで、遮蔽体12によりバックグラウンドを遮蔽するとともに6個の検出器を土壌サンプル2に近づけて信号量を増やしている。一の検出器141は、さらにCsIシンチレータ141a、PINフォトダイオード141bを備える。
CsIシンチレータ141aは、ヨウ化セシウムに微量のタリウムを添加したCsI(Tl)固体式シンチレータである。CsIシンチレータ141aは、土壌サンプル2の放射性物質から側面方向へ放射されるγ線を検出する。
PINフォトダイオード141bは、PIN接続によるシリコンフォトダイオードであり、光電子増倍管の代わりに用いられる。CsIシンチレータ141aで発せられる光電子を検出して検出信号を出力する。このPINフォトダイオード141bは、コンパクトで非常に安定しており、高電圧は不要で、頑丈な構造を有している。PINフォトダイオード141bでは二次電池21から電源が供給されている。
CsIシンチレータ141aは、図6(a)で示すように平面方向からみると円上であって等角の異なる位置に配置されている。仮に縦一列に配置するときはPINフォトダイオード141bの存在により高さ方向に詰めて設置できないが、平面方向からみて角度を異ならせたことで高さ方向に密にした設置が可能となる。また、縦一列に配置すると上下の検出器の前に鉛による遮蔽体を配置できないが、螺旋状とすることで、検出器の上・下にも鉛による遮蔽体を配置できるため、遮蔽が強化される。
また、図6(b)では特に高さ方向の相違を説明している(実際は螺旋状でこのようには見えない)が、実際は円周上であって螺旋状に配置されており、それぞれの高さ・角度が異なるように配置されている。これにより土壌サンプルの高さを分割して各高さ毎の値を得ることができる。そして、図3や図8(b)で示すように、立体的には螺旋状に配置される。螺旋状配置とすることで、対象外の層からの放射線の入射に対し摺る遮蔽・減衰効果を強化する。なお、これら検出器141を90°等角にずらすようにして、明確な螺旋に見えないような配置としても、螺旋状に配置されたものとする。これらCsIシンチレータ141a、PINフォトダイオード141bは安価な汎用品でありコスト低減に寄与する。
上面検出器15は、図3,図4で示すように、収容空間121の上側に配置されている。上面検出器15も遮蔽体12の中に配置される。この上面検出器15は、NaIシンチレータ151、光電子増倍管152を備える。
NaIシンチレータ151は、例えばタリウム活性化ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器である。形状としてはφ2インチ×高さ2インチという標準型の形状を採用し、ゲルマニウム半導体検出器よりも小型化を図っている。このNaIシンチレータ151は、土壌サンプル2の放射性物質から上側方向へ放射されるγ線を検出する。NaIシンチレータ151の表面にはγ線は透過するがシンチレーション光は透過しない反射層が形成されている。なお、反射層は、光電子増倍管152と接する面には形成されていない。NaIシンチレータ151内で発光したシンチレーション光は、内部で反射を繰り返しながら、光電子増倍管152へ照射される。
光電子増倍管(photomultiplier tube, PMT、フォトマル)152は、シンチレーション光が入射すると電子(光電子)を発生させ、その電子を増幅してパルス状の電流信号として出力する。光電子増倍管152では電子を増幅するために高電圧電源である二次電池21から高圧電源が供給されている。これらNaIシンチレータ151、光電子増倍管152も安価な汎用品でありコスト低減に寄与する。
モータ16は、図5で示すように、スイッチ23を介して二次電池21から電源供給されており、スイッチ23により回転のオンオフが制御される。
アンプ17は、上面検出器15の光電子増倍管152から出力される光に応じた放射性パルス状の電流信号を増幅するとともに電圧による電圧波形信号へI/V変換し、各検出器からの電圧波形信号を出力する。
アンプ18は、側面検出器14のPINフォトダイオード141bから出力される光に応じた放射性パルス状の電流信号を増幅するとともに電圧による電圧波形信号へI/V変換するもので、側面検出器14の検出器[1]、検出器[2]、検出器[3]、検出器[4]、検出器[5]、検出器[6]それぞれに接続されており、各検出器からの電圧波形信号を出力する。
SCA(シングルチャンネルアナライザ)19は、波高弁別機能を有しており、ある波高範囲の電圧による電圧波形信号を抽出し、パルスに変換して出力するもので、上側検出器15、および、側面検出器14の検出器[1]、検出器[2]、検出器[3]、検出器[4]、検出器[5]、検出器[6]それぞれの検出器の電圧波形信号から抽出を行う。ある波高とはセシウム134+セシウム137の波高を表す放射性パルスである。
マルチチャンネルカウンタ20は、上面検出器15や検出器[1]、検出器[2]、検出器[3]、検出器[4]、検出器[5]、検出器[6]それぞれのセシウム134+セシウム137の波高を表す放射性パルスを計数して計数率(1秒毎のカウント値)を生成し、この計数率をそれぞれ情報処理装置22へ出力する。このマルチチャンネルカウンタ20は内蔵するCPUにより制御され、所定期間毎にパルスを出力するとともにカウンタ値をリセットするような制御が行われる。
二次電池21は、いわゆる蓄電池(ちくでんち)、充電式電池であり、充電を行うことにより電気を蓄えて電池として使用できる様になり、繰り返し使用することが出来る電池である。このような電池駆動とすることで電源のないフィールドでの測定を可能とする。なお、商用電源が確保できる環境に設置できることも考えられ、図示しないが商用の交流電源と接続するコンセントおよび整流電源装置・高圧電源発生装置を併せて設け、二次電池21と併用するような構成を採用しても良い。
情報処理装置22は、この計数率を入力する。情報処理装置22は、後述する計算により、特にセシウム134+セシウム137からのγ線である放射線パルスを計数した計数率を用いて、セシウム134+セシウム137の放射能量や放射能濃度を算出する。この情報処理装置22は、例えば、ディスプレイを含むPC(パーソナルコンピュータ)やPADやスマートフォンのような携帯端末であっても良く、情報処理装置22が内蔵する演算手段が、ディスプレイに土壌サンプルの層別の放射能量や放射能濃度を演算したり、または、この層別の放射能量や放射能濃度を用いて土壌サンプル全体の放射能量や放射能濃度などを演算し、これら層別の放射能量や放射能濃度や土壌サンプル全体の放射能量や放射能濃度表示する。なお、この情報処理装置22は、高さ分布測定モニタ1から取り外し可能な構成としたり、または、高さ分布測定モニタ1に一体に取り付けられた構成としても良い。
スイッチ23はモータ16と二次電池21との間に介在しており、モータ16のオン・オフを制御する。
続いて本形態の高さ分布測定モニタ1による実際のモニタリングについて説明する。
まず、図7(a)で示すように土壌サンプル2を取得する。比較的堅い土壌ならば、例えばホールカッター(ゴルフでグリーン上のカップを空ける道具)を用いる。砂状であるならば有底円筒状の容器を砂へ押し込み、開口部を押さえてサンプルを収容する。この場合は容器に収容された土壌サンプル2となる。容器は放射性物質から放射される放射線を透過する部材を用いればよく、例えば、プラスチックやガラスの容器であれば良い。このように各種サンプルを取得できるが、本形態では土壌サンプルであるものとして説明する。
続いて、図7(b)で示すように土壌サンプル2を高さ分布測定モニタ1にセットする。蓋部111を開けて収容空間112内のターンテーブル13上に土壌サンプル2を載置する。蓋部111を閉めて測定可能な状態とする。遮蔽体12が土壌サンプル2を覆うため、バックグラウンドによる影響を排除している。
スイッチ23をONにしてモータ16を回転駆動させ、ターンテーブル13上へ配置した土壌サンプル2を回転させる。この理由としては、土壌サンプル2の放射能濃度の面内分布は均一ではないため、土壌サンプル2を回転させて測定することで、面内分布による誤差を抑えるために行う。土壌サンプル2の回転により放射能濃度の面内分布の補正が行われ、全ての角度を考慮した検出ができるようになる。
ここである一の検出器141についてみる。側面方向に入射したγ線により、CsIシンチレータ141aがシンチレーション光を発し、PINフォトダイオード141bがこのシンチレーション光に応じた電荷信号を出力する。アンプ18はこの電流信号を電圧に変換するとともに増幅して、電圧波形信号へ変換する。この電圧波形信号はSCA(シングルチャンネルアナライザ)19へ入力される。SCA(シングルチャンネルアナライザ)19は、波形弁別演算を行って所定エネルギー領域の信号のみ抽出した放射性パルスであるパルスデータをマルチチャンネルカウンタ20へ出力する。マルチチャンネルカウンタ20は、パルスデータを入力してカウントして計数率を算出し、この計数率を情報処理装置22へ出力する。情報処理装置22は、後述する演算によってセシウム134+セシウム137についての放射能濃度を検出する。そして、情報処理装置22のディスプレイに土壌サンプルの層別の放射能量や放射能濃度、または、この層別の放射能量や放射能濃度を用いて演算した土壌サンプル全体の放射能濃度などを表示する。モニタリングはこのようなものとなる。
続いて、深さ方向の放射能濃度分布についての検出原理について説明する。まず側面検出器による検出原理について説明する。螺旋状に配列された6個の検出器により、土壌サンプル2を高さ方向に複数層に分割して計測する。ここで一の検出器、例えば図6(b)で示すように検出器[4]について見てみると、検出器[4]の計数率は、対向する土壌サンプル第4層のみではなく、土壌サンプル第1層〜第6層の各層にあるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。このように一の検出器には、土壌サンプル2の各層から信号が入射するため、ある検出器の信号から、その検出器に対向する層のみの放射能濃度分布を求めると誤差が大きくなる。そこで、ある検出器については各層から放射線が入射することを考慮して放射能濃度分布を求める。これは各検出器[1]〜検出器[6]でも同様である。この点を考慮して演算を行う。具体的な演算は次式のようになる。
[数1]
Count[1]=Act[1]×Eff[1] [1]+Act[2]×Eff[1] [2]+Act[3]×Eff[1] [3]
+Act[4]×Eff[1] [4]+Act[5]×Eff[1] [5]+Act[6]×Eff[1] [6]
Count[2]=Act[1]×Eff[2] [1]+Act[2]×Eff[2] [2]+Act[3]×Eff[2] [3]
+Act[4]×Eff[2] [4]+Act[5]×Eff[2] [5]+Act[6]×Eff[2] [6]
Count[3]=Act[1]×Eff[3] [1]+Act[2]×Eff[3] [2]+Act[3]×Eff[3] [3]
+Act[4]×Eff[3] [4]+Act[5]×Eff[3] [5]+Act[6]×Eff[3] [6]
Count[4]=Act[1]×Eff[4] [1]+Act[2]×Eff[4] [2]+Act[3]×Eff[4] [3]
+Act[4]×Eff[4] [4]+Act[5]×Eff[4] [5]+Act[6]×Eff[4] [6]
Count[5]=Act[1]×Eff[5] [1]+Act[2]×Eff[5] [2]+Act[3]×Eff[5] [3]
+Act[4]×Eff[5] [4]+Act[5]×Eff[5] [5]+Act[6]×Eff[5] [6]
Count[6]=Act[1]×Eff[6] [1]+Act[2]×Eff[6] [2]+Act[3]×Eff[6] [3]
+Act[4]×Eff[6] [4]+Act[5]×Eff[6] [5]+Act[6]×Eff[6] [6]
そして、計測値は以下のようになる。
[数2]
Count[1]:検出器[1]が測定した計数率[cps]
Count[2]:検出器[2]が測定した計数率[cps]
Count[3]:検出器[3]が測定した計数率[cps]
Count[4]:検出器[4]が測定した計数率[cps]
Count[5]:検出器[5]が測定した計数率[cps]
Count[6]:検出器[6]が測定した計数率[cps]
そして、定数は以下のようになる。
[数3]
Eff[1] [1]:検出器[1]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[1] [2]:検出器[1]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[1] [3]:検出器[1]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[1] [4]:検出器[1]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[1] [5]:検出器[1]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[1] [6]:検出器[1]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [1]:検出器[2]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [2]:検出器[2]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [3]:検出器[2]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [4]:検出器[2]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [5]:検出器[2]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [6]:検出器[2]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [1]:検出器[3]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [2]:検出器[3]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [3]:検出器[3]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [4]:検出器[3]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [5]:検出器[3]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [6]:検出器[3]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [1]:検出器[4]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [2]:検出器[4]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [3]:検出器[4]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [4]:検出器[4]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [5]:検出器[4]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [6]:検出器[4]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [1]:検出器[5]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [2]:検出器[5]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [3]:検出器[5]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [4]:検出器[5]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [5]:検出器[5]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [6]:検出器[5]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [1]:検出器[6]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [2]:検出器[6]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [3]:検出器[6]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [4]:検出器[6]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [5]:検出器[6]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [6]:検出器[6]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
そして、求める変数は以下のようになる。
[数4]
Act[1]:土壌サンプル第1層の放射能量[Bq]
Act[2]:土壌サンプル第2層の放射能量[Bq]
Act[3]:土壌サンプル第3層の放射能量[Bq]
Act[4]:土壌サンプル第4層の放射能量[Bq]
Act[5]:土壌サンプル第5層の放射能量[Bq]
Act[6]:土壌サンプル第6層の放射能量[Bq]
Count[1]、Count[2]、Count[3]、Count[4]、Count[5]、Count[6]は検出により求められるカウント値から算出される値であり、値が判明している。また、Eff[1] [1]、Eff[1] [2]、Eff[1] [3]、Eff[1] [4]、Eff[1] [5]、Eff[1] [6]、Eff[2] [1]、Eff[2] [2]、Eff[2] [3]、Eff[2] [4]、Eff[2] [5]、Eff[2] [6]、Eff[3] [1]、Eff[3] [2]、Eff[3] [3]、Eff[3] [4]、Eff[3] [5]、Eff[3] [6]、Eff[4] [1]、Eff[4] [2]、Eff[4] [3]、Eff[4] [4]、Eff[4] [5]、Eff[4] [6]、Eff[5] [1]、Eff[5] [2]、Eff[5] [3]、Eff[5] [4]、Eff[5] [5]、Eff[5] [6]、Eff[6] [1]、Eff[6] [2]、Eff[6] [3]、Eff[6] [4]、Eff[6] [5]、Eff[6] [6]はモンテカルロシミュレーション等によりコンピュータの演算により算出できる。したがって、情報処理装置22の演算手段がこれら連立方程式を解くことで、Act[1]、Act[2]、Act[3]、Act[4]、Act[5]、Act[6]を求めることができる。なお、この演算は上記の[数1]についての行列式を生成し、逆行列を掛け合わせることで一括して算出するような手段とすることもできる。
Act[1]、Act[2]、Act[3]、Act[4]、Act[5]、Act[6]は放射能量(単位は[Bq])であり、この放射能量に校正定数[1/kg]を掛けて(例えば層のサンプルの重量で割って)サンプルの層別の放射能濃度[Bq/kg]を求める。これにより第1層〜第6層の各層の放射能量や放射能濃度が得られる。この放射能濃度は、高さ方向で下側、つまり第1層から第6層へ下がるにつれて放射能濃度が低くなる。例えば第1層,第2層,第3層は基準を超えるが第4層、第5層、第6層は基準を下回るような場合は、第3層まで剥ぎ取れば良くなる。このように除染の作業現場で除染に効果的な土壌の高さ(深さ)を知ることができ、除染作業の効率化に寄与する。
続いて、側面検出の一般化した形態について説明する。先ほども説明したが、一の検出器、例えば図8(c)で示すように検出器[1]について見てみると、検出器[1]の計数率は、対向する土壌サンプル第1層のみではなく、土壌サンプル第1層,・・第i層,第(i+1)層,・・・,第n層の各層にあるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。このように一の検出器には、土壌サンプル2の各層から信号が入射する。
側面検出器は、図8で示すようにn個の検出器を有するものとする。この際、検出器の隣接角度をα、検出器の全角度をβとするとき、(β/α)+1=nとなる。例えばβ=180°、α=30°でn=7個となる。検出器の径も調整することで設置可能なnを決定することができる。
図8(c)でも明らかなように、土壌サンプル2を高さ方向に第n層に分割して第i層(i=1,2,・・・,n)の土壌サンプル2にそれぞれ対向する第i番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[i]とする。図8(c)で示すように、例えば検出器[1]にも第1層から第n層の土壌サンプル2から放射線が入射する。これを一般化すると、i番目の検出器へ入射するj層(j=1,2,・・・,n)の土壌サンプル2からの放射能濃度の影響を表す検出効率をEff[i][j]とする。j層の土壌サンプル2の放射能量をAct[j]としたとき、次式のように表される。
[数5]
Count[i]=ΣEff[i][j]×Act[j]
但しi=1,・・・,nであり、またj=1,・・・,nである。Σはj=1からnまでを加算したことを表す。実測値であるCount[i]とモンテカルロシミュレーション等により予め算出したΣEff[i][j]を代入した連立方程式とすることができる。したがって、情報処理装置22の演算手段がこれら連立方程式を解くことで、放射能量Act[j]を算出することができる。なお、この演算は上記の[数5]についての行列式を生成し、逆行列を掛け合わせることで一括して算出するような手段とすることもできる。そして放射能量Act[j] (単位は[Bq])に校正定数[1/kg]を掛けて(例えば層のサンプルの重量で割って)サンプルの層別の放射能濃度[Bq/kg]を求めることができる。
続いて深さ方向に濃度分布を持つサンプルの全放射能量や全放射能濃度の検出原理について説明する。上面検出器15による検出原理について説明する。
上面検出器15で全放射能濃度を測定する場合、検出器に近い層からのカウントは多く、遠い層のカウントは少なくなる。小型検出器で求めた放射能量の分布を用いて、精度の高い全放射能量を算出し、最終的に放射能濃度を演算する。全放射能量Atotは次式のようになる。
[数6]
Atot=Act[1]+Act[2]+Act[3]+Act[4]+Act[5]+Act[6]
上記のようにAct[1]、Act[2]、Act[3]、Act[4]、Act[5]、Act[6]は求められているため、これら放射能量を加算することでAtotが算出される。さらにAtot[Bq]に校正定数[1/kg]を掛けて(例えばサンプル全体の重量で割って)全放射能濃度[Bq/kg]を求めることができる。
しかしながら、全放射能量や全放射能濃度については検出効率が高い上面検出器を用いてサンプルの平面から放射されるγ線を演算に利用しつつ検出することで、より正確な値を求めることができる。そこで、上面検出器15による土壌サンプル2全体の放射能濃度を測定する。検出原理であるが、先に算出した深さ方向の分布から、上面検出器の効率を補正して精度の高い土壌サンプル2の放射能濃度を演算し、深さ方向の放射能濃度分布と全体の放射能濃度を測定する。
上面検出器15についてみると、上側方向に入射したγ線により、NaIシンチレータ151がシンチレーション光を発し、光電子増倍管152がこのシンチレーション光に応じた電流信号を出力する。アンプ17はこの電流信号を電圧に変換するとともに増幅して、電圧波形信号へI/V変換する。この電圧波形信号はSCA(シングルチャンネルアナライザ)19へ入力される。SCA(シングルチャンネルアナライザ)19は、波形弁別演算を行って所定エネルギー領域の信号のみ抽出した放射性パルスであるパルスデータをマルチチャンネルカウンタ20へ出力する。マルチチャンネルカウンタ20は、パルスデータを入力してカウントして計数率を算出し、この計数率を情報処理装置22へ出力する。情報処理装置22は、後述する演算によってセシウム134+セシウム137についての放射能量を検出する。そして、情報処理装置22のディスプレイに層別の放射能量やこの放射能量を用いて演算した土壌サンプル全体の放射能量や、層別の放射能濃度やこの放射能濃度を用いて演算した土壌サンプル全体の放射能濃度などを表示する。モニタリングはこのようなものとなる。
続いて、上面検出器による検出について説明する。まず先に算出した各層からの放射能量を次式のように比率で表す。
[数7]
Act[1]:Act[2]:Act[3]:Act[4]:Act[5]:Act[6]=1:k12:k13:k14:k15:k16
また、効率は次式のように表される。
[数8]
EffNaI[1]:第1層からNaI検出器に対する検出効率[cps/Bq]
EffNaI[2]:第2層からNaI検出器に対する検出効率[cps/Bq]
EffNaI[3]:第3層からNaI検出器に対する検出効率[cps/Bq]
EffNaI[4]:第4層からNaI検出器に対する検出効率[cps/Bq]
EffNaI[5]:第5層からNaI検出器に対する検出効率[cps/Bq]
EffNaI[6]:第6層からNaI検出器に対する検出効率[cps/Bq]
これら効率はモンテカルロシミュレーションにより予め算出したものである。これら値を用いると、NaI検出器のカウントCount-NaIは次式のようになる。
[数9]
Count-NaI=Act[1]×EffNaI[1]+Act[2]×EffNaI[2]+Act[3]×EffNaI[3]
+Act[4]×EffNaI[4]+Act[5]×EffNaI[5]+Act[6]×EffNaI[6]
=Atot×(1/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[1]
+k12/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[2]
+k13/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[3]
+k14/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[4]
+k15/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[5]
+k16/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[6])
Atotについてまとめると次式のようになる。
[数10]
Atot=Count-NaI/(1/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[1]
+k12/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[2]
+k13/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[3]
+k14/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[4]
+k15/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[5]
+k16/(1+k12+k13+k14+k15+k16)×EffNaI[6])
したがって、情報処理装置22の演算手段がこの連立方程式を解くことで、放射能量Atotを算出することができる。そして放射能量Atot[Bq]に校正定数[1/kg]を掛けて(例えばサンプルの全体の重量で割って)サンプルの層別の放射能濃度[Bq/kg]を求めることができる。
続いて、側面検出の一般化した形態について説明する。円柱状のサンプルを高さ方向にn層に分割したものとみるときに第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射線を上面検出器が検出した放射線パルスの計数率をCountNaIとする。そして、第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射能濃度の影響を表す検出効率をEffNaI[i]とし、第i層のサンプルの放射能濃度をAct[i]とする。
このとき、情報処理装置22の演算手段は、全放射能量をAtotとしたときに各Act[i]を係数×Atotで表しておき、CountNaI=ΣEffNaI[i]×Act[i]に実測値であるCountNaI、、および、予め算出したEffNaI[i]および係数×Atotを代入して放射能量Atotを算出し、放射能量Atot[Bq]に校正定数[1/kg]を掛けて(例えばサンプルの全体の重量で割って)放射能濃度[Bq/kg]を算出する。
続いて、本発明を実施するための他の形態に係る高さ分布測定モニタ1’について図を参照しつつ以下に説明する。図9は、他の形態の高さ分布測定モニタ1’の構成図である。
本形態の高さ分布測定モニタ1’は、図9で示すようにケース11、遮蔽体12、ターンテーブル13、側面検出器14、上面検出器15、コリメータ30を備える。また、図10で示すようにコリメータ30、モータ16を備える。また、図5で示すように、さらにアンプ17,18、SCA(シングルチャンネルアナライザ)19、マルチチャンネルカウンタ20、二次電池21、情報処理装置22、スイッチ23を備える。なお、アンプ18、SCA(シングルチャンネルアナライザ)19は検出器と同数の7個配置されるものとする。高さ分布測定モニタ1’は、土壌サンプル2の放射能濃度についてのモニタリングを行う。
本形態の高さ分布測定モニタ1’は、先に図1〜図8を参照しつつ説明した高さ分布測定モニタ1と比較すると、特に土壌サンプル2と、検出器12と、の間にコリメータ30を配置した点が相違する。この相違点を重点的に説明するとともに同じ構成については同じ符号・名称を付すともに重複する説明を省略する。本形態では高さ方向に第6層まで分割し、検出器は7個配置した具体例により説明する。
コリメータ30は、土壌サンプル2と、検出器141と、の間に介在する窓であって、各検出器毎に形成された測定用開口である。コリメータ30は一個の検出器141へ入射する放射線を層別に限定することで深さ分布測定の誤差低減を行う。このようなコリメータ30は7個の検出器141のそれぞれに対して設けられる。また、7個の検出器と対向するように螺旋上に配置する。コリメータ30は角度が形成されており、一の検出器へは隣接する二層からしか放射線が入射しないようにしている。
続いて、深さ方向の濃度分布についての検出原理について説明する。まず側面検出器による検出原理について説明する。螺旋状に配列された7個の検出器により、土壌サンプル2を高さ方向に6層に分割して計測する。詳しくは、図10,図11で示すように、検出器[1]の計数率は第1層にあるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。検出器[2]の計数率は第1層および第2層にあるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。検出器[3]の計数率は第2層および第3層にあるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。検出器[4]の計数率は第3層および第4層にあるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。検出器[5]の計数率は第4層および第5層にあるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。検出器[6]の計数率は第5層および第6層あるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。検出器[7]の計数率は第6層あるセシウム134+セシウム137からのγ線による計数率である。
このようにコリメータ30が一の検出器へ入射方向を絞っているため、演算の省力化と誤差低減に寄与している。この点を考慮して演算を行う。具体的な演算は次式のようになる。
[数11]
Count[7]=Act[6]×Eff[7][6]
Count[6]=Act[5]×Eff[6][5] + Act[6]×Eff[6][6]
Count[5]=Act[4]×Eff[5][4] + Act[5]×Eff[5][5]
Count[4]=Act[3]×Eff[4][3] + Act[4]×Eff[4][4]
Count[3]=Act[2]×Eff[3][2] + Act[3]×Eff[3][3]
Count[2]=Act[1]×Eff[2][1] + Act[2]×Eff[2][2]
Count[1]=Act[1]×Eff[1][1]
そして、計測値は以下のようになる。
[数12]
Count[1]:検出器[1]が測定した計数率
Count[2]:検出器[2]が測定した計数率
Count[3]:検出器[3]が測定した計数率
Count[4]:検出器[4]が測定した計数率
Count[5]:検出器[5]が測定した計数率
Count[6]:検出器[6]が測定した計数率
Count[7]:検出器[7]が測定した計数率
そして、定数は以下のようになる。
[数13]
Eff[1] [1]:検出器[1]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [1]:検出器[2]の土壌サンプル第1層への検出効率[cps/Bq]
Eff[2] [2]:検出器[2]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [2]:検出器[3]の土壌サンプル第2層への検出効率[cps/Bq]
Eff[3] [3]:検出器[3]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [3]:検出器[4]の土壌サンプル第3層への検出効率[cps/Bq]
Eff[4] [4]:検出器[4]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [4]:検出器[5]の土壌サンプル第4層への検出効率[cps/Bq]
Eff[5] [5]:検出器[5]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [5]:検出器[6]の土壌サンプル第5層への検出効率[cps/Bq]
Eff[6] [6]:検出器[6]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
Eff[7] [6]:検出器[7]の土壌サンプル第6層への検出効率[cps/Bq]
そして、求める変数は以下のようになる。
[数14]
Act[1]:土壌サンプル第1層の放射能量[Bq]
Act[2]:土壌サンプル第2層の放射能量[Bq]
Act[3]:土壌サンプル第3層の放射能量[Bq]
Act[4]:土壌サンプル第4層の放射能量[Bq]
Act[5]:土壌サンプル第5層の放射能量[Bq]
Act[6]:土壌サンプル第6層の放射能量[Bq]
Count[1]、Count[2]、Count[3]、Count[4]、Count[5]、Count[6]、Count[7]は検出により求められる測定値であり、値が判明している。また、Eff[1] [1]、Eff[2] [1]、Eff[2] [2]、Eff[3] [2]、Eff[3] [3]、Eff[4] [3]、Eff[4] [4]、Eff[5] [4]、Eff[5] [5]、Eff[6] [5]、Eff[6] [6] 、Eff[7] [6]はモンテカルロシミュレーションによりコンピュータの演算により算出できる。したがって、情報処理装置22の演算手段がこれら連立方程式を解くことで、Act[1]、Act[2]、Act[3]、Act[4]、Act[5]、Act[6]を求めることができる。なお、この演算は上記の[数11]についての行列式を生成し、逆行列を掛け合わせることで一括して算出するような手段とすることもできる。
なお、Count[7]=Act[6]×Eff[7][6]であることから、Act[6]=Count[7]/ Eff[7][6]を解いて直ちにAct[6]を算出することができる。また、Count[6]=Act[5]×Eff[6][5] + Act[6]×Eff[6][6]=Act[5]×Eff[6][5]+ Count[7]/ Eff[7][6]×Eff[6][6]であることから、Act[5]≒(Count[7]/ Eff[7][6]×Eff[6][6]- Count[6])/ Eff[6][5] を解いて直ちにAct[5]を算出することができる。このようにしてAct[i]を算出しても良い。
Act[1]、Act[2]、Act[3]、Act[4]、Act[5]、Act[6]は放射能量であり、この放射能量に校正定数[1/kg]を掛けて(例えばサンプルの層別の重量で割って)サンプルの層別の放射能濃度[Bq/kg]を求める。これにより第1層〜第6層の各層の放射能濃度が検出される。この濃度は、高さ方向で下側、つまり第1層から第6層へ下がるにつれて放射能濃度が低くなる。例えば第1層,第2層,第3層は基準を超えるが第4層,第5層,第6層は基準を下回るような場合は、第3層まで剥ぎ取れば良くなる。このように除染の作業現場で除染に効果的な土壌の高さ(深さ)を知ることができ、除染作業の効率化に寄与する。
なお、上面検出器15による土壌サンプル2全体の放射能濃度の測定の検出原理は、先に[数6]〜[数10]を用いて説明した演算方法と同じ演算方法であり、重複する説明を省略する。算出したAtot[Bq]に校正定数[1/kg]を掛けて(例えばサンプルの全体の重量で割って)全放射能濃度[Bq/kg]を求めることができる。
続いて、側面検出の一般化した形態について説明する。
側面検出器は、図12で示すようにn+1個の検出器を有するものとする。この際(β/α)=nとなる。検出器の径も調整することでnを最適な値に決定することができる。
図12(c)でも明らかなように、土壌サンプル2を高さ方向にn層に分けて放射線濃度を検出する場合に、小型検出器を(n+1)個設ける。検出器[1]へは土壌サンプル2の第1層のみからの放射線が入射するようにコリメータ30を設ける。検出器[i](i=2,・・・,n-1)へは土壌サンプル2の第(i-1)層と第i層という上下の二層のみからの放射線が入射するようにコリメータ30を設ける。検出器[n+1]へは土壌サンプル2の第n層のみからの放射線が入射するようにコリメータ30を設ける。これらコリメータ30はγ線を透過させない鉛等で形成されている。これら各検出器の信号を用いて演算することで対象とする層の放射能濃度を算出する。
これを一般化すると、iが1と2・・・nとn+1に分割できる。
サンプルを高さ方向に第1層のサンプルからコリメータを介して対向する第1番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[1]とする。第(i-1)層(但し、i=2,・・・,nである)のサンプルと第i層のサンプルからコリメータを介して対向する第i番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[i]とする。第n層のサンプルからコリメータを介して対向する第(n+1)番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[n+1]とする。
第1層のサンプルから第1番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[1][1]とする。
第(i-1)層のサンプルから第i番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][i-1] と、また、第i層のサンプルからi番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][i]とする。
第n層のサンプルから第(n+1)番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[n+1][n]とする。
第1層のサンプルの放射能量をAct[1]、第i層のサンプルの放射能量をAct[i]、第n層のサンプルの放射能量をAct[n]としたとき、Count[1]は次式のようになる。
[数15]
Count[1]=Eff[1][1]×Act[1]、
また、Count[i]は次式のようになる。
[数16]
Count[i]=Eff[i][i-1]×Act[i-1]+Eff[i][i]×Act[i]、
また、Count[n+1]は次式のようになる。
[数17]
Count[n+1]=Eff[n+1][n]×Act[n]、
そして、情報処理装置22の演算手段は、実測値であるCount[1],Count[i], Count[n+1]とモンテカルロシミュレーションにより予め算出したEff[1][1]、Eff[i][i-1]、Eff[i][i]およびEff[n+1][n]を代入して放射能量Act[i]を算出し、放射能量Act[i] (単位は[Bq])に校正定数[1/kg]を掛けて(例えばサンプルの層別の重量で割って)サンプルの層別の放射能濃度[Bq/kg]を求めることができる。
以上本発明の高さ分布測定モニタについて説明した。
この高さ分布測定モニタ1,1’では、土壌中の放射性セシウム(134Cs+137Cs)の放射能濃度の総量及び深さ分布を円柱状のサンプルをそのまま測定するモニタとしており、特に除染作業での活用が見込まれる。軽量化・小型化により車両への搭載を可能とし、従来のように検査所まで戻る必要や土壌をほぐす作業もなくし、電池駆動によりサンプル採取現場での迅速な測定を可能としている。農地等の土壌放射能の現場測定や、除染時の最適な土壌剥ぎ取り厚の決定等に貢献する。
また、従来技術のゲルマニウム半導体検出器と比較して、汎用品を多く採用したことで、装置価格を250万円程度という低価格化を実現しており、導入しやすくした。
性能面では、サンプルに検出器を近接させて信号量を増加させたことに加え遮蔽体12によりバックグラウンドの影響も大幅に排除しており、この点でも検出能力を高めている。
本発明に係る高さ分布測定モニタは、特に持ち運びにより作業現場で土壌の放射能濃度の高さ分布を得られるようにしたものであるが、この用途に限定されるものではなく、据え置き型の装置に適用しても良い。さらに、これ以外にも野ざらしにされて汚染された木くず・砂礫などの粒状体・紛状体を容器に入れて高背で円柱状のサンプルとして計測しても良く、その用途は広い。
1,1’:高さ分布測定モニタ
11:ケース
111:蓋部
12:遮蔽体
121:収容空間
13:ターンテーブル
14:側面検出器
141:検出器
141a:CsIシンチレータ
141b:PINフォトダイオード
15:上面検出器
151:NaIシンチレータ
152:光電子増倍管
16:モータ
16a:駆動軸
17:アンプ
18:アンプ
19:SCA(シングルチャンネルアナライザ)
20:マルチチャンネルカウンタ
21:二次電池
22:情報処理装置
23:スイッチ
30:コリメータ

2:土壌サンプル

Claims (8)

  1. 円柱状のサンプルの側面と横側で対向し、このサンプルの側面から放射される放射線を検出して検出信号を出力する検出器を高さ別に複数備えてなる側面検出器と、
    側面検出器の外側に設けられ、外界からのバックグラウンドを遮蔽する遮蔽体と、
    遮蔽体内に設けられ、サンプルが収容される収容空間と、
    収容空間内のサンプルを回転させるターンテーブルと、
    を備え、
    ターンテーブルでサンプルを回転させ、側面検出器の複数の検出器が高さ別にサンプルの全外周について放射線を検出し、サンプルに対して高さ方向に層別のモニタリングを行うことを特徴とする高さ分布測定モニタ。
  2. 請求項1に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
    側面検出器はn個の検出器を有するものであり、
    サンプルを高さ方向に第n層に分割したものとみるときに第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルにそれぞれ対向する第i番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[i]とし、
    第i番目の検出器へ入射する第j層(j=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][j]とし、
    第j層のサンプルの放射能量をAct[j]としたとき、
    Count[i]=ΣEff[i][j]×Act[j] (但しj=1,2,・・・,n)に実測値であるCount[i]と予め算出したEff[i][j]を代入して放射能量Act[j]を算出し、放射能量Act[j] に係数を掛けてサンプルの層別の放射能濃度を算出することを特徴とする高さ分布測定モニタ。
  3. 円柱状のサンプルの側面と横側で対向し、このサンプルの側面から放射される放射線を検出して検出信号を出力する検出器を高さ別に複数備えてなる側面検出器と、
    側面検出器の外側に設けられ、外界からのバックグラウンドを遮蔽する遮蔽体と、
    遮蔽体内に設けられ、サンプルが収容される収容空間と、
    サンプルの側面と検出器との間に介在し、視野を絞りつつ対向させるコリメータと、
    収容空間内のサンプルを回転させるターンテーブルと、
    を備え、
    ターンテーブルでサンプルを回転させ、側面検出器の複数の検出器が高さ別にサンプルの全外周について放射線を検出し、サンプルに対して高さ方向に層別のモニタリングを行うことを特徴とする高さ分布測定モニタ。
  4. 請求項3に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
    側面検出器は(n+1)個の検出器を有するものであり、
    サンプルを高さ方向に第n層に分割したものとみるときに第1層のサンプルからコリメータを介して対向する第1番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[1]とし、第(i-1)層(但し、i=2,・・・,nである)のサンプルと第i層のサンプルからコリメータを介して対向する第i番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[i]とし、第n層のサンプルからコリメータを介して対向する第(n+1)番目の検出器が検出した放射線パルスの計数率をCount[n+1]とし、
    第1層のサンプルから第1番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[1][1]とし、
    第(i-1)層のサンプルから第i番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][i-1] とし、また、第i層のサンプルから第i番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[i][i]とし、
    第n層のサンプルから第(n+1)番目の検出器へ入射する放射能量の影響を表す検出効率をEff[n+1][n]とし、
    第1層のサンプルの放射能量をAct[1]、第i層のサンプルの放射能量をAct[i]、第n層のサンプルの放射能量をAct[n]としたとき、
    Count[1]=Eff[1][1]×Act[1]、
    Count[i]=Eff[i][i-1]×Act[i-1]+Eff[i][i]×Act[i]、
    Count[n+1]=Eff[n+1][n]×Act[n]、
    に実測値であるCount[1],Count[i], Count[n+1]と予め算出したEff[1][1]、Eff[i][i-1]、Eff[i][i]およびEff [n+1] [n]を代入して放射能量Act[i]を算出し、放射能量Act[i] に係数を掛けてサンプルの層別の放射能濃度を算出することを特徴とする高さ分布測定モニタ。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
    前記側面検出器は、複数の検出器を高さとともに平面から見て角度を変化させた位置に配置されており、螺旋状の検出器とすることを特徴とする高さ分布測定モニタ。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
    円柱状のサンプルが収容される前記収容空間は断面円状に形成される空間であり、かつ、サンプルの側面に対向する側面検出器の各検出器が径方向にサンプルから等距離に配置されることを特徴とする高さ分布測定モニタ。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
    円柱状のサンプルの平面と上側で対向しており、このサンプルの平面から放射される放射線を検出して検出信号を出力する上面検出器を備えることを特徴とする高さ分布測定モニタ。
  8. 請求項7に記載の高さ分布測定モニタにおいて、
    円柱状のサンプルを高さ方向にn層に分割したものとみるときに第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射線を上面検出器が検出した放射線パルスの計数率をCountNaIとし、
    第i層(i=1,2,・・・,n)のサンプルからの放射能濃度の影響を表す検出効率をEffNaI[i]とし、
    第i層のサンプルの放射能濃度をAct[i]と、また、全放射能量をAtotとしたときに各Act[i]を係数×Atotで表しておき、
    CountNaI=ΣEffNaI[i]×Act[i]に実測値であるCountNaI、予め算出したEffNaI[i]および係数×Atotを代入して放射能量Atotを算出し、放射能量Atotに係数を掛けて放射能濃度を算出することを特徴とする高さ分布測定モニタ。
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