JP2013229379A - セラミック配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 絶縁層の械的な強度を高く確保しながら、絶縁層の比誘電率を低減することが可能な、セラミック配線基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 セラミック焼結体からなる絶縁層1と、絶縁層1の上面に設けられた配線導体2とを備えるセラミック配線基板3であって、絶縁層1は、セラミック粒子4と中空のセラミック粒子5とがガラス成分6を介して焼結してなるセラミック焼結体からなり、中空のセラミック粒子5は、絶縁層1の上部分において下部分よりも多く含まれているセラミック配線基板3である。中空のセラミック粒子5によって絶縁層1の比誘電率が低減される。また、セラミック粒子4を含み、かつセラミック粒子4間に空隙を設ける必要がないため、絶縁層1の機械的な強度が高く確保できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 セラミック焼結体からなる絶縁層1と、絶縁層1の上面に設けられた配線導体2とを備えるセラミック配線基板3であって、絶縁層1は、セラミック粒子4と中空のセラミック粒子5とがガラス成分6を介して焼結してなるセラミック焼結体からなり、中空のセラミック粒子5は、絶縁層1の上部分において下部分よりも多く含まれているセラミック配線基板3である。中空のセラミック粒子5によって絶縁層1の比誘電率が低減される。また、セラミック粒子4を含み、かつセラミック粒子4間に空隙を設ける必要がないため、絶縁層1の機械的な強度が高く確保できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、絶縁層と、絶縁層の上面に設けられた配線導体とを含むセラミック配線基板、およびその製造方法に関するものである。
従来、例えば半導体素子等の電子部品を搭載するために用いられる配線基板として、セラミック焼結体からなる絶縁層と、絶縁層の上面に設けられた配線導体とを備えるセラミック配線基板が多用されている。絶縁層を形成しているセラミック焼結体は、酸化アルミニウム等のセラミック粒子が、ガラス相を介して焼結して形成されている。
配線導体は、タングステン、モリブデンまたは銅等の金属材料が、メタライズ法によって絶縁層の上面に被着されて形成されている。通常、配線導体と絶縁層とは、同時焼成されている。
このようなセラミック配線基板は、次のようにして製作されている。
すなわち、まず、セラミック粉末を有機溶剤およびバインダ等とともにシート状に成形して複数のセラミックグリーンシートを作製する。また、タングステン等の金属材料の粉末を有機溶剤およびバインダ等とともに混練して金属ペーストを作製する。次に、セラミックグリーンシートの上面に金属ペーストを所定の配線導体のパターンで印刷する。その後、金属ペーストを印刷したセラミックグリーンシートを所定の温度で焼成することによって、セラミックグリーンシートと金属ペーストとを同時に焼成する。これにより、絶縁層の上面に配線導体が設けられたセラミック配線基板を製作することができる。
近年、配線導体を伝送される電気信号の高周波化が進んでいる。配線導体における電気信号の遅延を抑制するために、絶縁基板の比誘電率をより小さく抑えることが求められている。これに対しては、例えば絶縁層を形成しているセラミック焼結体において、セラミック粒子(結晶粒)間に空隙を生じさせることが考えられる。空隙内、つまり絶縁層内に、比誘電率がほぼ1と低い空気等の気体が存在していることによって、絶縁層の比誘電率が低減され得る。
しかしながら、この場合、セラミック粒子間に空隙が存在しているため、セラミック粒子同士の間で亀裂等が生じやすくなる可能性がある。そのため、絶縁層の機械的な強度が低くなる可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するために完成されたものであり、その目的は、絶縁層の機械的な強度を高く確保しながら、絶縁層の比誘電率を低減することが可能な、セラミック配線基板およびその製造方法を提供することにある。
本発明の一つの態様のセラミック配線基板は、セラミック焼結体からなる絶縁層と、該絶縁層の上面に設けられた配線導体とを備えるセラミック配線基板であって、前記絶縁層は、セラミック粒子と中空のセラミック粒子とがガラス成分を介して焼結してなるセラミック焼結体からなり、前記中空のセラミック粒子は、前記絶縁層の上部分において下部分よりも多く含まれていることを特徴とする。
本発明の一つの態様のセラミック配線基板の製造方法は、セラミック粉末、中空のセラミック粉末およびガラス粉末を有機溶剤および有機バインダとともに混練してスラリーを作製する工程と、該スラリーをシート状に成形した後、前記セラミック粉末を前記中空のセラミック粉末よりも下側に沈降させながら前記有機溶剤を除去して、セラミックグリーンシートを作製する工程と、該セラミックグリーンシートの上面に金属ペーストを印刷した後、前記セラミックグリーンシートおよび前記金属ペーストを同時焼成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の一つの態様のセラミック配線基板によれば、絶縁層が中空のセラミック粒子を含むことから、比誘電率が小さい空気等の気体が絶縁層内に存在する。また、この中空のセラミック粒子は、絶縁層のうち配線導体に近い上部分において、下部分よりも多く含まれている。そのため、絶縁層について、特に配線導体が設けられた上面に近い部分における比誘電率が小さく抑えられ得る。
また、絶縁層の比誘電率を低減する空気等の気体が中空のセラミック粒子内に存在しているため、中空のセラミック粒子間の亀裂の発生が抑制され得る。また、絶縁層を形成しているセラミック焼結体には、中空のセラミック粒子よりも機械的な強度が大きい(中空ではない)セラミック粒子が含まれている。そのため、絶縁層の機械的な強度が高い。
本発明の一つの態様のセラミック配線基板の製造方法によれば、上記各工程を有していることから、機械的な強度が高く、かつ比誘電率が小さい絶縁層を含む、セラミック配線基板を製作することができる。すなわち、中空のセラミック粒子よりも下側に沈降させたセラミック粒子によって絶縁層の機械的な強度を高く確保しながら、中空のセラミック粒子によって絶縁層の比誘電率を低く抑えることができる。
したがって、絶縁層の械的な強度を高く確保しながら、絶縁層の比誘電率を低減することが可能な、セラミック配線基板およびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態におけるセラミック配線基板について、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のセラミック配線基板における要部を示す断面図である。また、図2は、図1に要部を示すセラミック配線基板の一例を示す斜視図である。絶縁層1上に配線導体2が設けられて、セラミック配線基板3が基本的に形成されている。セラミック配線基板3は、例えば半導体集積回路素子等の半導体素子、および容量素子、圧電素子等の電子部品を搭載するための配線基板として用いられる。
絶縁層1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミック焼結体等のセラミック焼結体によって形成されている。配線導体2は、例えばタングステン、モリブデン、銅または銀等の金属材料によって形成されている。また、配線導体2は、これらの金属材料の二つ以上を含んでいてもよく、これらの金属材料の合金材料であってもよい。絶縁層1と配線導体2とは、同時焼成によって一体化されている。
絶縁層1は、例えば、半導体素子、センサ素子、容量素子、圧電振動素子等の電子部品(図示せず)を搭載するための基体として機能する。図1に示す例において、絶縁層1は、上面に、電子部品が搭載される搭載部1aを有している。
絶縁層1に設けられた配線導体2は、例えば絶縁層1の搭載部1aに搭載される電子部品と外部の電気回路とを電気的に接続するための導電路として機能する。外部の電気回路としては、例えば、携帯電話や無線LAN(Local Area network)等の電子機器に使用されるマザーボード等の電気回路が挙げられる。
配線導体2は、例えばタングステン、モリブデン、銅または銀等の金属材料によって形成されている。また、配線導体2は、これらの金属材料の二つ以上を含んでいてもよく、これらの金属材料の合金材料であってもよい。
第1の実施形態のセラミック配線基板3においては、配線導体2は、電子部品または外部の電気回路と電気的に接続される部分を有している。配線導体2のうち電子部品または外部の電気回路と電気的に接続される部分は、例えば図1における円形状の端子部分(符号なし)である。この端子部分に、例えば電子部品の電極が、ボンディングワイヤ、はんだまたは導電性接着剤等の導電性接続材を介して電気的に接続される。
搭載部1aに電子部品が搭載され、電子部品と配線導体2とが電気的に接続されて電子装置(図示せず)が形成される。電子装置は、配線導体2の一部が外部の電気回路と電気的に接続される。これにより、電子装置と外部の電気回路とが配線導体2を介して電気的に接続され、電子装置に搭載された電子部品と外部の電気回路との間で電気信号の送受が行なわれる。電気信号は、配線導体2によって伝送される。
配線導体2によって伝送される電気信号は、高周波信号領域では、絶縁層1の比誘電率の影響が大きくなる。すなわち、絶縁層1の比誘電率が大きいほど、伝送される信号の遅延が顕著になる。そのため、絶縁層1は比誘電率が小さいほど好ましい。
絶縁層1は、セラミック粒子4と中空のセラミック粒子5とがガラス成分6を介して焼結(液相焼結)してなるセラミック焼結体からなる。この中空のセラミック粒子5は、絶縁層1の上部分において下部分よりも多く含まれている。なお、絶縁層1の上部分とは、絶縁層1の厚み方向の中央部分よりも上側を意味し、下部分とは、絶縁層1の厚み方向の中央部分よりも下側を意味する。
絶縁層1の上部における中空のセラミック粒子5の含有量は、例えば絶縁層1の下部における中空のセラミック粒子5の含有量の約2倍以上であることが好ましい。図1に示す例では、絶縁層1の上部における中空のセラミック粒子5の含有量は、下部における含有量の約3〜4倍程度に設定されている。また、中空のセラミック粒子5が絶縁層1の下部に含まれていなくても構わない。
なお、中空のセラミック粒子5について、絶縁層1における含有の多少は、例えば、絶縁層1の断面において単位面積あたりに含まれる中空のセラミック粒子5の個数をカウントすることによって検知することができる。この場合の単位面積は、絶縁層1の断面の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、絶縁層1の厚みが50〜250μm程度の場合で
あれば、単位面積は50〜900μm程度(1辺の長さが10〜30μm程度の正方形状のエリア
)に設定すればよい。
あれば、単位面積は50〜900μm程度(1辺の長さが10〜30μm程度の正方形状のエリア
)に設定すればよい。
絶縁層1が中空のセラミック粒子5を含むことから、比誘電率が小さい空気等の気体が絶縁層1内に存在する。また、この中空のセラミック粒子5は、絶縁層1のうち配線導体2に近い上部分において、下部分よりも多く含まれている。そのため、絶縁層1について、特に配線導体2が設けられた上面に近い部分における比誘電率が小さく抑えられている。つまり、中空のセラミック粒子5の中空部分によって、絶縁層1の比誘電率を低く抑えるための部分が絶縁層1内に設けられている。
また、絶縁層1の比誘電率を低減する空気等の気体が中空のセラミック粒子5内に存在しているため、例えば従来技術における絶縁層(図示せず)のようにセラミック粒子(図示せず)間に空隙があるような場合に比べて、絶縁層1内(中空のセラミック粒子5間)に亀裂が生じる可能性が低減されている。
また、絶縁層1を形成しているセラミック焼結体には、中空のセラミック粒子5よりも機械的な強度が大きい(中空ではない)セラミック粒子4が含まれている。そのため、絶縁層1の機械的な強度が高い。
言い換えれば、絶縁層1は、主として絶縁層1の機械的な強度を確保する下部分と、上面に設けられた配線導体2を伝送される信号の遅延を抑制し得る上部分とを含んでいる。
中空のセラミック粒子5およびセラミック粒子4は、上記のように、例えば酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミック焼結体等のセラミック焼結体からなる。中空のセラミック粒子5は、これらの焼結体からなる殻部分(符号なし)と、この殻部分の内側の中空部分(符号なし)とからなる。中空の部分は、空気等の気体が存在している。中空の部分における気体の圧力は、外気の圧力(大気圧)より小さくてもよく、真空に近い圧力(JIS規格における高真空程度)でもよい。
ガラス成分6は、例えば酸化ケイ素や酸化カルシウム、酸化マグネシウム等を含む。ガラス成分6は、セラミック粒子4および中空のセラミック粒子5と同時焼成されている。
セラミック粒子4は、例えば、破砕状,棒状,球状等の様々な形状である。セラミック粒子4は、例えば球状の場合であれば、その直径は、0.1〜10μm程度の大きさの粒子が
好ましい。
好ましい。
中空のセラミック粒子5は、例えば球状であり、直径が0.1〜1.0μm程度の大きさの粒子が好ましい。
この形状の中空のセラミック粒子5の内部が、例えば中空のセラミック粒子5の外形とほぼ同じ形状で寸法が小さい中空部分になっている。
ガラス成分6は、焼成前において、破砕状,棒状,球状の形状であり、直径が1〜20μm程度の大きさの粒子が好ましい。ガラス成分6は、焼成時には溶融するため、焼成後の絶縁層1においてマトリクス状に存在している。
ガラス成分6は、セラミック粒子4同士、中空のセラミック粒子5同士およびセラミック粒子4と中空のセラミック粒子とを互いに接合させる機能を有している。ガラス成分6を介して、セラミック粒子4および中空のセラミック粒子5が互いに接合されている。
絶縁層1において、セラミック粒子4、中空のセラミック粒子5およびガラス成分6それぞれの割合は、体積比で、セラミック粒子4/中空のセラミック粒子5/ガラス成分6が30/50/20〜50/10/40の範囲であることが好ましい。
セラミック粒子4の密度は、例えば酸化アルミニウム質焼結体の場合であれば、約3.9
g/cm3である。中空のセラミック粒子5の密度は、例えば殻部分が酸化アルミニウ質焼結体からなる場合であれば、約0.8g/cm3である。また、ガラス成分6の密度は、
例えば酸化ケイ素を主成分とする場合であれば、約2.6g/cm3である。したがって、
この密度差により、セラミック粒子4と中空のセラミック粒子5とを分離させることができる。
g/cm3である。中空のセラミック粒子5の密度は、例えば殻部分が酸化アルミニウ質焼結体からなる場合であれば、約0.8g/cm3である。また、ガラス成分6の密度は、
例えば酸化ケイ素を主成分とする場合であれば、約2.6g/cm3である。したがって、
この密度差により、セラミック粒子4と中空のセラミック粒子5とを分離させることができる。
中空のセラミック粒子5は、例えば図3に示すように、絶縁層1の上面近くに偏在していてもよい。この場合には、配線導体2に対する絶縁層1の比誘電率の影響をさらに小さくすることができるため、配線導体2を伝送される高周波信号の遅延を低減す得る上では、より有利である。
中空のセラミック粒子5が絶縁層1の上面近くに偏在しているという形態は、例えば、絶縁層1に含まれる中空のセラミック粒子5のうち90%以上が絶縁層1の上部分に含まれている形態である。なお、図3は、図1に示すセラミック配線基板3の変形例における要部を拡大して示す断面図である。図3において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
また、配線導体2は、例えば図1および図3に示すように、厚み方向の少なくとも一部が絶縁層1内に埋まっていてもよい。この場合、配線導体2の絶縁層1に対する接合面積がより大きくなり、配線導体2の絶縁層1に対する接合強度が高められる。
図4は、本発明の第2の実施形態のセラミック配線基板3aを示す分解斜視図であり、図5は図4に示すセラミック配線基板における要部を示す断面図である。図4および図5において、図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。また、図5においては、わかりやすくするために、上下の絶縁層1を互いに離して示している。
セラミック配線基板3aは、例えば図4および図5に示すように、複数の絶縁層1が積層されて形成されていてもよい。第2の実施形態のセラミック配線基板3aは、複数の絶縁層1が積層されてなり、この点において上記第1の実施形態のセラミック配線基板と異なる。これ以外の点において、第2の実施形態のセラミック配線基板3aは第1の実施形態のセラミック配線基板3と同様である。第1の実施形態のセラミック配線基板3と同様の点についての説明は省略する。
複数の絶縁層1が積層される場合、最上層の絶縁層1の上面に設けられた配線導体2の
上面および側面といった部分は、比誘電率がほぼ1と低い空気等の外気(気体)に接する。そのため、最上層の絶縁層1の上面に設けられた配線導体2においては、信号の遅延を抑制する効果がより高く得られる。
上面および側面といった部分は、比誘電率がほぼ1と低い空気等の外気(気体)に接する。そのため、最上層の絶縁層1の上面に設けられた配線導体2においては、信号の遅延を抑制する効果がより高く得られる。
これに対して、配線導体2のうち上下の絶縁層1の層間に位置するものは、上面および側面に、比誘電率が比較的大きい、上側の絶縁層1の下部分が接する。この場合、上記のように、層間に位置する配線導体2の厚み方向の一部が、その配線導体2が設けられた絶縁層1の上面から絶縁層1の内側に入り込んでいれば(埋まっていれば)、配線導体2の側面に、比誘電率が比較的低い、絶縁層1の上部分が接する。したがって、複数の絶縁層1が積層されて、層間に配線導体2が位置するような場合でも、配線導体2における信号の遅延を抑制する効果をより高く得ることができる。
図6は、図4および図5に示すセラミック配線基板3aの変形例における要部を示す断面図である。図6において図4および図5と同様の部位には同様の符号を付している。
図6に示す例においては、配線導体2の全体が絶縁層1内に入り込んでいる。つまり、配線導体2は、上面のみが層間に露出して、その全体が絶縁層1内に埋まっている。この場合には、配線導体2の側面の全体が、比誘電率が比較的低い、絶縁層1の上部分に接する。そのため、例えば上下の絶縁層1の層間に位置する配線導体2について、伝送される高周波の信号の遅延がより効果的に抑制される。
図7は、図4および図5に示すセラミック配線基板3aの他の変形例における要部を示す断面図である。図7において図4および図5と同様の部位には同様の符号を付している。
図7に示す例においては、上下の絶縁層1の間に、配線導体2を設けられていない絶縁層1(11)が介在している。介在している絶縁層1(11)は、上下の絶縁層1に対して上下逆にされている。つまり、介在している絶縁層1(11)は、上部が下側に位置し、下部が上側に位置するように、ひっくり返されて積層されている。この場合には、下側の絶縁層1の上面に設けられた配線導体2の周囲が、比誘電率が低い、絶縁層1の上部分で囲まれる。そのため、複数の絶縁層1の層間に位置する配線導体2における信号の遅延を低減する上では、より適した形態のセラミック配線基板3aとされている。
次に、本発明の実施形態のセラミック配線基板の製造方法を説明する。以下の説明において、前述した第1および第2のセラミック配線基板3、3aについての説明と同様の事項については説明を省略する。
図8に、本発明のセラミック配線基板の製造方法を示している。また、図9(a)〜(c)に、本発明の実施形態のセラミック配線基板の製造方法における要部を工程順に示している。図9において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
まず、図9(a)に示すように、セラミック粉末4a、中空のセラミック粉末4bおよびガラス粉末6aを、有機溶剤および有機バインダとともに混練してスラリー(セラミックスラリー)を作製する。
セラミック粉末4aは、例えば酸化アルミニウムを原料として、バイヤー法、アトマイズ法等の方法で、原料の酸化アルミニウムを破砕状,棒状,球状等の形状に成形することによって作製することができる。
中空のセラミック粉末5aは、例えば、硝酸アルミニウム水溶液を超音波噴霧熱分解し
た後、焼成することより、直径が0.1〜10μm程度の粒子状に成形することによって得る
ことができる。超音波噴霧の際に、粒子が中空状になる。
た後、焼成することより、直径が0.1〜10μm程度の粒子状に成形することによって得る
ことができる。超音波噴霧の際に、粒子が中空状になる。
ガラス粉末6aは、例えば酸化ケイ素、酸化カルシウム等の原料のガラスを、粉砕または溶融噴霧等の方法で粉末状とすることによって作製することができる。
有機溶剤としては、例えば、トルエン,酢酸エチル,イソプロピルアルコール,エタノール等の有機溶剤を用いることができる。
有機バインダとしては、例えば、アクリル系バインダ,ブチラール系バインダ,ポリビニルアルコール系バインダ,ポリウレタン系バインダ,ポリエーテル系バインダ等を用いることができる。
セラミック粉末4a、中空のセラミック粉末5aおよびガラス粉末6aと、有機溶剤および有機バインダとの混練は、例えば、ボールミル,ジェットミル,ビーズミル等によって行なうことができる。
次に、図9(b)に示すように、このスラリーをシート状に成形する。スラリーの成形は、例えばドクターブレード法によって行なう。ドクターブレードを介してシート状に成形したスラリーについて、送風および加熱等の手段で有機溶剤成分を除去(いわゆる乾燥)することによって、図9(c)に示すようなセラミックグリーンシート21を作製する。
この乾燥は、セラミック粉末4aを中空のセラミック粉末5aよりも下側に沈降させながら行なう。前述したように、セラミック粉末4aは、中空のセラミック粉末5aに比べて密度が大きい。そのため、例えば、水酸基含有のアクリル系バインダ及び、ポリビニルアルコール系バインダを用い、スラリー粘度を0.5〜5ポイズ(0.05〜0.5Pa・s)に調整し、30℃〜40℃の低温で20〜40分間かけてゆっくり乾燥することによって、セラミック粉末4aを中空のセラミック粉末5aよりも下側に沈降させることができる。
例えば、スラリーの粘度が低いほど、より多くのセラミック粉末4aを中空のセラミック粉末5aよりも下側に沈降させることができる。なお、スラリーの粘度が低くなり過ぎると、シート状に成形することが難しくなる傾向がある。そのため、スラリーの粘度は、約0.5〜5ポイズ(0.05〜0.5Pa・s)が好ましい。
また、乾燥の速度が遅い(乾燥に要する時間が長い)ほど、より多くのセラミック粉末4aを中空のセラミック粉末5aよりも下側に沈降させることができる。
また、有機バインダとして、ガラス粉末6aをより分散させる水酸基含有のアクリル系バインダ,ポリビニルアルコール系バインダ等の水酸基含有バインダを用いれば、より多くのセラミック粉末4aを中空のセラミック粉末5aよりも下側に沈降させることができる。
なお、セラミック粉末4aは、その全部を中空のセラミック粉末5aよりも下側に沈降させる必要はない。すなわち、作製したセラミックグリーンシート21の上部分1Aにおける中空のセラミック粉末5aの含有量が、下部分1Bにおける含有量よりも多くなっていればよい。
次に、セラミックグリーンシート21の上面に金属ペースト22を印刷した後、これらのセラミックグリーンシート21および金属ペースト22を同時焼成する。これにより、例えば図1に要部を示すようなセラミック配線基板3を製作することができる。
金属ペースト22は、焼成によって配線導体2となるものである。金属ペースト22は、例えば、前述した配線導体2を形成するタングステン、モリブデン、銅または銀等の金属材料を用いて作製する。このような金属材料の粉末を、有機溶剤およびバインダとともに混練することによって、金属ペースト22を作製することができる。
金属ペースト22のセラミックグリーンシート21上への印刷は、例えばスクリーン印刷法によって行なう。
これらのセラミックグリーンシート21および金属ペースト22の同時焼成により、セラミックグリーンシート21が絶縁層1になり、金属ペースト22が配線導体2になる。セラミックグリーンシート21中のセラミック粉末4a、中空のセラミック粉末5aおよびガラス粉末6aは、それぞれ、絶縁層1におけるセラミック粒子4、中空のセラミック粒子5およびガラス成分6になる。
なお、配線導体2となる金属ペースト22をセラミックグリーンシート21の上面に印刷した後、金属ペースト22およびセラミックグリーンシート21を上側から下方に加圧するようにしてもよい。この加圧により、金属ペースト22の厚み方向の少なくとも一部がセラミックグリーンシート21内に埋まる。この、加圧した金属ペースト22およびセラミックグリーンシート21を焼成すれば、配線導体2の厚み方向の少なくとも一部が絶縁層1内に埋まったセラミック配線基板を製作することができる。
上記セラミック配線基板3、3aおよびその製造方法においては、電子部品搭載用に用いられる場合を例として説明したが、他の用途で用いられるセラミック配線基板(図示せず)およびその製造方法でも構わない。例えば、配線導体(図示せず)がフィルタ回路を構成するようなセラミック配線基板でもよい。また、配線導体と電気的に接続されたアンテナ等(図示せず)を有するセラミック配線基板(いわゆるRF基板等)でもよい。
1・・・・絶縁層
1a・・・搭載部
2・・・・配線導体
3・・・・セラミック配線基板(第1の実施形態)
3a・・・セラミック配線基板(第2の実施形態)
4・・・・セラミック粒子
4a・・・セラミック粉末
5・・・・中空のセラミック粒子
5a・・・中空のセラミック粉末
6・・・・ガラス成分
6a・・・ガラス粉末
11・・・・絶縁層
21・・・・セラミックグリーンシート
22・・・・金属ペースト
1a・・・搭載部
2・・・・配線導体
3・・・・セラミック配線基板(第1の実施形態)
3a・・・セラミック配線基板(第2の実施形態)
4・・・・セラミック粒子
4a・・・セラミック粉末
5・・・・中空のセラミック粒子
5a・・・中空のセラミック粉末
6・・・・ガラス成分
6a・・・ガラス粉末
11・・・・絶縁層
21・・・・セラミックグリーンシート
22・・・・金属ペースト
Claims (4)
- セラミック焼結体からなる絶縁層と、
該絶縁層の上面に設けられた配線導体とを備えるセラミック配線基板であって、
前記絶縁層は、セラミック粒子と中空のセラミック粒子とがガラス成分を介して焼結してなるセラミック焼結体からなり、
前記中空のセラミック粒子は、前記絶縁層の上部分において下部分よりも多く含まれていることを特徴とするセラミック配線基板。 - 前記中空のセラミック粒子が、前記絶縁層の前記上面近くに偏在していることを特徴とする請求項1記載のセラミック配線基板。
- 前記配線導体は、厚み方向の少なくとも一部が前記絶縁層に埋まっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミック配線基板。
- セラミック粉末、中空のセラミック粉末およびガラス粉末を有機溶剤および有機バインダとともに混練してスラリーを作製する工程と、
該スラリーをシート状に成形した後、前記セラミック粉末を前記中空のセラミック粉末よりも下側に沈降させながら前記有機溶剤を除去して、セラミックグリーンシートを作製する工程と、
該セラミックグリーンシートの上面に金属ペーストを印刷した後、前記セラミックグリーンシートおよび前記金属ペーストを同時焼成する工程を含むことを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。
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JP2012098879A JP2013229379A (ja) | 2012-04-24 | 2012-04-24 | セラミック配線基板およびその製造方法 |
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