JP2004014616A - セラミック回路基板用外部接続端子 - Google Patents
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Abstract
【課題】補強層開口部に充填された導体層の径を導体パッドの径より小さくすることによって、セラミック基板のクラックや配線導体の断線を防止することである。
【解決手段】本発明は補強層5内に形成された補強層開口部3と、補強層開口部3の端面に接する導体パッド1と、ビアホール7及びセラミック基板2とからなる。補強層開口部3は導体パッド1上にあり導体が充填されている。導体パッド1は補強層開口部3の外周部より常に余剰する部分を有している。この余剰する部分は補強層5に覆われ、導体パッドの外周をセラミック基板2へ押し付けるように形成され抑圧部4,4’を形成する。補強層開口部3及び導体パッド1の平面形状は円形に限定されないが、導体パッド1と補強層開口部3の接面において、常に導体層より導体パッドの開口径、開口幅若しくは開口長さの方が長いため余剰部を有していなければならない。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は補強層5内に形成された補強層開口部3と、補強層開口部3の端面に接する導体パッド1と、ビアホール7及びセラミック基板2とからなる。補強層開口部3は導体パッド1上にあり導体が充填されている。導体パッド1は補強層開口部3の外周部より常に余剰する部分を有している。この余剰する部分は補強層5に覆われ、導体パッドの外周をセラミック基板2へ押し付けるように形成され抑圧部4,4’を形成する。補強層開口部3及び導体パッド1の平面形状は円形に限定されないが、導体パッド1と補強層開口部3の接面において、常に導体層より導体パッドの開口径、開口幅若しくは開口長さの方が長いため余剰部を有していなければならない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、コンデンサ及び抵抗器等の電子部品が搭載される回路基板に係り、特に配線導体の剥離や配線導体の断線の原因となる絶縁層のクラック発生を有効に防止するセラミック回路基板用外部接続端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、絶縁層にセラミックを使用した回路基板は、図5に示す如くアルミナ質焼結体等の電気絶縁性のセラミック焼結体から成る絶縁層25の内部及び表面にタングステン(W)、モリブデン(Mo)又は銅等を主成分とする導電パッド21等を形成し、導体パッド21に導体材料を充填したスルーホール20を接続した構造を有している。このようなセラミック回路基板は、有機基板に比較して、熱伝導性、電気絶縁性、耐熱性に優れるという理由から、大型コンピュータや車載用ABS等高い信頼性が要求される基板として広く使用されている。
【0003】
しかし、一般的にセラミック回路基板を製造する際には、原料粒子の表面を溶融し、結合させて機械的強度を高めるために、材料によっては800〜1,600℃の高温による焼成を繰り返す必要がある。ここで絶縁層を構成するセラミック焼結体、例えばアルミナ質焼結体の熱膨張係数は5.5〜8.0×10−6であり、配線パターンやビアホール導体を形成するWやMo等の熱膨張係数は4.5〜5.5×10−6であって、両者間の熱膨張率は大きく相違している。またセラミック回路基板が他の基板22側の電極23と接続された場合、相互の熱膨張差等により接続部に応力集中Xが生じる。セラミック回路基板の場合、このような応力集中Xは、図5に示す如く外部接続端子である導体パッド21とセラミック焼結体から成る絶縁層25の境界部分に発生する。この部分に発生した応力集中Xは、残留応力として保持されるか、場合によっては絶縁層内にクラックYが生じ、配線導体が断線に至る場合もある。クラックYが生じないまでも、このような応力集中Xは残留応力として回路基板内に保持され、使用時に発生する導体材料の電気抵抗によって生ずる回路基板内での高熱、即ち熱衝撃力による応力と複合し、セラミック回路の使用時に導体層と絶縁層の境界部分にクラックYが発生し、配線導体が断線したり、配線導体と絶縁基体が剥離するという問題も生じていた。
【0004】
このようなクラックの発生を解決する方法としては、スルーホール内の表層部と内層部を異なった直径によって形成する技術や(特許2522180号)、導体材料を変更する技術(特許1428104号)等が知られていた。
【0005】
しかしながら、スルーホールの構造を加工するためには、直径の異なったグリーンシートを積層しなければならず、導体ペーストに特殊な材料を使用する方法では、ペーストに加える粉末の粒径を精密に調整したり、特別の導体ペーストを用意する必要があるので製造が煩雑であるという欠点が指摘されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的は、導体パッド上に補強層開口部を設けて、セラミック回路基板の外部接続端子近傍から発生するクラックを防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用する。
(1)セラミック回路基板用外部接続端子において、導体パッド外周部を上方から覆うように形成されている補強層と、導体パッド内周部上に補強層開口部を備え、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが、導体パッドの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも小さく、かつ、導体パッドの外周より内側に位置することを特徴とするセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0008】
(2)セラミック回路基板用外部接続端子において、導体パッド外周部を上方から覆うように形成されている補強層と、導体パッド内周部上に補強層開口部を備え、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが、導体パッドの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも小さく、かつ、ビアホールの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも大きい構造を有することを特徴とするセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0009】
(3)補強層開口部の開口深さが0.03〜0.2mm、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが0.3〜3.0mmであることを特徴とする上記(1)若しくは(2)のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0010】
(4)絶縁層が低温焼結セラミック基板で形成されていることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0011】
(5)導体パッドの厚みが0.005mm以上、補強層開口部の底面の開口縁から導体パッド縁までの長さが0.03mm以上であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るセラミック回路基板の断面図である。
【0013】
本発明に係るセラミック回路基板は、補強層5内に形成された補強層開口部3と、補強層開口部3の端面に接する導体パッド1と、ビアホール7及びセラミック基板2とからなる。補強層開口部3は導体パッド1上にあり導体が充填されている。導体パッド1は図2に示すように補強層開口部3の外周部より常に余剰する部分を有している。この余剰する部分は補強層5に覆われ、導体パッドの外周をセラミック基板2へ押し付けるように形成され抑圧部4,4’を形成している。補強層開口部3及び導体パッド1の平面形状は円形に限定されないが、導体パッド1と補強層開口部3の接面において、常に導体層より導体パッドの開口径、開口幅若しくは開口長さの方が長いため余剰部を有していなければならない。またセラミック基板2は厚膜印刷基板、セラミック多層(積層)基板でもよい。更に焼結温度をより低く押さえる観点からは、ガラスセラミック複合系、結晶ガラス系、単層セラミック系等の低温焼結基板が好ましい。更に低誘電率、低熱膨張率の観点からは、アルミナ(Al2O3)やコーディエライト(2MgO・2Al2O3・4SiO2)にホウケイ酸ガラスを加えて焼結するガラスセラミック複合系が更に好ましい。また補強層開口部3及びビアホールの材料としては、Ag,Pd,Cu,W,Mo,Ag,Pd等の導体材料が用いられる。
【0014】
本発明は上記のように構成されており、以下その作用について説明する。
本発明に係るセラミック回路基板は、補強層5が導体パッド1の外周部4,4’を押える構造を有しているので導体パッド1とセラミック基板の結着が補強されている。これによって従来品における導体パッドの下端に生じていた応力集中は、図3に示すように導体パッド1と補強層5の接合部分外周へ移行することとなる。このようなセラミック回路基板に他の基板等をハンダ実装等した際には、応力集中Xは図3に示す部分に生じる。しかし、本発明に係るセラミック回路基板には応力集中箇所とセラミック基板2の間に導体パッド1が設けられているので、導体パッド1がバリアとなりセラミック基板2内部でのクラックの発生はない。また図3に示す応力集中によってクラックが補強層5内に生じても導体パッド1がバリアとなり、セラミック基板2内部方向へのクラックの進展を防止することができる。
【0015】
導体パッド1と内層8を接続するビアホール7は、内層8での配線引き回しの自由度の確保及び電気抵抗を抑えるために、補強層開口部3に充填された導体の径よりも小さい。
【0016】
【実施例】
導体が充填される補強層開口部3の大きさを特定するために以下の試験を行った。以下に示す従来品、実施例1,2及び比較例1,2に係る製品は、各5試料ずつが作成された。
先ず補強層5や補強層開口部3を有しない従来品を作成した。従来品の導体パッド1の厚みは0.01mmである。セラミック基板2として低温焼結セラミック基板を使用した。
【0017】
実施例1
次に本発明と同様の構造を有する低温焼結セラミック回路基板を実施例1として作成した。実施例1における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.5mm、導体パッド1の厚みを0.005mm、補強層5からの導体パッド1の余剰部の長さ(以下、「導体パッドはみ出し」とする。)を0.03mmとした。
【0018】
実施例2
次に本発明と同様の構造を有する実施例2の製品を作成した。実施例2における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.3mm、導体パッド1の厚みを0.01mm、導体パッドはみ出しを0.1mmとした。
【0019】
比較例1
次に本発明と同様の構造を有する比較例1の製品を作成した。比較例1における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.5mm、導体パッド1の厚みを0.005mm、導体パッドはみ出しを0.01mmとした。
【0020】
比較例2
次に本発明と同様の構造を有する比較例2の製品を作成した。比較例2における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.5mm、導体パッド1の厚みを0.001mm、導体パッドはみ出しを0.1mmとした。
【0021】
補強層5の開口径は、使用目的がプラスチック基板への接続端子であることから、一般的な大きさである0.3〜3.0mmの範囲において選択された。
上記の従来品、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の低温焼成セラミック基板を各5試料の全てをプラスチック基板にハンダ実装し、−55/+125℃(気相、各30min)の温度サイクルを500cyc.負荷した後、断面からのセラミック基板内のクラックを目視により観察した。表1は、この試験によって確認されたクラックが発生した試料数を示したものである。
【0022】
【表1】
【0023】
従来品では、5試料全てにクラックが観察された。一方、実施例1及び2の基板においてはクラックの発生はゼロであった。しかし、本発明と同様の構造を有する比較例1及び2の基板においては、クラックの発生が観察された。即ち導体パッドはみ出しの小さいもの、または導体パッド1厚みの薄い基板ではクラックが発生することが確認された。
【0024】
従って、低温焼成セラミック基板をプラスチック基板に実装する場合については、導体パッドのはみ出しが0.03mm以上であることが好ましく、導体パッドの厚みが0.005mm以上であることが望ましい。更に補強層開口部及び充填された導体層の厚みは、補強層に使用するテープ厚みの制限により、0.03mm〜0.2mmが好ましい。
本発明の適用範囲は、以上説明した実施例の寸法に限定されるものではなく、絶縁基板の材質や実装方式等によって異なる。
【0025】
次に本製品の製造方法を説明する。
図4(a)に示すように、グリーンシート11におけるビアホール15上に導体パッド10を印刷により形成する。そして、同図(b)に示すように、グリーンシート11の上に更に補強層となるグリーンシート12を積層する。グリーンシート12には予め貫通孔(補強層開口部14)が加工されており、補強層開口部14は導体10からはみ出さないように導体パッド10より小さく加工される。これによって導体パッド10の外周部に抑圧部が形成される。またグリーンシート12上にはグリーンシート12を保護するようにマイラシート13が貼り付けられている。このマイラシート13にもグリーンシート12と同様に補強層開口部14が形成されている。
【0026】
次に同図(c)に示すようにグリーンシート12の補強層開口部に印刷により導体層16を充填する。この導体層16は加圧焼成時の補強層開口部14のツブレ防止の役割を果たす。即ち、補強層開口部14に導体層16を充填することなく加圧焼成された回路基板においては、焼成時の基板厚み方向の圧力により、導体パッド10が上方へせり出し歪んでしまう。
【0027】
充填された導体層16はグリーンシート12の補強層開口部からはみ出しても良い。マイラシート13を除去する際にはみ出した導体層16は除去されるからである。印刷時にはみ出した導体層16はマイラシート13を剥離する時にシートと共に除去され、導体層16はグリーンシート12の補強層開口部よりはみ出すことはない。マイラシート13を除去した後、同図(d)に示すようにグリーンシート12及び導体層16上に拘束層17を貼り合わせる。ここで拘束層17は積層体が焼結する温度では焼結することはなく、また焼成工程後に除去される。その後、加圧焼結することにより同図(e)に示す製品が形成される。
【0028】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は、補強層開口部の開口径等を導体パッドの上面径等より小さくすることによって、セラミック焼結体のクラックや配線導体の断線を防止するという効果がある。
【0029】
請求項2に係る発明は、補強層開口部の開口径をビアホール径より小さくすることによって、配線引き回しの自由度等を確保することができるという効果がある。
【0030】
請求項3に係る発明は、補強層開口部の開口深さを0.03〜0.2mm等にすることによって様々な寸法の回路基板により適合した回路基板のクラック等を防止するという効果がある。
【0031】
請求項4に係る発明は、誘電率が低く、導体抵抗も低く、かつ製造コストの安い低温焼結セラミック基板におけるクラック等の発生を防止するという効果がある。
【0032】
請求項5に係る発明は、特にプラスチック基板への接続端子として使用されるセラミック回路基板におけるクラック等の発生を防止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の使用形態の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の使用形態の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の製造工程の一例を示すフロー断面図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,10 導体パッド
2 セラミック基板
3 補強層開口部
4,4’ 抑圧部
5 補強層
7 ビアホール
8 内層
11,12 グリーンシート
13 マイラシート
14 補強層開口部
16 導体層
X 応力集中部
Y クラック
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、コンデンサ及び抵抗器等の電子部品が搭載される回路基板に係り、特に配線導体の剥離や配線導体の断線の原因となる絶縁層のクラック発生を有効に防止するセラミック回路基板用外部接続端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、絶縁層にセラミックを使用した回路基板は、図5に示す如くアルミナ質焼結体等の電気絶縁性のセラミック焼結体から成る絶縁層25の内部及び表面にタングステン(W)、モリブデン(Mo)又は銅等を主成分とする導電パッド21等を形成し、導体パッド21に導体材料を充填したスルーホール20を接続した構造を有している。このようなセラミック回路基板は、有機基板に比較して、熱伝導性、電気絶縁性、耐熱性に優れるという理由から、大型コンピュータや車載用ABS等高い信頼性が要求される基板として広く使用されている。
【0003】
しかし、一般的にセラミック回路基板を製造する際には、原料粒子の表面を溶融し、結合させて機械的強度を高めるために、材料によっては800〜1,600℃の高温による焼成を繰り返す必要がある。ここで絶縁層を構成するセラミック焼結体、例えばアルミナ質焼結体の熱膨張係数は5.5〜8.0×10−6であり、配線パターンやビアホール導体を形成するWやMo等の熱膨張係数は4.5〜5.5×10−6であって、両者間の熱膨張率は大きく相違している。またセラミック回路基板が他の基板22側の電極23と接続された場合、相互の熱膨張差等により接続部に応力集中Xが生じる。セラミック回路基板の場合、このような応力集中Xは、図5に示す如く外部接続端子である導体パッド21とセラミック焼結体から成る絶縁層25の境界部分に発生する。この部分に発生した応力集中Xは、残留応力として保持されるか、場合によっては絶縁層内にクラックYが生じ、配線導体が断線に至る場合もある。クラックYが生じないまでも、このような応力集中Xは残留応力として回路基板内に保持され、使用時に発生する導体材料の電気抵抗によって生ずる回路基板内での高熱、即ち熱衝撃力による応力と複合し、セラミック回路の使用時に導体層と絶縁層の境界部分にクラックYが発生し、配線導体が断線したり、配線導体と絶縁基体が剥離するという問題も生じていた。
【0004】
このようなクラックの発生を解決する方法としては、スルーホール内の表層部と内層部を異なった直径によって形成する技術や(特許2522180号)、導体材料を変更する技術(特許1428104号)等が知られていた。
【0005】
しかしながら、スルーホールの構造を加工するためには、直径の異なったグリーンシートを積層しなければならず、導体ペーストに特殊な材料を使用する方法では、ペーストに加える粉末の粒径を精密に調整したり、特別の導体ペーストを用意する必要があるので製造が煩雑であるという欠点が指摘されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的は、導体パッド上に補強層開口部を設けて、セラミック回路基板の外部接続端子近傍から発生するクラックを防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用する。
(1)セラミック回路基板用外部接続端子において、導体パッド外周部を上方から覆うように形成されている補強層と、導体パッド内周部上に補強層開口部を備え、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが、導体パッドの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも小さく、かつ、導体パッドの外周より内側に位置することを特徴とするセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0008】
(2)セラミック回路基板用外部接続端子において、導体パッド外周部を上方から覆うように形成されている補強層と、導体パッド内周部上に補強層開口部を備え、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが、導体パッドの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも小さく、かつ、ビアホールの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも大きい構造を有することを特徴とするセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0009】
(3)補強層開口部の開口深さが0.03〜0.2mm、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが0.3〜3.0mmであることを特徴とする上記(1)若しくは(2)のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0010】
(4)絶縁層が低温焼結セラミック基板で形成されていることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0011】
(5)導体パッドの厚みが0.005mm以上、補強層開口部の底面の開口縁から導体パッド縁までの長さが0.03mm以上であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るセラミック回路基板の断面図である。
【0013】
本発明に係るセラミック回路基板は、補強層5内に形成された補強層開口部3と、補強層開口部3の端面に接する導体パッド1と、ビアホール7及びセラミック基板2とからなる。補強層開口部3は導体パッド1上にあり導体が充填されている。導体パッド1は図2に示すように補強層開口部3の外周部より常に余剰する部分を有している。この余剰する部分は補強層5に覆われ、導体パッドの外周をセラミック基板2へ押し付けるように形成され抑圧部4,4’を形成している。補強層開口部3及び導体パッド1の平面形状は円形に限定されないが、導体パッド1と補強層開口部3の接面において、常に導体層より導体パッドの開口径、開口幅若しくは開口長さの方が長いため余剰部を有していなければならない。またセラミック基板2は厚膜印刷基板、セラミック多層(積層)基板でもよい。更に焼結温度をより低く押さえる観点からは、ガラスセラミック複合系、結晶ガラス系、単層セラミック系等の低温焼結基板が好ましい。更に低誘電率、低熱膨張率の観点からは、アルミナ(Al2O3)やコーディエライト(2MgO・2Al2O3・4SiO2)にホウケイ酸ガラスを加えて焼結するガラスセラミック複合系が更に好ましい。また補強層開口部3及びビアホールの材料としては、Ag,Pd,Cu,W,Mo,Ag,Pd等の導体材料が用いられる。
【0014】
本発明は上記のように構成されており、以下その作用について説明する。
本発明に係るセラミック回路基板は、補強層5が導体パッド1の外周部4,4’を押える構造を有しているので導体パッド1とセラミック基板の結着が補強されている。これによって従来品における導体パッドの下端に生じていた応力集中は、図3に示すように導体パッド1と補強層5の接合部分外周へ移行することとなる。このようなセラミック回路基板に他の基板等をハンダ実装等した際には、応力集中Xは図3に示す部分に生じる。しかし、本発明に係るセラミック回路基板には応力集中箇所とセラミック基板2の間に導体パッド1が設けられているので、導体パッド1がバリアとなりセラミック基板2内部でのクラックの発生はない。また図3に示す応力集中によってクラックが補強層5内に生じても導体パッド1がバリアとなり、セラミック基板2内部方向へのクラックの進展を防止することができる。
【0015】
導体パッド1と内層8を接続するビアホール7は、内層8での配線引き回しの自由度の確保及び電気抵抗を抑えるために、補強層開口部3に充填された導体の径よりも小さい。
【0016】
【実施例】
導体が充填される補強層開口部3の大きさを特定するために以下の試験を行った。以下に示す従来品、実施例1,2及び比較例1,2に係る製品は、各5試料ずつが作成された。
先ず補強層5や補強層開口部3を有しない従来品を作成した。従来品の導体パッド1の厚みは0.01mmである。セラミック基板2として低温焼結セラミック基板を使用した。
【0017】
実施例1
次に本発明と同様の構造を有する低温焼結セラミック回路基板を実施例1として作成した。実施例1における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.5mm、導体パッド1の厚みを0.005mm、補強層5からの導体パッド1の余剰部の長さ(以下、「導体パッドはみ出し」とする。)を0.03mmとした。
【0018】
実施例2
次に本発明と同様の構造を有する実施例2の製品を作成した。実施例2における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.3mm、導体パッド1の厚みを0.01mm、導体パッドはみ出しを0.1mmとした。
【0019】
比較例1
次に本発明と同様の構造を有する比較例1の製品を作成した。比較例1における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.5mm、導体パッド1の厚みを0.005mm、導体パッドはみ出しを0.01mmとした。
【0020】
比較例2
次に本発明と同様の構造を有する比較例2の製品を作成した。比較例2における製品は、補強層5の厚みを0.03mm、補強層開口部3の径を0.5mm、導体パッド1の厚みを0.001mm、導体パッドはみ出しを0.1mmとした。
【0021】
補強層5の開口径は、使用目的がプラスチック基板への接続端子であることから、一般的な大きさである0.3〜3.0mmの範囲において選択された。
上記の従来品、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の低温焼成セラミック基板を各5試料の全てをプラスチック基板にハンダ実装し、−55/+125℃(気相、各30min)の温度サイクルを500cyc.負荷した後、断面からのセラミック基板内のクラックを目視により観察した。表1は、この試験によって確認されたクラックが発生した試料数を示したものである。
【0022】
【表1】
【0023】
従来品では、5試料全てにクラックが観察された。一方、実施例1及び2の基板においてはクラックの発生はゼロであった。しかし、本発明と同様の構造を有する比較例1及び2の基板においては、クラックの発生が観察された。即ち導体パッドはみ出しの小さいもの、または導体パッド1厚みの薄い基板ではクラックが発生することが確認された。
【0024】
従って、低温焼成セラミック基板をプラスチック基板に実装する場合については、導体パッドのはみ出しが0.03mm以上であることが好ましく、導体パッドの厚みが0.005mm以上であることが望ましい。更に補強層開口部及び充填された導体層の厚みは、補強層に使用するテープ厚みの制限により、0.03mm〜0.2mmが好ましい。
本発明の適用範囲は、以上説明した実施例の寸法に限定されるものではなく、絶縁基板の材質や実装方式等によって異なる。
【0025】
次に本製品の製造方法を説明する。
図4(a)に示すように、グリーンシート11におけるビアホール15上に導体パッド10を印刷により形成する。そして、同図(b)に示すように、グリーンシート11の上に更に補強層となるグリーンシート12を積層する。グリーンシート12には予め貫通孔(補強層開口部14)が加工されており、補強層開口部14は導体10からはみ出さないように導体パッド10より小さく加工される。これによって導体パッド10の外周部に抑圧部が形成される。またグリーンシート12上にはグリーンシート12を保護するようにマイラシート13が貼り付けられている。このマイラシート13にもグリーンシート12と同様に補強層開口部14が形成されている。
【0026】
次に同図(c)に示すようにグリーンシート12の補強層開口部に印刷により導体層16を充填する。この導体層16は加圧焼成時の補強層開口部14のツブレ防止の役割を果たす。即ち、補強層開口部14に導体層16を充填することなく加圧焼成された回路基板においては、焼成時の基板厚み方向の圧力により、導体パッド10が上方へせり出し歪んでしまう。
【0027】
充填された導体層16はグリーンシート12の補強層開口部からはみ出しても良い。マイラシート13を除去する際にはみ出した導体層16は除去されるからである。印刷時にはみ出した導体層16はマイラシート13を剥離する時にシートと共に除去され、導体層16はグリーンシート12の補強層開口部よりはみ出すことはない。マイラシート13を除去した後、同図(d)に示すようにグリーンシート12及び導体層16上に拘束層17を貼り合わせる。ここで拘束層17は積層体が焼結する温度では焼結することはなく、また焼成工程後に除去される。その後、加圧焼結することにより同図(e)に示す製品が形成される。
【0028】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は、補強層開口部の開口径等を導体パッドの上面径等より小さくすることによって、セラミック焼結体のクラックや配線導体の断線を防止するという効果がある。
【0029】
請求項2に係る発明は、補強層開口部の開口径をビアホール径より小さくすることによって、配線引き回しの自由度等を確保することができるという効果がある。
【0030】
請求項3に係る発明は、補強層開口部の開口深さを0.03〜0.2mm等にすることによって様々な寸法の回路基板により適合した回路基板のクラック等を防止するという効果がある。
【0031】
請求項4に係る発明は、誘電率が低く、導体抵抗も低く、かつ製造コストの安い低温焼結セラミック基板におけるクラック等の発生を防止するという効果がある。
【0032】
請求項5に係る発明は、特にプラスチック基板への接続端子として使用されるセラミック回路基板におけるクラック等の発生を防止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の使用形態の一例を示す平面図である。
【図3】本発明の使用形態の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の製造工程の一例を示すフロー断面図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,10 導体パッド
2 セラミック基板
3 補強層開口部
4,4’ 抑圧部
5 補強層
7 ビアホール
8 内層
11,12 グリーンシート
13 マイラシート
14 補強層開口部
16 導体層
X 応力集中部
Y クラック
Claims (5)
- セラミック回路基板用外部接続端子において、導体パッド外周部を上方から覆うように形成されている補強層と、導体パッド内周部上に補強層開口部を備え、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが、導体パッドの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも小さく、かつ、導体パッドの外周より内側に位置することを特徴とするセラミック回路基板用外部接続端子。
- セラミック基板、ビアホール、導体パッド、保護層及び導体層から構成されるセラミック回路基板用外部接続端子において、導体パッド外周部を上方から覆うように形成されている補強層と、導体パッド内周部上に補強層開口部を備え、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが、導体パッドの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも小さく、かつ、ビアホールの上面径、上面幅若しくは上面長さよりも大きい構造を有することを特徴とするセラミック回路基板用外部接続端子。
- セラミック回路基板用外部接続端子において、補強層開口部の開口深さが0.03〜0.2mm、当該補強層開口部の底面の開口径、開口幅若しくは開口長さが0.3〜3.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子。
- セラミック回路基板用外部接続端子において、絶縁層が低温焼結セラミック基板で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子。
- セラミック回路基板用外部接続端子において、導体パッドの厚みが0.005mm以上、補強層開口部の底面の開口縁から導体パッド縁までの長さが0.03mm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載されたセラミック回路基板用外部接続端子。
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Family Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007305740A (ja) * | 2006-04-10 | 2007-11-22 | Murata Mfg Co Ltd | セラミック多層基板及びその製造方法 |
JP2010258174A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Ngk Spark Plug Co Ltd | 多層セラミック配線基板およびその製造方法 |
WO2022065373A1 (ja) * | 2020-09-25 | 2022-03-31 | 株式会社村田製作所 | 回路基板及びモジュール |
-
2002
- 2002-06-04 JP JP2002162993A patent/JP2004014616A/ja not_active Withdrawn
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