JP2013227687A - ナノファイバ製造装置および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】均一な厚みおよび密度を有する所望幅のナノファイバの不織布を得る。
【解決手段】原料液を収容する第一収容部、並びに、第一収容部に収容された原料液を一定の方向に放出するように、一定の間隔で一定の方向に沿って配列された二以上の第一放出部を有する第一放出体と、原料液を収容する第二収容部、並びに、第二収容部に収容された原料液を一定の方向に放出するように、上記の間隔で一定の方向に沿って配列された二以上の第二放出部を有する第二放出体と、第一放出部と第二放出部とが直線状に並ぶように、第一放出体と第二放出体とを分離可能に連結する連結部材と、を備え、連結部材が、第一放出体および第二放出体の互いの対向部にそれぞれ設けられた連結用孔に挿通される、同軸に配された管状の一対の突出部、並びに、一対の突出部の中間に一対の突出部の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部、を有している、ナノファイバ製造装置。
【選択図】図4

Description

本発明は、ナノファイバの不織布を製造するための製造装置および方法の改良に関する。
サブミクロンオーダーまたはナノオーダーの直径(繊維径)を有するナノファイバと称される糸状(繊維状)物質を製造する方法として、静電延伸現象(エレクトロスピニング)を利用する方法(以下、エレクトロスピニング法という)が知られている。
エレクトロスピニング法においては、例えば樹脂組成物を揮発性の液体に溶解または分散させて原料液を調製する。その原料液を高い電圧により帯電させて、ノズル等から空間中に流出ないしは放出させる。そして、原料液が空間を飛行している間に原料液を静電気力により延伸させることにより、ナノファイバを得る。
より具体的に静電延伸現象によるナノファイバの生成過程を説明すると次のようになる。すなわち、帯電され、電荷が付与されて空間中に放出された原料液は、空間を飛行している間に徐々に溶媒または分散媒が蒸発していく。これにより、飛行中の原料液の体積は減少していく。溶媒等の蒸発にも拘わらず、原料液に付与された電荷は原料液に留まる。その結果、原料液の電荷密度は原料液が空間中を飛行している間に上昇する。
溶媒等が蒸発を続け、原料液の電荷密度がさらに高まると、原料液の内部で発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力を上回る。それにより、原料液が爆発的に線状に延伸される。そのような現象を静電延伸現象という。静電延伸現象は、空間中で連鎖的に引き起こされ、それにより、原料液は幾何級数的に細分化されて延伸される。その結果、サブミクロンオーダーないしはナノオーダーの直径を有する糸状物質(ナノファイバ)が生成される。
以上の原理を利用してナノファイバを製造するための具体的な装置として、特許文献1は、細長い管状の容器に、一列に並ぶように原料液放出孔を形成し、それらの原料液放出孔から原料液を空間中に放出して、ナノファイバを生成している。空間中で生成されたナノファイバは、例えば放出方向と垂直な方向に一定の速度で送られる帯状の収集材の表面に堆積させることで収集される。そのようにして、ナノファイバの不織布が得られる。
ここで、特許文献1の装置では、管状の容器(以下、放出体という)の長さを自由に調節し得るように、より短い二以上の管状の放出体(以下、単位放出体という)を長さ方向で互いに連結している。これにより、所望幅の幅広のナノファイバの不織布を容易に得ることができる。
特開2012−7258号公報
ところが、上記従来のナノファイバ製造装置では、各単位放出体の収容部は連結部分で連通されており、互いに独立していない(図10および図11参照)。このため、単位放出体の連結により放出体の全長が長くなればなるほど、長手方向に分散配置された各放出部から一定の圧力で原料液を放出することが困難となる。よって、ナノファイバの不織布の幅が大きくなるほどに、不織布の幅方向で厚みや密度を均一にすることが困難となる。
そこで、本発明は、均一な厚みおよび密度を有する所望幅のナノファイバの不織布を得ることができるナノファイバ製造装置、および製造方法を提供することを目的としている。
本発明の一局面は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する装置であって、
前記原料液を収容する第一収容部、並びに、前記第一収容部に収容された前記原料液を一定の方向に放出するように、一定の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第一放出部を有する第一放出体と、
前記原料液を収容する第二収容部、並びに、前記第二収容部に収容された前記原料液を前記一定の方向に放出するように、前記間隔で一方向に沿って配列された二以上の第二放出部を有する第二放出体と、
前記第一放出部および第二放出部から放出される前記原料液を帯電させる帯電手段と、
前記第一放出部および第二放出部から放出された前記原料液から空間中で生成されるナノファイバを収集するコレクタと、
前記第一放出部と前記第二放出部とが直線状に並ぶように、前記第一放出体と第二放出体とを分離可能に連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材が、前記第一放出体および第二放出体の互いの対向部にそれぞれ設けられた連結用孔に挿通される、同軸に配された管状の一対の突出部、並びに、前記一対の突出部の中間に前記一対の突出部の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部、を有している、ナノファイバ製造装置に関する。
本発明の他の局面は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する方法であって、
(i)前記原料液を収容する第一収容部と、前記第一収容部に収容された前記原料液を一定の方向に放出するように、一定の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第一放出部とを有する第一放出体、並びに、前記原料液を収容する第二収容部と、前記第二収容部に収容された前記原料液を前記一定の方向に放出するように、前記間隔で一方向に沿って配列された二以上の第二放出部とを有する第二放出体に、前記原料液を注入する工程、
(ii)前記第一放出部および前記第二放出部から放出される前記原料液を帯電させる工程、および
(iii)前記第一放出部および前記第二放出部から放出された前記原料液から空間中で生成される繊維状物質をコレクタで収集する工程、を含み、
前記第一放出体および前記第二放出体の互いの対向部にそれぞれ設けられた連結用孔に挿通される管状の一対の突出部、並びに、前記一対の突出部の中間に前記一対の突出部の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部を有している連結部材により、前記第一放出部と前記第二放出部とが直線状に並ぶように、前記第一放出体と前記第二放出体とを分離可能に連結する、ナノファイバ製造方法に関する。
本発明のナノファイバ製造装置、または製造方法によれば、均一な厚みおよび密度を有する所望幅のナノファイバの不織布を容易に得ることができる。
本発明の一実施形態に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す斜視図である。 収容体の正面図である。 収容体の側面図である。 収容体の連結部を拡大した断面図である。 単位放出体の連結端部を拡大した断面図である。 連結部材の断面図である。 連結部材の側面図である。 連結部材の斜視図である。 本発明の他の実施形態に係るナノファイバ製造装置に使用される連結部材の断面図である。 従来のナノファイバ製造装置の放出体の連結部を拡大した断面図である。 従来のナノファイバ製造装置の単位放出体の連結端部を拡大した断面図である。
本発明のナノファイバ製造装置は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する装置であり、本装置は、原料液を収容する第一収容部、並びに、第一収容部に収容された原料液を一定の方向に放出するように、一定の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第一放出部を有する第一放出体と、原料液を収容する第二収容部、並びに、第二収容部に収容された原料液を一定の方向に放出するように、上記の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第二放出部を有する第二放出体とを備える。なお、「一方向に沿って」とは直線に沿うような形態をいい、必ずしも一直線に並んでいることは必要ではない。例えば、各放出部が一方向に沿ってジグザグに設けられていてもよい。
本装置は、さらに、第一放出部および第二放出部から放出される原料液を帯電させる帯電手段と、第一放出部および第二放出部から放出された原料液から空間中で生成されるナノファイバを収集するコレクタと、第一放出部と第二放出部とが直線状に並ぶように、第一放出体と第二放出体とを分離可能に連結する連結部材と、を備える。
上記の連結部材は、第一放出体および第二放出体の互いの対向部にそれぞれ設けられた連結用孔に挿通される、同軸に配された管状の一対の突出部、並びに、一対の突出部の中間に一対の突出部の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部、を有している。以下の説明では、第一放出体および第二放出体をそれぞれ単位放出体と称することがある。
上記の構成を有する連結部材により、二以上の単位放出体を例えば長手方向に連結することで、所望の全長の放出体を容易に形成できる。これにより、例えば放出体の長手方向と垂直な方向に送られる帯状の収集用部材の表面に、空間中で生成されたナノファイバを堆積させる(図1参照)ことで、所望幅の幅広のナノファイバの不織布を容易に製造することができる。
このとき、仕切り壁部により各単位放出体の収容部が互いに仕切られ、互いに独立している。その結果、二以上の単位放出体の連結により放出体の全長が長くなったとしても、各単位放出体が有する原料液放出孔などの放出部の個数は限定される。これにより、各放出部から原料液を一定の圧力で放出させることが容易となり、幅広でかつ厚みおよび密度が均一なナノファイバの不織布を容易に製造することができる。
この点、従来のナノファイバ製造装置では、図10および図11に示すように、各単位放出体100Aおよび100Bの収容部101は連結部分102で互いに連通されており、独立していないことから、連結により放出体100の全長が長くなればなるほど、長手方向に分散配置された各放出部103から一定の圧力で原料液RFを放出することが困難となる。よって、ナノファイバの不織布の幅が大きくなるほどに、不織布の幅方向で厚みや密度を均一にすることが困難となる。
これに対して、本装置では、仕切り壁部により各放出体の収容部が独立に形成されているために、例えばそれぞれの収容部に等しい圧力で原料液を供給することで、各放出体の長手方向に分散配置された各放出部から一定の圧力で原料液を放出することが容易となる。よって、厚みや密度が均一である高品質かつ幅広のナノファイバの不織布を容易に得ることができる。
そして、本発明の好ましい一形態においては、連結部材により、隣接する第一放出部と第二放出部との間隔が、他の部分の各放出部の間隔と等しくなるように、第一放出体と第二放出体とが連結されている(図4参照)。これにより、厚みや密度がより均一である高品質かつ幅広のナノファイバの不織布を容易に得ることができる。
本発明の一形態においては、第一放出体および第二放出体の少なくとも一方は、内径が連結用孔の径と等しい管状の容器であり、一対の突出部の少なくとも一方は、連結用孔と嵌まり合う外径を有している(図4参照)。このように、本形態においては、単位放出体の内径(すなわち、収容部の径)と連結用孔の径とが等しくされる。この点、従来の連結構造(図10および図11参照)では、互いに連結される一方の単位放出体100Aの対向壁部104に連結用孔105を設け、他方の単位放出体100Bの対向壁部104に突出部107を設けている。そして、連結用孔105と突出部107とを嵌合させて、単位放出体100Aと単位放出体100Bとを連結している。
そのような従来の連結構造において十分な連結強度を得ようとすると、突出部107の長さL1を大きくする一方で、単位放出体100Aの対向壁部104の厚みL2も同様に大きくすることが必要となる。その結果、各単位放出体の自重が大きくなるので、放出体全体の重量も大きくなる。これにより、連結構造に要求される連結強度も大きくなる。
これに対して、本製造装置の連結構造によれば、突出部の突出長さLT(図6参照)を大きくするだけで、連結部材と放出体との間の嵌め合い強度を大きくすることができる。よって、放出体全体の重量を大きくすることなく、十分な連結強度で、二以上の単位放出体を連結することができる。これにより、装置の軽量化および小型化が容易となる。
さらに、本発明の他の形態においては、一対の突出部の少なくとも一方が、第一放出部および第二放出部から選ばれる少なくとも一つの放出部と協働して、収容部の内部と外部とを連通させる少なくとも一つの連通孔を有している。
原料液の放出体には、一定のピッチPTで放出部を形成するのが好ましい。これにより、不織布の厚みや密度を均一にすることが容易となる。ここで、ピッチPTが大きすぎると、放出部の絶対数が少なくなり、コレクタの表面におけるナノファイバの堆積量に疎密が生じやすくなる。このため、放出体を、コレクタの送りの方向と垂直な方向に往復動させる等して、ナノファイバの堆積量を均一にする操作が必要となる。また、ナノファイバの生成量も少なくなるので、製造効率が低下する。
一方、ピッチPTが小さすぎると、各放出部から放出される、帯電された原料液の間の静電気力による干渉で、放出された原料液の軌跡が不安定となる。その結果、コレクタの表面におけるナノファイバの堆積量に疎密が生じやすくなる。よって、高品質なナノファイバの不織布を得ることは困難になる。
以上のように、高品質なナノファイバの不織布を高い製造効率で製造するためには、各放出部を適切なピッチPTで形成する必要がある。ここで、従来の連結構造で十分な連結強度を得ようとすると、図10に示すように、対向壁部104の厚みを大きくする必要があり、その結果、連結部102の厚みも大きくなる。ところが、図10の構成では、連結部102に放出部103を形成することができないために、連結部102の近傍では、他の部分と同じ密度でナノファイバを生成することができなくなる。よって、均一な厚みおよび密度を有するナノファイバの不織布を得ることが困難となる。
これに対して、本形態の装置では、図4に示すように、突出部24に連通孔24dが形成されているために、連結部材24で各単位放出体10を連結している連結領域ARにも、他の領域と同じピッチPTで放出部14を形成することが可能となる。したがって、連結強度を大きくするために突出部24の長さLTを十分に大きくした場合にも、放出体2の全長に亘って最適なピッチPTで放出部14を形成することが可能となる。
さらに、放出体2の内部を定期的に、清掃用溶剤等を使用してメンテナンスするような場合にも、連通孔24dおよび放出部14を介して溶剤を排出することができる。これにより、各単位放出体10を連結部材20により連結したままの状態で、突出部24の内部にまで、スムーズに、清掃用溶剤を送ることができる。これにより、突出部24の内部に形成された樹脂組成物の塊等も完全に除去できるので、運転中に目詰まり等のトラブルが発生するのを効果的に防止することができる。
なお、原料液を帯電させる電圧や不織布の密度および厚みにもよるが、ピッチPTの好ましい範囲は、下限が5mmであり、上限が15mmである。突出部が外部連通孔を有する形態では、単位放出体の十分な連結強度を確保しつつ、放出体の全長に亘って、上記の好ましい範囲にあるピッチPTで容易に放出部を形成することができる。このとき、仕切り壁部22の厚みは1.5〜3mmであるのが好ましい。これにより、十分な連結強度を確保しつつ、高品質のナノファイバの不織布を製造できる。
ここで、突出部には、先端側から仕切り壁部側に向かって内径が小さくなる縮径部を形成するのが好ましい。これにより、管状の突出部の肉厚を、先端側から仕切り壁部側に向かって大きくすることができる。その結果、突出部の根元の部分の肉厚を大きくすることが可能となり、突出部に望ましい強度を容易に与えることができる。そして、突出部の先端の肉厚が小さくなることから、突出部の長さを大きくしても、突出部の体積を小さくすることができ、収容部の容積が小さくなるのを防止することができる。
さらに、管状の突出部の先端部の肉厚が小さくなるので、突出部の先端部と、放出体の内周面との間の段差が小さくなる(図4参照)。その結果、突出部24に連通孔24dを形成する形態においても、突出部24の内部にまで原料液をスムーズに供給することができる。よって、連通孔24dと、これに対応する放出部(以下、協働放出部ともいう)14(14A)との協働により形成される放出部の原料液放出圧力を他の放出部14と等しくすることが容易となる。
さらに、放出体の内部を定期的にメンテナンスするような場合にも、上記段差が小さくなることから、各単位放出体10を連結部材20により連結したままの状態で、突出部24の内部にまで、スムーズに、清掃用の溶剤等を送ることができる。これにより、突出部24の内部にある樹脂組成物の塊等もより完全に除去できるので、運転中に目詰まり等のトラブルが発生するのをより効果的に防止することができる。
ここで、単位放出体には、連結部材により連結されている側とは反対側の部分に、原料液を収容部に注入するための注入部を形成することができる。これにより、メンテナンスのときにその注入部から、清掃用の溶剤等を注入して、収容部の全体を隅々まで清掃することもできる。なお、各放出部と注入部との距離の差を可能な限り小さくして、各放出部の原料液の放出圧力を均一化するという観点からは、注入部を単位放出体の長手方向の中間部に形成することもできる。また、それぞれの単位放出体に複数の注入部を設けることもできる。
ここで、第一放出部および第二放出部は、径が0.25〜0.4mmである貫通孔を含み、第一放出体および第二放出体は、第一および第二放出部が配列される方向の長さが600mm以下に形成される。単位放出体の長さを、そのような長さに設定することによって、単位放出体の取り扱いが容易となるとともに、各放出部から放出される原料液の圧力を一定にすることも容易となる。そして、放出部の孔の径を、0.25〜0.4mmに設定することで、様々な粘度の原料液に対応して、一定の放出圧で各放出部から原料液を放出することができる。
ここで、仕切り壁部は、放出体同士の継ぎ目に位置することから、少なくとも一部分(例えば外周部)は外部に露出するのが通常である。そのような場合に、仕切り壁部の例えば外周部にシャープな角部があると、原料液を帯電させるために放出体に与えられる電荷がその角部に集中して、イオン風を生じることがある。そこで、仕切り壁部の外部に露出する部分にある角部を面取りすることでイオン風が生じるのを防止することができ、そのようなイオン風により、放出部から放出される原料液の軌跡が不安定となるのを防止することができる。
一方、本発明の他の形態においては、連結部材は、第一収容部と第二収容部とを連通させる収容部連通部を有している。収容部連通部は、仕切り壁部に形成することができる。このように、各収容部が独立しておらず、連通している形態であっても、上記のような一対の突出部を有する連結部材により二以上の単位放出体を互いに連結することで、十分な強度で、各単位放出体を連結することができる。
さらに、本発明のナノファイバ製造方法は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する方法に関する。そして、本方法は、(i)原料液を収容する第一収容部と、第一収容部に収容された原料液を一定の方向に放出するように、一定の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第一放出部とを有する第一放出体、並びに、原料液を収容する第二収容部と、第二収容部に収容された原料液を一定の方向に放出するように、上記の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第二放出部とを有する第二放出体に、原料液を注入する工程、を含む。さらに、本方法は、(ii)第一放出部および第二放出部から放出される原料液を帯電させる工程、および(iii)第一放出部および第二放出部から放出された原料液から空間中で生成される繊維状物質をコレクタで収集する工程、を含む。そして、本方法は、第一放出体および第二放出体の互いの対向部にそれぞれ設けられた連結用貫通孔に挿通される管状の一対の突出部、並びに、一対の突出部の中間に一対の突出部の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部を有している連結部材により、第一放出部と第二放出部とが直線状に並ぶように、第一放出体と第二放出体とを分離可能に連結する。このとき、上述の理由で、隣接する第一放出部と第二放出部との間隔が他の部分の各放出部の間隔と等しくなるように連結するのが好ましい。
この方法では、(a)第一収容部および第二収容部に原料液を注入してナノファイバの製造を開始するときに、第一放出部および第二放出部がコレクタに向かう第一方向を向くように第一放出体および第二放出体の姿勢を調節する工程、および(b)第一収容部および第二収容部が原料液で満たされた後、第一放出部および第二放出部を第一方向に向けたままで第一放出部および第二放出部から原料液を放出することで、第一放出体および第二放出体よりも下方に配置されたコレクタにより繊維状物質を収集する工程、をさらに有するのが好ましい。
上述したとおり、本発明においては、二以上の単位放出体を長手方向に連結することで所望の全長を有する放出体を得ることができる。このとき、各収容部が互いに独立している形態では、各放出部の開口を例えば下方(第一方向の一例)に向けたままで、単位放出体の内部(収容部)に原料液を充填して、ナノファイバの不織布の製造を開始することができる。つまり、各収容部に独立して原料液を注入することから、比較的短時間のうちに、比較的小さい注入圧で各収容部に原料液を充填して、ナノファイバの製造を開始することができる。よって、原料液の充填中に放出部から原料液が垂れ流れることがなく、例えば放出部の開口を水平横方向に向ける等して、原料液が垂れ流れるのを防止する必要性がない。
したがって、ナノファイバの製造を開始してから製造を終了し、再び製造を開始するまでの間、放出体の姿勢を全く変えることなく、ナノファイバを製造することができる。よって、放出体の姿勢を変更するための特別の機構を設ける必要性ないので、機構を簡単にすることが可能となる。これにより、コストダウンと、機構の複雑化によるトラブルの増大とを防止することができる。
そして、連結部材による連結領域AR(図4参照)にも有効な放出部を形成する形態では、工程(a)において、単位放出体の収容部に、連結部材により連結されている側とは反対側から原料液を注入することにより、その収容部の中に存在する気体(空気等)を、連結領域ARに形成された放出部を介して最後まで外部に放出させることが可能となる。これにより、空気等が連結領域ARに残存していることに起因して、各放出部からの原料液の放出圧が不安定となるのを防止することができる。
一方、仕切り壁部に連通孔を設けて各収容部を連通させる形態においては、収容部全体の容積が大きくなるので、製造を開始するときに、放出部がコレクタに向かう第一方向(例えば下方向)以外の方向(例えば水平横方向)を向くように各放出体の姿勢を調節する。これにより、収容部に原料液を充填するまでの間に放出部から原料液が垂れ落ちるのを防止することができる。そして、実際にナノファイバの不織布を製造するときには、放出部を第一方向(例えば下方向)に向けるように放出体の姿勢を調節する。以上により、製造の開始時に原料液を収容部に充填するときに、放出体から原料液が垂れ落ちるのを防止することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1に、本発明の一実施形態に係るナノファイバ製造装置を斜視図により示す。図2に放出体を正面図により示す。図3に、放出体を側面図により示す。図4に、単位放出体の連結部分を拡大して断面図により示す。
図示例のナノファイバ製造装置1は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する装置であり、原料液を空間中に放出する放出体2と、原料液を帯電させる帯電手段3と、空間中で生成されたナノファイバを収集するコレクタ4と、を備えている。放出体2は、フレーム82に取り付けられた複数の桟部材82aにより支持されている。
フレーム82は、例えば、四本の棒状の脚部82bと、その四本の脚部82bを二本ずつ上端部で連結する、比較的短い一対の水平材82cと、一対の水平材82cで連結された二対の脚部82bを互いに連結するように、一対の水平材82cの両端部にそれぞれの端部が接合される、比較的長い一対の水平材82dとを含む。
図2および図3に示すように、放出体2は、複数の桟部材82aに取り付けられたバッファ84に固定されている。バッファ84には、放出体2から放出される原料液からの溶媒または分散媒の蒸発を促進するための圧縮エアが供給されている。バッファ84に供給された圧縮エアは、バッファ84の例えば下部に儲けられた図示しないノズルから原料液の流れに沿って放出される。放出体2は、二つの単位放出体10を含む。なお、放出体10に含まれる単位放出体の個数は、二以上であればよく、特に限定されない。単位放出体10は、長手方向の対向端部において、連結部材20により連結されている。単位放出体10のそれぞれの長手方向の外側端部には、単位放出体10に、原料液RFを供給するための導管86が接続されている。単位放出体10には、それぞれ、導管86を通して、図示しない原料液供給装置により、等しい圧力で原料液が供給される。
また、単位放出体10は、放出部14(図4参照)から流出ないしは放出させる原料液に電荷を供給するための電極としても機能するように、原料液と接触する部分の少なくとも一部分(例えば放出部14)が導体(黄銅やステンレス鋼などの金属)から形成される。そして、単位放出体10は、帯電手段3を構成するアース線3aにより接地されるとともに、コレクタ4に設けられた他方電極88と所定距離(例えば、100〜600mm)で対向するように配置されている。放出体2と、他方電極88との距離を、そのような距離に設定することで、放出部14から放出された原料液から静電延伸現象によりナノファイバを確実に生成することができる。
他方電極88は、帯電手段3を構成する電源90の正極および負極の一方の極の端子に接続されている。高圧電源90の他方の極の端子は接地されている。電源90としては、原料液に与える電荷を一定とする観点から直流電源が好ましいが、整流器を介することで交流電源でも使用することができる。電源90は、放出体2と他方電極88との距離を考慮して、5KV以上の出力を有するのが好ましい。これにより、上記の距離を確保しながら、十分な電荷を原料液に与えることができる。より好ましい電源90の出力電圧は、20KV以上であり、50KV以上がさらに好ましい。
コレクタ4は、さらに、他方電極88と近接する位置で、放出体2の長手方向と垂直な方向に送られる帯状の収集用部材42と、収集用部材42を長手方向に送る送り機構44とを含む。コレクタ4は、放出体2の下方に配置することができる。これと対応して、放出部14を構成する貫通孔の開口は、下に向けることができる。そして、コレクタ4には、空間中で生成されたナノファイバの収集用部材42による収集を補助するための気流を発生させる、図示しない気流発生手段を設けることができる。
収集用部材42は、上記の気流の流通を容易にするために、網状のシートであるのが好ましく、さらに、表面に堆積したナノファイバを容易にはがせるようにシリコンでコーティングが施されているのが好ましい。送り機構44は、巻き出し用および巻き取り用の各ローラ44aおよび44bと、ローラ駆動機構44cとを含む。さらに、収集用部材42を、水平面内で、送りの方向と垂直な方向に往復動させる機構を設けることで、より均一な不織布の厚みを実現することもできる。
以上の構成の帯電手段3(アース線3aおよび電源90)により、放出体2と他方電極88との間には例えば5KV以上の電位差が発生しており、放出体2には電荷が生じる。その電荷により放出部14から放出される原料液が帯電される。なお、上記の場合と反対に、高圧電源90を放出体2と接続し、他方電極88を接地しても、放出部14から放出される原料液を帯電させることができる。
次に、放出体を説明する。図4に示すように、図示例の放出体2は、一対の単位放出体10を、連結部材20により長手方向に連結して形成されている。単位放出体10の内部には、径:D1の円筒形の収容部12が形成されている。放出体2は全体として細長い管状であり、各単位放出体10の対向端部は、それぞれ、収容部12の径D1と同じ径で開口している。この開口が連結用孔32(図5参照)を形成している。
単位放出体10の下部には、収容部12に収容された原料液を放出するための、貫通孔を含む放出部14が単位放出体10の長手方向ないしは軸方向に等しいピッチPTで形成されている。放出部14の開口は下方を向いている。
単位放出体10の上部は、支持が容易なように、断面が方形に形成されており、その被把持部10aの下端から放出部14の開口端に向かって断面形状の幅が徐々に小さくなるテーパ状部10bが形成されている。このように、単位放出体10の放出部14の周囲の部分にテーパ状部10bを形成することで、放出体2の表面からシャープな角部を排除できる。これにより、電荷の過度の集中によるイオン風の発生を抑えることができる。
また、放出部14の開口端に向かって単位放出体10の断面形状の幅を徐々に小さくすることで、電荷を適度に集中させることができ、放出部14から放出される原料液に効率的に電荷を供給することができる。放出部14を形成する貫通孔の径は、例えば0.25〜0.4mmの所定径に設定することができる。また、貫通孔の長さは、0.1〜5mmの範囲に設定されるのが好ましい。また、貫通孔の形状は、円筒形状に限定されるわけではなく、三角形や四角形などの多角形、星形など内側に突出する部分のある形状など任意の形状を選択することができる。
次に、図6〜図8を参照して、連結部材を説明する。図6は、連結部材を、中心軸を含む平面で切断した断面図である。図7は、連結部材の側面図である。図8は、連結部材の斜視図である。
図6に示すように、連結部材20は、単位放出体10の各対向端部に設けられた連結用孔32に挿通される一対の突出部24と、一対の突出部24の中間に一対の突出部24の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部22とを含む。一対の突出部24は、管状であり、中心軸が一致するように配置されている。突出部24の外径D2は、径がD1である連結用孔32と過不足無く嵌合するように設定されている。
突出部24には、先端側から仕切り壁部22側に向かって内径が小さくなる縮径部24bを形成されている。そして、縮径部24bの仕切り壁部22側には、縮径部24bと連続して、内径が一定の肉厚部24cが形成されている。これにより、管状の突出部24の肉厚を、先端側から仕切り壁部22側に向かって大きくすることができる。その結果、突出部24の根元の部分の肉厚を大きくすることが可能となり、突出部24に望ましい強度を与えることができる。
肉厚部24c、または縮径部24bには、単位放出体10の対向端部に設けられた放出部14(協働放出部14A)と協働して収容部12の内部を放出体2の外部と連通させる連通孔24dが形成されている。図6の例では、連通孔24dは肉厚部24cに一つだけ形成されている。これに限られず、ピッチPTが小さい場合や、突出部24の長さLTが図示例のものよりも大きいような場合には、二以上の連通孔24dを一つの突出部24の肉厚部24cおよび縮径部24bに設けることができる。一対の突出部24と仕切り壁部22との境界の位置には、Oリング62を取り付けるための円環状の溝24aが形成されている。
仕切り壁部22の突出部24の軸方向に垂直な断面の輪郭は、単位放出体10の横断面の輪郭と同じ形状になっている。これにより、仕切り壁部22の外周面と、各単位放出体10の外周面との間に段差が生ぜず、連結領域ARでイオン風が発生するのを防止することができる。
ここで、ナノファイバを構成する樹脂であって、原料液に溶解、または、分散させる樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等およびこれらの共重合体等の高分子物質を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記樹脂に限定されるものではない。
原料液に使用される溶媒または分散媒としては、揮発性のある有機溶剤などを例示することができる。具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を挙示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明に用いられる原料液は上記溶媒を採用することに限定されるものではない。
さらに、原料液には、無機質固体材料を添加してもよい。無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、製造されるナノファイバの耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明の原料液に添加される物質は、上記添加剤に限定されるものではない。
原料液における溶媒または分散媒と溶質または分散質との混合比率は、選定される媒体の種類と媒質の種類とにより異なるが、媒体量は、約60質量%から95質量%の間が望ましい。好適には媒質が5〜40質量%となる。
次に、上記ナノファイバ製造装置100を用いてナノファイバを製造する製造方法について説明する。
まず、一方の単位放出体10と他方の単位放出体10とを、連結部材20により長手方向に連結して、放出体2を形成する。このとき、各単位放出体10の対向端部にある連結用孔32がOリング取付溝24aに取り付けたOリング62と重なる位置まで、各連結用孔32に一対の突出部24を差し込む。そのようにして形成された放出体2をフレーム82に取り付ける。
次に、帯電手段3により、放出体2と他方電極88との間に所定の電位差を付与する。これにより、原料液を正電荷または負電荷により帯電させる。
次に、帯電させた原料液を、各単位放出体と、他方電極88との間に生じた電界により、放出部14から他方電極88に向かう方向に放出する。この放出は、導管86を介した原料液の供給圧により補助することができる。
以上により、原料液は、帯電された状態で単位放出体10から空間中に放出され、空間中で原料液から静電延伸現象によりナノファイバが生成される。空間中で生成されたナノファイバは、原料液とは逆極性の電荷を有する他方電極88の方に引き寄せられ、他方電極88よりも放出体2側の他方電極88と近接する位置で送られている収集用部材42の表面に堆積する。
収集用部材42は他方電極88の電荷により誘引されたナノファイバを表面に堆積させつつ、送り手段44により徐々に送られる。これにより、長尺で所望幅の幅広のナノファイバの不織布が生成される。
以上のように、実施形態1の装置によれば、連結部材20により、二以上の単位放出体10を長手方向に連結することで、所望の全長の放出体2を容易に形成できる。これにより、所望幅の幅広のナノファイバの不織布を容易に製造することができる。このとき、仕切り壁部22により各単位放出体10の収容部12が互いに仕切られ、独立している結果、各放出部14から原料液を一定の圧力で放出させることが容易となる。よって、幅広でかつ厚みおよび密度が均一なナノファイバの不織布を容易に製造することができる。
さらに、単位放出体の内径が一定であり、連結用孔32の径が、単位放出体の他の部分の内径(すなわち、収容部の径)と等しくされていることから、突出部24の長さLT(図6参照)を大きくするだけで、連結部材20と単位放出体10との間の嵌め合い強度を大きくすることができる。よって、放出体全体の重量を大きくすることなく、十分な連結強度で、二以上の単位放出体10を連結することができる。これにより、装置の軽量化および小型化が容易となる。
さらに、一対の突出部24が、放出部14(14A)と協働して、収容部12の内部と外部とを連通させる少なくとも一つの連通孔24dを有していることから、連結領域ARにも一定のピッチPTで放出部を形成することができる。これにより、放出体2の長手方向の全ての部分でナノファイバの生成量を一定にすることができ、収集用部材42の表面のナノファイバの堆積量を不織布の幅方向で一定とすることが容易となる。よって、幅方向における厚みおよび密度がより均一な、高品質のナノファイバの不織布を容易に製造できる。
さらに、放出体の内部を定期的にメンテナンスするような場合にも、連通孔24dの存在により、各単位単位放出体10を連結部材20により連結したままの状態で、突出部24の内部にまで、スムーズに、清掃用の溶剤等を送ることができる。これにより、突出部24の内部で生成された樹脂組成物の塊等もより完全に除去できるので、目詰まり等のトラブルが発生するのをより効果的に防止することができる。
次に、図9を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。
図9に、本発明の実施形態2のナノファイバ製造装置に使用される連結部材を断面図により示す。図示例の連結部材52は、実施形態1と同様の一対の突出部24と、仕切り壁部22Aとを有している。連結部材52が、実施形態1の連結部材と異なるのは、連結部材52が、各単位放出体10の収容部12を互いに連通させるための収容部連通部54を有している点である。収容部連通部54は、仕切り壁部22Aに貫通孔を形成することで、形成することができる。それ以外の、連結部材52の構造は、実施形態1の連結部材と同様である。なお、図9では、収容部連通部54を形成するための貫通孔の径が、肉厚部24cの径と等しくされているが、これに限らず、収容部連通部54を形成するための貫通孔の径は適宜に設定することができる。
このような連結部材52により一方の単位放出体10と、他方の単位放出体10とを連結することで、一つの原料液供給系統で、二以上の単位放出体を連結して形成された放出体に原料を供給することが可能となる。これにより、機構の簡素化が図れる。
次に、実施形態2の装置において、図示しない原料液供給装置により原料液を放出体に供給してナノファイバを製造する場合に特徴的な動作を説明する。実施形態2のナノファイバ製造装置においては、各収容部12が収容部連通部54により連通されることで、上述したとおり、一つの原料液供給系統により原料液を供給するだけで、全ての単位放出体の収容部に原料液を充填することが可能となる。
その反面、収容部全体の容積が大きくなることから、より大きな圧力で原料液を収容部に充填する必要がある。よって、実施形態1に示した各収容部が独立している場合のように、各放出部の開口を下方に向けたままで各収容部に原料液を充填すると、放出部から原料液が垂れ落ちることがある。
このため、本実施形態2においては、ナノファイバの製造開始時に収容部に原料液を充填するときに、各放出部の開口が下方以外の方向(例えば、水平横方向)を向くように各放出体の姿勢を調節する。これにより、収容部に原料液を充填するまでの間に放出部から原料液が垂れ落ちるのを防止することができる。
そのような姿勢調節機構としては、例えば、一対の水平材82dの長手方向(図のY方向)の各一端部を、一方の水平材82c(82c1)との接合を解除可能とする。そして、一対の水平材82dの他端部を他方の水平材82c(82c2)に回動可能に取り付ける。これにより、一対の水平材82dの他端部を持ち上げることで、放出部14の各開口を横に向けることができる。
本発明によれば、幅広で均一な厚みおよび密度を有するナノファイバの不織布を容易に製造することができる。よって、本発明は、綿密な不織布を素材とする各種製品(電池用セパレータ、フィルタ等)の製造に有用である。
1 ナノファイバ製造装置
2 放出体
3 帯電手段
4 コレクタ
10 単位放出体
12 収容部
14 放出部
20、52 連結部材
22、22A 仕切り壁部
24 突出部
24b 縮径部
24d 連通孔

Claims (16)

  1. 原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する装置であって、
    前記原料液を収容する第一収容部、並びに、前記第一収容部に収容された前記原料液を一定の方向に放出するように、一定の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第一放出部を有する第一放出体と、
    前記原料液を収容する第二収容部、並びに、前記第二収容部に収容された前記原料液を前記一定の方向に放出するように、前記間隔で一方向に沿って配列された二以上の第二放出部を有する第二放出体と、
    前記第一放出部および前記第二放出部から放出される前記原料液を帯電させる帯電手段と、
    前記第一放出部および前記第二放出部から放出された前記原料液から空間中で生成されるナノファイバを収集するコレクタと、
    前記第一放出部と前記第二放出部とが直線状に並ぶように、前記第一放出体と前記第二放出体とを分離可能に連結する連結部材と、を備え、
    前記連結部材が、前記第一放出体および前記第二放出体の互いの対向部にそれぞれ設けられた連結用孔に挿通される、同軸に配された管状の一対の突出部、並びに、前記一対の突出部の中間に前記一対の突出部の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部、を有している、ナノファイバ製造装置。
  2. 前記連結部材により、隣接する前記第一放出部と前記第二放出部との間隔が前記間隔と等しくなるように、前記第一放出体と前記第二放出体とが連結されている、請求項1記載のナノファイバ製造装置。
  3. 前記第一放出体および前記第二放出体の少なくとも一方は、内径が前記連結用孔の径と等しい管状の容器であり、
    前記一対の突出部の少なくとも一方は、前記連結用孔と嵌まり合う外径を有している、請求項1または2記載のナノファイバ製造装置。
  4. 前記一対の突出部の少なくとも一方が、前記第一放出部および前記第二放出部から選ばれる少なくとも一つの放出部と協働して、前記収容部の内部と外部とを連通させる少なくとも一つの連通孔を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  5. 前記一定の間隔が、5mm以上、かつ15mm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  6. 前記仕切り壁部の厚みが1.5〜3mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  7. 前記第一放出体および前記第二放出体の少なくとも一方が、前記連結部材により連結されている側とは反対側の部分に、前記原料液を前記第一収容部および前記第二収容部の少なくとも一方に注入するための注入部を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  8. 前記第一放出部および前記第二放出部は、径が0.25〜0.4mmである孔を含み、
    前記第一放出体および前記第二放出体は、前記第一放出部および前記第二放出部が配列される方向の長さが600mm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  9. 前記仕切り壁部の外部に露出した角部が面取りされている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  10. 前記一対の突出部の少なくとも一方が、先端側から前記仕切り壁部側に向かって内径が小さくなる縮径部を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  11. 前記連結部材が、前記第一収容部と前記第二収容部とを連通させる収容部連通部を有している、請求項1〜10のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  12. 原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する方法であって、
    (i)前記原料液を収容する第一収容部と、前記第一収容部に収容された前記原料液を一定の方向に放出するように、一定の間隔で一方向に沿って配列された二以上の第一放出部とを有する第一放出体、並びに、前記原料液を収容する第二収容部と、前記第二収容部に収容された前記原料液を前記一定の方向に放出するように、前記間隔で一方向に沿って配列された二以上の第二放出部とを有する第二放出体に、前記原料液を注入する工程、
    (ii)前記第一放出部および前記第二放出部から放出される前記原料液を帯電させる工程、および
    (iii)前記第一放出部および前記第二放出部から放出された前記原料液から空間中で生成される繊維状物質をコレクタで収集する工程、を含み、
    前記第一放出体および前記第二放出体の互いの対向部にそれぞれ設けられた連結用孔に挿通される管状の一対の突出部、並びに、前記一対の突出部の中間に前記一対の突出部の軸方向と垂直に配置された仕切り壁部を有している連結部材により、前記第一放出部と前記第二放出部とが直線状に並ぶように、前記第一放出体と前記第二放出体とを分離可能に連結する、ナノファイバ製造方法。
  13. 前記連結部材により、隣接する前記第一放出部と前記第二放出部との間隔が前記間隔と等しくなるように、前記第一放出体と前記第二放出体とを連結する、請求項12記載のナノファイバ製造方法。
  14. (a)前記第一収容部および前記第二収容部に前記原料液を注入して前記ナノファイバの製造を開始するときに、前記第一放出部および前記第二放出部が前記コレクタに向かう第一方向を向くように前記第一放出体および前記第二放出体の姿勢を調節する工程、および
    (b)前記第一収容部および前記第二収容部が前記原料液で満たされた後、前記第一放出部および前記第二放出部を前記第一方向に向けたままで前記第一放出部および前記第二放出部から前記原料液を放出することで、前記第一放出体および前記第二放出体よりも下方に配置された前記コレクタにより前記繊維状物質を収集する工程、をさらに有する請求項12または13記載のナノファイバ製造方法。
  15. 前記工程(a)において、前記第一放出体および前記第二放出体の少なくとも一方に、前記連結部材により連結されている側とは反対側から前記原料液を前記第一収容部および前記第二収容部の少なくとも一方に注入することにより、
    前記第一収容部および前記第二収容部の少なくとも一方の中に存在する気体を、当該収容部と、前記第一放出部および前記第二放出部から選ばれる少なくとも一つの放出部とを連通させるように前記突出部に設けた連通孔を介して最後まで外部に放出させる、請求項12〜14のいずれか一項に記載のナノファイバ製造方法。
  16. (a)前記第一収容部および前記第二収容部に前記原料液を注入して前記ナノファイバの製造を開始するときに、前記第一放出部および前記第二放出部が前記コレクタに向かう第一方向以外を向くように前記第一放出体および前記第二放出体の姿勢を調節する工程、および
    (b)前記第一収容部および前記第二収容部が前記原料液で満たされた後、前記第一放出部および前記第二放出部から前記原料液を放出するときに、前記第一放出部および前記第二放出部が前記第一方向を向くように前記第一放出体および前記第二放出体の姿勢を再調節する工程、をさらに有する、請求項12または13記載のナノファイバ製造方法。
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