JP2013226941A - パワーステアリング装置 - Google Patents

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高士 青山
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雅輝 岡本
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Abstract

【課題】ピニオン軸の保持が解除された状態でもピニオン軸の回転を維持させる。
【解決手段】パワーステアリング装置は、操舵部の操舵に基づいて作動する駆動部の駆動力を受けて回転するウォームギヤ32と、ウォームギヤ32に接続して回転するウォームホイール34と、ウォームホイール34に接続するとともに、被操舵部に連結するラック軸24に接続して、駆動部からの駆動力をラック軸24に付与するアシスト側ピニオン軸33と、アシスト側ピニオン軸33の端部に対向して設けられ、アシスト側ピニオン軸33が軸方向に移動した際に、弾性変形しながらアシスト側ピニオン軸33の端部の接触を受けるカバー部材19とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、パワーステアリング装置に関する。
パワーステアリング装置である例えば電動パワーステアリング装置は、入力軸に連結されるピニオン軸と、ピニオン軸のピニオンと噛み合うラックを備えるラック軸とを備え、ラック軸に連係する被操舵部に、電動モータの出力トルクをアシスト力として付与している。このとき、ステアリングホイールからの操舵力はトルクセンサで検出され、このトルクセンサからのトルク信号と車からの車速信号とに基づく電流が電動モータに供給される。
公報記載の従来技術として、例えば特許文献1には、ラック軸を収容するギヤボックスに、モータと連係するとともに外周にアシストピニオンギヤを備えたアシスト軸を収容する凹部を形成し、この凹部底面に設けたバネ部材とアシストピニオンギヤ端部との間に軸受を保持する一方、ギヤケースに設けた軸受によりアシスト軸の段差部を押さえ込むようにして、アシスト軸が、バネ部材のバネ力により、軸受を介してギヤボックス内に保持されるようにした電動パワーステアリング装置が記載されている。
特開平10−236322号公報
ところで、電動パワーステアリング装置において、ピニオン軸をハウジングに保持する保持部材が損傷するなどしてピニオン軸の保持が解除されると、ピニオン軸がハウジング内において移動可能な状態になる。そして、ピニオン軸が実際に移動すると、例えばピニオン軸とピニオン軸に接続する部材との噛み合いがずれたり、ピニオン軸とピニオン軸の接触を受ける部材との間で焼付きやカジリが発生したりする場合がある。このような場合、結果として、ピニオン軸が回転できなくなるおそれがある。
本発明は、かかる技術的課題を解決するためになされたものであって、ピニオン軸の保持が解除された状態でもピニオン軸の回転を維持させることを目的とする。
上記の目的を達成する本発明は、操舵部の操舵に基づいて作動する駆動部の駆動力を受けて回転するウォームギヤと、ウォームギヤに接続して回転するウォームホイールと、ウォームホイールに接続するとともに、被操舵部に連結するラック軸に接続して、駆動部からの駆動力をラック軸に付与するピニオン軸と、ピニオン軸の端部に対向して設けられ、ピニオン軸が軸方向に移動した際に、弾性変形しながらピニオン軸の端部の接触を受ける受け部と、を備えることを特徴とするパワーステアリング装置である。
ここで、受け部は、ピニオン軸の端部面の面積よりも小さい接触面積によりピニオン軸の端部と接触することを特徴とすることができる。
また、受け部は、少なくともピニオン軸の一部を覆う板状の部材であって、ピニオン軸側に向けて突出する突出部を有し、ピニオン軸の接触を受けた際に突出部が変位することで弾性変形することを特徴とすることができる。
さらに、受け部は、ピニオン軸側に向けて突出する曲面形状を有することを特徴とすることができる。
本発明によれば、ピニオン軸の保持が解除された状態でもピニオン軸の回転を維持させることが可能となる。
本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置の全体構成図である。 本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置の伝達機構部を説明する構成図である。 本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置のアシスト部を説明する構成図である。 図1に示す矢印IV側からみたアシスト部の上面図である。 カバー部材とアシスト側ピニオン軸との隙間の距離を説明するための図である。 カバー部材の作用を説明するための図である。 変形例のカバー部材を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔パワーステアリング装置の全体構成〕
図1は、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1の全体構成図である。図2は、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1の伝達機構部Aを説明する構成図であり、図1に示すII−II断面である。図3は、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1のアシスト部Bを説明する構成図であり、図1に示すIII−III断面である。図4は、図1に示す矢印IV側からみたアシスト部Bの上面図である。
図1に示すように、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1は、いわゆるダブルピニオン型のパワーステアリング装置である。電動パワーステアリング装置1は、操舵部(ステアリングホイール)からの操舵力をラック軸24に伝達する伝達機構部Aと、駆動部30からの操舵補助力をラック軸24に伝達してラック軸24の移動をアシストするアシスト部Bとを有する。
例えば車体フレーム(不図示)等に固定されるギヤハウジング10は、図1に示すように、伝達機構部Aを構成するハンドル側ギヤハウジング10Aと、アシスト部Bを構成するアシスト側ギヤハウジング10Bとを有する。ハンドル側ギヤハウジング10Aとアシスト側ギヤハウジング10Bとは、ラック軸24まわりで連結されてギヤハウジング10を構成する。
ハンドル側ギヤハウジング10Aは、入力軸21と、出力軸であるハンドル側ピニオン軸23(図2参照)とを回転可能に支持している。入力軸21は、ステアリングホイール(不図示)に連結されたアッパーシャフト(不図示)と連結している。
一方、アシスト側ギヤハウジング10Bは、アシスト側ピニオン軸33(図3参照)を回転可能に支持している。ラック軸24の両端部には左右のタイロッド48A,48Bが連結されている。このタイロッド48A,48Bはナックルアーム(不図示)を介して被操舵部である例えばタイヤ(不図示)に連結されている。ラック軸24はハンドル側ギヤハウジング10Aの第1ハウジング11(図2参照)とアシスト側ギヤハウジング10Bの第1ハウジング17(図3参照)とに設けられた軸受(不図示)によって、図1の左右方向に摺動性を良好に保った状態で支持されている。
〔伝達機構部Aの構成・機能〕
図2に示すように、伝達機構部Aのハンドル側ギヤハウジング10Aは、第1ハウジング11、第2ハウジング12および第3ハウジング13に分割され、これらが組み付けられてハウジングを形成している。これら第1ハウジング11、第2ハウジング12および第3ハウジング13は、それぞれ固定ボルトによって固定されている。
そして、伝達機構部Aは、図2に示すように、ステアリングホイール(不図示)に連結される入力軸21を有している。また、この入力軸21にトーションバー22を介して連結されるハンドル側ピニオン軸(出力軸)23を、入力軸21と同軸上に有している。
さらに、ハンドル側ピニオン軸23はピニオン23Pを有しており、このピニオン23Pをラック軸24のハンドル側ラック24Aに噛み合わせている。これにより、ラック軸24は、ステアリングホイールに加えた操舵トルクに従って直線運動が可能となり、図1に示すギヤハウジング10の左右方向に移動する。
入力軸21はハンドル側ギヤハウジング10Aの第3ハウジング13に設けられた軸受21Jにより保持され、ハンドル側ピニオン軸23はハンドル側ギヤハウジング10Aの第1ハウジング11に設けられた軸受23Jおよび第2ハウジング12に設けられた軸受23Kにより保持される。
また、ハンドル側ギヤハウジング10Aの第1ハウジング11内には、ラック軸24のハンドル側ラック24Aをハンドル側ピニオン軸23のピニオン23Pに押付けるとともに、ラック軸24を摺動自在に支持するラックガイド25が取り付けられる。このラックガイド25は、第1ハウジング11のシリンダ部14に挿入される。
シリンダ部14は、このラック軸24を挟んでハンドル側ピニオン軸23と相対する部分に設けられている。ラックガイド25は、シリンダ部14に埋込ネジ形式により固定されるキャップ25Aを有し、ラック軸24をハンドル側ラック24Aの反対側から押圧するばね25Bを備えている。キャップ25Aが第1ハウジング11のシリンダ部14に締め付けられることで、ばね25Bがラック軸24を押圧し、ハンドル側ラック24Aはピニオン23Pと良好な噛み合いを維持している。
さらに、伝達機構部Aは、入力軸21とハンドル側ピニオン軸(出力軸)23との相対回転角度を検出し、検出した相対回転角度に基づいて操舵トルクを検出するトルク検出装置40とを備えている。そして、トルク検出装置40は、操舵トルクの検出結果を不図示のECU(Electronic Control Unit)に送る。そして、ECUは、トルク検出装置40から取得した操作トルクの検出結果に基づいて、アシスト部Bの電動モータ30M(後述する図4参照)を駆動制御する。
〔アシスト部Bの構成・機能〕
アシスト部Bは、図3に示すように、アシスト側ギヤハウジング10Bと、アシスト側ピニオン軸33と、アシスト側ピニオン軸33に接続するウォームホイール34と、アシスト側ピニオン軸33とラック軸24との接続を案内するラックガイド38とを有している。さらに、アシスト部Bは、図4に示すように、ウォームホイール34を回転駆動する駆動部30を備えている。
アシスト側ギヤハウジング10Bは、図3に示すように、第1ハウジング17と第2ハウジング18とに分割され、これらが組み付けられてハウジングを形成している。さらに、第2ハウジング18には、カバー部材19が組み付けられる。第1ハウジング17と第2ハウジング18とは、それぞれ内側に筒状の空間を有する部材である。そして、第1ハウジング17は、主にアシスト側ピニオン軸33とラック軸24との接続部分におけるハウジングを形成する。また、第2ハウジング18は、主にアシスト側ピニオン軸33とウォームホイール34との接続部分におけるハウジングを形成する。
第1ハウジング17は、第2ハウジング18との嵌め合い箇所を構成する嵌合い部17Jを有している。また、第2ハウジング18は、第1ハウジング17との嵌め合い箇所を構成する嵌合い部18Jを有している。そして、本実施形態では、嵌合い部18Jの外径は、嵌合い部17Jの内径よりも若干大きく形成されている。そして、第1ハウジング17と第2ハウジング18とは、シール部材Sを間に挟んだ状態で、嵌合い部17Jに嵌合い部18Jが挿入されて嵌め合わされる。そして、第1ハウジング17と第2ハウジング18とは、固定ボルトBLによって固定される。
また、カバー部材19は、図3に示すように、固定ボルト20によって第2ハウジング18に固定される。そして、カバー部材19は、第1ハウジング17の開口部を覆うように設けられる。なお、カバー部材19については、後に詳しく説明する。
アシスト側ピニオン軸33は、車両に搭載された状態で、鉛直方向に対して交差配置される。本実施形態では、アシスト側ピニオン軸33が車両の前後方向に沿うように、概ね水平方向に横置きされる(図1参照)。
アシスト側ピニオン軸33は、図3に示すように、ピニオン33Pを有している。そして、アシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pがラック軸24のアシスト側ラック24Bに接続する。なお、本実施形態のアシスト部Bでは、アシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pとラック軸24のアシスト側ラック24Bの双方又は少なくとも一方を、それらの歯すじがそれらの中心軸に斜交する斜歯歯車としている。なお、本実施形態のアシスト側ピニオン軸33は金属製である。
また、アシスト側ピニオン軸33には、ウォームホイール34が設けられる。そして、アシスト側ピニオン軸33は、ウォームホイール34を介して駆動部30(図1参照)から回転駆動力を受けて回転する。
アシスト側ピニオン軸33は、一端側が第1ハウジング17に設けられる第1軸受33Jに保持され、他端側が第2ハウジング18に設けられる第2軸受33K保持される。
第2軸受33Kの内輪は、アシスト側ピニオン軸33のハブ33Hとロックナット36とに挟まれるようにして、アシスト側ピニオン軸33の外周に取り付けられる。また、第2軸受33Kの外輪は、第2ハウジング18に形成される保持部18HとサークリップCとの間に挟まれるようにして第2ハウジング18に固定される。
一方、第1軸受33Jの外輪は第1ハウジング17に圧入され、アシスト側ピニオン軸33の一端部は第1軸受33Jの内輪に隙間嵌めされている。
そして、アシスト側ピニオン軸33は、第1ハウジング17に圧入される第1軸受33Jに保持されることで、第1ハウジング17側に向けた方向の移動が制限される。
また、アシスト側ピニオン軸33は、埋込ネジ形式によりアシスト側ピニオン軸33に固定されるロックナット36によって、第2軸受33Kを挟んで第2ハウジング18の保持部18Hに突き当てられる。これによって、アシスト側ピニオン軸33は、第2ハウジング18側に向けた方向の移動が制限される。
以上のようにして、アシスト側ピニオン軸33は、アシスト側ギヤハウジング10Bにおいて、回転可能に保持されるとともに、軸方向には移動しないように取り付けられる。
ウォームホイール34は、アシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pが形成される側とは逆側の端部に設けられる。ウォームホイール34の回転軸は、アシスト側ピニオン軸33と同軸になるように形成される。そして、図4に示すように、ウォームホイール34は、駆動部30のウォームギヤ32(後述)と噛み合う。なお、本実施形態のウォームホイール34は、この金属製のアシスト側ピニオン軸33のハブ33Hに一体成形された樹脂成形体で構成される。
ラックガイド38は、第1ハウジング17のシリンダ部17Aに設けられる。ラックガイド38は、ラック軸24を挟んでアシスト側ピニオン軸33と相対する部分に設けられている。そして、ラックガイド38は、シリンダ部17Aに埋込ネジ形式により固定されるキャップ38Aを有し、ラック軸24をアシスト側ラック24Bの反対側から押圧するばね38Bを備えている。キャップ38Aが第1ハウジング17のシリンダ部17Aに締め付けられることで、ばね38Bがラック軸24を押圧し、アシスト側ラック24Bはピニオン33Pと良好な噛み合いを維持している。
そして、ラックガイド38は、ラック軸24のアシスト側ラック24Bをアシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pに押付けるとともに、ラック軸24を摺動自在に支持する。
駆動部30は、図4に示すように、電動モータ30Mと、電動モータ30Mを囲うモータケース31と、電動モータ30Mの駆動軸に連結するウォームギヤ32とを有している。モータケース31は、第2ハウジング18に接続されている。電動モータ30Mは、トルク検出装置40(図2参照)の検出結果に応じて不図示のECUによって駆動制御される。そして、ウォームギヤ32は、ウォームホイール34に接続し、電動モータ30Mの出力トルクをウォームホイール34に伝達する。
〔カバー部材の構成・機能〕
続いて、本実施形態が適用されるカバー部材の構成および機能について詳しく説明する。
受け部の一例としてのカバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33の端部に対向するように設けられる。そして、カバー部材19は、少なくともアシスト側ピニオン軸33の端部を覆うように配置される。また、カバー部材19は、後述するように、アシスト側ピニオン軸33の保持が解除されてアシスト側ピニオン軸33が移動した場合に、アシスト側ピニオン軸33の端部の接触を弾性変形しながら受けて保持することができるように構成されている。
カバー部材19は、図4に示すように、断面が直線状となる平面部19Pと、断面がアシスト側ピニオン軸33側に向けて突出する曲面となるドーム形状部19Dを有している。なお、本実施形態が適用されるカバー部材19は、板状の母材をプレス加工することによって、平面部19Pおよびドーム形状部19Dを形成する。なお、本実施形態では、カバー部材19をプレス加工によって成形可能な形状に構成することで、カバー部材19の製造工程の簡素化および製造コストの抑制を図っている。
カバー部材19の厚みは、平面部19Pおよびドーム形状部19Dを含め、全体として一様に形成されている。そして、カバー部材19の厚みは、カバー部材19がアシスト側ピニオン軸33を受けた際に、弾性変形することができる程度の厚さに設定される。
また、カバー部材19の材料は、カバー部材19がアシスト側ピニオン軸33の接触を受けた際に、弾性変形可能なものを用いている。例えば、本実施形態のカバー部材19の材料には、ばね鋼、アルミ、鉄(鋼)などを用いることができる。
そして、平面部19Pは、図4に示すように、ねじ穴Hが形成される。そして、カバー部材19は、この平面部19Pのねじ穴Hに固定ボルト20が通されることで、第2ハウジング18に固定される。
また、ドーム形状部19Dは、軸方向からみた概形が円形状を有している。そして、ドーム形状部19Dは、中心がアシスト側ピニオン軸33の軸心と対向するように設けられる。
ドーム形状部19Dの曲面は以下のように設定している。ドーム形状部19Dは、後述するようにアシスト側ピニオン軸33の接触を受けて変位する。その際に、ドーム形状部19Dは、アシスト側ピニオン軸33の接触を受けて変位した状態においても、アシスト側ピニオン軸33の端部面の全体に接触しないように構成している。これによって、カバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33の端部面の面積よりも小さい接触面積によってアシスト側ピニオン軸33の端部と接触するようにしている。
そして、図3に示すように、カバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33の端部に対して定められた距離Lの隙間を形成する。この距離Lは、後述するようにアシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側に移動した場合に、ウォームギヤ32とウォームホイール34とが回転可能となる許容範囲内で設定される。
本実施形態のアシスト部Bにおいて、カバー部材19に対してアシスト側ピニオン軸33を予め常に接触するように構成すると、カバー部材19とアシスト側ピニオン軸33との間に生じる摩擦によってロストルクが発生し、操舵感覚を悪化させる可能性がある。そこで、本実施形態では、カバー部材19とアシスト側ピニオン軸33との間に隙間を設けることで操舵感覚の向上を図っている。
図5は、カバー部材19とアシスト側ピニオン軸33との隙間の距離を説明するための図である。
カバー部材19とアシスト側ピニオン軸33との間の隙間の距離Lは、以下のように設定している。
カバー部材19は、図5に示すように、ドーム形状部19Dにてアシスト側ピニオン軸33の端部の接触を受けて変形する。このときのアシスト側ピニオン軸33の軸方向におけるドーム形状部19Dの位置の変化量を変位量δLとする。
また、アシスト側ピニオン軸33に接続するウォームホイール34がウォームギヤ32に対して軸方向にずれた際に、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能に噛み合うことができる軸方向のずれの許容範囲の最大値を許容量Lmとする。
そして、本実施形態では、アシスト側ピニオン軸33が保持された状態において、ドーム形状部19Dとアシスト側ピニオン軸33と隙間の距離Lは、許容量Lmから変位量δLを差し引いた量よりも小さくなるように設定している(距離L<(許容量Lm−変位量δL))。このように設定することによって、アシスト側ピニオン軸33の軸方向における移動量(距離L+変位量δL)を、ウォームホイール34とウォームギヤ32(図3参照)とが回転可能に噛み合うことができる許容量Lmよりも小さくしている。
図6は、本実施形態のカバー部材19の作用を説明するための図である。
アシスト部Bにおいて、例えばロックナット36が破損するなどして、アシスト側ピニオン軸33の保持が解除される可能性がある。この場合、本実施形態では、図6に示すように、ロックナット36による第2ハウジング18に対するアシスト側ピニオン軸33の固定が解除される。そして、アシスト側ピニオン軸33は、アシスト側ギヤハウジング10Bにおいて移動可能な状態になる。このようにロックナット36が外れた状態にて、例えばラック軸24を介してアシスト側ピニオン軸33に大きな力がかかることで、アシスト側ピニオン軸33が移動しようする。
そして、本実施形態のアシスト部Bにおいて、アシスト側ピニオン軸33は、第1ハウジング17側に向けて移動しようとしても、サークリップCにより第2ハウジング18に固定される第2軸受33Kに突き当たることによって移動することができない。一方、アシスト側ピニオン軸33は、カバー部材19側に向けて移動しようとする際に、アシスト側ピニオン軸33の移動を妨げるものはない。
従って、本実施形態では、ロックナット36によるアシスト側ピニオン軸33の保持が解除された場合、アシスト側ピニオン軸33は、カバー部材19側に向けて移動することになる。
ここで、例えば従来技術のカバー部材では、アシスト側ピニオン軸33の接触を受けた際に、アシスト側ピニオン軸33を介して伝わる外力を全て受け止めることになる。その結果として、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材との間に生じる摩擦が過大になり、部材の一部が溶けて互いに溶着するカジリや焼付きが発生する可能性がある。このような場合、結果として、アシスト側ピニオン軸33が回転できなくなるおそれがある。
さらに、アシスト側ピニオン軸33が移動することで、アシスト側ピニオン軸33に固定されるウォームホイール34は、ウォームギヤ32に対する軸方向における相対位置がずれることになる。ここで、ウォームホイール34とウォームギヤ32とは、中心軸に対して歯が斜めに形成される斜歯歯車になっている。従って、ウォームホイール34とウォームギヤ32との相対位置が一定量以上ずれてしまうと、ウォームホイール34とウォームギヤ32とは回転し難くなる。その結果として、アシスト側ピニオン軸33が回転できなくなる可能性が高くなる。
これに対して、本実施形態のカバー部材19では、図6に示すように、保持が解除されて移動してくるアシスト側ピニオン軸33の端部の接触を受ける。このとき、本実施形態のカバー部材19は、弾性変形しながらアシスト側ピニオン軸33の接触を受ける。従って、本実施形態のカバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材19との間における面圧が一定以上に上昇することが抑制される。そして、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材19との間に生じうるカジリや焼付きが防止される。
また、本実施形態のカバー部材19のドーム形状部19Dは、アシスト側ピニオン軸33の端部に対して全面的ではなく部分的に接触する。そして、ドーム形状部19Dとアシスト側ピニオン軸33との接触面積は、アシスト側ピニオン軸33の端部面の面積よりも小さい。
ここで、例えば従来技術のカバー部材のように全てが平面形状になっているような場合、アシスト側ピニオン軸33の端部に対して全面的に接触する。この場合における接触面積は、アシスト側ピニオン軸33の端部の面積と等しくなる。
これに対して、本実施形態のカバー部材19は、例えば上述の従来技術と比較して、カバー部材19とアシスト側ピニオン軸33との接触面積が小さくなる。そのため、カバー部材19との間で生じる摩擦によって、アシスト側ピニオン軸33の回転が阻害され難くなっている。さらに、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材19との間に生じうるカジリや焼付きの発生が抑制される。
さらに、カバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33の端部との間に距離L(図3参照)の隙間を形成している。そして、カバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33の移動を一定量以下に抑える。この距離Lは、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能に噛み合うことができる許容量Lmに基づいて設定される(図5参照)。従って、ウォームホイール34とウォームギヤ32との相対位置のずれを、ウォームホイール34とウォームギヤ32回転可能な範囲に抑える。そして、カバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33を回転可能に維持する。
以上のように、本実施形態のアシスト部Bを有する電動パワーステアリング装置1では、アシスト側ピニオン軸33の保持が解除された場合であっても、アシスト側ピニオン軸33の回転が可能な状態が保たれる。そのため、アシスト側ピニオン軸33の保持が解除された場合であっても、例えばステアリングホイール(操舵部)を操作が可能な状態が維持され車体を移動させることができる。
図7は、変形例のカバー部材219を説明するための図である。
なお、以下の説明において上述した部材等と同様なものについては同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図7に示すように、変形例のカバー部材219は、断面が屈曲した形状を有する屈曲部219Fと、アシスト側ピニオン軸33が移動した際にアシスト側ピニオン軸33に接触して受ける接触部219Rとを有する。
屈曲部219Fは、本実施形態で蛇腹状に屈曲した部分である。本実施形態では、円環状の山部と谷部とによって構成される環状の段差部を同心円状に3つ連ねることで、屈曲部219Fを形成している。また、屈曲部219Fは、中心に向かうに従って次第にアシスト側ピニオン軸33に近づく形状を有している。そして、屈曲部219Fは、中心側において接触部219Rを保持する。すなわち、変形例のカバー部材219は、屈曲部219Fおよび接触部219Rがアシスト側ピニオン軸33側に向けて突出するように構成されている。
接触部219Rは、本実施形態では断面が直線状に形成された平面形状を有する領域である。また、接触部219Rは、円板形状を有する部材である。そして、接触部219Rは、図7に示すように、アシスト側ピニオン軸33の端部に対向する位置に設けられる。
また、接触部219Rの直径Dcは、アシスト側ピニオン軸33の端部面の直径Dpよりも小さくなるように形成される。これによって、変形例のカバー部材219は、例えばアシスト側ピニオン軸33の端部面の面積よりも小さい接触面積によって、アシスト側ピニオン軸33の端部と接触するように構成されている。
また、図5を参照しながら説明したカバー部材19と同様に、変形例のカバー部材219の接触部219Rとアシスト側ピニオン軸33の端部との間の隙間の距離Lを設定する。この距離Lは、アシスト側ピニオン軸33が移動して変形例のカバー部材219に接触した状態でも、ウォームギヤ32とウォームホイール34とが回転可能な状態が維持されるように設定される。
以上のように構成される変形例のカバー部材219では、接触部219Rにて力を受けた際に屈曲部219Fが変形することで、接触部219Rが軸方向に変位することができる。そして、変形例のカバー部材219は、アシスト側ピニオン軸33が移動した場合に、弾性変形しながらアシスト側ピニオン軸33の接触を受ける。従って、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材219との間における面圧が一定以上に上昇することが抑制される。
また、変形例のカバー部材219は、例えばアシスト側ピニオン軸33の端部に対して全面的に接触する場合と比較して、変形例のカバー部材219とアシスト側ピニオン軸33との接触面積が小さくなる。そのため、変形例のカバー部材219との間で生じる摩擦によって、アシスト側ピニオン軸33の回転が阻害され難くなっている。
以上のように、変形例のカバー部材219は、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材219との間に生じうるカジリや焼付きの発生を抑制する。
なお、本実施形態では、カバー部材19自体や変形例のカバー部材219自体の構造を弾性変形可能に構成することによって、アシスト側ピニオン軸33の接触を受けるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、カバー部材19とアシスト側ピニオン軸33との間に、弾性変形可能な別の部材を設け、その別の部材によってアシスト側ピニオン軸33の端部の接触を受けるように構成しても構わない。
ただし、本実施形態では、アシスト部Bにおいて、アシスト側ピニオン軸33の端部を覆う部材として必然的に設けられるカバー部材19自体を弾性変形可能に構成する。これによって、本実施形態では、カバー部材19は、本来のアシスト側ピニオン軸33を覆うというハウジング機能に加え、アシスト側ピニオン軸33の保持が解除された場合におけるアシスト側ピニオン軸33の回転を許容する機能との両方を実現することができる。このように、本実施形態では、カバー部材19という単一の部材により、部品点数を増加させることなく複数の機能を発揮するようにしている。
また、上述した本実施形態のアシスト部Bにおいては、カバー部材19は、アシスト側ピニオン軸33の端部に接触するように構成されるが、この態様に限定されるものではない。例えばカバー部材19に対して、アシスト側ピニオン軸33よりもウォームホイール34が突出するような構造の場合には、カバー部材19は、ウォームホイール34の接触を受けるように構成すれば良い。このように、アシスト側ピニオン軸33の端部として、アシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側の端、あるいはアシスト側ピニオン軸33の端に設けられるウォームホイール34の接触を受けるようにカバー部材19を設けることによって、アシスト側ピニオン軸33の回転を維持させることができる。
さらにまた、例えばアシスト側ピニオン軸33の保持が解除された場合に、アシスト側ピニオン軸33が、ラック軸24が設けられる側に向けて軸方向に移動するような構造が採用されることも考えられる。このような場合には、アシスト側ピニオン軸33のラック軸24が設けられる側の端部に対向するように、弾性変形しながらアシスト側ピニオン軸33の接触を受ける部材を配置すれば良い。
1…電動パワーステアリング装置、10…ギヤハウジング、19,219…カバー部材、19D…ドーム形状部、19P…平面部、23…ハンドル側ピニオン軸、24…ラック軸、32…ウォームギヤ、33…アシスト側ピニオン軸、34…ウォームホイール、A…伝達機構部、B…アシスト部

Claims (4)

  1. 操舵部の操舵に基づいて作動する駆動部の駆動力を受けて回転するウォームギヤと、
    前記ウォームギヤに接続して回転するウォームホイールと、
    前記ウォームホイールに接続するとともに、被操舵部に連結するラック軸に接続して、前記駆動部からの駆動力を当該ラック軸に付与するピニオン軸と、
    前記ピニオン軸の端部に対向して設けられ、当該ピニオン軸が軸方向に移動した際に、弾性変形しながら当該ピニオン軸の当該端部の接触を受ける受け部と、
    を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 前記受け部は、前記ピニオン軸の前記端部面の面積よりも小さい接触面積により当該ピニオン軸の当該端部と接触することを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。
  3. 前記受け部は、少なくとも前記ピニオン軸の一部を覆う板状の部材であって、前記ピニオン軸側に向けて突出する突出部を有し、当該ピニオン軸の接触を受けた際に当該突出部が変位することで弾性変形することを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーステアリング装置。
  4. 前記受け部は、前記ピニオン軸側に向けて突出する曲面形状を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のパワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP6592219B1 (ja) * 2019-01-30 2019-10-16 株式会社ショーワ ステアリング装置

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