JP2013223951A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性の低下を招くことなくブラシモーターの清掃を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】厚紙を搬送する際に、給紙モーターのコミュテーター外周面に堆積した被膜量が閾値を超える場合には、厚紙を通常速度で搬送するための通常電圧よりも高いクリーニング電圧を印加して、当該コミュテーターに堆積した被覆を絶縁破壊によりクリーニングする。高電圧を印加することにより進み過ぎた厚紙の搬送位置は、通常電圧よりも低い減速電圧を当該コミュテーターに印加して、搬送速度を減速することにより補正する。
【選択図】図7

Description

本発明は、画像形成装置に関し、特に、記録シートを搬送する搬送ローラーを駆動するブラシモーターのコミュテーター外周面に堆積したカーボン被膜を清掃する技術に関する。
画像形成装置においては、トナー画像を担持すべき記録シートを搬送するために搬送ローラーを備えており、搬送ローラーの回転駆動には、例えば、ブラシモーターを用いることができる。ブラシモーターにおいては、ローターと一体に回転するコミュテーターにブラシを当接させることによって、ブラシからコミュテーターへの給電がなされる。
ブラシモーターは、長期間に亘って使用すると、ブラシとコミュテーターとの間でスパーク放電が発生することによって、コミュテーター表面に黒鉛状の絶縁被膜(以下、「カーボン被膜」という。)が形成されることが知られている。このカーボン被膜はブラシからコミュテーターに給電する妨げとなるので清掃しなければならない。
このため、例えば、ディスク再生装置において、光ピックアップを移動させるブラシモーターのカーボン被膜に高電圧(例えば、24[V]以上の電圧。)を印加し、カーボン被膜を絶縁破壊することによって清掃する技術が提案されている(特許文献2を参照)。
この従来技術においては、ブラシモーターのローターにウォームギアーが取り付けられており、ローターの回転方向によってスラスト方向(ウォームギアーの軸方向)にブラシとコミュテーターとの間に位置ずれが発生する。このため、ローターの正回転時と逆回転時との双方においてクリーニングシーケンスが実行される。
特開昭59−136094号公報 特開2011−18392号公報
カーボン被膜を清掃するためにブラシからコミュテーターへ高電圧を印加するとローターの回転速度が速くなる。このため、上記の従来技術においては、ローターを正回転させる音声の再生動作中には清掃を行うことができないので、非再生時に清掃を行う。例えば、一旦終了した音楽をリピート再生する場合には、ローターを逆回転させて、光ピックアップをトラックの先頭位置まで移動させる。この場合に高電圧を印加すれば、逆回転によるクリーニングシーケンスを実行することができる。
しかしながら、上に合わせて正回転によるクリーニングシーケンスも実行しようとすると、光ピックアップをトラックの先頭位置と反対方向に移動させなければならないので、リピート再生の開始が遅れるという問題がある。
したがって、上記の従来技術を画像形成装置の搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターにそのまま適用すると記録シートの搬送が遅くなって、画像形成装置の生産性が低下する恐れがある。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターの清掃を、生産性の低下を招くことなく行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、記録シートを搬送する搬送ローラーと、前記搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターと、前記ブラシモーターの回転速度を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記搬送ローラーによる記録シートの搬送中に、前記ブラシモーターのコミュテーターの外周面上に堆積した被膜をクリーニング可能な電圧を、前記ブラシモーターを所定回転量だけ回転させる間、当該外周面に印加し、かつ、前記ブラシモーターを前記クリーニング時よりも低速で回転させることにより、前記記録シートの搬送距離を補正することを特徴とする。
このようにすれば、画像形成時に、画像形成動作を遅滞させることなく、ブラシモーターのコミュテーターの外周面をクリーニングすることができるので、画像形成装置の生産性を低下させることなく、ブラシモーターの清掃を行うことができる。
この場合において、前記被膜の堆積量を推計する堆積量推計手段と、推計された被膜堆積量が多いほど前記所定回転量が多くなるように前記所定回転量を決定する回転量決定手段と、を備えても良い。このようにすれば、被膜堆積量が多くても確実にカーボン被膜を清掃することができ、また、被膜堆積量が少ない場合にはカーボン被膜の清掃に要する時間を節約することができる。
具体的には、最後にクリーニングを行った後の、ブラシローラーの回転速度と累積回転時間とを記録する記録手段と、前記回転速度と前記累積回転時間とから前記所定回転量を決定する回転量決定手段と、を備えても良い。
また、前記被膜の堆積量を推計する堆積量推計手段と、推計された被膜堆積量が閾値未満である場合に、前記制御手段に前記クリーニング動作を禁止するクリーニング禁止手段と、を備えても良い。このようにすれば、コミュテーターの外周面上にカーボン被膜があまり堆積していない場合に、不要不急のクリーニングを防止することができる。
前記コミュテーターの周方向におけるクリーニング範囲の末尾位置を記録する末尾位置記録手段を備え、前記制御手段は、前記末尾位置記録手段にて記録された末尾位置をクリーニングに先立って参照し、当該クリーニングを当該末尾位置から開始しても良い。このようにすれば、同じ範囲ばかり繰り返してクリーニングしたり、逆に、クリーニング範囲から漏れ続けたりすることなく、コミュテーターの外周面をまんべんなくクリーニングすることができる。
記録シートの搬送経路上、前記搬送ローラーよりも下流に配設され、記録シートを搬送する下流側ローラーと、前記搬送ローラーと前記下流側ローラーとの間の記録シートの搬送距離と、前記搬送ローラーと前記下流側ローラーの搬送速度差と、前記所定回転量と、から算出される、前記クリーニング動作中の用紙撓みの高さが、所定の許容高さ未満となるように前記所定回転量を決定する回転量決定手段と、を備えても良い。このようにすれば、クリーニング動作に伴って、前記搬送ローラーと下流側ローラーとの搬送速度差により記録シートSの撓みが生じるような場合に、撓んだ記録シートSがガイド部材に衝突して騒音が発生するのを防止することができる。
トナー像を担持する中間転写体から記録シート上の所定位置に前記トナー像を転写させるタイミングを調節して、記録シートを搬送するタイミングローラーと、記録シートの搬送経路上、前記タイミングローラーよりも上流側に配設された複数の前記搬送ローラーと、を備え、前記制御手段は、当該複数の搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターにて前記記録シートの搬送距離を補正しても良い。このようにすれば、記録シートの搬送経路におけるタイミングローラーの手前で待機している記録シートに後続の記録シートが衝突したり、干渉したりするのを防止することができる。
この場合において、前記搬送量の補正は、クリーニング動作を行った搬送ローラーが行っても良いし、前記複数の搬送ローラー間で補正量を適当に配分しても良い。
また、記録シートの搬送経路上に、前記搬送ローラーを複数有しており、前記制御手段は、1枚の記録シートが同時に複数の搬送ローラーに搬送されている場合には、当該記録シートを搬送する搬送ローラーを回転駆動するすべてのブラシモーターにおいて同時にクリーニング動作を行っても良い。
例えば、記録シートの搬送経路において下流側の搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターをクリーニングする場合であって、同じ記録シートに同時に噛み込んでいる上流側の搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターのクリーニングを行わない場合には、上流側の搬送ローラーの搬送速度が下流側の搬送ローラーの搬送速度よりも遅くなる。
これに起因して、同じ記録シートに噛み込んでいる下流側の搬送ローターの回転が規制されて遅くなり、当該ブラシモーターのコミュテーター外周面の所望のクリーニング範囲よりも狭い範囲しかクリーニングできなくなるといった問題を、上流側の搬送ローラーの搬送速度を下流側に揃えることによって、解消することができる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。 画像形成装置1の搬送系の主要な構成を示す模式図である。 画像形成装置1が備える制御基板200の主要な構成を示すブロック図である。 搬送系で用いられるブラシモーターを駆動する回路と、PWM信号の波形を示す図である。 コミュテーターのカーボン被膜除去に関する制御基板200の動作を示すフローチャートである。 ブラシモーター211のコミュテーターに形成されたカーボン被膜の被膜量指数が閾値以下である場合の記録シートの動作線図である。 クリーニング時における記録シートの動作を例示する図である。 本発明の変形例に係るクリーニング処理を示すフローチャートである。 本発明の変形例に係る記録シートの搬送動作を示す図である。 本発明の変形例に係る上流側モーターのコミュテーターへの印加電圧を制御する処理を示すフローチャートである。 搬送経路における上下流の搬送ローラー間の回転速度差によって撓んだ記録シートを例示する断面図である。 本発明の変形例に係る記録シートの搬送動作を示す図である。 本発明の変形例に係る減速時間の配分処理を示すフローチャートである。 本発明の変形例に係るブラシモーターのコミュテーターへの印加電圧を制御する処理を示すフローチャートである。 本発明の変形例に係る記録シートの搬送動作を例示する図である。 本発明の変形例に係るクリーニング処理を示すフローチャートである。 本発明の変形例に係るクリーニング条件決定処理を示すフローチャートである。 本発明の変形例に係る記録シートの搬送動作を例示する図である。
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1] 画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置は、いわゆるプリンタ装置であって、他の装置から印刷データを含む印刷指示を受け付けて画像を形成する。また、本実施の形態に係る画像形成装置は、普通紙と厚紙(コート紙を含む。)との双方に画像を形成する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。画像形成装置1は、いわゆる中間転写方式のカラー画像形成装置であって、図1に示されるように、作像ユニット101Y〜101Kを備えている。作像ユニット101Y〜101Kは何れも同様の構成を備えており、円筒形状の感光体ドラム102の外周面を所定の電位となるように帯電装置103にて一様に帯電させた後、その帯電領域に露光装置104によって原稿画像に応じた画像露光が施され、静電潜像が形成される。
現像装置105は、トナーカートリッジ108Y〜108Kから供給されたYMCK各色のトナーを、現像バイアスを印加された現像ローラー105aによって感光体ドラム102の外周面上に供給して静電潜像を現像し、可視トナー像とする。1次転写ローラー106Y〜106Kには1次転写電圧が印加されており、トナーを静電吸着することによって、感光体ドラム102の外周面上から中間転写ベルト110上へ可視トナー像を1次転写する。
YMCK各色のトナー像が中間転写ベルト110上に重ねあわされることによってカラーのトナー像が形成される。また、中間転写ベルト110上へ可視トナー像を1次転写した後に、感光体ドラム102の外周面に残留するトナーは清掃装置107によって除去される。
中間転写ベルト110は、2次転写対向ローラー111と従動ローラー112とに張架されており、メインモーターによって回転駆動された2次転写対向ローラー111に従動回転することによって矢印A方向に回転走行しながら、YMCK各色のトナー像を順次、1次転写される。従動ローラー112は、回転走行する中間転写ベルト110との間の摩擦力によって従動回転する。
上と並行して、記録シートSを収容した給紙カセット120においては、ピックアップローラー121またはピックアップローラー122によって記録シートSが1枚ずつ送り出され、ピックアップローラー122によって送り出された記録シートSは更に搬送ローラー対123によって搬送される。なお、図1において、給紙カセット120は2種類の記録シートSを収容し得る構成が例示されているが、3種類以上の記録シートSを収容する構成としても良い。
給紙カセット120から搬出された記録シートSは、搬送ローラー対114とタイミングローラー対116とを経由し、2次転写対向ローラー111と2次転写ローラー113とが圧接することによって形成される2次転写ニップへと搬送される。2次転写ローラー113には2次転写バイアスが印加されており、2次転写ニップにおいて、中間転写ベルト110上に担持されるトナー像が記録シートS上に静電転写される。
なお、タイミングローラー対116は、タイミングクラッチ(図示省略)がオンオフされることによって、中間転写ベルト110上に担持されたトナー像が記録シートS上の所望の位置に転写されるように、記録シートSを搬送するタイミングを調節する。また、ピックアップローラー121からタイミングローラー対116に至る記録シートSの搬送経路上にはタイミング前センサー115が配設されており、記録シートSの通過を検出する。
トナー像を担持する記録シートSは、定着ループセンサー117によって通過を検出された後、抵抗発熱体方式の定着装置100へ搬送され、トナー像を熱定着される。その後、記録シートSは、排紙センサー118によって定着装置100から排出されたのを検出され、排紙ローラー130によって排紙トレイ131上に排出される。一方、2次転写後に中間転写ベルト110上に残留するトナーは矢印A方向に搬送された後、清掃装置109によって除去される。
なお、厚紙にトナー像を熱定着する場合には、厚紙は普通紙よりも熱容量が大きいので、普通紙よりも熱定着に時間がかかる。このため、厚紙を用いる際には普通紙を用いる場合よりもシステム速度(単位時間当たりの画像形成枚数)を低くして、画像形成を実行する。また、画像形成装置は図示しない通信装置を備えており、通信ネットワークを経由して他の装置から印刷指示を受け付ける。
[2] 搬送系の構成
次に、記録シートSを給紙カセット120から排紙トレイ131まで搬送する搬送系のうち、給紙カセット120からタイミングローラー対116に至るまでの構成について説明する。
図2は、搬送系の構成を示す模式図である。図2に示されるように、給紙カセット120に収容された記録シートSはピックアップローラー201によって1枚ずつ矢印B方向に繰り出され、給紙ローラー121と捌きローラー202とによって搬送経路へ搬送される。なお、給紙ローラー121、ピックアップローラー201及び捌きローラー202は、ブラシモーター(以下、「給紙モーター」という。)211に回転駆動される。
その後、記録シートSは、搬送センサー203によって、シート先端を検出された後、続いて搬送ローラー対114によって更に搬送される。搬送ローラー対114はブラシモーター(以下、「搬送モーター」という。)212によって回転駆動される。記録シートSのシート先端が搬送センサー203によって検出されてから所定時間が経過したら、当該シート先端が給紙モーター211の駆動停止位置に到達したと判断されるので、給紙モーター211を停止して、給紙ローラー121、ピックアップローラー201及び捌きローラー202の回転駆動を停止する。
次に、記録シートSはタイミングセンサー115にシート先端を検出された後、タイミングローラー対116にシート先端を突き当てる。タイミングローラー対116はブラシモーター(以下、「タイミングモーター」という。)213に回転駆動されており、中間転写ベルト110に担持されたトナー画像の2時転写タイミングに合わせて記録シートSを搬送する。
なお、給紙モーター211、搬送モーター212及びタイミングモーター213は何れも制御基板200に回転動作を制御される。また、搬送センサー203並びにタイミングセンサー115の検出信号は制御基板200に入力される。
[3] 制御基板200の構成
次に、制御基板200の構成について説明する。
図3は、制御基板200の主要な構成を示すブロック図である。図3に示されるように、制御基板200はCPU(Central Processing Unit)300を備えている。CPU300は、電源投入時などにおいてリセットされると、ROM(Read Only Memory)301から制御プログラムを読み出し、RAM(Random Access Memory)302を作業用記憶領域として、制御プログラムを実行する。なお、制御基板200は不揮発性の半導体メモリを備えていても良い。
また、CPU300は、制御プログラムの実行に必要なデータをデータ記憶部(HDD: Hard Disk Drive)304から読み出したり、データ記憶部304に記録したりする。更に、CPU300は、NIC(Network Interface card)303を備えており、通信ネットワークを介して他の装置とデータの送受信を行う。これによって、CPU300は他の装置から印刷データを含む印刷指示を受信する。
制御基板200には、ブラシモーターを駆動するドライバーIC(Integrated Circuit)311〜313が搭載されている。ドライバーIC311〜313は、CPU300から回転方向信号とPWM(Pulse Width Modulation)信号との入力を受けて、それぞれ給紙モーター211、搬送モーター212及びタイミングモーター213を回転駆動する。図4は、(1)ブラシモーターを駆動する回路と、(2)PWM信号の波形を示す図である。図4(1)に示されるように、ブラシモーター400の駆動回路は4つのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)401〜404を備えている。
4つのMOSFETのうち、MOSFET401、404をオンさせると共に、MOSFET402、403をオフさせて図中の実線矢印方向にPWM信号を流すと、ブラシモーター400を正転(本実施の形態においては、記録シートSの搬送方向への回転。)させることができる。また、MOSFET401、404をオフさせると共に、MOSFET402、403をオンさせて図中の破線矢印方向にPWM信号を流すと、ブラシモーター400を逆転(正転とは反対向きの回転。)させることができる。
ブラシモーター400の回転速度はPWM信号のデューティ比を変化させることによって制御される。正転時にオンデューティ(本実施の形態においては、PWM信号の電圧値が24[V]となるデューティ比。)を小さくすると、ブラシモーター400に印加される平均電圧が低くなって、ブラシモーター400の回転速度が低くなる(図4(2)の(a))。一方、オンデューティを大きくすると、回転速度を高くすることができる(図4(2)の(b))。なお、本実施の形態におけるPWM信号のオフ電圧は0[V]である。
逆転時にもブラシモーター400の回転速度はデューティ比によって制御される。すなわち、PWM信号が24[V]となるオンデューティが大きければ、回転速度は高くなり、オンデューティが小さければ、回転速度は低くなる(図4(2)の(c))。このように、CPU300は、ブラシモーター400の回転方向を指示する回転方向信号をドライバーIC311〜313に入力することによって、MOSFET401〜404のオンオフを制御する。また、CPU300は、PWM信号をドライバーIC311〜131に入力することによって、ブラシモーター400に印加される平均電圧を制御して、回転速度を制御する。
上述のように、普通紙に画像を形成する場合と、厚紙に画像を形成する場合とでは、システム速度が異なる。このため、記録シートSの種類に応じてブラシモーター400の回転速度が制御される。すなわち、普通紙に画像形成する場合には、システム速度を早くするためにオンデューティが大きく、平均電圧が高くなるように、また、厚紙に画像形成する場合には、システム速度を遅くするためにオンデューティが小さく、平均電圧が低くなるように、CPU300はPWM信号を出力する。
[4] 制御基板200の制御動作
次に、制御基板200の制御動作について、特に、給紙モーター211のコミュテーターの外周面上に形成されたカーボン被膜を除去する制御動作に着目して説明する。なお、給紙モーター211以外の搬送モーター212やタイミングモーター213、或いは図1〜2に図示されていないブラシモーター等についても、制御基板200は同様の制御動作を実行する。
上述のように、普通紙に画像形成する際にはブラシモーター400のコミュテーターに印加される平均電圧が高くなるので、コミュテーターの外周面にカーボン被膜が形成されても直ちに絶縁破壊により除去され、導通が確保される。一方、厚紙に画像形成する際にはブラシモーター400のコミュテーターに印加される平均電圧が低くなるので、絶縁破壊が起こらず、コミュテーターの外周面に形成されたカーボン被膜はそのままでは除去されない。特に、ブラシモーター400の定格回転速度(本実施の形態においては、毎分2500回転から3200回転。)よりも低い回転速度となる場合には、カーボン被膜が形成される傾向が高い。このため、制御基板200は厚紙に画像形成する際には、以下のようにして清掃を実行する。
図5は、コミュテーターのカーボン被膜除去に関する制御基板200の動作を示すフローチャートである。図5に示されるように、CPU300は、NIC303を用いて通信ネットワークを介した印刷指示を受信すると(S501:YES)、当該印刷指示において指定された記録シートの種類に合わせた電圧(以下、「通常電圧」という。)を印加して、給紙モーター211を始動する(S502)。そして、指定された記録シートの種類が厚紙である場合には(S503:YES)、給紙モーター211のコミュテーターの外周面上に形成されたカーボン被膜の量を指標する被膜量指数を求める(S504)。
本実施の形態において、厚紙とは坪量が91[g/m2]以上である記録シートをいい、普通紙とは坪量が90[g/m2]以下である記録シートをいう。給紙モーター211その他のブラシモーターは、厚紙を搬送する際にはモーター回転速度が800[min-1]となるように駆動制御され、普通紙を搬送する際にはモーター回転速度が3200[min-1]となるように駆動制御される。
また、ブラシモーターのコミュテーターの外周面上に形成されたカーボン被膜の量は、モーター回転速度とモーター回転時間との積に概ね比例する。このため、本実施の形態においては、モーター回転速度とモーター回転時間とを乗算することによって被膜量指数を求める。なお、ここでモーター回転時間とは、最後にカーボン被膜の除去を行ってから起算したモーター回転時間である。
ステップS504で求めた被膜量指数が所定の閾値よりも多い場合には(S505:YES)、カーボン被膜を除去するのに要する時間(以下、「クリーニング時間」という。)を算出する(S506)。本実施の形態においてはコミュテーターに印加する平均電圧を高くして、絶縁破壊を発生させることによってカーボン被膜を除去する。本実施の形態においては、絶縁破壊を発生させる平均電圧として、普通紙を搬送する場合の通常電圧(以下、「普通紙電圧」という。)を用いる。クリーニング時間は、普通紙電圧を印加してカーボン被膜を除去するのに要した時間を実験により測定しておき、この測定結果から得られたテーブルを参照することによって、ステップS506でクリーニング時間を決定する。
次に、CPU300は、PWM信号のデューティ比を変更して、厚紙を搬送する場合の通常電圧(以下、「厚紙電圧」という。)よりも高いクリーニング電圧(普通紙電圧)をコミュテーターに印加する(S507)。そして、クリーニング電圧の印加を開始してからクリーニング時間を経過したら(S508:YES)、CPU300は、PWM信号のデューティ比を変更して、コミュテーターに電圧を印加するのを一旦停止する(S509)。
クリーニング電圧は厚紙電圧よりも高いので、コミュテーターに厚紙電圧を印加した場合よりも記録シートSの搬送速度が速くなる。このため、記録シート(厚紙)Sが搬送経路を進み過ぎてしまうので、記録シートSの搬送位置を補正するために、CPU300は、記録シートSの搬送速度を減速する。このため、CPU300は、まず、記録シートSを減速する時間(以下、「減速時間」という。)を算出する(S510)。減速時間は、クリーニング電圧印加時の搬送速度とクリーニング時間とから算出される記録シートSの進み量[mm]と、所与の減速電圧とから算出される。
具体的には、減速時間TLは、次式で与えられる。
Figure 2013223951
ただし、VOは厚紙電圧を印加したときの搬送速度(以下、「厚紙搬送速度」という。)、VHはクリーニング電圧を印加したときの搬送速度、VLは減速時の搬送速度であり、THはクリーニング時間である。
次に、CPU300はPWM信号を制御して、給紙モーター211に減速電圧を印加し(S511)、S510で算出した減速時間が経過したら(S512:YES)、再び厚紙電圧を印加する(S513)。これによって、搬送経路における記録シートSの進み過ぎが補正される。なお、印刷指示に係る記録シートの種類が普通紙である場合には(S503:NO)、通常電圧としての普通紙電圧を印加し(S513)、印刷指示に係る記録シートの種類が厚紙であっても、被膜量指数が閾値以下である場合には(S505:NO)、通常電圧としての厚紙電圧を印加する(S513)。
その後、搬送センサー203が記録シートSのシート先端を検出したら(S514:YES)、タイマーをセットして、駆動停止時間が経過したら(S515:YES)、当該シート先端が給紙モーター211の駆動停止位置に到達したと判断されるので、コミュテーターへの電圧印加を停止する(S516)。これによって、給紙モーター211が停止され、給紙ローラー121、ピックアップローラー201及び捌きローラー202の回転駆動が停止されて、処理が終了する。
[5] 制御基板200の動作例
次に、厚紙を搬送する場合の制御基板200の典型的な動作例を給紙モーター211について示す。
(a) 通常時の動作例
まず、コミュテーターに堆積する被膜量が少ない場合である通常時の動作例について説明する。
図6は、給電モーター211のコミュテーターに形成されたカーボン被膜の被膜量指数が閾値以下である場合の記録シート(厚紙)Sの動作を例示する図である。図6において、縦軸は記録シートSの搬送経路上の位置を表しており、下方が搬送経路上の上流側になっており、上方が下流側になっている。横軸は時間を表す。また、図中、実線は1枚目の記録シートSの先端位置を表し、破線は1枚目の記録シートSに引き続いて搬送される2枚目の記録シートSの先端位置を表している。
図6に示されるように、被膜量指数が閾値以下である場合には、給紙モーター211に厚紙電圧が印加され、記録シートSは厚紙搬送速度で搬送される。そして、記録シートSの先端が搬送センサー203によって検出されると、所定時間後に給紙モーター211の回転が停止される。この所定時間とは、記録シートSの先端が搬送センサー203に検出されてから、給紙モーター211の駆動停止位置に達するのに要する時間である。その後、給紙モーター211は、2枚目の記録シートSを搬送するタイミングになったら再び駆動され、1枚目の記録シートSを搬送する場合と同様に駆動停止される。
なお、普通紙を搬送する場合にも、記録シートSの先端位置の推移は図6に示された動作と概ね同様であるが、厚紙よりも搬送速度が速いので、グラフの傾斜が図6よりもきつくなる点が異なる。
(b) クリーニング時の動作例
次に、コミュテーターに堆積したカーボン被膜をクリーニングする際の動作例について説明する。
図7は、クリーニング時における記録シートSの先端位置の推移を例示する図である。図6と同様に、縦軸は、記録シートSの先端位置を表し、横軸は時間を表す。また、実線は1枚目の記録シートSの先端位置を表し、破線は2枚目の記録シートSの先端位置を表している。図7に示されるように、被膜量が閾値を超える場合には、クリーニング電圧を印加して、コミュテーターに堆積した被覆を絶縁破壊する。
クリーニング電圧は厚紙電圧よりも高いので、搬送速度も速くなる。このため、記録シートSの先端位置が進み過ぎてしまうので、次に、厚紙電圧よりも低い電圧(減速電圧)を印加して、記録シートSの搬送速度を遅くする。これによって、記録シートSの先端位置が補正される。先端位置が補正された後は、厚紙電圧をコミュテーターに印加することにより、厚紙搬送速度にて記録シートSが搬送される。
図7においては、1枚目の記録シートSの搬送時においてカーボン被膜のクリーニングが完了する場合が示されており、2枚目以降の記録シートSを搬送する場合については、カーボン被膜のクリーニングは行わずに通常通りのシート搬送が行われる。
[6] 変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1) 上記実施の形態においては、ブラシモーターを構成するコミュテーターの外周面上に堆積した被膜量に応じて決定されるクリーニング時間の間だけクリーニング電圧を印加する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、コミュテーターの外周面をまんべんなくクリーニングするために次のようにしても良い。
上の目的を達成するために、本変形例に係るブラシモーターには分解能が128のアブソリュート・エンコーダーが取着されている。このアブソリュート・エンコーダーによってブラシモーターの回転角度が検出され、コミュテーターの外周面が回転角度ごとに順次クリーニングされる。
図8は、本変形例に係るクリーニング処理を示すフローチャートである。なお、図8に示したステップのうち、図5に対応するステップがあるステップには同じ符号が付されている。図5と同じ符号を付したステップについては上述の図5の説明を参照されたい。
さて、図8に示されるように、被膜量指数が閾値を超えた場合には(S505:YES)、クリーニング範囲を算出する(S801)。クリーニング範囲は、コミュテーターを回転軸に垂直な断面でみたときに円弧状のクリーニング範囲の中心角の大きさと、先端位置とによって規定される。また、クリーニング範囲の中心角の大きさは、上記実施の形態において説明したクリーニング時間とブラシモーターの回転速度から算出される。
先端位置は、アブソリュート・エンコーダーの分解能に対応する0から127までの数字によって表され、不揮発性メモリに記録される。また、中心角の大きさもアブソリュート・エンコーダーの出力数によって表される。例えば、先端位置が0で、中心角が31(=90度)である場合には、アブソリュート・エンコーダーの出力数で0から31までの範囲がクリーニングされる。なお、先頭位置を不揮発性メモリに記録するのは、主電源が遮断され、再投入された後に、記録しておいた先頭位置から引き続いてカーボン被膜のクリーニングを行うためである。
その後、アブソリュート・エンコーダーが検出した回転角度を参照して(S802)、先端位置になったら(S803:YES)、コミュテーターにクリーニング電圧を印加する(S804)。そして、更にアブソリュート・エンコーダーが検出した回転角度を参照して(S805)、クリーニング時間に対応する中心角度だけコミュテーターが回転して、クリーニング範囲の末尾になったら(S806:YES)、電圧印加を一旦停止する(S509)。その後、クリーニング範囲の先端位置を更新して(S807)、ステップS510以後の減速処理を実行する。
なお、クリーニング範囲の先端位置の更新は、クリーニング範囲の元の先端位置に中心角を加算したものを不揮発性メモリに記憶させることによって行われる。例えば、元の先端位置が0で、中心角が31のクリーニング範囲のカーボン被膜をクリーニングした場合には、次の先端位置として32(=31+1)を不揮発性メモリに記憶させる。
図9は、本変形例に係る記録シートSの搬送動作を示す図である。図9に示された3つのグラフは上から順に、記録シートSの先端位置、搬送ローラーの回転速度及び印加電圧の時間推移を表している。図9に示されるように、1枚目の記録シートSを搬送する際には、被膜量指数に応じて先端位置0から31までの範囲がクリーニングされる。また、2枚目の記録シートSを搬送する際には、被膜量指数に応じて先端位置32から63までの範囲がクリーニングされる。この場合において、アブソリュート・エンコーダーの出力数が先端位置になるまでクリーニングの開始を待たなければならないので、1枚目の記録シートSを搬送する場合と2枚目の記録シートSを搬送する場合とで、クリーニングを開始するタイミング(シート先端位置)が相違している。
以上のようにすれば、先端位置を順次進めてゆくことによって、コミュテーターの外周面をまんべんなくクリーニングすることができるので、コミュテーターの外周面に堆積したカーボン被膜を効率よく、かつ確実に除去することができる。
なお、コミュテーターの外周面を周方向に沿って複数の領域に分割しておき、コミュテーターの外周面に堆積したカーボン被膜の堆積量の如何にかかわらず、前記の領域ごとに被膜量指数が閾値を超えた場合には、記録シートSを1枚搬送するごとに被膜量指数が閾値を超えた領域を1つだけ清掃してゆくことにしても良い。このようにしても、コミュテーターの外周面に堆積したカーボン被膜をまんべんなくクリーニングすることができる。
(2) 上記実施の形態においては、1枚目の記録シートSを搬送する間に給紙モーター211のクリーニングを完了する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、複数枚の記録シートSを搬送する間に亘ってブラシモーターのクリーニングを行っても良い。
例えば、記録シートSの搬送経路上、上流側の搬送ローラー(以下、「上流側ローラー」という。)を回転駆動するブラシモーター(以下、「上流側モーター」という。)のコミュテーターにはクリーニングを要する程度にカーボン被膜が堆積している一方で、下流側の搬送ローラー(以下、「下流側ローラー」という。)を回転駆動するブラシモーター(以下、「下流側モーター」という。)のコミュテーターに堆積したカーボン被膜は未だクリーニングを要するほどではない場合がある。
そのような場合に、上流側モーターだけでクリーニングを実行すると、下流側ローラーよりも上流側ローラーの方が、搬送速度が速くなるので、上流側ローラーから下流側ローラーに至る搬送経路上で記録シートSの撓みが発生する。この撓みが大きくなり過ぎると、記録シートSを導くガイド部材に記録シートSが衝突して騒音が生じる。このような騒音の発生を回避するために、例えば、以下のようにしても良い。
図10は、上流側モーターのコミュテーターへの印加電圧を制御する処理を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートにおいて対応するステップがあるステップについては、図5と同じ符号が付されている。また、図5における給紙モーターは上流側モーターと読み替えた。図10に示されるように、上流側モーターのコミュテーターに付着した被膜量を指標する被膜量指数が閾値を超えた場合には(S505:YES)、クリーニング時間を算出する(S506)。
算出したクリーニング時間が上限時間を超える場合には(S1001:YES)、改めて当該上限時間をクリーニング時間とする(S1002)。なお、上限時間とは、記録シートSが撓んでいない状態から、撓んでガイド部材に衝突するまでに要する時間であり、次のようにして算出される。
まず、記録シートSの撓み量L、上流側ローラーの搬送速度と下流側ローラーの搬送速度Vdとの差、上流側ローラーのクリーニング時間Tc及び上流側ローラーから下流側ローラーまでの距離Drには次のような関係が成り立つ。
Figure 2013223951
図11は、上下流の搬送ローラー間の回転速度差によって撓んだ記録シートSを例示する断面図である。図11に示されるように、記録シート1111は、上流側ローラー1101と下流側ローラー1102との両方に噛み込んで、搬送されている。また、上流側ローラー1101は、クリーニングのために下流側ローラー1102よりも速く回転しており、このため記録シート1111は撓んでいる。図11に示されるように、記録シート1111の撓み量Lは、撓んでいない状態における記録シートの搬送経路1110から、撓んだ状態において搬送経路から最も離れた記録シート1111の部分までの距離によって表される。
記録シート1111は、ガイド部材1103に沿って搬送されるところ、記録シート1111の撓み量Lが大きくなると、記録シート1111がガイド部材1103に衝突して騒音が発生する。このため、記録シート1111の撓み量Lは、撓んでいない状態における記録シートの搬送経路1101からガイド部材1103までの距離Lgよりも小さくなるように搬送制御しなければならない。
この場合において、上流側ローラー1101や下流側ローラー1102と記録シート1111との間のスリップや、上流側ローラー1101や下流側ローラー1102のローラー径の寸法精度(摩耗による寸法変化も含む。)等によっても、記録シート1111の撓み量Lが影響を受ける可能性がある。このような事情を考慮すれば、寸法精度等を勘案したマージンを含めて、距離Lgよりも小さい距離Lmを、記録シート1111をガイド部材1103に衝突させない撓み量の閾値として、記録シート1111の搬送制御を行うべきである。
記録シート1111がガイド部材1103に衝突しない撓み量の閾値Lmは、撓んでいない状態における記録シート1111の搬送経路1110からガイド部材1103までの距離Lgと、上流側ローラー1101や下流側ローラー1102と記録シート1111のスリップ率やローラー径のばらつきを考慮した補正係数cとを用いて次のように表される。
Figure 2013223951
以上の関係式から、クリーニング時間の上限時間Tmは、次式により算出される。
Figure 2013223951
その後、クリーニング電圧を印加して(S507)、クリーニング時間を経過したら(S508:YES)、電圧印加を一旦停止して(S509)、減速時間を算出し(S510)、減速電圧を印加する(S511)。
その後、減速電圧の印加を開始してから減速時間を経過したら(S512:YES)、ステップS504に進んで、クリーニング後にコミュテーターに残留するカーボン被膜の被膜量指数を求める(S504)。この被膜量指数は、前回求めた被膜量からクリーニングによって除去された被膜量を差し引いた被膜量として求めることができる。残留被膜の被膜量指数が閾値を超える場合には(S505:YES)、上述のようにステップS506以降の処理を繰り返す。
残留被膜の被膜量指数が閾値以下である場合には(S505:NO)ステップS513に進んで、厚紙の通常速度による記録シートSの搬送を行った後、駆動停止時間を経過したら(S515:YES)、コミュテーターへの電圧印加を停止して(S516)、処理を終了する。
図12は、本変形例に係る記録シートSの搬送動作を示す図である。図12に示された6つのグラフは上から順に、記録シートSの先端位置、搬送ローラー毎の回転速度、印加電圧及び記録シートSの撓み量の時間推移を表している。このため、グラフの横軸は何れも時間を表している。上流側モーターではクリーニングを行う一方、下流側モーターではクリーニングを行わないので、図12に示されるように、下流側モーターは一定速度で回転するが、上流側モーターは印加電圧が制御され、回転速度が変化する。
この印加電圧の制御は、上流側ローラーと下流側ローラーとの間の回転速度差に起因して発生する記録シートSの撓み量Lが閾値Lmを超えないように行われる。すなわち、記録シートSの撓み量Lが閾値Lmを超えないようにクリーニング時間を決定してクリーニングを開始し、当該クリーニング時間になったら記録シートSの搬送位置を補正する。この補正は厚紙の通常の搬送速度よりも減速して記録シートSを搬送することによって行われるので、下流側ローラーが上流側ローラーよりも速く回転して、記録シートSの撓みも解消される(撓み量のグラフを参照)。
その後、上流側モーターのコミュテーターにカーボン被膜が堆積しており、クリーニングを行う必要がある場合には、再び、記録シートSの撓み量Lが閾値Lmを超えないようにクリーニング時間を決定してクリーニングを行う。撓み量のグラフに示されるように、2回目のクリーニングによって、再び記録シートSの撓み量Lは増加するが、閾値Lmに達する前にクリーニング時間が終了して、記録シートSがガイド部材に衝突する事態が回避される。
その後、更に記録シートSの搬送位置が補正されることによって記録シートSの撓みも解消され、撓み量Lは0になる。図12に示される動作例においては、2回目のクリーニングによってカーボン被膜が十分に除去されており、3回目のクリーニングは行われない。
このようにすれば、上流側モーターのコミュテーターに堆積したカーボン被膜をクリーニングする際に、記録シートSがガイド部材に衝突して生じる騒音を防止することができる。また、記録シートSがガイド部材に衝突した後、更に、折れたり詰まったりすることも防止することができる。
(3) 上記実施の形態においては、クリーニングを行ったブラシモーターと同一のブラシモーターの回転速度を減速することによって記録シートSの搬送位置を補正する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、これに代えて、クリーニングを行ったブラシモーターとは別のブラシモーターの回転速度を減速することによって記録シートSの搬送位置を補正しても良い。
このため、本変形例においては、画像形成装置1が印刷指示を受けるたびに、複数のブラシモーターに亘って減速時間の配分を行う。図13は、減速時間の配分処理を示すフローチャートである。図13に示されるように、まず、クリーニング時間の合計を格納する変数Tcの値を0に初期化し(S1301)、ステップS1302からステップS1309までのループ処理をブラシモーターの個数N分だけ繰り返す。
このループ処理において、記録シートSの搬送経路上における最上流の搬送ローラーから順に下流に向かって配設された搬送ローラーをそれぞれ駆動するブラシモーターに、順に1からNまでの番号が付与されており、変数Aはブラシモーターの番号を格納する。また、ステップS1302からステップS1309までのループ処理において、変数Aの値は1からNまで1ずつ増加される。
すなわち、A番目のブラシモーターについて被膜量指数を求め(S1303)、求めた被膜量指数が閾値を超える場合には(S1304:YES)、A番目のブラシモーターのクリーニング時間Taを算出して(S1305)、クリーニング時間の合計Tcにクリーニング時間Taを加算する(S1306)。また、被膜量指数が閾値以下である場合には(S1304:NO)、A番目のブラシモーターのクリーニング時間Taを0にする(S1307)。
ステップS1306及びステップS1307の処理の後、A番目のブラシモーターのクリーニング時間Taを記憶する(S1308)。以上の処理をブラシモーターの個数分繰り返した後、クリーニング時間の合計Tcから減速時間の合計Tdを算出する(S1310)。次に、ステップS1311からステップS1318までのループ処理を、ブラシモーターの番号を格納する変数Aの値をNから1まで1ずつ減算しながら、ブラシモーターの個数N分だけ繰り返す。
すなわち、A番目のブラシモーターの減速可能時間Tpを算出する(S1312)。ここで、A番目のブラシモーターの減速可能時間Tpとは、A番目のブラシモーターが当該記録シートSを搬送する時間から、ステップS1305で算出したクリーニング時間Taを差し引いた時間である。算出した減速可能時間Tpが減速時間の合計Tdよりも小さい場合には(S1313:YES)、合計時間Tdから減速可能時間Tpを差し引いた値を新たに合計時間Tdとする(S1314)。
また、減速可能時間Tpが減速時間の合計Td以上である場合には(S1313:NO)、合計時間Tdの値を新たに減速可能時間Tpの値とし(S1315)、更に、合計時間Tdの値を0にする(S1316)。ステップS1314及びステップS1316の処理の後、減速可能時間Tpの値をA番目のブラシモーターの減速時間として記憶する(S1317)。その後、ループ処理を終了したら、全処理を終了する。なお、合計時間Tdが0になったら、変数Aの値が1になっていなくても、当該ループ処理を終了しても良い。
図14は、ブラシモーターのコミュテーターへの印加電圧を制御する処理を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートにおいて対応するステップがあるステップについては、図5と同じ符号が付されている。また、図5における給紙モーターはブラシモーターと読み替えた。図14に示されるように、印刷指示に係る記録シートSの種類が厚紙である場合には(S503:YES)、当該ブラシモーターのクリーニング時間を読み出す(S1401)。
そして、読み出したクリーニング時間だけクリーニング電圧を印加し(S507〜S508)、電圧印加を一旦停止した後(S509)、当該ブラシモーターの減速時間を読み出す(S1402)。そして、読み出した減速時間だけ減速電圧を印加した後(S511〜S512)、図5と同様に、ステップS513以下のステップを実行する。
図15は、本変形例に係る記録シートSの搬送動作を例示する図である。図15に示された7つのグラフは上から順に、記録シートSの先端位置、ブラシモーター毎の回転速度、印加電圧の時間推移を表しており、グラフの横軸は何れも時間を表す。図15においては、搬送ローラー1、2をそれぞれ駆動するブラシモーター1、2のコミュテーターにはクリーニングすべき程度にカーボン被膜が堆積している一方、搬送ローラー3やタイミングローラーを駆動するブラシモーターにおいてはカーボン被膜を未だ除去する必要がない場合が示されている。
このため、ブラシモーター1、2においては、記録シートSの搬送時にクリーニング電圧が印加され、記録シートSの搬送位置が通常搬送時よりも先へ進む。これらのクリーニングに対応する減速時間はブラシモーター3に配分されている。すなわち、ブラシモーター3はクリーニングを行う必要がないものの、記録シートSの搬送速度を減速する時間的余裕があるために減速時間が割り当てられている。これによって、記録シートSの先端がタイミングローラーに到達する前に記録シートSの搬送位置が補正される。
(4) 上記実施の形態においては、上流の搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターから順にクリーニングを行う場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
すなわち、1枚の記録シートSが上流側ローラーと下流側ローラーとの両方に同時に噛み込んでいる場合、下流側モーターのみをクリーニングしようとすると、上流側ローラーに記録シートSが噛み込んでいるために抵抗が生じて、クリーニング電圧を印加しても下流側モーターの回転速度が十分に速くならない。このため、クリーニング時間に見合ったクリーニング範囲よりも狭い範囲しかクリーニングされないおそれがある。
これに対して、同一の記録シートSに噛み込んだ複数の搬送ローラーをそれぞれ回転駆動する複数のブラシモーターにおいてコミュテーターを同時にクリーニングすれば、搬送ローラー間の搬送速度差に起因する上の問題を解消することができる。
図16は、本変形例に係るクリーニング処理を示すフローチャートである。なお、図16に示したステップのうち、図5に対応するステップがあるステップには同じ符号が付されている。図5と同じ符号を付したステップについては上述の実施の形態を参照されたい。
さて、図16に示されるように、本変形例においては、印刷指示に係る記録シートSの種類が厚紙である場合には(S503:YES)、クリーニング条件決定処理を実行する(S1601)。
図17は、クリーニング条件決定処理を示すフローチャートである。図17に示されるように、まず、クリーニング時間を格納する変数Tcの値を0に初期化して(S1701)、ステップS1702からステップS1708までのループ処理を同一の記録シートに噛み込む搬送ローラーの数Nだけ繰り返す。
ループ処理としては、まず、A番目のブラシモーターの被膜量指数を求め(S1703)、被膜量指数が閾値よりも大きければ(S1704:YES)、A番目のブラシモーターのクリーニング時間Taを算出する(S1705)。算出したクリーニング時間Taがクリーニング時間Tcよりも大きければ(S1706:YES)、変数Taの値を変数Tcに代入する(S1707)。
このようにすれば、最も長いクリーニング時間Taをクリーニング時間Tcとして採用することができる。同一の記録シートに噛み込む搬送ローラーを駆動するすべてのブラシモーターについて上のループ処理を実行した後、得られたクリーニング時間Tcに応じた減速時間Tdを算出し(S1709)、クリーニング時間Tcと減速時間Tdとを記憶して(S1710)、上位ルーチン(図16)に復帰する。
次に、クリーニング条件決定処理にて決定したクリーニング時間Tcを読み出して(S1602)、1からN番目のブラシモーターすべてのコミュテーターに対して、同時にクリーニング時間Tcだけクリーニング電圧を印加した後(S507、S508)、電圧印加を停止する(S509)。更に、減速時間Tdを読み出して(S1603)、1からN番目のブラシモーターすべてのコミュテーターに対して、やはり同時に減速時間Tdだけ減速電圧を印加する(S511、S512)。以後の処理は図5のフローチャートと同様である。
図18は、本変形例に係る記録シートSの搬送動作を例示する図である。図18に示された7つのグラフは上から順に、記録シートSの先端位置、ブラシモーター毎の回転速度、印加電圧の時間推移を表しており、横軸は時間を表す。図18においては、搬送ローラー1〜3をそれぞれ回転駆動するブラシモーター1〜3の少なくとも1つのコミュテーターにクリーニングすべき程度にカーボン被膜が堆積している。
このため、ブラシモーター1〜3の各コミュテーターには、同時にクリーニング電圧が印加され、記録シートSの搬送位置が通常搬送時よりも先へ進む。また、このクリーニングに対応する減速電圧もまたブラシモーター1〜3のコミュテーターには同時に印加される。すなわち、ブラシモーター1〜3はクリーニングを行う必要の有無にかかわらず、ブラシモーター1〜4の何れか1つでもコミュテーターをクリーニングすべき場合には、これらのすべてのコミュテーターにクリーニング処理がなされる。
以上、本変形例のようにすれば、搬送ローラー間の搬送速度差に起因して、クリーニング対象のコミュテーターの回転速度が低下し、クリーニング時間中におけるコミュテーターの回転距離が短縮することに起因するクリーニング漏れ等、クリーニング性能の低下を防止することができる。
(5) 上記実施の形態においては、記録シートSを搬送ローラーにて順次搬送する場合について説明したが、トナー像を記録シートS上の所望の位置に転写する必要からタイミングローラーにおいては記録シートSの搬送が一旦停止される場合がある。記録シートSのこのような搬送動作を考慮して、次のようにしても良い。
すなわち、記録シートSの搬送経路上、タイミングローラーのすぐ上流側に配設された搬送ローラー(以下、「直前ローラー」という。)に記録シートが到達するまでに、クリーニングにより記録シートSの搬送位置の進み過ぎを補正するのが望ましい。そのためには、例えば、個々のブラシモーター毎にシート先頭位置を補正しても良い。
また、上記の変形例(3)のように、記録シートSの搬送経路上、タイミングローラーよりも上流に配設された搬送ローラーを回転駆動するブラシモーター間で減速時間を配分しても良い。減速の仕方の如何にかかわらず、本変形例によれば、タイミングローラー前で待機している記録シートSに後続の記録シートSが衝突、干渉するのを防止することができる。したがって、記録シートSの折れや紙詰まりを起こすことなく、コミュテーターのクリーニングを行うことができる。
(6) 上記実施の形態においては、給紙ローラーを回転駆動する給紙モーターのコミュテーター外周面に堆積したカーボン被膜をクリーニングする場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、記録シートを搬送する搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターであれば、給紙モーター以外のブラシモーターのコミュテーター外周面をクリーニングする場合にも、本発明を適用して、その効果を得ることができる。
(7) 上記実施の形態においては、カーボン被膜のクリーニング量をクリーニング時間によって制御する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、クリーニング時間に代えてブラシモーターの回転数(回転角度)によって制御を行っても良い。この場合においては、タイマーを使ってクリーニング時間を計測するのに代えて、例えば、上述したアブソリュート・エンコーダーのようにブラシモーターの回転数を検出するセンサーを用いるのが望ましい。
ブラシモーターの回転数を検出する場合の制御動作は、例えば、コミュテーターにクリーニング電圧の印加を開始してから回転数の検出を開始して、検出された回転数がカーボン被膜の堆積量に応じた所定の回転数に達したら、クリーニング電圧の印加を停止するというものである。コミュテーターに減速電圧を印加する場合も同様に、検出された回転数がシート位置の補正量に応じた所定の回転数に達したら、減速電圧の印加を停止する。
(8) 上記実施の形態においては、画像形成装置の例としてプリンタ装置に本発明を適用する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、プリンタ装置以外の画像形成装置に本発明を適用しても、その効果を得ることができる。すなわち、複写装置やファクシミリ装置などの単機能機や、複数の機能を備えた多機能機(MFP: Multi Function Peripheral)等の画像形成装置に本発明を適用しても良い。
本発明に係る画像形成装置は、記録シートを搬送する搬送ローラーを駆動するブラシモーターのコミュテーター外周面に堆積したカーボン被膜を清掃する技術として有用である。
1……………………………画像形成装置
111………………………2次転写対向ローラー
113………………………2次転写ローラー
114、123……………搬送ローラー対
115………………………タイミング前センサー
116………………………タイミングローラー対
117………………………定着ループセンサー
118………………………排紙センサー
121、122……………ピックアップローラー
130………………………排紙ローラー
200………………………制御基板
201………………………ピックアップローラー
202………………………捌きローラー
203………………………搬送センサー
211〜213、400…ブラシモーター
300………………………CPU
301………………………ROM
302………………………RAM
304………………………データ記憶部
303………………………NIC
311〜313……………ドライバーIC
401〜404……………MOSFET

Claims (9)

  1. 記録シートを搬送する搬送ローラーと、
    前記搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターと、
    前記ブラシモーターの回転速度を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記搬送ローラーによる記録シートの搬送中に、
    前記ブラシモーターのコミュテーターの外周面上に堆積した被膜をクリーニング可能な電圧を、前記ブラシモーターを所定回転量だけ回転させる間、当該外周面に印加し、かつ、
    前記ブラシモーターを前記クリーニング時よりも低速で回転させることにより、前記記録シートの搬送距離を補正する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 最後にクリーニングを行った後の、ブラシローラーの回転速度と累積回転時間とを記録する記録手段と、
    前記回転速度と前記累積回転時間とから前記所定回転量を決定する回転量決定手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記被膜の堆積量を推計する堆積量推計手段と、
    推計された被膜堆積量が多いほど前記所定回転量が多くなるように前記所定回転量を決定する回転量決定手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記被膜の堆積量を推計する堆積量推計手段と、
    推計された被膜堆積量が閾値未満である場合に、前記制御手段による前記クリーニング動作を禁止するクリーニング禁止手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置。
  5. 前記コミュテーターの周方向におけるクリーニングを行った範囲の末尾位置を記録する末尾位置記録手段を備え、
    前記制御手段は、前記末尾位置記録手段にて記録された末尾位置をクリーニングに先立って参照し、当該クリーニングを当該末尾位置から開始する
    ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の画像形成装置。
  6. 記録シートの搬送経路上、前記搬送ローラーよりも下流に配設され、記録シートを搬送する下流側ローラーと、
    前記搬送ローラーと前記下流側ローラーとの間の記録シートの搬送距離と、前記搬送ローラーと前記下流側ローラーの搬送速度差と、前記所定回転量と、から算出される、前記クリーニング動作中の用紙撓みの高さが、所定の許容高さ未満となるように前記所定回転量を決定する回転量決定手段と、を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  7. トナー像を担持する中間転写体から記録シート上の所定位置に前記トナー像を転写させるタイミングを調節して、記録シートを搬送するタイミングローラーと、
    記録シートの搬送経路上、前記タイミングローラーよりも上流側に配設された複数の前記搬送ローラーと、を備え、
    前記制御手段は、当該複数の搬送ローラーを回転駆動するブラシモーターにて前記記録シートの搬送距離を補正する
    ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の画像形成装置。
  8. 前記搬送量の補正は、クリーニング動作を行った搬送ローラーが行う
    ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  9. 記録シートの搬送経路上に、前記搬送ローラーを複数有しており、
    前記制御手段は、1枚の記録シートが同時に複数の搬送ローラーに搬送されている場合には、当該記録シートを搬送する搬送ローラーを回転駆動するすべてのブラシモーターにおいて同時にクリーニング動作を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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