JP2013223376A - パンタグラフ位置補正機構、及びそれを備えた鉄道車両 - Google Patents

パンタグラフ位置補正機構、及びそれを備えた鉄道車両 Download PDF

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Abstract

【課題】ワイヤーでパンタグラフを車幅方向に移動させる構成を有するパンタグラフの位置補正機構において、従来に比べてワイヤーの寿命を延ばすことができるパンタグラフ位置補正機構、及びこのパンタグラフ位置補正機構を有する鉄道車両を提供する。
【解決手段】パンタグラフの位置補正機構において、台車20と車体左右両側に垂下した各ワイヤー13との間に設けられ、上下、左右、ボギーの各変位ではパンタグラフ支持架台を移動させず、車体の傾斜状態でのみワイヤーを引張してパンタグラフ支持架台を移動させるワイヤー引張調整部110を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、パンタグラフ位置補正機構に関し、特にワイヤーの疲労損傷を抑制したパンタグラフ位置補正機構及びそれを備えた鉄道車両に関する。
鉄道車両では、曲線区間をより高速に走行させるため、例えば振り子式のような、内軌側に車体を傾斜させる機構が採用される場合がある。このような車体傾斜機構を備えた電車では、架線に対する車幅方向におけるパンタグラフの変位量が、車体傾斜機構を有しない電車の場合に比べて車体が傾斜する分、大きくなってしまう。そこで、架線に対してパンタグラフ集電舟の中央部が大きく変位しないように、車体屋根にパンタグラフを固定せずに、車体傾斜機構による車体の傾斜とは反対側へパンタグラフを移動させる機構が提案されている(例えば特許文献1)。
特開平5−115104号公報
上述の特許文献1に開示される技術では、図21Aに示すように、車体屋根上にパンタグラフ11を車幅方向10aに移動可能に装備し、パンタグラフ11の支持架台11aから車幅方向10aの車体左右両側へそれぞれワイヤー13を垂下し、この各ワイヤー13を、車体傾斜とは無関係である台車20の台車枠21に直接接続する構造を採っている。
このように構成することで、車両が曲線区間を走行して車体傾斜機構の作用によって車体が傾斜したときには、図21Bに示すように、傾斜外側のワイヤー13が引っ張られてパンタグラフ11を移動させ、パンタグラフ集電舟の中央部を軌道中心の延長線の近傍に位置させることができる。尚、「30」は架線を、「50」は空気ばねをそれぞれ示している。
また、台車20に対して車体10が変位したときにワイヤー13がたるむと、上述のパンタグラフ移動作用が不確実になることから、特許文献1の技術では、ワイヤーに常時一定の張力を付与する張力付与装置40がパンタグラフ11の支持架台部分に装着されている。図22には、特許文献1に開示された張力付与装置40のパンダグラフへの取付状態を示し、図23には、張力付与装置40の構造を示している。
しかしながら特許文献1の技術では、上述のように、垂下した各ワイヤー13に一定の張力を付与しながら、その端部を台車枠21に直接接続していることから、車体傾斜機構の作用による車体傾斜変位以外でも、車体10と台車20との間で変位が発生したときには、前記張力付与装置によるワイヤーの巻き取り及び巻き戻しが発生する。即ち、台車20と車体10との間において、例えば空気ばねの伸縮による上下変位、車幅方向への左右変位、及び台車のボギー変位のときにも、張力付与装置40によるワイヤー13の巻き取り及び巻き戻しが発生する。これらの上下等の変位は、車両の曲線区間通過時以外でも発生することから、その回数は、車体傾斜変位の回数に比べると圧倒的に多くなる。よって、本来の目的のためにワイヤー13が引張される回数よりも、より多くの回数にて、ワイヤー13が引張されてしまうことになる。
その結果、ワイヤー13に必要以上の回数の外力が作用することから、ワイヤー13が疲労損傷し、断線するという問題が実車において発生している。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、ワイヤーでパンタグラフを車幅方向に移動させる構成を有するパンタグラフの位置補正機構において、従来に比べてワイヤーの疲労損傷を抑制しその寿命を延ばすことができる、パンタグラフ位置補正機構、及びそれを備えた鉄道車両を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構は、車体と台車とを備えた鉄道車両において、前記車体の傾斜に拘わらず、前記車体の屋根上に配置されたパンタグラフと架線との相対変位を小さくするパンタグラフ位置補正機構であって、
前記パンタグラフが載置され、車幅方向に移動可能なパンタグラフ支持架台と、
前記パンタグラフ支持架台から前記車体の両側面に沿って、前記車体の下方まで引き通されたワイヤーと、
前記台車と車幅方向両側に垂下した各前記ワイヤーとの間に設けられたワイヤー引張調整部を備え、
前記ワイヤー引張調整部は、
前記車体の前記台車に対する上下方向、左右方向、回動方向の相対変位を吸収し、前記車体が前記台車に対して傾斜した際に、前記ワイヤーを引張して前記パンタグラフ支持架台を車幅方向に移動させる、
ことを特徴とする。
この構成により、車体の上下、左右、回動(ボギー)の各変位ではワイヤーを引張することがなく、車体の傾斜状態でのみワイヤーを引張してパンタグラフ支持架台を車幅方向に移動させることができる。したがって、ワイヤーが引張される回数を、従来に比べて激減させることができ、その結果、ワイヤーの疲労損傷を抑制し、ワイヤーの寿命を延ばすことができる。
さらに本発明の第2態様における鉄道車両は、上述した第1態様における鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構と、車体傾斜装置とを備えることを特徴とする。
この構成により、従来に比べてワイヤーの疲労損傷を抑制し、その寿命を延ばすことが可能である。また、空気ばねの伸縮により車体を傾斜させる形態において、ワイヤーの疲労損傷抑制及び寿命延長を図りながら、パンタグラフ集電舟の中央部を軌道中心の延長線の近傍に位置させることができる。
本発明により、ワイヤーでパンタグラフを車幅方向に移動させる構成を有するパンタグラフの位置補正機構において、従来に比べてワイヤーの疲労損傷を抑制しその寿命を延ばすことができる、パンタグラフ位置補正機構、及びそれを備えた鉄道車両を提供することができる。
本発明の実施形態1における、パンタグラフ位置補正機構に備わるワイヤー引張調整部の構成を示す斜視図である。 図1に示すワイヤー引張調整部の上下変位での動作を説明するための図である。 図1に示すワイヤー引張調整部の車体傾斜状態での動作を説明するための図である。 本発明の実施形態2における、パンタグラフ位置補正機構に備わるワイヤー引張調整部の構成を示す斜視図である。 図4に示すワイヤー引張調整部の構成を示す、一部断面を含む側面図である。 図4に示すワイヤー引張調整部の上下変位での動作を説明するための図である。 図4に示すワイヤー引張調整部の左右変位での動作を説明するための図である。 図4に示すワイヤー引張調整部のボギー変位での動作を説明するための図である。 図4に示すワイヤー引張調整部の車体傾斜状態での動作を説明するための図である。 本発明の実施形態3における、パンタグラフ位置補正機構に備わるワイヤー引張調整部の構成を示す正面図である。 図10Aに示すワイヤー引張調整部の変形例における構成を示す正面図である。 図10Aに示すワイヤー引張調整部の構成を示す側面図である。 図10Bに示すワイヤー引張調整部の構成を示す側面図である。 図10Aに示すワイヤー引張調整部の構成を示す斜視図である。 図10Aに示すワイヤー引張調整部において、連結部材の他端と中間梁との連結状態を示す拡大図である。 図10Aに示すワイヤー引張調整部における連結部材の端部を球面軸受以外の構成とした場合の一例を示す図である。 図10Aに示すワイヤー引張調整部の変形例であって、中間梁の軸受部分の断面図である。 図10Aに示すワイヤー引張調整部の車体傾斜状態での動作を説明するための図である。 本発明の実施形態4における、パンタグラフ位置補正機構に備わるワイヤー引張調整部の構成を示す正面図である。 図17に示すワイヤー引張調整部の構成を示す側面図であり、図17に示すA−A部を示す図である。 図17に示すB部である、中間梁と変換てこ部材との連結部分の構成例を示す拡大図である。 図17に示すワイヤー引張調整部の車体傾斜状態での動作を説明するための図である。 従来のパンタグラフ位置補正機構の構成を示す図である。 図21Aに示すパンタグラフ位置補正機構において車体が傾斜した状態での動作を説明するための図である。 図21Aに示すパンタグラフ位置補正機構におけるパンタグラフ部分の平面図である。 図21Aに示すパンタグラフ位置補正機構に備わる、ワイヤーの張力付与装置の斜視図である。
本発明の実施形態である、鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構、及び該パンタグラフ位置補正機構を備えた鉄道車両について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
以下に説明する各実施形態における鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構は、大別して、パンタグラフ支持架台案内装置と、ワイヤー引張調整部とを備える。いずれの実施形態のパンタグラフ位置補正機構においても、前記パンタグラフ支持架台案内装置は、図21A、図21Bから図23を参照して既に説明した構成、即ち、車体屋根に対してパンタグラフを車幅方向に移動可能に設置して車両傾斜時には左右両側のワイヤーを引っ張ることでパンタグラフを車幅方向に移動させる構成、を採用する。尚、ワイヤーに対する張力付与装置は必須の構成ではない。
よって、以下に説明する各実施形態では、前記ワイヤー引張調整部の構成がそれぞれ相違する。
まず、各実施形態において共通する前記パンタグラフ支持架台案内装置18について簡単に説明する。
図21A、図21B及び図22に示すように、パンタグラフ11は、支持架台11aに固定されており、支持架台11aは、車体10の屋根上で車幅方向10aに沿って設置されたガイド11bに対して、スライダ11cによって移動可能に取り付けられている。よって、パンタグラフ11は、車体屋根に対して車幅方向10aに移動可能である。ここで、ガイド11bの形状は直線状ではなく、車体10の傾斜中心を中心とした円弧状である。尚、図22は、菱形パンタグラフの形態を図示するが、シングルアーム型(Z形)等でもよくパンタグラフ形態は問わない。
また、パンタグラフ支持架台11aの中央下面には、張力付与装置40が設置されている。張力付与装置40は、図23に示すように、ワイヤー13を巻き取る巻き取りドラム41、及び、渦巻きばね42を内包する渦巻きばね固定用ばね箱43を備え、ばね箱43が支持架台11aに取り付けられている。車体10の左右両側には、巻き取りドラム41から側構体に沿って台車部分までワイヤー13が垂下されており、渦巻きばね42は、両ワイヤー13を一定の張力で巻き取る方向に設定されている。また、ワイヤー13は、本例では片側2本ずつで構成され、アウターケーシング付きであり、このアウターケーシングを車体10の側構体に数箇所で固定して車体構体に位置決めされている。
このように構成された張力付与装置40は、ワイヤー13にたわみを発生させず、かつ、左右両側のワイヤー13の長さを同じに維持して、車体10の非傾斜時には車幅方向10aの中央に、車体10の傾斜時には軌道中心のほぼ垂直線上に、パンタグラフ支持架台11aの中央部がそれぞれ位置するように、ワイヤー13に張力を付与する。
次に、前記ワイヤー引張調整部について順次説明する。
ワイヤー引張調整部は、当該パンタグラフの位置補正機構における特徴的構成部分であり、鉄道車両の台車20と左右両側の各ワイヤー13との間に設けられ、車体−台車間の上下変位、左右変位、回動変位(以下、ボギー変位と記す場合もある)の各変位ではパンタグラフ11を車幅方向10aに移動させず、曲線区間での車体傾斜に応じてワイヤー13を引張してパンタグラフ11を車幅方向10aに移動させる機構である。
このようなワイヤー引張調整部について、以下に詳しく説明する。
実施形態1.
図1から図3を参照して、本発明の実施形態1における、鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構101に備わるワイヤー引張調整部110について説明する。尚、図1から図3は、パンタグラフ位置補正機構101の構成及び機能を概念的に図示したものであり、実際の構造とは相違する部分がある。
図1に示すように、ワイヤー引張調整部110は、一つのトーションバー111と、回動規制部として作用するトーションばね112とを備え、鉄道車両の台車20に設置される。
トーションバー111は、例えば棒材で形成されて車幅方向10aに延在し、その軸周り方向113に回動自在となるように、台車20の横梁21aに軸受114を介して支持されている。トーションバー111の両端部111aは折り曲げられ、トーションバー111は平面視でコ字形状であり、車幅方向10aにおいて台車20の中心に対して左右対称な形状である。このようなトーションバー111の両端部111aの先端部分には、上述のように張力付与装置40の巻き取りドラム41から垂下されたワイヤー13がそれぞれ接続される。
トーションばね112は、その一端がトーションバー111に、他端が台車20に固定され、トーションバー111を軸周り方向113へ回動させる弾性力をトーションバーに付与する弾性部材の一例である。このトーションばね112の前記弾性力は、曲線区間における車体10の傾斜に対応してワイヤ13によってトーションバー111が軸周り方向113に回動することを防ぐ力である。一方、この弾性力は、渦巻きばね42による巻き取りドラム41のワイヤー巻き取り力との均衡を図って設定され、つまり、トーションばね112によるトーションバー111の回動力によってワイヤー13が巻き取りドラム41に巻き取られたり、巻き戻されたりしないように設定される。
弾性部材及び回動規制部に相当する物として本実施形態では上述のようにトーションばね112を用いるが、勿論、トーションばねに限定するものではない。
このように構成されたワイヤー引張調整部110を備えたパンタグラフ位置補正機構101は、車体−台車間の上下変位、左右変位及び回動変位において、以下のように作用する。
図2は、例えば空気ばね50の収縮、膨張によって車体10が上下動した場合におけるワイヤー引張調整部110の動作を図示している。尚、「10b」は、車幅方向10aに直角方向の車長方向を示し、「10c」は、車幅方向10a及び車長方向10bに直交する上下方向を示している。
図2の(a)に示すように、車体10が通常高さに位置するときには、ワイヤー引張調整部110のトーションバー111の両端部111aは、水平又はほぼ水平に位置する。
これに対して車体10が通常高さよりも下がって位置するときには、図2の(b)に示すように、トーションバー111は、トーションばね112の作用によって、その両端部111aが下向きに回動する。よって、左右の各ワイヤー13は、車高が変化したにもかかわらず、張力付与装置40の巻き取りドラム41に巻き取られたり、巻き戻されたりすることはない。
また、車体10が通常高さよりも上がって位置するときには、図2の(c)に示すように、トーションバー111は、トーションばね112の作用によって、その両端部111aが上向きに回動する。この場合も、トーションバー111の回動によって、左右の各ワイヤー13は、車高が変化したにもかかわらず、張力付与装置40の巻き取りドラム41に巻き取られたり、巻き戻されたりすることはない。
このようにワイヤー引張調整部110を備えたパンタグラフ位置補正機構101によれば、車体10の上下動に応じて、トーションバー111が回動することによって、左右の各ワイヤー13には、巻き取りドラム41による巻き取り、及び巻き戻しが発生しない。
また、車体10の左右の変位、及び台車20のボギーの各変位では、トーションバー111は、軸周り方向113に回動することはなく車体10に対して相対的に変位するだけである。したがって左右の各ワイヤー13における長さは変化せず、同一であり、巻き取りドラム41に巻き取られたり巻き戻されたりすることもなく、ワイヤー13に対する引張作用は、発生しない。
したがって、上下、左右、及びボギー変位のいずれの場合も車幅方向10aにパンタグラフ11が移動することはない。
これに対して、曲線区間に鉄道車両が位置したときには、図3に示すように、例えばコロを用いた振り子式のような車体傾斜機構180によって、車体10は、軌道のカント量を超えて内軌側に傾斜する。一方、トーションバー111は、台車20に取り付けられて車幅方向10aに延在しているので、その傾斜は、軌道のカント量と同じである。よって、トーションバー111に接続されたワイヤー13は、車体10がカント量を超えて傾斜した分、外軌側のワイヤー13が引っ張られる。張力付与装置40によって、左右両側のワイヤー13長さは同じであり変化しないように構成されていることから、外軌側のワイヤー13が引っ張られることで、パンタグラフ11は、車体10の傾斜とは反対側の外軌側へ移動する。よって、軌道中心の垂直線上に、パンタグラフ支持架台11aの中央部をほぼ位置させることができる。
このように、パンタグラフ位置補正機構101によれば、ワイヤー引張調整部110を備えたことで、車体10の上下、左右、ボギーの各変位ではワイヤー13を引張することはなく、車体10の傾斜状態でのみワイヤーを引張してパンタグラフ11を車幅方向10aに移動させることができる。したがって、ワイヤー13が引張される回数を、従来に比べて激減させることができ、その結果、ワイヤー13の疲労損傷を抑制し、ワイヤー13の寿命を延ばすことが可能となる。
尚、ワイヤー引張調整部110の構造上、車幅方向10aにおける車体10の傾斜中心15(図3)が車幅方向10aの中央に位置する車体傾斜機構を有する鉄道車両において、本実施形態のパンタグラフ位置補正機構101は、採用可能である。
実施形態2.
次に、図4から図9を参照して、本発明の実施形態2における、鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構102に備わるワイヤー引張調整部120について説明する。
上述のワイヤー引張調整部110では、図2を参照して説明したように、台車20に対する車体10の上下動の際にトーションばね112の作用により、トーションバー111が軸周り方向113に回動する。したがって、台車20に対する車体10の上下動の際には、トーションばね112による回動力が僅かに作用する。その結果、若干、車体10の上下方向のクッション性が低下する場合も考えられる。そこで、本実施形態2におけるワイヤー引張調整部120は、この点を改良した機構であり、トーションばね112を設けない構造を提供する。
尚、図4から図9についても、パンタグラフ位置補正機構102の構成及び機能を概念的に図示するものであり、実際の構造とは相違する部分がある。
図4及び図5に示すように、ワイヤー引張調整部120は、一つのトーションバー111と、一対の連結部材121と、一対の中間機構125とを備える。ここで、トーションバー111は、実施形態1で説明した部材であり、台車20の横梁21aに軸受114を介して支持されている。尚、トーションばね112は、設けていない。
それぞれの連結部材121は、棒状の部材であり、平面視コ字形状のトーションバー111における各端部111aに対して、当該連結部材121の一端121aを互いに旋回可能に連結した部材である。旋回可能に連結する構造として、本実施形態では図5に示すように球面軸受170を用いている。
それぞれの中間機構125は、車体10の左右両側にて各連結部材121に対応して設置され、図5に示すように中間部材126と弾性部材127とを有する。これらの中間部材126及び弾性部材127は、車体10の左右の構体に固定したガイド筒128内に装備される。
中間部材126は、棒状の部材であり、その一端126aが連結部材121の他端121bと互いに旋回可能に連結され、他端126bが、垂下しているワイヤー13の1本に接続される部材である。よって中間部材126は、上下方向10cに延在するように配置される。また、本実施形態では図5に示すように、その軸方向のほぼ中央部に突起部126cを有する。
弾性部材127は、中間部材126に取り付けられ、車体10と台車20との間における上下、左右、ボギーの各変位では、中間部材126を上下方向10cに移動させない弾性力を有する。このような弾性部材127は、本実施形態では図5に示すようにコイルばねで構成され、ガイド筒128の上下端にそれぞれ位置するばね受128aと、中間部材126の突起部126cとのそれぞれの間に、弾性部材127a及び弾性部材127bとして設置される。ここで弾性部材127a、127bにおける各端部は、各ばね受128a及び突起部126cにそれぞれ固定されている。よって、これらの弾性部材127a、127bの伸張及び圧縮により、中間部材126を中立位置に配置させる。
尚、上述した、トーションバー111、連結部材121、及び中間部材126による重量を支持する弾性力が得られる場合には、2つの弾性部材127a、127bを設ける必要はなく、下側の弾性部材127aのみで構成することも可能である。勿論、弾性部材127はコイルばねに限定するものではなく、中間部材126に対して上述の作用を行う物であればその形態を問わない。
また、弾性部材127は、その弾性力にて、中間部材126の突起部126cをガイド筒128の上下方向10cにおけるほぼ中央(下記中立位置)に配置させることから、上述の上下、左右、ボギーの各変位では、中間機構125における中立位置に中間部材126を配置させる弾性力を有する部材、と表現することもできる。
また、中間機構125において、中間部材126の中立位置への配置を調整可能とするばね力調整機構を設けることもできる。このばね力調整機構としては、例えば、ガイド筒128の上下端におけるばね受128aと、中間部材126の突起部126cとの間の距離を物理的に変化させることで、弾性部材127a、127bのばね力を変更させる手法等が採用可能である。前記距離を変化させる具体的構成としては、ばね受128a及び/又は突起部126cにライナーを装着可能とする構造や、ガイド筒128を上下2分割として互いに螺合させて接続する構造とし、そのねじ込み量を変更する構造等が採用可能である。
以上のように構成されるパンタグラフの位置補正機構102に備わるワイヤー引張調整部120の動作について、図6から図9を参照して以下に説明する。
図6は、台車20に対して車体10が上下に変位する場合における、ワイヤー引張調整部120の動作を示し、図6の(a)は車体10が通常高さに位置する場合、図6の(b)は車体10が通常高さよりも下へ変位した場合、図6の(c)は車体10が通常高さよりも上へ変位した場合をそれぞれ示している。
図6の(b)、(c)のいずれの場合でも、トーションバー111がその軸周り方向113に回動することで、中間機構125における中間部材126は、ガイド筒128の上下方向10cにおけるほぼ中央(中立位置)に配置されている。
またこのとき、トーションバー111が軸周り方向113へ回動するにあたり、実施形態1の場合のように付勢力が作用することはない。したがって、車体10の上下方向のクッション性が低下することもない。
次に、図7は、台車20に対して車体10が車幅方向10aにおける左右に変位する場合での、ワイヤー引張調整部120の動作を示し、図7の(a)は通常位置、図7の(b)は右側へ車体10が変位した場合、図7の(c)は左側へ車体10が変位した場合をそれぞれ示している。
図7の(b)、(c)のいずれの場合でも、連結部材121の両端は球面軸受170にて、トーションバー111及び中間部材126と旋回可能に連結されていることから、連結部材121がトーションバー111に対して左右に振れることで、中間機構125における中間部材126は、ガイド筒128の上下方向10cにおけるほぼ中央(中立位置)に配置されている。
次に、図8は、車体10に対して台車20がボギー変位する場合におけるワイヤー引張調整部120の動作を示し、図8の(a)はボギー変位の無い状態、図8の(b)はボギー変位した状態をそれぞれ示している。
図8の(b)に示すボギー変位した場合でも、連結部材121の両端は球面軸受170にて、トーションバー111及び中間部材126と旋回可能に連結されていることから、トーションバー111の軸周り方向113への回動と、トーションバー111及び中間部材126に対する連結部材121の変位との組み合わせによって、中間機構125における中間部材126は、ガイド筒128の上下方向10cにおけるほぼ中央(中立位置)に配置された状態を維持することができる。
このように、車体10の上下、左右の変位、及び台車20のボギーの各変位では、左右の各ワイヤー13における長さは変化せず同一であり、各ワイヤー13が巻き取りドラム41に巻き取られたり巻き戻されたりすることはなく、ワイヤー13に対する引張作用は、発生しない。
したがって、上下、左右、及びボギー変位のいずれの場合でも、車幅方向10aにパンタグラフ11が移動することはない。
これに対して、曲線区間に鉄道車両が位置したときには、図9に示すように、例えば振り子式のような車体傾斜機構180によって、車体10は、軌道のカント量を超えて内軌側に傾斜する。このとき、トーションバー111、連結部材121、及び中間機構125では、トーションバー111の軸周り方向113への回動と、トーションバー111及び中間部材126に対する連結部材121の変位とが組み合わされた動きをするが、カント量に対応する台車20の傾斜を超えて車体10が内軌側に傾斜することから、中間機構125において、中間部材126は、弾性部材127の弾性力に逆らって中立位置から移動する。したがって、外軌側のワイヤー13が引っ張られることで、パンタグラフ11は、車体10の傾斜とは反対側の外軌側へ移動する。よって、軌道中心の垂直線上に、パンタグラフ支持架台11aの中央部をほぼ位置させることができる。
このように、パンタグラフ位置補正機構102においても、ワイヤー引張調整部120を備えたことで、車体10の上下、左右、ボギーの各変位ではワイヤー13を引張することはなく、車体10の傾斜状態でのみワイヤー13を引張してパンタグラフ11を車幅方向10aに移動させることができる。したがって、ワイヤー13が引張される回数を、従来に比べて激減させることができ、その結果、ワイヤー13の疲労損傷を抑制し、ワイヤー13の寿命を延ばすことが可能となる。
また上述したように、ワイヤー引張調整部120では、トーションバー111にはトーションばね112を設けていないので、実施形態1のワイヤー引張調整部110に比べると、車体10の上下方向のクッション性が低下することもない。
尚、ワイヤー引張調整部120の構造上、車幅方向10aにおける車体10の傾斜中心15(図9)が車幅方向10aの中央に位置する車体傾斜機構を有する鉄道車両において、本実施形態のパンタグラフ位置補正機構102は、採用可能である。
実施形態3.
次に、図10(図10A及び図10B)から図16を参照して、本発明の実施形態3における、鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構103に備わるワイヤー引張調整部130について説明する。
上述した、実施形態1、2におけるワイヤー引張調整部110、120では、いずれの場合も、トーションバー111が車幅方向10aに延在して、その両端部111aは、車体10の左右両側壁位置付近に配置され、この両端部111aにワイヤー13が直接あるいは間接的に接続された構造を有する。よって、実施形態1、2におけるワイヤー引張調整部110、120は、車幅方向10aにおける車体10の傾斜中心15が車幅方向10aの中央に位置する車体傾斜機構、例えばコロ式の車体傾斜機構180、において採用可能な機構である。一方、車体傾斜機構としては、図10に示す空気ばね式車体傾斜装置185によって左右の空気ばね50の伸縮を利用して車体10を傾斜させる機構も存在する。この場合、車幅方向10aにおける車体10の傾斜中心15は、車幅方向10aの中央から外れ、内軌側に対応する左、右のどちらかの空気ばね付近に位置する。
本実施形態3におけるパンタグラフの位置補正機構103に備わるワイヤー引張調整部130は、車体10の傾斜中心15が車幅方向10aの中央から外れる場合に採用可能な機構であり、傾斜中心15のずれを車幅方向10aの中央に補正して、車体10の左右両側に垂下した各ワイヤー13の変位量を左右で略同一にする補正機構131を備える。
尚、図10から図16についても、パンタグラフ位置補正機構103の構成及び機能を概念的に図示するものであり、実際の構造とは相違する部分がある。また、図10Aは、台車20の横梁21aの下側にトーションバー111及び軸受114を配置した形態を示し、図10Bは、台車20の横梁21aの上側にトーションバー111及び軸受114を配置した形態を示す。ここで図10A及び図10Bを総称して図10と記す場合もある。
また、図10に示す空気ばね式車体傾斜装置185は、路線データを有する構成及びセンサの検出情報で判断する構成を含み、走行している曲線区間状態を制御装置186が判断して調整弁187を駆動制御し、左右の空気ばね50の伸縮を行う。
ワイヤー引張調整部130について、図10Aに示す形態を主に参照して説明を行う。
ワイヤー引張調整部130は、一つのトーションバー111と、一対の連結部材121と、前記補正機構131としての中間梁132とを有する。
ここで、トーションバー111は、実施形態1、2で説明した部材であり、台車20の横梁21aの下側に軸受114を介して支持されている。しかしながら、トーションばね112は、設けておらず、また、両端部111aまでの長さは、図10に図示するように、車体10の車幅長と同程度ではなく、車幅方向10aにおける車体10の中央から左右のそれぞれに、車幅の略半分程度まで延在する長さである。また、図10Aに示す構成では、トーションバー111は、図12に示すように、左右両端部分にて軸受114を介して支持され、各端部近傍においてそれぞれの連結部材121に連結される腕部を有する構成となっている。
各連結部材121は、実施形態2で説明した部材であり、その一端121aを球面軸受170で構成して、トーションバー111の端部111aに対して互いに旋回可能に連結されている。また、連結部材121の他端121bも、図13に示すように球面軸受170を構成して、中間梁132に対して互いに旋回可能に連結されている。尚、連結部材121の端部121a、121bについて、球面軸受170による構成に代えて、図14に示すようなピン122aと、ゴムブシュ122bとの組み合わせで構成してもよい。
中間梁132は、車幅方向10aに延在する棒状の一つの部材であり、車幅方向10aにおける車体10の中央にて、軸受135を介して揺動可能に床下に支持される部材である。このような中間梁132の両側の端部132a、132bには、車体10の左右両側に垂下した各ワイヤー13がそれぞれ接続される。また、軸受135による揺動中心と、中間梁132のそれぞれの端部132a、132bとの間の左右2箇所136a,136bにて、上述のように各連結部材121の他端121bと、例えば球面軸受170によってそれぞれ旋回可能に連結される。
また、台車20との関係で軸受135の設置スペースに余裕がある場合には、軸受135は、図15に示すように、中間梁132を車長方向10bに貫通するピン134の両端を支持する形態を採ることができる。図10A及び図11Aは、このような形態を図示している。
一方、軸受135の設置スペースが制限される場合には、軸受135は、球面軸受170の形態で構成される。図11Bは、このような形態を図示している。この構成では、中間梁132が軸受135を中心として車長方向10b側へ回動可能となる。この回動を抑えるため、図11Bに示すように、支持棒133を用いる。支持棒133の一端は、中間梁132のいずれか一方の端部132a又は132bに、例えばゴムブシュを介して旋回可能に取り付けられ、その他端は、車体床下に、例えばゴムブシュを介して旋回可能に取り付けられる。
以上のように構成されるパンタグラフの位置補正機構103に備わるワイヤー引張調整部130の動作について、以下に説明する。
本実施形態のワイヤー引張調整部130においても、台車20に対する車体10の上下変位、左右変位、及びボギー変位については、実施形態2のワイヤー引張調整部120の構成において図6から図8を参照して上述した動作と同様に動作する。即ち、台車20に対して車体10が上下に変位する場合には、トーションバー111が軸周り方向113に回動し、また車幅方向10aに左右に変位する場合には、トーションバー111に対して連結部材121が左右に振れ、さらにボギー変位する場合には、車体10と一体とみなせる中間梁132に対して、トーションバー111及び連結部材121がそれぞれ組み合わされて変位する。
このように、上下、左右、及びボギーの各変位では、台車20に対する車幅方向10aにおける車体10の傾斜は発生しないので、中間梁132は車体10の床面と平行に位置する。
よって、中間梁132の両方の端部132a、132bに接続された車体左右の各ワイヤー13における長さは変化せず同一であり、各ワイヤー13が巻き取りドラム41に巻き取られたり巻き戻されたりすることもなく、ワイヤー13に対する引張作用は、発生しない。
したがって、上下、左右、及びボギー変位のいずれの場合でも、車幅方向10aにパンタグラフ11が移動することはない。
一方、曲線区間に鉄道車両が位置し、車体両側の空気ばね50を用いて車体10が軌道のカント量を超えて内軌側に傾斜したときには、ワイヤー引張調整部130は、以下のように動作する。
図16は、曲線区間にて空気ばね50によって車体10が内軌側に傾斜した状態を図示するが、この場合、車幅方向10aにおける車体10の傾斜中心15は、車幅方向10aの中央から外れ、内軌側の空気ばね50付近に位置する。
一方、中間梁132は、車幅方向10aにおける車体10の中央にて軸受135を介して揺動可能に支持されている。よって、傾斜中心15が内軌側の空気ばね付近に位置して車体10がカント量を超えて傾斜したときには、トーションバー111及び連結部材121の各変位が組み合わされた変位によって、中間梁132は、図16に示すように、軸受135を中心として揺動する。つまり中間梁132の内軌側の端部132aが車体10の床面に近接して位置し、外軌側の端部132bが床面から離れて位置するように、中間梁132は揺動する。
その結果、外軌側のワイヤー13が引っ張られ、内軌側のワイヤー13ではたるんだ分が巻き取りドラム41に巻き取られる。よって、パンタグラフ11は、車体10の傾斜とは反対側の外軌側へ移動する。したがって、軌道中心の垂直線上に、パンタグラフ支持架台11aの中央部をほぼ位置させることができる。
このように、パンタグラフ位置補正機構103においても、ワイヤー引張調整部130を備えたことで、車体10の上下、左右、ボギーの各変位ではワイヤー13を引張することはなく、車体10の傾斜状態でのみワイヤー13を引張してパンタグラフ11を車幅方向10aに移動させることができる。したがって、ワイヤー13が引張される回数を、従来に比べて激減させることができ、その結果、ワイヤー13の疲労損傷を抑制し、ワイヤー13の寿命を延ばすことが可能となる。
さらに、ワイヤー引張調整部130の構成によれば、車体10が左右の空気ばね50によって傾斜される構造においても、軌道中心の垂直線上に、パンタグラフ支持架台11aの中央部をほぼ位置させることができる。
また、補正機構131としての中間梁132が車幅方向10aにおける車体10の中央にて支持されていることから、勿論、ワイヤー引張調整部130は、左右の空気ばね50によって車体10を傾斜される車体傾斜機構のみならず、車体10の傾斜中心15が車幅方向10aの中央に位置して車体10を傾斜させる車体傾斜機構を有する車両においても採用することができ、いずれの車体傾斜機構においても、車体傾斜状態においてパンタグラフ11を、軌道中心の略垂直線上に配置させることができる。
また、本実施形態3のパンタグラフ位置補正機構103では、パンタグラフ11部分に張力付与装置40を装備しているが、パンタグラフ位置補正機構103において、張力付与装置40は必須の構成ではない。
実施形態4.
次に、図17から図20を参照して、本発明の実施形態4における、鉄道車両用パンタグラフの位置補正機構104に備わるワイヤー引張調整部140について説明する。尚、図17から図20についても、パンタグラフ位置補正機構104の構成及び機能を概念的に図示するものであり、実際の構造とは相違する部分がある。
本実施形態4におけるパンタグラフ位置補正機構104においても、実施形態3と同様に、車体10の傾斜中心15が車幅方向10aの中央から外れる車体傾斜機構、例えば空気ばね式車体傾斜装置185を用いた鉄道車両においても採用可能な機構である。
本実施形態4のパンタグラフ位置補正機構104に備わるワイヤー引張調整部140は、以下で詳しく述べるが、パンタグラフの支持点間隔とパンタグラフ高さとの差が大きい場合にこれを補正する補正機構141を備える。
本実施形態4におけるワイヤー引張調整部140と、実施形態3のワイヤー引張調整部130との相違点は、補正機構141に関する部分である。よって以下では、補正機構141について主に説明を行う。
実施形態3のワイヤー引張調整部130では、左右の空気ばね50の伸縮により車体10を傾斜させる構造において、車体傾斜状態でパンタグラフ11を軌道中心の略垂直線上に配置させることができる旨を説明した。また、ワイヤー引張調整部130は、車体10の傾斜中心15が車幅方向10aの中央に位置して車体10を傾斜させる構造の車両においても採用可能である旨も述べた。
一方、図17に示す「b1」は、車体10の傾斜中心15から外軌側のワイヤー13までの車幅方向10aにおける距離であり、「h2」は、車体10の床面からパンタグラフ11の取付位置までの上下方向10cにおける距離である。尚、図17では、「b1」は、車幅方向10aにおける車体10の中央を起点とした場合を図示しているが、左右の空気ばね50の伸縮により車体10を傾斜させる構成では、内軌側の空気ばね50の中心が起点となる。
このような「b1」、「h2」について、「b1」に対して「h2」が長い場合には、実施形態3のワイヤー引張調整部130では、車体傾斜状態において、パンタグラフ11の集電舟が架線から外れるようなことは無いものの、軌道中心の垂直線上からのパンタグラフ中央のズレが多少大きくなる場合がある。
本実施形態4におけるワイヤー引張調整部140は、このような懸念を解決するための構成である。尚、実際には、パンタグラフ11自体が、車幅方向10aにおいて架線に対して十分な裕度を有して設計されることから、実用上、ワイヤー引張調整部140を採用することなく実施形態3のワイヤー引張調整部130で十分対処可能と考えられる。
以下には、ワイヤー引張調整部140の主に補正機構141について具体的に説明を行う。
ワイヤー引張調整部140は、図17及び図18に示すように、一つのトーションバー111と、一対の連結部材121と、補正機構141とを備える。本実施形態4では、補正機構141は、中間梁142と、変換てこ部材143a,143b(変換てこ部材143と記す場合もある)とを有する。尚、トーションバー111及び連結部材121は、実施形態3で説明したものと同一部材であるので、ここでの説明は省略する。
中間梁142は、実施形態3における中間梁132に類似の部材であるが、中間梁132と比べてその長さが短く、かつ、変換てこ部材143と連結される点で相違する。即ち、中間梁142は、車幅方向10aに延在する棒状の一つの部材であり、車幅長よりも短い長さを有し、車幅方向10aにおける車体10の中央にて、軸受135を介して揺動可能に床下に支持される部材である。また、中間梁142は、軸受135による揺動中心と、中間梁142のそれぞれの端部142a、142bとの間の左右2箇所146a,146bにて、各連結部材121の他端121bと、例えば球面軸受170によって、それぞれ旋回可能に連結される。さらに、中間梁142は、両端部142a、142bにて、それぞれ軸受147を介して変換てこ部材143a143bと回動可能に連結される。
変換てこ部材143a,143bのそれぞれは、大略L字形に屈曲した形状の板材で形成され、車幅方向10aに延在させて車体10の床下に設置される部材であり、上述した「b1」と「h2」との差に起因する、軌道中心の略垂直線上からのパンタグラフ中央のズレを補正するための部材である。
それぞれの変換てこ部材143の一端143cは、車体10の床面に設置された軸受148と回動可能に連結され、その他端143dは、車体10の左右に垂下されたそれぞれのワイヤー13に接続される。さらにまた、変換てこ部材143a,143bは、上述のように、中間梁142の左右の各端部と軸受147を介してそれぞれ連結される。
よって、このように構成される変換てこ部材143a,143bは、中間梁142における軸受135を中心とした揺動に応じて、軸受148を中心として、他端143dが上下する。
変換てこ部材143と中間梁142との連結を構成する軸受147は、図19の(a)又は(b)に示すような構成が採られる。即ち、図19の(a)に示す軸受147では、中間梁142には、ピン147aを突設し、一方、変換てこ部材143には長穴147bを形成して、ピン147aが長穴147b内を摺動可能とした構成を有する。また、図19の(b)に示す軸受147では、中間梁142には、ピン147aを突設し、一方、変換てこ部材143には、ピン147aよりも大きく隙間147eが形成される程度の貫通穴147cを設け、ピン147aの周りにはゴム材147dを設ける。
以上のように構成されるパンタグラフの位置補正機構104に備わるワイヤー引張調整部140の動作について、以下に説明する。尚、台車20に対する車体10の上下変位、左右変位、及びボギー変位については、実施形態3のワイヤー引張調整部130における動作及び効果と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図20に示すように、曲線区間に鉄道車両が位置し車体両側の空気ばね50を用いて車体10が軌道のカント量を超えて内軌側に傾斜したときには、以下のように動作する。
トーションバー111及び連結部材121は、実施形態3のワイヤー引張調整部130にて説明したように変位し、これによって、中間梁142も軸受135を中心として揺動する。つまり中間梁132の内軌側の端部が車体10の床面に近づくように、外軌側の端部が床面から離れるように、中間梁142は揺動する。
この中間梁142の揺動により、内軌側の変換てこ部材143aは、軸受148を中心に回動して、その他端143dは、車体10の床面へ近接する。一方、外軌側の変換てこ部材143bも軸受148を中心に回動して、その他端143dは、車体10の床面から離れて位置する。
その結果、外軌側のワイヤー13が外軌側の変換てこ部材143bによって引っ張られ、内軌側のワイヤー13ではたるんだ分が巻き取りドラム41に巻き取られる。よって、パンタグラフ11は、車体10の傾斜とは反対側の外軌側へ移動する。このようにして、軌道中心の垂直線上に、パンタグラフ支持架台11aの中央部を位置させることができる。
このように、パンタグラフ位置補正機構104においても、ワイヤー引張調整部140を備えたことで、車体10の上下、左右、ボギーの各変位ではワイヤー13を引張することはなく、車体10の傾斜状態でのみワイヤー13を引張してパンタグラフ11を車幅方向10aに移動させることができる。したがって、ワイヤー13が引張される回数を、従来に比べて激減させることができ、その結果、ワイヤー13の疲労損傷を抑制し、ワイヤー13の寿命を延ばすことが可能となる。
さらにワイヤー引張調整部140では、変換てこ部材143を備えたことで、車体10の傾斜中心15から外軌側のワイヤー13までの車幅方向10aにおける距離に対して、車体10の床面からパンタグラフ11の取付位置までの上下方向10cにおける距離が長い鉄道車両の形態であっても、車体傾斜状態において、軌道中心の垂直線上からパンタグラフ中央のズレが大きくなることはない。
尚、本実施形態4のパンタグラフ位置補正機構104においても、張力付与装置40を設けない構成を採ることも可能である。
また、パンタグラフ位置補正機構104は、実施形態3のパンタグラフ位置補正機構103と同様に、空気ばね50によって車体10を傾斜される車体傾斜機構のみならず、車体10の傾斜中心15が車幅方向10aの中央に位置して車体10を傾斜させる車体傾斜機構を有する車両においても採用可能である。いずれの車体傾斜機構においても、車体傾斜状態においてパンタグラフ11を、軌道中心の略垂直線上に配置させることができる。
以上説明した各実施形態におけるワイヤー引張調整部110、120、130、140の機構構成は、それぞれ一例を示すものであり、図示する構成に限定するものではなく、上述の説明によって当業者が想到可能な機構構成を含むものである。
本発明は、特に車体傾斜制御を行う鉄道車両に好適である。
10…車体、11…パンタグラフ、13…ワイヤー、
18…パンタグラフ支持架台案内装置、20…台車、40…張力付与装置、
101〜104…パンタグラフ位置補正機構、
110…ワイヤー引張調整部、111…トーションバー、112…トーションばね、
120…ワイヤー引張調整部、121…連結部材、125…中間機構、
126…中間部材、127…弾性部材、
130…ワイヤー引張調整部、131…補正機構、132…中間梁、
140…ワイヤー引張調整部、141…補正機構、142…中間梁、
143…変換てこ部材、180…車体傾斜装置、185…空気ばね式車体傾斜装置。

Claims (11)

  1. 車体と台車とを備えた鉄道車両において、前記車体の傾斜に拘わらず、前記車体の屋根上に配置されたパンタグラフと架線との相対変位を小さくするパンタグラフ位置補正機構であって、
    前記パンタグラフが載置され、車幅方向に移動可能なパンタグラフ支持架台と、
    前記パンタグラフ支持架台から前記車体の両側面に沿って、前記車体の下方まで引き通されたワイヤーと、
    前記台車と車幅方向両側に垂下した各前記ワイヤーとの間に設けられたワイヤー引張調整部を備え、
    前記ワイヤー引張調整部は、
    前記車体の前記台車に対する上下方向、左右方向、回動方向の相対変位を吸収し、前記車体が前記台車に対して傾斜した際に、前記ワイヤーを引張して前記パンタグラフ支持架台を車幅方向に移動させる、
    ことを特徴とするパンタグラフ位置補正機構。
  2. 前記ワイヤー引張調整部は、
    車幅方向に延在し、その軸周り方向に回動自在に前記台車に取り付けられ、両端部に前記ワイヤーがそれぞれ接続される、平面視コ字形状のトーションバーと、
    前記車体が前記台車に対して傾斜した際に、前記トーションバーの回動を規制する回動規制部と、を有し、
    前記トーションバーは、
    回動することにより、前記車体の前記台車に対する上下方向、左右方向、回動方向の相対変位を吸収し、前記車体が前記台車に対して傾斜した際に、前記回動規制部により回動が規制されて、前記トーションバーを介して前記ワイヤーが引張される、請求項1に記載のパンタグラフ位置補正機構。
  3. 前記ワイヤー引張調整部は、
    車幅方向に延在し、その軸周り方向に回動自在に前記台車に取り付けられる、平面視コ字形状のトーションバーと、
    一端が前記トーションバーの先端部に対して旋回可能に接続される一対の連結部材と、
    内部に弾性部材を含み、前記車体の両側面に設けられ、その一端が前記連結部材の他端に対して旋回可能に接続されるとともに、その他端が前記ワイヤーに接続される一対の中間部材と、を有し、
    前記トーションバーと前記連結部材とは、前記車体の前記台車に対する上下方向、左右方向、回動方向の相対変位を吸収し、
    前記車体が前記台車に対して傾斜した際に、内軌側の前記連結部材の上下方向の変位が前記弾性部材により吸収され、かつ前記中間部材を介して前記ワイヤーが引張される、請求項1に記載のパンタグラフ位置補正機構。
  4. 前記連結部材は、その両端が球面軸受を介して、前記中間部材及び前記トーションバーと接続される、請求項3に記載のパンタグラフ位置補正機構。
  5. 前記ワイヤー引張調整部は、
    車体の傾斜中心が車幅方向中央から外れている場合において、前記車体の両側面に引き通された各前記ワイヤーの変位量を略同一とする、請求項1に記載のパンタグラフ位置補正機構。
  6. 前記ワイヤー引張調整部は、
    車幅方向に延在し、その軸周り方向に回動自在に前記台車に取り付けられる、平面視コ字形状のトーションバーと、
    一端が前記トーションバーの先端部に対して旋回可能に接続される一対の連結部材と、
    前記車体の車幅方向中央において前記車体に対して揺動可能に接続され、車幅方向に延在する中間梁と、を有し、
    前記ワイヤーは、前記中間梁の車幅方向両端部に接続され、
    前記連結部材は、その他端が前記中間梁の前記車体に対する揺動中心と車幅方向端部との間にて、前記中間梁に対して旋回可能に接続され、
    前記車体が前記台車に対して傾斜した際に、前記中間梁が前記車体に対して傾斜して各前記ワイヤーの変位量を略同一にする、請求項5に記載のパンタグラフ位置補正機構。
  7. 前記ワイヤー引張調整部は、
    各前記ワイヤーの変位量と前記パンタグラフ支持架台の移動量とを略一致させる、請求項1に記載のパンタグラフ位置補正機構。
  8. 前記ワイヤー引張調整部は、
    車幅方向に延在し、その軸周り方向に回動自在に前記台車に取り付けられる、平面視コ字形状のトーションバーと、
    一端が前記トーションバーの先端部に対して旋回可能に接続される一対の連結部材と、
    前記車体の車幅方向中央において前記車体に対して揺動可能に接続された車幅方向に延在する中間梁と、
    その一端が前記車体に対して回動可能に接続されるとともに、その他端が前記ワイヤーに接続され、かつ、前記一端と前記他端との間に前記中間梁の車幅方向の端部が回動可能に接続される一対の変換てこ部材とを有する、請求項7に記載のパンタグラフ位置補正機構。
  9. 前記パンタグラフの支持架台に設けられ、前記車体の両側面に引き通された前記ワイヤーに張力を付与する張力付与装置をさらに有する、請求項1から7のいずれかに記載のパンタグラフ位置補正機構。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のパンタグラフ位置補正機構と、
    車体傾斜装置と、
    を備えたことを特徴とする鉄道車両。
  11. 請求項5から8のいずれかに記載のパンタグラフ位置補正機構と、
    空気ばね式車体傾斜装置と、
    を備えたことを特徴とする鉄道車両。
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