JP2013223277A - 電動モータ - Google Patents

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大輔 光岡
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Abstract

【課題】効果的な冷却が可能で、かつ容易に製作できるステータを備えた電動モータを提供する。
【解決手段】ろうや低融点合金などから作られた冷却流路と同一形状の螺旋状の流路模型を、圧粉磁心材料の内部に封入してステータ2を加圧成形する。成形後流路模型を除去することで、ステータ2内部の発熱部であるティース2aやコイル4の近傍に螺旋状の冷却流路2dを形成し、その冷却流路2dに水などの冷媒を流通する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電動モータに係り、特に圧粉磁心材料を用いたステータの冷却流路構造に関する。
従来、電動モータはステータ部において発生する鉄損、及び巻線部において発生する銅損による発熱をいかに効果的に除去するかという問題を有しており、この熱を除去するための構造を備える。例えば特許文献1では、ステータが挿入されるケーシング外周部にフィンを具備し、フィン部材の外側を冷媒流路とすることで、ハウジングに具備されたフィンを介してステータを冷却する。
図6は、従来例として特許文献2に開示された電動モータ21の概要を示した断面図である。電動モータ21は、ステータ22と、外周面を円周方向に着磁されたロータ23と、上部ケーシング26および下部ケーシング27と、ロータ23の中心軸をなす軸25を支持する軸受29より構成される。
ステータ22は、ティース部(図示せず)にコイル24が巻かれ、複数のティース部の巻線部に順次通電することにより回転磁界を発生させる。ステータ22は、外周部に1本の螺旋状の溝22aを備えた圧粉磁心材料を用いた加圧成型品であり、下部ケーシング27に挿入される。溝22aは、溝の始端と終端を下部ケーシング27に設けられた注入パイプ34と排出パイプ35にそれぞれ連通するように配置されている。ステータ22の冷却は、ステータ外周部の溝22aに直接冷媒を流すことで行われる。
特開2003−247628号公報 特開2006−320054号公報
上記特許文献1では、ステータとフィンを具備するケーシングが別部材であるため、両者の境界の表面性状または密着度に依存する熱伝導における熱抵抗が大きく、冷却効果は低い。
また、特許文献2では、ステータに直接冷媒流路を設けることで、別部材間の熱伝導による熱抵抗はないが、発熱部(ステータティース部及び巻線部)からの距離が離れており冷却効果は低い。
上記課題を解決するために、本発明は、中空円筒状のステータと、前記ステータに回転磁界を生ぜしめるために電流が供給されるコイルと、前記ステータの中空円筒部分に回転自在に挿入されるとともに円周方向に着磁されたロータと、前記ロータの回転支持機構と、前記回転支持機構を保持するハウジングと、からなる電動モータにおいて、前記ステータが、中実部に1本または複数の連続する冷却用流路を形成するとともに、前記冷却用流路の両端部に冷媒の注入口および排出口を備えた圧粉磁心材料による加圧成形品であることを特徴とする。
本発明は、前記冷却用流路が、流路模型を圧粉磁心材料の内部に封入して加圧成形されたステータから、流路模型材料を除去することによって形成された空間であることが好適である。
また本発明は、前記流路模型が、ろう、低融点合金、カルシウムや亜鉛などのイオン化傾向の高い金属、または塩化ナトリウムや岩塩等の水溶性の塩で作られていることが好適である。
さらに本発明は、前記冷却用流路が、1本または複数の連続する螺旋状流路であってもよい。
本発明は、前記冷却用流路が、複数個の独立したリング状流路と前記リング状流路同士を複数の軸方向流路で連通するカスケード形流路であってもよい。
ステータの内周部及び内部の発熱部近傍に冷却流路を具備することで、非常に効果的なステータの冷却を達成することができる。
圧粉磁心材料によるステータ成型時に、任意の3次元の冷却流路構造をした模型の封入および成形後の模型材料の除去による流路製造方法により、効果的な冷却流路を構成することが可能となる。
本発明における実施例の電動モータの概要を示した断面図である。 本発明における実施例の電動モータのステータの側面図である。 本発明の実施例における螺旋状流路模型を示す。 本発明における変形例の2重螺旋状流路模型を示す。 本発明における他の変形例のカスケード形流路模型を示す。 従来の電動モータの概要を示した断面図である。
図1は、本発明における実施例の電動モータ1の概要を示した断面図である。また、図2は、本発明における実施例の電動モータ1のステータ2の側面図である。電動モータ1は、ステータ2と、外周面を円周方向に着磁されたロータ3と、ケーシング6およびプレート7、8と、ロータ3の中心軸をなす軸5を回転支持する軸受9より構成される。
ステータ2は、圧粉磁心材料により加圧成型されており、その軸心部はロータ3が挿入されるように中空形状となっている。ステータ2の内周部には等間隔にスロット2bおよびロータ3と磁路を構成するためのティース2aが所定数だけ設けられており、ティース2aにコイル4が所定数だけ巻きつけられる。
ステータ2内部の発熱部であるティース2a及びコイル4の近傍に、螺旋状の冷却流路2dが設けられている。冷却流路2dはステータ外周面左右に注入口10および排出口11を備える。注入口10および排出口11の位置に対応して、ケーシング6に冷媒を通すための注入パイプ14および排出パイプ15が設けられている。また、冷媒の漏れを防ぐために、ステータ2の外周部にOリング用溝12b、12cを、ケーシング6にOリング用溝13bを設け、それぞれOリング12および13を取り付ける。
したがって、ステータ2の発熱部近傍に冷却流路2dが設けられていることから、注入パイプ14および排出パイプ15を介して冷却流路2dに水やエチレングリコールなどの冷媒を流通させることで、非常に効果的な冷却が可能となる。
ステータ2を形成する圧粉磁心材料は、微小鉄粉に電気絶縁性の被膜を施したものである。金型を用いてこの圧粉磁芯材料を加圧成型することでステータ2は成形される。図3に本発明の実施例における螺旋状流路模型31を示す。加圧成型の際に、図3に示す螺旋状流路模型31を金型内部に圧粉磁心材料と一緒に封入して加圧成形を行う。螺旋状流路模型31は、螺旋状の冷却流路2dと同形状であり、冷却流路2dに模型材料を流し込んで固めたものと同一の形状である。
また、この模型の材料は、ろう、低融点合金、カルシウムや亜鉛などのイオン化傾向の高い金属、または塩化ナトリウムや岩塩等の水溶性の塩を用いる。さらに、ステータ2の成形後に模型材料を除去することで、発熱部であるティース2aやコイル4近傍に螺旋状の冷却流路2dが形成される。ろうや低融点合金は加熱して溶解させて除去し、カルシウムや亜鉛などのイオン化傾向の高い金属は、イオン化傾向の低い金属イオンを含む水溶液に浸漬し溶解させて除去し、塩化ナトリウムや岩塩等の水溶性の塩は、水で溶解させて除去する。
図4に、本発明における変形例の2重螺旋状流路模型32を示す。図4に示す2重螺旋状流路模型32は、同一形状の螺旋状模型33と螺旋状模型36を互いに回転方向に180度ずらして配置した2重螺旋構造である。図4に示す通り、螺旋状模型33の注入部37と排出部38および螺旋状模型36の注入部39と排出部40が180度ずれて対抗した位置に配置されている。
なお、電動モータ1では、ステータ2とロータ3が、ケーシング6と、プレート7および8と、軸受9を介して適正な隙間を保って支持され、コイル4に電流を供給することで、回転界磁がステータ2に生じ、ロータ3と磁路を形成することで、ロータ3は回転する。
図5は、本発明の他の実施例を示す。図5は、冷却流路として、カスケード形の冷却流路を形成するために用いるカスケード形流路模型20を示す。カスケード形流路模型20は、3箇のリング状流路模型16、17、18と、複数個の軸方向流路模型19と、注入流路模型28および排出流路模型30を互いに接続することによって作られる。カスケード形流路を備えたステータは、ステータ2と同様に、カスケード形流路模型20を圧粉磁心材料と一緒に封入して加圧成形され、加圧成型後カスケード形流路模型20を除去することにより形成される。
1、21 電動モータ
2、22 ステータ
2a ティース
2b スロット
2d 冷却流路
3、23 ロータ
4、24 コイル
5、25 軸
6 ケーシング
7、8 プレート
9、29 軸受
10 注入口
11 排出口
12、13 Oリング
12b、12c、13b Oリング用溝
14、34 注入パイプ
15、35 排出パイプ
16、17、18 リング状流路模型
19 軸方向流路模型
20 カスケード形流路模型
22a 溝
26 上部ケーシング
27 下部ケーシング
28 注入流路模型
30 排出流路模型
31 螺旋状流路模型
32 2重螺旋状流路模型
33、36 螺旋状模型
37、39 注入部
38、40 排出部

Claims (5)

  1. 中空円筒状のステータと、前記ステータに回転磁界を生ぜしめるために電流が供給されるコイルと、前記ステータの中空円筒部分に回転自在に挿入されるとともに円周方向に着磁されたロータと、前記ロータの回転支持機構と、前記回転支持機構を保持するハウジングと、からなる電動モータにおいて、前記ステータが、中実部に1本または複数の連続する冷却用流路を形成するとともに、前記冷却用流路の両端部に冷媒の注入口および排出口を備えた圧粉磁心材料による加圧成形品であることを特徴とする電動モータ。
  2. 前記冷却用流路が、流路模型を圧粉磁心材料の内部に封入して加圧成形されたステータから、流路模型材料を除去することによって形成された空間であることを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。
  3. 前記流路模型が、ろう、低融点合金、カルシウムや亜鉛などのイオン化傾向の高い金属、または塩化ナトリウムや岩塩等の水溶性の塩で作られていることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項に記載の電動モータ。
  4. 前記冷却用流路が、1本または複数の連続する螺旋状流路であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電動モータ。
  5. 前記冷却用流路が、複数個の独立したリング状流路と前記リング状流路同士を複数の軸方向流路で連通するカスケード形流路であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電動モータ。
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