JP2013222651A - 照明装置、および睡眠障害治療器 - Google Patents

照明装置、および睡眠障害治療器 Download PDF

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Abstract

【課題】積極的にメラトニンの分泌を促すことが出来る照明装置ならびに睡眠障害治療器を提供する。
【解決手段】白色光源と入眠誘発光源と変更部とを備える照明装置が採用される。ここで、白色光源は、白色光を発する。また、入眠誘発光源は、580nm以上で且つ800nm以下の波長の入眠誘発光を発する。更に、変更部は、入眠誘発光源の発光状態を変更する。上記照明装置が採用される場合、580nm以上で且つ800nm以下の波長の入眠誘発光がユーザーの眼に作用することで、積極的にメラトニンの分泌が促され得る。
【選択図】図9

Description

本発明は、照明装置および睡眠障害治療器に関する。
従来から、照明光の色が人の睡眠に与える影響については、脳の松果体から分泌されるメラトニンが深く関与しているものと考えられている。そして、青色の照明光によってメラトニンの分泌を抑制することで、人の意識の覚醒を促す照明装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3等)。
例えば、特許文献1では、照明光の直下以外の部分に照射される照明光のうち、メラトニンの分泌を抑制する青色の波長成分がフィルターによって低減される技術が提案されている。この技術によれば、照明光の直下の部分における演色性が維持されるとともに、人体に対するメラトニンの分泌が抑制されない。
また、特許文献2では、主な発光波長のピーク範囲が略530〜580nm及び600〜650nmである蛍光灯に、メラトニンの分泌を抑制する464nm付近の波長成分の光を発するLEDが組み合わされた照明装置が提案されている。この照明装置によれば、LEDの発光強度の増減により、メラトニンの分泌の抑制効果が制御されるとともに、簡単な構成で色ムラの少ない自然な照明光が得られる。
また、特許文献3では、各LEDから発せられる赤、緑、青色の光によって白色の照明光が生成される光源装置において、発光波長のピーク範囲が約420〜470nm及び470〜520nmである2つの青色の光が切り替えられる技術が提案されている。この技術によれば、メラトニンの分泌が抑制される効果が制御され得る。
特開2009−32484号公報 特開2009−4325号公報 特開2007−173557号公報
しかしながら、上記特許文献1の照明装置では、照明光のうちのメラトニンの分泌を抑制する青色の波長成分が低減され得るが、メラトニンの分泌を促進させることは出来ない。また、上記特許文献2の照明装置では、メラトニンの分泌を抑制する青色の光が増減されるものの、メラトニンの分泌を促進させることは出来ない。また、上記特許文献3の光源装置では、メラトニンの分泌の抑制が制御されるものの、メラトニンの分泌を促進させることは出来ない。すなわち、上記特許文献1〜3の何れの技術においても、メラトニンの分泌の抑制が制御され得るものの、積極的にメラトニンの分泌を促すことが出来ない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、積極的にメラトニンの分泌を促すことが出来る照明装置ならびに睡眠障害治療器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る照明装置は、白色光を発する白色光源と、580nm以上で且つ800nm以下の波長の入眠誘発光を発する入眠誘発光源と、前記入眠誘発光源の発光状態を変更する変更部とを備える。
第2の態様に係る照明装置は、第1の態様に係る照明装置であって、入眠設定タイミングに係る情報の入力を受け付ける受付部、を更に備え、前記変更部が、前記入眠設定タイミングの所定時間前から前記入眠誘発光源を点灯させるか、または前記入眠誘発光源の発光強度を上昇させる。
第3の態様に係る照明装置は、第2の態様に係る照明装置であって、前記所定時間が、2時間である。
第4の態様に係る照明装置は、第1から第3の何れか1つの態様に係る照明装置であって、前記入眠誘発光の波長が、750nm以上で且つ800nm以下である。
第5の態様に係る照明装置は、第1から第4の何れか1つの態様に係る照明装置であって、該照明装置から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下である。
第6の態様に係る照明装置は、第1から第4の何れか1つの態様に係る照明装置であって、該照明装置から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W・m−2・sr−1・nm−1以下である。
第7の態様に係る照明装置は、第1から第6の何れか1つの態様に係る照明装置であって、人体に対してメラトニンの分泌を抑制する作用を有する波長成分の光を発する覚醒用光源を更に備え、前記覚醒用光源は発光状態を前記変更部によって変更される。
第8の態様に係る照明装置は、第7の態様に係る照明装置であって、前記変更部が、前記入眠誘発光源および前記覚醒用光源の発光状態を変更することで、前記照明装置を、前記入眠誘発光源の発光強度が前記覚醒用光源の発光強度よりも高い入眠誘発状態と、前記覚醒用光源の発光強度が前記入眠誘発光源の発光強度よりも高い覚醒誘発状態とに設定する。
第9の態様に係る睡眠障害治療器は、580nm以上で且つ800nm以下の波長の入眠誘発光を発する入眠誘発光源と、ユーザーが予め決められた姿勢で体を当接させることで、前記入眠誘発光源から発せられる前記入眠誘発光が照射される被照射領域に該ユーザーの顔を配置する姿勢設定部と、前記入眠誘発光源の発光状態を変更する変更部とを備える。
第10の態様に係る睡眠障害治療器は、第9の態様に係る睡眠障害治療器であって、入眠設定タイミングに係る情報の入力を受け付ける受付部を更に備え、前記変更部が、前記入眠設定タイミングの所定時間前から前記入眠誘発光源を点灯させるか、または前記入眠誘発光源の発光強度を上昇させる。
第11の態様に係る睡眠障害治療器は、第10の態様に係る睡眠障害治療器であって、前記所定時間が、2時間である。
第12の態様に係る睡眠障害治療器は、第9から第11の何れか1つの態様に係る睡眠障害治療器であって、前記入眠誘発光の波長が、750nm以上で且つ800nm以下である。
第13の態様に係る睡眠障害治療器は、第9から第12の何れか1つの態様に係る睡眠障害治療器であって、該睡眠障害治療器から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下である。
第14の態様に係る睡眠障害治療器は、第9から第12の何れか1つの態様に係る睡眠障害治療器であって、該睡眠障害治療器から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W/m・sr−1・nm−1以下である。
第15の態様に係る睡眠障害治療器は、第9から第14の何れか1つの態様に係る睡眠障害治療器であって、人体に対してメラトニンの分泌を抑制する作用を有する波長成分の光を発する覚醒用光源を更に備え、前記覚醒用光源は発光状態を前記変更部によって変更される。
第16の態様に係る睡眠障害治療器は、第15の態様に係る睡眠障害治療器であって、前記変更部が、前記入眠誘発光源および前記覚醒用光源の発光状態を変更することで、前記睡眠障害治療器を、前記入眠誘発光源の発光強度が前記覚醒用光源の発光強度よりも高い入眠誘発状態と、前記覚醒用光源の発光強度が前記入眠誘発光源の発光強度よりも高い覚醒誘発状態とに設定する。
第1の態様に係る照明装置および第9の態様に係る睡眠障害治療器の何れによっても、580nm以上で且つ800nm以下の波長の入眠誘発光が眼に作用することで、積極的にメラトニンの分泌が促され得る。
第2の態様に係る照明装置および第10の態様に係る睡眠障害治療器の何れによっても、入眠設定タイミングにメラトニンの分泌が促され得る。
第3の態様に係る照明装置および第11の態様に係る睡眠障害治療器の何れによっても、入眠設定タイミングにおける入眠が促され得る。
第4の態様に係る照明装置および第12の態様に係る睡眠障害治療器の何れによっても、750nm以上で且つ800nm以下の波長成分の光に対する人の視感度が低いため、演色性が低下し難い。
第5および第6の態様に係る照明装置ならびに第13および第14の態様に係る睡眠障害治療器の何れによっても、眼に与えられる刺激が強くなり過ぎないため、眼に優しい発光が実現され得る。
第7および第8の態様に係る照明装置ならびに第15および第16の態様に係る睡眠障害治療器の何れによっても、メラトニンの分泌の促進および抑制の双方が制御され得る。
第1実施形態に係る睡眠障害治療器の外観を例示する図である。 第1実施形態に係る照明部の一構成例を模式的に示す分解図である。 第1実施形態に係る照明部における面発光の原理を説明するための図である。 白色LEDから発せられる光の分光分布を示す図である。 照明部から発せられる入眠誘発光の特性を例示する図である。 入眠誘発光の射出時における発光部の分光放射輝度を例示する図である。 太陽光の分光放射照度を例示する図である。 第1実施形態に係る睡眠障害治療器の機能的な構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る照明装置の外観を例示する斜視図である。 第2実施形態に係る照明部の一構成例を模式的に示す分解図である。 蛍光灯から発せられる光の分光分布を示す図である。 第2実施形態に係る照明装置の機能的な構成を示すブロック図である。 実験用の照明装置の外観を模式的に示す図である。 実験用の照明装置における光源の配置の一例を模式的に示す図である。 実験用の照明装置における発光態様の一例を模式的に示す断面図である。 実験用の照明装置および白熱電球に係る分光放射輝度を示す図である。 実験中に照明が点灯されるタイミングを示すタイミングチャートである。 実験中に採取された唾液におけるメラトニンの濃度についての測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の第1実施形態、第2実施形態および各種変形例を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。なお、図2、図3および図10には、光源部21,21Aからの光の射出方向を+X方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
<(1)第1実施形態>
<(1−1)睡眠障害治療器の概略構成>
図1は、第1実施形態に係る睡眠障害治療器1の外観を例示する図である。睡眠障害治療器1は、不眠症等に代表される入眠や睡眠に何らかの異常のある状態としての睡眠障害を治療するための機器である。なお、入眠とは、実際に眠りにつくことを意味しており、具体的には、意識が覚醒した状態から睡眠の状態へ移行することを意味する。
図1で示されるように、睡眠障害治療器1は、主に、姿勢設定部としての寝具部10と、照明部20とを備えている。
寝具部10は、例えば、ベッドであれば良い。寝具部10には、ベッド上に配されるマットレス、敷き布団、掛け布団および枕等が含まれても良い。この場合、ベッド上に、マットレス、敷き布団および掛け布団がこの順に配される。そして、枕は、敷き布団の上面における長手方向の一端側に配される。
照明部20は、寝具部10上に患者が仰向けに寝た場合に、患者の顔に対向するように配されている。例えば、照明部20は、複数枚(例えば、5枚)の平面状の発光面を有していれば良い。そして、この複数枚の発光面が、寝具部10のうちの枕が配される領域付近を、寝具部10の長手方向に平行な軸を中心として半円状に囲むように配されていれば良い。
ここでは、ユーザーとしての患者が、予め決められた姿勢で寝具部10に対して体を当接させることで、照明部20から発せられる光が照射される領域(被照射領域とも言う)10Faに患者の顔が配置され得る。なお、予め決められた姿勢は、例えば、敷き布団の上面の長手方向に沿って患者が仰向けに寝ることで、患者の背中が敷き布団を介してベッドの上面に当接するとともに、患者の後頭部が枕および敷き布団を介してベッドの上面に当接する姿勢であれば良い。この場合、ベッドの上面に対して、敷き布団および枕を介して患者の背中が当接することで、寝具部10上に仰向けに寝ている患者の顔を半円状に囲むように照明部20が配されている状態となる。
<(1−2)照明部の構成>
図2は、第1実施形態に係る照明部20の一構成例を模式的に示す分解図である。
図2で示されるように、照明部20は、例えば、光源部21、導光フィルム22、反射板23および拡散フィルム24を備えている。
光源部21は、580nm以上で且つ800nm以下の波長を有する赤味を帯びた光(入眠誘発光とも言う)を発する光源(入眠誘発光源とも言う)1rを備えている。この入眠誘発光がユーザーとしての患者の眼に作用することで、積極的に患者の脳からのメラトニンの分泌が促され得る。なお、入眠誘発光源1rは、例えば、主として赤味を帯びた光を発する光源であっても良いし、赤みを帯びた光の波長成分を多く含む光を発する光源であっても良い。すなわち、入眠誘発光源1rは、例えば、赤味を帯びた光の波長成分を他の色の波長成分よりも多く含む光を発する光源であれば良い。具体的には、入眠誘発光源1rとしては、例えば、赤味を帯びた光を発するLEDが採用され得る。
また、光源部21は、人体に対してメラトニンの分泌を抑制する作用を有する波長成分の光(覚醒用光とも言う)としての青色光を発する光源(覚醒用光源とも言う)1wを備えている。ここで、覚醒用光は、例えば、464nm付近の波長を有する光であれば良い。この覚醒用光が患者の眼に照射されることで、患者の脳からのメラトニンの分泌が抑制され得る。これにより、患者の意識の覚醒が促される効果(覚醒効果とも言う)が得られる。なお、覚醒用光源1wは、例えば、主として青色光を発する光源であっても良いし、青色光の波長成分を多く含む光を発する光源であっても良い。すなわち、覚醒用光源1wは、例えば、青色光の波長成分を他の色の波長成分よりも多く含む光を発する光源であれば良い。
そして、照明部20では、入眠誘発光と覚醒用光とが選択的に発せられれば良い。これにより、寝具部10上で寝ている患者の脳からのメラトニンの分泌の促進と抑制とが制御され得る。
光源部21では、複数の覚醒用光源1wおよび複数の入眠誘発光源1rが一方向(ここでは、+Y方向)に配列されている。例えば、第1の所定数(例えば3つ)の覚醒用光源1wと第2の所定数(例えば1つ)の入眠誘発光源1rとが1つの光源群を成し、複数の該光源群が一方向に配列されていれば良い。各覚醒用光源1wおよび各入眠誘発光源1rは、+X方向に向けて光を射出する。
導光フィルム22は、例えば、板状の透明のフィルムであれば良い。なお、導光フィルム22内では、例えば、導光フィルム22内を進む光の進行方向が上下の2主面の法線に対して所定角(例えば、42°)以上の傾きを有する場合には、導光フィルム22内を進む光が、導光フィルム22の上下の2主面において全反射する。
但し、導光フィルム22の下側(−Z側)の主面には、光取出部としての拡散ドット221が配されている。拡散ドット221は、例えば、導光フィルム22の下側(−Z側)の主面を粗面化させる役割を有する。この場合、導光フィルム22内を進む光は、拡散ドット221によって乱反射される。拡散ドット221は、例えば、印刷法によって形成され得る。なお、拡散ドット221の代わりに、インクジェット法によって形成され得る半球状のドットあるいはV字状の傾斜面を有する偏向部が、光取出部として設けられても良い。
反射板23は、例えば、+Z側の主面において光を反射するものであれば良い。拡散フィルム24は、例えば、入射光を拡散させて射出するものであれば良い。
図3は、照明部20における面発光の原理を説明するための図である。上記構成を有する照明部20では、導光フィルム22の−X側の側面を介して、各覚醒用光源1wおよび各入眠誘発光源1rから射出される光が導光フィルム22内に導入される。そして、図3の破線で描かれた矢印で示されるように、導光フィルム22の側面から該導光フィルム22内に入射した光は、導光フィルム22の上下の主面で全反射しながら、導光フィルム22の内部を進む。このとき、導光フィルム22の内部を進む光が、拡散ドット221において乱反射し、拡散フィルム24を介して、+Z方向に射出される。つまり、拡散フィルム24の+Z側の主面が光を放射する発光部24eとなる。
この場合、反射板23の存在によって、導光フィルム22の−Z側に漏れ出る光が、導光フィルム22内に戻され得る。また、拡散フィルム24の存在によって、発光部24eとしての拡散フィルム24の+Z側の主面において+Z方向に射出される光(照明光とも言う)が2次元的に均一なものに近づけられ得る。これにより、高効率で均一な光を射出する面発光が実現され得る。その結果、患者が発光部24eを直視しても眩しくない程度の明るい照明が実現され得る。
<(1−3)覚醒用光および入眠誘発光>
覚醒用光源1wは、例えば、青色光を発する発光ダイオード(青色LEDとも言う)と黄色発光蛍光体とが組み合わされた白色光を発するLED(白色LEDとも言う)であれば良い。ここで、青色LEDは、例えば、450nmの波長において分光放射輝度のピークを呈するものであれば良い。この場合、白色LEDから発せられる白色光は、図4で示されるような分光分布を呈する。図4で示されるように、白色LEDから発せられる白色光には、高い覚醒効果が得られる464nm付近の波長成分が青色以外の波長成分よりも多く含まれる。
ここで、患者の脳からのメラトニンの分泌が抑制される効果(メラトニン分泌抑制効果とも言う)および覚醒効果については、患者間における差が存在する。このため、覚醒用光源1wの発光時における発光部24eの分光放射輝度が自在に変更可能であれば、患者に応じた治療が可能となる。
図5は、入眠誘発光源1rから発せられる入眠誘発光の特性を例示する図である。図6は、入眠誘発光の射出時における照明部20の分光放射輝度を例示する図である。なお、図5では、入眠誘発光源1rとして第1〜8LEDがそれぞれ採用された場合における入眠誘発光の特性が示されている。図5におけるピーク波長は、入眠誘発光源1rの発光時に分光放射輝度が最大となる波長である。また、図5における半値幅は、発光時に入眠誘発光源1rの分光放射輝度が最大値の半分以上の値を呈する波長の幅である。図6における曲線1L〜8Lは、入眠誘発光源1rとして第1〜8LEDがそれぞれ採用された場合について、入眠誘発光源1rの発光時における発光部24eの分光放射輝度が示されている。
また、ここで、患者の脳からのメラトニンの分泌を促進させる効果(メラトニン分泌促進効果とも言う)および入眠を誘発する効果(入眠誘発効果とも言う)についても、患者間における差が存在する。このため、入眠誘発光源1rの発光時における発光部24eの分光放射輝度が自在に変更可能であれば、患者に応じた治療が可能となる。
但し、発光部24eから発せられる照明光の放射照度が高過ぎると、患者が眼を開く事が出来なくなる。そこで、照明光の分光放射照度が、太陽光の分光放射照度と同等またはそれ以下に設定されることで、患者の眼に与えられる刺激が強くなり過ぎず、患者の眼に優しい発光が実現され得る。
具体的には、太陽光の分光放射照度の一例は、図7で示されるものである。図7では、エアマス(AM)が0である大気圏外における太陽光の分光放射照度が曲線AMで示され、エアマス(AM)が1.5である地上における太陽光の分光放射照度が棒グラフAM1.5で示されている。図7で示されるように、地上に照射される太陽光における600nm付近の波長成分に係る分光放射照度は、2W・m−2・nm−1以下である。このため、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下であれば、患者の眼に優しい発光が実現され得る。
また、通常は、人は、太陽光が地上付近において反射した光を視認する。このため、地上付近における太陽光の標準的な反射光が想定されて、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.043W・m−2・sr−1・nm−1程度とされても良い。具体的には、図7で示されるように、例えば、太陽光においては、入眠誘発光の波長範囲に相当する580nm以上で且つ800nm以下の波長範囲では、1.5W・m−2・nm−1程度の分光放射照度を有する。そこで、1.5W・m−2・nm−1の分光放射照度を有する太陽光が、完全拡散反射を生じさせる18%標準反射板に照射される場合を想定する。この場合、18%標準反射板上での輝度として、立体放射角が2πとされ且つ反射率が18%とされると、0.043(≒(1.5/2π)×0.18)W・m−2・sr−1・nm−1が算出され得る。
なお、地上付近における太陽光の反射率が25%以下で且つ立体放射角が2πで反射する場合が想定されて、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W・m−2・sr−1・nm−1以下に設定されても良い。これにより、患者の眼に優しい発光がより確実に実現され得る。
図6で示される発光部24eの分光放射輝度は、太陽光が18%標準反射板上で反射された場合における分光放射輝度に合わせた値に概ね設定されている。
また、入眠誘発光源1rとして、第1〜8LEDのうちの2種類以上のLEDが設けられ、患者によって、発光させるLEDの種類が切り替えられても良い。この場合、患者に応じてメラトニン分泌促進効果および入眠誘発効果が高いLEDが採用されることで、眩し過ぎず且つ入眠誘発効果が高い状態が実現され得る。また、例えば、入眠誘発光源1rに、第1〜8LEDのうちの2種類以上のLEDの組み合わせが採用され、該2種類以上のLEDを同時期に発光させることで、入眠誘発光が射出されても良い。
<(1−4)照明部における発光の制御>
図8は、第1実施形態に係る睡眠障害治療器1の機能的な構成を示すブロック図である。図8で示されるように、睡眠障害治療器1は、照明部20、変更部30および受付部40を備えている。変更部30は、照明部20に対して電気的に接続されている。受付部40は、変更部30に対して電気的に接続されている。
受付部40は、患者を入眠させたいタイミング(入眠設定タイミングとも言う)に係る情報、および患者を起床させたいタイミング(起床設定タイミングとも言う)に係る情報の入力を受け付ける部分である。
ここで、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報は、例えば、時刻を示す絶対的な数値の情報であっても良いし、ある時点を基準とした何時間後といった相対的な数値の情報であっても良い。例えば、受付部40に、各種ボタンが設けられており、オペレーターによる各種ボタンの操作に応じて、受付部40が、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報の入力を受け付ける態様が採用され得る。また、例えば、受付部40が、他の機器であるパーソナルコンピュータ等にデータ受信可能に接続されており、該他の機器からの入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報の入力を受け付けても良い。また、受付部40は、照明部20内に配されている覚醒用光源1wおよび入眠誘発光源1rにおける点灯および消灯の情報を受け付けても良い。なお、受付部40において受け付けられる各種情報は、変更部30に入力される。
変更部30は、照明部20における覚醒用光源1wおよび入眠誘発光源1rの発光状態をそれぞれ変更する。発光状態の変更には、光源の点灯および消灯の変更だけでなく、光源の発光強度の強弱の変更も含まれる。ここで、例えば、変更部30は、例えば、照明部20に配されている覚醒用光源1wおよび入眠誘発光源1rに対する電力の供給を制御する各種スイッチング素子等を含む電気回路であれば良い。
そして、変更部30は、覚醒用光源1wおよび入眠誘発光源1rの発光状態を変更することで、照明部20を、入眠誘発光源1rの発光強度が覚醒用光源1wの発光強度よりも高い状態(入眠誘発状態とも言う)に設定し得る。つまり、睡眠障害治療器1を入眠誘発状態に設定し得る。また、変更部30は、覚醒用光源1wおよび入眠誘発光源1rの発光状態を変更することで、照明部20を、覚醒用光源1wの発光強度が入眠誘発光源1rの発光強度よりも高い状態(覚醒誘発状態とも言う)に設定し得る。つまり、睡眠障害治療器1を覚醒誘発状態に設定し得る。このように、睡眠障害治療器1が、入眠誘発状態および覚醒誘発状態に選択的に設定されることで、メラトニンの分泌の促進および抑制の双方が制御され得る。
また、変更部30は、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光源1rを点灯させる。なお、変更部30が、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光源1rの発光強度を上昇させても良い。すなわち、変更部30は、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光源1rを点灯させるか、または入眠誘発光源1rの発光強度を上昇させれば良い。ここで、所定時間は、例えば、2時間であれば良い。
例えば、午後9時から午前6時までの睡眠を促して治療する場合、入眠設定タイミングである午後9時の2時間前である午後7時から入眠誘発光源1rが点灯し且つ覚醒用光源1wが消灯している状態に照明部20が設定されれば良い。これにより、入眠設定タイミングに患者におけるメラトニンの分泌が促され得る。そして、入眠設定タイミングにおける入眠が促され得る。また、午後7時までは入眠誘発光源1rの発光強度が低く設定されており、午後7時から入眠誘発光源1rの発光強度が高められても良い。なお、入眠設定タイミングである午後9時には、入眠誘発光源1rの発光強度が低減されれば、患者が安眠出来る環境が実現され得る。更に、入眠誘発光源1rの発光強度が零まで低減されて、入眠誘発光源1rが消灯されれば、患者が更に安眠出来る環境が実現され得る。
また、変更部30は、起床設定タイミングにおいて覚醒用光源1wを点灯させる。なお、変更部30が、起床設定タイミングにおいて覚醒用光源1wの発光強度を上昇させても良い。すなわち、変更部30は、覚醒設定タイミングにおいて覚醒用光源1wを点灯させるか、または覚醒用光源1wの発光強度を上昇させれば良い。
例えば、午後9時から午前6時までの睡眠を促して治療する場合、起床設定タイミングである午前6時から覚醒用光源1wが点灯し且つ入眠誘発光源1rが消灯している状態に照明部20が設定されれば良い。これにより、起床設定タイミングに患者におけるメラトニンの分泌が抑制され得る。その結果、起床設定タイミングにおける患者の意識の覚醒が促され得る。すなわち、患者の目覚めを助ける環境が実現され得る。また、午前6時まで覚醒用光源1wの発光強度が低く設定されており、午前6時から覚醒用光源1wの発光強度が高められても良い。
上述した入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1wの発光状態を変更する制御は、例えば、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報が時刻を示す絶対的な数値の情報である場合、変更部30が時刻の認識が可能な機能を有することで実現され得る。また、例えば、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報が何時間後といった相対的な数値の情報である場合、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1wの発光状態を変更する制御は、変更部30がタイマー機能を有することで実現され得る。
上述したように、覚醒用光源1wおよび入眠誘発光源1rの点灯および消灯が制御されることで、入眠設定タイミングの前に入眠誘発光が射出され、起床設定タイミングにおいて覚醒用光が射出される。この場合、患者が照明部20を直視することにより、患者の入眠および意識の覚醒が促進される。その結果、患者の生活リズムの改善が図られ得る。
<(1−5)第1実施形態のまとめ>
以上のように、第1実施形態に係る睡眠障害治療器1によれば、姿勢設定部としての寝具部10に予め決められた姿勢で患者の体を当接させることで、580nm以上で且つ800nm以下の波長を有する入眠誘発光がユーザーである患者の眼に照射され得る。これにより、積極的に患者の脳からのメラトニンの分泌が促進され得る。
また、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光がユーザーである患者の眼に照射され得る。これにより、入眠設定タイミングにおけるメラトニンの分泌が促され得る。具体的には、入眠設定タイミングの2時間前から入眠誘発光が患者の眼に照射されれば、入眠設定タイミングにおける患者の入眠が促され得る。
また、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下であれば、患者の眼に与えられる刺激が強く成り過ぎない。その結果、患者の眼に優しい発光が実現され得る。さらに、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W・m−2・sr−1・nm−1以下に設定されれば、患者の眼に優しい発光がより確実に実現され得る。
また、覚醒用光源1wおよび入眠誘発光源1rの発光状態が変更されることで、睡眠障害治療器1が、入眠誘発状態または覚醒誘発状態に選択的に設定される。これにより、患者の脳からのメラトニンの分泌の促進および抑制の双方が制御され得る。
<(2)第2実施形態>
上記第1実施形態に係る睡眠障害治療器1は、睡眠障害の治療を主目的とした機器であった。これに対して、第2実施形態に係る照明装置1Aは、通常の照明装置としての使用が可能であるとともに、ユーザーの入眠ならびに意識の覚醒の促進が可能である。
以下、第2実施形態に係る照明装置1Aについて説明する。
<(2−1)照明装置の概略構成>
図9は、第2実施形態に係る照明装置1Aの外観を例示する図である。照明装置1Aは、ユーザーに対して入眠ならびに意識の覚醒を促すことが可能な天井照明である。
図9で示されるように、照明装置1Aは、主に、支持部2A、照明部20Aおよび受付部40Aを備えている。
支持部2Aは、照明部20Aを保持するための枠状の部分である。支持部2A内には、変更部30Aが配されている。
照明部20Aは、例えば、シート状の形状を有する。照明部20Aの主面の形状としては、例えば、一辺が所定の長さを有する正方形が採用され得る。ここで、所定の長さとしては、例えば、約600mmが採用され得る。なお、照明装置1Aが、複数の照明部20Aを有していれば、各照明部20Aにおける面発光の発光強度が低減され得る。これにより、直視しても眩しくない程度の明るい照明装置が実現され得る。また、1つの照明部20Aにおける発光部24eの面積を増大させても、同様な効果が得られる。
変更部30Aは、照明部20Aにおける発光状態を変更する。そして、変更部30Aは、受付部40Aに対してデータの受信が可能に接続されている。この接続の方式は、無線方式であっても有線方式であっても良い。変更部30Aは、受付部40Aから入力される各種情報に基づいて、照明部20Aにおける発光状態を変更する。
受付部40Aは、照明部20Aの発光状態の変更に関する各種情報の入力を受け付ける。そして、受付部40Aは、各種情報を、変更部30Aに送信する。
<(2−2)照明部の構成>
図10は、第2実施形態に係る照明部20Aの一構成例を模式的に示す分解図である。
図10で示されるように、照明部20Aは、上記第1実施形態に係る照明部20がベースとされて、光源部21が光源部21Aに変更されたものである。
光源部21Aは、白色光源1wA、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bを備えている。光源部21Aでは、複数の白色光源1wA、複数の入眠誘発光源1rおよび複数の覚醒用光源1bが一方向(ここでは、+Y方向)に配列されている。例えば、第3の所定数(例えば2つ)の白色光源1wAと第4の所定数(例えば1つ)の覚醒用光源1bと第5の所定数(例えば1つ)の入眠誘発光源1rとが1つの光源群を成し、複数の該光源群が一方向に配列されていれば良い。各白色光源1wA、各入眠誘発光源1rおよび各覚醒用光源1bは、+X方向に向けて光を射出する。
白色光源1wAは、白色光を発する光源である。白色光源1wAは、例えば、450nmの波長において分光放射輝度のピークを有する青色光を発する発光ダイオード(青色LEDとも言う)と黄色発光蛍光体とが組み合わされた白色LEDであれば良い。但し、白色光源1wAでは、フィルター等が用いられて464nm付近の波長の覚醒用光が減光されて、白色光源1wAからの覚醒用光の射出が低減されている。これにより、入眠を誘発する際の阻害要因が減らされる。このように、白色光源1wAとして、白色LEDが採用されることで、簡易な構成で白色光を発することが可能となる。
ここで、白色光源1wAが、入眠誘発光源1rが配されている照明部とは別体の照明部に配されても良い。この場合、白色光源1wAとしては、例えば、蛍光灯やその他の一般的な光源が採用され得る。蛍光灯から射出される光の分光分布は、図11で示されるようなものである。白色光源1wAとして、例えば、白熱電球が採用されれば、フィルターが用いられることなく、覚醒用光が少ない白色光としての電球色が実現され得る。また、青色光を発するLED、赤色光を発するLEDおよび緑色光を発するLEDが用いられて、白色光が実現されても良い。
また、白色光源1wAから発せられる白色光としては、例えば、色温度が2600K以上で且つ7100K以下の光が採用され得る。この色温度の範囲は、蛍光灯についての暖色系の色温度から寒色系の色温度の範囲に対応している。具体的には、蛍光灯の色は、昼光色(D)、昼白色(N)、白色(W)、温白色(WW)および電球色(L)といった5種類の色の何れかに分類されることが多い。
ここで、昼光色(D)は、晴天の正午の日光の色に対応するもので、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)では、色温度が5700K以上で且つ7100Kの色と規定されており、通常は色温度が約6500Kの色を示す。昼白色(N)は、晴天の正午をはさんだ時間帯の日光の色に対応するもので、JISでは、色温度が4600K以上で且つ5400Kの色と規定されており、通常は色温度が約5000Kの色を示す。白色(W)は、日の出から2時間後の日光の色に対応するもので、JISでは、色温度が3900K以上で且つ4500Kの色と規定されており、通常は色温度が約4200Kの色を示す。温白色(WW)は、夕方の日光の色に対応するもので、JISでは、色温度が3200K以上で且つ3700Kの色と規定されており、通常は色温度が約3500Kの色を示す。電球色(L)は、白熱電球の色であり、JISでは、色温度が2600K以上で且つ3150Kの色と規定されており、通常は色温度が約2800Kまたは3000Kの色を示す。
入眠誘発光源1rは、580nm以上で且つ800nm以下の波長を有する赤味を帯びた入眠誘発光を発する光源である。なお、上述したように、入眠誘発光源1rは、例えば、赤味を帯びた光の波長成分を他の色の波長成分よりも多く含む光を発する光源であれば良い。この入眠誘発光がユーザーとしての患者の眼に作用することで、積極的に患者の脳からのメラトニンの分泌が促され得る。
覚醒用光源1bは、人体に対してメラトニンの分泌を抑制する作用を有する波長成分の覚醒用光としての青色光を発する光源である。なお、上述したように、覚醒用光源1bは、例えば、青色光の波長成分を他の色の波長成分よりも多く含む光を発する光源であれば良い。ここで、覚醒用光は、例えば、464nm付近の波長を有する光であれば良い。この覚醒用光が患者の眼に照射されることで、患者の脳からのメラトニンの分泌が抑制され得る。これにより、患者の意識の覚醒が促される覚醒効果が得られる。
<(2−3)覚醒用光および入眠誘発光>
覚醒用光源1bは、例えば、464nm付近の波長において分光放射輝度のピークを有する青色光を発する発光ダイオード(青色LEDとも言う)であれば良い。なお、覚醒用光源1bは、450nmの波長において分光放射輝度のピークを呈する青色LEDと黄色発光蛍光体とが組み合わされた白色LEDであっても良い。この場合、図4で示されるように、白色LEDから発せられる白色光には、高い覚醒効果が得られる464nmの波長成分が他の色の波長成分よりも多く含まれる。
ここで、覚醒用光によるメラトニン分泌抑制効果および覚醒促進効果については、ユーザー間における差が存在する。このため、覚醒用光源1bの発光時における発光部24eの分光放射輝度が自在に変更可能であれば、ユーザーに応じた意識の覚醒の誘発が可能となる。
入眠誘発光源1rとしては、上記第1実施形態と同様に、第1〜8LEDのうちの1以上のLEDが採用されれば良い。
そして、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下であれば、ユーザーの眼に優しい発光が実現され得る。また、太陽光の地上付近における標準的な反射光が想定されて、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.043W・m−2・sr−1・nm−1程度とされても良い。さらに、地上付近における太陽光の反射率が25%以下で且つ立体放射角が2πで反射する場合が想定されて、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W・m−2・sr−1・nm−1以下に設定されても良い。これにより、ユーザーの眼に優しい発光がより確実に実現され得る。また、入眠誘発光源1rとして、第1〜8LEDのうちの2以上のLEDが採用されても良い。
ここで、入眠誘発光によるメラトニン分泌促進効果および入眠誘発効果については、ユーザー間における差が存在する。このため、入眠誘発光源1rの発光時における発光部24eの分光放射輝度が自在に変更可能であれば、ユーザーに応じた入眠の誘発が可能となる。なお、入眠誘発光源1rには、第1〜8LEDのうちの2種類以上のLEDの組み合わせが採用されても良い。
そして、照明装置1Aでは、白色光源1wAと入眠誘発光源1rとが同時期に発光することで、白色光に入眠誘発光が混じった照明光が実現される。
この場合、入眠誘発光の波長範囲が、580nm以上で且つ800nm以下であるため、入眠誘発光は、人の眼の視感度が高い500nm以上で且つ550nm以下程度の緑色光の波長成分を含まない。その結果、入眠誘発光によるメラトニンの分泌の促進と、演色性の維持とが両立し得る。更に、入眠誘発光源1rから発せられる入眠誘発光の波長が、750nm以上で且つ800nm以下であれば、入眠誘発光に対する人の眼の視感度の低さによって、入眠誘発光が白色光の色合いに与える影響が小さい。すなわち、演色性の低下が抑制され得る。なお、ここでは、発光時における入眠誘発光源1rの分光放射輝度が最大となる波長(ピーク波長)が、750nm以上で且つ800nm以下であれば良い。より具体的には、例えば、入眠誘発光源1rとして、第7および第8LEDが採用されれば、入眠誘発光によるメラトニンの分泌の促進と、演色性の維持とが両立し得る。
また、発光時における入眠誘発光源1rの分光放射輝度が最大値の半分以上の値を呈する波長の幅としての半値幅が、50nm以下であれば、入眠誘発効果が高い波長の入眠誘発光によって、より確実に入眠誘発効果の向上が図られ得る。また、狭い波長範囲における入眠誘発光が採用されることで、入眠誘発光が白色光の色合いに与える影響が抑制され得る。すなわち、演色性の低下が抑制され得る。
また、照明装置1Aでは、白色光源1wAと覚醒用光源1bとが同時期に発光することで、白色光に覚醒用光が混じった照明光が実現される。
<(2−4)照明部における発光の制御>
図12は、第2実施形態に係る照明装置1Aの機能的な構成を示すブロック図である。図12で示されるように、照明装置1Aは、照明部20A、変更部30Aおよび受付部40Aを備えている。変更部30Aは、照明部20Aに対して電気的に接続されている。受付部40Aは、変更部30Aに対して電気的に接続されている。
受付部40Aは、上記第1実施形態の受付部40と同様に、ユーザーが入眠したいタイミング(入眠設定タイミング)に係る情報、およびユーザーが起床したいタイミング(起床設定タイミング)に係る情報の入力を受け付ける。
ここで、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングは、上記第1実施形態と同様に、例えば、時刻を示す絶対的な数値の情報であっても良いし、ある時点を基準とした何時間後といった相対的な数値の情報であっても良い。そして、例えば、受付部40Aに、各種ボタンが設けられており、ユーザーによる各種ボタンの操作に応じて、受付部40Aが、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報の入力を受け付ける態様が採用され得る。また、例えば、受付部40Aが、他の機器であるパーソナルコンピュータ等にデータ受信可能に接続されており、該他の機器からの入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報の入力を受け付けても良い。また、受付部40Aは、照明部20Aにおける覚醒用光源1bおよび入眠誘発光源1rにおける点灯および消灯の情報を受け付けても良い。なお、受付部40Aにおいて受け付けられる各種情報は、変更部30Aに入力される。
変更部30Aは、白色光源1wA、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bの発光状態をそれぞれ変更する。発光状態の変更には、光源の点灯および消灯の変更だけでなく、発光強度の強弱の変更も含まれる。ここで、例えば、変更部30Aは、例えば、照明部20Aに配されている白色光源1wA、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bに対する電力の供給を制御する各種スイッチング素子等を備えた電気回路であれば良い。
そして、変更部30Aは、白色光源1wA、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bの発光状態を変更することで、照明部20Aを、入眠誘発光源1rの発光強度が覚醒用光源1bの発光強度よりも高い状態(入眠誘発状態)に設定し得る。つまり、照明装置1Aを入眠誘発状態に設定し得る。入眠誘発状態としては、例えば、白色光源1wAおよび入眠誘発光源1rが点灯し、覚醒用光源1bが消灯している状態が採用される。この場合、白色光に入眠誘発光が混じった照明光が実現される。
また、変更部30Aは、白色光源1wA、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bの発光状態を変更することで、照明部20Aを、覚醒用光源1bの発光強度が入眠誘発光源1rの発光強度よりも高い状態(覚醒誘発状態)に設定し得る。つまり、照明装置1Aを覚醒誘発状態に設定し得る。覚醒誘発状態としては、例えば、白色光源1wAおよび覚醒用光源1bが点灯し、入眠誘発光源1rが消灯している状態が採用される。この場合、白色光に覚醒用光が混じった照明光が実現される。
そして、ここでは、例えば、白色光源1wAが点灯している状態で、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bのうちの何れか一方の光源が選択的に点灯されることで、照明装置1Aが、入眠誘発状態および覚醒誘発状態に設定され得る。このようにして、照明装置1Aが、入眠誘発状態および覚醒誘発状態に選択的に設定されることで、メラトニンの分泌の促進および抑制の双方が制御され得る。
また、変更部30Aは、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光源1rを点灯させる。なお、変更部30が、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光源1rの発光強度を上昇させても良い。ここで、所定時間は、例えば、2時間であれば良い。すなわち、変更部30は、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光源1rを点灯させるか、または入眠誘発光源1rの発光強度を上昇させれば良い。
例えば、午後9時からの睡眠を促す場合、入眠設定タイミングである午後9時の2時間前である午後7時から白色光源1wAおよび入眠誘発光源1rが点灯し且つ覚醒用光源1wが消灯している状態に照明部20Aが設定されれば良い。これにより、入眠設定タイミングにおいてユーザーの脳からのメラトニンの分泌が促され得る。そして、入眠設定タイミングにおける入眠が促され得る。また、午後7時までは入眠誘発光源1rの発光強度が低く設定されており、午後7時から入眠誘発光源1rの発光強度が高められても良い。
また、変更部30Aは、起床設定タイミングにおいて覚醒用光源1bを点灯させる。なお、変更部30が、起床設定タイミングにおいて覚醒用光源1bの発光強度を上昇させても良い。すなわち、変更部30は、起床設定タイミングにおいて覚醒用光源1bを点灯させるか、または覚醒用光源1bの発光強度を上昇させれば良い。
例えば、午前6時に起床する場合、起床設定タイミングである午前6時から覚醒用光源1bが点灯し且つ入眠誘発光源1rが消灯している状態に照明部20Aが設定されれば良い。これにより、起床設定タイミングにおいてユーザーの脳からのメラトニンの分泌が抑制され得る。そして、起床設定タイミングにおいてユーザーの意識の覚醒が促され得る。すなわち、ユーザーの目覚めを助ける環境が設定され得る。また、午前6時まで覚醒用光源1bの発光強度が低く設定されており、午前6時から覚醒用光源1bの発光強度が高められても良い。
上述した入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bの発光状態を変更する制御は、例えば、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報が時刻を示す絶対的な数値の情報である場合、変更部30Aが時刻の認識が可能な機能を有することで実現され得る。また、例えば、入眠設定タイミングおよび起床設定タイミングに係る情報が何時間後といった相対的な数値の情報である場合、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bの発光状態を変更する制御は、変更部30Aがタイマー機能を有することで実現され得る。
上述したように、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bの点灯および消灯が制御されることで、入眠設定タイミングの前に入眠誘発光が射出され、起床設定タイミングにおいて覚醒用光が射出される。この場合、ユーザーに対して照明部20Aからの照明光が照射されることにより、ユーザーの入眠および意識の覚醒が促進される。その結果、ユーザーの生活リズムの改善が図られ得る。
<(2−5)第2実施形態のまとめ>
以上のように、第2実施形態に係る照明装置1Aによれば、白色光以外に580nm以上で且つ800nm以下の波長を有する入眠誘発光がユーザーに照射され得る。これにより、積極的にユーザーの脳からのメラトニンの分泌が促進され得る。
また、入眠設定タイミングの所定時間前から入眠誘発光がユーザーに照射されることで、入眠設定タイミングにおいてユーザーの脳からのメラトニンの分泌が促され得る。具体的には、入眠設定タイミングの2時間前から入眠誘発光がユーザーに照射されれば、入眠設定タイミングにおける入眠が促され得る。
また、入眠誘発光の波長が、750nm以上で且つ800nm以下であれば、入眠誘発光に対する人の眼の視感度の低さによって、入眠誘発光が白色光の色合いに与える影響が小さい。すなわち、照明装置1Aに係る演色性の低下が抑制され得る。ここでは、入眠誘発光源1rの発光時に分光放射輝度が最大となる波長(ピーク波長)が、750nm以上で且つ800nm以下であれば良い。
また、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下であれば、ユーザーの眼に与えられる刺激が強く成り過ぎない。その結果、ユーザーの眼に優しい発光が実現され得る。さらに、発光部24eから発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W・m−2・sr−1・nm−1以下に設定されれば、ユーザーの眼に優しい発光がより確実に実現され得る。
また、入眠誘発光源1rおよび覚醒用光源1bの発光状態を変更することで、照明装置1Aが、入眠誘発状態または覚醒誘発状態に選択的に設定される。これにより、ユーザーの脳からのメラトニンの分泌の促進および抑制の双方が制御され得る。
<(3)入眠誘発光によるメラトニンの分泌の促進>
以下、上述した入眠誘発光によるユーザーの脳からのメラトニンの分泌の促進についての実験条件および実験結果について説明する。
<(3−1)実験条件>
白色の壁面および天井を有する室内において、20Wの白熱電球が点灯された状態で、実験用の照明装置1Bから発せられる入眠誘発光によるメラトニンの分泌の促進についての実験が行われた。
実験中は、20Wの白熱電球を用いた2つのクリップライトが用いられて、白熱電球から発せられる白色光(基準光とも言う)によって、被験者の視界における壁面の明るさが、約10ルクスに維持された。具体的には、クリップライトが、床面から約1.8mの高さに設置され、約2.8mの高さの天井を照らし、間接照明の効果によって、天井から約2m、すなわち床面から約0.8mの高さにおいて、壁面の明るさが10ルクスとされた。
図13は、実験用の照明装置1Bの外観を模式的に示す図である。図14は、実験用の照明装置1Bにおける入眠誘発光源R1,R2の配置の一例を模式的に示す図である。図15は、実験用の照明装置1Bにおける発光態様の一例を模式的に示す断面図である。図15では、破線で描かれた矢印が、入眠誘発光の射出態様を模式的に示している。
図13で示されるように、実験用の照明装置1Bは、筐体BD1、発光部DS1、スイッチ部SW1および電源ケーブルCA1を備えていた。
筐体BD1は、可視光線を透過しない約5mmの厚さを有する5枚の平板状の部材で構成された箱状の部分であった。また、筐体BD1は、約300mmの第1辺、約200mmの第2辺および約50mmの第3辺を有する直方体状の内部空間を有していた。つまり、筐体BD1のうちの板状の部材が配されていない開口部は、一辺の長さが約300mmで他辺の長さが約200mmのサイズを有していた。
発光部DS1は、筐体BD1の開口部に拡散板が配されることで構成されていた。そして、筐体BD1のうちの拡散板に対向する内壁面ES1に配された入眠誘発光源R1,R2から発せられる光が、拡散板を透過することで、発光部DS1から入眠誘発光が射出された。ここでは、図14で示されるように、一辺の長さが約300mmで他辺の長さが約200mmのサイズを有する筐体BD1の内壁面ES1に、2つの入眠誘発光源R1,R2の組が、マトリックス状に約60mmのピッチで配列されていた。これにより、20個の入眠誘発光源R1と20個の入眠誘発光源R2が配されていた。
スイッチ部SW1は、電源ケーブルCA1から各入眠誘発光源R1,R2への電力の供給状態を切り替える部分であった。ここでは、被験者によるスイッチ部SW1の操作によって、入眠誘発光源R1,R2の点灯および消灯が行われた。
そして、2種類の入眠誘発光源R1,R2の組として、図5で示された特性を有する第1および第2LEDの組、第3および第4LEDの組、第5および第6LEDの組および第7および第8LEDの組がそれぞれ採用された4種類の照明装置1Bが用いられた。なお、以下では、第1および第2LEDが用いられた照明装置1Bを、第1照明装置1B、第3および第4LEDが用いられた照明装置1Bを、第2照明装置1Bと称する。また、第5および第6LEDが用いられた照明装置1Bを、第3照明装置1Bと称し、第7および第8LEDが用いられた照明装置1Bを、第4照明装置1Bと称する。
また、各入眠誘発光源R1,R2は、10mWの出力にて使用された。これにより、発光部DS1から発せられる入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、太陽光の地上付近における標準的な反射光の各単位波長帯における放射輝度と同様な0.043W・m−2・sr−1・nm−1程度とされた。図16には、第1〜4照明装置1Bの点灯時における発光部DS1の分光放射輝度、および20Wの白熱電球の点灯時における白熱電球の分光放射輝度が示されている。図16では、第1〜4照明装置1Bに係る分光放射輝度が曲線La1〜La4でそれぞれ示されており、白熱電球に係る分光放射輝度が曲線Lwtで示されている。
そして、図15で示されるように、第1〜4照明装置1Bがそれぞれ点灯される際には、被験者は、眼EY1を発光部DS1から約300mm離隔させた状態で、発光部DS1を直視した。また、第1〜4照明装置1Bが点灯されていない際には、被験者は、原則として壁面を直視した。
1日の実験は、9時から16時まで行われた。そして、第1〜4照明装置1Bがそれぞれ用いられた4日の実験(第1〜4具体例とも言う)が行われた。つまり、第1具体例では、白熱電球と第1照明装置1Bとが点灯され、第2具体例では、白熱電球と第2照明装置1Bとが点灯され、第3具体例では、白熱電球と第3照明装置1Bとが点灯され、第4具体例では、白熱電球と第4照明装置1Bとが点灯された。また、第1〜4照明装置1Bが用いられない2日の実験(第1および第2参考例とも言う)が行われた。つまり、第1および第2参考例では、第1〜4照明装置1Bが点灯されず、白熱電球が点灯された。
図17は、1日の実験において照明が点灯するタイミングを示すタイミングチャートである。図17で示されるように、そして、実験中においては、20Wの白熱電球の点灯が維持され、実験用の照明装置1Bは、10時から11時の間および15時から16時の間のみ点灯された。
また、実験中において1時間おきに被験者の唾液が採取されて、実験終了後に唾液中におけるメラトニンの濃度が測定された。具体的には、9時、10時、11時、12時、13時、14時、15時、16時の8回のタイミングで唾液が採取された。
唾液の採取は、次のように行われた。唾液が採取される15分前に水で口腔内が洗浄された。唾液の採取時には、唾液採取用のチューブ内のスポンジが口腔内に入れられ、該スポンジに唾液が吸収させられた後に、該スポンジが唾液採取用のチューブ内に格納されることで、唾液の採取が行われた。なお、口腔内では、スポンジが、奥歯の歯茎と頬粘膜との間に配置された状態で咀嚼の動作が行われつつ、該スポンジが、口腔内の右上、右下、左下および左上にそれぞれ約1分ずつ配置されることで、約4分間で唾液が採取された。唾液採取用のチューブと口腔内との間でスポンジを移動させる際には、手がスポンジに触れないように配慮された。そして、唾液採取用のチューブに格納されたスポンジ内に吸収された唾液は、遠心分離機によって採取され、唾液中におけるメラトニンの濃度の測定が行われた。すなわち、実験中に採取された被験者の唾液におけるメラトニンの濃度変化が測定された。
なお、実験中の詳細な条件としては、室内の温度および湿度は20〜23℃および20〜40%にそれぞれ維持され、クラシック音楽がBGMとして流された。被験者は、作業および話等は全く行わず、用便も近くの暗い場所で行った。被験者の水分補給は、実験の開始前と12時過ぎの昼食時のみ行われた。水分補給は、ミネラルウォーターまたは麦茶によって行われた。昼食には、カレーおよびエビチリ等といった辛い物が避けられ、指定された幕の内弁当が食された。被験者は、まばたき以外は原則として眼を閉じなかった。
また、実験前の準備の詳細な条件としては、被験者は、実験の前日からコーヒーおよび紅茶等のカフェイン入りの飲料物ならびに多量の酒類を飲まなかった。被験者は、実験開始前の朝食において、カレーおよびエビチリ等といった辛い物を食べなかった。被験者は、眠気を催す薬の内服を行わなかった。
<(3−2)実験結果>
図18は、実験中に採取された被験者の唾液におけるメラトニンの濃度についての測定結果を示すグラフである。図18では、第1および第2参考例に係る測定結果が、細い破線および細い一点鎖線で描かれている。また、第1具体例に係る測定結果が、太い実線で描かれ、第2具体例に係る測定結果が、太い破線で描かれ、第3具体例に係る測定結果が、太い一点鎖線で描かれ、第4具体例に係る測定結果が、太い二点鎖線で描かれている。
図18で示されるように、第1〜4具体例に係る測定結果によれば、入眠誘発光の照射開始から2時間後から4時間後に相当する12時から14時にかけた時間帯に唾液におけるメラトニンの濃度の上昇が確認された。
詳細には、第1具体例については、入眠誘発光の照射開始時である10時におけるメラトニンの濃度が約1.7pg/mlであるのに対して、13時におけるメラトニンの濃度が約3.9pg/mlであった。つまり、入眠誘発光の照射によって被験者の唾液におけるメラトニンの濃度が約2倍に増加することが確認された。また、第2具体例については、入眠誘発光の照射開始時である10時におけるメラトニンの濃度が約0.75pg/mlであるのに対して、13時におけるメラトニンの濃度が約1.4pg/mlであった。つまり、入眠誘発光の照射によって被験者の唾液におけるメラトニンの濃度が約2倍に増加することが確認された。
また、第3具体例については、入眠誘発光の照射開始時である10時におけるメラトニンの濃度が約1.9pg/mlであるのに対して、13時におけるメラトニンの濃度が約2.4pg/mlであった。つまり、入眠誘発光の照射によって被験者の唾液におけるメラトニンの濃度が約1.3倍に増加することが確認された。更に、第4具体例については、入眠誘発光の照射開始時である10時におけるメラトニンの濃度が約1.3pg/mlであるのに対して、13時におけるメラトニンの濃度が約1.9pg/mlであった。つまり、入眠誘発光の照射によって被験者の唾液におけるメラトニンの濃度が約1.5倍に増加することが確認された。
これに対して、第1および第2参考例に係る測定結果によれば、12時から14時にかけた時間帯に唾液におけるメラトニンの濃度の上昇は確認されなかった。
このように、第1および第2参考例と比較して、第1〜4具体例については、入眠誘発光の照射開始から2時間後から4時間後にかけた時間帯においてメラトニンの濃度の上昇が明らかに確認された。このため、入眠誘発光の照射によって被験者の脳からのメラトニンの分泌が促進されることが分かった。そして、特に、患者またはユーザーが入眠すべきタイミングの2時間前から、患者またはユーザーに対する入眠誘発光の照射が開始されることが有効であることが推定された。
<(4)変形例>
なお、本発明は上記第1および第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
◎例えば、上記第1実施形態では、姿勢設定部として寝具部10が採用されたが、これに限られない。例えば、姿勢設定部として椅子等のその他の器具が用いられても良い。すなわち、患者が、予め決められた姿勢で姿勢設定部としての所定の器具に対して体を当接させることで、照明部20から発せられる光が照射される被照射領域に患者の顔が配置されれば良い。
◎また、上記第1実施形態では、照明部20から入眠誘発光と覚醒用光とが選択的に射出されたが、これに限られない。例えば、第2実施形態と同様に、照明部20が、白色光、入眠誘発光および覚醒用光を射出するようなものであっても良い。このような構成では、例えば、照明部20から、白色光と入眠誘発光とが混じっている照明光と、白色光と覚醒用光とが混じっている照明光とが選択的に射出されても良い。
そして、この場合、入眠誘発光の波長範囲が、580nm以上で且つ800nm以下であれば、入眠誘発光は、人の眼の視感度が高い500nm以上で且つ550nm以下程度の緑色光の波長成分を含まない。その結果、入眠誘発光によるメラトニンの分泌の促進と、演色性の維持とが両立し得る。更に、入眠誘発光の波長が、750nm以上で且つ800nm以下であれば、入眠誘発光に対する人の眼の視感度の低さによって、入眠誘発光が白色光の色合いに与える影響が小さい。すなわち、睡眠障害治療器に係る演色性の低下が抑制され得る。なお、ここでは、発光時に入眠誘発光源1rの分光放射輝度が最大となる波長(ピーク波長)が、750nm以上で且つ800nm以下であれば良い。より具体的には、入眠誘発光源1rとして、第7および第8LEDが採用されれば、入眠誘発光によるメラトニンの分泌の促進と、演色性の維持とが両立し得る。
また、発光時に入眠誘発光源1rの分光放射輝度が最大値の半分以上の値を呈する波長の幅としての半値幅が、50nm以下であれば、入眠誘発効果が高い波長の入眠誘発光によって、より確実に入眠誘発効果の向上が図られ得る。また、狭い波長の範囲における入眠誘発光が採用されることで、入眠誘発光が白色光の色合いに与える影響が小さい。すなわち、睡眠障害治療器に係る演色性の低下が抑制され得る。
◎また、上記第2実施形態では、照明装置1Aが、天井に設置されるものとして説明したが、これに限られない。例えば、部屋の壁に照明装置1Aが設置されても良い。この場合、更に、照明装置1Aが、擬似的な窓として設けられており、照明装置1Aが風景を表示するようなディスプレイであれば、ユーザーが眼で照明装置1Aを直視する確率が高くなる。これにより、更に積極的にユーザーの脳からのメラトニンの分泌が促進され得る。
◎また、上記第1および第2実施形態では、照明部20,20Aが、面発光を行うタイプのものであったが、これに限られない。例えば、複数の点光源が離散的に配されているタイプの照明部であっても良い。なお、点光源としては、例えば、LEDが採用され得る。
◎なお、上記第1および第2実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 睡眠障害治療器
1A,1B 照明装置
1b,1w 覚醒用光源
1r,R1,R2 入眠誘発光源
1wA 白色光源
10 寝具部
20,20A 照明部
21,21A 光源部
24e,DS1 発光部
30,30A 変更部
40,40A 受付部

Claims (16)

  1. 白色光を発する白色光源と、
    580nm以上で且つ800nm以下の波長の入眠誘発光を発する入眠誘発光源と、
    前記入眠誘発光源の発光状態を変更する変更部と、
    を備えることを特徴とする照明装置。
  2. 請求項1に記載の照明装置であって、
    入眠設定タイミングに係る情報の入力を受け付ける受付部、
    を更に備え、
    前記変更部が、前記入眠設定タイミングの所定時間前から前記入眠誘発光源を点灯させるか、または前記入眠誘発光源の発光強度を上昇させることを特徴とする照明装置。
  3. 請求項2に記載の照明装置であって、
    前記所定時間が、2時間であることを特徴とする照明装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    前記入眠誘発光の波長が、750nm以上で且つ800nm以下であることを特徴とする照明装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    該照明装置から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下であることを特徴とする照明装置。
  6. 請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    該照明装置から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W・m−2・sr−1・nm−1以下であることを特徴とする照明装置。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1つの請求項に記載の照明装置であって、
    人体に対してメラトニンの分泌を抑制する作用を有する波長成分の光を発する覚醒用光源、
    を更に備え、
    前記覚醒用光源は発光状態を前記変更部によって変更されることを特徴とする照明装置。
  8. 請求項7に記載の照明装置であって、
    前記変更部が、
    前記入眠誘発光源および前記覚醒用光源の発光状態を変更することで、前記照明装置を、前記入眠誘発光源の発光強度が前記覚醒用光源の発光強度よりも高い入眠誘発状態と、前記覚醒用光源の発光強度が前記入眠誘発光源の発光強度よりも高い覚醒誘発状態とに設定することを特徴とする照明装置。
  9. 580nm以上で且つ800nm以下の波長の入眠誘発光を発する入眠誘発光源と、
    ユーザーが予め決められた姿勢で体を当接させることで、前記入眠誘発光源から発せられる前記入眠誘発光が照射される被照射領域に該ユーザーの顔を配置する姿勢設定部と、
    前記入眠誘発光源の発光状態を変更する変更部と、
    を備えることを特徴とする睡眠障害治療器。
  10. 請求項9に記載の睡眠障害治療器であって、
    入眠設定タイミングに係る情報の入力を受け付ける受付部、
    を更に備え、
    前記変更部が、前記入眠設定タイミングの所定時間前から前記入眠誘発光源を点灯させるか、または前記入眠誘発光源の発光強度を上昇させることを特徴とする睡眠障害治療器。
  11. 請求項10に記載の睡眠障害治療器であって、
    前記所定時間が、2時間であることを特徴とする睡眠障害治療器。
  12. 請求項9から請求項11の何れか1つの請求項に記載の睡眠障害治療器であって、
    前記入眠誘発光の波長が、750nm以上で且つ800nm以下であることを特徴とする睡眠障害治療器。
  13. 請求項9から請求項12の何れか1つの請求項に記載の睡眠障害治療器であって、
    該睡眠障害治療器から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射照度が、2W・m−2・nm−1以下であることを特徴とする睡眠障害治療器。
  14. 請求項9から請求項12の何れか1つの請求項に記載の睡眠障害治療器であって、
    該睡眠障害治療器から発せられる前記入眠誘発光の各単位波長帯における放射輝度が、0.06W・m−2・sr−1・nm−1以下であることを特徴とする睡眠障害治療器。
  15. 請求項9から請求項14の何れか1つの請求項に記載の睡眠障害治療器であって、
    人体に対してメラトニンの分泌を抑制する作用を有する波長成分の光を発する覚醒用光源、
    を更に備え、
    前記覚醒用光源は発光状態を前記変更部によって変更されることを特徴とする睡眠障害治療器。
  16. 請求項15に記載の睡眠障害治療器であって、
    前記変更部が、
    前記入眠誘発光源および前記覚醒用光源の発光状態を変更することで、前記睡眠障害治療器を、前記入眠誘発光源の発光強度が前記覚醒用光源の発光強度よりも高い入眠誘発状態と、前記覚醒用光源の発光強度が前記入眠誘発光源の発光強度よりも高い覚醒誘発状態とに設定することを特徴とする睡眠障害治療器。
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