JP2013217985A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像が順次重なり合うように中間転写体に1次転写される画像形成装置において、上流で中間転写体に転写されたトナー像が下流の像担持体へ再転写してしまうことを抑制する。
【解決手段】中間転写ベルト8は導電性を有し、電圧電源33から電圧が印加されて全周にわたって一定の電位となることで、各1次転写部で各感光ドラム2から中間転写ベルト8にトナー像が1次転写され、画像形成時に、複数の画像形成部1のうち中間転写ベルト8の回転方向の最上流に配置された画像形成部を除いた残りの画像形成部のうち少なくともいずれか1つの画像形成部における感光ドラム2と中間転写ベルト8の間の1次転写部よりも前記回転方向の上流で、該感光ドラム2と中間転写ベルト8の間で放電が発生することで、該1次転写部における該感光ドラム2と中間転写ベルト8の間の電位差がパッシェンの放電閾値より小さい。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
電子写真方式のカラー画像形成装置では、高速に印刷するために、各色の画像形成部を独立して有し、各色の画像形成部から順次中間転写ベルトに画像を転写し、更に中間転写ベルトから記録材に一括して画像を転写する構成が知られている。
各色の画像形成部は、それぞれ感光ドラムを有している。さらに、各画像形成部は、感光ドラムを帯電する帯電部材、感光ドラムにトナー像を現像する現像装置を有している。各画像形成部の帯電部材は、それぞれ感光ドラムに所定の圧接力で接触し、帯電用の電圧電源(不図示)から印加される帯電電圧によって各感光ドラムの表面を所定の極性、電位に均一に帯電する。各画像形成部の現像装置は、それぞれ感光ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
各画像形成部の感光ドラムに現像されたトナー像は、各感光ドラムに中間転写ベルトを介して対向する1次転写ローラによって、中間転写ベルトに1次転写される。各1次転写ローラは、それぞれ1次転写専用の電圧電源を有している。中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、2次転写ローラによって記録材に2次転写される。2次転写ローラには、2次転写専用の電圧電源が接続されている。
特許文献1には、4つの1次転写ローラにそれぞれ1次転写専用の電圧電源を接続し、1次転写専用の電圧電源を4つ有する構成が開示されている。また、特許文献2には、それぞれの1次転写ローラに印加する転写電圧を、画像形成動作の前に、中間転写ベルト及び1次転写ローラの通紙耐久や環境変動による抵抗変動が応じて変更する制御を行っている。
特開2003−35986号公報 特開2001−125338号公報
しかしながら、従来から知られている中間転写ベルトを使用した画像形成装置には、以下の課題があった。
複数の感光ドラムのうち下流側に配置された感光ドラムと中間転写ベルトで形成された1次転写部内で発生する放電によって、上流側の感光ドラムから中間転写ベルトに転写されたトナー(例えば、負極性に帯電したトナー)が正極性に反転する場合がある。この反転した正極性のトナーが中間転写ベルトから感光ドラムに転移してしまう、再転写という現象がある。
具体的には、フルカラー画像を出力する場合、中間転写ベルト上に転写されている1色目のトナー像は、静電的に中間転写ベルトに吸引されている。しかし、1色目のトナー像が2色目以降の各感光ドラムと中間転写ベルトの間隙を通過する際、これらの感光ドラムに1色目のトナーの一部が再転写してしまう場合がある。このような場合には、画像ムラや濃度低下、カラーバランス(色味)のずれ等という問題が生じることが懸念される。特に、1次転写部材に印加する電圧を高圧にしていくと再転写は増加することが知られており、そのため、再転写を抑制するために設定可能な1次転写の電圧の設定が難しいという
課題がある。
本発明は、複数の像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像が順次重なり合うように中間転写体に1次転写される画像形成装置において、上流で中間転写体に転写されたトナー像が下流の像担持体へ再転写してしまうことを抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明にあっては、
回転可能な無端状の中間転写体と、
前記中間転写体の回転方向に沿って並設された複数のトナー像形成部であって、静電潜像が形成される像担持体をそれぞれ有し、前記像担持体に形成された静電潜像をトナー像に現像する複数のトナー像形成部と、
を有し、
各像担持体にそれぞれ形成されたトナー像が、各像担持体と前記中間転写体との間に形成された各1次転写部で順次重なり合うように前記中間転写体に1次転写された後、前記中間転写体上の2次転写部で記録材に一括して2次転写される画像形成装置において、
前記中間転写体に電圧を印加する電源が設けられ、
前記中間転写体は導電性を有し、前記電源から電圧が印加されて全周にわたって一定の電位となることで、各1次転写部で各像担持体から前記中間転写体にトナー像が1次転写され、
画像形成時に、
前記複数のトナー像形成部のうち前記回転方向の最上流に配置されたトナー像形成部を除いた残りのトナー像形成部のうち少なくともいずれか1つのトナー像形成部における前記像担持体と前記中間転写体との間の前記1次転写部よりも前記回転方向の上流で、該像担持体と前記中間転写体との間で放電が発生することで、
該1次転写部における該像担持体と前記中間転写体との間の電位差がパッシェンの放電閾値より小さくなるように設定されていることを特徴とする。
回転可能な無端状の中間転写体と、
前記中間転写体の回転方向に沿って並設された複数のトナー像形成部であって、静電潜像が形成される像担持体をそれぞれ有し、前記像担持体に形成された静電潜像をトナー像に現像する複数のトナー像形成部と、
を有し、
各像担持体にそれぞれ形成されたトナー像が、各像担持体と前記中間転写体との間に形成された各1次転写部で順次重なり合うように前記中間転写体に1次転写された後、前記中間転写体上の2次転写部で記録材に一括して2次転写される画像形成装置において、
前記中間転写体に電圧を印加する電源が設けられ、
前記中間転写体は導電性を有し、前記電源から電圧が印加されて全周にわたって一定の電位となることで、各1次転写部で各像担持体から前記中間転写体にトナー像が1次転写され、
画像形成時に、
前記複数のトナー像形成部のうち少なくともいずれか1つのトナー像形成部における前記像担持体と前記中間転写体との間の前記1次転写部のうちの前記回転方向の上流部分での、前記像担持体と前記中間転写体との間の電位差が、
前記像担持体にトナー像が形成されている場合には、前記像担持体と前記中間転写体との間の放電閾値以下に設定され、
前記像担持体にトナー像が形成されていない場合には、前記像担持体と前記中間転写体との間の放電閾値以上に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の像担持体上にそれぞれ形成されたトナー像が順次重なり合うように中間転写体に1次転写される画像形成装置において、上流で中間転写体に転写されたトナー像が下流の像担持体へ再転写してしまうことを抑制することが可能となる。
実施例1の画像形成装置の概略構成を示す断面図 低抵抗化したベルトの抵抗値を測定する方法を説明するための図 印加電圧を変更してベルトの抵抗値を測定した結果を示す図 比較例の画像形成装置の概略構成を示す断面図 中間転写ベルトのベルト表面電位の測定方法を説明するための図 中間転写ベルトの電位測定結果を示す図 1次転写について説明するための図 中間転写ベルトの電位測定結果と印加電圧の関係を説明する図 2次転写電圧とベルト電位の関係を示す図 中間転写ベルトを流れる電流を説明するための図 比較例の画像形成装置の概略構成を示す断面図 火花放電の持続条件について説明するための図 中間転写ベルト表面電位と感光ドラム上電位の計測結果を示す図 画像形成時の一次転写部について説明するための図 トナートリボを計測した結果を示す図 中間転写ベルト電位が変化したときの1次転写性の変化を示す図 2次転写部印加電圧と中間転写ベルトのベルト表面電位の関係を示す図
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
図1は、実施例1におけるインライン方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
この画像形成装置は、次に示す4つの画像形成部(画像形成ユニット、トナー像形成部)を備えており、これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置(並設)されている。4つの画像形成部は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1a、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1b、シアン色の画像を形成する画像形成部1c、及び、ブラック色の画像を形成する画像形成部1dである。
各画像形成部1a、1b、1c、1dには、それぞれ像担持体としての感光ドラム2a、2b、2c、2dが配置されている。感光ドラム2a、2b、2c、2dは、本実施例では負帯電の有機感光体でアルミニウム等のドラム基体(不図示)上に感光層(不図示)を有しており、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで回転駆動される。
各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、帯電部材である帯電ローラ3a、3b、3c、3d、現像装置4a、4b、4c、4dがそれぞれ配置されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、ドラムクリーニング装置6a、6b、6c、6dがそれぞれ設置されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの上方には、露光装置7a、7b、7c、7dがそれぞれ設置されている。各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが収納されている。
ここで、各画像形成部の構成及び動作は、用いるトナーの色が異なることを除いて実質
的に同じである。従って、以下の説明において特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために図1中符号に与えた添え字a、b、c、dは省略して総括的に説明する。また、本実施例では、4つの画像形成部について説明するが、これに限るものではなく、画像形成部は複数設けられるものであればよい。
各画像形成部の対向する位置には、中間転写体として、回転可能な無端状の中間転写ベルト8が設置されている。中間転写ベルト8は、張架部材としての、駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13によって張架されている(以下、3本のローラを「張架ローラ」という場合がある)。モータ(不図示)が接続された駆動ローラ11の駆動によって、中間転写ベルト8は、図1に示す矢印方向(図1では反時計方向)に回転(移動)される。図1に示すように、この中間転写ベルト8の回転方向に沿って、4つの画像形成部が並設されている。以下、中間転写ベルト8の回転方向を中間転写ベルト8の周方向とする。
駆動ローラ11には、中間転写ベルト8を駆動するために表層に高摩擦のゴム層が設けられており、このゴム層は体積抵抗率が10Ωcm以下の導電性を有する。
2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ15と当接して2次転写部を形成している(2次転写ローラ15は中間転写ベルト8に当接するように配置され中間転写ベルト8との間で2次転写部を形成している)。2次転写対向ローラ12には、表層にゴム層が設けられており、このゴム層は体積抵抗率が10Ωcm以下の導電性を有する。テンションローラ13は、総圧約60Nの張力を中間転写ベルト8に付与し、中間転写ベルト8に従動して回転する。
駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12(対向部材)、テンションローラ13は、各々同じ抵抗値の抵抗素子を介して接地されている。本実施例では、抵抗素子の抵抗値は1GΩ、100MΩ、10MΩと3種類を使用している。駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12の各ゴム層の抵抗は、1GΩ、100MΩ、10MΩに比べて十分小さいため、電気的影響を無視することができる。
2次転写ローラ15としては、体積抵抗率が10〜10Ωcm、ゴム硬度が30°(アスカーC硬度計)の弾性ローラを用いた。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12に対し、総圧約39.2Nで押圧するように構成されている。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8の回転に伴い、従動して回転する。更に、2次転写ローラ15には、転写(高圧)電源19から、−2.0〜7.0kVの電圧の印加が可能となっている。2次転写ローラ15は転写部材に相当し、2次転写ローラ15及び転写電源19は、2次転写手段に相当する。
中間転写ベルト8の外側(外周側)には、中間転写ベルト8表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置75が設置されている。また、中間転写ベルト8の回転方向において、2次転写対向ローラ12と2次転写ローラ15とが当接する2次転写部の下流側には、定着ローラ17aと加圧ローラ17bを有する定着装置17が設置されている。
次に、画像形成動作について説明する。
コントローラから画像形成動作を開始するための開始信号が発せられると、カセット(不図示)から記録材(記録媒体)が一枚ずつ送り出され、レジストローラ(不図示)まで搬送される。その時、レジストローラ(不図示)は停止しており、記録材の先端は2次転写部の直前で待機している。
一方、各画像形成部1では、開始信号が発せられると、各感光ドラム2が、所定のプロセススピードで回転し始める。本実施例では、各感光ドラム2は、それぞれ帯電ローラ3によって一様に負極性に帯電される。そして、露光装置7が、レーザ光を各感光ドラム2
上にそれぞれ走査露光することで、各感光ドラム2上に静電潜像が形成される。
そして、先ず感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、感光ドラム2aの帯電極性(負極性)と同極性である現像電圧が印加された現像装置4aによりイエローのトナーを付着させて、トナー像として可視像化(現像)する。
感光ドラム2の(表面)電位は、帯電ローラ3により帯電された後の電位(非画像部を含む)が−500V、さらに露光装置7により露光された後の電位(画像部)が−100Vとなるよう帯電量、露光量が調整され、現像バイアスは−300Vと設定されている。また、プロセススピードは250mm/secとされている。記録材搬送方向(中間転写ベルト8の回転方向)と垂直方向の長さである画像形成幅は215mm、トナー帯電量は−40μC/g、画像ベタ部の感光ドラム上のトナー量は0.4mg/cmとなるよう設定されている。
このイエローのトナー像は、回転している中間転写ベルト8上(中間転写体上)に1次転写される。ここで、中間転写ベルト8のベルト表面において、各感光ドラム2に対向して、各感光ドラム2からトナー像が転写される部分(領域)を、1次転写部とする。この1次転写部は、複数の感光ドラムに対応する形で中間転写ベルト8上に複数存在する。
本実施例では、中間転写ベルト8に接触する電流供給部材から中間転写ベルト8の周方向に流れる電流によって、1次転写が行われる(詳細は、後述する)。
1次転写用の電流供給部材としての1次転写給電ローラ31は、図1で示すように、ベルトクリーニング装置75の中間転写ベルト8の回転方向下流側で、画像形成部1aの中間転写ベルト8の回転方向上流側に配置されている。1次転写給電ローラ31には、1次転写用の電圧電源33が接続されている。中間転写ベルト8を介して1次転写給電ローラ31に対向する位置には、1次転写給電対向ローラ32が配されている。1次転写給電ローラ31及び電圧電源33は、電流供給手段(電源)に相当する。
尚、本実施例では、図1に示すように、中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2に対応する位置に対応部材5a、5b、5c、5dが設けられている。中間転写ベルト8を介して各感光ドラム2と各対応部材5との間にニップ(1次転写部)を形成することで、ニップ幅を広く安定させることが可能となる。本実施例では、対応部材5は、1次転写専用の電圧電源に接続されることで電圧が印加される被印加部材ではなく、電気的にフロートになるように構成している。
イエローのトナー像が転写された領域は、中間転写ベルト8の回転によって画像形成部1b側に移動する。そして、画像形成部1bにおいても、同様にして感光ドラム2bに形成されたマゼンタのトナー像が、中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて転写される。
同様にして、中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に、画像形成部1c、1dの感光ドラム2c、2dでそれぞれ形成されたシアン、ブラックのトナー像が、順次重ね合わされて転写される。このようにして、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト8上に形成される。
そして、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が2次転写部に移動するタイミングに合わせて、レジストローラにより記録材がこの2次転写部に搬送される。
中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像は、2次転写電圧(トナーと逆極性(正極性)の電圧)が印加された2次転写ローラ15により記録材に一括して2次転写される。フルカラーのトナー像が転写(形成)された記録材は定着装置17に搬送される。定着ローラ17aと加圧ローラ17bによって形成される定着ニップ部で、フルカラーのトナー像は加熱加圧され、記録材P表面に熱定着される。その後、フルカラーのトナー像が定着された記録材Pは、画像形成装置外部に排出される。
本実施例においては、各感光ドラム2から中間転写ベルト8にトナー像を転写する1次転写を、図4で示す比較例のような1次転写ローラ55に電圧を印加して行う構成を採用せずに実行することを特徴としている。図4は、各画像形成部に1次転写専用の転写電源を有する比較例の画像形成装置を示す概略図である。
以下に、本実施例の特徴を説明するために、中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率、周方向抵抗について説明する。尚、周方向抵抗の定義と測定方法については後述する。
[本実施例で使用される中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率]
本実施例の中間転写ベルト8は、厚み100μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂にカーボンを分散させて電気抵抗を調整したものを基層としている。尚、使用される樹脂は、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネートでもよい。また、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等でもよい。さらに、中間転写ベルト8は多層で構成されている。具体的には基層の外面には、厚み0.5〜3μmで高抵抗のアクリル樹脂の表層を設けている。表層の高抵抗層は、2次転写部の長手方向で通紙領域と非通紙領域の電流差を少なくして小サイズ紙の2次転写性が良化する効果を得るためである。
次に、ベルトの製造方法について説明する。
本実施例では、ベルトの製造方法として、インフレーション成形法による製造方法を用いている。基材となるPPSと、導電体粉であるカーボンブラック等の配合成分を二軸混練機により溶融混練する。得られた混練物を環状ダイスによって押出し成形することによりベルトを製造している。
表面コート層は、成形したエンドレスベルトの表面に紫外線硬化樹脂をスプレーコーティングし、乾燥後、紫外線照射により硬化させて形成している。コート層は厚すぎると割れやすくなるため、0.5〜3μmの範囲となるよう塗布量を調整している。
本実施例では、導電体粉としてカーボンブラックを用いている。中間転写ベルト8の電気抵抗値を調節するために混合する添加剤は特に制限されるものではない。抵抗を調整する導電性フィラーとしてはカーボンブラックや各種の導電性金属酸化物等がある。非フィラー系抵抗調整剤としては、各種金属塩やグリコール類等の低分子量のイオン導電材やエーテル結合や水酸基等を分子内に含んだ帯電防止樹脂又は電子導電性を示す有機高分子化合物等である。
添加するカーボン量を増やすとベルトは低抵抗化するが、増やしすぎるとベルト自体の強度が不足し、割れやすくなってくる。本実施例では、ベルト強度が画像形成装置に使用できる範囲内に収まるように、ベルトを低抵抗化している。本実施例の中間転写ベルト8のヤング率は3000MPa程度である。ヤング率E測定は、JIS−K7127の引張弾性率測定方法に準拠し、測定試料の厚みは100μmとした。
表1に、基体に対するカーボン量の相対比率を変更したベルトを示す。
Figure 2013217985
表1には、添加したカーボン量と表層コート層の有無を示している。例えば、ベルトBはベルトAに対してカーボン量が1.5倍、ベルトCはベルトAに対してカーボン量が2倍であることを示している。また、ベルトA、ベルトB、ベルトCには表層を設けており、ベルトD、ベルトEは単層のベルトである。ベルトBとベルトDのカーボン量の相対比率は同じで、ベルトCとベルトEのカーボン量の相対比率も同じである。
また、比較用のベルトとしてカーボン量の相対比率を変えて、抵抗調整したポリイミドの比較例ベルトを製造した。比較例ベルトは、カーボン量の相対比率が0.5であり、体積抵抗率も1010〜1011Ωcmである。この比較例ベルトは、中間転写ベルトに採用されるベルトとしては一般的な抵抗値を有するベルトである。
以下に、比較例ベルトと、ベルトA〜Eの体積抵抗率、表面抵抗率の測定結果を示す。まず、前述の比較例ベルト及びベルトA〜Eに対して、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計ハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定した。測定した体積抵抗率、表面抵抗率(ベルトの外側表面)を表2に示す。測定方法は、JIS−K6911に準拠し、導電性ゴムを電極とすることで電極とベルトの表面の良好な接触性を得た上で測定した。測定条件は、印加時間を30秒間で、印加電圧を10V、100Vとしている。
Figure 2013217985
比較例ベルトは、印加電圧は100Vを印加した場合に、体積抵抗率が1.0×1010Ωcm、表面抵抗率が1.0×1010Ω/□である。しかしながら、比較例ベルトは印加電圧を10Vにすると流れる電流が小さすぎて体積抵抗率を測定できず、「over」と表示される。
一方、ベルトB、C、Dは100V印加では、ベルトの抵抗が低いため流れる電流値が大きすぎて、体積抵抗率の測定不能を表す「under」が表示される。ベルトBは、100V印加で表面抵抗率は2.0×10Ω/□であったが、ベルトC、Dは、100V印加した場合は、「under」と表示された。
表2中で、ベルトAの印加電圧10Vの各体積抵抗率、表面抵抗率は測定不能である。また、100Vを印加した場合のベルトAと比較例ベルトの表面抵抗率を比較すると、ベルトAの方が高い。これはコート層の影響によるもので、高抵抗の表層コートを有するベルトAのほうが、表層コートを有していない比較例ベルトより抵抗が高いことが分かる。
また、ベルトBとベルトD、ベルトCとベルトEを比較することで、コート層があることで、抵抗値が高くなっていることがわかる。また、ベルトBとベルトC、ベルトDとベルトEを比較することで、カーボン量を増やすと、抵抗値が低くなっていることがわかる。ベルトEでは抵抗が低すぎて、全ての項目が測定不能となっている。
本実施例では、表2で「under」と表示される範囲の中間転写ベルトを使用する必要がある。そこで、上記体積抵抗率、表面抵抗率以外で規定される中間転写ベルトの抵抗を測定した。その別の規定による中間転写ベルト8の抵抗が、上述の中間転写ベルトの周
方向の電気抵抗である。
[中間転写ベルトの周方向抵抗の求め方]
本実施例では、低抵抗化したベルトの抵抗値を図2で示す方法で測定している。図2(a)では、転写電源19から外面ローラ15Mに一定電圧を印加した時に、画像形成部1dの感光ドラム2dMに繋いだ電流計へ流れる電流を検知している。この検知した電流値から、外面ローラ15Mが接触する位置から感光ドラム2dMが接触する位置の間の中間転写ベルト8の電気抵抗を求める方法を用いている。即ち、この方法によって中間転写ベルト8の周方向(回転方向)に流れる電流を測定することで、ベルトの抵抗を算出している。このとき、中間転写ベルト8以外の抵抗の影響を無くすため、外面ローラ15M、感光ドラム2dMは金属のみからなるものを用いている。図中では、金属ローラであることを示すために符号にM(Metal)を付加している。本実施例では、外面ローラ15Mの当接部−感光ドラム2dM間の距離は、中間転写ベルト上面側が370mm、中間転写ベルト下面側が420mmである。
以上の測定方法で、印加電圧を変更してベルトA〜Eを測定した結果が図3(a)である。この測定方法では、中間転写ベルト8の回転方向である周方向の抵抗値を測定している。よって、本実施例では、この測定方法で測定した中間転写ベルトの抵抗値を周方向抵抗[Ω]と称している。
全てのベルトで印加電圧を上げていくと周方向抵抗が少しずつ低下していく傾向があるが、これは樹脂にカーボンを分散したベルトの特徴である。
尚、図2(b)に示す構成は、図2(a)に示す構成に対して、電流計の位置のみを変えている。この時の抵抗測定結果は、図3とほぼ同じ結果であり、本実施例の測定方法は、電流計の位置によって変動しない。
ベルトA〜Eでは、図2で示す方法で周方向抵抗測定を行うことができるが、比較例ベルトでは周方向抵抗測定を行うことができなかった。この理由は、比較例ベルトは、図4で示すような各1次転写ローラ55に夫々電圧電源が接続された構成の画像形成装置で使用されるベルトであるからである。
すなわち、図4の構成の画像形成装置では、隣り合う電圧電源が中間転写ベルトを介してお互いに流れ込む電流によって影響を受けないように(干渉しないように)、中間転写ベルトの体積抵抗、面積抵抗は高く設計されている。比較例ベルトは、各1次転写ローラ55に専用の高圧電源9から電圧を印加しても各1次転写部間で干渉しない程度の抵抗を持つベルトであり、周方向に電流が流れにくい性能を持つベルトとして設計されている。
本実施例では、比較例ベルトのようなベルトを高抵抗ベルト、ベルトA〜Eのような周方向に電流が流れるベルトを、低抵抗のベルトである導電性ベルトと定義する。
図3(b)は、図2(a)の測定方法で測定した電流をそのままプロットしたものである。前述の図3(a)の縦軸(抵抗[Ω])は、図3(b)の測定された電流値を印加電圧で割ることで換算した値である。
図3(b)に示すように、比較例ベルトでは2000V印加しても周方向に電流は流れなかった。しかしながら、図3(b)に示すように、ベルトA〜Eでは、500V以下で50μA以上流れていることがわかる。本実施例で、中間転写ベルトとして使用するベルトは、上記周方向抵抗で10〜10Ωである。
次に、上記周方向抵抗が10〜10Ωである中間転写ベルト8のベルト表面電位について説明する。
図5は、中間転写ベルト8のベルト表面電位の測定方法を説明するための図である。図中では4つの表面電位計で、4箇所の電位測定をしている。尚、図中の5dM、5aMは測定用の金属ローラである。
表面電位計37a及び測定プローブ38aは、画像形成部1aの1次転写ローラ5aM(金属ローラ)の電位を測定している。測定器はトレック・ジャパン株式会社製表面電位計MODEL344を使用した。金属ローラは中間転写ベルト8の内面(内周面)と同電位となるため、本方法で中間転写ベルト8の内面電位を測定することができる。同じく、表面電位計37d及び測定プローブ38dは画像形成部1dの1次転写ローラ5dM(金属ローラ)の電位により中間転写ベルト8の内面の電位を測定している。
また、表面電位計37e及び測定プローブ38eは駆動ローラ11Mに対向するように配設されることで中間転写ベルト8の外面(外周面)の電位を測定している。また、表面電位計37f及び測定プローブ38fはテンションローラ13に対向するように配設されることで中間転写ベルト8の外面電位を測定している。また、駆動ローラ11M、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13は、各々電気的な抵抗素子であるRe、Rf、Rgが接続され、この抵抗素子を介して接地されている。
本測定方法で中間転写ベルトの電位を測定したところ、測定箇所による差はほぼ無く、ベルト電位は中間転写ベルト8内でほぼ同電位であることがわかった。つまり、本実施例で用いたベルトは、ある程度抵抗値を持つものの、導電性を有するベルトと考えて差し支えない。
図6に中間転写ベルトの電位を測定した結果を示す。図6(a)は、Re=Rf=Rg=1GΩの抵抗素子を用いた場合の中間転写ベルト電位の測定結果を示す図である。図において横軸は転写用の電圧電源33に印加した電圧、縦軸は中間転写ベルトの電位であり、ベルトA〜Eでの結果を示している。
また同様に、図6(b)にはRe=Rf=Rg=100MΩ、図6(c)にはRe=Rf=Rg=10MΩの場合の中間転写ベルト電位の測定結果を示している。
いずれのベルトも1次転写電圧を上げていくと、ベルト電位も上昇していく。また、抵抗値を1GΩ、100MΩ、10MΩと下げていくと、ベルト電位は下降していく。ここでは、Re、Rf、Rgの抵抗値を全て同じにしているが、どれか1つの抵抗値を下げると、その抵抗に従ってベルト電位が下がることが分かっている。
また、比較例ベルトのように、周方向に電流がほぼ流れない抵抗値の中間転写ベルトでは、上述のような方法でベルト電位を測定することはできない。その理由について以下に説明する。図4で示すような、各1次転写ローラ55に対して、それぞれ専用の高圧電源9を用いて電圧を印加する構成では、電位測定プローブを配置することができない。また、このような構成では、ベルト周方向の位置で電位が異なるため、張架ローラに対向するように電位測定プローブを配置して測定しても意味の無いものとなってしまう。
次に、本実施例の構成で、感光ドラム2から中間転写ベルト8にトナー像を転写(1次転写)することができる理由を図7を用いて説明する。
図7(a)は、1次転写部の電位関係を説明するための図である。感光ドラム2の電位は、トナー部(画像部)で−100V、中間転写ベルト8の表面電位として+200Vの例を示している。感光ドラム2上に現像された帯電量qをもつトナーは、感光ドラム電位と中間転写ベルト電位とにより形成された電界Eにより、中間転写ベルト方向の力Fを受けて1次転写される。
図7(b)は、多重転写について説明するための図である。多重転写とは、中間転写ベルト8上に1次転写されたトナーの上に、さらに他色のトナーが重ね合わさるように1次転写されることである。図7(b)では、トナーはマイナスに帯電されており、中間転写ベルト8上に転写されたトナーにより、中間転写ベルト8上のトナー表面の電位が+150Vとなっている例を示している。この場合、感光ドラム2上のトナーは、感光ドラム電位とトナー表面電位とにより形成された電界E’により、中間転写ベルト方向の力F’を
受けて1次転写される。
図7(c)は、多重転写が終了した状態を示す図である。
このように、トナーを1次転写するには、トナーの帯電量と、感光ドラム2と中間転写ベルト8の電位差が関係しており、1次転写性を確保するには中間転写ベルト電位が一定以上必要であることがわかる。
本実施例の条件で、感光ドラム2上に現像されたトナーを1次転写するのに必要な中間転写ベルト電位を検討すると、200V以上必要であることがわかった。
図7(d)は、横軸に中間転写ベルト電位、縦軸に転写効率をプロットしたグラフである。転写効率とは、感光ドラム2上に現像されたトナーが何%中間転写ベルト8上に転写されたかを示す転写性の指標であり、通常95%以上あれば問題無く転写できていると判断している。図7(d)では、中間転写ベルト電位200V以上で98%以上の良好な転写が行われていることを示している。
このとき、各画像形成部1での感光ドラム2と中間転写ベルト8の電位差は全て同じである。つまり、感光ドラム電位−100Vと中間転写ベルト電位+200Vの電位差300Vが、各画像形成部1の1次転写部に形成されている。この電位差は、上記トナー3色分(単色ベタを100%として300%分)の多重転写に必要な電位差であり、従来の1次転写構成で各1次転写ローラに各々1次転写電圧を印加した場合とほぼ同等である。通常の画像形成装置は4色備えていても400%の画像形成することは無く、最大トナー量として、210〜280%程度で十分なフルカラー画像形成を行うことができている。
よって、本実施例では、中間転写ベルト8の表面電位が所定電位になるように中間転写ベルト8の周方向に電流を流すことで、1次転写を可能としている。この時、中間転写ベルト8の表面電位は、中間転写ベルト8の周方向に亘ってほぼ等電位になる。
本実施例では、中間転写ベルト8の外周面側に設けられた1つの電流供給部材(1次転写給電ローラ31)に対して、転写用に設けられた1つの電圧電源33から電圧が印加されることによって、各画像形成部1での1次転写を行うことが可能となっている。
2次転写は、中間転写ベルト8上に1次転写されたトナーが、1次転写と同様にクーロン力によって記録材上へ移動することで行われる。本実施例の条件で、記録材として上質紙(坪量75g/m)を用い、2次転写するのに必要な2次転写電圧は2kV以上である。
図8(a)、(b)、(c)は、図6の中間転写ベルト電位に1次転写の成立の条件を付加したものである。図8(a)には抵抗素子に1GΩ、図8(b)には抵抗素子に100MΩ、図8(c)には抵抗素子に10MΩの抵抗素子をそれぞれ使用した場合の結果を示している。図8(a)、(b)のように、抵抗素子が1GΩ、100MΩの場合は、一定以上の転写電圧(印加電圧)を印加することで、中間転写ベルト8の表面電位が所定電位(本実施例では200V)以上になり、1次転写がOKとなっている。図8(c)のように、抵抗素子が10MΩの場合は、より大きな転写電圧を印加する必要がある。抵抗素子が10MΩでも転写電圧を上げれば1次転写OKとなるが、実際は張架ローラに電流を流しているので、より大容量の電源が必要となってしまう。
また、このときの転写用の電圧電源から出力された1次転写電流は20μAであった。転写電圧が2kVの場合でも、1次転写給電ローラ31の弾性層の抵抗により実際に中間転写ベルトにかかる電圧は500V以下程度となる。この場合、図3(b)のように、ベルトに数100V電圧が印加されるとベルト周方向に十分電流が流れることがわかる。
図9には、抵抗素子にかえて定電圧素子としてのツェナーダイオード又はバリスタを張架ローラに接続した場合の2次転写電圧とベルト電位の関係を示している。図9に示す1点鎖線Aは、ツェナー電位又はバリスタ電位である。図9に示すBは、1次転写設定範囲を示している。ここで、定電圧素子は、中間転写ベルト8を予め設定された電位に保持す
るためのものである。
抵抗素子の場合は、2次転写電圧を大きくするとベルト電位も上昇していた。しかし、ツェナーダイオード又はバリスタの場合、ツェナー電位又はバリスタ電位を超えると、電流が流れて、ツェナー電位又はバリスタ電位を保つ特性を持つ。このため、2次転写電圧を上げても、ツェナー電位又はバリスタ電位以上にベルト電位が上昇することはない。このため、ベルト電位を一定に保つことができ、1次転写性を安定させることができる。
本実施例では、ツェナー電位又はバリスタ電位を環境の影響を考慮して200Vとすれば良い。このように構成することで、1次転写性を安定させることが可能である。
1次転写給電ローラ31に印加する印加電圧が数百V、転写電流が数十μAの転写構成において、ベルトの周方向抵抗が10〜10Ωで成立している。
以上説明したように、ベルトの電位は周方向の位置に依存せず、また、ベルトの抵抗は低い方が安定するため、中間転写ベルト8として金属ベルトのような抵抗ゼロのものを適用してもよい。
本実施例ではベルト電位は、1次転写ONの間よりも2次転写ONの間でベルトの電位が若干高くなっている例を示している。電圧電源33と転写電源19が同じタイミングで電圧を印加すると、前述のベルト電位が変動するので1次転写性又は2次転写性が不安定になることが懸念される。
よって、本実施例では、1次転写時は1次転写に最適な電圧を電圧電源33から印加し、2次転写時には2次転写に最適な電圧を転写電源19から印加することとしている。
図10は、中間転写ベルト8を流れる電流を説明するための図である。図10に実線で示す矢印Xは、1次転写用の電圧電源33から感光ドラム2方向へ電流が流れていることを示している。図10に破線で示す矢印Yは、張架ローラへ流れる電流を示しており、抵抗値Re、Rf、Rgが低いときに多く流れると上記で説明したものである。
各画像形成部1での感光ドラム2と中間転写ベルト8の電位差は略同等であるため、各感光ドラム2へ流れる電流も略同等となる。ただし、各画像形成部1の感光ドラム2の感光層の厚みばらつき等により静電容量がばらつくと、各感光ドラム2へ流れる電流が多少ばらつくこともある。本実施例では、感光層の厚みが初期から通紙耐久後(長期間の使用後)で10〜20μmの範囲であった。
このように本実施例では、導電性の中間転写ベルト8を用い、張架ローラに一定値以上の抵抗を繋ぎ、1次転写用の電圧電源33から中間転写ベルト8に電圧を印加している。これにより、中間転写ベルト8の電位が周方向(全周)に亘って所定電位以上となるように構成している。本実施例では、さらに、中間転写ベルト8の電位を、中間転写ベルト8の周方向に亘って略等電位(一定の電位)となるように構成している。このように、中間転写ベルト8に対して、感光ドラム2方向へ転写電流を流すことで、1次転写を成立させることができる。このことにより、1次転写用の電圧電源数を減らすことができ、画像形成装置の低コスト化、小型化を図ることができる。
以下に、本実施例の中間転写ベルト8によって、1次転写部で再転写の発生を抑制することができる理由について説明する。
本実施例の中間転写ベルト8は、図5に示すように、1次転写給電ローラ31(電流供給部材)から中間転写ベルト8の周方向に電流が流れ、表面電位が測定できるベルトである。ここで、このようなベルトを、上述のように低抵抗ベルトと定義する。また、図4に示すような各1次転写部に専用の電圧電源を有する構成の画像形成装置に使用される中間転写ベルトのことを、高抵抗ベルトと定義する。
この2種類のベルトに対して、ベルトから感光ドラム(具体的には、感光ドラムの芯金)に流入する電流(感光体流入電流)と、再転写の関係を考察した。
ここで再転写とは、中間転写ベルト8の回転方向において、上流の画像形成部1の感光ドラム2から中間転写ベルト8に1次転写されたトナーの一部が、下流の画像形成部1の1次転写部で感光ドラム2に転移する現象のことである。
この再転写の値は、こうして感光ドラム2上に再転写したトナーをニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT18で回収したものを紙上に貼りつけ、それをX−rite社製の分光濃度測定機で計測することで測定できる。この測定により、低抵抗ベルトは、高抵抗ベルトに対して、同じ値の電圧を印加した場合でも再転写するトナー量は少ない傾向にあることがわかった。
再転写に関しては、1次転写部の中間転写ベルト8と感光ドラム2が接触する接触領域で発生する放電現象によって引き起こされていると考えられている。放電に関しては、一般的にパッシェンの法則が知られている。感光ドラム2表面と中間転写ベルト8間の距離(ギャップ長)をdとしたときに、感光ドラム2と中間転写ベルト8間の電位差をVとする。このときのVが、パッシェンの閾値電圧V(d)を上回れば放電が発生し、下回れば放電は発生しない。
一般に再転写するトナー量は1次転写電圧が高い、又は接触領域(1次転写部)から感光ドラム2へ流入する電流が多いと、増加する。これは1次転写部において生じる放電によってネガであったトナーの極性が反転してしまうからである。極性が反転したトナーは、1次転写部で形成される電界(感光ドラム2側が負極性、中間転写ベルト8側が正極性)によって、感光ドラム2に転移する。
低抵抗ベルトにおいては、ベルトの表面電位が中間転写ベルト8の周方向に亘って、略等電位であるため、放電が開始されるのは、高抵抗ベルトの場合よりも、接触領域(1次転写部)の上流側となる。その際、上流の画像形成部で既に中間転写ベルト8に1次転写されたトナーは、次の画像形成部において該画像形成部の1次転写部よりも上流側で放電を受ける。また、感光ドラム2の表面はネガ(負極性)に帯電しており、中間転写ベルト8表面上はポジ(正極性)に帯電している。よって、中間転写ベルト8上のトナーにはマイナス電荷を持つ電子が衝突してくる為、中間転写ベルト8上のトナーはより負極性に帯電する。中間転写ベルト8上に転写されたトナーが下流の画像形成部の1次転写部を通過する前後でのQ/M(=粒子トリボ÷粒子重量)の値を調べてみると、感光ドラム2通過後の方が、Q/Mの値が高い方にシフトしていることが確かめられている。
一方、感光ドラム2表面上では、放電を受けると電位が上昇するので(正極性側に帯電されるので)、中間転写ベルト8との電位差は低下する。低抵抗ベルトは高抵抗ベルトに比べ、より1次転写部の上流側から放電が開始される。そのため、低抵抗ベルトは、1次転写部に到達するまでに、中間転写ベルト8と感光ドラム2の電位差の低下の度合いが大きく、1次転写部内に形成される電圧はパッシェン放電閾値以下(パッシェン放電閾値より小さく)になる。そのため、低抵抗ベルトでは、1次転写部内で放電が発生し難くなる。本発明者の検討によると、放電を受ける前の感光体電位は−500Vであり、中間転写ベルト電位は+400Vであった。放電を受けた後の電位は−100Vとなり、中間転写ベルト電位との電位差は+500Vとなった。この値はパッシェンの放電閾値以下である。
1次転写部での放電の様子を、フォトロン社製高速度カメラ42によって撮影した。高抵抗ベルトにおいては、1次転写部上流及び下流において放電が観測されるのに対し、低抵抗ベルトにおいては1次転写部上流のみで放電が発生していた。また、本実施例では低抵抗ベルトを用いた際の、放電を受ける前の感光体電位を−500V、中間転写ベルト電位を+400Vとしたが、条件はこれに限るものではない。1次転写部よりも上流側で発生する放電によって、感光ドラム2と中間転写ベルト8の電位差がパッシェンの放電閾値
以下に下がるものであれば、いかなる電位でも良い。
以上のように、本実施例では、1次転写部(接触領域)よりも上流側で中間転写ベルト8と感光ドラム2の間で放電を発生させ、1次転写部内に形成される電圧をパッシェン放電閾値より小さくしている。これにより、再転写の抑制が可能になり、画質の向上を図ることができる。
ここで1次転写部内に形成される電圧がパッシェン放電閾値より小さくなるように設定される画像形成部は、4つ(複数)の画像形成部のうち最上流に配置された画像形成部1aを除いた残りの画像形成部のうち少なくともいずれか1つの画像形成部であればよい。このような画像形成部において、上述のように電位差が設定されることで、再転写トナー量を抑制することが可能となる。
上述した本実施例の各構成は、以下に示す構成に変更することも可能である。
すなわち、中間転写ベルト8を張架する張架ローラを、二本にして画像形成装置本体をさらに小型化することも可能である。
また、本実施例では、電圧電源33から1次転写給電ローラ31を介して中間転写ベルト8に電圧を印加(電流を供給)していたが、これに限らず、電流供給部材として、二次転写ローラ15を採用し、転写電源19の印加電圧によって1次転写を行うことが可能である。この構成によって、一次転写、二次転写の電源を共通化してコストダウンを図ることが可能である。尚、定電圧素子を各張架ローラに接続する場合は、過剰に中間転写ベルト8に流れる電流は、定電圧素子を介して接地側に流れる。よって、この場合は、一次転写性、二次転写性の両立を達成することが可能である。
また、図1では、電流供給部材としての1次転写給電ローラ31は、中間転写ベルト8の外面に接触する構成として説明したが、中間転写ベルト8の内面に接触する構成であってもよい。
さらに、中間転写ベルト8を介して、各感光ドラムと1次転写部を形成する各対応部材5を無くすことが可能である。図1において対応部材5は、少なくとも、各感光ドラム2と中間転写ベルト8が接触する領域に設けられている。対応部材5を無くす場合は、上記領域以外に中間転写ベルト8を内面から外面に向けて押し上げるコロを設けるか、中間転写ベルト8のテンションによって中間転写ベルト8を各感光ドラム2に接触させる構成であればよい。
さらに、中間転写ベルトは、PPSにカーボンを添加して導電性を持たせているが、これに限るものではなく、他の樹脂や金属等でも本実施例と同等の導電性があれば、本実施例同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、単層及び2層の中間転写ベルト8を用いたが、弾性層を設ける等した3層以上のベルトであっても、上述した周方向抵抗の値を満たすものであれば、本実施例同様の効果を得ることができる。
2層の中間転写ベルト8は、基層を成形した後、コートすることで製造しているが、一体成型する等、抵抗値が前述の条件を満たしていれば製造方法はこれに限るものではない。
(実施例2)
以下に、実施例2について説明する。
本実施例は、各画像形成部・再転写部で積極的に上流放電を行うことにより、より高い2次転写性と1次転写性を達成するものである。本実施例で例示する画像形成装置の構成は、実施例1で説明したものと同様の構成を用いており、実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施例では、中間転写ベルト8には駆動ローラ11を通じて500Vを印加し、二次転写部には2500Vを印加するように構成した。
ここで、給電方法が異なる以下に示す3通りの構成について、2次転写性を比較した。
1つは、図11に示す様に、低抵抗化ベルトを用いて二次転写部のみに給電手段を設け、そこに2500Vを印加しただけのもの(比較例1、ベルト電位約200V)である。他の1つは、図4に示すように従来のベルトを用いて各1次転写部と2次転写部に電源をつけたもの(比較例2)である。他の1つは、図1に示す本実施例の様に、低抵抗化したベルトを用いて2次転写部と1次転写部それぞれに電源を配したものである。
ここで、2次転写性(転写効率)は、2次転写後、中間転写ベルト8上に残留したトナーをニチバン株式会社製セロテープCT18で回収して、紙上に貼りつけ、それをX−Rite社製の分光濃度測定機で計測した値で評価した。濃度の値が低いものほど転写性が高いということになる。
表3に、上述の3通りの各方式で取りうる二次転写性の最良値を示す。ここで示すように、低抵抗化したベルトを用い、高ベルト電位を2次転写用電源とは別に中間転写ベルト8に印加するようにした構成では著しい高転写性を示すことがわかる。
Figure 2013217985
以下に、この構成において2次転写効率が良い理由について説明する。
まず、一般に、2つの電極間で放電が発生する場合、放電が発生し始める閾値は低電圧側の電極(陰極)の表面状態に左右される。
以下、図12を用いて火花放電の持続条件の説明を行う。
火花放電においては、陽極近傍に存在するプラスイオンが電界で加速され、電極間の空気分子と衝突を繰り返し、プラスイオンと電子を生成させる(なだれ現象)(図12(a))。こうして生成された大量のプラスイオンが陰極に衝突する(図12(b))。この際、衝突のエネルギーにより電子が1個以上、陰極から弾き出されると、火花放電が持続することになる(図12(c))。なお、この条件を数式で表現したものがパッシェンの放電閾値の式となっている。
プラスイオンが陰極に衝突したときに何個の電子が弾き出されるかは陰極の仕事関数等に左右される。そのため、陰極表面がどのような物質で被覆されているかで放電閾値が異なることになる。
1次転写部について、以上の考えを当てはめてみる。本実施例における構成では中間転写ベルト8は感光ドラム2よりも電位が高く設定されている。よって、中間転写ベルト8と感光ドラム2間で放電が発生する場合、感光ドラム2上にトナーが載っているか否かで放電閾値に違いが生じることが考えられる。
まず、感光ドラム2上にトナーが存在しない場合の放電閾値の計測結果について述べる。
測定はトナー像が無い状態で一定電位(約100V)に帯電された感光ドラム2を可変電位の中間転写ベルト8に接触させる。回転し中間転写ベルト8との接触部を通過した後の感光ドラム2上電位を表面電位計で計測する。この際、中間転写ベルト8の電位を上昇させ、感光ドラム2との間の電位差を大きくしていくと、放電が発生する前は一定電位であるが、ある電位差で放電が発生すると、転写後、感光ドラム2上電位が上昇に転じる。この時の感光ドラム2と中間転写ベルト8の電位差を放電閾値とした。
図13(a)は、感光ドラム2表面がトナーで被覆されていない場合における、中間転写ベルト8に電圧を印加した場合の、中間転写ベルト表面電位と1次転写後の感光ドラム
上電位の計測結果を示す図である。これによると、感光ドラム2表面がトナーで被覆されていない場合の1次転写部の放電閾値は434Vとなる。以下、感光ドラム2がトナーで被覆されていない場合の放電閾値をVbareと表現する。
上記と同じやり方で、表面をトナーで被覆させた感光ドラム2と中間転写ベルト8間での放電閾値Vcoatを計測した。
この計測結果を図13(b)に示した。これによると、感光ドラム2表面がトナーで被覆されている場合の放電閾値は830Vであることがわかる。
以上のように、Vcoat>Vbareとなっているから、中間転写ベルト8上の表面電位Vbelt
を変化させた場合に、1次転写部では以下のような現象が生じていることが考えられる。ここで、感光ドラム2上の画像部の電位をVl、感光ドラム2上の非画像部の電位をVdとし、トナー層電位をVtonerとした。本実施例における画像形成装置では、Vl=−100V,Vd=−500V,Vtoner=−50V程度となる。
以下、図14(a)〜(c)を用いて画像形成時の一次転写部について説明する。
画像形成時には、1次転写部の上流は、トナーで被覆されているため、その放電閾値はVcoatとなり、1次転写部の下流では、トナーで被覆されていないため、その放電閾値はVbareとなる。また、中間転写ベルト8側と感光ドラム2側の電位差は、転写前はVbelt-Vtoner-Vl、転写後はVbelt+Vtoner-Vlとなる。0>Vtonerであるから、Vbelt-Vtoner-Vl>Vbelt+Vtoner-Vl となる。よって、中間転写ベルト8の電位Vbeltを上げていくと、以下の様に放電の仕方が変わっていく。
(1)Vcoat>Vbelt-Vtoner-Vl かつVbare>Vbelt+Vtoner-Vlの場合
1次転写部の上流・下流ともに放電閾値に達しないが、1次転写部でトナーにかかる電界が小さいために転写効率はかなり悪くなっている(図14(a))。
(2)Vcoat>Vbelt-Vtoner-Vl かつ Vbelt+Vtoner-Vl>Vbareの場合
1次転写部の上流では放電閾値に達しないが、1次転写部に印加される電圧値が上昇する為に1次転写性は上昇する。1次転写部の下流では放電閾値以上の電位差になるため放電が発生し、中間転写ベルト8上に転写されたトナーに放電による電子が付着することになる。このため、転写後の中間転写ベルト8上のトナートリボは感光ドラム2上に存在するときのトナートリボより、よりネガ側に帯電する(図14(b))。
(3)Vbelt-Vtoner-Vl>Vcoat かつ Vbelt+Vtoner-Vl>Vbareの場合
1次転写部の上流で放電が発生し、1次転写部での電位差はVcoatまで低下する。さら
に、1次転写部の下流で放電が発生し、電位差はVcoatからVbareまで低下する。この場合は1次転写部の上流で放電が発生した際、感光ドラム2上に存在するトナーにプラスイオンが降り注ぐことになるので、トナートリボはプラス側にシフトした状態で1次転写部に入ることになり、1次転写効率は大幅に落ちることになる(図14(c))。
次に、図14(d)〜(e)を用いて中間転写ベルト8上に乗ったトナー像が下流の画像形成部の1次転写部を通過する際に生じる再転写について考える。この場合、感光ドラム2上にはトナーが常に存在しないから、1次転写部の上流、下流ともに放電閾値はVbareとなる。よって、
(4)Vbare>Vbelt+Vtoner-Vd ならば、再転写部で放電は一切発生せず、再転写部通過
でトナートリボが影響を受けることはない(図14(d))。
(5)Vbelt+Vtoner-Vd>Vbare ならば、再転写部で上流放電が発生し、再転写部通過後
のトナートリボは通過前に比べ、さらにネガ側に帯電することになる(図14(e))。
このように、中間転写ベルト8の電位を上げていくと、画像形成部では(1)→(2)→(3)、再転写部では(4)→(5)と放電の状況が変化していく。
この内、1次転写部通過後にトナートリボがネガ化するのは(2)と(5)の場合である。一般に、2次転写部ではトナートリボが負の電荷を多く持っているものほど転写効率
がよいことが知られている。この為、中間転写ベルト8の電位を条件(2)、(5)を満たすように設定すると、2次転写部直前に至るまでにトナートリボがネガ化し、高い転写効率を達成することができる。
ここで、図1の最上流部の画像形成部1aにおいて、次のような場合の中間転写ベルト8上のトナートリボを計測した。すなわち、条件(2)を満たしながら中間転写ベルト8上に転写されたトナー像が、条件(5)を満たしつつベルトの回転に伴って下流の再転写部(画像形成部1b〜1d)を通過する場合の中間転写ベルト8上のトナートリボを計測した。トナートリボはホソカワミクロン株式会社製のE-SpartアナライザーEST-IIを用い
て計測した。
この計測結果を図15(a)に示す。図15(a)に示すように、中間転写ベルト8上のトナーが1次転写部を通過するごとにトリボがネガ化していることが実験からも確かめられる。さらに、条件(2)、(5)の中では、中間転写ベルト8の電位をより高く設定した方が、1次転写部通過後のネガ化の程度は大きくなる。つまり、条件(2)では、中間転写ベルト電位が、Vcoat≒Vbelt-Vtoner-Vlの方がネガ化の程度が大きく、条件(5)では、中間転写ベルト電位は高ければ高い程よい。
条件(2)の場合について、中間転写ベルト電位と、図1の画像形成部1aで画像形成を行った後の、画像形成部1a、1b間の中間転写ベルト8上の1次転写後のトナートリボの関係を示したグラフを図15(b)に示す。
図16(a)は、画像形成部1において中間転写ベルト電位が(1)→(2)→(3)と変化したときの1次転写性の変化を示す図である。ここで、転写性(転写効率)は1次転写では感光ドラム2上に転写後に残留したトナーをニチバン株式会社製セロテープCT18で回収したものを紙上に貼りつけ、それをX−Rite社製の分光濃度測定機で計測した値で評価する。図16(a)に示す結果から、(2)と(3)の境目で1次転写性が悪化し始めていることがわかる。また、条件(1)の領域では、1次転写部にかかる電位差が小さいため、1次転写性がかなり低くなってしまう。結局、条件(2)の領域が画像形成を行う場合に1次転写性の最も良好なバイアス設定条件となる。
本実施例で用いた中間転写ベルト8は低抵抗基材で作られたものであるから、ベルト電位は画像形成部1と再転写部で略等電位になり、その為、条件(2)と(5)を同時に満たす必要がある。つまり、以下の二つの条件を満たさなければならない。
(2)Vcoat>Vbelt-Vtoner-Vl かつ Vbelt+Vtoner-Vl>Vbare
(5)Vbelt+Vtoner-Vd>Vbare
一般に、Vd<Vlであるから、Vbelt+Vtoner-Vd>Vbelt+Vtoner-Vl>Vbare である。よって条件(2)が満たされれば自動的に条件(5)を満たすことが解る。
2次転写部に印加する電圧を上げることでベルトバイアスを上げて条件(2)を達成しようとする場合、極めて高い電圧を印加する必要がある。その為、2次転写部直前まで良好に帯電されたトナーが搬送されてきても、2次転写部での上流放電により逆にポジ化してしまい、2次転写効率は逆に悪化してしまうことが懸念される(図16(b))。
よって、2次転写電源とは別電源によって中間転写ベルト8に電位を印加し、2次転写電源からは中間転写ベルト8上の電位との間で適正な2次転写のための電位差を保つような電位を印加すれば、条件(5)を保ったまま良好な2次転写効率を達成できる。例えば、中間転写ベルト8には、Vbelt=500Vの電圧を印加すると、
Vcoat=830V>Vbelt+Vtoner-Vl=500V+50V−(−100)V=650V
となり条件(5)は満たされている。
この時、2次転写効率は2次転写部への印加電位を2500Vにしたときに最も高くなり、表3に示すような極めて高い2次転写効率を達成することができる。
以上説明したように、本実施例では、感光ドラム2と中間転写ベルト8との間の1次転写部のうちの上流部分での、感光ドラム2と中間転写ベルト8との電位差を次のように設定している。
感光ドラム2にトナー像が形成されている場合には、感光ドラム2と中間転写ベルト8との間の放電閾値以下に設定している。また、感光ドラム2にトナー像が形成されていない場合には、感光ドラム2と中間転写ベルト8との間の放電閾値以上に設定している。
このように設定することにより、より高い2次転写性と1次転写性を達成することが可能となる。
ここで、4つ(複数)の画像形成部のうち少なくともいずれか1つの画像形成部において、感光ドラム2と中間転写ベルト8との電位差が上述のように設定されるものであればよい。これにより、より高い2次転写性と1次転写性を達成することが可能となる。
本実施例では、中間転写ベルト8は低抵抗基材を用いているものの、2次転写電源による中間転写ベルト電位への干渉はほとんどない。図17には、張架ローラを通じて中間転写ベルトに500Vを印加した状態での2次転写部への印加電圧(2次転写部印加電圧)と、中間転写ベルト8のベルト表面電位の関係を示している。
このように、中間転写ベルト8の電位はほとんど2次転写電圧の影響を受けないことがわかる。
1…画像形成部、2…感光ドラム、8…中間転写ベルト、31…1次転写給電ローラ、33…電圧電源

Claims (6)

  1. 回転可能な無端状の中間転写体と、
    前記中間転写体の回転方向に沿って並設された複数のトナー像形成部であって、静電潜像が形成される像担持体をそれぞれ有し、前記像担持体に形成された静電潜像をトナー像に現像する複数のトナー像形成部と、
    を有し、
    各像担持体にそれぞれ形成されたトナー像が、各像担持体と前記中間転写体との間に形成された各1次転写部で順次重なり合うように前記中間転写体に1次転写された後、前記中間転写体上の2次転写部で記録材に一括して2次転写される画像形成装置において、
    前記中間転写体に電圧を印加する電源が設けられ、
    前記中間転写体は導電性を有し、前記電源から電圧が印加されて全周にわたって一定の電位となることで、各1次転写部で各像担持体から前記中間転写体にトナー像が1次転写され、
    画像形成時に、
    前記複数のトナー像形成部のうち前記回転方向の最上流に配置されたトナー像形成部を除いた残りのトナー像形成部のうち少なくともいずれか1つのトナー像形成部における前記像担持体と前記中間転写体との間の前記1次転写部よりも前記回転方向の上流で、該像担持体と前記中間転写体との間で放電が発生することで、
    該1次転写部における該像担持体と前記中間転写体との間の電位差がパッシェンの放電閾値より小さくなるように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記中間転写体を介して複数の前記像担持体と夫々対応する位置に配置される対応部材を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記中間転写体は、前記中間転写体を予め設定された電位に保持するための定電圧素子を介して接地されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記定電圧素子は、ツェナーダイオード又はバリスタであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 回転可能な無端状の中間転写体と、
    前記中間転写体の回転方向に沿って並設された複数のトナー像形成部であって、静電潜像が形成される像担持体をそれぞれ有し、前記像担持体に形成された静電潜像をトナー像に現像する複数のトナー像形成部と、
    を有し、
    各像担持体にそれぞれ形成されたトナー像が、各像担持体と前記中間転写体との間に形成された各1次転写部で順次重なり合うように前記中間転写体に1次転写された後、前記中間転写体上の2次転写部で記録材に一括して2次転写される画像形成装置において、
    前記中間転写体に電圧を印加する電源が設けられ、
    前記中間転写体は導電性を有し、前記電源から電圧が印加されて全周にわたって一定の電位となることで、各1次転写部で各像担持体から前記中間転写体にトナー像が1次転写され、
    画像形成時に、
    前記複数のトナー像形成部のうち少なくともいずれか1つのトナー像形成部における前記像担持体と前記中間転写体との間の前記1次転写部のうちの前記回転方向の上流部分での、前記像担持体と前記中間転写体との間の電位差が、
    前記像担持体にトナー像が形成されている場合には、前記像担持体と前記中間転写体との間の放電閾値以下に設定され、
    前記像担持体にトナー像が形成されていない場合には、前記像担持体と前記中間転写体と
    の間の放電閾値以上に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記中間転写体との間で前記2次転写部を形成する転写部材を有し、前記転写部材に電圧を印加することで、前記中間転写体上のトナー像を前記2次転写部で記録材に2次転写させる2次転写手段が、前記電源とは別に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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