JP2013215754A - 矯正機 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼板の矯正時に上、下矯正ロール間の隙間を調整できると共にメンテナンスが容易な矯正機を提供する。
【解決手段】並べて配置された上矯正ロール11及び下矯正ロール12を有する上、下矯正ロール群15、16と、上、下矯正ロール11、12の軸心に沿って平行配置され、かつ上、下矯正ロール11、12の軸心方向に沿って隙間を有して配置されたバックアップロール13a〜13k、14a〜14kとを備え、上、下矯正ロール群15、16により鋼板17を矯正する矯正機10において、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kは、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kを貫通する駆動軸18、21に固着された偏心リング19、22に軸受20、23を介して設けられ、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kの高さ位置は、鋼板17矯正時に予測される上、下矯正ロール11、12の変形に応じて調整されている。
【選択図】図1
【解決手段】並べて配置された上矯正ロール11及び下矯正ロール12を有する上、下矯正ロール群15、16と、上、下矯正ロール11、12の軸心に沿って平行配置され、かつ上、下矯正ロール11、12の軸心方向に沿って隙間を有して配置されたバックアップロール13a〜13k、14a〜14kとを備え、上、下矯正ロール群15、16により鋼板17を矯正する矯正機10において、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kは、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kを貫通する駆動軸18、21に固着された偏心リング19、22に軸受20、23を介して設けられ、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kの高さ位置は、鋼板17矯正時に予測される上、下矯正ロール11、12の変形に応じて調整されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、鋼板(帯鋼を含む)の平坦度不良を熱間又は冷間で矯正するローラー型の矯正機(ローラーレベラ)に関する。
それぞれ複数の矯正ロールを有する上部及び下部の矯正ロール列(矯正ロール群)と、各矯正ロールの全長に亘って並列に当接配置されている複数のバックアップロールとを有し、上、下部の矯正ロール列の間に搬送される鋼板を上下方向からそれぞれ矯正ロールで圧下して鋼板の平坦度不良を矯正するローラー型の矯正機では、矯正時の矯正ロールの弾性変形(撓み)により、上、下部の矯正ロール列間の隙間が、鋼板の幅方向端部に対して幅方向中央部で大きくなるという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1には、鋼板の通過方向に順次相前後して配列されたバックアップロールを、くし形軸受保持体でそれぞれ支承すると共に、傾斜方向が逆方向となって、長手方向に摺動可能な対となるくさびで構成されたくさび部材を介して、上部の矯正ロール列側のくし形軸受保持体は上方の横桁に、下部の矯正ロール列側のくし形軸受保持体は下方の横桁にそれそれ取り付けた矯正機が開示されている。ここで、上方の横桁側のくさび部材は、長手方向をバックアップロール(矯正ロール)の軸心方向に直交させて配置し、下方の横桁側のくさび部材は、長手方向をバックアップロール(矯正ロール)の軸心方向に沿って配置している。
そこで、例えば、特許文献1には、鋼板の通過方向に順次相前後して配列されたバックアップロールを、くし形軸受保持体でそれぞれ支承すると共に、傾斜方向が逆方向となって、長手方向に摺動可能な対となるくさびで構成されたくさび部材を介して、上部の矯正ロール列側のくし形軸受保持体は上方の横桁に、下部の矯正ロール列側のくし形軸受保持体は下方の横桁にそれそれ取り付けた矯正機が開示されている。ここで、上方の横桁側のくさび部材は、長手方向をバックアップロール(矯正ロール)の軸心方向に直交させて配置し、下方の横桁側のくさび部材は、長手方向をバックアップロール(矯正ロール)の軸心方向に沿って配置している。
このような構成とすることにより、くさび部材の一方のくさびを他方のくさびに対して長手方向に移動させることにより、くさび部材の高さを変化させることができ、上方及び下方の横桁にそれぞれ取り付けたくし形軸受保持体の高さ位置を調整することができる。その結果、下部の矯正ロール列の高さ位置を変えることができ、矯正機内での鋼板の搬送高さ位置(パスラインレベル)の調整が可能になる。また、上方の横桁に取り付けたくさび部材において、矯正ロールの中央部側に配置されたくさび部材の高さを高く、矯正ロールの両側に配置されたくさび部材の高さを端部側ほど低くなるように設定すると、矯正ロールの全長に亘って並列に配置されたバックアップロールの高さ位置を、矯正ロールの中央部が低く、両端部が高くなった下に凸の曲線に沿って変化させることができる。その結果、鋼板の矯正時に、矯正ロールの中央部が上方に大きく撓む変形を、バックアップロールにより補正することができる。その結果、鋼板の搬送方向に並んだ各段の矯正ロールの圧下量を、鋼板の幅方向に沿って調整することができる。
一般に、矯正機で鋼板の矯正を行う場合、各段の矯正ロールの圧下量は、上流側から下流側に向けて(鋼板の矯正作業の進行に伴って)変化させている。このため、段毎に矯正ロールに加わる矯正反力が異なり、各段毎に矯正ロールの撓み形状(撓み量)も異なる。従って、各段の矯正ロールにより、鋼板に適正な矯正(圧下)が行われるためには、先ず、各段の矯正ロールに加わる矯正反力を考慮して矯正時の矯正ロールの変形形状を求め、次いで、矯正ロールの変形形状に基づいて、上、下部の矯正ロール列間の隙間(クラウニング量)の適正値(適正クラウニング量)を決定し、この適正隙間に対応する適正変形が矯正ロールに生じるように、各段の矯正ロールに配置されたバックアップロールの高さ位置を個別に調整する必要がある。
しかしながら、特許文献1の矯正機では、鋼板の搬送方向に沿って複数列のバックアップロールが配置され、各列内のバックアップロールをそれぞれ支承するくし形軸受保持体は、くさびの長手方向が鋼板の搬送方向と平行となったくさび部材を介して上方の横桁に取り付けられているので、くさび部材の高さを変化させると、列内のバックアップロール(鋼板の搬送方向に沿った矯正ロールにそれぞれ配置されたバックアップロール)は、高さを同一に保って高さ位置が変化することになって、各段の矯正ロールに配置されたバックアップロールの高さ位置を、個別に調整することができない。その結果、例えば、1段目(矯正機の入り側)に配置された上下の矯正ロール間の隙間を適正クラウニング量に設定すると、2段目以降の上下の矯正ロール間のクラウニング量は適正値とならず、2段目以降の矯正ロールによる鋼板の圧下量は、鋼板板幅中央部で過剰となり、鋼板の適正な矯正を行うことができないという問題が生じる。
また、鋼板の矯正時に、矯正ロールに矯正反力が加わると、矯正反力はバックアップロールを介して上方及び下方の横桁にそれぞれ伝達されて、横桁が上下方向に変形する。このため、上下の矯正ロール間の隙間が変化して、上下の矯正ロール間の隙間を適正クラウニング量に調整することができないという問題が生じる。
更に、矯正する鋼板の板厚が非常に厚くなる場合、上部の各矯正ロールの高さ位置を上昇させて上下の矯正ロール間の隙間を拡大する必要があり、そのためには上部の矯正ロール列側に配置したバックアップロールを上昇させねばならない。また、矯正機のメンテナンスを行う場合にも作業空間を確保するため、上部の各矯正ロールの高さ位置を大きく上昇させる必要があり、そのためには上部の矯正ロール列側に配置したバックアップロールを大きく上昇させねばならない。しかし、くさび部材を使用する場合、上部の矯正ロール列側のバックアップロールを大きく上昇させることはできない。
更に、矯正する鋼板の板厚が非常に厚くなる場合、上部の各矯正ロールの高さ位置を上昇させて上下の矯正ロール間の隙間を拡大する必要があり、そのためには上部の矯正ロール列側に配置したバックアップロールを上昇させねばならない。また、矯正機のメンテナンスを行う場合にも作業空間を確保するため、上部の各矯正ロールの高さ位置を大きく上昇させる必要があり、そのためには上部の矯正ロール列側に配置したバックアップロールを大きく上昇させねばならない。しかし、くさび部材を使用する場合、上部の矯正ロール列側のバックアップロールを大きく上昇させることはできない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、鋼板の矯正時に上下の矯正ロール間の隙間を適正値に調整できると共に、上下の矯正ロール間の隙間を連続的に変化させた傾斜圧下が可能で、更に、上矯正ロール群を大きく上昇させてメンテナンスの作業空間を容易に確保することでメンテナンスが容易にできる矯正機を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る矯正機は、それぞれ複数並べて配置された上矯正ロール及び下矯正ロールを有する上、下矯正ロール群と、前記上、下矯正ロールの軸心に沿ってそれぞれ平行配置され、かつ前記各上、下矯正ロールの軸心方向に沿って隙間を有して配置された複数のバックアップロールとを備え、前記上、下矯正ロール群の間に搬送される鋼板を上下方向から前記各上、下矯正ロールで圧下して該鋼板の平坦度不良を矯正する矯正機において、
前記各バックアップロールは、前記複数のバックアップロールを貫通する駆動軸にそれぞれ固着された偏心リングに軸受を介して回転自由に設けられ、しかも前記各バックアップロールの高さ位置は、前記鋼板の矯正時に予測される前記上、下矯正ロールの変形に応じて調整されている。
前記各バックアップロールは、前記複数のバックアップロールを貫通する駆動軸にそれぞれ固着された偏心リングに軸受を介して回転自由に設けられ、しかも前記各バックアップロールの高さ位置は、前記鋼板の矯正時に予測される前記上、下矯正ロールの変形に応じて調整されている。
本発明に係る矯正機において、前記駆動軸の中央部に固着される前記偏心リングの偏心量を最大とし、前記中央部に固着される偏心リング以外の偏心リングの偏心量を、前記中央部から該偏心リングの固着位置までの距離の増加に伴って小さくすることが好ましい。
本発明に係る矯正機において、前記偏心量の調整は、前記駆動軸の回転角度位置によって行うことができる。
本発明に係る矯正機において、前記駆動軸は軸受を介して支持され、該駆動軸の一端部にはブレーキ付回転駆動手段が、該駆動軸の他端部には位相角検出手段がそれぞれ設けられていることが好ましい。
本発明に係る矯正機において、並べて配置された前記上矯正ロールを前記下矯正ロールから離す昇降手段を有することが好ましい。
本発明に係る矯正機において、上下の前記各バックアップロールは上、下駆動軸取り付け手段を介して対向配置された上、下桁部材にそれぞれ支持され、前記上、下桁部材の両端にはそれぞれ対向配置された上、下フレームを備え、該上、下フレームは、その間隔を自由に調整できる高さ調整手段を備えていることが好ましい。
本発明に係る矯正機においては、それぞれ複数並べて配置された、即ち、鋼板の搬送方向に沿って多段に配置された上、下矯正ロールの高さ位置は、各段の上、下矯正ロールに当接するバックアップロールの高さ位置に基づいて決まるので、バックアップロールの高さ位置を、鋼板の矯正時に予測される上、下矯正ロールの変形に応じてそれぞれ設定される偏心リングの偏心量に基づいて調整することにより、鋼板の矯正時に各上、下矯正ロールが変形しても、各上、下矯正ロール間の隙間(クラウニング量)を適正値(適正クラウニング量)に設定することができる。その結果、上、下矯正ロールによる鋼板の最適な圧下量を確保することができ、鋼板の適正な矯正を行うことが可能になる。
本発明に係る矯正機において、駆動軸の中央部に固着される偏心リングの偏心量を最大とし、中央部に固着される偏心リング以外の偏心リングの偏心量を、中央部から偏心リングの固着位置までの距離の増加に伴って小さくする場合、上矯正ロールの中央部に当接するバックアップロールの高さ位置を最も低く、中央部に当接するバックアップロール以外のバックアップロール、即ち上矯正ロールの中央部の両側でそれぞれ当接するバックアップロールの高さ位置を中央部からバックアップロールの当接位置までの距離の増加に伴って徐々に高く、下矯正ロールの中央部に当接するバックアップロールの高さ位置を最も高く、中央部に当接するバックアップロール以外のバックアップロール、即ち下矯正ロールの中央部の両側でそれぞれ当接するバックアップロールの高さ位置を中央部からバックアップロールの当接位置までの距離の増加に伴って徐々に低くすることができる。
これにより、上、下矯正ロールを、矯正時に予測される上、下矯正ロールの変形方向とは逆方向に予め変形させておくことができ、矯正時に加わる矯正反力により上、下矯正ロールに生じる変形を相殺することができ、上、下矯正ロール間の隙間を適正クラウニング量に調整することが可能になる。
これにより、上、下矯正ロールを、矯正時に予測される上、下矯正ロールの変形方向とは逆方向に予め変形させておくことができ、矯正時に加わる矯正反力により上、下矯正ロールに生じる変形を相殺することができ、上、下矯正ロール間の隙間を適正クラウニング量に調整することが可能になる。
本発明に係る矯正機において、偏心量の調整を、駆動軸の回転角度位置によって行う場合、任意の偏心量を容易に設定することができる。
本発明に係る矯正機において、駆動軸が軸受を介して支持され、駆動軸の一端部にはブレーキ付回転駆動手段が、駆動軸の他端部には位相角検出手段がそれぞれ設けられている場合、矯正反力がバックアップロール及び偏心リングを介して駆動軸に作用しても、駆動軸を容易に回転することができ、駆動軸の回転角度位置を正確に決めることができ、偏心量の設定を正確に行うことができる。また、ブレーキ付回転駆動手段であるため、鋼板の矯正時に駆動軸をブレーキにより固定することができ、設定した偏心量を維持することができる。その結果、精度の高い矯正を行うことができる。
本発明に係る矯正機において、並べて配置された上矯正ロールを下矯正ロールから離す昇降手段を有する場合、上矯正ロールを持ち上げてバックアップロールに当接させることができ、上、下矯正ロール間に鋼板が進入可能な隙間を形成することが可能になる。
本発明に係る矯正機において、上下の各バックアップロールが、上、下駆動軸取り付け手段を介して対向配置された上、下桁部材にそれぞれ支持され、上、下桁部材の両端にはそれぞれ対向配置された上、下フレームを備え、上、下フレームは、その間隔を自由に調整できる高さ調整手段を備えている場合、鋼板が上、下矯正ロールの隙間に搬送された後(噛み込まれた後)、上、下矯正ロールに加わる矯正反力により上、下フレームが上下方向に変形しても、高さ調整手段を操作して上、下矯正ロール間の隙間の幅を調整することができ、上、下矯正ロールによる鋼板の最適な圧下量を確保することができる。その結果、鋼板の適正な矯正を行うことができる。
また、高さ調整手段により上、下フレームの間隔が自由に調整できるので、例えば、下フレームに対して上フレームを傾斜させることができ、鋼板の搬送方向に並んだ上、下矯正ロール間の隙間を入側から出側に向けて連続的に変化させることができる。その結果、鋼板の傾斜圧下を行うことができる。
更に、高さ調整手段を駆動させることにより、下フレームに対して上フレームを大きく上昇させることができ、メンテナンスに必要な作業空間を容易に確保することができる。そして、上フレームの上下方向の移動量は、高さ調整手段の上下方向駆動量により決まるので、上フレームの上下方向移動時に、例えば、上、下フレーム同士を摺動させながらガイドする必要がなく、上、下フレームの上下方向サイズをコンパクトにすることがきる。このため、上、下フレームの剛性を向上させることができ、上、下フレームの上下方向の変形が低減し、矯正能力の向上を図ることができる。そして、上、下フレームのコンパクト化により、矯正機の製造コストの低減を図ると共に、矯正機を設置する建屋の高さ、建屋に設置する天井クレーンの高さが低くなるので、総合的な設備費の大幅な軽減が可能になる。
また、高さ調整手段により上、下フレームの間隔が自由に調整できるので、例えば、下フレームに対して上フレームを傾斜させることができ、鋼板の搬送方向に並んだ上、下矯正ロール間の隙間を入側から出側に向けて連続的に変化させることができる。その結果、鋼板の傾斜圧下を行うことができる。
更に、高さ調整手段を駆動させることにより、下フレームに対して上フレームを大きく上昇させることができ、メンテナンスに必要な作業空間を容易に確保することができる。そして、上フレームの上下方向の移動量は、高さ調整手段の上下方向駆動量により決まるので、上フレームの上下方向移動時に、例えば、上、下フレーム同士を摺動させながらガイドする必要がなく、上、下フレームの上下方向サイズをコンパクトにすることがきる。このため、上、下フレームの剛性を向上させることができ、上、下フレームの上下方向の変形が低減し、矯正能力の向上を図ることができる。そして、上、下フレームのコンパクト化により、矯正機の製造コストの低減を図ると共に、矯正機を設置する建屋の高さ、建屋に設置する天井クレーンの高さが低くなるので、総合的な設備費の大幅な軽減が可能になる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る矯正機10は、複数並べて配置された上矯正ロール11を有する上矯正ロール群15と、並べて配置された下矯正ロール12を有する下矯正ロール群16と、上矯正ロール11の軸心に沿ってそれぞれ平行配置され、かつ各上矯正ロール11の軸心方向に沿って隙間を有して配置された複数、例えば11個のバックアップロール13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h、13i、13j、13kと、下矯正ロール12の軸心に沿ってそれぞれ平行配置され、かつ各下矯正ロール12の軸心方向に沿って隙間を有して配置された複数、例えば11個のバックアップロール14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14h、14i、14j、14kとを備え、上、下矯正ロール群15、16の間に搬送される鋼板17(図7参照)を上下方向から各上、下矯正ロール11、12で圧下して鋼板17の平坦度不良を矯正するものである。
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る矯正機10は、複数並べて配置された上矯正ロール11を有する上矯正ロール群15と、並べて配置された下矯正ロール12を有する下矯正ロール群16と、上矯正ロール11の軸心に沿ってそれぞれ平行配置され、かつ各上矯正ロール11の軸心方向に沿って隙間を有して配置された複数、例えば11個のバックアップロール13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h、13i、13j、13kと、下矯正ロール12の軸心に沿ってそれぞれ平行配置され、かつ各下矯正ロール12の軸心方向に沿って隙間を有して配置された複数、例えば11個のバックアップロール14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14h、14i、14j、14kとを備え、上、下矯正ロール群15、16の間に搬送される鋼板17(図7参照)を上下方向から各上、下矯正ロール11、12で圧下して鋼板17の平坦度不良を矯正するものである。
ここで、バックアップロール13aは上矯正ロール11の中央部に当接するように配置され、バックアップロール13b、13c、13d、13e、13fはバックアップロール13aの一側に、バックアップロール13g、13h、13i、13j、13kはバックアップロール13aの他側に、それぞれ等間隔で配置されている。また、バックアップロール14aは下矯正ロール12の中央部に当接するように配置され、バックアップロール14b、14c、14d、14e、14fはバックアップロール14aの一側に、バックアップロール14g、14h、14i、14j、14kはバックアップロール14aの他側に、それぞれ等間隔で配置されている。
図3に示すように、上矯正ロール11に当接する各バックアップロール13a〜13kは、バックアップロール13a〜13kを貫通する駆動軸18にそれぞれ固着された偏心リング19に軸受20を介して回転自由に設けられ、下矯正ロール12に当接するバックアップロール14a〜14kは、バックアップロール14a〜14kを貫通する駆動軸21にそれぞれ固着された偏心リング22に軸受23を介して回転自由に設けられている。そして、駆動軸18、21にそれぞれ設けられたバックアップロール13a〜13k、14a〜14kの高さ位置は、鋼板17の矯正時に予測される上、下矯正ロール11、12の変形に応じてそれぞれ設定される偏心リング19、22の偏心量に基づいて調整されている。
図1、図2に示すように、上の各バックアップロール13a〜13kは上駆動軸取り付け手段46を介して上桁部材26に支持され、下の各バックアップロール14a〜14kは下駆動軸取り付け手段47を介して、上桁部材26に対向配置される下桁部材29に支持されている。ここで、上桁部材26において、各バックアップロール13a〜13kの軸心方向に沿った方向(以下、上桁部材26の長手方向という)の両端にはそれぞれ対向配置された上フレーム24、25が設けられ、下桁部材29において各バックアップロール14a〜14kの軸心方向に沿った方向(以下、下桁部材29の長手方向という)の両端にはそれぞれ対向配置された下フレーム27、28が設けられている。そして、上フレーム24、25と下フレーム27、28は、上フレーム24、25と下フレーム27、28間の間隔を自由に調整できる高さ調整手段の一例であるトラニオン形油圧シリンダ30を備えている。以下、詳細に説明する。
図1、図2に示すように、矯正機10の下桁部材29は、下桁部材29の長手方向を鋼板17の搬送方向に直交させて、矯正機10を設置する基台(図示せず)に固定され、上桁部材26は、上桁部材26の長手方向を下桁部材29の長手方向に一致させて下桁部材29の上方に対向配置されている。ここで、下フレーム27、28はそれぞれ上方に開口したコ字状となって、対向する下側部32、33と、下側部32、33の下連結部34とを有している。また、上フレーム24、25はそれぞれ下方に開口したコ字状となって、対向する上側部35、36と、上側部35、36の上連結部37とを有している。そして、上フレーム24、25の上側部35、36は、下フレーム27、28の下側部32、33の間にそれぞれ隙間を有すると共に、上側部35、36の先端が下連結部34の上方に位置するように挿入され、下桁部材29の長手方向の両端部にそれぞれ下連結部34が固着され、上桁部材26の長手方向の両端部にそれぞれ上連結部37が固着されている。
下連結部34において、上側部35、36の下端とそれぞれ対向する部位には、トラニオン形油圧シリンダ30を取り付ける収納部38がそれぞれ形成されている。ここで、トラニオン形油圧シリンダ30は、トラニオン形油圧シリンダ30のピストン39の先端を上方に向けると共に、シリンダトラニオンピン40、41が、その軸心方向を下桁部材29の長手方向に向けて収納部38に挿入され、シリンダトラニオンピン40、41は収納部38に設けた掛止孔42、43を挿通している。そして、ピストン39の先側は、連結ピン31を介して上側部35、36の先側に連結されている。更に、トラニオン形油圧シリンダ30内には、ピストン39の基側に直結してピストン39の移動量を測定する変位測定器56が設けられている。
また、下側部32、33の対向する内側面の先側には、挿入された上側部35、36の外側面に当接して、挿入される上側部35、36(上フレーム24、25)の下側部32、33(下フレーム27、28)に対する位置決めを行う案内部材44、45が設けられている。
また、下側部32、33の対向する内側面の先側には、挿入された上側部35、36の外側面に当接して、挿入される上側部35、36(上フレーム24、25)の下側部32、33(下フレーム27、28)に対する位置決めを行う案内部材44、45が設けられている。
このような構成とすることにより、トラニオン形油圧シリンダ30を操作して、下桁部材29に対して上桁部材26を所望の距離だけ昇降することができる。また、トラニオン形油圧シリンダ30のピストン39と上フレーム24、25が連結ピン31を介して連結しているので、下連結部34の両側にそれぞれ配置したトラニオン形油圧シリンダ30のピストン39の先端高さ位置を変えることにより、上桁部材26(下桁部材29)の長手方向に直交する面内で、上フレーム24、25を下フレーム27、28に対して傾動させることができる。
図1〜図3に示すように、バックアップロール13a〜13kが軸受20を介して回転自由に設けられる偏心リング19が固着される駆動軸18は、上駆動軸取り付け手段46を介して上桁部材26に取り付けられている。また、バックアップロール14a〜14kが軸受23を介して回転自由に設けられる偏心リング22が固着される駆動軸21は、下駆動軸取り付け手段47を介して下桁部材29に取り付けられている。
ここで、上駆動軸取り付け手段46は、上桁部材26の下側に固定される上ベース部材48と、上ベース部材48に並べて取り付けられ、駆動軸18に取り付けられる各バックアップロール13a〜13kを、その軸心方向両側から支持する対となる上ロール支持部材49、50とを有している。また、下駆動軸取り付け手段47は、下桁部材29の上側に固定される下ベース部材51と、下ベース部材51に並べて取り付けられ、駆動軸21に取り付けられる各バックアップロール14a〜14kを、その軸心方向両側から支持する対となる下ロール支持部材52、53とを有している。
そして、上ロール支持部材49、50及び下ロール支持部材52、53には、それぞれ駆動軸18、21用の貫通孔54が、上、下矯正ロール11、12の本数と同数だけ、上、下矯正ロール11、12と同一ピッチで形成されている。なお、上、下駆動軸取り付け手段46、47を、それぞれ上、下桁部材26、29に固定する場合、並べて配置されたバックアップロール14a〜14kの中間位置の上方に、並べて配置されるバックアップロール13a〜13kの軸心位置がそれぞれ配置されるように、例えば、下桁部材29に固定した下駆動軸取り付け手段47に対して、上桁部材26に固定する上駆動軸取り付け手段46の位置決めを行う。なお、貫通孔54の内周側には、それぞれすべり軸受55が設けられている。即ち、駆動軸18は、すべり軸受55を介して支持されている。
更に、図3に示すように、駆動軸18、21の一端部には第1の大歯車59が取り付けられ、第1の大歯車59は、ブレーキ付電動機60(ブレーキ付回転駆動手段の一例)の回転軸61に取り付けられた第1の小歯車62が螺合している。また、駆動軸18、21の他端部には第2の大歯車63が取り付けられ、第2の大歯車63はエンコーダ64(位相角検出手段の一例)の回転軸に取り付けられた第2の小歯車66が螺合している。
このような構成とすることにより、ブレーキ付電動機60を駆動させることにより、第1の大歯車59の回転を介して駆動軸18、21を回転することができる。また、駆動軸18、21の回転は第2の大歯車63及び第2の小歯車66を介してエンコーダ64に伝達することができ、駆動軸18、21の回転角度をエンコーダ64で測定することができる。その結果、エンコーダ64から出力される駆動軸18、21の回転角度の測定信号をブレーキ付電動機60の回転制御器(図示せず)に入力することにより、ブレーキ付電動機60を用いて駆動軸18、21を所定の回転角度だけ回転させることができる。
図1に示すように、上矯正ロール11の両側はそれぞれ軸受を介して上矯正ロール支持部69に、所定のピッチで回転自在にそれぞれ並べて配置されている。同様に、下矯正ロール12の両側はそれぞれ軸受を介して下矯正ロール支持部72に、所定のピッチで回転自在にそれぞれ並べて配置されている。
ここで、図1、図3に示すように、下矯正ロール12の両側にそれぞれ設けられた下矯正ロール支持部72の幅方向(並べて配置された下矯正ロール12の軸心方向に直交する方向)の両側に、昇降手段の一例である第2のトラニオン形油圧シリンダ74をピストン75の先端を上方に向けて取り付け、下矯正ロール支持部72に並べて配置された下矯正ロール12間の中間位置に、上矯正ロール支持部69に並べて配置された上矯正ロール11の軸心位置がそれそれ一致するように、上矯正ロール支持部69を下矯正ロール支持部72に対して位置決めして、ピストン75の先側をそれぞれ第2の連結ピン76を介して、上矯正ロール支持部69の幅方向(並べて配置された上矯正ロール11の軸心方向に直交する方向)の両側にそれぞれ設けられた連結部77に接続する。そして、下矯正ロール支持部材72を、下矯正ロール支持部材72に並べて配置された下矯正ロール12が、下桁部材29に下駆動軸取り付け手段47を介して並べて配置されたバックアップロール14a〜14kに対して、バックアップロール14a〜14kの軸心に沿ってそれぞれ上方から当接するように位置決めして、下連結部34に固定部材73を介して取り付ける。
このような構成とすることにより、トラニオン形油圧シリンダ30を操作して、上桁部材26を下桁部材29に対して所定の位置に保持した後、第2のトラニオン形油圧シリンダ74のピストン75を上方に向けて押し出すことにより、上矯正ロール支持部69を介して上矯正ロール11を持ち上げて、バックアップロール13a〜13kに押し付けることができ、下矯正ロール12に対して、上矯正ロール11の高さ位置を調整することができる。これにより、鋼板17の矯正を行う際、鋼板17が上、下矯正ロール11、12間に噛み込まれるための隙間を形成することができる。
ここで、図4(A)〜(C)に示すように、偏心リング19を駆動軸18に取り付けた場合(偏心リング22を駆動軸21に取り付けた場合も同様)、駆動軸18の回転中心Dの回りで駆動軸18を回転すると、偏心リング19の偏心中心Oは、回転中心Dと偏心中心Oの距離を半径(以下、偏心半径という)とする円周上を移動する。このため、駆動軸18を回転させた際の駆動軸18の回転角度位置によって、駆動軸18の回転中心Dと偏心リング19の偏心中心Oとの高さの差、即ち偏心量が変化することになって、偏心量の調整を駆動軸18の回転角度位置によって行うことができる。そして、バックアップロール13a〜13kは偏心リング19に取り付けられているので、駆動軸18の回転角度位置によって、バックアップロール13a〜13kの偏心量の調整を行うことができる。
図4(A)に示すように、偏心中心Oが回転中心Dの直下に存在する場合、即ち、偏心リング19の偏心量が下方に最大の場合、バックアップロール13a〜13kの回転中心(偏心リング19の偏心中心O)の高さ位置は、駆動軸18の回転中心Dに対して最下位置にある。また、図4(B)に示すように、偏心中心Oが回転中心Dと同一高さ位置に存在する場合、即ち、偏心リング19の偏心量が0の場合、バックアップロール13a〜13kの回転中心(偏心リング19の偏心中心O)の高さ位置は、駆動軸18の回転中心Dの高さ位置と一致する。更に、図4(C)に示すように、偏心中心Oが回転中心Dの直上に存在する場合、即ち、偏心リング19の偏心量が上方に最大の場合、バックアップロール13a〜13kの回転中心(偏心リング19の偏心中心O)の高さ位置は、駆動軸18の回転中心Dに対して最高位置にある。
このため、偏心リング19の偏心中心O(バックアップロール13a〜13kの回転中心)が、図4(A)〜(C)に示す高さ位置にそれぞれある場合、第2のトラニオン形油圧シリンダ74により上矯正ロール11を上昇させてバックアップロール13a〜13kと当接した際の上矯正ロール11の回転中心の高さ位置は、図4(B)を基準として、図4(A)ではz(偏心半径の値に比例した距離)だけ下方にあって一番低く、図4(C)ではzだけ上方にあって一番高くなる。
そこで、鋼板17の矯正時に予測される矯正反力により上矯正ロール11に生じる変形量(撓み量)を求め、撓み量から上矯正ロール11の軸方向の異なる位置で上矯正ロール11にそれぞれ当接するバックアップロール13a〜13kの回転中心(偏心リング19の偏心中心O)の高さ位置を算出する。次いで、矯正時の撓み変形した上矯正ロール11に当接するバックアップロール13a〜13kの回転中心(偏心リング19の偏心中心O)の高さ位置と、非矯正時(撓み変形していない状態)の上矯正ロール11に当接するバックアップロール13a〜13kの回転中心(偏心リング19の偏心中心O)の高さ位置との差である矯正時高さ偏差を求める。そして、駆動軸18にバックアップロール13a〜13k用の偏心リング19をそれぞれ固着する際、バックアップロール13a〜13kがそれぞれ取り付けられる偏心リング19の偏心量が、バックアップロール13a〜13k毎に求めた矯正時高さ偏差の値と同値となるように角度調整する。
その結果、駆動軸18の中央部に固着される偏心リング19の偏心量が下方に向けて最大となり、駆動軸18の両側にそれぞれ固着される偏心リング19の下方に向いた偏心量は、中央部から偏心リング19の固着位置までの距離の増加に伴って徐々に小さくなる。そして、偏心リング19にそれぞれ取り付けられたバックアップロール13a〜13kの外周上の最下端位置は、駆動軸18の中央部に配置されるバックアップロール13aが一番低く、駆動軸18の両側にそれぞれ配置されるバックアップロール13b〜13f、13g〜13kでは、中央部からバックアップロール13b〜13f、13g〜13kの位置までの距離の増加に伴って徐々に高くなっている。
このため、第2のトラニオン形油圧シリンダ74のピストン75を上方に向けて押し出して上矯正ロール11をバックアップロール13a〜13kに向けて移動させ、上矯正ロール11が上方に配置された全てのバックアップロール13a〜13kと当接するようにすると、図3に示すように、上矯正ロール11は、両端が支持された状態で下方に撓むことになる。即ち、駆動軸18の両端中心を結ぶ中心線D0に対して、バックアップロール13aを取り付ける偏心リング19が固着された領域の中心軸Daは下方に位置するので、上矯正ロール11のバックアップロール13aが当接する領域の中心線Caは上矯正ロール11の両端中心を結ぶ中心線C0に対して下方に位置する。また、駆動軸18の中心線D0に対して、駆動軸18にバックアップロール13cを取り付ける偏心リング19が固着された領域の中心軸Dcは下方に位置する(中心線Dcと中心線D0との距離は、中心線Daと中心線D0との距離より小さい)ので、上矯正ロール11においてバックアップロール13cが当接する領域の中心線Ccは上矯正ロール11の中心線C0に対して下方に位置するが、中心線Ccと中心線C0との距離は、中心線Caと中心線C0との距離より小さい。更に、駆動軸18の中心軸D0に対して、駆動軸18にバックアップロール13fを取り付ける偏心リング19が固着された領域の中心軸Dfは下方側から近接するので、上矯正ロール11においてバックアップロール13fが当接する領域の中心線はCfは上矯正ロール11の中心線C0とほぼ一致する。
鋼板17の矯正時に、駆動軸18には、バックアップロール13a〜13kを介して、上矯正ロール11を撓み変形させた際の反力が加わる。このため、図6に示すように、駆動軸18においてバックアップロール13aが取り付けられる偏心リング19が固着された領域の中心線Daは駆動軸18の両端中心を結ぶ中心線D0に対して上方に位置する。また、駆動軸18においてバックアップロール13cが取り付けられる偏心リング19が固着された領域の中心線Dcは駆動軸18の中心線D0に対して上方に位置するが、中心線Dcと中心線D0との距離は、中心線Daと中心線D0との距離より小さい。更に、駆動軸18においてバックアップロール13fが取り付けられる偏心リング19が固着された領域の中心線Dfは駆動軸18の中心線D0とほぼ一致する。図5に、駆動軸18に取り付けられたバックアップロール13a〜13kにおいて、図6のS−S矢視方向から見た場合のバックアップロール13a、13c、13fの上下方向の関係を示す。
また、図3に示すように、駆動軸18に取り付けたバックアップロール13a〜13kの偏心量を、例えば、駆動軸18の中央部に配置されるバックアップロール13aを下方に向けて一番大きく、駆動軸18の両側にそれぞれ配置されるバックアップロール13b〜13d、13g〜13iでは、中央部からの距離の増加に伴って徐々に小さくする。ここで、上矯正ロール11を全てのバックアップロール13a〜13kに当接させて変形させた際、上矯正ロール11の撓み変形に伴う反力で、図6に示すように、駆動軸18は、バックアップロール13aが取り付けられる偏心リング19が固着された領域の中心線Daは駆動軸18の中心線D0に対して上方に位置し、バックアップロール13cが取り付けられる偏心リング19が固着された領域の中心線Dcは駆動軸18の中心線D0に対して上方に位置するが、中心線Dcと中心線D0との距離は、中心線Daと中心線D0との距離より小さくする。これによって、鋼板17の幅方向の両側領域の矯正は弱く、幅方向の中央部の矯正を強く行うことができる。
続いて、駆動軸18の中央部に固着される偏心リング19の取り付けについて説明する。
図7に示すように、鋼板17の矯正時に上、下矯正ロール11、12に加わる矯正反力Pは、鋼板17の仕様(板厚、板幅、鋼種等)と加工度(矯正条件)によって、式(1)から求めることができる。
P=W・t2・σy・(1−αi 2/3)/(1000L0) ・・・・・ (1)
ここで、Wは鋼板17の板幅、tは鋼板17の板厚、σyは鋼板17の降伏値、L0は上、下矯正ロール11、12のピッチの1/2の長さ(図1参照)、αiは鋼板17の加工度である。
標準的な鋼板17の矯正方法では、矯正機10の入側から出側に向かって加工度αiを小さく設定する傾向にあり、一般的には冷間鋼板の場合で、αiの最大値/αiの最小値の値は5〜7となる。従って、矯正反力Pは、上、下矯正ロール11、12の各段によって異なる。
図7に示すように、鋼板17の矯正時に上、下矯正ロール11、12に加わる矯正反力Pは、鋼板17の仕様(板厚、板幅、鋼種等)と加工度(矯正条件)によって、式(1)から求めることができる。
P=W・t2・σy・(1−αi 2/3)/(1000L0) ・・・・・ (1)
ここで、Wは鋼板17の板幅、tは鋼板17の板厚、σyは鋼板17の降伏値、L0は上、下矯正ロール11、12のピッチの1/2の長さ(図1参照)、αiは鋼板17の加工度である。
標準的な鋼板17の矯正方法では、矯正機10の入側から出側に向かって加工度αiを小さく設定する傾向にあり、一般的には冷間鋼板の場合で、αiの最大値/αiの最小値の値は5〜7となる。従って、矯正反力Pは、上、下矯正ロール11、12の各段によって異なる。
上、下矯正ロール11、12に加わる矯正反力Pは、バックアップロール13a〜13k、14a〜14k、偏心リング19、22、駆動軸18、21、すべり軸受55、上、下駆動軸取り付け手段46、47を介して上、下桁部材26、29に伝達され、図7に示すように、上、下桁部材26、29が変形することにより上、下桁部材26、29に発生する変形反力とつりあう。そこで、図7に示すように、両端部が支持された上、下桁部材26、29に、想定される最大の矯正反力Pが加わった際に生じる上、下桁部材26、29の中央部の最大撓み量δt、δbをそれぞれを求める。そして、偏心リング19、22の偏心量(偏心リング19、22を駆動軸18、21に固着した際の駆動軸18、21の回転中心Dと偏心リング19、22の偏心中心Oとの差)をδとする。
また、駆動軸18、21の中央部を除いた個所にそれぞれ固着される偏心リング19、22の偏心量δmは、式(2)を用いて求める。
δm=ωm/(6EI)・(W・X)・(L1+W/2)・{(L1+W/2)・
(L+L1+W/2)−(W2−X2)+(X−L1 4)/4} ・・・・・ (2)
δm=ωm/(6EI)・(W・X)・(L1+W/2)・{(L1+W/2)・
(L+L1+W/2)−(W2−X2)+(X−L1 4)/4} ・・・・・ (2)
ここで、mは、駆動軸18、21に取り付けたバックアップロール13a〜13k、14a〜14kを特定する引数で、例えば、駆動軸18、21の一端を基準として、引数1〜5はそれぞれ、バックアップロール13f、14f、バックアップロール13e、14e、バックアップロール13d、14d、バックアップロール13c、14c、バックアップロール13b、14bに対応する。また、引数7〜11はそれぞれ、バックアップロール13g、14g、バックアップロール13h、14h、バックアップロール13i、14i、バックアップロール13j、14j、バックアップロール13k、14kに対応する。なお、引数6は、バックアップロール13a、14aに対応する。
また、ωmは引数mのバックアップロール13b〜13k、14b〜14kに加わる等分布矯正反力(バックアップロールの個数が11の場合P/11)、Eは駆動軸18、21のヤング率、Iは駆動軸18、21の断面2次モーメント、Xは駆動軸18、21の一端から引数mのバックアップロール13b〜13k、14b〜14kの中心までの距離、Lは駆動軸18、21の両側の支持点間の距離(駆動軸18、21のスパン)である。更に、L1は(L−W)/2である(図7参照)。
また、ωmは引数mのバックアップロール13b〜13k、14b〜14kに加わる等分布矯正反力(バックアップロールの個数が11の場合P/11)、Eは駆動軸18、21のヤング率、Iは駆動軸18、21の断面2次モーメント、Xは駆動軸18、21の一端から引数mのバックアップロール13b〜13k、14b〜14kの中心までの距離、Lは駆動軸18、21の両側の支持点間の距離(駆動軸18、21のスパン)である。更に、L1は(L−W)/2である(図7参照)。
バックアップロール13a〜13k、14a〜14kが取り付けられる偏心リング19、22の偏心量が決まると、駆動軸18、21の中央部にバックアップロール13a、14aが取り付けられる偏心リング19、22を固着とする。そして、駆動軸18、21の中央部に固着した偏心リング19、22の両側にそれぞれ固着されるバックアップロール13b〜13k、14b〜14kが取り付けられる偏心リング19、22は、その偏心中心Oが、駆動軸18、21の中央部に固着した偏心リング19、22の偏心中心Oに対して、駆動軸18、21の回転中心Dの回りで角度θmだけ回転した角度位置に配置されるように取り付ける。
ここで、偏心リング19、21を駆動軸18、22に固着した際の偏心半径はδとなるので、δmがδ以下の場合、δmはcos−1(1−δ/δm)となる。一方、δがδmを超える場合、δmはsin−1(δ/δm−1)+90°となる。
ここで、偏心リング19、21を駆動軸18、22に固着した際の偏心半径はδとなるので、δmがδ以下の場合、δmはcos−1(1−δ/δm)となる。一方、δがδmを超える場合、δmはsin−1(δ/δm−1)+90°となる。
なお、式(1)から、鋼板17の板幅Wが変化すると、上、下矯正ロール11、12の各段に加わる矯正反力が変化し、上、下矯正ロール11、12の撓み状態が変化することから、引数mのバックアップロール13a〜13k、14a〜14kが取り付けられる偏心リング19、22の偏心量も変わる。しかし、鋼板17の最大板幅と最小板幅の比率が2:1としても、各偏心リング19、22位置での撓み比率差は3%以下程度となる。このため、例えば、鋼板17の最大板幅と最小板幅の中間板幅の鋼板17を想定した場合の各偏心リング19、22の偏心量に基づいて上、下矯正ロール11、12を事前に変形させておき、この上、下矯正ロール11、12を用いて、板幅の異なる鋼板17の矯正を行ってもよい。
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る矯正機10の作用について説明する。
バックアップロール13a〜13kに取り付けられる偏心リング19の偏心量は、鋼板17の矯正時に予測される上矯正ロール11の撓み量に応じて決定する。即ち、駆動軸18の中央部に固着される偏心リング19の偏心量を下方に向けて最大とし、駆動軸18の両側にそれぞれ固着される偏心リング19の偏心量を中央部から偏心リング19の固着位置までの距離の増加に伴って徐々に小さくしている。このため、上矯正ロール11の中央部に当接するバックアップロール13aの高さ位置が最も低く、上矯正ロール11の中央部の両側でそれぞれ当接するバックアップロール13b〜13kの高さ位置が中央部から当接位置までの距離の増加に伴って徐々に高くなる。
バックアップロール13a〜13kに取り付けられる偏心リング19の偏心量は、鋼板17の矯正時に予測される上矯正ロール11の撓み量に応じて決定する。即ち、駆動軸18の中央部に固着される偏心リング19の偏心量を下方に向けて最大とし、駆動軸18の両側にそれぞれ固着される偏心リング19の偏心量を中央部から偏心リング19の固着位置までの距離の増加に伴って徐々に小さくしている。このため、上矯正ロール11の中央部に当接するバックアップロール13aの高さ位置が最も低く、上矯正ロール11の中央部の両側でそれぞれ当接するバックアップロール13b〜13kの高さ位置が中央部から当接位置までの距離の増加に伴って徐々に高くなる。
また、バックアップロール14a〜14kが取り付けられる偏心リング22の偏心量は、鋼板17の矯正時に予測される下矯正ロール12の撓み量に決定する。即ち、駆動軸21の中央部に固着される偏心リング22の偏心量を上方に向けて最大とし、駆動軸21の両側にそれぞれ固着される偏心リング22の偏心量を中央部から偏心リング22の固着位置までの距離の増加に伴って徐々に小さくしている。このため、下矯正ロール12の中央部に当接するバックアップロール14aの高さ位置が最も高く、下矯正ロール12の中央部の両側でそれぞれ当接するバックアップロール14b〜14kの高さ位置が中央部から当接位置までの距離の増加に伴って徐々に低くなる。
ここで、ブレーキ付電動機60を用いて駆動軸18、21を0度〜90度の範囲で回転させると、駆動軸18、21に固着された各偏心リング19、22の偏心中心Oは駆動軸18、21の回転中心Dの周りで、駆動軸18、21と同一角度だけ一斉に回転する。このため、駆動軸18、21の中央部に固着され、バックアップロール13a、14aが取り付けられる偏心リング19、22の偏心量が減少すると共に、バックアップロール13a、14aの両側に配置されるバックアップロール13b〜13k、14b〜14kがそれぞれ取り付けられる偏心リング19、22の偏心量も一斉に減少する。
従って、式(1)を用いて、並べて配置された上、下矯正ロール11、12の各段毎に発生する矯正反力Pを求め、上、下矯正ロール11、12毎に、矯正反力Pからバックアップロール13a、14aが取り付けられる偏心リング19、22の偏心量を算出して、この偏心量となるように、ブレーキ付電動機60を用いて各駆動軸18、21を回転する。これによって、各段の上、下矯正ロール11、12にそれぞれ当接するバックアップロール13a〜13k、14a〜14kを取り付ける偏心リング19、22の偏心量を、各段の上、下矯正ロール11、12による鋼板17の加工度に応じて設定することができる。
なお、偏心リング19、22の偏心量を想定される最大の矯正反力Pに基づいて決定しているので、各段の上、下矯正ロール11、12にそれぞれ当接するバックアップロール13a〜13k、14a〜14kを取り付ける偏心リング19、22の偏心量を、駆動軸18、21を回転することにより確実に設定することができる。
なお、偏心リング19、22の偏心量を想定される最大の矯正反力Pに基づいて決定しているので、各段の上、下矯正ロール11、12にそれぞれ当接するバックアップロール13a〜13k、14a〜14kを取り付ける偏心リング19、22の偏心量を、駆動軸18、21を回転することにより確実に設定することができる。
そして、上、下矯正ロール11、12を、矯正時に予測される上、下矯正ロール11、12の撓み変形方向とは逆方向にそれぞれ変形した状態とした後、トラニオン形油圧シリンダ30を操作して、上桁部材26を下桁部材29に対して所定の位置に保持する。次いで、第2のトラニオン形油圧シリンダ74を用いて上矯正ロール11をバックアップロール13a〜13kに押し付ける。これにより、上、下矯正ロール11、12間に鋼板17の噛み込みに必要な隙間を形成することができると共に、各段毎に上矯正ロール11を、矯正時に予測される上矯正ロール11の撓み変形方向とは逆方向に変形させることができる。なお、下矯正ロール12の高さ位置は、駆動軸21に取り付けられたバックアップロール14a〜14kと当接するように設定されている。このため、駆動軸21を回転させてバックアップロール14a〜14kの高さ位置を変えると、下矯正ロール12はバックアップロール14a〜14kの高さ位置に応じて撓むことになって、各段毎に下矯正ロール12は、矯正時に予測される下矯正ロール12の撓み変形方向とは逆方向に変形する。
図8に示すように、上、下矯正ロール11、12間に鋼板17を噛み込ませて矯正を開始すると、上、下矯正ロール11、12に加わる矯正反力は、駆動軸18、21を介して、上、下駆動軸取り付け手段46、47及び上、下桁部材26、29にそれぞれ伝達されるので、上、下駆動軸取り付け手段46、47及び上、下桁部材26、29はそれぞれ変形し、上、下矯正ロール11、12間の間隔が拡大する。そこで、矯正機10のミル定数を予め求めておくと、矯正時に発生する矯正反力から上、下矯正ロール11、12間の隙間の拡大量をミル定数を用いて算出することができるので、鋼板17が上、下矯正ロール11、12に噛み込まれた際に、4つのトラニオン形油圧シリンダ30を操作して上桁部材26の高さ位置を調整することで、隙間の拡大量を除去して上、下矯正ロール11、12間の隙間を最適距離に調整することができる。
このとき、図8に示すように、下桁部材29の下フレーム28と上桁部材26の上フレーム25は、トラニオン形油圧シリンダ30と連結ピン31によってそれそれ連結されているので、トラニオン形油圧シリンダ30毎にピストン39の移動量を変えることで、下桁部材29に対して上桁部材26を傾斜させることができる。これにより、上、下矯正ロール11、12間の隙間の拡大量が消失するように上桁部材26の高さ位置を調整することができ、隙間の拡大量を除去して上、下矯正ロール11、12間の隙間の幅を調整することができる。その結果、上、下矯正ロール11、12間に鋼板17の最適な圧下量が可能な隙間を形成することができる。
また、矯正反力が上、下矯正ロール11、12に加わると、上、下矯正ロール11、12は撓み変形を起こすが、上、下矯正ロール11、12は、矯正時に予測される上、下矯正ロール11、12の撓み変形方向とは逆方向に予め変形しているので、矯正時に加わる矯正反力により上、下矯正ロール11、12の逆方向の撓み変形が解消される。即ち、上矯正ロール11を撓み変形方向と逆方向に予め変形させて(下方に撓み変形させて)いるので、駆動軸18にはその反力が作用して、鋼板17の矯正開始前の駆動軸18において、例えば、各段の上矯正ロール11に当接するバックアップロール13aが取り付けられる偏心リング19が固着される領域では、図9(A)、(B)、(C)にそれぞれ示すように、上方に量δA、δB、δCだけ撓んでいる。
そして、鋼板17の矯正が開始されると、上矯正ロール11に矯正反力が作用して、上矯正ロール11の下方への撓み変形が解消されることにより、駆動軸18に作用していた反力も解消され、駆動軸18の上方への撓み変形も解消されて、例えば、駆動軸18のバックアップロール13aが取り付けられる偏心リング19が固着される領域の撓み量δA、δB、δCは消失する。なお、下矯正ロール12と、下矯正ロール12に当接するバックアップロール14a〜14kが取り付けられる駆動軸21についても、同様に矯正時では駆動軸21の撓み変形は解消される。
その結果、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kは同一高さとなり、矯正時に上、下矯正ロール11、12は水平状態を保つことになって、上、下矯正ロール11、12間の隙間を適正クラウニング量に調整することが可能になる。
その結果、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kは同一高さとなり、矯正時に上、下矯正ロール11、12は水平状態を保つことになって、上、下矯正ロール11、12間の隙間を適正クラウニング量に調整することが可能になる。
更に、鋼板17のパスラインの高さ位置に対して、鋼板17の搬送方向に沿って多段に配置される上、下矯正ロール11、12の高さ位置は、当接するバックアップロール13a〜13k、14a〜14kの高さ位置に基づいてそれぞれ設定することができるので、各段毎に上、下矯正ロール11、12間の隙間を鋼板17の加工度に基づいて設定することができる。これにより、各段毎に上、下矯正ロール11、12による鋼板17の最適な圧下量を確保することができ、鋼板17の適正な矯正を行うことが可能になる。
また、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kは軸受20、23を介して偏心リング19、22に取り付けられ、駆動軸18、21はすべり軸受55を介して支持され、駆動軸18、21の回転はブレーキ付電動機60を用いて行われる。このため、駆動軸18、21を容易に回転することができ、駆動軸18、21の回転角度位置を正確に決めることができ、偏心量の設定を正確に行うことができる。また、矯正反力がバックアップロール13a〜13k、14a〜14kに作用すると、バックアップロール13a〜13k、14a〜14kが駆動軸18、21の周りで回転することにより、矯正力が駆動軸18、21に直接作用することを防止すると共に、ブレーキ付電動機60のブレーキ作用で駆動軸18、21の回転を防止することができる。このため、鋼板17の矯正時に駆動軸18、21を固定することができ、設定した偏心量を維持することができる。その結果、精度の高い矯正を行うことができる。
更に、駆動軸18、21に固着する偏心リング19、22の偏心量を調整することでバックアップロール13a〜13k、14a〜14kの高さ位置を駆動軸18、21の軸心方向に沿って任意に変えることができる。これによって、例えば、上、下矯正ロール11、12間の隙間(ロールギャップ)を、上、下矯正ロール11、12の中央部より外側の領域で狭くすることができ、耳波材鋼板(板厚が板幅方向の両側で厚くなっている鋼板)の矯正ができる。また、上、下矯正ロール11、12間の隙間を、上、下矯正ロール11、12の中央部で狭くすることで、中波材鋼板(板厚が板幅の中央部で厚くなっている鋼板)の矯正ができる。
図10に示すように、上フレーム24と下フレーム27及び上フレーム25と下フレーム28は、トラニオン形油圧シリンダ30と連結ピン31によってそれぞれ連結されているので、トラニオン形油圧シリンダ30を駆動させることにより、下フレーム27、28に対して上フレーム24、25を昇降させることができる。このため、下桁部材29に対する上桁部材26の高さ位置を容易に変えることができ、並べて配置された上、下矯正ロール11、12間の隙間の平行調整を容易に行うことができる。
また、図11に示すように、鋼板17の入側(搬送方向の上流側)にあるトラニオン形油圧シリンダ30の駆動量と鋼板17の出側(搬送方向の下流側)にあるトラニオン形油圧シリンダ30の駆動量をそれぞれ調整することにより、下フレーム27、28に対して連結ピン31を介して上フレーム24、25を傾斜させることができる。このため、鋼板17の搬送方向に並んだ上、下矯正ロール11、12間の隙間を、入側を大きく出側を小さくすると共に、入側から出側に向けて連続的に変化させることができ、鋼板17の傾斜圧下を行うことが可能になる。
更に、従来の矯正機に比較して、矯正機10では上フレーム24と下フレーム27及び上フレーム25と下フレーム28がトラニオン形油圧シリンダ30と連結ピン31によってそれぞれ連結されているので、上、下フレーム24、25、27、28の上下方向サイズを小さくしても、下フレーム27、28に対して上フレーム24、25を大きく上昇させることができる。このため、上、下フレーム24、25、27、28の上下方向サイズをコンパクトにしても、矯正機10において十分なメンテナンスの作業空間を確保することができる。そして、上、下フレーム24、25、27、28の上下方向サイズをコンパクトにすることができることから、上、下フレーム24、25、27、28の剛性が向上して上、下フレーム24、25、27、28の上下方向の変形が低減し、矯正能力の向上を図ることができる。また、上、下フレーム24、25、27、28のコンパクト化により、矯正機10の製造コストの低減を図ると共に、矯正機10を設置する建屋の高さ、建屋に設置する天井クレーンの高さが低くなるので、総合的な設備費の大幅な軽減が可能になる。
図12に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る矯正機80は、第1の実施の形態に係る矯正機10と比較して、上、下駆動軸取り付け手段46、47が上下に対向配置された上、下桁部材81、82にそれぞれ支持され、下桁部材82の長手方向両側には対となるロ字状の連結フレーム83がそれぞれ設けられ、上桁部材81の長手方向両側は、ロ字状の連結フレーム83の上梁部84にそれぞれ取り付けられ、ロ字状の連結フレーム83の開口上部側に位置する対となる連結部85、86が設けられた昇降手段87により支持されていることが特徴となっている。ここで、昇降手段87は図示しない回転駆動部と、回転駆動部にそれぞれ接続して、上梁部84に並べて形成された雌ねじ部(図示せず)に螺合する圧下用スクリュー部材88とを有している。なお、符号89は、下駆動軸取り付け手段47をロ字状の連結フレーム83の開口下部側の所定位置に配置するための固定部材である。
このような構成とすることにより、上、下矯正ロール11、12間に鋼板17を噛み込ませて矯正を開始すると、上、下矯正ロール11、12に加わる矯正反力は、上、下駆動軸取り付け手段46、47及び上、下桁部材81、82にそれぞれ伝達されるので、上、下駆動軸取り付け手段46、47及び上、下桁部材81、82はそれぞれ変形し、上、下矯正ロール11、12間の間隔が拡大する。そこで、矯正機80のミル定数を予め求めておくと、矯正時に発生する矯正反力から上、下矯正ロール11、12間の隙間の拡大量をミル定数を用いて算出することができるので、鋼板が上、下矯正ロール11、12に噛み込まれた際に、昇降手段87を操作して上桁部材81の高さ位置を調整することで、隙間の拡大量を除去して上、下矯正ロール11、12間の隙間を最適距離に調整することができる。
なお、上、下桁部材81、82にそれぞれ支持された上、下駆動軸取り付け手段46、47を介して取り付けられる駆動軸18、21の作用効果は、第1の実施の形態の矯正機10における駆動軸18、21の作用効果と同一となるので、説明は省略する。
なお、上、下桁部材81、82にそれぞれ支持された上、下駆動軸取り付け手段46、47を介して取り付けられる駆動軸18、21の作用効果は、第1の実施の形態の矯正機10における駆動軸18、21の作用効果と同一となるので、説明は省略する。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
例えば、バックアップロールを、上、下矯正ロールの軸心に沿ってそれぞれ平行配置した場合について説明したが、バックアップロールを上、下矯正ロールの軸心を中央にしてそれぞれ平行配置してもよい。この場合、バックアップロールは、上、下矯正ロールの両側から当接することになる。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
例えば、バックアップロールを、上、下矯正ロールの軸心に沿ってそれぞれ平行配置した場合について説明したが、バックアップロールを上、下矯正ロールの軸心を中央にしてそれぞれ平行配置してもよい。この場合、バックアップロールは、上、下矯正ロールの両側から当接することになる。
10:矯正機、11:上矯正ロール、12:下矯正ロール、13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h、13i、13j、13k、14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14h、14i、14j、14k:バックアップロール、15:上矯正ロール群、16:下矯正ロール群、17:鋼板、18:駆動軸、19:偏心リング、20:軸受、21:駆動軸、22:偏心リング、23:軸受、24、25:上フレーム、26:上桁部材、27、28:下フレーム、29:下桁部材、30:トラニオン形油圧シリンダ、31:連結ピン、32、33:下側部、34:下連結部、35、36:上側部、37:上連結部、38:収納部、39:ピストン、40、41:シリンダトラニオンピン、42、43:掛止孔、44、45:案内部材、46:上駆動軸取り付け手段、47:下駆動軸取り付け手段、48:上ベース部材、49、50:上ロール支持部材、51:下ベース部材、52、53:下ロール支持部材、54:貫通孔、55:すべり軸受、56:変位測定器、59:第1の大歯車、60:ブレーキ付電動機、61:回転軸、62:第1の小歯車、63:第2の大歯車、64:エンコーダ、66:第2の小歯車、69:上矯正ロール支持部、72:下矯正ロール支持部、73:固定部材、74:第2のトラニオン形油圧シリンダ、75:ピストン、76:第2の連結ピン、77:連結部、80:矯正機、81:上桁部材、82:下桁部材、83:連結フレーム、84:上梁部、85、86:連結部、87:昇降手段、88:圧下用スクリュー部材、89:固定部材
Claims (6)
- それぞれ複数並べて配置された上矯正ロール及び下矯正ロールを有する上、下矯正ロール群と、前記上、下矯正ロールの軸心に沿ってそれぞれ平行配置され、かつ前記各上、下矯正ロールの軸心方向に沿って隙間を有して配置された複数のバックアップロールとを備え、前記上、下矯正ロール群の間に搬送される鋼板を上下方向から前記各上、下矯正ロールで圧下して該鋼板の平坦度不良を矯正する矯正機において、
前記各バックアップロールは、前記複数のバックアップロールを貫通する駆動軸にそれぞれ固着された偏心リングに軸受を介して回転自由に設けられ、しかも前記各バックアップロールの高さ位置は、前記鋼板の矯正時に予測される前記上、下矯正ロールの変形に応じて調整されていることを特徴とする矯正機。 - 請求項1記載の矯正機において、前記駆動軸の中央部に固着される前記偏心リングの偏心量を最大とし、前記中央部に固着される偏心リング以外の偏心リングの偏心量を、前記中央部から該偏心リングの固着位置までの距離の増加に伴って小さくすることを特徴とする矯正機。
- 請求項1又は2記載の矯正機において、前記偏心量の調整は、前記駆動軸の回転角度位置によって行うことを特徴とする矯正機。
- 請求項3記載の矯正機において、前記駆動軸は軸受を介して支持され、該駆動軸の一端部にはブレーキ付回転駆動手段が、該駆動軸の他端部には位相角検出手段がそれぞれ設けられていることを特徴とする矯正機。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の矯正機において、並べて配置された前記上矯正ロールを前記下矯正ロールから離す昇降手段を有することを特徴とする矯正機。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の矯正機において、上下の前記各バックアップロールは上、下駆動軸取り付け手段を介して対向配置された上、下桁部材にそれぞれ支持され、前記上、下桁部材の両端にはそれぞれ対向配置された上、下フレームを備え、該上、下フレームは、その間隔を自由に調整できる高さ調整手段を備えていることを特徴とする矯正機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012086740A JP2013215754A (ja) | 2012-04-05 | 2012-04-05 | 矯正機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012086740A JP2013215754A (ja) | 2012-04-05 | 2012-04-05 | 矯正機 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109277434A (zh) * | 2018-09-28 | 2019-01-29 | 安徽得高金属制品有限公司 | 一种铝质卷材压平用可调节压辊装置 |
CN110914005A (zh) * | 2017-08-04 | 2020-03-24 | 首要金属科技法国有限责任公司 | 多辊金属带材校平机 |
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-
2012
- 2012-04-05 JP JP2012086740A patent/JP2013215754A/ja active Pending
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