JP2013215391A - 歯科用インプラント - Google Patents

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Abstract

【課題】 歯槽骨に損傷を殆ど与えることなく、インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に挿入して埋設することができ、これによって、仮歯や義歯を短期間で歯槽骨に固定できる歯科用インプラントを提供すること。
【解決手段】 義歯13を歯槽骨14に固定するためのものであって、歯槽骨14に形成された埋め込み孔29に埋め込まれる歯根部17を備える歯科用インプラント12において、歯根部17は、歯根本体部32と、この歯根本体部32の外表面に設けられた拡縮部33とを備え、拡縮部33は、歯根部17が埋め込み孔29に挿入されるとき、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に変形可能であり、歯根部17が埋め込み孔29に埋め込まれたときに、当該拡縮部33の弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形する構成。
【選択図】 図3

Description

本発明は、義歯(補綴物)を歯槽骨に固定するための歯科用インプラントに関する。
従来の歯科用インプラントの一例として図10に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。この歯科用インプラント1は、同図に示すように、人工歯根となる脚部2と、義歯(図示せず)が取り付けられる頭部3とを備えている。この頭部3に設けられている雄ねじ部4は、脚部2に形成されている雌ねじ部5に螺合している。これによって、頭部3と脚部2とが互いに結合している。そして、脚部2には、雄ねじ部6が形成されている。このように、脚部2の外周面に雄ねじ部6を形成してあるのは、脚部2を歯槽骨に植設したときに、この雄ねじ部6によって、脚部2の外周面と歯槽骨との結合力を高めることができるからである。
しかし、図10に示す歯科用インプラント1では、脚部2の外周面に形成した雄ねじ部6を歯槽骨に形成した埋め込み孔に螺合させるときに、歯槽骨の埋め込み孔の内面の全体に、この雄ねじ部6によって損傷を与えることとなる。この歯槽骨が受ける損傷は、回復するのに長期間(約4〜6箇月)を要するので、仮歯や義歯を取り付けるまでに、約4〜6箇月以上の相当の期間を必要とする。
そこで、歯槽骨に大きな損傷を与えることなく歯科用インプラントを歯槽骨に植設できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。図11(a)に示す歯科用インプラント7は、歯槽骨に形成される埋め込み孔に挿入する前の収縮状態を示している。図11(b)は、歯槽骨に形成された埋め込み孔にインプラント7を挿入して、拡大部10、10を拡大させた状態を示している。
このインプラント7を歯槽骨の所定箇所に埋設するときは、まず、図11(a)に示す収縮状態のインプラント7を歯槽骨に形成された埋め込み孔に挿入する。そして、雄ねじ部8を所定方向に回転させる。これによって、図11(b)に示すように、この雄ねじ部8に螺合する2つの各押上体9、9が上昇して、各押上体9、9の外面に形成されている傾斜面が拡大部10、10を外側に押し広げることができ、拡大部10、10が拡大した状態となる。拡大部10が拡大した状態となると、拡大部10が歯槽骨の埋め込み孔の内面と係合することができ、この拡大部10を備える脚部11が歯槽骨と強力に結合した状態となる。
このように、図11(a)、(b)に示す歯科用インプラント7によると、拡大部10、10によって、埋め込み孔の内面の一部を損傷させるだけで済むので、内面全体を損傷させる図10に示すインプラント1と比較して、損傷を小さくすることができ、よって、歯槽骨の損傷が回復するまでの期間を短くすることができる。従って、インプラント7に仮歯や義歯を取り付けるまでの期間を、図10に示すインプラント1よりも短くすることができる。
特開平8−266558号公報 特開2000−93435号公報
しかし、図11(a)、(b)に示す従来の歯科用インプラント7では、雄ねじ部8を回転させて、拡大部10、10を埋め込み孔内で強制的に押し広げることによって、この拡大部10、10を埋め込み孔の内面に係合させているので、拡大部10、10がその内面の一部を極度に損傷させることとなる。従って、その極度に損傷した部分が回復するまでは、インプラント7に仮歯や義歯を取り付けることができないという問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、歯槽骨に損傷を殆ど与えることなく、インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に挿入して埋設することができ、これによって、仮歯や義歯を短期間で歯槽骨に固定できる歯科用インプラントを提供することを目的としている。
本発明に係る歯科用インプラントは、義歯を歯槽骨に固定するためのものであって、歯槽骨に形成された埋め込み孔に埋め込まれる歯根部を備える歯科用インプラントにおいて、前記歯根部は、歯根本体部と、この歯根本体部の外表面に設けられた拡縮部とを備え、前記拡縮部は、前記歯根部が埋め込み孔に挿入されるとき、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形可能であり、前記歯根部が埋め込み孔に埋め込まれたときに、当該拡縮部の弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形することを特徴とするものである。
この発明に係る歯科用インプラントによると、歯根部を歯槽骨に埋設して、この埋設されたインプラントに仮歯や義歯を取り付けることができる。インプラントを歯槽骨に埋設するときは、まず、例えば歯槽骨に埋め込み孔を形成する。そして、インプラントの歯根部を埋め込み孔に挿入する。そして、このように歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部は、埋め込み孔の内面に当接して内側に縮径する方向に変形することができる。これによって、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に装着できる。
そして、歯根部を埋め込み孔に装着した状態で、拡縮部が弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形する。拡縮部が拡大する過程で、拡縮部が埋め込み孔の内面に固着すると共に、拡縮部がほぼ元の拡大した形状に戻る。このように、歯根部が埋め込み孔の内面に進入すること、及び拡縮部がほぼ元の拡大した形状に戻った状態で歯槽骨に固着することによって、インプラントを歯槽骨に早期に、しかも、強固に固定することができる。
すなわち、拡縮部が、強制的に拡大するのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラントが歯槽骨に与える損傷を小さくすることができる。また、歯槽骨内で拡縮部が拡大するので、インプラントが歯槽骨から抜け難くすることができる。
更に、歯根部は、弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力を有する拡縮部を介して埋め込み孔の内面に固着しているので、この拡縮部によって、当該インプラントを含む上下の歯が噛合うときの衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記拡縮部が、前記歯根本体部の外表面に設けられた多数の突起部で構成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部どうしの隙間に進入することができ、これによって、インプラントを歯槽骨に強固に固定することができる。ここで、インプラントを歯槽骨に強固に固定するというのは、インプラントが埋め込み孔から抜け出ないようにしたり、インプラントがその中心線を中心にして回らないように固定する力が強力であるということである。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部が先細りのテーパ状に形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を歯槽骨の埋め込み孔に挿入していくときに、拡縮部が埋め込み孔の内面を擦り付けないようにして埋め込み孔にスムースに装着することができる。これによって、インプラントを埋め込み孔に装着するときに歯槽骨に与える損傷を小さくすることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の下端部は、前記拡縮部によって増径部が形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部によって形成された増径部が、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形するので、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなくこの増径部を有する歯根部を歯槽骨に埋設できる。そして、歯根部を埋め込み孔に装着した状態で、増径部がその復元力によって外側に拡大すると、増径部の外径が埋め込み孔の下端部の内径よりも大きくなるので、インプラントを埋め込み孔に強固に固定することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記拡縮部を構成する多数の前記突起部が、前記歯根本体部から外側上方に向かって延びる形状であるものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部である多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に極めて容易に変形することができ、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に埋設できる。
そして、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、多数の突起部は、弾性力等で復元し、歯槽骨に食い込む状態となって歯根部は、固定される。そして、歯根部を埋め込み孔から抜き取る方向に力が掛ると、多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して外側に拡大する方向に変形するので、歯根部が埋め込み孔から抜け出ないように強固に留めることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根本体部の外表面には、当該歯根部の中心線の方向に沿って1又は2以上の溝が形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、溝内に進入することができ、また、突起部間の隙間にも同時に骨が進入することができる。これによって、インプラントがその中心線を中心にして回らないように固定する力を強力にすることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記拡縮部を構成する多数の前記突起部のそれぞれの先端部には、その根元部よりも拡大している膨大部が形成されているものとするとよい。
このように、突起部の根元部が、先端部の膨大部よりも縮小する形状であるものとすると、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部である多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に容易に変形することができ、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に埋設できる。
そして、歯根部を埋め込み孔に挿入し状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部どうしの隙間に進入すると、これら多数の突起部のそれぞれの先端部に形成された膨大部が、歯槽骨内に取り込まれた状態となり、歯根部が埋め込み孔から抜け出ないように強固に固定することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の上端部に義歯が取り付けられる保持部が設けられ、この保持部の外表面、又は義歯の内表面に形成される弾性被膜を備えるものとするとよい。
この弾性被膜によると、当該インプラントが使用された義歯を含む上下の歯が噛合うときに、当該インプラントが使用された義歯に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラントが使用された義歯を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。そして、この弾性被膜をインプラントの歯槽骨内に入り込む領域まで形成することによって、インプラントの外周面と、歯槽骨に形成された埋め込み孔の内周面との間を封止することができる。これによって、歯垢等が歯槽骨内に侵入することによって起こる細菌感染を抑制して、インプラントの早期固定を達成することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部は、義歯が取り付けられる保持部と一体に形成されているものとするとよい。
このようにすると、保持部を歯根部に取り付ける手間及び時間を省略することができる。そして、保持部と歯根部との間の結合部の強度を高めることができ、その結合部の損傷を抑制できる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の外表面は、チタン又は形状記憶合金含むチタン合金によって形成されているものとするとよい。
このようにすると、チタン及び形状記憶合金含むチタン合金は、骨との高い結合力が得られるので、インプラントを歯槽骨に安定的に強固に固定することができる。
本発明の歯科用インプラントによると、歯根部を埋め込み孔に挿入するときに、拡縮部が、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形するので、歯根部を埋め込み孔にスムースに挿入することができる。従って、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させずにインプラントを歯槽骨に埋設できる。よって、例えばインプラントを歯槽骨に埋め込んだその日のうちに、インプラントに仮歯を取り付けることができる。そして、拡縮部を強制的に拡大させるのではなく、拡縮部自体の復元力によって拡大するので、インプラントが歯槽骨に与える損傷を、図11(a)、(b)に示す従来のインプラントよりも小さくすることができ、歯槽骨の損傷が短期間で回復する。よって、インプラントを歯槽骨に埋め込んだ時から比較的短い期間(例えば約1箇月)内で義歯をインプラントに取り付ける準備ができる。従って、患者にとっては、早期に義歯を取り付けてもらえて便利であるし、歯科医師にとっては、患者の身体(歯槽骨)に与える損傷が小さいのでストレスが低減する。
この発明の一実施形態に係る歯科用インプラントを示す斜視図である。 図1に示す歯科用インプラントを示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。 図1に示す歯科用インプラントの歯根部に設けられている拡縮部を示す部分拡大断面図であり、(a)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されておらず、自然状態の拡縮部を示す部分拡大断面図、(b)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されて、拡縮部が埋め込み孔の内周面に押圧されて内側に縮小する方向に変形した状態を示す部分拡大断面図、(c)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されて、拡縮部が埋め込み孔の内周面と結合した状態、すなわち、骨が突起部間に進入した状態を示す部分拡大断面図である。 図3(b)に示す拡縮部を構成する突起部を示す部分拡大斜視図である。 図1に示す歯科用インプラントを歯槽骨に埋設する手順を示す断面図であり、埋め込み孔が形成された歯槽骨の断面図である。 図1に示す歯科用インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に装着して、当該インプラントに義歯を取り付けた状態を示す断面図である。 同発明に係る歯科用インプラントに設けられている拡縮部の突起部の例を示す部分拡大断面図であり、(a)は、斜め上方に向かって延びる突起部、(b)は、水平方向に延びる突起部、(c)は、図7(a)に示す突起部の先端部に膨大部が形成されているものであり、(d)は、図7(b)に示す突起部の先端部に膨大部が形成され、その膨大部が屈曲して上方向に向かって延びるものを示している。 同発明に係る歯科用インプラントの他の実施形態を示す部分断面側面図である。 図8に示す拡縮部の斜視図である。 従来の歯科用インプラントを示す正面斜視図である。 従来の他の歯科用インプラントを示す断面図であり、(a)は拡大部が収縮した状態を示す縦断面図、(b)は拡大部が拡大した状態を示す縦断面図である。
以下、本発明に係る歯科用インプラントの実施形態を図1〜図6を参照して説明する。この歯科用インプラント12は、図6に示すように、義歯13を歯槽骨14に固定するためのものである。歯槽骨14は、皮質骨14aと海面骨14bとから成っている。皮質骨14aの表面に歯肉部15が形成されている。
そして、図6に示すように、インプラント12は、上部に設けられている保持部16に義歯13が取り付けられ、この保持部16の下端から下方に延びる歯根部17が歯槽骨14に埋設される。このように、このインプラント12は、保持部16及び歯根部17が一体に形成されている。
図1は、歯槽骨14に植設される前のインプラント12を示しており、この歯科用インプラント12は、例えばチタン(Ti)を主成分とする材料で、純チタンやそれに各種の元素を添加したTi-6Al-4V合金、Ti-15Mo-5Zr-3Al、生体に為害性を与えないとされる元素Zr、Ta、Nbを添加したTi-Zr-Ta-Nb系合金(Ti-15Zr-4Ta-4Nbなど)で形成される。また、チタン・ニッケル合金(Ti-Ni合金)などの形状記憶特性を有する材料(以下、形状記憶合金と言う。)で形成される。これらのチタンを含む材料は歯槽骨14との親和性があり、それらの表面を粗面にすることや表面生体活性処理を施すことにより、歯槽骨14との強い結合力を得ることが出来る。
保持部16は、図2(a)の正面図に示すように、義歯13又は仮歯30が装着される装着部20、及びこの装着部20の下側に形成されている鍔状部21を備えている。装着部20は、義歯13等の内面形状と対応する形状に形成されている。そして、図1及び図2に示すように、装着部20は、上部20aが楕円柱状に形成されており、下部20bが円錐台状に形成されている。上部20aを楕円柱成することによって、保持部16に取り付けられる義歯13等がその中心線を中心にして回動しないように確実に保持することができる。
また、保持部16(装着部20及び鍔状部21)の外表面は、鏡面加工されている。このように、保持部16の外表面に鏡面加工を施したのは、この部分は、露出する可能性があるので、汚れ難くすると共に、付着する汚れを掃除し易くするためである。
更に、この保持部16の外表面には、弾性被膜31が形成されている。この弾性被膜31は、例えば弾性的性質を有する超高分子量ポリエチレン(UHMW)等の高分子材料によって形成された被膜である。この弾性被膜31は、インプラント12の歯槽骨14内に入り込む領域の鍔状部21まで形成されている。
次に、歯根部17について説明する。歯根部17は、図6に示すように、義歯13を歯槽骨14に固定するためのものであって、歯槽骨14に形成された埋め込み孔29に埋め込まれるものである。この歯根部17は、全体がほぼ砲弾形状であり、先細りのテーパ状に形成され、中心線に直交する断面の外表面がほぼ円形に形成されている。そして、この歯根部17は、歯根本体部32と、この歯根本体部32の外表面に設けられた拡縮部33とを備えており、更に、歯根部17の下端部(先端部)には、拡縮部33によって増径部35が形成されている。つまり、歯根本体部32は、拡縮部33の内側に配置され、この拡縮部33の外表面が形成するテーパ形状よりも小さい先細りのテーパ状に形成されている。
拡縮部33は、図1及び図2に示すように歯根本体部32の外表面に設けられた多数の突起部33aによって構成されている。図3は、図1に示す歯科用インプラント12の歯根部17に設けられている拡縮部33を示す部分拡大断面図であり、図3(a)は、歯根部17が埋め込み孔29に挿入されておらず、自然状態の拡縮部33を示す部分拡大断面図である。図4は、拡縮部33を構成する1つの突起部33aを示す部分拡大斜視図である。
この図4に示すように、拡縮部33を構成する多数の各突起部33aは、例えば平面形状が所定長さの円弧状の薄板状部で形成され、その板面がインプラント12の歯根部17の外周方向と略平行している。そして、図3(a)に示すように、多数の各突起部33aは、歯根部17の上下方向に互いに間隔(隙間38)を隔てて歯根本体部32に設けられ、この歯根本体部32から外側上方に向かって延びる形状である。
この図3(a)等に示す拡縮部33の各突起部33aは、例えば微細機械加工、エッチング加工、レーザ加工、金型成形によって形成することができる。そして、突起部33aは、図3(a)等に示す以外の形状としてもよく、例えば歯根本体部32の外表面に対して酸による処理を施すことによって、当該外表面に多数の突起部を形成してもよい。
この拡縮部33の各突起部33aは、図3(b)に示すように、歯根部17が埋め込み孔29に挿入されるとき、埋め込み孔29の内面に当接して内側に縮径する方向に変形するように形成されている。そして、図3(c)に示すように、歯根部17が埋め込み孔29に埋め込まれたときに、各突起部33aの弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって外側に拡大するように形成されている。
また、図1及び図2に示すように、歯根本体部32の外表面には、当該歯根本体部32の中心線の方向に沿って1又は2以上の溝40が形成されている。この縦方向の溝40には、拡縮部33を構成する突起部33aが設けられていない。ただし、この溝40にも突起部33aを設けてもよい。
この歯根本体部32の外表面に形成された溝40は、図6に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨がこの溝40内に進入できるようにして、インプラント12がその中心線を中心にして回らないように固定する力を強力にするためのものである。更に、この溝40は、突起部33aの挿入時の変形を容易にするためのものでもある。
次に、図6に示すテーパ形状の歯根部17の寸法について説明する。歯根部17(拡縮部33)の最大、最小の外径は、テーパ形状の埋め込み孔29の最大、最小の内径よりも例えば0.1〜0.5mm、好ましくは0.2mm程度大きく形成されている。このように、歯根部17の最大、最小の外径を埋め込み孔29の最大、最小の内径よりも大きくすることによって、歯根部17の外周面を埋め込み孔29の内周面に密着させてこの埋め込み孔29に装着することができる。
そして、図3(a)に示す拡縮部33の各突起部33aの突出長さは、歯根本体部32の直径に応じて決めることができるが、例えば0.1〜0.5mm、好ましくは0.2mm程度である。また、増径部35に設けられている突起部33aの長さは、それ以外の部分に設けられている突起部33aよりも長く形成されている。また、この実施形態のインプラント12では、例えば中心線方向の保持部16の寸法が約6mm、歯根部17の寸法が約9mmであり、保持部16の上端部の横幅が約2.5mm、歯根部17の最大外径が約3.8mm、歯根部17の増径部35の最大外径が約3.2mmである。
また、チタン製の歯根部17の表面には、この歯根部17と歯槽骨14とが互いに強固に結合できるようにするための例えば生体活性表面処理が行われている。この生体活性表面処理を行う手順の一例として、まず、図1に示すように形成された純チタン4種のインプラント12を超音波洗浄する。次に、インプラント12を66.3%のHSO溶液と10.6%のHCl溶液とを1:1に混合した溶液に70℃で30分間浸漬処理し、しかる後に、超純水でインプラント12を洗浄する。そして、このインプラント12を大気中で600℃、1時間の加熱処理を施す。これでインプラント12の生体活性表面処理が終了する。
この生体活性表面処理が行われたインプラント12を疑似体液に1日浸漬したところ、全表面にアパタイトが検出された。このことは、当該生体活性表面処理が行われたインプラント12を歯槽骨14に埋め込んだ場合に、インプラント12の歯根部17と歯槽骨14とが互いに強固に結合することを示している。
なお、上記の生体活性処理は、例示した方法に限ることなく、アルカリ溶液処理-加熱法、アルカリ溶液処理-塩化カルシウム溶液処理-加熱処理、陽極酸化処理法などの種々の方法を適用することも可能である。
上記のように構成された図1に示す歯科用インプラント12によると、図6に示すように、歯根部17を歯槽骨14に埋設して、この埋設されたインプラント12に仮歯30や義歯13を取り付けることができる。
このインプラント12を歯槽骨14に埋設するときは、まず、図5に示すように、例えば歯槽骨14にテーパ状の埋め込み孔29を形成する。この埋め込み孔29は、例えばテーパキリで形成することができ、最大直径は、例えば約4.0mmである。なお、この埋め込み孔29は、インプラント12に応じた大きさに形成すればよい。そして、図3(b)及び図5に示すように、インプラント12の歯根部17を埋め込み孔29に挿入する。このように歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、拡縮部33は、埋め込み孔29の内面に当接して内側に縮径する方向に変形することができる。これによって、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に装着できる。
そして、図3(c)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に装着した状態で、拡縮部33が弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形する。このように拡縮部33が拡大する過程で、歯根部17が埋め込み孔29の内面に進入すること、及び拡縮部33がほぼ元の拡大した形状に戻った状態で歯槽骨14に固着することによって、インプラント12を歯槽骨14に早期に、しかも、強固に固定することができる。
また、拡縮部33は、強制的に拡大させられるのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラント12が歯槽骨14に与える損傷を小さくすることができる。また、歯槽骨14内で拡縮部33が拡大するので、インプラント12が歯槽骨14から抜け難くすることができる。
更に、歯根部17は、弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力を有する拡縮部33を介して埋め込み孔29の内面に固着しているので、この拡縮部33によって、当該インプラント12が使用された義歯13を含む上下の歯が噛合うときの衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラント12が使用された義歯13を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。
また、この歯科用インプラント12によると、上記のように、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させずにインプラント12を歯槽骨14に埋設できるので、例えばインプラント12を歯槽骨14に埋め込んだその日のうちに、インプラント12に仮歯30を取り付けることができる。そして、拡縮部33を強制的に拡大させるのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラント12が歯槽骨14に与える損傷を、図11(a)、(b)に示す従来のインプラント12よりも小さくすることができ、歯槽骨14の損傷が短期間で回復する。よって、インプラント12を歯槽骨14に埋め込んだ時から比較的短い期間(例えば約1箇月)内で義歯13をインプラント12に取り付ける準備ができる。従って、患者にとっては、早期に義歯13を取り付けてもらえて便利であるし、歯科医師にとっては、患者の身体(歯槽骨14)に与える損傷が小さいのでストレスが低減する。
更に、拡縮部33が、図3(a)に示すように、歯根本体部32の外表面に設けられた多数の突起部33aで構成されているものとすると、図3(c)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部33aどうしの隙間38に進入することができ、これによって、インプラント12を歯槽骨14に強固に固定することができる。ここで、インプラント12を歯槽骨14に強固に固定するというのは、インプラント12が埋め込み孔29から抜け出ないようにしたり、インプラント12がその中心線を中心にして回らないように固定する力が強力であるということである。
そして、図3(b)に示すように、歯根部17を先細りのテーパ状に形成すると、歯根部17を歯槽骨14の埋め込み孔29に挿入していくときに、拡縮部33が埋め込み孔29の内面を擦り付けないようにして埋め込み孔29にスムースに装着することができる。これによって、インプラント12を埋め込み孔29に装着するときに歯槽骨14に与える損傷を小さくすることができる。
また、図6に示すように、歯根部17の下端部に、拡縮部33によって形成される増径部35を設けると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するときは、拡縮部33によって形成された増径部35が、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に変形するので、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなくこの増径部35を有する歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。そして、歯根部17を埋め込み孔29に装着した状態で、増径部35がその復元力によって外側に拡大すると、増径部35の外径が埋め込み孔29の下端部の内径よりも大きくなるので、インプラント12を埋め込み孔29に強固に固定することができる。
更に、図3に示すように、拡縮部33である多数の各突起部33aが、歯根本体部32から外側上方に向かって延びる形状とすると、図3(b)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、多数の突起部33aは、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に極めて容易に変形することができ、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。
そして、図3(b)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、歯根部17を埋め込み孔29から抜き取る方向に力が掛ると、多数の突起部33aは、埋め込み孔29の内面に当接して外側に拡大する方向に変形するので、歯根部17が埋め込み孔29から抜け出ないように強固に留めることができる。
次に、図7(a)〜(d)を参照して、拡縮部33である突起部33aの種々の例を挙げて説明する。要するに、突起部の形状は、図7に示すものとしてもよいし、これ以外の形状としてもよい。図7(a)に示す突起部33aは、上記実施形態の円弧板状に形成されたものを示しており、この突起部33aは、外側上方に向かって延びているものである(図3(a)参照)。図7(b)に示す突起部36は、図7(a)に示す突起部33aと同等の円弧板状部が水平方向に向かって延びているものである。
図7(c)に示す突起部37は、図7(a)に示す突起部33aにおいて、その先端部に根元部37aよりも拡大している膨大部37bが形成されているものである。
このように、突起部37の根元部37aが、先端部の膨大部37bよりも縮小する形状であるものとすると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、拡縮部33である多数の突起部37は、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に容易に変形することができ、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。
そして、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部37どうしの間に形成された隙間38に進入すると、これら多数の突起部37のそれぞれの先端部に形成された膨大部37bが、歯槽骨14内に取り込まれた状態となり、歯根部17が埋め込み孔29から抜け出ないように強固に固定することができる。
図7(d)に示す突起部37は、図7(b)に示す突起部36の先端部に膨大部39aが形成され、その膨大部39aが屈曲して上方向に向かって延びるものを示している。
また、図6に示す義歯13が取り付けられる保持部16の外表面には、弾性被膜31が形成されている。この弾性被膜31によると、当該インプラント12が使用された義歯13を含む上下の歯が噛合うときに、当該インプラント12が使用された義歯13に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラント12が使用された義歯13を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。そして、この弾性被膜31をインプラント12の歯槽骨14内に入り込む領域まで形成することによって、インプラント12の外周面と、歯槽骨14に形成された埋め込み孔29の内周面との間を封止することができる。これによって、歯垢等が歯槽骨14内に侵入することによって起こる細菌感染を抑制して、インプラント12の早期固定を達成することができる。
更に、図1に示すように、歯根部17は、義歯13が取り付けられる保持部16と一体に形成されている。このようにすると、保持部16を歯根部17に取り付ける手間及び時間を省略することができる。そして、保持部16と歯根部17との間の結合部の強度を高めることができ、その結合部の損傷を抑制できる。
そして、図1に示す歯根部17の外表面は、チタン(Ti)を主成分とする材料やそれに各種の元素を添加したチタン合金によって形成され、その表面が微細に粗面化されたり、表面生体活性化されている。このようにすると、チタンおよびチタン合金は骨との高い結合力が得られるので、インプラント12を歯槽骨14に安定的に強固に固定することができる。
ただし、上記実施形態では、図6に示す保持部16の外表面に弾性被膜31を形成したが、これに代えて、義歯13の内表面に弾性被膜31を形成してもよい。このようにしても、当該インプラント12が使用された義歯13に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができる。
そして、上記実施形態では、図1に示すように、歯根本体部32の外表面に多数の突起部33aを設け、この多数の突起部33aを拡縮部33としたが、これに代えて、図9に示す例えばチタン合金製のスリーブ34を図8に示すように歯根本体部32の外表面に装着し、このスリーブ34を拡縮部としてもよい。このスリーブ(拡縮部)34の下端部は、増径部35として形成されている。
このスリーブ34は、冷し嵌めや溶接によって歯根本体部32に結合している。このスリーブ34の増径部35は、歯根本体部32の外表面との間に隙間41が形成され、この増径部35よりも上方の部分は、歯根本体部32の外表面に当接している。
この図8に示すインプラント42によると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するときは、スリーブ34の増径部35が縮径し、歯根部17が歯槽骨14に埋め込まれたときに、弾性力に基づく復元力によって増径部35が外側に拡大することができる。これによって、インプラント42を歯槽骨14に強力に固定することができる。
なお、スリーブ34の厚みは、例えば0.1〜0.5mmであり、0.2mmが好ましい。更に、図9に示すスリーブ34では、縦長の板状部34aを4つ形成し、板状部34aどうしの間に合計4つの開口部34bを形成したが、これ以外の数の板状部34aを形成してもよいし、開口部34bもこれ以外の大きさにしてもよい。そして、拡縮部は、図9に示すスリーブ34において、下端部の環状部34cが形成されていない例えば簾状又は茶筅状にしてもよい。また、スリーブ34は全体あるいは部分的に、例えば下部分の拡縮部にメッシュ又はネット構造を有していても良い。
そして、上記実施形態では、図1に示すように、歯根部17と保持部16とを一体に形成したが、これに代えて、歯根部17と保持部16とを別々の部品として形成して、両者を互いに結合して歯科用インプラント12を形成する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、歯科用インプラント42のスリーブ34の材質として、形状記憶合金を使用すると、スリーブ34の増径部35が縮径した状態で植設した後に体温で形状記憶により増径することにより、歯槽骨との間で強い結合力が得られる。これに代えて、弾性的性質を有するチタン金属やチタン合金を使用しても良い。また、弾性的性質を有する金属を使用すると、図3に示すように、歯根部17が歯槽骨14に埋め込まれたときに、弾性力に基づく復元力によって拡縮部33の多数の各突起部33aが外側に拡大するようにできる。
そして、インプラント12を、弾性的性質を有する金属で形成した場合であっても、インプラント12の少なくとも歯根部17の表面をチタン層、又はチタン合金層で形成するとよい。チタン層等は、歯槽骨14との間で強い結合力が得られるからである。
また、図6に示すように、インプラント12の歯根部17を歯槽骨14に形成された埋め込み孔29に装着するときに、この歯根部17の外周面と、埋め込み孔29の内周面との間に、例えばチタンメッシュ、チタンネット、人工骨、iPs細胞、自家骨、コラーゲン繊維、又はアクアチタンを配置してもよい。これによって、歯根部17を歯槽骨14に対して、速やかに、しかも、安定的に強固に固定することが可能になる。人工骨として、例えば帆立貝の貝殻を粉砕して形成した粉粒体がある。
そして、歯根部17の外表面には、図3(a)に示すように、多数の突起部33aが形成されているので、これらチタンメッシュ、チタンネット、人工骨、iPs細胞等を確実に保持することができる。また、人工骨等の粉粒体は、例えば合成樹脂等を介して歯根部17の外表面に固着させてもよい。
また、上記実施形態では、図1及び図2に示すように、歯根本体部32をテーパ状に形成したが、これに代えて、その外周面を短円筒状に形成してもよい。更に、歯根部17は、その下端部に拡縮部33によって形成された増径部35を備えるものとしたが、この増径部35が形成されていない歯根部としてもよい。
更に、歯槽骨14に設ける埋め込み孔29は、テーパ状にしたが、これに代えて、ストレート孔にしてもよい。
以上のように、本発明に係る歯科用インプラントは、歯槽骨に損傷を殆ど与えることなく、インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に挿入して埋設することができ、これによって、仮歯や義歯を短期間で歯槽骨に固定できる優れた効果を有し、このような歯科用インプラントに適用するのに適している。
12 歯科用インプラント
13 義歯
14 歯槽骨
14a 皮質骨
14b 海面骨
15 歯肉部
16 保持部
17 歯根部
20 装着部
20a 上部
20b 下部
21 鍔状部
29 埋め込み孔
30 仮歯
31 弾性被膜
32 歯根本体部
33 拡縮部
33a 突起部
34 スリーブ(拡縮部)
34a 板状部
34b 開口部
34c 環状部
35 増径部
36 突起部
37 突起部
37a 根元部
37b 膨大部
38 隙間
39 突起部
39a 膨大部
40 溝
41 隙間
42 歯科用インプラント
本発明は、義歯(補綴物)を歯槽骨に固定するための歯科用インプラントに関する。
従来の歯科用インプラントの一例として図10に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。この歯科用インプラント1は、同図に示すように、人工歯根となる脚部2と、義歯(図示せず)が取り付けられる頭部3とを備えている。この頭部3に設けられている雄ねじ部4は、脚部2に形成されている雌ねじ部5に螺合している。これによって、頭部3と脚部2とが互いに結合している。そして、脚部2には、雄ねじ部6が形成されている。このように、脚部2の外周面に雄ねじ部6を形成してあるのは、脚部2を歯槽骨に植設したときに、この雄ねじ部6によって、脚部2の外周面と歯槽骨との結合力を高めることができるからである。
しかし、図10に示す歯科用インプラント1では、脚部2の外周面に形成した雄ねじ部6を歯槽骨に形成した埋め込み孔に螺合させるときに、歯槽骨の埋め込み孔の内面の全体に、この雄ねじ部6によって損傷を与えることとなる。この歯槽骨が受ける損傷は、回復するのに長期間(約4〜6箇月)を要するので、仮歯や義歯を取り付けるまでに、約4〜6箇月以上の相当の期間を必要とする。
そこで、歯槽骨に大きな損傷を与えることなく歯科用インプラントを歯槽骨に植設できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。図11(a)に示す歯科用インプラント7は、歯槽骨に形成される埋め込み孔に挿入する前の収縮状態を示している。図11(b)は、歯槽骨に形成された埋め込み孔にインプラント7を挿入して、拡大部10、10を拡大させた状態を示している。
このインプラント7を歯槽骨の所定箇所に埋設するときは、まず、図11(a)に示す収縮状態のインプラント7を歯槽骨に形成された埋め込み孔に挿入する。そして、雄ねじ部8を所定方向に回転させる。これによって、図11(b)に示すように、この雄ねじ部8に螺合する2つの各押上体9、9が上昇して、各押上体9、9の外面に形成されている傾斜面が拡大部10、10を外側に押し広げることができ、拡大部10、10が拡大した状態となる。拡大部10が拡大した状態となると、拡大部10が歯槽骨の埋め込み孔の内面と係合することができ、この拡大部10を備える脚部11が歯槽骨と強力に結合した状態となる。
このように、図11(a)、(b)に示す歯科用インプラント7によると、拡大部10、10によって、埋め込み孔の内面の一部を損傷させるだけで済むので、内面全体を損傷させる図10に示すインプラント1と比較して、損傷を小さくすることができ、よって、歯槽骨の損傷が回復するまでの期間を短くすることができる。従って、インプラント7に仮歯や義歯を取り付けるまでの期間を、図10に示すインプラント1よりも短くすることができる。
特開平8−266558号公報 特開2000−93435号公報
しかし、図11(a)、(b)に示す従来の歯科用インプラント7では、雄ねじ部8を回転させて、拡大部10、10を埋め込み孔内で強制的に押し広げることによって、この拡大部10、10を埋め込み孔の内面に係合させているので、拡大部10、10がその内面の一部を極度に損傷させることとなる。従って、その極度に損傷した部分が回復するまでは、インプラント7に仮歯や義歯を取り付けることができないという問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、歯槽骨に損傷を殆ど与えることなく、インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に挿入して埋設することができ、これによって、仮歯や義歯を短期間で歯槽骨に固定できる歯科用インプラントを提供することを目的としている。
本発明に係る歯科用インプラントは、義歯を歯槽骨に固定するためのものであって、歯槽骨に形成された埋め込み孔に埋め込まれる歯根部と、前記歯根部の上端部に設けられ、義歯が取り付けられる保持部とを備える歯科用インプラントにおいて、前記歯根部は、歯根本体部と、この歯根本体部の外表面に設けられた拡縮部とを備え、前記拡縮部は、前記歯根本体部の外表面に設けられた多数の突起部で構成され、前記多数の突起部は、前記歯根部が埋め込み孔に挿入されておらず、自然状態で、前記歯根本体部から外側、かつ、前記保持部側に又は前記歯根部の中心線に対して垂直方向に向かって延びる形状であり、前記歯根部が埋め込み孔に挿入されるとき、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形し、前記歯根部が埋め込み孔に埋め込まれたときに、当該拡縮部の弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形することを特徴とするものである。
この発明に係る歯科用インプラントによると、歯根部を歯槽骨に埋設して、この埋設されたインプラントに仮歯や義歯を取り付けることができる。インプラントを歯槽骨に埋設するときは、まず、例えば歯槽骨に埋め込み孔を形成する。そして、インプラントの歯根部を埋め込み孔に挿入する。そして、このように歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部は、埋め込み孔の内面に当接して内側に縮径する方向に変形することができる。これによって、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に装着できる。
そして、歯根部を埋め込み孔に装着した状態で、拡縮部が弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形する。拡縮部が拡大する過程で、拡縮部が埋め込み孔の内面に固着すると共に、拡縮部がほぼ元の拡大した形状に戻る。このように、歯根部が埋め込み孔の内面に進入すること、及び拡縮部がほぼ元の拡大した形状に戻った状態で歯槽骨に固着することによって、インプラントを歯槽骨に早期に、しかも、強固に固定することができる。
すなわち、拡縮部が、強制的に拡大するのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラントが歯槽骨に与える損傷を小さくすることができる。また、歯槽骨内で拡縮部が拡大するので、インプラントが歯槽骨から抜け難くすることができる。
更に、歯根部は、弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力を有する拡縮部を介して埋め込み孔の内面に固着しているので、この拡縮部によって、当該インプラントを含む上下の歯が噛合うときの衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができる。
そして、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部どうしの隙間に進入することができ、これによって、インプラントを歯槽骨に強固に固定することができる。ここで、インプラントを歯槽骨に強固に固定するというのは、インプラントが埋め込み孔から抜け出ないようにしたり、インプラントがその中心線を中心にして回らないように固定する力が強力であるということである。
また、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部である多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に極めて容易に変形することができ、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に埋設できる。
更に、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、多数の突起部は、弾性力等で復元し、歯槽骨に食い込む状態となって歯根部は、固定される。そして、歯根部を埋め込み孔から抜き取る方向に力が掛ると、多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して外側に拡大する方向に変形するので、歯根部が埋め込み孔から抜け出ないように強固に留めることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部が先細りのテーパ状に形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を歯槽骨の埋め込み孔に挿入していくときに、拡縮部が埋め込み孔の内面を擦り付けないようにして埋め込み孔にスムースに装着することができる。これによって、インプラントを埋め込み孔に装着するときに歯槽骨に与える損傷を小さくすることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の下端部は、前記拡縮部によって増径部が形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部によって形成された増径部が、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形するので、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなくこの増径部を有する歯根部を歯槽骨に埋設できる。そして、歯根部を埋め込み孔に装着した状態で、増径部がその復元力によって外側に拡大すると、増径部の外径が埋め込み孔の下端部の内径よりも大きくなるので、インプラントを埋め込み孔に強固に固定することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根本体部の外表面には、当該歯根部の中心線の方向に沿って1又は2以上の溝が形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、溝内に進入することができ、また、突起部間の隙間にも同時に骨が進入することができる。これによって、インプラントがその中心線を中心にして回らないように固定する力を強力にすることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記拡縮部を構成する多数の前記突起部のそれぞれの先端部には、その根元部よりも拡大している膨大部が形成されているものとするとよい。
このように、突起部の根元部が、先端部の膨大部よりも縮小する形状であるものとすると、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部である多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に容易に変形することができ、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に埋設できる。
そして、歯根部を埋め込み孔に挿入し状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部どうしの隙間に進入すると、これら多数の突起部のそれぞれの先端部に形成された膨大部が、歯槽骨内に取り込まれた状態となり、歯根部が埋め込み孔から抜け出ないように強固に固定することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の上端部に義歯が取り付けられる保持部が設けられ、この保持部の外表面、又は義歯の内表面に形成される弾性被膜を備えるものとするとよい。
この弾性被膜によると、当該インプラントが使用された義歯を含む上下の歯が噛合うときに、当該インプラントが使用された義歯に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラントが使用された義歯を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。そして、この弾性被膜をインプラントの歯槽骨内に入り込む領域まで形成することによって、インプラントの外周面と、歯槽骨に形成された埋め込み孔の内周面との間を封止することができる。これによって、歯垢等が歯槽骨内に侵入することによって起こる細菌感染を抑制して、インプラントの早期固定を達成することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部は、義歯が取り付けられる保持部と一体に形成されているものとするとよい。
このようにすると、保持部を歯根部に取り付ける手間及び時間を省略することができる。そして、保持部と歯根部との間の結合部の強度を高めることができ、その結合部の損傷を抑制できる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の外表面は、チタン又は形状記憶合金含むチタン合金によって形成されているものとするとよい。
このようにすると、チタン及び形状記憶合金含むチタン合金は、骨との高い結合力が得られるので、インプラントを歯槽骨に安定的に強固に固定することができる。
本発明の歯科用インプラントによると、歯根部を埋め込み孔に挿入するときに、拡縮部が、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形するので、歯根部を埋め込み孔にスムースに挿入することができる。従って、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させずにインプラントを歯槽骨に埋設できる。よって、例えばインプラントを歯槽骨に埋め込んだその日のうちに、インプラントに仮歯を取り付けることができる。そして、拡縮部を強制的に拡大させるのではなく、拡縮部自体の復元力によって拡大するので、インプラントが歯槽骨に与える損傷を、図11(a)、(b)に示す従来のインプラントよりも小さくすることができ、歯槽骨の損傷が短期間で回復する。よって、インプラントを歯槽骨に埋め込んだ時から比較的短い期間(例えば約1箇月)内で義歯をインプラントに取り付ける準備ができる。従って、患者にとっては、早期に義歯を取り付けてもらえて便利であるし、歯科医師にとっては、患者の身体(歯槽骨)に与える損傷が小さいのでストレスが低減する。
この発明の一実施形態に係る歯科用インプラントを示す斜視図である。 図1に示す歯科用インプラントを示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。 図1に示す歯科用インプラントの歯根部に設けられている拡縮部を示す部分拡大断面図であり、(a)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されておらず、自然状態の拡縮部を示す部分拡大断面図、(b)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されて、拡縮部が埋め込み孔の内周面に押圧されて内側に縮小する方向に変形した状態を示す部分拡大断面図、(c)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されて、拡縮部が埋め込み孔の内周面と結合した状態、すなわち、骨が突起部間に進入した状態を示す部分拡大断面図である。 図3(b)に示す拡縮部を構成する突起部を示す部分拡大斜視図である。 図1に示す歯科用インプラントを歯槽骨に埋設する手順を示す断面図であり、埋め込み孔が形成された歯槽骨の断面図である。 図1に示す歯科用インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に装着して、当該インプラントに義歯を取り付けた状態を示す断面図である。 同発明に係る歯科用インプラントに設けられている拡縮部の突起部の例を示す部分拡大断面図であり、(a)は、斜め上方に向かって延びる突起部、(b)は、水平方向に延びる突起部、(c)は、図7(a)に示す突起部の先端部に膨大部が形成されているものであり、(d)は、図7(b)に示す突起部の先端部に膨大部が形成され、その膨大部が屈曲して上方向に向かって延びるものを示している。 同発明の参考技術例に係る歯科用インプラントの他の実施形態を示す部分断面側面図である。 図8に示す拡縮部の斜視図である。 従来の歯科用インプラントを示す正面斜視図である。 従来の他の歯科用インプラントを示す断面図であり、(a)は拡大部が収縮した状態を示す縦断面図、(b)は拡大部が拡大した状態を示す縦断面図である。
以下、本発明に係る歯科用インプラントの実施形態を図1〜図6を参照して説明する。この歯科用インプラント12は、図6に示すように、義歯13を歯槽骨14に固定するためのものである。歯槽骨14は、皮質骨14aと海面骨14bとから成っている。皮質骨14aの表面に歯肉部15が形成されている。
そして、図6に示すように、インプラント12は、上部に設けられている保持部16に義歯13が取り付けられ、この保持部16の下端から下方に延びる歯根部17が歯槽骨14に埋設される。このように、このインプラント12は、保持部16及び歯根部17が一体に形成されている。
図1は、歯槽骨14に植設される前のインプラント12を示しており、この歯科用インプラント12は、例えばチタン(Ti)を主成分とする材料で、純チタンやそれに各種の元素を添加したTi-6Al-4V合金、Ti-15Mo-5Zr-3Al、生体に為害性を与えないとされる元素Zr、Ta、Nbを添加したTi-Zr-Ta-Nb系合金(Ti-15Zr-4Ta-4Nbなど)で形成される。また、チタン・ニッケル合金(Ti-Ni合金)などの形状記憶特性を有する材料(以下、形状記憶合金と言う。)で形成される。これらのチタンを含む材料は歯槽骨14との親和性があり、それらの表面を粗面にすることや表面生体活性処理を施すことにより、歯槽骨14との強い結合力を得ることが出来る。
保持部16は、図2(a)の正面図に示すように、義歯13又は仮歯30が装着される装着部20、及びこの装着部20の下側に形成されている鍔状部21を備えている。装着部20は、義歯13等の内面形状と対応する形状に形成されている。そして、図1及び図2に示すように、装着部20は、上部20aが楕円柱状に形成されており、下部20bが円錐台状に形成されている。上部20aを楕円柱成することによって、保持部16に取り付けられる義歯13等がその中心線を中心にして回動しないように確実に保持することができる。
また、保持部16(装着部20及び鍔状部21)の外表面は、鏡面加工されている。このように、保持部16の外表面に鏡面加工を施したのは、この部分は、露出する可能性があるので、汚れ難くすると共に、付着する汚れを掃除し易くするためである。
更に、この保持部16の外表面には、弾性被膜31が形成されている。この弾性被膜31は、例えば弾性的性質を有する超高分子量ポリエチレン(UHMW)等の高分子材料によって形成された被膜である。この弾性被膜31は、インプラント12の歯槽骨14内に入り込む領域の鍔状部21まで形成されている。
次に、歯根部17について説明する。歯根部17は、図6に示すように、義歯13を歯槽骨14に固定するためのものであって、歯槽骨14に形成された埋め込み孔29に埋め込まれるものである。この歯根部17は、全体がほぼ砲弾形状であり、先細りのテーパ状に形成され、中心線に直交する断面の外表面がほぼ円形に形成されている。そして、この歯根部17は、歯根本体部32と、この歯根本体部32の外表面に設けられた拡縮部33とを備えており、更に、歯根部17の下端部(先端部)には、拡縮部33によって増径部35が形成されている。つまり、歯根本体部32は、拡縮部33の内側に配置され、この拡縮部33の外表面が形成するテーパ形状よりも小さい先細りのテーパ状に形成されている。
拡縮部33は、図1及び図2に示すように歯根本体部32の外表面に設けられた多数の突起部33aによって構成されている。図3は、図1に示す歯科用インプラント12の歯根部17に設けられている拡縮部33を示す部分拡大断面図であり、図3(a)は、歯根部17が埋め込み孔29に挿入されておらず、自然状態の拡縮部33を示す部分拡大断面図である。図4は、拡縮部33を構成する1つの突起部33aを示す部分拡大斜視図である。
この図4に示すように、拡縮部33を構成する多数の各突起部33aは、例えば平面形状が所定長さの円弧状の薄板状部で形成され、その板面がインプラント12の歯根部17の外周方向と略平行している。そして、図3(a)に示すように、多数の各突起部33aは、歯根部17の上下方向に互いに間隔(隙間38)を隔てて歯根本体部32に設けられ、この歯根本体部32から外側上方に向かって延びる形状である。
この図3(a)等に示す拡縮部33の各突起部33aは、例えば微細機械加工、エッチング加工、レーザ加工、金型成形によって形成することができる。そして、突起部33aは、図3(a)等に示す以外の形状としてもよく、例えば歯根本体部32の外表面に対して酸による処理を施すことによって、当該外表面に多数の突起部を形成してもよい。
この拡縮部33の各突起部33aは、図3(b)に示すように、歯根部17が埋め込み孔29に挿入されるとき、埋め込み孔29の内面に当接して内側に縮径する方向に変形するように形成されている。そして、図3(c)に示すように、歯根部17が埋め込み孔29に埋め込まれたときに、各突起部33aの弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって外側に拡大するように形成されている。
また、図1及び図2に示すように、歯根本体部32の外表面には、当該歯根本体部32の中心線の方向に沿って1又は2以上の溝40が形成されている。この縦方向の溝40には、拡縮部33を構成する突起部33aが設けられていない。ただし、この溝40にも突起部33aを設けてもよい。
この歯根本体部32の外表面に形成された溝40は、図6に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨がこの溝40内に進入できるようにして、インプラント12がその中心線を中心にして回らないように固定する力を強力にするためのものである。更に、この溝40は、突起部33aの挿入時の変形を容易にするためのものでもある。
次に、図6に示すテーパ形状の歯根部17の寸法について説明する。歯根部17(拡縮部33)の最大、最小の外径は、テーパ形状の埋め込み孔29の最大、最小の内径よりも例えば0.1〜0.5mm、好ましくは0.2mm程度大きく形成されている。このように、歯根部17の最大、最小の外径を埋め込み孔29の最大、最小の内径よりも大きくすることによって、歯根部17の外周面を埋め込み孔29の内周面に密着させてこの埋め込み孔29に装着することができる。
そして、図3(a)に示す拡縮部33の各突起部33aの突出長さは、歯根本体部32の直径に応じて決めることができるが、例えば0.1〜0.5mm、好ましくは0.2mm程度である。また、増径部35に設けられている突起部33aの長さは、それ以外の部分に設けられている突起部33aよりも長く形成されている。また、この実施形態のインプラント12では、例えば中心線方向の保持部16の寸法が約6mm、歯根部17の寸法が約9mmであり、保持部16の上端部の横幅が約2.5mm、歯根部17の最大外径が約3.8mm、歯根部17の増径部35の最大外径が約3.2mmである。
また、チタン製の歯根部17の表面には、この歯根部17と歯槽骨14とが互いに強固に結合できるようにするための例えば生体活性表面処理が行われている。この生体活性表面処理を行う手順の一例として、まず、図1に示すように形成された純チタン4種のインプラント12を超音波洗浄する。次に、インプラント12を66.3%のH2SO4溶液と10.6%のHCl溶液とを1:1に混合した溶液に70℃で30分間浸漬処理し、しかる後に、超純水でインプラント12を洗浄する。そして、このインプラント12を大気中で600℃、1時間の加熱処理を施す。これでインプラント12の生体活性表面処理が終了する。
この生体活性表面処理が行われたインプラント12を疑似体液に1日浸漬したところ、全表面にアパタイトが検出された。このことは、当該生体活性表面処理が行われたインプラント12を歯槽骨14に埋め込んだ場合に、インプラント12の歯根部17と歯槽骨14とが互いに強固に結合することを示している。
なお、上記の生体活性処理は、例示した方法に限ることなく、アルカリ溶液処理-加熱法、アルカリ溶液処理-塩化カルシウム溶液処理-加熱処理、陽極酸化処理法などの種々の方法を適用することも可能である。
上記のように構成された図1に示す歯科用インプラント12によると、図6に示すように、歯根部17を歯槽骨14に埋設して、この埋設されたインプラント12に仮歯30や義歯13を取り付けることができる。
このインプラント12を歯槽骨14に埋設するときは、まず、図5に示すように、例えば歯槽骨14にテーパ状の埋め込み孔29を形成する。この埋め込み孔29は、例えばテーパキリで形成することができ、最大直径は、例えば約4.0mmである。なお、この埋め込み孔29は、インプラント12に応じた大きさに形成すればよい。そして、図3(b)及び図5に示すように、インプラント12の歯根部17を埋め込み孔29に挿入する。このように歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、拡縮部33は、埋め込み孔29の内面に当接して内側に縮径する方向に変形することができる。これによって、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に装着できる。
そして、図3(c)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に装着した状態で、拡縮部33が弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形する。このように拡縮部33が拡大する過程で、歯根部17が埋め込み孔29の内面に進入すること、及び拡縮部33がほぼ元の拡大した形状に戻った状態で歯槽骨14に固着することによって、インプラント12を歯槽骨14に早期に、しかも、強固に固定することができる。
また、拡縮部33は、強制的に拡大させられるのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラント12が歯槽骨14に与える損傷を小さくすることができる。また、歯槽骨14内で拡縮部33が拡大するので、インプラント12が歯槽骨14から抜け難くすることができる。
更に、歯根部17は、弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力を有する拡縮部33を介して埋め込み孔29の内面に固着しているので、この拡縮部33によって、当該インプラント12が使用された義歯13を含む上下の歯が噛合うときの衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラント12が使用された義歯13を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。
また、この歯科用インプラント12によると、上記のように、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させずにインプラント12を歯槽骨14に埋設できるので、例えばインプラント12を歯槽骨14に埋め込んだその日のうちに、インプラント12に仮歯30を取り付けることができる。そして、拡縮部33を強制的に拡大させるのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラント12が歯槽骨14に与える損傷を、図11(a)、(b)に示す従来のインプラント12よりも小さくすることができ、歯槽骨14の損傷が短期間で回復する。よって、インプラント12を歯槽骨14に埋め込んだ時から比較的短い期間(例えば約1箇月)内で義歯13をインプラント12に取り付ける準備ができる。従って、患者にとっては、早期に義歯13を取り付けてもらえて便利であるし、歯科医師にとっては、患者の身体(歯槽骨14)に与える損傷が小さいのでストレスが低減する。
更に、拡縮部33が、図3(a)に示すように、歯根本体部32の外表面に設けられた多数の突起部33aで構成されているものとすると、図3(c)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部33aどうしの隙間38に進入することができ、これによって、インプラント12を歯槽骨14に強固に固定することができる。ここで、インプラント12を歯槽骨14に強固に固定するというのは、インプラント12が埋め込み孔29から抜け出ないようにしたり、インプラント12がその中心線を中心にして回らないように固定する力が強力であるということである。
そして、図3(b)に示すように、歯根部17を先細りのテーパ状に形成すると、歯根部17を歯槽骨14の埋め込み孔29に挿入していくときに、拡縮部33が埋め込み孔29の内面を擦り付けないようにして埋め込み孔29にスムースに装着することができる。これによって、インプラント12を埋め込み孔29に装着するときに歯槽骨14に与える損傷を小さくすることができる。
また、図6に示すように、歯根部17の下端部に、拡縮部33によって形成される増径部35を設けると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するときは、拡縮部33によって形成された増径部35が、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に変形するので、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなくこの増径部35を有する歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。そして、歯根部17を埋め込み孔29に装着した状態で、増径部35がその復元力によって外側に拡大すると、増径部35の外径が埋め込み孔29の下端部の内径よりも大きくなるので、インプラント12を埋め込み孔29に強固に固定することができる。
更に、図3に示すように、拡縮部33である多数の各突起部33aが、歯根本体部32から外側上方に向かって延びる形状とすると、図3(b)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、多数の突起部33aは、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に極めて容易に変形することができ、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。
そして、図3(b)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、歯根部17を埋め込み孔29から抜き取る方向に力が掛ると、多数の突起部33aは、埋め込み孔29の内面に当接して外側に拡大する方向に変形するので、歯根部17が埋め込み孔29から抜け出ないように強固に留めることができる。
次に、図7(a)〜(d)を参照して、拡縮部33である突起部33aの種々の例を挙げて説明する。要するに、突起部の形状は、図7に示すものとしてもよいし、これ以外の形状としてもよい。図7(a)に示す突起部33aは、上記実施形態の円弧板状に形成されたものを示しており、この突起部33aは、外側上方に向かって延びているものである(図3(a)参照)。図7(b)に示す突起部36は、図7(a)に示す突起部33aと同等の円弧板状部が水平方向に向かって延びているものである。
図7(c)に示す突起部37は、図7(a)に示す突起部33aにおいて、その先端部に根元部37aよりも拡大している膨大部37bが形成されているものである。
このように、突起部37の根元部37aが、先端部の膨大部37bよりも縮小する形状であるものとすると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、拡縮部33である多数の突起部37は、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に容易に変形することができ、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。
そして、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部37どうしの間に形成された隙間38に進入すると、これら多数の突起部37のそれぞれの先端部に形成された膨大部37bが、歯槽骨14内に取り込まれた状態となり、歯根部17が埋め込み孔29から抜け出ないように強固に固定することができる。
図7(d)に示す突起部37は、図7(b)に示す突起部36の先端部に膨大部39aが形成され、その膨大部39aが屈曲して上方向に向かって延びるものを示している。
また、図6に示す義歯13が取り付けられる保持部16の外表面には、弾性被膜31が形成されている。この弾性被膜31によると、当該インプラント12が使用された義歯13を含む上下の歯が噛合うときに、当該インプラント12が使用された義歯13に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラント12が使用された義歯13を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。そして、この弾性被膜31をインプラント12の歯槽骨14内に入り込む領域まで形成することによって、インプラント12の外周面と、歯槽骨14に形成された埋め込み孔29の内周面との間を封止することができる。これによって、歯垢等が歯槽骨14内に侵入することによって起こる細菌感染を抑制して、インプラント12の早期固定を達成することができる。
更に、図1に示すように、歯根部17は、義歯13が取り付けられる保持部16と一体に形成されている。このようにすると、保持部16を歯根部17に取り付ける手間及び時間を省略することができる。そして、保持部16と歯根部17との間の結合部の強度を高めることができ、その結合部の損傷を抑制できる。
そして、図1に示す歯根部17の外表面は、チタン(Ti)を主成分とする材料やそれに各種の元素を添加したチタン合金によって形成され、その表面が微細に粗面化されたり、表面生体活性化されている。このようにすると、チタンおよびチタン合金は骨との高い結合力が得られるので、インプラント12を歯槽骨14に安定的に強固に固定することができる。
ただし、上記実施形態では、図6に示す保持部16の外表面に弾性被膜31を形成したが、これに代えて、義歯13の内表面に弾性被膜31を形成してもよい。このようにしても、当該インプラント12が使用された義歯13に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができる。
そして、上記実施形態では、図1に示すように、歯根本体部32の外表面に多数の突起部33aを設け、この多数の突起部33aを拡縮部33としたが、これに代えて、図9に示す例えばチタン合金製のスリーブ34を図8に示すように歯根本体部32の外表面に装着し、このスリーブ34を拡縮部としてもよい。このスリーブ(拡縮部)34の下端部は、増径部35として形成されている。
このスリーブ34は、冷し嵌めや溶接によって歯根本体部32に結合している。このスリーブ34の増径部35は、歯根本体部32の外表面との間に隙間41が形成され、この増径部35よりも上方の部分は、歯根本体部32の外表面に当接している。
この図8に示すインプラント42によると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するときは、スリーブ34の増径部35が縮径し、歯根部17が歯槽骨14に埋め込まれたときに、弾性力に基づく復元力によって増径部35が外側に拡大することができる。これによって、インプラント42を歯槽骨14に強力に固定することができる。
なお、スリーブ34の厚みは、例えば0.1〜0.5mmであり、0.2mmが好ましい。更に、図9に示すスリーブ34では、縦長の板状部34aを4つ形成し、板状部34aどうしの間に合計4つの開口部34bを形成したが、これ以外の数の板状部34aを形成してもよいし、開口部34bもこれ以外の大きさにしてもよい。そして、拡縮部は、図9に示すスリーブ34において、下端部の環状部34cが形成されていない例えば簾状又は茶筅状にしてもよい。また、スリーブ34は全体あるいは部分的に、例えば下部分の拡縮部にメッシュ又はネット構造を有していても良い。
そして、上記実施形態では、図1に示すように、歯根部17と保持部16とを一体に形成したが、これに代えて、歯根部17と保持部16とを別々の部品として形成して、両者を互いに結合して歯科用インプラント12を形成する構成としてもよい。
また、上記参考技術例では、歯科用インプラント42のスリーブ34の材質として、形状記憶合金を使用すると、スリーブ34の増径部35が縮径した状態で植設した後に体温で形状記憶により増径することにより、歯槽骨との間で強い結合力が得られる。これに代えて、弾性的性質を有するチタン金属やチタン合金を使用しても良い。また、弾性的性質を有する金属を使用すると、図3に示すように、歯根部17が歯槽骨14に埋め込まれたときに、弾性力に基づく復元力によって拡縮部33の多数の各突起部33aが外側に拡大するようにできる。
そして、インプラント12を、弾性的性質を有する金属で形成した場合であっても、インプラント12の少なくとも歯根部17の表面をチタン層、又はチタン合金層で形成するとよい。チタン層等は、歯槽骨14との間で強い結合力が得られるからである。
また、図6に示すように、インプラント12の歯根部17を歯槽骨14に形成された埋め込み孔29に装着するときに、この歯根部17の外周面と、埋め込み孔29の内周面との間に、例えばチタンメッシュ、チタンネット、人工骨、iPs細胞、自家骨、コラーゲン繊維、又はアクアチタンを配置してもよい。これによって、歯根部17を歯槽骨14に対して、速やかに、しかも、安定的に強固に固定することが可能になる。人工骨として、例えば帆立貝の貝殻を粉砕して形成した粉粒体がある。
そして、歯根部17の外表面には、図3(a)に示すように、多数の突起部33aが形成されているので、これらチタンメッシュ、チタンネット、人工骨、iPs細胞等を確実に保持することができる。また、人工骨等の粉粒体は、例えば合成樹脂等を介して歯根部17の外表面に固着させてもよい。
また、上記実施形態では、図1及び図2に示すように、歯根本体部32をテーパ状に形成したが、これに代えて、その外周面を短円筒状に形成してもよい。更に、歯根部17は、その下端部に拡縮部33によって形成された増径部35を備えるものとしたが、この増径部35が形成されていない歯根部としてもよい。
更に、歯槽骨14に設ける埋め込み孔29は、テーパ状にしたが、これに代えて、ストレート孔にしてもよい。
以上のように、本発明に係る歯科用インプラントは、歯槽骨に損傷を殆ど与えることなく、インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に挿入して埋設することができ、これによって、仮歯や義歯を短期間で歯槽骨に固定できる優れた効果を有し、このような歯科用インプラントに適用するのに適している。
12 歯科用インプラント
13 義歯
14 歯槽骨
14a 皮質骨
14b 海面骨
15 歯肉部
16 保持部
17 歯根部
20 装着部
20a 上部
20b 下部
21 鍔状部
29 埋め込み孔
30 仮歯
31 弾性被膜
32 歯根本体部
33 拡縮部
33a 突起部
34 スリーブ(拡縮部)
34a 板状部
34b 開口部
34c 環状部
35 増径部
36 突起部
37 突起部
37a 根元部
37b 膨大部
38 隙間
39 突起部
39a 膨大部
40 溝
41 隙間
42 歯科用インプラント
本発明は、義歯(補綴物)を歯槽骨に固定するための歯科用インプラントに関する。
従来の歯科用インプラントの一例として図10に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。この歯科用インプラント1は、同図に示すように、人工歯根となる脚部2と、義歯(図示せず)が取り付けられる頭部3とを備えている。この頭部3に設けられている雄ねじ部4は、脚部2に形成されている雌ねじ部5に螺合している。これによって、頭部3と脚部2とが互いに結合している。そして、脚部2には、雄ねじ部6が形成されている。このように、脚部2の外周面に雄ねじ部6を形成してあるのは、脚部2を歯槽骨に植設したときに、この雄ねじ部6によって、脚部2の外周面と歯槽骨との結合力を高めることができるからである。
しかし、図10に示す歯科用インプラント1では、脚部2の外周面に形成した雄ねじ部6を歯槽骨に形成した埋め込み孔に螺合させるときに、歯槽骨の埋め込み孔の内面の全体に、この雄ねじ部6によって損傷を与えることとなる。この歯槽骨が受ける損傷は、回復するのに長期間(約4〜6箇月)を要するので、仮歯や義歯を取り付けるまでに、約4〜6箇月以上の相当の期間を必要とする。
そこで、歯槽骨に大きな損傷を与えることなく歯科用インプラントを歯槽骨に植設できるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。図11(a)に示す歯科用インプラント7は、歯槽骨に形成される埋め込み孔に挿入する前の収縮状態を示している。図11(b)は、歯槽骨に形成された埋め込み孔にインプラント7を挿入して、拡大部10、10を拡大させた状態を示している。
このインプラント7を歯槽骨の所定箇所に埋設するときは、まず、図11(a)に示す収縮状態のインプラント7を歯槽骨に形成された埋め込み孔に挿入する。そして、雄ねじ部8を所定方向に回転させる。これによって、図11(b)に示すように、この雄ねじ部8に螺合する2つの各押上体9、9が上昇して、各押上体9、9の外面に形成されている傾斜面が拡大部10、10を外側に押し広げることができ、拡大部10、10が拡大した状態となる。拡大部10が拡大した状態となると、拡大部10が歯槽骨の埋め込み孔の内面と係合することができ、この拡大部10を備える脚部11が歯槽骨と強力に結合した状態となる。
このように、図11(a)、(b)に示す歯科用インプラント7によると、拡大部10、10によって、埋め込み孔の内面の一部を損傷させるだけで済むので、内面全体を損傷させる図10に示すインプラント1と比較して、損傷を小さくすることができ、よって、歯槽骨の損傷が回復するまでの期間を短くすることができる。従って、インプラント7に仮歯や義歯を取り付けるまでの期間を、図10に示すインプラント1よりも短くすることができる。
特開平8−266558号公報 特開2000−93435号公報
しかし、図11(a)、(b)に示す従来の歯科用インプラント7では、雄ねじ部8を回転させて、拡大部10、10を埋め込み孔内で強制的に押し広げることによって、この拡大部10、10を埋め込み孔の内面に係合させているので、拡大部10、10がその内面の一部を極度に損傷させることとなる。従って、その極度に損傷した部分が回復するまでは、インプラント7に仮歯や義歯を取り付けることができないという問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、歯槽骨に損傷を殆ど与えることなく、インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に挿入して埋設することができ、これによって、仮歯や義歯を短期間で歯槽骨に固定できる歯科用インプラントを提供することを目的としている。
本発明に係る歯科用インプラントは、義歯を歯槽骨に固定するためのものであって、歯槽骨に形成された埋め込み孔に埋め込まれる歯根部と、前記歯根部の上端部に設けられ、義歯が取り付けられる保持部とを備える歯科用インプラントにおいて、前記歯根部は、歯根本体部と、この歯根本体部の外表面に設けられた拡縮部とを備え、前記拡縮部は、前記歯根本体部の外表面に設けられた多数の突起部で構成され、前記多数の突起部は、前記歯根部が埋め込み孔に挿入されておらず、自然状態で、前記歯根本体部から外側、かつ、前記保持部側に又は前記歯根部の中心線に対して垂直方向に向かって延びる形状であり、前記歯根部が埋め込み孔に挿入されるとき、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形し、前記歯根部が埋め込み孔に埋め込まれたときに、当該拡縮部の弾性力に基づく復元力によって拡径する方向に変形し、前記拡縮部の多数の突起部は、前記歯根部の中心線の方向に沿って形成した1又は2以上の縦溝によって分断された多数の薄板状部で形成されていることを特徴とするものである。
この発明に係る歯科用インプラントによると、歯根部を歯槽骨に埋設して、この埋設されたインプラントに仮歯や義歯を取り付けることができる。インプラントを歯槽骨に埋設するときは、まず、例えば歯槽骨に埋め込み孔を形成する。そして、インプラントの歯根部を埋め込み孔に挿入する。そして、このように歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部は、埋め込み孔の内面に当接して内側に縮径する方向に変形することができる。これによって、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に装着できる。
そして、歯根部を埋め込み孔に装着した状態で、拡縮部が弾性力に基づく復元力によって拡径する方向に変形する。拡縮部が拡大する過程で、拡縮部が埋め込み孔の内面に固着すると共に、拡縮部がほぼ元の拡大した形状に戻る。このように、歯根部が埋め込み孔の内面に進入すること、及び拡縮部がほぼ元の拡大した形状に戻った状態で歯槽骨に固着することによって、インプラントを歯槽骨に早期に、しかも、強固に固定することができる。
すなわち、拡縮部が、強制的に拡大するのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラントが歯槽骨に与える損傷を小さくすることができる。また、歯槽骨内で拡縮部が拡大するので、インプラントが歯槽骨から抜け難くすることができる。
更に、歯根部は、弾性力に基づく復元力を有する拡縮部を介して埋め込み孔の内面に固着しているので、この拡縮部によって、当該インプラントを含む上下の歯が噛合うときの衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができる。
そして、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部どうしの隙間に進入することができ、これによって、インプラントを歯槽骨に強固に固定することができる。ここで、インプラントを歯槽骨に強固に固定するというのは、インプラントが埋め込み孔から抜け出ないようにしたり、インプラントがその中心線を中心にして回らないように固定する力が強力であるということである。
また、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部である多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に極めて容易に変形することができ、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に埋設できる。
更に、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、多数の突起部は、弾性力等で復元し、歯槽骨に食い込む状態となって歯根部は、固定される。そして、歯根部を埋め込み孔から抜き取る方向に力が掛ると、多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して外側に拡大する方向に変形するので、歯根部が埋め込み孔から抜け出ないように強固に留めることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部が先細りのテーパ状に形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を歯槽骨の埋め込み孔に挿入していくときに、拡縮部が埋め込み孔の内面を擦り付けないようにして埋め込み孔にスムースに装着することができる。これによって、インプラントを埋め込み孔に装着するときに歯槽骨に与える損傷を小さくすることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の下端部は、前記拡縮部によって増径部が形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部によって形成された増径部が、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形するので、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなくこの増径部を有する歯根部を歯槽骨に埋設できる。そして、歯根部を埋め込み孔に装着した状態で、増径部がその復元力によって外側に拡大すると、増径部の外径が埋め込み孔の下端部の内径よりも大きくなるので、インプラントを埋め込み孔に強固に固定することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根本体部の外表面には、当該歯根部の中心線の方向に沿って1又は2以上の溝が形成されているものとするとよい。
このようにすると、歯根部を埋め込み孔に挿入した状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、溝内に進入することができ、また、突起部間の隙間にも同時に骨が進入することができる。これによって、インプラントがその中心線を中心にして回らないように固定する力を強力にすることができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記拡縮部を構成する多数の前記突起部のそれぞれの先端部には、その根元部よりも拡大している膨大部が形成されているものとするとよい。
このように、突起部の根元部が、先端部の膨大部よりも縮小する形状であるものとすると、歯根部を埋め込み孔に挿入するとき、拡縮部である多数の突起部は、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に容易に変形することができ、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させることなく歯根部を歯槽骨に埋設できる。
そして、歯根部を埋め込み孔に挿入し状態で、埋め込み孔の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部どうしの隙間に進入すると、これら多数の突起部のそれぞれの先端部に形成された膨大部が、歯槽骨内に取り込まれた状態となり、歯根部が埋め込み孔から抜け出ないように強固に固定することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の上端部に義歯が取り付けられる保持部が設けられ、この保持部の外表面、又は義歯の内表面に形成される弾性被膜を備えるものとするとよい。
この弾性被膜によると、当該インプラントが使用された義歯を含む上下の歯が噛合うときに、当該インプラントが使用された義歯に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラントが使用された義歯を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。そして、この弾性被膜をインプラントの歯槽骨内に入り込む領域まで形成することによって、インプラントの外周面と、歯槽骨に形成された埋め込み孔の内周面との間を封止することができる。これによって、歯垢等が歯槽骨内に侵入することによって起こる細菌感染を抑制して、インプラントの早期固定を達成することができる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部は、義歯が取り付けられる保持部と一体に形成されているものとするとよい。
このようにすると、保持部を歯根部に取り付ける手間及び時間を省略することができる。そして、保持部と歯根部との間の結合部の強度を高めることができ、その結合部の損傷を抑制できる。
この発明に係る歯科用インプラントにおいて、前記歯根部の外表面は、チタン又はチタン合金によって形成されているものとするとよい。
このようにすると、チタン及びチタン合金は、骨との高い結合力が得られるので、インプラントを歯槽骨に安定的に強固に固定することができる。
本発明の歯科用インプラントによると、歯根部を埋め込み孔に挿入するときに、拡縮部が、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形するので、歯根部を埋め込み孔にスムースに挿入することができる。従って、埋め込み孔の内面を殆ど損傷させずにインプラントを歯槽骨に埋設できる。よって、例えばインプラントを歯槽骨に埋め込んだその日のうちに、インプラントに仮歯を取り付けることができる。そして、拡縮部を強制的に拡大させるのではなく、拡縮部自体の復元力によって拡大するので、インプラントが歯槽骨に与える損傷を、図11(a)、(b)に示す従来のインプラントよりも小さくすることができ、歯槽骨の損傷が短期間で回復する。よって、インプラントを歯槽骨に埋め込んだ時から比較的短い期間(例えば約1箇月)内で義歯をインプラントに取り付ける準備ができる。従って、患者にとっては、早期に義歯を取り付けてもらえて便利であるし、歯科医師にとっては、患者の身体(歯槽骨)に与える損傷が小さいのでストレスが低減する。
この発明の一実施形態に係る歯科用インプラントを示す斜視図である。 図1に示す歯科用インプラントを示す図であり、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。 図1に示す歯科用インプラントの歯根部に設けられている拡縮部を示す部分拡大断面図であり、(a)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されておらず、自然状態の拡縮部を示す部分拡大断面図、(b)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されて、拡縮部が埋め込み孔の内周面に押圧されて内側に縮小する方向に変形した状態を示す部分拡大断面図、(c)は、歯根部が埋め込み孔に挿入されて、拡縮部が埋め込み孔の内周面と結合した状態、すなわち、骨が突起部間に進入した状態を示す部分拡大断面図である。 図3(b)に示す拡縮部を構成する突起部を示す部分拡大斜視図である。 図1に示す歯科用インプラントを歯槽骨に埋設する手順を示す断面図であり、埋め込み孔が形成された歯槽骨の断面図である。 図1に示す歯科用インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に装着して、当該インプラントに義歯を取り付けた状態を示す断面図である。 同発明に係る歯科用インプラントに設けられている拡縮部の突起部の例を示す部分拡大断面図であり、(a)は、斜め上方に向かって延びる突起部、(b)は、水平方向に延びる突起部、(c)は、図7(a)に示す突起部の先端部に膨大部が形成されているものであり、(d)は、図7(b)に示す突起部の先端部に膨大部が形成され、その膨大部が屈曲して上方向に向かって延びるものを示している。 同発明の参考技術例に係る歯科用インプラントの他の実施形態を示す部分断面側面図である。 図8に示す拡縮部の斜視図である。 従来の歯科用インプラントを示す正面斜視図である。 従来の他の歯科用インプラントを示す断面図であり、(a)は拡大部が収縮した状態を示す縦断面図、(b)は拡大部が拡大した状態を示す縦断面図である。
以下、本発明に係る歯科用インプラントの実施形態を図1〜図6を参照して説明する。この歯科用インプラント12は、図6に示すように、義歯13を歯槽骨14に固定するためのものである。歯槽骨14は、皮質骨14aと海面骨14bとから成っている。皮質骨14aの表面に歯肉部15が形成されている。
そして、図6に示すように、インプラント12は、上部に設けられている保持部16に義歯13が取り付けられ、この保持部16の下端から下方に延びる歯根部17が歯槽骨14に埋設される。このように、このインプラント12は、保持部16及び歯根部17が一体に形成されている。
図1は、歯槽骨14に植設される前のインプラント12を示しており、この歯科用インプラント12は、例えばチタン(Ti)を主成分とする材料で、純チタンやそれに各種の元素を添加したTi-6Al-4V合金、Ti-15Mo-5Zr-3Al、生体に為害性を与えないとされる元素Zr、Ta、Nbを添加したTi-Zr-Ta-Nb系合金(Ti-15Zr-4Ta-4Nbなど)で形成される。これらのチタンを含む材料は歯槽骨14との親和性があり、それらの表面を粗面にすることや表面生体活性処理を施すことにより、歯槽骨14との強い結合力を得ることが出来る。
保持部16は、図2(a)の正面図に示すように、義歯13又は仮歯30が装着される装着部20、及びこの装着部20の下側に形成されている鍔状部21を備えている。装着部20は、義歯13等の内面形状と対応する形状に形成されている。そして、図1及び図2に示すように、装着部20は、上部20aが楕円柱状に形成されており、下部20bが円錐台状に形成されている。上部20aを楕円柱成することによって、保持部16に取り付けられる義歯13等がその中心線を中心にして回動しないように確実に保持することができる。
また、保持部16(装着部20及び鍔状部21)の外表面は、鏡面加工されている。このように、保持部16の外表面に鏡面加工を施したのは、この部分は、露出する可能性があるので、汚れ難くすると共に、付着する汚れを掃除し易くするためである。
更に、この保持部16の外表面には、弾性被膜31が形成されている。この弾性被膜31は、例えば弾性的性質を有する超高分子量ポリエチレン(UHMW)等の高分子材料によって形成された被膜である。この弾性被膜31は、インプラント12の歯槽骨14内に入り込む領域の鍔状部21まで形成されている。
次に、歯根部17について説明する。歯根部17は、図6に示すように、義歯13を歯槽骨14に固定するためのものであって、歯槽骨14に形成された埋め込み孔29に埋め込まれるものである。この歯根部17は、全体がほぼ砲弾形状であり、先細りのテーパ状に形成され、中心線に直交する断面の外表面がほぼ円形に形成されている。そして、この歯根部17は、歯根本体部32と、この歯根本体部32の外表面に設けられた拡縮部33とを備えており、更に、歯根部17の下端部(先端部)には、拡縮部33によって増径部35が形成されている。つまり、歯根本体部32は、拡縮部33の内側に配置され、この拡縮部33の外表面が形成するテーパ形状よりも小さい先細りのテーパ状に形成されている。
拡縮部33は、図1及び図2に示すように歯根本体部32の外表面に設けられた多数の突起部33aによって構成されている。図3は、図1に示す歯科用インプラント12の歯根部17に設けられている拡縮部33を示す部分拡大断面図であり、図3(a)は、歯根部17が埋め込み孔29に挿入されておらず、自然状態の拡縮部33を示す部分拡大断面図である。図4は、拡縮部33を構成する1つの突起部33aを示す部分拡大斜視図である。
この図4に示すように、拡縮部33を構成する多数の各突起部33aは、例えば平面形状が所定長さの円弧状の薄板状部で形成され、その板面がインプラント12の歯根部17の外周方向と略平行している。そして、図3(a)に示すように、多数の各突起部33aは、歯根部17の上下方向に互いに間隔(隙間38)を隔てて歯根本体部32に設けられ、この歯根本体部32から外側上方に向かって延びる形状である。
この図3(a)等に示す拡縮部33の各突起部33aは、例えば微細機械加工、エッチング加工、レーザ加工、金型成形によって形成することができる。そして、突起部33aは、図3(a)等に示す以外の形状としてもよく、例えば歯根本体部32の外表面に対して酸による処理を施すことによって、当該外表面に多数の突起部を形成してもよい。
この拡縮部33の各突起部33aは、図3(b)に示すように、歯根部17が埋め込み孔29に挿入されるとき、埋め込み孔29の内面に当接して内側に縮径する方向に変形するように形成されている。そして、図3(c)に示すように、歯根部17が埋め込み孔29に埋め込まれたときに、各突起部33aの弾性力に基づく復元力によって外側に拡大するように形成されている。
また、図1及び図2に示すように、歯根本体部32の外表面には、当該歯根本体部32の中心線の方向に沿って1又は2以上の溝40が形成されている。この縦方向の溝40には、拡縮部33を構成する突起部33aが設けられていない。ただし、この溝40にも突起部33aを設けてもよい。
この歯根本体部32の外表面に形成された溝40は、図6に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨がこの溝40内に進入できるようにして、インプラント12がその中心線を中心にして回らないように固定する力を強力にするためのものである。更に、この溝40は、突起部33aの挿入時の変形を容易にするためのものでもある。
次に、図6に示すテーパ形状の歯根部17の寸法について説明する。歯根部17(拡縮部33)の最大、最小の外径は、テーパ形状の埋め込み孔29の最大、最小の内径よりも例えば0.1〜0.5mm、好ましくは0.2mm程度大きく形成されている。このように、歯根部17の最大、最小の外径を埋め込み孔29の最大、最小の内径よりも大きくすることによって、歯根部17の外周面を埋め込み孔29の内周面に密着させてこの埋め込み孔29に装着することができる。
そして、図3(a)に示す拡縮部33の各突起部33aの突出長さは、歯根本体部32の直径に応じて決めることができるが、例えば0.1〜0.5mm、好ましくは0.2mm程度である。また、増径部35に設けられている突起部33aの長さは、それ以外の部分に設けられている突起部33aよりも長く形成されている。また、この実施形態のインプラント12では、例えば中心線方向の保持部16の寸法が約6mm、歯根部17の寸法が約9mmであり、保持部16の上端部の横幅が約2.5mm、歯根部17の最大外径が約3.8mm、歯根部17の増径部35の最大外径が約3.2mmである。
また、チタン製の歯根部17の表面には、この歯根部17と歯槽骨14とが互いに強固に結合できるようにするための例えば生体活性表面処理が行われている。この生体活性表面処理を行う手順の一例として、まず、図1に示すように形成された純チタン4種のインプラント12を超音波洗浄する。次に、インプラント12を66.3%のH2SO4溶液と10.6%のHCl溶液とを1:1に混合した溶液に70℃で30分間浸漬処理し、しかる後に、超純水でインプラント12を洗浄する。そして、このインプラント12を大気中で600℃、1時間の加熱処理を施す。これでインプラント12の生体活性表面処理が終了する。
この生体活性表面処理が行われたインプラント12を疑似体液に1日浸漬したところ、全表面にアパタイトが検出された。このことは、当該生体活性表面処理が行われたインプラント12を歯槽骨14に埋め込んだ場合に、インプラント12の歯根部17と歯槽骨14とが互いに強固に結合することを示している。
なお、上記の生体活性処理は、例示した方法に限ることなく、アルカリ溶液処理-加熱法、アルカリ溶液処理-塩化カルシウム溶液処理-加熱処理、陽極酸化処理法などの種々の方法を適用することも可能である。
上記のように構成された図1に示す歯科用インプラント12によると、図6に示すように、歯根部17を歯槽骨14に埋設して、この埋設されたインプラント12に仮歯30や義歯13を取り付けることができる。
このインプラント12を歯槽骨14に埋設するときは、まず、図5に示すように、例えば歯槽骨14にテーパ状の埋め込み孔29を形成する。この埋め込み孔29は、例えばテーパキリで形成することができ、最大直径は、例えば約4.0mmである。なお、この埋め込み孔29は、インプラント12に応じた大きさに形成すればよい。そして、図3(b)及び図5に示すように、インプラント12の歯根部17を埋め込み孔29に挿入する。このように歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、拡縮部33は、埋め込み孔29の内面に当接して内側に縮径する方向に変形することができる。これによって、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に装着できる。
そして、図3(c)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に装着した状態で、拡縮部33が弾性力に基づく復元力によって拡径する方向に変形する。このように拡縮部33が拡大する過程で、歯根部17が埋め込み孔29の内面に進入すること、及び拡縮部33がほぼ元の拡大した形状に戻った状態で歯槽骨14に固着することによって、インプラント12を歯槽骨14に早期に、しかも、強固に固定することができる。
また、拡縮部33は、強制的に拡大させられるのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラント12が歯槽骨14に与える損傷を小さくすることができる。また、歯槽骨14内で拡縮部33が拡大するので、インプラント12が歯槽骨14から抜け難くすることができる。
更に、歯根部17は、弾性力に基づく復元力を有する拡縮部33を介して埋め込み孔29の内面に固着しているので、この拡縮部33によって、当該インプラント12が使用された義歯13を含む上下の歯が噛合うときの衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラント12が使用された義歯13を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。
また、この歯科用インプラント12によると、上記のように、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させずにインプラント12を歯槽骨14に埋設できるので、例えばインプラント12を歯槽骨14に埋め込んだその日のうちに、インプラント12に仮歯30を取り付けることができる。そして、拡縮部33を強制的に拡大させるのではなく、それ自体の復元力によって拡大するので、インプラント12が歯槽骨14に与える損傷を、図11(a)、(b)に示す従来のインプラント12よりも小さくすることができ、歯槽骨14の損傷が短期間で回復する。よって、インプラント12を歯槽骨14に埋め込んだ時から比較的短い期間(例えば約1箇月)内で義歯13をインプラント12に取り付ける準備ができる。従って、患者にとっては、早期に義歯13を取り付けてもらえて便利であるし、歯科医師にとっては、患者の身体(歯槽骨14)に与える損傷が小さいのでストレスが低減する。
更に、拡縮部33が、図3(a)に示すように、歯根本体部32の外表面に設けられた多数の突起部33aで構成されているものとすると、図3(c)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部33aどうしの隙間38に進入することができ、これによって、インプラント12を歯槽骨14に強固に固定することができる。ここで、インプラント12を歯槽骨14に強固に固定するというのは、インプラント12が埋め込み孔29から抜け出ないようにしたり、インプラント12がその中心線を中心にして回らないように固定する力が強力であるということである。
そして、図3(b)に示すように、歯根部17を先細りのテーパ状に形成すると、歯根部17を歯槽骨14の埋め込み孔29に挿入していくときに、拡縮部33が埋め込み孔29の内面を擦り付けないようにして埋め込み孔29にスムースに装着することができる。これによって、インプラント12を埋め込み孔29に装着するときに歯槽骨14に与える損傷を小さくすることができる。
また、図6に示すように、歯根部17の下端部に、拡縮部33によって形成される増径部35を設けると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するときは、拡縮部33によって形成された増径部35が、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に変形するので、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなくこの増径部35を有する歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。そして、歯根部17を埋め込み孔29に装着した状態で、増径部35がその復元力によって外側に拡大すると、増径部35の外径が埋め込み孔29の下端部の内径よりも大きくなるので、インプラント12を埋め込み孔29に強固に固定することができる。
更に、図3に示すように、拡縮部33である多数の各突起部33aが、歯根本体部32から外側上方に向かって延びる形状とすると、図3(b)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、多数の突起部33aは、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に極めて容易に変形することができ、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。
そして、図3(b)に示すように、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、歯根部17を埋め込み孔29から抜き取る方向に力が掛ると、多数の突起部33aは、埋め込み孔29の内面に当接して外側に拡大する方向に変形するので、歯根部17が埋め込み孔29から抜け出ないように強固に留めることができる。
次に、図7(a)〜(d)を参照して、拡縮部33である突起部33aの種々の例を挙げて説明する。要するに、突起部の形状は、図7に示すものとしてもよいし、これ以外の形状としてもよい。図7(a)に示す突起部33aは、上記実施形態の円弧板状に形成されたものを示しており、この突起部33aは、外側上方に向かって延びているものである(図3(a)参照)。図7(b)に示す突起部36は、図7(a)に示す突起部33aと同等の円弧板状部が水平方向に向かって延びているものである。
図7(c)に示す突起部37は、図7(a)に示す突起部33aにおいて、その先端部に根元部37aよりも拡大している膨大部37bが形成されているものである。
このように、突起部37の根元部37aが、先端部の膨大部37bよりも縮小する形状であるものとすると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するとき、拡縮部33である多数の突起部37は、埋め込み孔29の内面に当接して縮径する方向に容易に変形することができ、埋め込み孔29の内面を殆ど損傷させることなく歯根部17を歯槽骨14に埋設できる。
そして、歯根部17を埋め込み孔29に挿入した状態で、埋め込み孔29の内面から骨芽細胞で形成された骨が、多数の突起部37どうしの間に形成された隙間38に進入すると、これら多数の突起部37のそれぞれの先端部に形成された膨大部37bが、歯槽骨14内に取り込まれた状態となり、歯根部17が埋め込み孔29から抜け出ないように強固に固定することができる。
図7(d)に示す突起部37は、図7(b)に示す突起部36の先端部に膨大部39aが形成され、その膨大部39aが屈曲して上方向に向かって延びるものを示している。
また、図6に示す義歯13が取り付けられる保持部16の外表面には、弾性被膜31が形成されている。この弾性被膜31によると、当該インプラント12が使用された義歯13を含む上下の歯が噛合うときに、当該インプラント12が使用された義歯13に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができ、当該インプラント12が使用された義歯13を、天然歯に近い感じで噛み締めることが可能となる。そして、この弾性被膜31をインプラント12の歯槽骨14内に入り込む領域まで形成することによって、インプラント12の外周面と、歯槽骨14に形成された埋め込み孔29の内周面との間を封止することができる。これによって、歯垢等が歯槽骨14内に侵入することによって起こる細菌感染を抑制して、インプラント12の早期固定を達成することができる。
更に、図1に示すように、歯根部17は、義歯13が取り付けられる保持部16と一体に形成されている。このようにすると、保持部16を歯根部17に取り付ける手間及び時間を省略することができる。そして、保持部16と歯根部17との間の結合部の強度を高めることができ、その結合部の損傷を抑制できる。
そして、図1に示す歯根部17の外表面は、チタン(Ti)を主成分とする材料やそれに各種の元素を添加したチタン合金によって形成され、その表面が微細に粗面化されたり、表面生体活性化されている。このようにすると、チタンおよびチタン合金は骨との高い結合力が得られるので、インプラント12を歯槽骨14に安定的に強固に固定することができる。
ただし、上記実施形態では、図6に示す保持部16の外表面に弾性被膜31を形成したが、これに代えて、義歯13の内表面に弾性被膜31を形成してもよい。このようにしても、当該インプラント12が使用された義歯13に掛る衝撃や力を吸収したり分散させて和らげることができる。
そして、上記実施形態では、図1に示すように、歯根本体部32の外表面に多数の突起部33aを設け、この多数の突起部33aを拡縮部33としたが、これに代えて、図9に示す例えばチタン合金製のスリーブ34を図8に示すように歯根本体部32の外表面に装着し、このスリーブ34を拡縮部としてもよい。このスリーブ(拡縮部)34の下端部は、増径部35として形成されている。
このスリーブ34は、冷し嵌めや溶接によって歯根本体部32に結合している。このスリーブ34の増径部35は、歯根本体部32の外表面との間に隙間41が形成され、この増径部35よりも上方の部分は、歯根本体部32の外表面に当接している。
この図8に示すインプラント42によると、歯根部17を埋め込み孔29に挿入するときは、スリーブ34の増径部35が縮径し、歯根部17が歯槽骨14に埋め込まれたときに、弾性力に基づく復元力によって増径部35が外側に拡大することができる。これによって、インプラント42を歯槽骨14に強力に固定することができる。
なお、スリーブ34の厚みは、例えば0.1〜0.5mmであり、0.2mmが好ましい。更に、図9に示すスリーブ34では、縦長の板状部34aを4つ形成し、板状部34aどうしの間に合計4つの開口部34bを形成したが、これ以外の数の板状部34aを形成してもよいし、開口部34bもこれ以外の大きさにしてもよい。そして、拡縮部は、図9に示すスリーブ34において、下端部の環状部34cが形成されていない例えば簾状又は茶筅状にしてもよい。また、スリーブ34は全体あるいは部分的に、例えば下部分の拡縮部にメッシュ又はネット構造を有していても良い。
そして、上記実施形態では、図1に示すように、歯根部17と保持部16とを一体に形成したが、これに代えて、歯根部17と保持部16とを別々の部品として形成して、両者を互いに結合して歯科用インプラント12を形成する構成としてもよい。
また、上記参考技術例では、歯科用インプラント42のスリーブ34の材質として、形状記憶合金を使用すると、スリーブ34の増径部35が縮径した状態で植設した後に体温で形状記憶により増径することにより、歯槽骨との間で強い結合力が得られる。これに代えて、弾性的性質を有するチタン金属やチタン合金を使用しても良い。また、弾性的性質を有する金属を使用すると、図3に示すように、歯根部17が歯槽骨14に埋め込まれたときに、弾性力に基づく復元力によって拡縮部33の多数の各突起部33aが外側に拡大するようにできる。
そして、インプラント12を、弾性的性質を有する金属で形成した場合であっても、インプラント12の少なくとも歯根部17の表面をチタン層、又はチタン合金層で形成するとよい。チタン層等は、歯槽骨14との間で強い結合力が得られるからである。
また、図6に示すように、インプラント12の歯根部17を歯槽骨14に形成された埋め込み孔29に装着するときに、この歯根部17の外周面と、埋め込み孔29の内周面との間に、例えばチタンメッシュ、チタンネット、人工骨、iPs細胞、自家骨、コラーゲン繊維、又はアクアチタンを配置してもよい。これによって、歯根部17を歯槽骨14に対して、速やかに、しかも、安定的に強固に固定することが可能になる。人工骨として、例えば帆立貝の貝殻を粉砕して形成した粉粒体がある。
そして、歯根部17の外表面には、図3(a)に示すように、多数の突起部33aが形成されているので、これらチタンメッシュ、チタンネット、人工骨、iPs細胞等を確実に保持することができる。また、人工骨等の粉粒体は、例えば合成樹脂等を介して歯根部17の外表面に固着させてもよい。
また、上記実施形態では、図1及び図2に示すように、歯根本体部32をテーパ状に形成したが、これに代えて、その外周面を短円筒状に形成してもよい。更に、歯根部17は、その下端部に拡縮部33によって形成された増径部35を備えるものとしたが、この増径部35が形成されていない歯根部としてもよい。
更に、歯槽骨14に設ける埋め込み孔29は、テーパ状にしたが、これに代えて、ストレート孔にしてもよい。
以上のように、本発明に係る歯科用インプラントは、歯槽骨に損傷を殆ど与えることなく、インプラントを歯槽骨の埋め込み孔に挿入して埋設することができ、これによって、仮歯や義歯を短期間で歯槽骨に固定できる優れた効果を有し、このような歯科用インプラントに適用するのに適している。
12 歯科用インプラント
13 義歯
14 歯槽骨
14a 皮質骨
14b 海面骨
15 歯肉部
16 保持部
17 歯根部
20 装着部
20a 上部
20b 下部
21 鍔状部
29 埋め込み孔
30 仮歯
31 弾性被膜
32 歯根本体部
33 拡縮部
33a 突起部
34 スリーブ(拡縮部)
34a 板状部
34b 開口部
34c 環状部
35 増径部
36 突起部
37 突起部
37a 根元部
37b 膨大部
38 隙間
39 突起部
39a 膨大部
40 溝
41 隙間
42 歯科用インプラント

Claims (10)

  1. 義歯を歯槽骨に固定するためのものであって、歯槽骨に形成された埋め込み孔に埋め込まれる歯根部を備える歯科用インプラントにおいて、
    前記歯根部は、歯根本体部と、この歯根本体部の外表面に設けられた拡縮部とを備え、
    前記拡縮部は、前記歯根部が埋め込み孔に挿入されるとき、埋め込み孔の内面に当接して縮径する方向に変形可能であり、前記歯根部が埋め込み孔に埋め込まれたときに、当該拡縮部の弾性力又は形状記憶効果に基づく復元力によって拡径する方向に変形することを特徴とする歯科用インプラント。
  2. 前記拡縮部は、前記歯根本体部の外表面に設けられた多数の突起部で構成されていることを特徴とする請求項1記載の歯科用インプラント。
  3. 前記歯根部が先細りのテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の歯科用インプラント。
  4. 前記歯根部の下端部は、前記拡縮部によって増径部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歯科用インプラント。
  5. 前記拡縮部を構成する多数の前記突起部が、前記歯根本体部から外側上方に向かって延びる形状であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の歯科用インプラント。
  6. 前記歯根本体部の外表面には、当該歯根部の中心線の方向に沿って1又は2以上の溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の歯科用インプラント。
  7. 前記拡縮部を構成する多数の前記突起部のそれぞれの先端部には、その根元部よりも拡大している膨大部が形成されていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の歯科用インプラント。
  8. 前記歯根部の上端部に義歯が取り付けられる保持部が設けられ、この保持部の外表面、又は義歯の内表面に形成される弾性被膜を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の歯科用インプラント。
  9. 前記歯根部は、義歯が取り付けられる保持部と一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の歯科用インプラント。
  10. 前記歯根部の外表面は、チタン又は形状記憶合金含むチタン合金によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の歯科用インプラント。
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