JP2011045425A - 弾性変形座屈式人工歯根およびその装着固定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
上顎骨の骨厚が極端に不足している患者に、肉体的精神的負担の少ない新規な人工歯根およびその装着固定方法を提供する。
【解決手段】
円柱形状で一端に雄ネジ部を有する中実の胴部と、上記胴部より大きな直径を持ち他端の半径方向中央部に、上部構造もしくは上部構造との介在物との連結部を有する頭部とを備えたネジ部材及び、一端の半径方向中央部において内部に上記ネジ部材の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を有する先端部と、他端の半径方向中央部に上記ネジ部材の胴部を軸方向に貫通させ頭部の貫通を阻止する貫通穴を有する鍔部と、中空円筒状で軸方向に沿って複数個の切り込みを有し、少なくとも上記鍔部に近い部分で径方向外側に膨らみを持たせるように湾曲または屈曲した樽状外壁部を備えた弾性変形座屈部材とによって構成される弾性変形座屈式人工歯根を提供する。これにより上顎骨の骨厚が著しく不足する場合にも装着可能な人工歯根が実現される。
【選択図】図1

Description

本発明は、歯科補綴に関し、特に人工歯根に関する。
従来、欠損した歯を補綴する手段としてインプラントと称される人工歯根がある。現在主として用いられる人工歯根のインプラント体(フィクスチュア)は、ネジ釘の形状に類似した単体円柱形状を持ち、軸方向に一定の長さを有している。その長さは10mmを超えるものが大半である。従来の人工歯根を顎骨に埋め込む場合、埋め込み固定した後の咬合時に一定の強度を確保するために、顎骨には充分な骨の厚さ、すなわち骨厚が必要である。下顎骨に関しては、その生体的構造上大多数の患者が必要とされる骨厚を持っており、従来の人工歯根の埋め込み固定に実用上の問題は少ない。
しかしながら、上顎骨に関しては、臼歯部に骨厚が不足している患者がかなりの頻度で見受けられる。そうした患者に人工歯根を埋め込む場合であっても、最低4mm程度の骨厚があれば、通常ソケットリフトと称される骨補填が行なわれる。これは、歯槽頂(人工歯根を埋め込む穴)から上顎洞粘膜(シュナイダー膜)と顎骨の間に骨補填剤の充填を行い骨厚不足を補うもので、施術に伴うリスクも少なく、ごく一般的に行われている。
ところが、人工歯根を埋め込もうとする上顎骨に1mm〜2mmの厚さしか無い場合、ソケットリフトをもってしても初期固定が難しく、強度的観点から見ても、通常10mmを超える人工歯根を顎骨に垂直に埋め込み固定することは困難である。上顎骨に骨厚不足がある場合、サイナスリフトを行うことが多い。サイナスリフトとは、臼歯部の歯肉を捲って顎骨の外側面に窓を開け、上顎洞粘膜(シュナイダー膜)と顎骨の間に比較的大量の骨補填剤の充填を行うことで臼歯部における上顎骨の厚さを全体的に増そうとするものである。これは患者に比較的大きな肉体的精神的負担を求め、術後の痛みや腫れが著しい等という難点があった。しかも補填する骨補填剤によっては、骨吸収が良すぎてその効果が減殺されるという難点もあった。
特關2009−00000号公報
そこで、本発明の課題は、上記従来の問題点を解決し、上顎の骨厚が著しく不足する場合にも埋め込み可能な人工歯根を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明にかかる弾性変形座屈式人工歯根は、
円柱形状で一端に雄ネジ部を有する中実の胴部と、上記胴部より大きな直径を持ち他端の半径方向中央部に、上部構造もしくは上部構造との介在物との連結部を有する頭部とを備えたネジ部材と、
一端の半径方向中央部において内部に上記ネジ部材の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を有する先端部と、他端の半径方向中央部に上記ネジ部材の胴部を軸方向に貫通させ頭部の貫通を阻止する貫通穴を有する鍔部と、中空円筒状で軸方向に沿って複数個の切り込みを有し、少なくとも上記鍔部に近い部分で径方向外側に膨らみを持たせるように湾曲または屈曲した樽状外壁部を備えた弾性変形座屈部材とによって構成される弾性変形座屈式人工歯根である。
また、一実施形態の弾性変形座屈式人工歯根によれば、上記樽状外壁部において、軸方向に複数の切り込みにより形成される細長く分割された複数の短冊状部分を、円周方向に一つまたは数本おきに鍔部から切り離して複数の短冊片を形成し、その複数の短冊片の自由端を上記樽状外壁部の径方向内側に集合させるように、比較的大きな曲率で湾曲または屈曲させたことを特徴とする。
また、一実施形態の弾性変形座屈式人工歯根によれば、上記ネジ部材と弾性変形座屈部材がチタンを基材とする素材で形成されていることを特徴とする。
また、一実施形態の弾性変形座屈式人工歯根によれば、上記弾性変形座屈部材が、チタンを基材とする素材の表面にハイドロキシアパタイト被膜を施して形成されていることを特徴とする。
また、一実施形態の弾性変形座屈式人工歯根によれば、上記樽状外壁部の径方向外側への膨らみが、その軸方向断面において円弧状に形成されていることを特徴とする。
また、一実施形態の弾性変形座屈式人工歯根によれば、上記樽状外壁部の径方向外側への膨らみが、その軸方向断面においてパンタグラフ状に形成されていることを特徴とする。
また、一実施形態の弾性変形座屈式人工歯根によれば、上記複数の短冊片の末端が、その軸方向断面において円弧状に膨らんで形成されていることを特徴とする。
また、一実施形態の弾性変形座屈式人工歯根によれば、上記複数の短冊片の末端が、その軸方向断面においてパンタグラフ状に膨らんで形成されていることを特徴とする。
また、本発明にかかる弾性変形座屈式人工歯根装着固定方法は、本発明にかかる弾性変形座屈部材の上記樽状外壁部の最小径と実質的に等しいかそれより僅かに大きな直径の穴を、埋め込み対象の上顎骨に開け、上顎洞粘膜を持ち上げながら上記穴に骨補填剤を充填する工程と、
上記弾性変形座屈部材を、上記鍔部が埋め込み対象の顎骨の表面に当接するまで上記先端部から上記穴に圧入する工程と、
上記弾性変形座屈部材の上記樽状外壁部の上記複数の短冊片を含むもしくは含まない上記複数の短冊状部分が上顎骨に対して弾性変形して座屈し当接するように、上記ネジ部材を、その雄ネジ部が上記弾性変形座屈部材の先端部内に形成された雌ネジ部に実質的に過不足無く累合するようにねじ込む工程とを有することを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根装着固定方法である。
本発明にかかる弾性変形座屈式人工歯根とその装着固定方法によれば、径方向外側に膨らみを持たせるように湾曲または屈曲した樽状外壁部を備えた弾性変形座屈部材を、従来の人工歯根と同様にソケットリフトに準じる方法によって上顎骨に埋め込むことができるので、装着に特殊な技術を要しない。上記ネジ部材を弾性変形座屈部材にねじ込むことによって、鍔部近傍における、樽状外壁部と鍔部との連結部分として機能する短冊状部分の付け根部分外側が弾性変形し座屈して上顎骨を押圧することになるので、必要な初期固定強度が得られる。また、上記樽状外壁部において、複数の軸方向切り込みによって形成される細長く分割された複数の短冊状部分が交互にまたは数本おきに複数の短冊片に形成されている場合は、上記ネジ部材を弾性変形座屈部材にねじ込むことによって、ネジ部材の先端により複数の短冊片の自由端が径方向外側に押し出されて蛸足のように開き、ねじ込みが進展するにつれて弾性変形し、軸芯からより遠い位置で上顎骨に当接し押圧力を掛ける。また、鍔部近傍における、樽状外壁部と鍔部との連結部分として機能する短冊状部分の付け根部分外側も弾性変形して座屈し、結果的に軸芯を中心とした比較的多数の複数箇所で上顎骨を押圧することになるので、より安定した初期固定強度が得られる。
その後、一定期間を置いて骨補填剤と骨の融合を待てば、咬合時の応力に耐え得る一層強固な最終固定が達成される。即ち、厚さが著しく不足した上顎の臼歯部にも、患者の肉体的精神的負担の大きいサイナスリフトを施すことなく人工歯根を埋め込むことができるので、上顎における臼歯部の骨の薄さ故に人工歯根を埋め込むことが困難であった患者に、新規の救済手段を与えることが可能となる。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の弾性変形座屈式人工歯根の第1実施形態を示す一部断面分解斜視図である。
図1に示すように、本発明の弾性変形座屈式人工歯根は、大略ネジ部材1と、弾性変形座屈部材2とにより構成される。上記ネジ部材1は、一端の半径方向中央部にアバットメント連結部11を有する頭部10と、他端に雄ネジ部13を有する中実の胴部12とを備える。上記弾性変形座屈部材2は、一端の半径方向中央部に上記ネジ部材1の胴部12を軸方向に貫通させ頭部10の貫通を阻止する貫通穴22を有する鍔部21と、他端の半径方向中央部において内部に上記ネジ部材1の雄ネジ部13と螺合する雌ネジ部24を有する先端部23と、中空円筒状で軸方向に沿って複数の切り込みを有し、上記鍔部21に近い部分で外側に膨らみを持たせるように湾曲または屈曲した樽状外壁部25を備える。
上記ネジ部材1は、チタンを基材とした素材で構成されることが好ましく、その頭部10の直径は胴部12の直径より若干大きく、半径方向中央部に上部構造を支持するためのアバットメント連結部11を内側に持つことが特徴である。また、周方向に回転を加える目的のために、上記頭部の形状を対応する回転付与工具と噛み合う形状としてもよい。これらの点は従来技術に関する公知事項なので、本発明では説明を省略する。胴部12の雄ネジ部13の末端は平坦でも、半球形でも尖っていても構わないが、ねじ込みの最終段階で上顎洞粘膜に接触する可能性がある場合は、該膜を傷つけない形状であることが好ましい。
上記弾性変形座屈部材2は、弾性の大きいチタンを基材とした素材で構成されることが好ましく、表面にハイドロキシアパタイト被膜を施してあってもよい。
上記弾性変形座屈部材2は、ネジ部材1の雄ネジ部13と累合するための雌ネジ部24をその半径方向中央部に持つ先端部23を有するが、該先端部23は軸方向において有底であっても貫通していてもよい。有底、すなわち内部に奥壁が形成されている場合は、上記雄ネジの先端形状と嵌め合う形状に加工されていることが好ましい。上記雌ネジ部24の軸方向長さは、ネジ部材1の雄ネジ部13を実質的に包含する長さであることが好ましい。上記先端部23への導入部28は、軸方向においてなだらかに先細り傾斜して、雄ネジ部13にネジ部材1の雄ネジ部13が誘導され累合を促すような形に形成するのが好ましい。
先端部23との繋ぎ目から鍔部21の近傍付近まで中空円筒状の樽状外壁部25において軸方向に複数の切れ目またはスリットを入れ、軸方向において先端部23よりもやや鍔部21に近い部分で径方向外側に若干膨らませ樽状に形成する。上記樽状外壁部25の短冊状部分26は、その肉厚をできる限り薄く形成し、弾性変形をし易くしておくのが好ましい。短冊状部分26は、本来的に初期固定のために必要なものであるから、弾性変形座屈過程で割れたり破壊したりしない程度の弾性と強度を持っていればよい。図1に示す人工歯根は、患者の上顎骨の上面において人工歯根を埋め込む対象とする骨厚不足部分の周囲が狭く、断面形状において比較的深いU字状に凹んでいる場合に好適である。
また、図2は本発明の第2実施形態にかかる弾性変形座屈式人工歯根の一部断面分解斜視図である。図2に示すように、上記樽状外壁部25の短冊状部分26を軸方向断面において予めパンタグラフ状(くの字状)に屈曲させておき、座屈を更に容易とならしめることも可能である。図弾性変形座屈部材2に示す人工歯根は、患者の上顎骨の上面において人工歯根を埋め込む対象とする骨厚不足部分の周囲が狭く、断面形状において比較的平滑な皿状に凹んでいる場合に好適である。
また、図3は本発明の第3実施形態にかかる弾性変形座屈式人工歯根の一部断面分解斜視図である。図3に示すように、複数の短冊状部分26を一つまたは数本おきに鍔部21の近傍において切断することで複数の短冊片27を形成し、その自由端を径方向内側に樽状外壁部25よりも大きい曲率で湾曲または屈曲させ、弾性変形座屈部材2の内部において軸方向中央部に均等に集合させてある。そのように構成することで、上顎骨の上面、すなわち上顎洞膜に面する表面に多少の凹凸があっても、より広範囲に自由度を持って弾性変形することが可能となる。図3に示す人工歯根は、患者の上顎骨の上面において人工歯根を埋め込む対象とする骨厚不足部分の周囲が比較的なだらかなすり鉢状で、半径方向外側に上方に傾斜している場合に好適である。
また、図4は本発明の第4実施形態にかかる弾性変形座屈式人工歯根の一部断面分解斜視図である。図4に示すように、図3の実施例において短冊状部分26と短冊片27を軸方向断面において予めパンタグラフ状(くの字状)に屈曲させた構成である。図4の人工歯根は、患者の上顎骨の上面において人工歯根を埋め込む対象とする骨厚不足部分の周囲が略平坦である場合に好適である。
また、上記複数の短冊状部分26と短冊片27は、いずれかを軸方向断面において円弧状に膨らませ他方をパンタグラフ状に曲げた組み合わせでもよいことは勿論であり、軸方向断面において多角形の複数辺を構成する形状で屈曲させてもよいし、径方向内外にジグザグ状や波形に屈曲させてもよい。肝要なのは、ネジ部材1を雌ネジ部24と実質的に累合させた際に、容易に弾性変形して座屈可能とならしめるように短冊状部分26と短冊片27を加工成形することである。
上記樽状外壁部25に入れる軸方向の切れ目またはスリットの数は、少なくとも3本以上であればよく、最大数は限定しないが、比較的小径の円筒を軸方向に分割することから、短冊状部分26や短冊片27の寸法および強度確保の観点から自ずと制限されるのは言うまでもない。実用上の観点から、4〜16本程度が好ましい。
上記第1〜3実施形態にかかる弾性変形座屈式人工歯根を実際に製造する方法としては、一体成型が最も好ましいが、樽状外壁部25を一体成型するのが困難な場合は、以下のようにするとよい。つまり、短冊片27を有する先端部23と、連結用短冊状部分26を有する鍔部21とを別々に形成し、連結用短冊状部分26の末端を先端部23に溶接する。その際、先端部23に溶接するために、短冊状部分26を溶接しろを持たせるように少々長目に形成しておくことは言うまでもない。
次に、本発明にかかる弾性変形座屈式人工歯根を、骨厚の不足した上顎骨に埋め込み固定する方法を図5〜図9により説明する。ここでは、第1実施形態にかかる弾性変形座屈式人工歯根を埋め込む場合を例として取り上げる。
図5に示すように、先ず本発明の第1実施形態にかかる弾性変形座屈部材2を埋め込む穴31を上顎骨30に開ける。上記穴31の内径は、弾性変形座屈部材2の実質的な直径であるところの、鍔部21と樽状外壁部25の継ぎ目の直径と実質的に等しいか、またはそれより僅かに大きい直径とする。上記穴が開けば、その上部にある上顎洞粘膜(シュレーダー膜)32をソケットリフトに準じる方法によって持ち上げ、該膜と上顎骨の間の空間の周辺部に従来から知られる骨補填剤33を必要量充填する。該骨補填剤は顆粒状でも粉末状でもかまわないが、ジェル状であればより好ましい。
次に、図6に示すように、本発明の弾性変形座屈部材2を、その先端から開けた上顎骨の穴に挿入し始める。その際、樽状外壁部25の膨らみによって上顎骨30との間に少々の抵抗が生じるが、樽状外壁部25には弾性があるため、強く押し込むことによって撓んで直径を狭め、図7に示すように所謂スナップ嵌め方式で穴の内部に挿入可能である。その際、抵抗が強く挿入が比較的困難であれば、専用に用意した棒状用具、すなわちその直径が貫通穴22より細く先端部が雌ネジ部24の入口の導入部28等に当接する形状を持つ棒状用具で穴の奥方向に突くことで、樽状外壁部25の膨らみ度合いが減らされて直線状に近づくので、挿入が比較的容易となる。
弾性変形座屈部材2の鍔部21が骨に当接したことを確認後、ネジ部材1を弾性変形座屈部材2の貫通穴22に挿入する。その際、ネジ部材1の進入を妨げない条件であれば、ジェル状等の骨補填剤33を弾性変形座屈部材2の空洞に追加補充的に充填してもよい。ネジ部材1をねじ込み始めると、ネジ部材1の雄ネジ部13の先端が導入部28に導かれて雌ネジ部24と累合するようになるので、そのままねじ込み続ければ、鍔部21と先端部23を連結している複数の短冊状部分26が弾性により徐々に撓んで、図8に示すように蛸足状に弾性変形する。
その後更にネジ部材1の挿入を続けると、図9に示すように、ネジ部材1の雄ネジ部13の先端が弾性変形座屈部材2の雌ネジ部24の奥壁に当接することになり、その際ネジ部材1の頭部10は鍔部21に近い部分で弾性変形座屈部材2の鍔部21に当接するので先端部23を顎骨に引きつける。すると樽状外壁部25の短冊状部分26は半径方向に大きく張り出した状態で弾性変形して座屈し、上顎骨に当接し押圧力を掛ける。
最終的に、短冊状部分26の鍔部21に近い部分の外側が、半径方向の複数箇所において弾性変形座屈部材2を顎骨に押圧し固定する。この時、実質的に軸対称となって座屈している複数の短冊状部分26は、上顎骨に対して弾性変形座屈部材2が顎骨に対して略垂直となる様に押圧力を加えるので、本発明の弾性変形座屈式人工歯根は安定した初期固定を達成することができる。
以降、適度な期間、即ち数ヶ月程度の期間を置いて、充填した骨補填剤が充分に固まり上顎骨と一体化したことを確認した後、従来技術によりアバットメント等を介して上部構造と連結すれば、歯の補綴が完了する。
なお、レントゲン撮影等による確認により樽状外壁部25とネジ部材1の間の隙間への骨補填剤の侵入が不足していると判断される場合は、以下の手法を用いることも可能である。すなわち、適度な期間を置いた後は、骨補填剤が既に充分に固まり骨化して弾性変形座屈式人工歯根が上顎骨と既に一体化しているので、ネジ部材1のねじ込みを解き戻して一旦外し、ジェル状等の骨補填剤等を樽状外壁部25内部に追加充填してから再度ネジ部材1をねじ込むことによって、上記隙間を埋めることも可能である。
以上、本発明の弾性変形座屈式人工歯根とその装着固定方法を用いれば、より患者に負担の少ないソケットリフトに準じる方法で、骨厚の不足する上顎骨にも人工歯根を埋め込むことが可能となる。これは従来下顎よりも埋め込みが難しかった上顎用の人工歯根の適用範囲を大きく広げるものである。
上述の通り、本発明は好ましい実施形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明であろう。
本発明の第1実施形態にかかる弾性変形座屈式人工歯根の一部断面分解組立図である。 本発明の第2実施形態にかかる弾性変形座屈部材の概略外観図である。 本発明の第3実施形態にかかる弾性変形座屈部材の概略外観図である。 本発明の第4実施形態にかかる弾性変形座屈部材の概略外観図である。 本発明の弾性変形座屈式人工歯根を上顎骨に埋め込む穴開けと骨補填剤の充填を含む準備工程を説明する断面概略図である。 図1に示す弾性変形座屈部材を、図5に示す上顎骨に開けた穴に挿入する工程の初期段階を説明する一部断面概略図である。 図1に示す弾性変形座屈部材を、図5に示す上顎骨に開けた穴に挿入し終え、図1に示すネジ部材を受け入れる段階を説明する一部断面概略図である。 図1に示すネジ部材を、図7で挿入した弾性変形座屈部材にねじ込む工程の中途段階を説明する一部断面概略図である。 図1に示すネジ部材を、図7で挿入した弾性変形座屈部材にねじ込む工程の最終段階を説明する一部断面概略図である。
1…ネジ部材
2…弾性変形座屈部材
10…頭部
11…雌ネジ
12…胴部
13…雄ネジ部
21…鍔部
22…貫通穴
23…先端部
24…雌ネジ部
25…樽状外壁部
26…短冊状部分
28…導入部
30…上顎骨
31…穴
32…上顎洞粘膜
33…骨補填剤

Claims (9)

  1. 円柱形状で一端に雄ネジ部を有する中実の胴部と、上記胴部より大きな直径を持ち他端の半径方向中央部に、上部構造もしくは上部構造との介在物との連結部を有する頭部とを備えたネジ部材と、
    一端の半径方向中央部において内部に上記ネジ部材の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を有する先端部と、他端の半径方向中央部に上記ネジ部材の胴部を軸方向に貫通させ頭部の貫通を阻止する貫通穴を有する鍔部と、中空円筒状で軸方向に沿って複数個の切り込みを有し、少なくとも上記鍔部に近い部分で径方向外側に膨らみを持たせるように湾曲または屈曲した樽状外壁部を備えた弾性変形座屈部材とによって構成される弾性変形座屈式人工歯根。
  2. 請求項1に記載の弾性変形座屈式人工歯根において、
    上記樽状外壁部において、軸方向に複数の切り込みにより形成される細長く分割された複数の短冊状部分を、円周方向に交互にまたは数本おきに鍔部から切り離して複数の短冊片を形成し、その短冊片の自由端を上記樽状外壁部の径方向内側に集合させるように、比較的大きな曲率で湾曲または屈曲させたことを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根。
  3. 請求項1または2に記載の弾性変形座屈式人工歯根において、
    上記ネジ部材と弾性変形座屈部材がチタンを基材とする素材で形成されていることを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根。
  4. 請求項1または2に記載の弾性変形座屈式人工歯根において、
    上記弾性変形座屈部材が、チタンを基材とする素材の表面にハイドロキシアパタイト被膜を施して形成されていることを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根。
  5. 請求項1または2に記載の弾性変形座屈式人工歯根において、
    上記樽状外壁部の径方向外側への膨らみが、その軸方向断面において円弧状に形成されていることを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根。
  6. 請求項1または2に記載の弾性変形座屈式人工歯根において、
    上記樽状外壁部の径方向外側への膨らみが、その軸方向断面においてパンタグラフ状に形成されていることを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根。
  7. 請求項2に記載の弾性変形座屈式人工歯根において、
    上記複数の短冊片の末端が、その軸方向断面において円弧状に膨らんで形成されていることを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根。
  8. 請求項2に記載の弾性変形座屈式人工歯根において、
    上記複数の短冊片の末端が、その軸方向断面においてパンタグラフ状に膨らんで形成されていることを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の弾性変形座屈部材の上記樽状外壁部の最小径と実質的に等しいかそれより僅かに大きな直径の穴を、埋め込み対象の上顎骨に開け、上顎洞粘膜を持ち上げながら上記穴に骨補填剤を充填する工程と、
    上記弾性変形座屈部材を、上記鍔部が埋め込み対象の顎骨の表面に当接するまで上記先端部から上記穴に圧入する工程と、
    上記弾性変形座屈部材の上記樽状外壁部の上記複数の短冊片を含むもしくは含まない上記複数の短冊状部分が上顎骨に対して弾性変形して座屈し当接するように、上記ネジ部材を、その雄ネジ部が上記弾性変形座屈部材の先端部内に形成された雌ネジ部に実質的に過不足無く累合するようにねじ込む工程とを有することを特徴とする弾性変形座屈式人工歯根装着固定方法。
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