JP2013215104A - アデノウイルスベクターをがん細胞に対して選択的に導入可能なポリペプチドおよび当該ポリペプチドを備えるアデノウイルスベクター - Google Patents

アデノウイルスベクターをがん細胞に対して選択的に導入可能なポリペプチドおよび当該ポリペプチドを備えるアデノウイルスベクター Download PDF

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【課題】アデノウイルスベクターをがん細胞に対して選択的に導入可能なポリペプチドおよび当該ポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを提供する。
【解決手段】(1)がん細胞膜透過性ペプチド(CPP)に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、及び、(2)コクサッキーウイルス・アデノウイルスレセプター(CAR)の細胞外ドメイン又はその類縁体の一部又は全部に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分を含む、がん細胞に対して選択的に導入可能なポリペプチドおよび当該ポリペプチドを備えるアデノウイルスベクター。
【選択図】なし

Description

本発明は、アデノウイルスベクターをがん細胞に対して選択的に導入可能なポリペプチドおよび当該ポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターに関する。
革新的ながん治療薬の開発の1つとして、組み換えアデノウイルスベクター技術の利用が進められてきた。この技術は、アデノウイルスベクターを介して、対象とするがん細胞へ抗腫瘍遺伝子を「抗がん薬」として投与する遺伝子治療法である。そして、現行のアデノウイルスベクターを利用した遺伝子治療技術においては、非増殖型アデノウイルスベクター、または、がんのみで特異的に増殖する制限増殖型アデノウイルスベクターが用いられてきた。しかしながら、そのいずれのアデノウイルスベクターを用いた場合であっても、がんの治療効果自体は十分なものではなかった。非増殖型アデノウイルスベクターの場合には、がん以外の正常組織でも発現するリスクを有する。一方、がん特異的に増殖する制限増殖型アデノウイルスベクターの場合には、腫瘍指向性に増幅されると考えられてきたが、最近の研究から正常幹細胞や生殖細胞でも遺伝子発現することが明らかとなっており副作用を発現するリスクを有する。このように、がんに対する特異性(安全性)についても、一長一短がある。結果として、アデノウイルスベクターは、抗がん薬の導入ベクターとして、いまだその潜在能力を引き出すに至っていない。従来法における問題点の主な原因として、治療用ウイルスのがん細胞への導入が、ウイルス本来の感染機構に頼っている点があげられる。即ち、ウイルス本体の感染機構に基づく受容体を介した感染性導入では、制がんに十分な遺伝子効果が得られないと考えられる。
アデノウイルスの感染は、ウイルス表面にあるファイバー先端部(knob)が宿主細胞上に発現する受容体(coxsackievirus−adenovirus receptor(CAR))に結合することにより始まる。CARに結合したウイルスは、その後ファイバー根元のpenton baseにおけるRGDモチーフを利用し、宿主細胞上の第2の受容体αβインテグリンと結合し、細胞内への侵入を開始する。このようにアデノウイルスベクターの導入は標的細胞上の受容体CARの発現に依存するため、CARの発現レベルが低い細胞(内皮細胞、肺上皮細胞、平滑筋細胞、神経細胞、血球系の細胞、一部の腫瘍細胞)への遺伝子導入効率は極めて低い。さらに、アデノウイルスベクターの利用は、CARを発現する正常細胞(非標的細胞)に対する遺伝子導入が非選択的に行われてしまう問題点を有する。
この問題に対処するため、CARやαβインテグリンに依存しないアデノウイルスベクター導入法の研究・開発が行われてきた。(1)ファイバーやpenton baseの改変によるCAR/αβインテグリン非結合型アデノウイルスベクターの開発や、(2)アデノウイルス−CAR結合阻害抗体と標的細胞特異的に発現する受容体に対する抗体とを融合したバイファンクショナル抗体を、アデノウイルスベクターと組み合わせたものの開発、(3)CARの細胞外ドメインと標的細胞特異的受容体に結合する分子(抗受容体抗体や受容体のリガンド分子)とを融合したアダプタータンパクを、アデノウイルスベクターへ組み合わせたものの開発、などが挙げられる。
これまでにアダプタータンパクとして、CAR細胞外領域と、epidermal growth factor(EGF)(非特許文献1)、vascular endotherial growth factor(VEGF)(特許文献1)、stem cell factor(SCF)(特許文献2)、1本鎖抗CD34抗体(特許文献2)との融合タンパク質が開発されている。そして、これらのアダプタータンパクとアデノウイルスベクターとを組み合わせることにより、標的細胞へのアデノウイルスベクター導入の促進が報告されている。
しかしながら、上記改良法においても、標的細胞に対するアデノウイルスベクターの導入効率は、標的細胞上の受容体の発現量に依存する。そのため、がん種や悪性度により標的細胞上の受容体の発現量が変動してしまう場合には、アデノウイルスベクターの導入効率は制限されてしまう。したがって、上記改良法によっても、すべてのがん細胞の完全な死滅を目的とした場合には、効果が十分であるとは言い難い。さらに、CARやEGF受容体は、腫瘍組織に特異的に発現しているわけではなく、正常細胞の細胞表面にも存在する。よって、標的とするがん細胞のみならず、正常細胞へのアデノウイルスベクターの導入も生じていた。
このように、従来の組み換えアデノウイルスベクター技術を利用した遺伝子治療法は、アデノウイルスベクターの導入による遺伝子導入が標的細胞上の受容体の発現量に影響され、また、がん細胞選択的にアデノウイルスベクターを導入できないという問題を有していた。
国際公開公報第2011/154308号 特開2003−192700
R. Alemany and D T Curiel, J.Viol.2000, 74, 6875−6884
本発明は、組み換えアデノウイルスベクター技術を利用した遺伝子治療法において、アデノウイルスベクターの導入による遺伝子導入を、がん細胞に対して選択的に行うことを可能とするポリペプチドを提供することを課題とする。
本発明者らは従来法の発想を転換することで、上記課題に大きなブレークスルーをもたらした。すなわち、本発明者らは、アデノウイルスベクターをがん細胞に選択的に導入させるためのポリペプチドであって、がん細胞に対して選択的に細胞膜透過性を有するペプチド部分とアデノウイルスレセプター細胞外ドメインを有するポリペプチドを開発した。
すなわち、本発明のポリペプチド(exCAR−CPP)は、がん細胞膜透過性ペプチド(tumor−homing ell enetrating eptide;tumor−homing CPP)とCARの細胞外ドメイン(extracellular domain of CAR;exCAR)を融合した組み換えタンパク質である。このように、本発明のポリペプチドは、アデノウイルスレセプターの細胞外ドメインを有している。そのため、本発明のポリペプチドとヒト遺伝子などの発現カセットを組み込んだアデノウイルスベクターとを一定量比で混和することで、ポリペプチドとアデノウイルスベクターとを結合させることができる。そして、本発明のポリペプチドは、がん細胞に対して選択的に細胞膜透過性を有するペプチド部分を有している。これにより、本発明のポリペプチドと結合したアデノウイルスベクターは、対象とするがん細胞に対して選択的に導入させることができる。
さらに、がん細胞膜透過性ペプチドは、ヒト悪性腫瘍系統別に対応させることが可能である。例えば、がん細胞膜透過性ペプチドには、大腸がんのがん細胞に選択的なCPP2、固形がん全般のがん細胞に選択的なCPP10、肝がんのがん細胞や白血病に関連するがん細胞に対して選択的なCPP44などが存在する。したがって、目的に応じたがん細胞膜透過性ペプチドを選択することにより、がん細胞に高い選択性を有するポリペプチドおよび当該ポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを構築することができる。
すなわち、本発明は、
(1)がん細胞膜透過性ペプチド(CPP)に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、及び、
(2)コクサッキーウイルス・アデノウイルスレセプター(CAR)の細胞外ドメイン又はその類縁体の一部又は全部に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分
を含む
ことを特徴とするポリペプチドに関する。
ここで、本発明のポリペプチドの一実施の形態においては、
前記「CPPに相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分」が、
(a)5〜20個の連続したポリアルギニン配列と、1または複数のインテグリン結合モチーフ(RGD)の配列とを有するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、
(b)1〜6で表わされるアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、又は、
(c)配列番号1〜6で表わされるアミノ酸配列からなる群より選択されるいずれか一つのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ、がん細胞に対する選択的な細胞膜透過性を有するポリペプチド部分
であることを特徴とする。
また、本発明のポリペプチドの一実施の形態においては、前記「CARの細胞外ドメイン又はその類縁体の一部又は全部に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分」が、
(i)配列番号7〜11で表わされるアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、又は、
(ii)配列番号7〜11で表わされるアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アデノウイルスに対する親和性を有するポリペプチド部分、
であることを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、前記ポリペプチドを含む組成物に関する。
また、本発明の別の態様によれば、前記ポリペプチドを備える、がん細胞に選択的に導入可能なアデノウイルスベクターに関する。
なお、本発明のアデノウイルスベクターの一実施の形態においては、前記ポリペプチドが、前記アデノウイルスベクターのファイバータンパクと結合していることを特徴とする。
また、本発明のアデノウイルスベクターの一実施の形態においては、前記がん細胞が、胃がん細胞、乳がん細胞、大腸がん細胞、肺がん細胞、肝がん細胞、腎がん細胞、前立腺がん細胞、骨肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞、コーイング肉腫細胞、脳腫瘍細胞、中皮腫細胞、血液腫瘍細胞、および、リンパ腫細胞からなる群より選択されるがん細胞であることを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、がん細胞に選択的に導入可能なアデノウイルスベクターの製造方法であって、前記ポリペプチドとアデノウイルスベクターとを溶媒中で混和する工程を含むアデノウイルスベクターの製造方法に関する。
なお、本発明の別の態様によれば、前記アデノウイルスベクターを含む組成物に関する。
また、本発明の別の態様によれば、前記アデノウイルスベクターを含む、がん疾患を治療するための医薬組成物であって、前記アデノウイルスベクターが、抗がん遺伝子の発現カセットを有することを特徴とする医薬組成物に関する。
なお、本発明の医薬組成物の一実施の形態においては、前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、前記医薬組成物の治療的有効量を、対象に投与することを特徴とするがん疾患の治療方法に関する。
なお、本発明の治療方法の一実施の形態においては、前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、前記アデノウイルスベクターを含むがん疾患の診断薬に関する。
なお、本発明の診断薬の一実施の形態においては、前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、前記診断薬を、対象に投与することを特徴とするがん細胞の検出方法に関する。
なお、本発明の検出方法の一実施の形態においては、前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする。
上述のように、本発明のポリペプチドは、がん細胞膜透過性ペプチドとCAR細胞外ドメインとを融合させたアデノウイルスベクターデリバリー用のポリペプチドである。したがって、がん細胞における受容体の発現量に依存することなく、本発明のポリペプチドを結合させたアデノウイルスベクターを対象とするがん細胞に対して選択的に導入させることができる。これは、従来技術においてアデノウイルスベクターを導入させることができなかった、ウイルスレセプター発現の無い細胞に対しても、高効率で抗腫瘍遺伝子を導入することを可能とする。
また、上述のように、本発明のポリペプチド内のがん細胞透過性ペプチド部分は、対象とするがん細胞ごとに選択的に変更することも可能である。よって、目的とするがん細胞の種類ごとによっても、選択的にアデノウイルスベクターを導入させることができる。
これにより、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターは、従来のアデノウイルスベクター導入法、例えば、既存のアダプター分子(CAR−EGF)を用いた導入法による場合に比較して、数十倍〜数百倍に達する高い目的遺伝子発現効果を有するアデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入システムを提供することができる。
また、従来の組み換えアデノウイルスベクター技術を利用した遺伝子治療法においては、ファイバーと呼ばれるウイルス表面成分(ウイルス表面の突起部分)の抗原性もアデノウイルスベクターを利用した遺伝子治療の実効性を阻む大きな障害となっていた。すなわち、ウイルスベクターのファイバータンパクの抗原性が、ウイルスベクターを投与した対象内での中和抗体産生を惹起し、ウイルスベクターの不活化を招いてしまっていた(平成22年度国立医薬品食品衛生研究所報告書、日本薬理学雑誌137、70−74頁、2011)。しかし、本発明のポリペプチドは、アデノウイルスベクター粒子表面上のファイバーに結合し、被包する。これにより、ファイバーの抗原性によるウイルス投与対象内での中和抗体産生の惹起を低減させることができる。
なお、アデノウイルスは、細胞表面上のCARに結合することにより、細胞へ感染することが知られている。よって、本発明のポリペプチドによるファイバー先端の被包は、アデノウイルスベクターのCARを介した感染能力を消失させる。しかしながら、その代わりに、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターは、対象とするがん細胞内へ、がん細胞膜透過性ペプチドの持つ細胞高親和性浸透能に依存して導入することが可能である。
また、従来の組み換えアデノウイルスベクター技術を利用した遺伝子治療法においては、アデノウイルスベクター導入に起因する生殖毒性や肝障害などの組織毒性が生じる事についても問題点として指摘されている。
これに対して、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターは、高い導入効率と高い選択性によりウイルス投与量の減量が可能となる。これにより、上記に挙げるような組織毒性を最小限に抑えた、生体低侵襲性の遺伝子導入を可能とすることができる。
図1は、本発明の一実施の形態であるポリペプチドの概略図を示す。 図2は、本発明の一実施の形態である、動物細胞により発現されるポリペプチド(exCAR−CPP)のイメージ図を示す。 図3は、本発明の一実施の形態であるポリペプチドとアデノウイルスベクターとを結合させることにより、本発明のポリペプチドを備えたアデノウイルスベクターの概略図を示す。 図4は、本発明の一実施の形態である、CAR細胞外ドメインとCPP配列(11R)とを融合させたペプチドのアミノ酸配列を示す。太字はシグナル配列を示し、アンダーラインはCAR細胞外ドメインを示し、太字及び斜体はアルギニン11回繰り返し配列(11R)からなるCPP配列を示し、太字及び波線はmyc−tagを示し、太字及び太いアンダーラインは、6His−tagを示す。 図5は、本発明の一実施の形態である、CAR細胞外ドメインとCPP配列(7RGD−7R)とを融合させたペプチドのアミノ酸配列を示す。太字はシグナル配列を示し、アンダーラインはCAR細胞外ドメインを示し、枠による囲みは、インテグリン結合配列を示し、太字及び斜体はアルギニン7回繰り返し配列(7R)からなるCPP配列を示し、太字及び波線はHA−tagを示し、太字及び太いアンダーラインは、6His−tagを示す。 図6は、本発明の一実施の形態である、CAR細胞外ドメインとCPP配列(CPP2)とを融合させたペプチドのアミノ酸配列を示す。太字はシグナル配列を示し、アンダーラインはCAR細胞外ドメインを示し、太字及び斜体は大腸がん選択的CPP配列(CPP2)を示し、太字及び波線はmyc−tagを示し、太字及び太いアンダーラインは、6His−tagを示す。 図7は、本発明の一実施の形態である、CAR細胞外ドメインとCPP配列(CPP10)とを融合させたペプチドのアミノ酸配列を示す。太字はシグナル配列を示し、アンダーラインはCAR細胞外ドメインを示し、太字及び斜体は固形がん選択的CPP(CPP10)を示し、太字及び波線はmyc−tagを示し、太字及び太いアンダーラインは、6His−tagを示す。 図8は、本発明の一実施の形態である、CAR細胞外ドメインとCPP配列(CPP44)とを融合させたペプチドのアミノ酸配列を示す。太字はシグナル配列を示し、アンダーラインはCAR細胞外ドメインを示し、太字及び斜体は白血病/肝臓がん選択的CPP配列(CPP44)を示し、太字及び波線はmyc−tagを示し、太字及び太いアンダーラインは、6His−tagを示す。 図9は、本発明の一実施の形態である、CAR細胞外ドメインとCPP配列(11R)とを融合させたペプチド(exCAR−11R)をコードするcDNAを製造するための、CPP配列(11R)を含むcDNA配列を示す。枠による囲みは、N末端側よりそれぞれ、BamHI、HindIII、および、Xbalの制限酵素部位を示し、下線は、11Rを示す。 図10は、本発明の一実施の形態である、CAR細胞外ドメインとCPP配列(7RGD−7R)とを融合させたペプチド(exCAR−7RGD−7R)をコードするcDNAを製造するための、CPP配列(7RGD−7R)を含むcDNA配列を示す。枠による囲みは、5‘末端側よりそれぞれ、Xhol、および、Xbalの制限酵素部位を示し、下線は、7RGD−7Rを示す。 図11は、Lenti−XTM 293T cell lineより発現・回収した本発明の一実施の形態であるポリペプチドの精製度を、SDS-PAGEを用いて確認した際のCBB染色像を示す。 図12は、様々な細胞におけるCARの発現量をウェスタンブロッティングにより測定した際の画像データを示す。 図13は、胃がん細胞株MKN28、乳癌細胞株MCF−7、および、高悪性度脳腫瘍細胞株T98に対して、本発明の一実施の形態であるexCAR−11RまたはexCAR−7RGD−7Rを備えたGFPアデノウイルスベクターを導入させた際の、GFP蛍光を蛍光顕微鏡下で観察した際の画像データを示す。 図14は、胃がん細胞株MKN28、乳癌細胞株MCF−7、および、高悪性度脳腫瘍細胞株T98に対して、本発明の一実施の形態であるexCAR−11RまたはexCAR−7RGD−7Rを備えたGFPアデノウイルスベクターを導入させた際の、GFP蛍光強度を示すグラフを示す。 図15Aは、アデノウイルス低感受性ヒト胃癌腹腔播種モデルに対してexCAR−7RGD−7Rを備えたGFPアデノウイルスベクターを導入し、アデノウイルスベクター投与後24時間目に摘出した臓器の写真図を示す。図15Bは、図15Aに示す臓器におけるGFPの蛍光を蛍光顕微鏡下で観察した際の画像データを示す。 図16は、アデノウイルス低感受性ヒト胃癌腹腔播種モデルに対して、exCAR−CPP10を備えたGFPアデノウイルスベクターを導入し、アデノウイルスベクター投与後48時間目に摘出した臓器の写真図および蛍光顕微鏡下の画像データを示す。 図17は、アデノウイルス低感受性ヒト胃癌腹腔播種モデルに対して、exCAR−7RGD−7Rを備えたGFPアデノウイルスベクターを導入し、導入後に摘出した各臓器および腫瘍組織におけるGFPタンパク発現を、ウサギ抗GFP抗体を用いたウエスタンブロット法により測定した結果を示す図である。 図18は、アデノウイルス低感受性ヒト胃癌腹腔播種モデルに対して、exCAR−CPP10を備えたGFPアデノウイルスベクターを導入し、導入後に摘出した各臓器および腫瘍組織におけるGFPタンパク発現を、ウサギ抗GFP抗体を用いたウエスタンブロット法により測定した結果を示す図である。 図19は、胃がん細胞株MKN28細胞に対して、アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクター(A)、既存技術であるexCAR−EGFを備えるアデノウイルスベクター(B)、または本発明の一実施の形態であるexCAR−7RGD−7Rを備えるアデノウイルスベクター(C)を導入し、導入後48時間後のGFPの蛍光を蛍光顕微鏡により観察した画像データを示す。 図20は、胃がん細胞株MKN28細胞に対して、アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクター(A)、既存技術であるexCAR−EGFを備えるアデノウイルスベクター(B)、または本発明の一実施の形態であるexCAR−7RGD−7Rを備えるアデノウイルスベクター(C)を導入し、導入後48時間後のGFPの平均蛍光強度をフローサイトメトリーにより解析した結果を示すグラフである。 図21は、ヒト正常線維芽細胞NHDFに対して、アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクター(A)、既存技術であるexCAR−EGFを備えるアデノウイルスベクター(B)、または本発明の一実施の形態であるexCAR−7RGD−7Rを備えるアデノウイルスベクター(C)を導入し、導入後48時間後のGFPの蛍光を蛍光顕微鏡により観察した画像データを示す。
本明細書において、がん細胞膜透過性ペプチド(CPP)とは、がん細胞に対して選択的な膜透過性の機能を有するペプチドである。ここで、がん細胞に対する選択的な膜透過性とは、特定の種類(例えば、病理学的組織型分類)のがん細胞に対する選択的な膜透過性を意味する。目的とする特定の種類のがん細胞に対する膜透過性が、特定のがん細胞以外のがん細胞および正常細胞に対する膜透過性に比べて高いことが好ましい。ここで、目的とする特定の種類のがん細胞とは、一種類のがん細胞であってもよいし、二種類以上のがん細胞であってもよい。
本発明に使用し得るがん細胞膜透過性ペプチドとしては、(i)上記機能を有するペプチドであり、かつ、(ii)CAR細胞外ドメインとともにアダプターペプチドを構成し、アデノウイルスベクターと結合した際に、当該アデノウイルスベクターをがん細胞選択的に導入可能なペプチドであれば特に限定されない。このようながん細胞膜透過性ペプチドとしては、例えば、正常細胞に比して悪性腫瘍細胞に対してより指向性が高い、5個〜20個のアルギニンが連続したポリアルギニン配列とインテグリン結合モチーフ(RGD)を数回繰り返した配列とを組み合わせたアミノ酸配列からなるペプチド、大腸がんに対して選択的であるCPP2(配列番号1)、固形がんに対して選択的であるCPP10(配列番号2)、白血病/肝臓がんに対して選択的であるCPP44(配列番号3)、乳がんに対して選択的であるCPP(配列番号4)、肺がんに対して選択的であるCPP(配列番号5)、骨肉腫に対して選択的であるCPP(配列番号6)を挙げることができる。なお、インテグリン結合モチーフ(RGD)を数回繰り返した配列とは、当該配列中に、1または複数のインテグリン結合モチーフを有する配列であり、例えば、1〜20のインテグリン結合モチーフを含むことができる。また、当該配列中のインテグリン結合モチーフは、それぞれが連続して配置されてもよいし、非連続的に配置されていてもよい。
また、本発明に使用し得るがん細胞膜透過性ペプチドとしては、がん細胞膜透過性ペプチドを構成するアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、がん細胞に対する選択的な細胞膜透過性を有するペプチドも含まれる。また、本発明に使用し得るがん細胞膜透過性ペプチドとしては、がん細胞膜透過性ペプチド(CPP)の類縁体も含まれる。がん細胞膜透過性ペプチドの類縁体とは、がん細胞膜透過性ペプチドを構成するアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または、99%の相同性を有する変異体、がん細胞膜透過性ペプチドのアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が保存的に置換されたペプチド、がん細胞膜透過性ペプチドの活性を有する伸長されたがん細胞膜透過性ペプチドを含む。また、本発明に使用し得るがん細胞膜透過性ペプチドの類縁体としては、がん細胞に対する選択的な細胞膜透過性を有しているものが好適に使用される。
なお、ペプチドのがん細胞膜透過性は、例えば、当該ペプチドに適当な標識物質(例えば蛍光物質)でラベルし、特定のがん細胞を共培養することで、がん細胞内へ透過したペプチドの蛍光を検出することにより確認することができる。
本明細書において、コクサッキーウイルス・アデノウイルイスレセプター(CAR)とは、アデノウイルスのカプシド外表に存在するファイバーと相互作用する細胞表面レセプターをいう。本明細書において、CAR細胞外ドメイン(exCAR)とは、この細胞表面に存在するCAR受容体のうち細胞外に存在する領域であって、アデノウイルスに対する受容体活性を有する領域をいう。なお、ヒトにおけるCAR細胞外ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列で示すことができる。また、ヒト、マウス、ラット、ブタ、イヌ由来のCARのアミノ酸配列は、よく保存されていることが知られている。よって、本発明に使用し得るCAR細胞外ドメインとしては、ヒトに限らず、マウス、ラット、ブタ、イヌ、チンパンジー、ウシ等の哺乳動物由来のCAR細胞外ドメインを好適に使用することができる。特に好ましくは、ヒト由来またはマウス由来のCAR細胞外ドメインである。なお、例えば、マウスのCAR細胞外ドメインは配列番号8のアミノ酸配列を有しており、ラットのCAR細胞外ドメインは配列番号9のアミノ酸配列を有しており、チンパンジーのCAR細胞外ドメインは配列番号10のアミノ酸配列を有しており、ウシのCAR細胞外ドメインは配列番号11のアミノ酸配列を有している。
また、本発明に使用し得るCAR細胞外ドメインとしては、CAR細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アデノウイルスに対する親和性を有するペプチドも含まれる。また、本発明に使用し得るCAR細胞外ドメインとしては、CAR細胞外ドメインの類縁体も含まれる。CAR細胞外ドメインの類縁体とは、CAR細胞外ドメインを構成するアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または、99%の相同性を有する変異体、CAR細胞外ドメインのアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が保存的に置換されたペプチド、CAR細胞外ドメインの活性を有する伸長されたCAR細胞外ドメインを含む。また、本発明に使用し得るCAR細胞外ドメインの類縁体として、アデノウイルスのファイバーに対する親和性を有するものを好適に使用し得る。
本発明のポリペプチド(exCAR−CPP)は、CAR細胞外ドメイン(exCAR)と、がん細胞膜透過性ペプチド(CPP)との融合により構築されるタンパクである。なお、図1に、本発明のポリペプチドの概要図を示す。本発明のポリペプチド内におけるCAR細胞外ドメインとがん細胞膜透過性ペプチドとの位置関係は、CAR細胞外ドメインがN末端側にあっても、がん細胞膜透過性ペプチドがN末端側にあってもよい。ただし、がん細胞膜透過性ペプチドがN末端側にある場合CARのシグナルペプチド配列と細胞外ドメイン配列の間に位置するものとする。好ましくは、CAR細胞外ドメインがN末端側に存在し、がん細胞膜透過性ペプチドがC末端側に存在する。
本発明のポリペプチドは、CAR細胞外ドメインとがん細胞膜透過性ペプチドの他に、タグを含むことができる。本発明に使用し得るタグは、CAR細胞外ドメインとがん細胞膜透過性ペプチドの機能を害さない限り、精製用のタグ等、ペプチド合成において当業者に周知のタグを使用することができる。このようなタグとしては、例えば、6個〜12個からなるHisタグや、Mycタグ、FLAG、GST等を挙げることができる。本発明のポリペプチド内におけるタグの位置は、CAR細胞外ドメインとがん細胞膜透過性ペプチドの機能を害さない限り限定されない。好ましくは、タグは、CAR細胞外ドメインおよびがん細胞膜透過性ペプチドよりもポリペプチドのC末端側に存在する。
また、本発明のポリペプチドは、そのアミノ酸配列内にリンカー配列を含むことができる。リンカー配列としては、CAR細胞外ドメインとがん細胞膜透過性ペプチドの機能を害さず、ポリペプチドの産生・分泌に影響を与えない配列であれば限定されない。アミノ酸の種類、長さも特に制限されないが、好ましくは2から20残基であって、既知のペプチドモチーフを含まない配列が好ましい。
また、本発明のポリペプチドは、そのアミノ酸配列内にスペーサー配列を含んでいてもよい。本発明のポリペプチド内に使用し得るスペーサー配列としては、例えば、GnSnAnPnQnGn(PEG)n(n=0〜30;PEG=polyethylene glycol)のような配列を挙げることができる。なお、前記のスペーサー配列内において、(PEG)nは、アミノ酸配列(GnSnAnPnQnGn)のC末端側とすることもできるし、N末端側とすることもできる。
本発明のポリペプチドは、遺伝子組換えポリペプチドとして、動物細胞での発現のほか、大腸菌を代表とする細菌類、酵母、昆虫細胞で発現させたものを使用することができる。また無細胞タンパク合成系や蚕体内、動物の乳汁中での生産も可能である。
なお、図2に、本発明に係るポリペプチドの一態様である、動物細胞により発現されたポリペプチド(exCAR−CPP)のイメージ図を示す。このポリペプチドは、分泌型タンパク誘導用のシグナル配列をN末端に有している。
動物細胞により発現・分泌されたポリペプチドは、タグにより精製・回収することができる。また、回収後のポリペプチドは、SDS−PAGE等の手段により目的タンパクとして得られていることを同定することができる。
なお、上記のようなポリペプチド中のシグナル配列は、動物細胞内に存在するシグナルぺプチダーゼにより除去された形で分泌される。
本発明のポリペプチドの一実施の形態としては、例えば下記のようなポリペプチドを挙げることができる。
配列番号12、14、16、18、または、20のアミノ酸配列で示されるヒトCAR+CPPs(なお、配列番号13、15、17、19、および、21は、前述のヒトCAR+CPPsに対応するcDNA配列を示す)、配列番号22、24、26、28、または、30のアミノ酸配列で示されるマウスCAR+CPPs(なお、配列番号23、25、27、29、および、31は、前述のマウスCAR+CPPsに対応するcDNA配列を示す)、配列番号32、34、36、38、または、40のアミノ酸配列で示されるラットCAR+CPPs(なお、配列番号33、35、37、39、および、41は、前述のラットCAR+CPPsに対応するcDNA配列を示す)、配列番号42、44、46、48、または、50のアミノ酸配列で示されるチンパンジーCAR+CPPs(なお、配列番号43、45、47、49、および、51は、前述のチンパンジーCAR+CPPsに対応するcDNA配列を示す)、配列番号52、54、56、58、または、60のアミノ酸配列で示されるウシCAR+CPPs(なお、配列番号53、55、57、59、および、61は、前述のウシCAR+CPPsに対応するcDNA配列を示す)。
なお、上記のポリペプチドは、シグナル配列をN末端側に有した状態のものを示す。また、上記のポリペプチドは、精製用のタグをC末端側に有している。なお、上記のポリペプチドは、本発明の一実施の形態についての例示に過ぎず、これ以外のCAR細胞外ドメインとCPP配列との組み合わせを排除するものではない。
本発明のポリペプチドは、アデノウイルスベクターと結合することにより、アデノウイルスベクターをがん細胞選択的に導入させることができる。本発明のポリペプチドは、CAR細胞外ドメインの部分が、アデノウイルスベクターのカプチド外表に存在するファイバーと結合することにより連結される。そして、ポリペプチドと結合したアデノウイルスベクターは、ポリペプチド内のがん細胞膜透過性ペプチドの選択的な細胞膜の透過機能により、がん細胞に対して選択的に導入させることが可能となる。図3として、本発明のポリペプチドとアデノウイルスベクターとを結合させたイメージ図を示す。
ここで、がん細胞に対して選択的に導入できるとは、正常細胞に対する導入と比較して、がん細胞に対して選択的に導入できることをいう。なお、がん細胞に対して選択的に導入できるとは、さらに、異なるがん細胞の種間によっても特定のがん細胞に対して選択的に導入できることも含まれる。
本発明のポリペプチドとアデノウイルスベクターの結合は、PBS、HEPESバッファー、生理食塩水等の溶媒(pH7.0〜7.8)中において、ポリペプチドと、アデノウイルスベクターとを混和させることで結合させることができる。反応条件は、例えば、室温で10分〜60分とすることができる。
遺伝子治療に使用されるアデノウイルスベクターは、抗がん遺伝子をがん細胞中において発現するための発現カセットを有する。本発明に使用し得るアデノウイルスベクターとしては、ポリペプチドとの結合によりがん細胞に対して選択的に導入できるアデノウイルスベクターであって、導入後に抗がん遺伝子を発現可能なアデノウイルスベクターであれば制限されない。アデノウイルスベクターにより導入する抗がん遺伝子は、遺伝子治療分野において使用される抗がん遺伝子であれば特に制限されない。
本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを、特定のがん細胞に対して選択的に導入できるという場合、アデノウイルスベクターの細胞に対する導入頻度によって評価することができる。なお、本明細書において導入頻度とは、アデノウイルスベクターを投与した全細胞数に対する、アデノウイルスベクターにより遺伝子が導入された細胞の割合とする。アデノウイルスベクターの導入頻度は、例えば、蛍光タンパクであるGFP遺伝子の発現カセットを有するアデノウイルスベクターを細胞へ導入させ、導入後に、GFPの蛍光を有する細胞をカウントすることで、アデノウイルスベクターの導入効率を測定することができる。本発明のアデノウイルスベクターの目標とする特定のがん細胞に対する導入頻度は、従来のアダプタータンパクを有していないアデノウイルスベクターの導入頻度に対して2倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、または、50倍以上の導入頻度を有し、好ましくは、10倍以上の導入頻度を有する。
また、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを、特定のがん細胞に対して導入させた場合、その導入頻度は、好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または、99%以上である。より好ましくは、90%以上の導入頻度を有しており、さらに好ましくは95%以上の導入頻度を有しており、最も好ましくは99%以上の導入頻度を有する。
また、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを、特定のがん細胞に対して選択的に導入できるという場合、蛍光イメージングによる解析における単一細胞あたりの蛍光強度によっても評価することができる。ここで、蛍光イメージングによる解析とは、例えばGFP発現カセットを有するアデノウイルスを細胞に導入し、導入した細胞のGFP蛍光強度をフローサイトメトリーにより解析することで測定できる。また、単一細胞あたりの蛍光強度とは、アデノウイルスベクターを導入した単一の細胞内における蛍光強度をいう。このような評価に基づいた場合、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを導入した特定のがん細胞の蛍光強度は、正常細胞における蛍光強度に対して少なくとも10倍以上となり、好ましくは、20倍以上、50倍以上、100倍以上となる。
また、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを、特定のがん細胞に対して選択的に導入できるという場合、アデノウイルスベクターを導入した単一細胞あたりの導入遺伝子の発現量によっても評価することができる。本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターが、優れた導入遺伝子の遺伝子発現を可能とするという場合、例えば、導入した細胞内において優れた導入遺伝子の遺伝子発現量を示すことをいう。なお、導入遺伝子の遺伝子発現量は、当業者に周知の方法により測定することができる。
本発明のアデノウイルスベクターを導入した単一細胞あたりの遺伝子発現量は、従来のアダプタータンパクを有していないアデノウイルスベクターを導入した単一細胞あたりの遺伝子発現量に対して10倍以上、100倍以上、または、1000倍以上の遺伝子発現量を有し、好ましくは100倍以上の遺伝子発現量を有する。
また、本発明のアデノウイルスベクターを用いた場合の導入遺伝子の遺伝子発現量は、従来の細胞表面受容体を標的としたアデノウイルスベクターによる遺伝子導入システムによる遺伝子発現量に対して、2倍以上、5倍以上、または、10倍以上の遺伝子発現量を有する。また、本発明のアデノウイルスベクターを用いた場合の導入遺伝子の遺伝子発現量は、ポリペプチドを有さないアデノウイルスベクター単独の投与による遺伝子導入システムに対して、4倍以上、10倍以上、または、20倍以上の遺伝子発現量を有し、好ましくは、10倍以上の遺伝子発現量を有する。
また、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターが、従来法と比較して優れた導入遺伝子の遺伝子発現効率を有するという場合、例えば、下記式で示すような遺伝子導入効率の増幅率としても示すことができる。
(本発明のアデノウイルスベクターの導入によるGFP遺伝子導入頻度/従来のアデノウイルスベクターの導入によるGFP遺伝子導入頻度)×(本発明のアデノウイルスベクターの導入による各がん細胞株の個細胞あたりのGFP蛍光強度/従来のアデノウイルスベクターの導入による個細胞あたりの蛍光強度)=従来法に対する増幅効率
本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを用いた際の、従来の細胞表面受容体を標的としたアデノウイルスベクターによる遺伝子導入システムに対する遺伝子発現効率の増幅率は、10倍以上、100倍以上、または、1000倍以上であり、好ましくは、100倍以上である。また、本発明のポリペプチドを備えるアデノウイルスベクターを用いた際の、アダプタータンパクを有さないアデノウイルスベクター単独の投与に対する遺伝子発現効率の増幅率は、2倍以上、10倍以上、20倍以上、または、50倍以上であり、好ましくは、10倍以上である。
本発明の一態様によれば、本発明のポリペプチドを備えたアデノウイルスベクターを有効成分として含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、がんの治療に大変有効である。上述の通り、本発明のポリペプチドを備えたアデノウイルスベクターは特定のがん細胞に対して選択的に導入させることができるため、本発明の医薬組成物は、特定のがん細胞に対して選択的な治療効果を有する。また、従来のアデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入技術に比べて、正常細胞への悪影響を抑えることができる。
例えば、本発明のアデノウイルスベクターにより選択的に治療可能ながん疾患(悪性腫瘍)としては、例えば、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん等の癌腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫等の肉腫、脳腫瘍、中皮腫、骨髄性白血病、リンパ腫等の血液腫瘍等の悪性腫瘍すべてが含まれる。なお、本明細書において、固形がんとは、胃がん、子宮頸がん、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、腎がん、肝がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、グリオーマをいう。また、白血病とは、例えば、急性骨髄性白血病等を挙げることができる。白血病に関連するがん細胞とは、白血病に関連してがん化している造血細胞等をいう。
また、本発明のアデノウイルスベクターを有効成分として含有する医薬組成物の投与対象は、任意の生物個体を意味し、好ましくは動物、さらに好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体である。
本発明のアデノウイルスベクターを有効成分として含有する医薬組成物は、さらに他の有効成分を含有することもできるし、他の有効成分を含有する医薬組成物と組み合わせて用いることもできる。また、当業者に周知のアデノウイルスベクターと併用して投与される中和抗体とともに組み合わせて用いることもできる。
本発明に係る医薬組成物の投与方法としては特に制限はなく、対象の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与される。対象に対して直接投与するのであれば、例えば、注射剤として、静脈内、筋肉内、臓器内、皮内、皮下、動脈内、静脈内、腹腔内または、直接腫瘍組織内に投与することができる。または、間接的に投与する方法としては、治療対象より採血、骨髄穿刺、生検等により採取した器官や組織の細胞を利用する方法も挙げることができる。対象より摘出した細胞を培養し、当該細胞に対して体外で本発明のアデノウイルスベクターを作用させ、遺伝子導入後の細胞を治療対象へ投与することもできる。
上記医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、がんのサイズ、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、1×10個のがん細胞に相当するがん組織に対して本発明のアデノウイルスベクターが1×10〜1×1010個、好ましくは1×10〜1×1010個となる投与量とすることができる。
上記医薬組成物の投与回数は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、3回/1日、2回/1日、1回/1日、さらにはその血中安定性に応じて、より頻度の少ない投与回数(例えば、1回/週、1回/月など)も選択しうる。好ましくは、上記医薬組成物の投与回数は、1回以下/1日である。
また、本発明の別の態様によれば、がんの診断薬を提供することができる。
本発明のポリペプチドを備えたアデノウイルスベクターを有効成分として含有するがんの診断薬は、がん細胞を選択的に検出することを可能とする。がんの診断薬に使用されるアデノウイルスベクターは、がん細胞検出用の発現カセットを有する。がん細胞検出用の発現カセットは、対象となる細胞内での遺伝子発現により当該細胞を検出可能な当業者に周知の導入遺伝子であれば限定されない。がん細胞検出用の遺伝子としては、例えば、GFP遺伝子、DsRED、RFP等の発現カセットを挙げることができる。これにより、アデノウイルスベクターが選択的に導入されたがん細胞内で検出用の導入遺伝子が発現し、がん細胞を選択的に検出することが可能となる。
がんの診断薬の投与量等の方法については、投与対象に応じて当業者が適宜設定することができる。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
本発明の実施態様は模式図を参照しつつ説明される場合があるが、模式図である場合、説明を明確にするために、誇張されて表現されている場合がある。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
(実施例1:exCAR−CPPsの合成)
I.exCAR−CPPs cDNAの合成
N末端側よりCAR細胞外ドメイン(exCAR)と、がん細胞膜透過性ペプチド(CPP)と、タンパク質精製のための配列(HA−6His tagあるいはMyc−6His tag)とを有するアダプターペプチドのcDNA配列を合成した。
なお、がん細胞膜透過性ペプチドとして、ポリアルギニン(11R)、ポリアルギニン(7R)とインテグリン結合モチーフ(RGD)7回繰り返し配列の下流に7残基のアルギニンとを組み合わせた7RGD−7R、大腸がん細胞膜選択的細胞透過性ペプチドCPP2、固形癌細胞膜選択的細胞透過性ペプチドCPP10、あるいは白血病/肝臓がん細胞膜選択的細胞透過性ペプチドCPP44を用いた。各がん細胞膜透過性ペプチドを有するポリペプチド(exCAR−CPPs)を、それぞれ、exCAR−11R(図4、配列番号12)、exCAR−7RGD−7R(図5、配列番号14)、exCAR−CPP2(図6、配列番号16)、exCAR−CPP10(図7、配列番号18)、exCAR−CPP44(図8、配列番号20)と表記する。また、これらのポリペプチドをコードするcDNA配列は、配列番号13、15、17、19、21に相当する。
まず、ヒトexCAR−11RのcDNAを以下のようにして作製した。
ヒトexCAR−11Rに用いるCAR細胞外ドメインをコードするcDNAは、ヒト表皮角化細胞のcDNAをテンプレートとしてPCR反応により獲得した。PCR反応に用いたプライマーペアは以下の通りである。
<exCAR−11R用exCAR増幅プライマー>
・フォワードプライマー(配列番号62)
5’−CCGGAATTCCGGACCATGGCGCTCCTGCTGTGCTTCGTGC −3’
・リバースプライマー(配列番号63)
3’−CGCGGATCCGCGACCCGGGCCTTTATTTGAAGGAGGGACAACGTTT−5’
次に、CPP配列を含むcDNA(11R用人工合成cDNA)(図9、配列番号64)を人工的に合成した。そして、PCRにより得られたCAR細胞外ドメインのcDNAを、CPP配列を含むcDNA(11R用人工合成cDNA)と同一の制限酵素部位(BamHI)を利用して結合させることで、ヒトexCAR−11RのcDNA配列(配列番号13)を構築した。
また、ヒトexCAR−7RGD−7RのcDNA配列は以下のようにして作製した。
ヒトexCAR−7RGD−7Rに用いるCAR細胞外ドメインをコードするcDNAは、ヒト表皮角化細胞のcDNAをテンプレートとしてPCR反応により獲得した。PCR反応に用いたプライマーペアは以下の通りである。
<exCAR−7RGD−7R用exCAR増幅プライマー>
・フォワードプライマー
5’−CGCGGATCCGCGACCATGGCGCTCCTGCTGTGCTTCGTGC (配列番号65)−3’
・リバースプライマー
3’−CCGCTCGAGCGGTTTATTTGAAGGAGGGACAACGTTT (配列番号66)−5’
次に、CPP配列を含むcDNA(7RGD−7R用人工合成cDNA)(図10、配列番号67)を人工的に合成した。そして、PCRにより得られたexCAR cDNAを、CPP配列を含むcDNA(7RGD−7R用人工合成cDNA)と同一の制限酵素部位(XhoI)を利用して結合させることで、ヒトexCAR−7RGD−7RのcDNA配列(配列番号15)を構築した。
また、ヒトexCAR−CPP2のcDNAは、ヒトexCAR−11RのcDNAを基に作製した。すなわち、ヒトexCAR−11RのcDNAが挿入されたベクターから11R配列を制限酵素BamHI/XhoI消化することにより切り出し、代わりにCPP2に対応するオリゴDNA(配列番号68)を挿入することにより取得した。なお、CPP2に対応するオリゴDNAは、フォワード鎖オリゴDNA100 μM(Nuclease free waterに溶解)とリバース鎖オリゴDNA100 μM(Nuclease free waterに溶解)を等量混合し(最終濃度50 μM)、両オリゴDNAのアニーリング(95℃ 30sec、72℃ 2min、37℃ 2min、25℃ 2min)を行うことにより調製した。オリゴDNAペアは以下の通りである。
<CPP2用オリゴDNA>
・フォワード鎖オリゴDNA
5’−GATCCGCGGATTCTCTGAAATCATACTGGTATCTGCAAAAGTTCTCGTGGAGACCGC −3’(配列番号69)
・リバース鎖オリゴDNA
3’−TCGAGCGGTCTCCACGAGAACTTTTGCAGATACCAGTATGATTTCAGAGAATCCGCG −5’ (配列番号70)
また、ヒトexCAR−CPP10のcDNAも、ヒトexCAR−11RのcDNAが挿入されたベクターから作製した。すなわち、ヒトexCAR−11RのcDNAが挿入されたベクターから、11R配列を制限酵素BamHI/XhoI消化することにより切り出し、代わりにCPP10に対応するオリゴDNA(配列番号71を挿入することにより取得した。なお、CPP10に対応するオリゴDNAはフォワード鎖オリゴDNA100 μM(Nuclease free waterに溶解)とリバースプライマー100 μM(Nuclease free waterに溶解)を等量混合し(最終濃度50 μM)、両プライマーのアニーリング(95℃ 30sec、72℃ 2min、37℃ 2min、25℃ 2min)を行うことにより調製した。オリゴDNAペアは以下の通りである。
<CPP10用オリゴDNA>
・フォワード鎖オリゴDNA
5’−GATCCGCGAGACTGTGGATGAGGTGGTACTCCCCATGGACACGTCGATGGGGACCGC −3’ (配列番号72)
・リバース鎖オリゴDNA
3’−TCGAGCGGTCCCCATCGACGTGTCCATGGGGAGTACCACCTCATCCACAGTCTCGCG −5’ (配列番号73)
また、ヒトexCAR−CPP44のcDNAも、ヒトexCAR−11RのcDNAが挿入されたベクターから作製した。すなわち、ヒトexCAR−11RのcDNAが挿入されたベクターから11R配列を制限酵素BamHI/XhoI消化することにより切り出し、代わりにCPP44に対応するオリゴDNA(配列番号74)を挿入することにより取得した。なお、CPP44に対応するオリゴDNAはフォワード鎖オリゴDNA100μM(Nuclease free waterに溶解)とリバース鎖オリゴDNA100μM(Nuclease free waterに溶解)を等量混合し(最終濃度50μM)、両プライマーのアニーリング(95℃ 30sec、72℃ 2min、37℃ 2min、25℃ 2min)を行うことにより調製した。オリゴDNAペアは以下の通りである。
<CPP44用オリゴDNA>
・フォワード鎖オリゴDNA
5’−GATCCGCGAAACGTCCAACAATGCGATTCAGATATACATGGAACCCAATGAAGCCGC −3’ (配列番号75)
・リバース鎖オリゴDNA
3’−TCGAGCGGCTTCATTGGGTTCCATGTATATCTGAATCGCATTGTTGGACGTTTCGCG −5’ (配列番号76)
II.exCAR−CPPs発現コンストラクト
CMVイントロンプロモーター(CMVi)を導入したPDNR1rベクター(プロモーターレスドナーベクター;Clontech社)を構築した。CMViの下流に、上記で合成した5つのヒトexCAR−CPPのcDNA配列を挿入した。なお、exCAR−11RのcDNA配列(配列番号13)をそれぞれ挿入したベクターを、pCMVi−exCAR−11Rとする。その他、exCAR−7RGD−7R、exCAR−CPP2、exCAR−CPP10、または、exCAR−CPP44をコードするcDNA(配列番号15、17、19、および、21)を挿入したベクターを、pCMVi−exCAR−7RGD−7R、pCMVi−exCAR−CPP2、pCMVi−exCAR−CPP10、pCMVi−exCAR−CPP44とする。
また、対照として、CPP細胞外ドメインの代わりに、EGFをexCARと融合したexCAR−EGFを使用した。そのため、このexCAR−EGF(配列番号77)をコードするcDNA(配列番号78)を構築し、exCAR−EGFを発現させるためのpCMVi−exCAR−EGFを構築した。なお、各挿入cDNAの塩基配列は、DNAシークエンサーを用いて確認した。
III.exCAR−CPPsの精製
pCMVi−exCAR−11R、pCMVi−exCAR−7RGD−7R、pCMVi−exCAR−CPP2、pCMVi−exCAR−CPP10、または、pCMVi−exCAR−EGFを、FuGENE−HD(Promega社)トランスフェクション試薬を用いてLenti−XTM 293T cell line(Clontech社 cat no.632180)に導入した。遺伝子を導入後、細胞を10%FBS含有DMEM/F12培地にて24時間培養した。その後、細胞を培養する培地を無血清培地DMEM/F12(フェノールレッドを含まない)に置換し、3日後に全培養上清を回収した。培養上清中の目的の組み換えタンパク質は、それぞれHis tagged Protein PURIFICATION KIT(MBL社)を用い、製品添付のプロトコルに従って回収、精製した。
IV.精製したexCAR−CPPsのSDS−PAGE解析
上記操作により精製されたexCAR−11R、exCAR−7RGD−7R、exCAR−CPP2、exCAR−CPP10、exCAR−EGFの精製度を確認した。具体的には、還元条件下でSDS−PAGE(ゲル濃度10%)を行い、泳動後のゲルをCBB染色した。その結果を図11に示す。図11に示す通り、精製タンパク質はいずれも単一バンドとして確認された。
(実施例2:exCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターの構築)
GFP発現組換えアデノウイルスベクター(Ad−GFP:Type5 Ad−CMV−GFP、VECTOR BIOLABS社)の2x10PFUと実施例1にて合成したexCAR−11R、exCAR−7RGD−7R、または、exCAR−CPP10の0.1ugをPBS100ul内で混合した。混合液を室温で15分放置することで、結合反応を終了させた。これにより、PBS溶液内に、アデノウイルスベクターとexCAR−CPPsとの複合体(exCAR−CPPs/Ad−GFP)を得た。
(実施例3:CAR低発現の細胞に対するexCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターのin vitroにおける導入効率について)
本発明のexCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターが、CAR低発現の細胞に対しても高い効率で導入できるかどうかを確かめた。CAR低発現細胞として、3種類の悪性腫瘍(胃がん細胞株MKN28、乳癌細胞株MCF−7、および、高悪性度脳腫瘍細胞株T98)を比較検定のモデルとして用いた。そして、これらの細胞にexCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターを導入させた。これらの悪性腫瘍を構成する細胞は、図12に示すように、アデノウイルスレセプター(CAR)の発現が低い(アデノウイルス低感受性腫瘍細胞)。よって、従来のアデノウイルスベクターの導入方法では、これらの悪性腫瘍に対するがん治療用アデノウイルスベクターの導入は困難であった。
実施例1により作成したexCAR−11RあるいはexCAR−7RGD−7Rの1ngとGFPアデノウイルスベクター(4×10PFU)を15分間PBS溶液内で混和した。混和後、exCAR−CPPを備えるGFPアデノウイルスベクター(exCAR−11R/Ad−GFPまたはexCAR−7RGD−7R/Ad−GFP)(用量1M.O.I)を、上記の各アデノルイス低感受性腫瘍細胞(4×10個)に感作させた。また、対照として、アダプタータンパクを有さないアデノウイルスベクターを単独で投与した。ウイルス感作より24時間後、デリバリーされた目的遺伝子(緑色蛍光タンパク質:GFP)の各細胞内における発現を蛍光顕微鏡により観察し、フローサイトメトリー(Flow cytometry)を用いて解析した(図13)。その結果、exCAR−11RまたはexCAR−7RGD−7Rを有するアデノウイルスベクターを感作させた場合では、ほぼ全腫瘍細胞(Flow cytometryによる解析では99%以上の腫瘍細胞)でGFPの均一な蛍光を観察できた(図13)。すなわち、導入遺伝子の導入頻度が99%以上であった。さらに、exCAR−11Rを備えるアデノウイルスベクターは、アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクターと比較して、蛍光を有する細胞における蛍光強度が約4〜11倍の増強効果を示した。また、exCAR−7RGD−7Rを備えるアデノウイルスベクターは、アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクターと比較して、約7〜18倍の発現増強効果を示した(図14)。
また、exCAR−11Rを備えたアデノウイルスベクター(exCAR−11R/Ad−GFP)の導入による遺伝子導入効率についての増幅率は、アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクターの導入と比較した場合に、下記のような値を示した。
胃がん細胞株MKN28:(99.9/4)×(169.42/41.0)=103倍
乳がん細胞株MCF−7:(99.9/3)×(874.82/79.31)=367倍
高悪性度嚢腫瘍細胞株T98:(99.9/37)×(1134.75/243.76)=13倍
なお、上記の増幅率の計算は、下記のようにして行った。
(exCAR−11Rを備えたアデノウイルスベクター導入によるGFP遺伝子導入頻度/アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクター導入によるGFP遺伝子導入頻度)×(exCAR−11Rを備えたアデノウイルスベクター導入による各がん細胞株の個細胞あたりの蛍光強度/アダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクター導入による個細胞あたりの蛍光強度)=従来法に対する増幅率
同様に、exCAR−7RGD−7Rを備えたアデノウイルスベクター(exCAR−7RGD−7R/Ad−GFP)の遺伝子導入効率についての増幅率は、従来のアダプタータンパクを備えていないアデノウイルスベクターの導入法と比較した場合に、下記のような値を示した。
胃がん細胞株MKN28:(99.9/4)×(296.59/41.0)=181倍
乳がん細胞株MCF−7:(99.9/3)×(1393.08/79.31)=585倍
高悪性度嚢腫瘍細胞株T98:(99.9/37)×(1867.64/243.76)=21倍
(実施例4:マウス癌性腹膜炎モデルにおけるexCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターのがん細胞に対する選択的な導入について)
マウス癌性腹膜炎モデルにおいて、exCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターが、実際にがん細胞に対して選択的に導入されるのか、検証した。
NOD−SCIDマウスに対して胃がん細胞株MKN28(1x10個)を腹腔内に移植し、アデノウイルス低感受性であるヒト胃癌腹腔播種モデルマウスを作成した。胃がん細胞播種後30日目に、exCAR−7RGD−7Rを備えるGFPアデノウイルスベクター(1×10 virion)をヒト胃癌腹腔播種モデルマウスの腹腔内へ注射した。なお、exCAR−7RGD−7Rを備えるGFPアデノウイルスベクターは、実施例1と同様に、exCAR−7RGD−7R(3ug)とGFPアデノウイルスベクター(Ad−GFP)(1×10 PFUとを15分間PBS溶液内で混和することにより作製した。また、対照として、アダプターペプチドを備えていないGFPアデノウイルスベクター(1×10 virion)をヒト胃癌腹腔播種モデルマウスの腹腔内へ注射した。腹腔内投与から24時間後に開腹し、各臓器を摘出した。摘出した各臓器におけるGFP遺伝子の発現を蛍光実体顕微鏡下で観察し、写真撮影を行った。また、各臓器におけるGFP遺伝子発現について、アダプタータンパクを有さないGFPアデノウイルスベクターを投与した場合と比較した。
その結果、アダプタータンパクを備えていないGFPウイルスの導入では、がんの転移巣におけるGFPの緑色蛍光は検出されなかった(図15Bの左図)。しかしながら、exCAR−CPPを備えたGFPアデノウイルスベクター(exCAR−7RGF−7R/Ad−GFP)を投与したモデルマウス個体では、網羅的かつ明瞭に多発性転位がん病巣が緑色蛍光を発しているのが認められた(図15Bの右図)。なお、図15中の矢印は、胃周囲におけるがん組織の多発転位巣を示す。また、背景の正常組織(脾臓・大網・胃)においては、緑色蛍光は観察されなかった。このように、exCAR−CPPを備えたGFPアデノウイルスベクターを投与したモデルマウス個体では、がん細胞において有意な蛍光の分布が限局的に観察された。すなわち、exCAR−CPPを備えたGFPアデノウイルスベクターが、がん細胞に対して選択的に導入され、導入遺伝子を発現できたことが示された。
(実施例5:ヒト胃癌腹腔播種モデルマウスにおける生体内におけるexCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターの胃がん細胞の選択的な導入について)
がん細胞膜透過性ペプチドとして、胃がん細胞に選択的に高効率で透過性を示すCPP10を用いてexCAR−CPP10を作成した。exCAR−CPP10を備えるGFPアデノウイルスベクター(exCAR−CPP10/Ad−GFP)の作製は、実施例1に記載の方法と同様にして行った。また、投与対象として、実施例4と同様にして作成したヒト胃癌腹腔播種モデルマウスを用いた。モデルマウスの腹腔内に、exCAR−CPP10を備えるGFPアデノウイルスベクターを含むPBS溶液を、投与した。投与後48時間目にモデルマウスを解剖した。モデルマウスより腫瘍組織及び各臓器を摘出し、腫瘍組織及び各臓器におけるGFPの発現の有無について、蛍光実体顕微鏡を用いて観察し写真撮影を行った。その結果、モデルマウス体内で発育したヒト胃がん腫瘍組織に対してのみ、GFP蛍光の集積が認められた(図16)。一方で、モデルマウス体内の正常臓器においては、腫瘍組織と比較してGFPの蛍光が極端に低かった(図16)。
(実施例6:腫瘍組織および腫瘍外正常組織における導入目的遺伝子の発現の定量的比較)
本発明のexCAR−CPPを備えるアデノウイルスベクターによる導入遺伝子の標的組織選択的な発現効率をウイエスタンブロット法により解析した。解析に用いる試料として、実施例4および実施例5におけるヒト胃癌腹腔播種モデルマウスより採取した各臓器および腫瘍組織を用いた。発現解析は、摘出した臓器および腫瘍組織をRIPA bufferで溶解し、ウサギ抗GFP抗体でイムノブロットを実施することで、各組織におけるGFPタンパク発現量を検出した。なお、ブロットしたタンパク量の基準として抗アクチン抗体を使用した結果を対照とした。
その結果、図17および図18に示すように、exCAR−7RGD−7RおよびexCAR−CPP10のいずれのポリペプチドを用いた場合もGFPタンパク発現は腫瘍に強く認められた。一方で、他の正常臓器(心、肺、肝、腎、胃、小腸、卵巣)での発現量は有意に低かった。
(実施例7:ヒト胃がん細胞株MKN28に対するアデノウイルスベクター導入におけるexCAR−CPP10の導入効率の比較)
exCARを用いた既存のアデノウイルスベクターデリバリー技術のアダプタータンパクとして使用されるexCAR−EGFと、本発明に係るポリペプチドの一態様であるexCAR−7RGD−7Rとのアデノウイルスベクター導入効率に関する性能比較を行った。なお、EGF受容体は、がん細胞において発現上昇することが知られている。そして、exCAR−EGFは、増加したEGF受容体へ結合することによりアデノウイルスベクターをがん細胞へデリバリーさせる既存技術のアダプタータンパクである。既存のアデノウイルスベクターデリバリー技術にならい、exCAR−EGFとAd−GFP(4x10PFU)とを混和させることにより、exCAR−EGFを備えたアデノウイルスベクター(exCAR−EGF/Ad−GFP)を作製した。また、本発明に係るポリペプチドの一態様であるexCAR−7RGD−7RとAd−GFP(4x10PFU)とを混和させることにより、exCAR−7RGD−7Rを備えたアデノウイルスベクター(exCAR−7RGD−7R/Ad−GFP)を作製した。アデノウイルス低感受性の胃がん細胞株MKN28細胞(2x10個)に対して、exCAR−EGF/Ad−GFPまたはexCAR−7RGD−7R/Ad−GFPを添加し、48時間培養を継続した。48時間後にlive cell用蛍光顕微鏡でGFPの発現を観察し、導入遺伝子の導入頻度を比較した(図19A、B、C)。さらに導入細胞についてフローサイトメトリー解析を行い、細胞1個あたりのGFPの平均蛍光強度を算出することで、タンパク発現量についても比較を行った(図20)。
GFPが検出された胃がん細胞の数を算出したところ、exCAR−7RGD−7Rを備えたウイルスを反応させた場合(図19C)では、exCAR−EGFとウイルスを同条件下で反応させた場合(図19B)と比べて導入頻度が約5倍多かった。次に、ウイルス導入のない細胞の蛍光強度を1.0として単一細胞における蛍光強度(遺伝子発現量)を比較したところ、ウイルスのみ導入した細胞では蛍光強度は2.1倍であった。また、exCAR−EGF/Ad−GFPを導入した場合では2.59倍であり、exCAR−7RGD−7R/Ad−GFPを導入した場合は6.6倍となった。exCAR−EGF/Ad−GFPとexCAR−7RGD−7R/Ad−GFPとを比較した場合、単一細胞当たりでexCAR−7RGD−7R/Ad−GFPはexCAR−EGF/Ad−GFPの約2.5倍の遺伝子発現量の増強が見られた。
遺伝子導入効率の増幅率を、実施例3に記載の計算式と同様にして評価した場合、exCAR−7RGD−7R/Ad−GFPは、exCAR−EGF/Ad−GFPの約5×2.5=12.5倍の効率向上が認められた。このように、exCAR−CPPを備えたアデノウイルスベクターは、先行技術よりも高い目的とする効果を達成できることが明らかとなった。
(実施例8:ヒト高増殖性繊維芽細胞に対するアデノウイルスベクターデリバリーにおけるアダプタータンパクによる導入効率の比較)
basicFGF+EGF添加培地で増殖刺激をしたヒト正常線維芽細胞NHDFに対してアデノウイルスベクターを導入させた際の、アダプタータンパク(exCAR−EGFまたはexCAR−7RGD−7R)の違いによる導入頻度の比較をした。実験手法および解析方法は、実施例7と同様の方法により行った。
アダプタータンパクを備えていないGFPアデノウイルスベクター(図21A)および既存のアダプタータンパクを備えたexCAR−EGF/Ad−GFP(図21B)に比較して、exCAR−7RGD−R/Ad−GFP(図21C)は、GFP遺伝子導入頻度(GFP陽性細胞数)および個細胞あたりの目的遺伝子発現量(GFP蛍光強度)が顕著に増強されていた。exCAR−7RGD−7Rを用いたウイルスデリバリーシステムは、高増殖活性を示す線維芽細胞の増殖制御を目的とする場合、従来法に大きく優る有用性が示唆された。

Claims (17)

  1. (1)がん細胞膜透過性ペプチド(CPP)に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、及び、
    (2)コクサッキーウイルス・アデノウイルスレセプター(CAR)の細胞外ドメイン又はその類縁体の一部又は全部に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分
    を含む
    ことを特徴とするポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドであって、
    前記「CPPに相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分」が、
    (a)5〜20個の連続したポリアルギニン配列と、1または複数のインテグリン結合モチーフ(RGD)の配列とを有するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、
    (b)配列番号1〜6で表わされるアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、又は、
    (c)配列番号1〜6で表わされるアミノ酸配列からなる群より選択されるいずれか一つのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ、がん細胞に対する選択的な細胞膜透過性を有するポリペプチド部分
    であることを特徴とするポリペプチド。
  3. 請求項1または2に記載のポリペプチドであって、
    前記「CARの細胞外ドメイン又はその類縁体の一部又は全部に相当するアミノ酸配列を有するポリペプチド部分」が、
    (i)配列番号7〜11で表わされるアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列を有するポリペプチド部分、又は、
    (ii)配列番号7〜11で表わされるアミノ酸配列からなる群から選択されるいずれか一つのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アデノウイルスに対する親和性を有するポリペプチド部分、
    であることを特徴とするポリペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドを含むことを特徴とする組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドを備える
    がん細胞に選択的に導入可能なアデノウイルスベクター。
  6. 請求項5に記載のアデノウイルスベクターであって、
    前記ポリペプチドが、前記アデノウイルスベクターのファイバータンパクと結合していることを特徴とするアデノウイルスベクター。
  7. 請求項5または6に記載のアデノウイルスベクターであって、前記がん細胞が、胃がん細胞、乳がん細胞、大腸がん細胞、肺がん細胞、肝がん細胞、腎がん細胞、前立腺がん細胞、骨肉腫細胞、横紋筋肉腫細胞、コーイング肉腫細胞、脳腫瘍細胞、中皮腫細胞、血液腫瘍細胞、および、リンパ腫細胞からなる群より選択されるがん細胞であることを特徴とするがん細胞であるアデノウイルスベクター。
  8. がん細胞に選択的に導入可能なアデノウイルスベクターの製造方法であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドとアデノウイルスベクターとを溶媒中で混和する工程を含む、
    アデノウイルスベクターの製造方法。
  9. 請求項5〜7のいずれか一項に記載のアデノウイルスベクターを含む組成物。
  10. がん疾患を治療するための医薬組成物であって、
    前記医薬組成物は、請求項5〜7のいずれか一項に記載のアデノウイルスベクターを含み、
    前記アデノウイルスベクターが、抗がん遺伝子の発現カセットを有することを特徴とする医薬組成物。
  11. 請求項10に記載の医薬組成物であって、
    前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする医薬組成物。
  12. 請求項10または11に記載の医薬組成物の治療的有効量を、対象に投与することを特徴とするがん疾患の治療方法。
  13. 請求項12に記載のがん疾患の治療方法であって、
    前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする治療方法。
  14. 請求項5〜7のいずれか一項に記載のアデノウイルスベクターを含むがん疾患の診断薬。
  15. 請求項14に記載の診断薬であって、
    前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする診断薬。
  16. 請求項14または15に記載の診断薬を、対象に投与することを特徴とするがん細胞の検出方法。
  17. 請求項16に記載の検出方法であって、
    前記がん疾患が、胃がん、乳がん、大腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、前立腺がん、骨肉腫、横紋筋肉腫、コーイング肉腫、脳腫瘍、中皮腫、血液腫瘍、および、リンパ腫からなる群より選択されるがんであることを特徴とする検出方法。


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