JP2013214718A - 酸窒化物系蛍光体およびこれを用いた発光装置 - Google Patents

酸窒化物系蛍光体およびこれを用いた発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】演色性の高い白色光を発することができる発光装置を提供する。
【解決手段】第1の発光体(励起光源)と、第1の発光体からの光を可視光に変換して、可視光を発し得る第2の発光体とを有する発光装置であって、第2の発光体が第1の蛍光体として下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有する蛍光体を必須とし、下記式[1]におけるA元素全体に対するCaの割合が、0.001モル%以上80モル%以下である発光装置。下記式[1]:(A1−x,Eu[1]。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸窒化物系蛍光体およびこれを用いた発光装置等に関する。
蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、冷極線管(CRT)、発光装置(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要がある。蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有する励起源により励起されて、可視光を発する。
近年、高い演色性と色再現性を備えた白色光を放出する発光装置が求められており、その実現を目指し従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に加えて、窒化物や酸窒化物蛍光体についても探索されている。
例えば、注目を浴びている酸窒化物の一つとして、SrAlSi4.5ON:Ce、SrAl1.43Si3.810.596.79:Ce、(K0.04Sr0.92Ba0.005Ce0.03)Al1.3Si3.70.36.7に代表される組成を有する蛍光体が報告されている(特許文献1、2)。
一方で、黄色ないし橙色に発光する蛍光体として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系(YAG)蛍光体が実用化され、広く使用されている。YAG蛍光体以外の黄色ないし橙色に発光する蛍光体としては、Caを含有するαサイアロン蛍光体(特許文献3、非特許文献1)などが報告されている。
国際公開第2006/093298号パンフレット 国際公開第2007/037059号パンフレット 特開2006−152069号公報
電気情報通信学会総合大会講演論文集,2005,エレクトロニクス(2),42,2005−03−07
ここで、例えば、青色LEDと一種類の蛍光体とを組み合わせた場合であっても演色性の高い白色光が得られるような黄色ないし橙色に発光する蛍光体が求められている。
近年、報告された特許文献1、2に記載の酸窒化物蛍光体は、緑色ないし黄色に発光するものであるため、青色LEDを組み合わせた発光装置の色温度は、例えば、色温度が6078K(特許文献1、実施例83)や6344K(特許文献1、実施例84)、6561K(特許文献2、実施例61)となっており、色温度が高くなる傾向にある。広く使用されているYAG蛍光体と青色LEDとを組み合わせた発光装置についても、上述した蛍光体と同様であり、色温度が高くなる傾向にある。そのため、色温度を低くし、演色性を向上させるために蛍光体の発光ピーク波長のさらなる長波長化が求められている。
また、上述した特許文献3、4に記載の黄色ないし橙色蛍光体は、発光ピークの半値幅
が狭いため、青色LEDと単独で組み合わせた発光装置の演色評価数Raが57であり、演色性の点でさらなる改善が必要である。
このように、特に、発光ピークの半値幅が広く、黄色ないし橙色に発光する蛍光体、およびその蛍光体とLEDとを組み合わせた発光装置が求められている。
本発明の課題は、例えば青色LEDと一種類の蛍光体とを組み合わせた場合であっても演色性の高い白色光(例えば、白色から電球色)を発することができる酸窒化物系蛍光体およびそれを用いた発光装置を提供することにある。
本発明者等は上記課題を達成すべく諸種の検討を行った結果、下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有し、下記式[1]におけるA元素全体に対するCaの割合が、0.001モル%以上80モル%以下である蛍光体を用いることで、演色性の高い白色光を発する発光装置を提供することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明の要旨は、次の〔1〕〜〔8〕に存する。
〔1〕第1の発光体(励起光源)と、該第1の発光体からの光を可視光に変換して、可視光を発し得る第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体が第1の蛍光体として下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有する蛍光体を必須とし、下記式[1]におけるA元素全体に対するCaの割合が、0.001モル%以上80モル%以下であることを特徴とする、発光装置。
下記式[1]:
(A1−x,Eu [1]
(式[1]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、a、b、c、d及びeは、それぞれ、
0.95≦a≦1.05
2.8≦b≦3.6
1.4≦c≦2.2
4.7≦(b+c)/a≦5.3
5.8≦d≦6.6
0.4≦e≦1.2
6.7≦(d+e)/a≦7.3
を満たす数を示す。)
〔2〕前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有する蛍光体の発光ピークが、波長570nm以上600nm以下の範囲に存在することを特徴とする、〔1〕に記載の発光装置。
〔3〕前記発光ピークの半値幅が、95nm以上であることを特徴とする、〔2〕に記載の発光装置。
〔4〕相関色温度が2600K以上、4500K以下であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の発光装置。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の発光装置を備えることを特徴とする、照明装置または画像表示装置。
また、本発明の別の要旨は、次の〔9〕〜〔13〕に存する。
〔9〕下記式[1’]:
(A1−x,Eu [1’]
(式[1’]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、a、b、c、d及びeは、それぞれ、0.7≦a≦1.3
2.8≦b≦3.6
1.0≦c≦3.0
4.0≦(b+c)/a≦6.0
5.0≦d≦7.0
0<e≦2.0
6.5≦(d+e)/a≦7.3
を満たす数を示す。)で表される組成を有する結晶相を含み、上記式[1’]におけるA元素に対するCaの割合が0.001モル%以上80モル%以下であって、前記結晶相の結晶系が斜方晶系または単斜晶系であることを特徴とする酸窒化物系蛍光体。
〔10〕前記式[1’]における、a、b、c、d及びeが、それぞれ、
0.95≦a≦1.05
2.8≦b≦3.6
1.4≦c≦2.2
4.7≦(b+c)/a≦5.3
5.8≦d≦6.6
0.4≦e≦1.2
6.7≦(d+e)/a≦7.3
を満たす数を示すことを特徴とする、〔9〕に記載の酸窒化物系蛍光体。
〔11〕前記酸窒化物蛍光体の発光ピークが、波長570nm以上600nm以下の範囲に存在することを特徴とする、〔9〕または〔10〕に記載の酸窒化物蛍光体。
〔12〕前記発光ピークの半値幅が、95nm以上であることを特徴とする、〔11〕に記載の酸窒化物蛍光体。
〔13〕第1の発光体(励起光源)と、該第1の発光体からの光を可視光に変換して、可視光を発し得る第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体が第1の蛍光体として〔9〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の酸窒化物系蛍光体の少なくとも一種を含有することを特徴とする発光装置。
本発明によれば、黄色ないし橙色に発光し、かつ、演色性の高い蛍光体を提供することができ、該蛍光体とLED等とを組み合わせれば、演色性に優れた発光装置を提供することができる。
本発明の発光装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明の発光装置の別の実施形態を模式的に示す断面図である。図2中、(a)は砲弾型発光装置を示し、(b)は表面実装型発光装置を示す。 本発明の照明装置の一態様を模式的に示す断面図である。 実施例1〜6で用いた蛍光体1〜6の粉末X線パターンである。 実施例1〜6で用いた蛍光体1〜6の発光スペクトルである。 実施例1、および7〜11で用いた蛍光体1、および7〜11の粉末X線パターンである。 実施例1、および7〜11で用いた蛍光体1、および7〜11の発光スペクトルである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al:Eu」という組成式は、「CaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「BaAl:Eu」と、「Ca1−xSrAl:Eu」と、「Sr1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−x−ySrBaAl:Eu」(但し、式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1である。)とを全て包括的に示しているものとする。
本発明の発光装置は、第1の発光体(励起光源)と、該第1の発光体からの光を可視光に変換して、可視光を発し得る第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体が第1の蛍光体として下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有する蛍光体を必須とし、下記式[1]におけるA元素全体に対するCaの割合が、0.001モル%以上80モル%以下であることを特徴とするものである。
下記式[1]:
(A1−x,Eu [1]
(式[1]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、a、b、c、d及びeは、それぞれ、
0.95≦a≦1.05
2.8≦b≦3.6
1.4≦c≦2.2
4.7≦(b+c)/a≦5.3
5.8≦d≦6.6
0.4≦e≦1.2
6.7≦(d+e)/a≦7.3
を満たす数を示す。)
ここで、本発明の発光装置は、第1の蛍光体として、下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有する蛍光体を少なくとも一種含有していればよく、本発明の効果が得られる範囲内において、第2の蛍光体として、その他の蛍光体を含有していてもよい。また、本発明の発光装置は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。装置構成の具体例については後述する。
以下、[第2の発光体]、[第2の発光体における第1の蛍光体(下記式[1]で表される結晶相を含有する蛍光体)]、[第2の発光体における第2の蛍光体]、[液体媒体]、[第1の発光体]、[発光装置の実施形態]の順で各々について説明する。
[第2の発光体]
本発明の発光装置における第2の発光体は、後述する第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として後述する下記式[1]で表される結晶相を含有する蛍光体を1種以上含有する。本発明の発光装置は、第2の発光体として第1の蛍光体を1種だけ用いた場合でも、演色性の高い白色光(例えば、白色から電球色)を発することができる。ただし、第1の蛍光体とともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、橙色蛍光体、赤色蛍光体等)を含有していてもよい。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
[第2の発光体における第1の蛍光体(下記式[1]で表される結晶相を含有する蛍光体)]
本発明の発光装置は、第2の発光体における第1の蛍光体として下記式[1]で表される結晶相を含有する蛍光体(以下、単に「本発明の蛍光体」と称する場合がある。)を必須とする。これにより、発光装置に本発明の蛍光体のみを用いた場合であっても演色性や色再現性に優れた発光装置を提供することができる。第2の発光体における、蛍光体全体に対する第1の蛍光体の割合は、95質量%以上、好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99.9質量%以上であると、種類の異なる蛍光体を混在させることによって蛍光体の発光を他の蛍光体が吸収してしまう自己吸収の問題を避けることができるため、発光効率の高い発光装置を提供することができる。
なお、本発明の第1の蛍光体は、下記式[1]で表される結晶相を含有する蛍光体であれば、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
以下、本発明の蛍光体について説明する。
<蛍光体の組成>
本発明の蛍光体は、下記式[1]:
(A1−x,Eu [1]
(式[1]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、a、b、c、d及びeは、それぞれ、
0.95≦a≦1.05
2.8≦b≦3.6
1.4≦c≦2.2
4.7≦(b+c)/a≦5.3
5.8≦d≦6.6
0.4≦e≦1.2
6.7≦(d+e)/a≦7.3
を満たす数を示す。)
で表される組成を有する結晶相を含むものである。
上記のとおり、前記式[1]において、「A」は、SrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示す。A元素全体に対するSrおよびCaの占める割合は、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。また、A元素は、SrおよびCa以外に、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属元素を含んでいても良い。
前記式[1]において、A元素全体に対するCaの割合は、通常0.001モル%以上80モル%以下を満たす数であり、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上、特に好ましくは7モル%以上、最も好ましくは9モル%以上であり、また、好ましくは65モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。
Caの割合が上記範囲であると、格子体積がより適切な大きさになり、骨格構造がひずみのない安定的な状態をとることができる。
また、A元素がSrおよびCa以外にBaを含む場合、そのA元素全体に対するBaの割合は、通常0.01モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上、特に好ましくは3モル%以上であり、また、通
常20モル%以下、好ましくは15モル%以下、特に好ましく10モル%以下である。Baの割合が上記範囲であると、発光ピーク波長を大きく変化させることなく、半値幅を調節できるという効果が得られる。具体的には、特にBaの割合が10モル%以下の範囲において、半値幅が広くなる傾向にあり、演色性を向上させることができる。
前記式[1]において、「Eu」はユーロピウムを必須とする付活剤元素を示す。付活剤であるユーロピウム(Eu)は、他の付活剤としてクロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)及びイッテルビウム(Yb)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属元素で置換されていてもよい。これら他の付活剤のうち、Ce、Pr、Sm、Tb及びYbよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素が好ましく、発光量子効率の点でCeがより好ましい。
付活剤元素全体に対するユーロピウム(Eu)の割合は、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。
前記式[1]において、「D」は、Siを必須とする4価の金属元素を示す。D元素は、得られる蛍光体の特性に影響を与えない範囲内で、ゲルマニウム(Ge)等を含有していてもよい。D元素全体に対するSiの占める割合は、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。D元素全体に対するSiの占める割合が少なすぎると不純物が生成され、目的の組成の蛍光体を得るのが困難となる傾向がある。
前記式[1]において、「E」は、Alを必須とする3価の金属元素を示す。E元素は、得られる蛍光体の特性に影響を与えない範囲内で、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)等を含有していてもよい。E元素全体に対するAlの占める割合は、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上が特に好ましい。E元素全体に対するAlの占める割合が少なすぎると不純物が生成され、目的の組成の蛍光体を得るのが困難となる傾向がある。
前記式[1]において、「N」は、窒素を示す。N元素は、窒素を主成分としていればよく、得られる蛍光体の特性に影響を与えない範囲内で、フッ素(F)、塩素(Cl)等を含有していてもよい。
前記式[1]において、「O」は、酸素を示す。O元素は、酸素を主成分としていればよく、得られる蛍光体の特性に影響を与えない範囲内で、F、Cl等を含有していてもよい。
また、本発明の蛍光体は、上述したA、Eu、D、E、NおよびOの各構成元素の他に、本発明の効果に影響を与えない範囲内で不可避的に混入してしまう元素、例えば不純物元素などを含んでいてもよい。
前記式[1]において、「x」は付活剤元素(Eu)のモル比を示す。xは、0.0001≦x≦0.20を満たす数であり、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上であり、また、好ましくは0.19以下、より好ましくは0.17以下、さらに好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.12以下、特に好ましくは0.10以下である。
xの値が大きすぎると濃度消光が起こって輝度が低下する傾向にあり、小さすぎると吸収効率が低下する傾向にあり、それに伴い、輝度が低下する傾向にある。
前記式[1]において、「a」はA元素(SrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素)と付活剤元素(Eu)のモル比の和を示す。aは、通常0.95≦a≦1.05
を満たす数であり、好ましくは0.97以上、より好ましくは0.99以上であり、また、好ましくは1.03以下、より好ましくは1.1以下である。
「a」のモル比と、次に述べる「b」、「c」のモルを本発明の範囲とする、即ちD元素(Siを必須とする4価の金属元素)とE元素(Alを必須とする3価の金属元素)の割合を特定の範囲とすることにより、A元素(SrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素)を確実に固溶させ、前記した効果を奏する蛍光体を得ることができる。
前記式[1]において、「b」はD元素(Siを必須とする4価の金属元素)のモル比を示す。bは、2.8≦b≦3.6を満たす数であり、好ましくは2.9以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.1以上、特に好ましくは3.2以上であり、また、好ましくは3.55以下、より好ましくは3.50以下、さらに好ましくは3.45以下、特に好ましくは3.4以下である。
前記式[1]において、「c」はE元素(Alを必須とする3価の金属元素)のモル比を示す。cは、1.4≦c≦2.2を満たす数であり、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.55以上であり、また、好ましくは2.1以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。
また、(b+c)/aは、A元素と付活剤元素のモル比の和に対するD元素とE元素のモル比の和の割合であり、通常、4.7≦(b+c)/a≦5.3を満たす数となる。さらに、(b+c)/aは、好ましくは4.75以上、より好ましくは4.8以上、さらに特に好ましくは4.85以上であり、また、好ましくは5.25以下、より好ましくは5.2以下、さらに好ましくは5.15以下、特に好ましくは5.1以下である。
前記式[1]において、「d」はN元素(窒素)のモル比を示す。dは、5.8≦d≦6.6を満たす数であり、好ましくは5.9以上、より好ましくは6.0以上、さらに好ましくは6.1以上、特に好ましくは6.2以上であり、また、好ましくは6.55以下、より好ましくは6.5以下、さらに好ましくは6.45以下、特に好ましくは6.4以下である。
前記式[1]において、「e」はO元素(酸素)のモル比を示す。eは、0.4≦e≦1.2を満たす数であり、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.55以上、特に好ましくは0.6以上であり、また、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.8以下である。
また、(d+e)/aは、A元素と付活剤元素のモル比の和に対するN元素(窒素)とO元素(酸素)のモル比の和の割合であり、通常、6.7≦(d+e)/a≦7.3を満たす数となる。さらに、(d+e)/aは、好ましくは6.75以上、より好ましくは6.8以上、特に好ましくは6.85以上であり、また、好ましくは7.25以下、より好ましくは7.2以下、特に好ましくは7.15以下である。
上記のとおり、本発明の蛍光体において、aのモル比、dのモル比ならびにeのモル比を上記範囲とする、即ちa、b、c、(b+c)/a、d、e、(d+e)/aの数を上記範囲とすることにより、A元素を確実に固溶させ、前記した効果を奏する蛍光体を得ることができる。
<結晶構造>
本発明の蛍光体は、Si、Al、N、およびOから構成される骨格構造を有し、その空隙にSrサイトが存在するという結晶構造を持つ。
(結晶系)
本発明の蛍光体が含有する結晶相の晶系は、斜方晶系もしくは単斜晶系であり、斜方晶系であることが好ましい。
本発明の蛍光体は、SrAlSiと同様の結晶構造を有することが好ましく、結r Crystallography(Third, revised edition)、Volume A Space−Group Symmetry」に基づく62番〔Pnma〕、33番〔Pna2〕、19番〔P2〕、7番〔Pc〕、または4番〔P2〕のいずれかに属するものであることが好ましく、33番〔Pna2〕に属するものが最も好ましい。
なお、空間群は、電子回折、又は収束電子回折により一義的に求めることができる。
<別の態様の蛍光体の組成>
また、本発明の別の態様としては、上述の第1の蛍光体として好適に用い得る、下記式[1’]で表される結晶相を含有する酸窒化物系蛍光体(以下、単に「本発明の別の態様の蛍光体」と称する場合がある。)が挙げられる。
本発明の別の態様の蛍光体は、下記式[1’]:
(A1−x,Eu [1’]
(式[1’]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、a、b、c、d及びeは、それぞれ、0.7≦a≦1.3
2.8≦b≦3.6
1.0≦c≦3.0
4.0≦(b+c)/a≦6.0
5.0≦d≦7.0
0<e≦2.0
6.5≦(d+e)/a≦7.3
を満たす数を示す。)で表される組成を有する結晶相を含む酸窒化物系蛍光体である。
前記式[1’]において、「a」はA元素(SrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素)と付活剤元素(Eu)のモル比の和を示す。aは、通常0.7≦a≦1.3を満たす数であり、好ましくは0.95以上、より好ましくは0.97以上、より好ましくは0.99以上であり、また、好ましくは1.05以下、より好ましくは1.03以下、より好ましくは1.1以下である。
「a」のモル比と、次に述べる「b」、「c」のモルを本発明の範囲とする、即ちD元素(Siを必須とする4価の金属元素)とE元素(Alを必須とする3価の金属元素)の割合を特定の範囲とすることにより、A元素(SrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素)を確実に固溶させ、前記した効果を奏する蛍光体を得ることができる。
前記式[1’]において、「b」はD元素(Siを必須とする4価の金属元素)のモル比を示す。bは、2.8≦b≦3.6を満たす数であり、好ましくは2.9以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.1以上、より好ましくは3.2以上であり、また、好ましくは3.55以下、より好ましくは3.50以下、さらに好ましくは3.45以下、特に好ましくは3.4以下である。
前記式[1’]において、「c」はE元素(Alを必須とする3価の金属元素)のモル比を示す。cは、1.0≦c≦3.0を満たす数であり、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.45以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.55以上であり、また、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.1以下、より好ましくは2.0以
下、さらに好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。
また、(b+c)/aは、A元素と付活剤元素のモル比の和に対するD元素とE元素のモル比の和の割合であり、通常、4.0≦(b+c)/a≦6.0を満たす数となる。さらに、(b+c)/aは、好ましくは4.7以上、より好ましくは4.75以上、より好ましくは4.8以上、さらに特に好ましくは4.85以上であり、また、好ましくは5.3以下、より好ましくは5.25以下、より好ましくは5.2以下、さらに好ましくは5.15以下、特に好ましくは5.1以下である。
前記式[1’]において、「d」はN元素(窒素)のモル比を示す。dは、5.0≦d≦7.0を満たす数であり、好ましくは5.8以上、より好ましくは5.9以上、より好ましくは6.0以上、さらに好ましくは6.1以上、特に好ましくは6.2以上であり、また、好ましくは6.6以下、より好ましくは6.55以下、より好ましくは6.5以下、さらに好ましくは6.45以下、特に好ましくは6.4以下である。
前記式[1’]において、「e」はO元素(酸素)のモル比を示す。eは、0<e≦2.0を満たす数であり、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.45以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.55以上、特に好ましくは0.6以上であり、また、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.8以下である。
また、(d+e)/aは、A元素と付活剤元素のモル比の和に対するN元素(窒素)とO元素(酸素)のモル比の和の割合であり、通常、6.5≦(d+e)/a≦7.3を満たす数となる。さらに、(d+e)/aは、好ましくは6.7以上、より好ましくは6.75以上、より好ましくは6.8以上、特に好ましくは6.85以上であり、また、好ましくは7.3以下、より好ましくは7.25以下、より好ましくは7.2以下、特に好ましくは7.15以下である。
上記のとおり、本発明の蛍光体において、aのモル比、dのモル比ならびにeのモル比を上記範囲とする、即ちa、b、c、(b+c)/a、d、e、(d+e)/aの数を上記範囲とすることにより、A元素を確実に固溶させ、前記した効果を奏する蛍光体を得ることができる。 本発明の別の態様の蛍光体の組成に関し、その他の項目については、上記本発明の蛍光体に関する上記式[1]の説明が援用される。
<別の態様の蛍光体の結晶構造>
本発明の別の態様の蛍光体は、Si、Al、N、およびOから構成される骨格構造を有し、その空隙にSrサイトが存在するという結晶構造を持つ。
(結晶系)
本発明の別の態様の蛍光体が含有する結晶相の晶系は、斜方晶系もしくは単斜晶系であり、斜方晶系であることが好ましい。
本発明の蛍光体は、SrAlSiと同様の結晶構造を有することが好ましく、結r Crystallography(Third, revised edition)、Volume A Space−Group Symmetry」に基づく62番〔Pnma〕、33番〔Pna2〕、19番〔P2〕、7番〔Pc〕、または4番〔P2〕のいずれかに属するものであることが好ましく、33番〔Pna2〕に属するものが最も好ましい。
<蛍光体の特性>
(発光ピーク波長)
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、通常570nm以上、好ましくは575nm以上、より好ましくは580nm以上であり、また、通常600nm以下、好ましくは595nm以下、より好ましくは590nm以下の波長範囲に発光ピークを有する。即ち、橙色系の発光色を有するものである。
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、発光ピークの半値幅が広いことから、青色LEDと組み合わせて発光装置とすると一種類の蛍光体のみで演色性のよい発光を得ることができる。また、本発明の蛍光体に加えて、青色〜黄緑色蛍光体や赤色蛍光体等を組み合わせて発光装置とすれば、さらなる高演色の発光を示す発光装置を得ることができる。
(発光スペクトルの半値幅)
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、発光ピークの半値幅が通常95nm以上、好ましくは97nm以上、より好ましくは100nm以上、より好ましくは103nm以上、特に好ましくは105nm以上である。即ち、半値幅の広い発光スペクトルを示すものである。
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、発光ピークの半値幅が広いことから、青色LEDと組み合わせて用いると第2の発光体として本発明の蛍光体または本発明の別の態様の蛍光体のみを使用した場合であっても演色性のよい発光を得ることができる。また、本発明の蛍光体または本発明の別の態様の蛍光体に加えて、青色〜黄緑色蛍光体や赤色蛍光体等を組み合わせて発光装置とすれば、さらなる高演色の発光を示す発光装置を得ることができる。
(CIE色度座標)
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体のCIE色度座標のx値は、通常0.400以上、好ましくは0.425以上、より好ましくは0.450以上であり、通常0.575以下、好ましくは0.550以下、より好ましくは0.525以下、より好ましくは0.500以下、特に好ましくは0.475以下である。また、本発明の蛍光体のCIE色度座標のy値は、通常0.425以上、好ましくは0.450以上、より好ましくは0.475以上、特に好ましくは0.480以上であり、通常0.550以下、好ましくは0.525以下、より好ましくは0.510以下である。
CIE色度座標が上記の範囲にあることで、青色LEDと組み合わせて用いると一種類の蛍光体のみで演色性のよい発光色、好ましくは白色〜電球色の発光を示す発光装置が得られる。
(励起波長)
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは460nm以下の波長範囲に励起ピークを有する。即ち、紫外から青色領域の光で励起される。
(温度消光特性(発光強度維持率))
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、温度特性にも優れるものである。具体的には、波長405nmにピークを有する光を照射した場合における25℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値に対する100℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値の割合が、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。また、通常の蛍光体は温度上昇と共に発光強度が低下するので、該割合が100%を越えることは考えられにくいが、何らかの理由により100%を超えることがあってもよい。ただし150%を超えるようであれば、温度変化により色ずれを起こす傾向とな
る。
(量子効率)
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体の外部量子効率(η)は、通常40%以上、好ましくは50以上、更に好ましくは60%以上である。外部量子効率は高いほど好ましく、外部量子効率が低くなると発光効率が低下する傾向がある。
内部量子効率、外部量子効率、及び吸収効率などは、例えば、特開2008−285662号公報の段落[0026]〜[0038]に記載の方法で測定することができる。
(粒径)
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、通常、微粒子の形態を有している。具体的には、質量メジアン径D50が、通常2μm以上、好ましくは5μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下の範囲の微粒子である。質量メジアン径D50が大きすぎると、例えば後述する封止材料として用いる樹脂中への分散性が悪くなる傾向があり、小さすぎると低輝度となる傾向がある。
質量メジアン径D50は、例えば、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定して得られる、質量基準粒度分布曲線から求められる値である。メジアン径D50は、この質量準粒度分布曲線において、積算値が50%のときの粒径値を意味する。
<前記式[1]および式[1’]で表される結晶相を含有する蛍光体の製造方法>
本発明の蛍光体および本発明の別の態様の蛍光体は、各蛍光体原料を、前記式[1]または式[1’]で表される結晶相の組成となるように、好ましくは元素組成が下記式[2]または式[2’]となるように、原料となる化合物や金属を秤量して蛍光体原料混合物を調整し、得られた蛍光体原料混合物を焼成することにより製造することができる。
(A1−x,Eu [2]
(式[2]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、f、g、h、i及びjは、それぞれ、0.95≦f≦1.05、2.8≦g≦3.6、1.4≦h≦2.2、4.7≦(g+h)/f≦5.3、5.8≦i≦6.6、0.4≦j≦1.2、6.7≦(i+j)/f≦7.3を満たす数を示す。)
(A1−x,Eu [2’]
(式[2’]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、f、g、h、i及びjは、それぞれ、0.7≦f≦1.3、2.8≦g≦3.6、1.0≦h≦3.0、4.0≦(g+h)/f≦6.0、5.0≦i≦7.0、0<j≦2.0、6.5≦(i+j)/f≦7.3を満たす数を示す。)
なお、f、g、h、i及びjは、それぞれ本実施態様の蛍光体の組成の項目のa、b、c、d及びeに対応し、それぞれの好ましい範囲の説明が援用される。
蛍光体原料としては、金属化合物、金属などを用いる。例えば、上記式[1]または式[1’]で表わされる結晶相の組成を有する蛍光体を製造する場合、A元素の原料(以下適宜「A源」という)、D元素の原料(以下適宜「D源」という)、E元素の原料(以下適宜「E源」という)、N元素の原料(以下適宜「N源」という)、O元素の原料(以下適宜「O源」という)、Eu元素の原料(以下適宜「Eu源」という)から必要な組み合わせを混合し(混合工程)、得られた混合物を焼成し(焼成工程)、得られた焼成物を、必要に応じて、解砕・粉砕や洗浄する(後処理工程)ことにより製造することができる。
(蛍光体原料)
使用される蛍光体原料としては、公知のものを用いることができ、例えば、A源としてSr、SrO、SrCO等のSr源、Ca、CaO、CaCO等のCa源、Ba、BaO、BaCO等のBa源、D源としてSiC、Si、SiO等のSi源、E源としてAlN、Al、Al等のAl源と、Eu源としてEuの金属、酸化物、炭酸塩、塩化物、フッ化物、窒化物又は酸窒化物から選ばれるEu化合物を用いることができる。
中でも、アルカリ土類金属源として用いる原料としては、好ましくはアルカリ土類金属酸化物やアルカリ土類金属炭酸塩、特に好ましくはアルカリ土類金属炭酸塩である。アルカリ土類金属源として用いる原料が大気中で扱えることで、混合時の雰囲気制御の必要性がなくなるため、製造コストの面で有益であるからである。
なお、前記式[2]および式[2’]におけるO源(酸素)やN源(窒素)は、A源(SrおよびCa源)、D源(Si源)、E源(Al源)、Eu源から供給されてもよいし、焼成雰囲気から供給されてもよい。また、各原料には、不可避的不純物が含まれていてもよい。
(混合工程)
目的組成が得られるように蛍光体原料を秤量し、ボールミル等を用いて十分混合し、蛍光体原料混合物を得る(混合工程)。
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)の手法が挙げられる。
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の蛍光体原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態としたうえで、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
蛍光体原料の混合は、上記湿式混合法又は乾式混合法のいずれでもよいが、水分による蛍光体原料の汚染を避けるために、乾式混合法や非水溶性溶媒を使った湿式混合法がより好ましい。
(焼成工程)
続いて、混合工程で得られた蛍光体原料混合物を焼成する(焼成工程)。上述の蛍光体原料混合物を、必要に応じて乾燥後、坩堝等の容器内に充填し、焼成炉、加圧炉等を用いて焼成を行なう。
本発明者らの検討により、本発明の蛍光体を製造する場合、焼成工程において、炉内の圧力が0.2MPa以上、100MPa以下である条件下で上述の蛍光体原料混合物を焼成することがより好ましいことがわかった。焼成工程における好ましい諸条件を以下に述べる。
焼成工程で用いる焼成容器(坩堝など)の材質としては、窒化ホウ素製、カーボン製等が挙げられる。
焼成温度は、圧力など、その他の条件によっても異なるが、通常1300℃以上、2100℃以下の温度範囲で焼成を行なうことができる。焼成工程における最高到達温度としては、通常1200℃以上、好ましくは1400℃以上、より好ましくは1600℃以上、特に好ましくは1800℃以上であり、また、通常2100℃以下、好ましくは200
0℃以下、より好ましくは1900℃以下である。焼成温度が高すぎると窒素が飛んで母体結晶に欠陥を生成し着色することや、不純物が生成しやすくなる傾向がある。低すぎると固相反応の進行が遅くなる傾向にある。
焼成工程における昇温速度は、通常2℃/分以上、好ましくは5℃/分以上、より好ましくは10℃/分以上であり、また、通常30℃/分以下、好ましくは25℃/分以下である。昇温速度がこの範囲を下回ると、焼成時間が長くなる可能性がある。また、昇温速度がこの範囲を上回ると、焼成装置、容器等が破損する場合がある。
焼成工程における焼成雰囲気は、本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、窒素含有雰囲気とすることが好ましい。具体的には、窒素雰囲気、水素含有窒素雰囲気等が挙げられ、中でも窒素雰囲気が好ましい。なお、焼成雰囲気の酸素含有量は、通常10ppm以下、好ましくは5ppm以下にするとよい。
焼成時間は、焼成時の温度や圧力等によっても異なるが、通常10分間以上、好ましくは30分間以上、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
焼成工程における圧力は、焼成温度等によっても異なるが、炉内の圧力を大気圧(0.1013MPa)もしくは、加圧状態にして製造することができる。焼成工程における圧力は、通常0.1013MPa以上、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上であり、また、通常100MPa以下、好ましくは50MPa以下、より好ましくは20MPa以下、特に好ましくは10MPa以下である。圧力が高すぎると、副生物が多くなる傾向にあり、圧力が低すぎると得られた蛍光体が分解したり、着色したりする可能性があるので、圧力の調整が重要である。
なお、焼成工程は、必要に応じて、複数回繰り返し行なってもよい。その際は、一回目の焼成と、二回目の焼成とで、焼成条件を同一にしてもよいし、異なるものにしてもよい。また、一回目の焼成において最高到達温度を1000℃以上1700℃以下とし、二回目の焼成において最高到達温度を1700℃以上2200℃以下とすることにより、得られる蛍光体の異常な粒子成長を抑制し、結晶性が高く内部量子効率の高い蛍光体が得られるため好ましい。
(後処理工程)
得られる焼成物は、粒状又は塊状となる。これを解砕、粉砕及び/又は分級操作を組み合わせて所定のサイズの粉末にする。ここでは、D50が約30μm以下になるように処理するとよい。
具体的な処理の例としては、合成物を目開き45μm程度の篩分級処理し、篩を通過した粉末を次工程に回す方法、或いは合成物をボールミルや振動ミル、ジェットミル等の一般的な粉砕機を使用して所定の粒度に粉砕する方法が挙げられる。後者の方法において、過度の粉砕は、光を散乱しやすい微粒子を生成するだけでなく、粒子表面に結晶欠陥を生成し、発光効率の低下を引き起こす可能性がある。
また、必要に応じて、蛍光体(焼成物)を洗浄する工程を設けてもよい。洗浄工程後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供する。さらに、必要に応じて、凝集をほぐすために分散・分級処理を行ってもよい。
[第2の発光体における第2の蛍光体]
本発明の発光装置は、第2の発光体における第2の蛍光体として、後述する蛍光体を含有していてもよい。本発明の発光装置は、上述の第1の蛍光体を含有しているので、第1の発光体に第1の蛍光体のみを1種または2種以上組み合わせた場合であっても演色性に優れた発光装置が得られるが、本発明の発光装置は、第1の蛍光体のみを含有する発光装置に限定されない。例えば、黄色ないし橙色以外の色の成分を強くしたい等の理由により
、所望の発光色となるよう、第1の蛍光体に加えて第2の蛍光体を含有する発光装置も本発明の発光装置に含まれる。
第2の蛍光体としては、第1の蛍光体と異なる発光色の蛍光体を用いることが多いが、発光色が同じ蛍光体を第2の蛍光体として用いることもできる。
第2の蛍光体の組成には特に制限はないが、母体結晶となる、Y、YVO、ZnSiO、Yl512、SrSiO等に代表される金属酸化物、SrSi等に代表される金属窒化物、Ca(POCl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、YS、LaS等に代表される酸硫化物等にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが挙げられる。
好ましい結晶母体の具体例を表1に示す。
Figure 2013214718
但し、上記の母体結晶及び付活元素又は共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。なお、以下の例示では、前述の通り、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の質量メジアン径D50は、通常2μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。質量メジアン径D50が小さ過ぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、質量メジアン径が大き過ぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
以下、第2の蛍光体として用いることができる蛍光体について具体的に説明する。
(青色蛍光体)
第1の蛍光体に加えて青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。使用する青色蛍光体の発光ピーク波長がこの範囲にあると、本発明の蛍光体の励起帯と重なり、当該
青色蛍光体からの青色光により、本発明の蛍光体を効率良く励起することができるからである。このような青色蛍光体として使用できる蛍光体を表2に示す。
Figure 2013214718
以上の中でも、青色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)SiO:Eu、(Ba,Ca,Sr)MgSiO8:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO(Cl,F):Eu、BaMgSi:Euがより好ましく、Sr10(POCl:Eu、BaMgAl1017:Euが特に好ましい。
(緑色蛍光体)
第1の蛍光体に加えて緑色蛍光体を使用する場合、当該緑色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する場合がある。このような緑色蛍光体として利用できる蛍光体を表3に示す。
Figure 2013214718
以上の中でも、緑色蛍光体としては、Y(Al,Ga)12:Tb、CaSc:Ce、Ca(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:N:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
得られる発光装置を照明装置に用いる場合には、Y(Al,Ga)12:Tb、CaSc:CeCa(Sc,Mg)Si12:Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:Euが好ましい。
また、得られる発光装置を画像表示装置に用いる場合には、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Si,Al)(O,N):Eu(β−sialon)、(Ba,Sr)Si12:Eu、SrGa:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
(黄色蛍光体)
第1の蛍光体に加えて黄色蛍光体を使用する場合、当該黄色蛍光体は本発明の効果を著
しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。このような黄色蛍光体として利用できる蛍光体を表4に示す。
Figure 2013214718
以上の中でも、黄色蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y,Gd)l512:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)SiO:Eu、(Ca,Sr)Si:Euが好ましい。
(橙色ないし赤色蛍光体)
第1の蛍光体に加えて橙色ないし赤色蛍光体を使用する場合、当該橙色ないし赤色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。このような橙色ないし赤色蛍光体として使用できる蛍光体を表5に示す。
Figure 2013214718
以上の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、KSiF:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、(La,Y)S:Eu、KSiF:Mnがより好ましい。
また、橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)
AlSi(N,O):Ceが好ましい。
[液体媒体]
本発明の発光装置に用いられる液体媒体の種類は特に限定されず、通常、半導体発光素子を覆ってモールディングすることのできる硬化性材料を用いることができる。硬化性材料とは、流体状の材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流体状とは、例えば液状又はゲル状のことをいう。硬化性材料は、固体発光素子から発せられた光を蛍光体へ導く役割を担保するものであれば、具体的な種類に制限は無い。また、硬化性材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。したがって、硬化性材料としては、無機系材料及び有機系材料並びに両者の混合物のいずれを用いることも可能である。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
一方、有機系材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
これら硬化性材料の中では、半導体発光素子からの発光に対して劣化が少なく、耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性にも優れる珪素含有化合物を使用することが好ましい。珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系化合物)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、透明性、接着性、ハンドリングの容易さ、機械的、熱的応力の緩和特性に優れる等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、縮合型、付加型、改良ゾルゲル型、光硬化型等のシリコーン系材料を用いることができる。
縮合型シリコーン系材料としては、例えば、特開2007−112973〜112975号公報、特開2007−19459号公報、特開2008−34833号公報等に記載の半導体発光デバイス用部材を用いることができる。縮合型シリコーン系材料は半導体発光デバイスに用いられるパッケージや電極、発光素子などの部材との接着性に優れるため、密着向上成分の添加を最低限とすることができ、架橋はシロキサン結合主体のため耐熱性・耐光性に優れる利点がある。
付加型シリコーン系材料としては、例えば、特開2004−186168号公報、特開2004−221308号公報、特開2005−327777号公報等に記載のポッティング用シリコーン材料、特開2003−183881号公報、特開2006−206919号公報等に記載のポッティング用有機変性シリコーン材料、特開2006−324596号公報に記載の射出成型用シリコーン材料、特開2007−231173号公報に記載のトランスファー成型用シリコーン材料等を好適に用いることができる。付加型シリコーン材料は、硬化速度や硬化物の硬度などの選択の自由度が高い、硬化時に脱離する成分が無く硬化収縮しにくい、深部硬化性に優れるなどの利点がある。
また、縮合型の一つである改良ゾルゲル型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−077234号公報、特開2006−291018号公報、特開2007−119569号公報等に記載のシリコーン材料を好適に用いることができる。改良ゾルゲル型のシリコーン材料は高架橋度で耐熱性・耐光性高く耐久性に優れ、ガス透過性低く耐湿性の低い蛍光体の保護機能にも優れる利点がある。
光硬化型シリコーン系材料としては、例えば、特開2007−131812号公報、特開2007−214543号公報等に記載のシリコーン材料を好適に用いることができる。紫外硬化方シリコーン材料は、短時間に硬化するため生産性に優れる、硬化に高い温度をかける必要が無く発光素子の劣化が起こりにくいなどの利点がある。
これらのシリコーン系材料は単独で使用してもよいし、混合することにより硬化阻害が起きなければ複数のシリコーン系材料を混合して用いてもよい。
(液体媒体及び蛍光体の含有率)
液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常25質量%以上、好ましくは40質量%以上であり、また、通常99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、半導体発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性が低下し取り扱い難くなる可能性がある。
液体媒体は、本発明の蛍光体含有組成物において、主にバインダーとしての役割を有する。液体媒体は、一種を単独で用いてもよいが、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、耐熱性や耐光性等を向上させることを目的として珪素含有化合物を使用する場合は、当該珪素含有化合物の耐久性を損なわない程度に、エポキシ樹脂など他の熱硬化性樹脂を含有してもよい。この場合、他の熱硬化性樹脂の含有量は、バインダーである液体媒体全量に対して、通常25質量%以下、好ましくは10質量%以下とすることが望ましい。
蛍光体含有組成物中の蛍光体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、通常75質量%以下、好ましくは60質量%以下である。また、蛍光体含有組成物中の蛍光体に占める本発明の蛍光体の割合についても任意であるが、通常30質量%以上、好ましくは50質量%以上であり、通常100質量%以下である。蛍光体含有組成物中の蛍光体含有量が多過ぎると蛍光体含有組成物の流動性が劣り、取り扱いにくくなることがあり、蛍光体含有量が少な過ぎると発光装置の発光の効率が低下する傾向にある。
(その他の成分)
蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分、例えば、屈折率調整のための金属酸化物や、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させても良い。その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[第1の発光体]
本発明の発光装置における第1の発光体は、上述の第2の発光体を励起する光を発光するものである。
第1の発光体の発光ピーク波長は、上述の第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、
紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用される。
第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等が使用できる。その他、第1の発光体として使用できる発光体としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。但し、第1の発光体として使用できるものは本明細書に例示されるものに限られない。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDとしては、AlGaN発光層、GaN発光層又はInGaN発光層を有しているものが好ましい。中でも、発光強度が非常に高いことから、GaN系LEDとしては、InGaN発光層を有するものが特に好ましく、InGaN層とGaN層との多重量子井戸構造のものがさらに好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は、通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節するうえで好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上述した第1の発光体の中でも、本発明の発光装置に用いる第1の発光体としては、青色LEDが好ましい。このときの第1の発光体の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは460nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。
本発明の発光装置では、青色LEDと、本発明の蛍光体を一種以上含有すれば演色性の高い発光装置を得ることができるものであるが、別の態様として、近紫外LEDと本発明の蛍光体(第1の蛍光体)と青色蛍光体(第2の蛍光体)とを組み合わせた発光装置とすることもできる。このときの第1の発光体の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常420nm以下、好ましくは415nm以下、より好ましくは410nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。このときの第2の蛍光体(青色蛍光体)の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは460nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体を使用することが望ましい。
[発光装置の実施形態]
<発光装置の実施形態>
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
において任意に変形して実施することができる。
本発明の発光装置の一例における、励起光源となる第1の発光体と、蛍光体を有する蛍光体含有部として構成された第2の発光体との位置関係を示す模式的斜視図を図1に示す。図1中の符号1は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号2は励起光源(第1の発光体)としての面発光型GaN系LD、符号3は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、励起光源(LD)2と蛍光体含有部1(第2の発光体)とそれぞれ別個に作製し、それらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させてもよいし、励起光源(LD)2の発光面上に蛍光体含有部1(第2の発光体)を製膜(成型)させてもよい。これらの結果、励起光源(LD)2と蛍光体含有部1(第2の発光体)とを接触した状態とすることができる。
このような装置構成をとった場合には、励起光源(第1の発光体)からの光が蛍光体含有部(第2の発光体)の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図2(a)は、一般的に砲弾型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。該発光装置4において、符号5はマウントリード、符号6はインナーリード、符号7は励起光源(第1の発光体)、符号8は蛍光体含有部、符号9は導電性ワイヤ、符号10はモールド部材をそれぞれ指す。
また、図2(b)は、表面実装型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。図中、符号22は励起光源(第1の発光体)、符号23は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号24はフレーム、符号25は導電性ワイヤ、符号26及び符号27は電極をそれぞれ指す。
<発光装置の特性>
本発明の発光装置は、その発光色のRaが通常58以上、好ましくは60以上、より好ましくは62以上、特に好ましくは64以上である。Raの値が大きいほど、演色性のよい発光装置が得られる。
本発明の発光装置は、その発光色の特殊演色評価数R9が通常マイナス75以上、好ましくはマイナス70以上、さらに好ましくはマイナス65以上、特に好ましくはマイナス60以上である。特殊演色評価数R9が上述の範囲であることにより、演色性のよい発光装置が得られる。
本発明の発光装置は、その発光色の相関色温度が通常2600K以上、好ましくは2800K以上、特に好ましく2700K以上であり、また、通常4500K以下、好ましくは4300K以下、より好ましくは4000K以下、さらに好ましくは3700K以下、特に好ましくは3400K以下である。
相関色温度が上述の範囲であることにより、好ましい白色から電球色(相関色温度が2600K〜4500Kとなる範囲)の温かみのある発光色を示す発光装置が得られる。
<発光装置の用途>
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、演色性が高い、及び色再現範囲が広いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
(照明装置)
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明
装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置4を組み込んだ面発光照明装置11を挙げることができる。
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、該面発光照明装置は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース12の底面に、多数の発光装置13(前述の発光装置4に相当)を、その外側に発光装置13の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置し、保持ケース12の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板14を発光の均一化のために固定してなる。
そして、面発光照明装置11を駆動して、発光装置13の励起光源(第1の発光体)に電圧を印加することにより光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部における前記蛍光体が吸収し、可視光を発光し、一方、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により演色性の高い発光が得られ、この光が拡散板14を透過して、図面上方に出射され、保持ケース12の拡散板14面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
(画像表示装置)
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は、前記上限または下限の値と下記実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
[蛍光体の特性測定・評価方法]
各実施例及び比較例において、蛍光体粒子の各種の特性測定・評価は、特に断りの無い限り、以下の手法で行った。
<発光スペクトル>
励起光源として150Wキセノンランプを備え、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて測定した。
具体的には、励起光源からの光を焦点距離が10cmである回折格子分光器に通し、波長455nmの励起光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により蛍光体から発生した光を焦点距離が25cmである回折格子分光器により分光し、300nm以上800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。なお、測定時には、受光側分光器のスリット幅を1nmに設定して測定を行った。
また、発光ピーク波長(以下、「ピーク波長」と称することがある。)および発光ピークの半値幅は、得られた発光スペクトルから算出した。
<色度座標>
x、y表色系(CIE 1931表色系)の色度座標は、上述の方法で得られた発光スペクトルの360nm〜800nmの波長領域のデータから、JIS Z8724に準じた方法で、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyとして算出した。
<粉末X線回折>
粉末X線回折装置X’Pert(PANalytical社製)にて精密測定した。測定条件は以下の通りである。また、測定データについては、データ処理用ソフトX’Pert High Score(PANalytical社製)を用い、ベンディングフィルターを5として自動バックグラウンド処理を実施した。
CuKα管球使用
X線出力=45KV,40mA
発散スリット=1/4°,X線ミラー
検出器=半導体アレイ検出器X’Celerator使用
Niフィルター使用
走査範囲 2θ=10°〜65°
読み込み幅=0.05°
計数時間=33秒
[蛍光体1〜11の製造]
蛍光体原料として、Sr(セラック社製)、Ca(セラック社製)、Ba(太平洋セメント社製)、Si(宇部興産社製)、Al(住友化学社製)、AlN(トクヤマ社製)、Eu(信越化学社製)を用いて、次のとおり蛍光体を調製した。
上記原料を、表6に示す蛍光体1〜11の各仕込み組成となるように電子天秤で秤量し、アルミナ乳鉢に入れ、均一になるまで粉砕及び混合した。これらの操作は、Nガスで満たしたグローブボックス中で行った。
得られた原料混合粉末から約1gを秤量し、窒化ホウ素坩堝(BN坩堝)にそのまま充填した。このBN坩堝を、抵抗加熱式真空加圧雰囲気熱処理炉(富士電波工業社製)内に置いた。次いで、5×10−3Pa以下まで減圧した後、室温から800℃まで昇温速度20℃/分で真空加熱した。800℃に達したところで、その温度で維持して炉内圧力が0.92MPaになるまで高純度窒素ガス(99.9995%)を30分間導入した。高純度窒素ガスの導入後、0.92MPaを保持しながら、さらに、昇温速度20℃/分で1200℃まで昇温した。1200℃で5分間保持する間に熱電対から放射温度計に換えて、さらに昇温速度20℃/分で1600℃まで加熱した。1600℃に達したところで2時間維持し、さらに引き続いて20℃/分で1850℃まで加熱し、その温度で6時間維持した。焼成後1200℃まで降温速度20℃/分で冷却し、次いで放冷した。その後、生成物を解砕し、後述の実施例1〜11で用いる蛍光体1〜11を得た。
蛍光体1〜4はSrに対してCaを30モル%の割合で置換した蛍光体、蛍光体5、6はSrに対してCaを40モル%の割合で置換した蛍光体、蛍光体7〜11はSrに対してCaを30モル%、Baを表6に記載した割合で置換した蛍光体である。
Figure 2013214718
得られた蛍光体について、上記した方法により各種特性評価を行った。その結果を図4〜7、および後掲の表7に示す。比較例1〜3で用いる蛍光体についても発光特性の評価を行ない、後掲の表7に示す。
図4は、蛍光体1〜6の粉末X線パターンである。得られた粉末X線回折パターンは、
Si、Al、N、およびOから構成される骨格構造を有し、その空隙にSrサイトが存在するという結晶構造を持つ蛍光体の一種であるSrAlSiと同じ結晶構造、つまり空間群がPna2に分類される結晶構造の空間群を有する結晶相が示すものであり、そのピーク位置がわずかに異なる結果であった。また、図4で見られるピーク強度比の違いは測定における選択配向の影響であることが確認された。
図5は、蛍光体1〜6の発光スペクトルである。骨格構造を構成しているSi、Al、N、およびOの割合、および、SrサイトのCa置換量を調整することで、発光ピーク波長を制御することができることが可能であることがわかる。
図6は、蛍光体1、7〜11の粉末X線パターンである。得られた粉末X線回折パターンは、Si、Al、N、およびOから構成される骨格構造を有し、その空隙にSrサイトが存在するという結晶構造を持つ蛍光体の一種であるSrAlSiと同じ結晶構造、つまり空間群がPna2に分類される結晶構造の空間群を有する結晶相が示すものであり、そのピーク位置がわずかに異なる結果であった。また、図6で見られるピーク強度比の違いは測定における選択配向の影響であることが確認された。つまり、結晶構造内のSrサイトを表6に記載の割合で確実にBaを固溶置換できたことが確認された。
図7は、蛍光体1、7〜11の発光スペクトルである。骨格構造を構成しているSi、Al、N、およびOの割合とSrサイトのCa置換量を一定にし、さらにSrサイトをBaで置換すると、その置換量の増加に伴い半値幅が大きくなることが確認された。つまり、本発明の蛍光体における結晶構造内のSrサイトをBaで置換することで半値幅の制御が可能であることが確認された。
[実施例1〜11、および比較例1〜3]
実施例1〜11は、それぞれ、上述の蛍光体1〜11を、比較例1は、Ca−アルファサイアロンを、比較例2は、Sr1.98BaSiO:Eu0.02を、比較例3はイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体を青色LED(発光ピーク波長455nm)と組み合わせて半導体発光装置を作製したものとしてシミュレーションを行なった。なお、比較例1で用いたCa−アルファサイアロンは公知のものである。また、比較例2で用いたSr1.98BaSiO:Eu0.02は、粉末X線測定によりSr1.98BaSiO:Eu0.02が得られていることを確認した。さらに、比較例3で用いたイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体は三菱化学株式会社製、P46−Y3である。
以下の方法でシミュレーションを行った。
(シミュレーション方法)
青色LED(ピーク波長:450nm、半値幅:21nm)の実測データと、用いる蛍光体の波長455nm励起における実測の発光スペクトルより励起光源のスペクトルを差し引いた発光スペクトルをそれぞれ用意した。用意したそれぞれのスペクトルの発光ピーク強度を1に規格化し、青色LEDの強度と蛍光体の発光ピーク強度を任意の比で掛けたスペクトルを足し合わせ、一つの発光スペクトルとして計算されたものを白色スペクトルとして導出した。
各光学特性評価項目の計算方法は、以下の通りとした。
(i)JIS Z8724:1997(標題:色の測定方法−光源色−)に基づき、CIE 1931色度図上のxy色度座標を計算した。
(ii)上記(i)の結果を基に、CIE 1960 UCS色度図上のuv色度座標に変換した後、JIS Z8725:1999(標題:光源の分布温度及び色温度・相関色温度の測定方法 )に基づき相関色温度(ケルビン)およびとDuvを計算した。
(iii)JIS Z8726:1990(標題:光源の演色性評価方法)に基づき、白
色スペクトルより、演色評価数(Ra, R1〜R15)を計算した。
実施例1〜11、および比較例1〜3の発光装置について、シミュレーションにより作成した白色スペクトルから算出した色度、相関色温度、Duvの値を表7に示す。
Figure 2013214718
比較例1の発光装置では用いた蛍光体の半値幅が95nm以下と狭いため、演色評価数Raが57と低く、演色性の点で課題があったが、実施例1〜11では用いる蛍光体の半値幅が95nm以上と幅広いため、発光装置の演色性が向上した。
つまり、本発明の発光装置は、本発明により半値幅の広い蛍光体を提供できるようになったことにより、演色性がよく発光色が白色〜電球色である発光装置の提供が可能となった。
また、比較例1の発光装置の相関色温度、および、演色評価数Raは非特許文献1に記載の発光装置の相関色温度と演色評価数Raとほぼ一致しており、実施例の発光装置の発光スペクトル作成に用いたシミュレーションの妥当性が示された。
比較例2の発光装置では、用いる蛍光体の半値幅が狭く、また、発光ピーク波長が594nmと長波長すぎるので相関色温度が1942Kになり、単独で青色LEDと組み合わせただけでは電球色を示すことはできない。これに対して、実施例1〜11の発光装置は、使用する蛍光体の発光ピーク波長が短波長側にあるため、演色性がよく発光色が白色〜電球色である発光装置を提供できる。
比較例3の発光装置は使用する蛍光体の相関色温度が5500K程度であり、青色LEDとこの蛍光体のみでは白色〜電球色(2600K〜4500K)の発光装置とはなり得ない。
また、実施例1〜6では、演色性がよく発光色が白色〜電球色(4500K〜2600K)の発光装置を提供できたことが確認できた。これは、使用する本発明の蛍光体が発光スペクトルの半値幅が幅広いという特徴を維持しながら、発光ピーク波長を調整できようになったためである。なお、シミュレーション結果において、実施例1の発光装置の演色評価数Raは比較例1のものよりも7ポイント上回っており、実施例2〜6の演色評価数Raは実施例1のものと同等、もしくはプラス6ポイントの範囲内で増加していた。
さらに、実施例7〜11の発光装置では、実施例1と同程度の相関色温度でありながらも、シミュレーション結果において、演色評価数Raの値が実施例1より実施例7、8、9、10、11の順で1、ないしは2ポイントずつ増加していた。これは、発光装置に使用する蛍光体のSrサイトをBaで置換することにより、発光スペクトルの半値幅を幅広くすることができたことによるものである。これにより、演色性のよい電球色(2600K〜3250K)の発光装置の提供が可能になった。
[実施例12]
上述の実施例1でシミュレーションを行なった発光装置について図2(b)に示す構成の表面実装型白色発光装置を実際に下記の手順により作製し、発光特性の測定を行なった。なお、本実施例の各構成要素のうち、図2(b)に対応する構成要素が描かれているものについては、適宜その符号をカッコ書きにて示す。
第1の発光体(22)としては、波長450nm〜470nmで発光する青色発光ダイオード(以下適宜「青色LED」と略する。)であるInGaN発光ダイオード(昭和電工社製)を用いた。この青色LED(22)を、フレーム(24)の凹部の底の電極(27)に、接着剤として銀ペーストを用いてダイボンディングした。この際、青色LED(22)で発生する熱の放熱性を考慮して、接着剤である銀ペーストは薄く均一に塗布した。150℃で2時間加熱し、銀ペーストを硬化させた後、青色LED(22)とフレーム(24)の電極(26)とをワイヤボンディングした。ワイヤ(25)としては、直径25μmの金線を用いた。
蛍光体含有部(23)の発光物質として上記の蛍光体1を使用した。上記の蛍光体1、有機変性シリコーン樹脂(信越シリコーン社製のSCR1011)、アエロジル(日本ア
エロジル社製のRX−200)を15.5:85.5:2の重量割合で混合して蛍光体スラリー(蛍光体含有組成物)を作製した。アエロジルの使用目的は蛍光体の樹脂中での沈降防止のためである。
得られた蛍光体スラリーを、上述のフレーム(24)の凹部に注入し、100℃で3時間、さらに140℃で3時間加熱して硬化させ、蛍光体含有部(23)を形成し、表面実装型白色発光装置を作製した。
また、得られた発光装置を、25℃において、その青色LED(22)に20mAの電流を通電して駆動し発光させた。白色発光装置からの全ての発光を積分球で受け、さらに光ファイバーによって分光器に導き入れ、発光スペクトルと全光束とを測定し、白色色度座標を測定した。具体的には、気温25±1℃に保たれた室内において、オーシャン オプティクス社製の色・照度測定ソフトウェア及びUSB2000シリーズ分光器(積分球仕様)を用いて20mA通電して発光スペクトルの測定を行ない、電球色に発光することを確認した。得られた発光スペクトルから、実施例1〜11、および比較例1〜3と同様の手法で相関色温度を計算したところ、2773Kであった。
本発明の蛍光体は、光を用いる任意の分野において用いることができ、例えば屋内及び屋外用の照明などのほか、携帯電話、家庭用電化製品、屋外設置用ディスプレイ等の各種電子機器の画像表示装置などに好適に用いることができる。
1 蛍光体含有部(第2の発光体)
2 励起光源(第1の発光体)(LD)
3 基板
4 発光装置
5 マウントリード
6 インナーリード
7 励起光源(第1の発光体)
8 蛍光体含有部
9 導電性ワイヤ
10 モールド部材
11 面発光照明装置
12 保持ケース
13 発光装置
14 拡散板
22 励起光源(第1の発光体)
23 蛍光体含有部(第2の発光体)
24 フレーム
25 導電性ワイヤ
26 電極
27 電極

Claims (5)

  1. 第1の発光体(励起光源)と、該第1の発光体からの光を可視光に変換して、可視光を発し得る第2の発光体とを有する発光装置であって、
    該第2の発光体が第1の蛍光体として
    下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有する蛍光体を必須とし、
    下記式[1]におけるA元素全体に対するCaの割合が、0.001モル%以上80モル%以下であることを特徴とする、発光装置。
    下記式[1]:
    (A1−x,Eu [1]
    (式[1]中、AはSrおよびCaを必須とするアルカリ土類金属元素を示し、DはSiを必須とする4価の金属元素を示し、EはAlを必須とする3価の金属元素を示し、xは0.0001≦x≦0.20を満たす数を示し、a、b、c、d及びeは、それぞれ、
    0.95≦a≦1.05
    2.8≦b≦3.6
    1.4≦c≦2.2
    4.7≦(b+c)/a≦5.3
    5.8≦d≦6.6
    0.4≦e≦1.2
    6.7≦(d+e)/a≦7.3
    を満たす数を示す。)
  2. 前記式[1]で表される組成を有する結晶相を含有する蛍光体の発光ピークが、波長570nm以上600nm以下の範囲に存在する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記発光ピークの半値幅が、95nm以上である
    ことを特徴とする、請求項2に記載の発光装置。
  4. 相関色温度が2600K以上、4500K以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置を備える
    ことを特徴とする照明装置または画像表示装置。
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