JP2013213696A - 磁界強度の測定方法、フラックスゲート型磁気素子および磁気センサ - Google Patents
磁界強度の測定方法、フラックスゲート型磁気素子および磁気センサ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】励磁コイル9によって印加される励磁磁界Hexcに対応して検出コイル10から出力されるパルス信号の時間間隔を、被測定磁界Hextの印加されていない場合と印加されている場合とにおける差異が最小となるように、磁性体コアに巻き回されたフィードバックコイル21にフィードバック電流を供給するとともに、フィードバック電流の電流値に基づいて被測定磁界の強度を測定する。
【選択図】図1
Description
特許文献1のフラックスゲート型磁気素子は、以下の検出原理により磁界強度を出力する。
まず、磁性体コア材に巻回した励磁用コイルに、一定周期で変動する三角波励磁電流を印加する。その三角波励磁電流によって生じた三角波状の励磁磁界により、磁性コアはB−Hカーブに沿って磁化飽和と磁化方向の反転を繰り返す。この磁化方向が反転するときにパルス状の電圧信号が検出コイルに発生する。
ここに、被測定磁界である外部磁界が印可されたとする。三角波励磁電流によって発生した励磁磁界に外部磁界が足し合わされるため、外部磁界の大きさの分だけパルス電圧信号が発生するタイミングはシフトする。そのパルス電圧信号が発生する時間変化を検出回路で取り出すことによって、外部磁界の大きさに応じた出力を得ることができる。
フラックスゲート型磁気素子の磁性体コアは、図4に破線で示すようなB−H曲線の磁気飽和特性を有している。このB−H曲線では、グラフの原点を中心対称として、磁性体コアに印加される磁界Hと磁性体コアの磁束密度Bとの関係が直線的に変化する領域を有している。フラックスゲート型磁気素子は、この直線領域の磁気飽和特性を利用して磁界強度を測定する。
一般的な磁性材料で形成された磁性体コアにおいては、外部磁界が印加されると、磁性体コアの磁気飽和特性が変化し、図4に実線で示すようにB−H曲線における直線領域のリニアリティ(直線性)も変化する。すなわち、外部磁界が印加されることによって、磁界Hと磁束Bとの関係性が乱れた状態となる。さらに、その乱れの度合いは、印加される外部磁界のレンジに応じて異なっており、大きな外部磁界が印加されるほど、B−H曲線のリニアリティも悪化する度合いも大きくなる。
上記の理由により、前述した検出コイルに発生するパルス状の電圧信号が発生するタイミングが外部磁界のレンジによって変化し、特に大きな磁界が印加される場合において、高精度に磁気強度を測定することが困難であった。
磁性体コアと、前記磁性体コアに巻き回された励磁コイル、検出コイルおよびフィードバックコイルと、を備えたフラックスゲート型磁気素子を用いており、
前記フィードバックコイルは、前記磁性体コアにおける被測定磁界を打ち消すフィードバック磁界を発生させ、
前記フラックスゲート型磁気素子は、前記フィードバックコイルに供給する電流の値に基づいて被測定磁界の強度を出力することを特徴とする磁界強度の測定方法。
磁性体コアと、
前記磁性体コアに第1のソレノイドコイルと第2のソレノイドコイルとが巻き回されて、前記第1のソレノイドコイルおよび第2のソレノイドコイルの何れか一方が励磁コイルとされ他方が検出コイルとされたフラックスゲート型磁気素子であって、
前記磁性体コアには、フィードバックコイルが巻き回されていることを特徴とするフラックスゲート型磁気素子。
磁性体コアに第1のソレノイドコイルと第2のソレノイドコイルとが巻き回されて、前記第1のソレノイドコイルおよび第2のソレノイドコイルの何れか一方が励磁コイルとされ他方が検出コイルとされ、前記磁性体コアに巻き回されたフィードバックコイルを有するフラックスゲート型磁気素子と、
前記磁性体コアにおける被測定磁界を打ち消すフィードバック磁界を発生させるように、前記フィードバックコイルにフィードバック電流を供給するとともに、該フィードバック電流の値に基づいて被測定磁界の強度を出力する制御用集積回路と、
を具備してなることを特徴とする磁気センサ。
図1は、本実施形態における磁気センサを示す模式図であり、図において、符号MS10は磁気センサを示している。
フラックスゲート型磁気素子M12は、軟磁性材料からなる磁性体コア1に巻回された励磁コイル9、検出コイル10、フィードパックコイル21、を有する。
制御用集積回路MT10は、励磁電流発生回路MT11、センスアンプMT12、コンパレータMT13、フィードバック制御回路(FB制御回路)MT14、電流アンプMT15、出力端子MT16を有する。
磁気センサMS10は、例えば導電路に流れる電流が作る被測定磁界を測定するための電流センサなどである。
検出コイル10は、センスアンプMT12に接続されており、検出コイル10からの出力信号が増幅される。センスアンプMT12は、コンパレータMT13に接続されており、コンパレータMT13は、フィードバック制御回路MT14が接続され、フィードバック制御回路MT14には電流アンプMT15が接続され、電流アンプMT15には、フィードパックコイル21および出力端子MT16が接続される。
コンパレータMT13が出力したHigh値の維持時間とLow値の維持時間の比は、Duty比と呼ばれる。このDuty比が50:50であれば外部磁界(被測定磁界)が印加されていない状態である。50:50から外れていれば、外部磁界(被測定磁界)が印加されている状態である。50:50から大きく外れるほど、大きな外部磁界(被測定磁界)が印加されていることを示す。
電流アンプMT15は、フィードバック制御回路MT14が出力した直流電圧信号を基にして、Duty比を50:50に近づけるためのフィードパック電流をフィードバックコイル21に供給する。これにより、磁性体コアにおける磁化状態は、実効的には外部磁界が印可されていない状態となる。
図2は、フラックスゲート型磁気素子の動作原理を示すグラフである。図2(a)は、励磁コイルに供給する三角波励磁電流の時間変化を示すグラフである。図2(b)は、コアの磁化状態の時間変化を示すグラフである。図2(c)は、検出コイルに生じる検出信号の時間変化を示すグラフである。図3は、フラックスゲート型磁気素子M12の磁性体コアの磁化状態の時間による変化を示すB−H曲線(ヒステリシス曲線)である。
図10(a)に示すように、励磁電流発生回路MT11は、周期Tで変動する三角波励磁電流を励磁コイル9に供給する。それに伴って磁性体コア1において励磁磁界が発生する。図10(b)は、磁性体コア1における磁化状態の時間変化を示す。外部磁界Hext=0であるため、磁性体コア1における磁化状態は励磁磁界のみの影響を受け、三角波励磁電流と同期して変動する。したがって、三角波電流の極性が反転する時刻t2、t4、t6、t8と同じタイミングで、磁性体コア1における磁化状態(磁化方向)が反転する。図10(c)は、磁性体コア1の磁化状態が反転するときに検出コイル10に発生するパルス状の誘導電圧信号を示す。磁性体コア1の磁化状態が負から正へ反転する時刻t2とt6においては、正符号の誘導電圧信号K+が発生する。磁性体コア1の磁化状態が正から負へ反転する時刻t4とt8においては、負符号の誘導電圧信号K−が発生する。
図10(a)に示す外部磁界Hext=0の場合と同様に、図11(a)に示した三角波電流が励磁コイル9に供給されると、磁性体コア1に励磁磁界が発生する。磁性体コア1における磁化状態は、励磁磁界に加えて外部磁界Hextの影響を受ける。そのため、磁性体コア1における磁化状態の時間変化を示すグラフは、図11(b)に示すように、図10(b)の波形が一方の側(図11(b)では負の側)へシフトした形状となる。そうすると、磁性体コア1における磁化状態(磁化方向)が反転するタイミングが、励磁コイル9の三角波電流の変動と同期しなくなる。例えば、磁性体コアの磁化方向が負から正へ反転するタイミングが、時刻t2、t6からシフトとして、それぞれ時刻t3、t7へ近づく。そのため、正符号のパルス状誘導電圧信号K+が発生するタイミングも、時刻t3、t7へ近づく(図11(c))。一方、磁性体コア1の磁化方向が正から負へ反転するタイミングが、時刻t4、t8からシフトして、それぞれ時刻t3、t7へ近づく。そのため、負符号のパルス状の誘導電圧信号K−が発生するタイミングも、時刻t3、t7へ近づく(図11(c))。
なお、電流アンプMT15からの出力は、端子MT16を通して外部磁界強度表す磁気センサの出力として連続的に出力される。
図12(a)(図10(a)、図11(a)と同じ)に示した三角波電流が励磁コイル9に供給されると、磁性体コア1に励磁磁界が発生する。磁性体コア1における磁化状態は、励磁磁界に加えて外部磁界Hextの影響を受ける。上述した外部磁界Hext>0の場合とは逆の作用が働くため、コンパレータMT13において変調された後のHighの時間幅THとLowの時間幅TLは、図12(d)に示すように、TH>TLとなる。このときのTHをT3とし、TLをT4とすると、T3は基準時間間隔T0よりも大きくなり、T4は基準時間間隔T0よりも小さくなる。この基準時間間隔T0と、T3およびT4との差分だけ外部磁界Hextをキャンセルするような、つまり外部磁界Hextと逆方向の磁界を発生させるように、電流アンプMT15からフィードバックコイル21にフィードバック電流21が供給される。フィードバックコイル21は、外部磁界Hextをキャンセルするような方向と大きさを有するフィードバック磁界Hfbを発生させるので、磁性体コア1における外部磁界Hextをキャンセルし、外部磁界Hext=0付近の磁場状態が維持される。
なお、電流アンプMT15からの出力は、端子MT16を通して外部磁界強度表す磁気センサの出力として連続的に出力される。
さらに、フィードバック電流を励磁コイル9や検出コイル10に流した場合には、図9に示すように、フィードバックコイル21を励磁コイル9や検出コイル10と兼用させることができる。この場合、電流アンプMT15のフィードバック端子は、励磁コイル9あるいは検出コイル10に接続される。
磁性体コア1の平面形状は長手方向を有する形状であり、その断面形状は磁性材料を成膜して形成した薄膜形状である。
励磁コイル9、検出コイル10,フィードバックコイル21は、磁性体コア1の長手方向の全長に亘って形成されている。そして、それぞれの配線が略平行になるように、三重らせんとして巻回されている。
図7(A)に示すように、非磁性の基板M13の上に、ソレノイドコイルの下側配線を形成するための第1配線層4が形成される。次に、図7(B)に示すように、第1配線層4の上に、磁性体コア1とソレノイドコイルを絶縁するための第1絶縁層5とが形成される。第1絶縁層5には、第1配線層4と後に形成されるソレノイドコイルの上側配線となる第2配線層7とが接続される部分に開口部8が設けられる。
図7(C)に示すように、第1絶縁層5の上に軟磁性体膜からなる磁性体コア1が形成される。次に、図7(D)に示すように、磁性体コア1の上には、第1配線層4と第2配線層7の接続部に開口部8を設けた第2絶縁層6が形成される。第2絶縁層6の上には、図7(E)に示すように、第1配線層4の隣接する配線どうしをその端部にて接続するように第2配線層7が形成されて、ソレノイドコイルを形成している。配線は、2つおきに隣接する配線と接続されるため、断面におけるソレノイドコイルのループは閉じない。
ここで、励磁コイル9、検出コイル10及びフィードバックコイル21は、いずれも巻き数が同じで対称とすることができる。特に、フィードバックコイル21は、そのピッチが均一になるように、磁性体コア1の全長にわたって巻回されている。
なお、これらの図は模式的に示されており、各ソレノイドコイルに関しては一部が省略されている。また、磁気素子M12の細部形状は、図に示された形状に限定されるものではない。
この場合、磁気センサM10は、パッケージM10aに実装されたチップ状の軟磁性体からなる減磁体M11と、非磁性基板M13上に形成された磁気コア1を有するフラックスゲート型薄膜磁気素子M12と、リードフレームM14と磁気素子M12を電気的に接続するボンディングワイヤM15から構成される。磁気素子M12は板状の減磁体(チップ状軟磁性体)M11の上に積層して実装されている。磁気センサM10の感磁方向は、基板M13表面と平行方向である。減磁体M11には、例えばNiFeなどの金属軟磁性体材料や、Co系アモルファス等、フェライト等ノミルク状の軟磁性体や、シート状の軟磁性体を用いることができる。
減磁体M11と磁気素子M12との距離は、基板M13の厚みにより設定されている。減磁体M11は、平面視して、磁気素子M12の長手方向において、磁気素子M12よりも広い領域を覆うように形成することが望ましい。これにより、外部磁界Hextの大部分は減磁体M11に吸収され、外部磁界Hextの成分のうちの一部のみが磁気素子M12の磁気コア1に印加される。
実験例1として、図13に示すように、測定する磁界Hextを変化させたときのリニアリティ誤差を算出した。
ここで、リニアリティ誤差Δは、測定出力Houtに対し、
Δ=(Hout−Hext)/Hext ×100(%)
とした。
この結果から、本発明のフィードバックをおこなう磁気センサにおいては、外部磁界の範囲によらず、リニアリティが向上することがわかる。
上述したように自動車の駆動系、蓄電池への入出力線など大電流に対する電流計。
Claims (5)
- 磁性体コアと、前記磁性体コアに巻き回された励磁コイル、検出コイルおよびフィードバックコイルと、を備えたフラックスゲート型磁気素子を用いており、
前記フィードバックコイルは、前記磁性体コアにおける被測定磁界を打ち消すフィードバック磁界を発生させ、
前記フラックスゲート型磁気素子は、前記フィードバックコイルに供給する電流の値に基づいて被測定磁界の強度を出力することを特徴とする磁界強度の測定方法。 - 前記フィードバック磁界の強度は、被測定磁界の磁界強度と略同一であることを特徴とする請求項1に記載の磁界強度の測定方法。
- 前記フィードバックコイルに供給する電流の電流値は、前記検出コイルからの出力に基づいて決定されることを特徴とする請求項1および請求項2に記載の磁界強度の測定方法。
- 磁性体コアと、
前記磁性体コアに第1のソレノイドコイルと第2のソレノイドコイルとが巻き回されて、前記第1のソレノイドコイルおよび第2のソレノイドコイルの何れか一方が励磁コイルとされ他方が検出コイルとされたフラックスゲート型磁気素子であって、
前記磁性体コアには、フィードバックコイルが巻き回されていることを特徴とするフラックスゲート型磁気素子。 - 磁性体コアに第1のソレノイドコイルと第2のソレノイドコイルとが巻き回されて、前記第1のソレノイドコイルおよび第2のソレノイドコイルの何れか一方が励磁コイルとされ他方が検出コイルとされ、前記磁性体コアに巻き回されたフィードバックコイルを有するフラックスゲート型磁気素子と、
前記磁性体コアにおける被測定磁界を打ち消すフィードバック磁界を発生させるように、前記フィードバックコイルにフィードバック電流を供給するとともに、該フィードバック電流の値に基づいて被測定磁界の強度を出力する制御用集積回路と、
を具備してなることを特徴とする磁気センサ。
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