JP2013213072A - 毛髪脱色剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1剤と第2剤の混合時に、第1剤が舞い散ることがなく、容易に混合することができ、しかも、過酸化水素の規制された量であっても、より毛髪を脱色できる毛髪脱色剤を提供すること。
【解決手段】アルカリ剤を内包したカプセルからなる第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とからなり、前記アルカリ剤が、炭酸塩、炭酸水素塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、酢酸塩からなる群から選ばれる1種以上である固体のアルカリ剤である毛髪脱色剤とする。第1剤には、更に油性成分を内包させることが好ましく、カプセルはソフトカプセル化するのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪処理剤に関する。詳しくは、カプセル化された第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とからなる、毛髪脱色剤や酸化染毛剤などに用いる毛髪処理剤に関する。尚、本発明における室温とは、1〜30℃の雰囲気下の温度範囲をいう。
一般に、毛髪脱色剤や酸化染毛剤などの毛髪処理剤は、アルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とからなる二剤式のものが主流である。二剤式の毛髪脱色剤は、使用時に第1剤と第2剤とを混合し、毛髪中のメラニン色素を酸化分解することにより毛髪を脱色する。また、第1剤に更に酸化染料を配合した酸化染毛剤は、メラニン色素を酸化分解すると共に、酸化染料を毛髪内で酸化重合して毛髪を所望の色に染色する。
したがって、より毛髪を脱色したい場合、或いは明るい色に染毛したい場合には、メラニン色素を十分に分解するために過酸化水素の配合量を増大させることが必要となる。
しかし、第2剤に配合する過酸化水素の量は、日本においては、薬事法により上限6質量%に規制されている。また、欧州諸国においても、EU化粧品指令 AnnexIIIにより上限12質量%に規制されている。したがって、過酸化水素の配合量を規制量以上に配合できないという問題がある。
このような問題を解決し、毛髪をより脱色するために、過硫酸塩などの促進剤を第1剤に配合、或いは、第3剤として用いる毛髪脱色剤が知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
しかし、このような強い酸化力を有する過硫酸塩などを酸化染毛剤に用いると、酸化染料が毛髪内に浸透する前に酸化されたり、酸化された染料の重合体が分解したりして、毛髪を十分に染毛することができないという問題がある。また、このような第1剤や第3剤は、通常、粉末状の剤型で用いられることから、第2剤との混合時に、粉体が舞い散るという問題もある。
特開2006−169203号公報 特開2004−35501号公報 特開平4−279514号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであって、第1剤と第2剤の混合時に、第1剤が舞い散ることがなく、容易に混合することができ、しかも、過酸化水素の規制された量であっても、より毛髪を脱色できる毛髪処理剤を提供することを課題とする。また、酸化染毛剤の態様で用いた場合には、酸化染料の保存安定性に優れ、しかも、過酸化水素の規制された量であっても、毛髪を明るい色調にも染毛できる毛髪処理剤を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、
〔1〕 アルカリ剤を内包したカプセルからなる第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とからなり、前記アルカリ剤が、炭酸塩、炭酸水素塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、酢酸塩からなる群から選ばれる1種以上である固体のアルカリ剤である毛髪脱色剤、
〔2〕 更に、油性成分をカプセルに内包してなる前記〔1〕に記載の毛髪脱色剤、
〔3〕 油性成分が、室温で液状の油性成分である前記〔2〕に記載の毛髪脱色剤、
〔4〕 室温で液状の油性成分が、炭化水素油及び/又はシリコーン油である前記〔3〕に記載の毛髪脱色剤、
〔5〕 カプセルの壁膜体が、ゼラチン及び/又は寒天である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤、
〔6〕 カプセルに内包される成分に、実質的に水を含有しないことを特徴とする前記〔〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤、
〔7〕 カプセルが、ソフトカプセルであることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤、並びに
〔8〕 第2剤が、流動性を有する第2剤であることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の毛髪脱色剤
に関する。
本発明の毛髪処理剤は、第1剤と第2剤の混合時に、第1剤が舞い散ることがなく、容易に混合することができ、しかも、過酸化水素の規制された量であっても、より毛髪を脱色できるという効果を奏する。また、本発明の毛髪処理剤を酸化染毛剤の態様で用いると、酸化染料の保存安定性に優れ、しかも、過酸化水素の規制された量であっても、毛髪を明るい色調にも染毛できるという効果を奏する。
本発明の毛髪処理剤は、アルカリ剤を内包したカプセルからなる第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とから構成される。まず、本発明の第1剤について説明する。
本発明に用いるアルカリ剤は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されず、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤を用いることができる。無機アルカリ剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩;酒石酸カリウムナトリウムなどの酒石酸塩;クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムなどのクエン酸塩;リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどのリン酸塩;ピロリン酸ナトリウムなどのピロリン酸塩;ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩;メタケイ酸ナトリウムなどのメタケイ酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸塩等を例示することができる。また、有機アルカリ剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール等を例示することができる。なかでも、pH上昇効果の観点から、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、ケイ酸塩等の固体のアルカリ剤を用いるのが好ましく、第2剤中での分散性の観点から、粉末状にして用いるのがより好ましい。尚、これらのアルカリ剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜混合して用いても良い。
アルカリ剤の毛髪処理剤中の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、毛髪の脱色力の観点から、第2剤と混合した際に1質量%以上となる量を用いることが好ましく、より好ましくは、3質量%以上となる量である。また、安全性や皮膚刺激の観点から、第2剤と混合した際に20質量%以下となる量を用いることが好ましく、より好ましくは、15質量%以下となる量である。これらのことから、アルカリ剤の毛髪処理剤中での含有量は、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは3〜15質量%である。
本発明の毛髪処理剤は、毛髪脱色剤として用いる場合は、上記の如く、アルカリ剤が必須の成分として第1剤を構成するが、酸化染毛剤として用いる場合は、第1剤のカプセル中に、更に酸化染料が配合される。
本発明における酸化染料とは、自身の酸化重合により発色する染料前駆体、および染料前駆体との反応により種々の色相とするカップラーの双方を意味する。本発明に用いることのできる酸化染料前駆体としては、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類、及びそれらの塩酸塩、硫酸塩等の塩類等が挙げられる。具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、2,5−ジアミノアニソール、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、6−メトキシ−3−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2−クロル−6−メチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2−クロル−6−ブロム−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン類;パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、5−アミノサリチル酸、2−メチル−4−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2,6−ジメチル−4−アミノフェノール、3,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2,3−ジメチル−4−アミノフェノール、2,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、3−クロロ−4−アミノフェノール等のアミノフェノール類;2,5−ジアミノピリジン等のジアミノピリジン類等及びそれらの塩類等を例示することができる。
カップラーとしては、例えば、レゾルシン、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、5−アミノ−o−クレゾール、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,6−ジアミノピリジン、カテコール、ピロガロール、α−ナフトール、没食子酸、タンニン酸等及びそれらの塩類等を例示することができる。
本発明では、これら酸化染料のうち、固体粉末状のアルカリ剤と伴に用いる場合、混合性の観点から、固体の酸化染料を用いるのが好ましく、第2剤中での分散性の観点から粉末状にして用いるのがより好ましい。
酸化染料の毛髪処理剤中の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、毛髪への染色性の観点から、第2剤と混合した際に0.1質量%以上となる量を用いることが好ましく、0.2質量%以上となる量がより好ましい。また、皮膚刺激の観点から、第2剤と混合した際に2質量%以下となる量を用いることが好ましく、1.5質量%以下となる量がより好ましい。これらのことから、酸化染料の毛髪処理剤中での含有量は、好ましくは0.1〜2質量%であり、より好ましくは0.2〜1.5質量%である。
本発明の第1剤のカプセル中には、更に油性成分を内包させることができ、この油性成分に、前記アルカリ剤或いは、アルカリ剤と酸化染料を分散させるのが好ましい。これにより、第2剤との混合時に、アルカリ剤或いは、アルカリ剤と酸化染料の分散性がより良好となるという利点がある。
用い得る油性成分は、アルカリ剤の分散媒として用いることができれば特に限定されないが、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油等の油脂;カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、高重合メチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等のシリコーン類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド等の脂肪酸エステル;トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル等の脂肪酸トリグリセリドエステル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸などが挙げられる。
なかでも、アルカリ剤の分散性の観点から、室温で液状の油性成分を用いるのが好ましく、安定性の観点から流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等の炭化水素油;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油などを用いるのがより好ましい。尚、これらの油性成分は、1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜混合して用いても良い。
本発明の毛髪処理剤を毛髪脱色剤として用いる場合、第1剤のカプセル中の油性成分の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、アルカリ剤の分散性の観点から、アルカリ剤の0.5質量倍以上が好ましく、0.8質量倍以上がより好ましい。また、毛髪への残留性及び洗浄性の観点から、アルカリ剤の10質量倍以下が好ましく、5質量倍以下がより好ましい。これらのことから、カプセル中における油性成分の含有量は、好ましくはアルカリ剤の0.5〜10質量倍であり、より好ましくは0.8〜5質量倍である。
本発明の毛髪処理剤を酸化染毛剤として用いる場合、第1剤のカプセル中の油性成分の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、アルカリ剤及び酸化染料の分散性の観点から、アルカリ剤と酸化染料の合計量の0.5質量倍以上が好ましく、0.8質量倍以上がより好ましい。また、毛髪への残留性及び洗浄性の観点から、アルカリ剤と酸化染料の合計量の10質量倍以下が好ましく、5質量倍以下がより好ましい。これらのことから、カプセル中における油性成分の含有量は、好ましくはアルカリ剤と酸化染料の合計量の0.5〜10質量倍であり、より好ましくは0.8〜5質量倍である。
本発明に係る第1剤には、本発明の目的の効果を損なわない範囲であれば、上記した成分のほか、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレン還元ラノリン等のノニオン性界面活性剤;高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤;塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどのアルキルアミン塩;ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミドなどの脂肪酸アミドアミン等のカチオン性界面活性剤;アスコルビ酸、エリソルビン酸等の酸化防止剤、増粘剤、キレート剤、色素、分散剤等を適宜配合することができる。
かくして、前記第1剤の内容物を内包するカプセルとしては、後述する第2剤に投入できれば特に限定されないが、ソフトカプセルやハードカプセルなどのミニカプセルや、マイクロカプセル、ナノカプセル等を挙げることができる。
カプセルの製法は、特に限定されず、既知の方法でカプセル化することができる。例えば、マイクロカプセル化やナノカプセル化するのであれば、界面重縮合法、コアセルベーション法、界面沈殿法、真空蒸着皮膜法、スプレードライ法等を挙げることができる。ソフトカプセル化するのであれば、打ち抜き法や滴下法等を挙げることができ、ハードカプセル化するのであれば、浸漬法等を上げることができる。
尚、粉末状の成分或いは粉末を分散させた液状成分を容易にカプセル化できることから、ミニカプセル化するのが好ましく、水性媒体中での崩壊性の観点から、ソフトカプセル化するのがより好ましい。また、ソフトカプセル化する場合、球状のカプセルのみならず、三角型、ひし型、魚型、ボトル型等の種々の形状のカプセルが得られることから、打ち抜き法により製造するのが好ましい。種々の形状のカプセルとすることで、使用者に毛髪処理剤の使用時の楽しさを提供することができるという利点がある。
また、ソフトカプセル化した場合、カプセルの第2剤中での分散性並びに崩壊性の観点から、直径が0.1mm〜30mm程度のカプセルとするのが好ましく、直径が0.5mm〜25mm程度のとするのがより好ましい。
壁膜体の膜厚は、カプセルの強度並びに第2剤中での崩壊性の観点から、50μm〜500μm程度とするのが好ましい。
前記第1剤の内容物を内包物質としてソフトカプセル化する場合、カプセルの壁膜体はカプセル化できれば特に限定されないが、ゼラチン、カンテン、カラギーナン、デンプン等を例示することができる。なかでも、第2剤の水性媒体中で容易に崩壊させる観点から、ゼラチン、寒天等を用いるのが好ましい。
尚、カプセルの壁膜体の材質が、水性媒体中でのみ容易に崩壊する材質が好ましいことから、第1剤中のカプセルに内包させる成分に、実質的に水を含有しないことが好ましい。本発明における「実質的に水を含有しない」とは、「別途、水を含有させることはしない」という意味であり、各配合成分に含まれる微量の水の配合までを除外するものではない。
次に、本発明の第2剤について説明する。本発明に係る第2剤には、必須成分として過酸化水素を含有する。
第2剤中の過酸化水素の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、脱色性の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、皮膚刺激や毛髪の損傷を防止する観点から、12質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。これらのことから、第2剤中の酸化剤の含有量は、0.01〜12質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜6質量%とするとよい。
本発明の第2剤は、第1剤のカプセルを容易に崩壊させる観点から、水を含有して水性媒体を分散媒とすることが好ましい。用いる水は、通常、精製水であり、イオン交換水、水道水等であっても良い。
第2剤中の水の含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、第1剤のカプセルの崩壊を容易にする観点から、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。また、第2剤に過酸化水素のみを配合することを考慮すると、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましい。これらのことから、第2剤中の水の含有量は、好ましくは50〜99.99質量%であり、より好ましくは80〜99.9質量%である。
本発明の第2剤には、酸化剤の安定剤を含有させることができる。例えば、フェナセチン、ヒドロキシエタンジホスホン酸等を例示することができる。
また、本発明に係る第2剤には、本発明の目的の効果を損なわない範囲であれば、上記した成分のほか、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素;ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、ステアリン酸ステアリル等のエステル;アボガド油、オリーブ油、サフラワー油、硬化油等の動植物油;ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン等のノニオン性界面活性剤;高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤;塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどのアルキルアミン塩;ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミドなどの脂肪酸アミドアミン等のカチオン性界面活性剤;増粘剤、着色剤、香料等を目的に応じて適宜含有させることができる。
本発明に係る第2剤の剤型としては、液状、ジェル状、クリーム状等の種々の剤型で用いることができ、第1剤のカプセル剤を容易に分散させる観点から、液状、ジェル状等の流動性を有する剤型であることが好ましい。
本発明の毛髪処理剤を用いる場合、使用時に第1剤と第2剤とを混合して用いれば良いが、好ましくは、流動性を有する第2剤が充填されたアプリケータ容器に、カプセル化された第1剤を投入し、容器を密封して上下等に強く振とうする。これにより、第1剤のカプセルが第2剤中の分散媒により崩壊し、第1剤と第2剤とを容易に混合することができる。尚、第1剤にミニカプセルを用いる場合、アルカリ剤や酸化染毛剤が前記所定量配合されれば良く、第1剤に用いるミニカプセルの個数は、1個であっても良く2個以上としても良い。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。尚、配合量は特記しない限り、質量%である。
(製造例1:毛髪脱色剤「第1剤A」)
ゼラチン85質量%、デンプン10質量%、グリセリン5質量%を加熱溶解し均一化した後、約0.3mmのゲル状シートに成型し、ソフトカプセルの壁膜体とした。一方、下記組成の粉末及び油剤を撹拌均一化した懸濁液を常法により調製しカプセル内容物とした。これらを用い、打ち抜き法により直径約2.5cm(一粒8g)の球状のソフトカプセルを調製した。得られたソフトカプセルを、毛髪脱色剤の「第1剤A」とした。尚、このカプセルの内容物の重さは、7.7gである。
(1)ケイ酸ナトリウム 20.0
(2)炭酸マグネシウム 15.0
(3)炭酸ナトリウム 5.0
(4)塩化ナトリウム 3.0
(5)ポリオキシエチレン(50)ラノリン 5.0
(6)メチルポリシロキサン(20cs) 残 部
合 計 100.0
(製造例2:毛髪脱色剤「第1剤B」)
一般的なブースター(促進剤)を含有した粉末状の毛髪脱色剤第1剤(下記組成)を、常法により調製した。得られた第1剤を、毛髪脱色剤「第1剤B」とした。
(1)ケイ酸ナトリウム 3.0
(2)炭酸マグネシウム 10.0
(3)過硫酸アンモニウム 30.0
(4)過硫酸カリウム 30.0
(5)メタケイ酸ナトリウム 15.0
(6)塩化ナトリウム 10.0
(7)タルク 2.0
合 計 100.0
(製造例3:毛髪脱色剤「第1剤C」)
一般的な二剤式毛髪脱色剤のクリーム状の第1剤(下記組成)を、常法により調製した。得られた第1剤を、毛髪脱色剤「第1剤C」とした。
(1)28%アンモニア水 10.0
(2)リン酸ジセチル 1.0
(3)ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル 1.0
(4)ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 1.0
(5)メチルポリシロキサン 0.5
(6)セチルアルコール 5.0
(7)ポリエチレングリコール20000 1.0
(8)精製水 残 部
合 計 100.0
(製造例4:酸化染毛剤「第1剤D」)
ゼラチン85質量%、デンプン10質量%、グリセリン5質量%を加熱溶解し均一化した後、約0.3mmのゲル状シートに成型し、ソフトカプセルの壁膜体とした。一方、下記組成の粉末及び油剤を撹拌均一化した懸濁液を常法により調製しカプセル内容物とした。これらを用い、打ち抜き法により直径約2.5cm(一粒8g)の球状のソフトカプセルを調製した。得られたソフトカプセルを、酸化染毛剤の「第1剤D」とした。尚、このカプセルの内容物の重さは、7.7gである。
(1)ケイ酸ナトリウム 20.0
(2)炭酸マグネシウム 15.0
(3)炭酸ナトリウム 5.0
(4)硫酸トルエン2,5−ジアミン 1.0
(5)パラアミノフェノール 1.0
(6)5−アミノオルトクレゾール 2.0
(7)ポリオキシエチレン(50)ラノリン 5.0
(8)メチルポリシロキサン(20cs) 残 部
合 計 100.0
(製造例5:酸化染毛剤「第1剤E」)
一般的な二剤式酸化染毛剤のクリーム状の第1剤(下記組成)を、常法により調製した。得られた第1剤を、酸化染毛剤「第1剤E」とした。
(1)28%アンモニア水 10.0
(2)リン酸ジセチル 1.0
(3)ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル 1.0
(4)ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 1.0
(5)メチルポリシロキサン 0.5
(6)セチルアルコール 5.0
(7)硫酸トルエン2,5−ジアミン 0.3
(8)パラアミノフェノール 0.3
(9)5−アミノオルトクレゾール 0.6
(10)精製水 残 部
合 計 100.0
(製造例6:毛髪処理剤第2剤A)
一般的な二剤式毛髪脱色剤又は二剤式酸化染毛剤に用いられる液状の第2剤(下記組成)を、常法により調製した。得られた毛髪処理剤の第2剤を、毛髪処理剤「第2剤A」とした。
(1)過酸化水素水(35%) 16.7
(2)ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
(3)精製水 残 部
合 計 100.0
〔実験例1:毛髪脱色剤試料の調製〕
毛髪脱色剤の態様で、以下の検討を実施した。すなわち、アプリケータ容器に充填された毛髪処理剤「第2剤A」70gに、毛髪脱色剤「第1剤A」のソフトカプセル1個(8g)を投入し、容器を密封して上下に30回上下に振とうした。この毛髪処理剤を、「実施例1」とした。
アプリケータ容器に充填された毛髪処理剤「第2剤A」4質量部に対し、毛髪脱色剤「第1剤B」1質量部を投入し、容器を密封して上下に30回上下に振とうした。この毛髪処理剤を、「比較例1」とした。
また、アプリケータ容器に充填された毛髪処理剤「第2剤A」2質量部に対し、毛髪脱色剤「第1剤C」1質量部を投入し、容器を密封して上下に30回上下に振とうした。この毛髪処理剤を、「比較標準品1」とした。
(試験例1:使用性の評価)
上記第1剤の投入時に、第1剤の舞い散る程度を、比較標準品1と比較し下記評価基準に基づいて評価した。また、振とう時の混合の容易性について、下記評価基準に基づいて評価した。それぞれの結果を表1に記す。
<舞い散りの評価基準>
○:比較標準品1と同様に第1剤の舞い散りが全くない。
△:比較標準品1に比べ第1剤の舞い散りが僅かにある。
×:比較標準品1に比べ第1剤の舞い散りがある。
<混合性の評価基準>
○:比較標準品1と同様に均一に混合される。
△:比較標準品1に比べ僅かに均一に混合されない。
×:比較標準品1に比べ均一に混合されない。
(試験例2:脱色性の評価)
試験例1で混合して得た各毛髪処理剤2gを、重さ1g、長さ10cmの黒色人毛毛束に均一に塗布し、30℃の雰囲気下で30分間放置した。その後、水で洗浄し、ドライヤーを用いて毛束を乾燥して脱色毛束を得た。得られた各脱色毛束の脱色の程度を、比較標準品1と隣接比較して下記評価基準に基づいて評価した。結果を表1に記す。
<評価基準>
○:比較標準品1より毛髪が明らかに脱色されている。
△:比較標準品1より僅かに毛髪が脱色されている。
×:比較標準品1と同等に毛髪が脱色されている。
Figure 2013213072
表1の結果から、本発明の毛髪処理剤を毛髪脱色剤の態様で用いると、第1剤の投入時に第1剤が舞い散ることがなく、第1剤と第2剤を容易に混合できることが分かる。また、一般的な二剤式の毛髪脱色剤(比較標準品1)より脱色力に優れ、過硫酸塩などの強い酸化剤(促進剤)を用いなくとも、促進剤を用いた場合と同等以上の毛髪脱色力を発揮することが分かる。
〔実験例2:酸化染毛剤試料の調製〕
酸化染毛剤の態様で、以下の検討を実施した。すなわち、アプリケータ容器に充填された毛髪処理剤「第2剤A」70gに、酸化染毛剤「第1剤D」のソフトカプセル1個(8g)を投入し、容器を密封して上下に30回上下に振とうした。この毛髪処理剤を、「実施例2」とした。
また、アプリケータ容器に充填された毛髪処理剤「第2剤A」2質量部に対し、酸化染毛剤「第1剤E」1質量部を投入し、容器を密封して上下に30回上下に振とうした。この毛髪処理剤を、「比較標準品2」とした。
(試験例3:染料安定性)
「第1剤D」或いは「第1剤E」を、ポリプロピレン製のキャップおよびポリエチレン製の中栓のついたガラス瓶に密封し、温度40℃,湿度60%の恒温恒湿槽にて30日間保存後、染料の発色の程度を目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。「第1剤D」の結果を表2に記す。尚、「第1剤E」は染料の発色が認められ、染料安定性評価は下記評価基準の「×」であった。
<評価基準>
○:染料の発色が認められない。
△:染料の発色がわずかに認められる。
×:染料の発色が認められる。
(試験例4:使用性の評価)
実験例2の第1剤と第2剤の振とう時の混合容易性について、試験例1と同様に比較標準品2と比較して評価した。結果を表2に記す。
(試験例5:染色明度の評価)
試験例4で混合して得た各毛髪処理剤2gを、重さ1g、長さ10cmの黒色人毛毛束に均一に塗布し、30℃の雰囲気下で30分間放置した。その後、水で洗浄し、ドライヤーを用いて毛束を乾燥して、赤色に染色した染色毛束を得た。得られた各染色毛束の染色の色調(明度)の程度を、比較標準品2と隣接比較して下記評価基準に基づいて評価した。結果を表2に記す。
<評価基準>
○:比較標準品2より毛髪の明度が明らかに高い。
△:比較標準品2より僅かに毛髪の明度が高い。
×:比較標準品2と同等の毛髪の明度である。
Figure 2013213072
表2の結果から、本発明の毛髪処理剤を酸化染毛剤の態様で用いると、第1剤は染料安定性に優れることが分かる。また、本発明の毛髪処理剤は、第1剤と第2剤を容易に混合できることが分かる。更には、一般的な二剤式の毛髪処理剤(比較標準品2)に比べ、格段に明るい色調に染色できることが分かる。

Claims (8)

  1. アルカリ剤を内包したカプセルからなる第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とからなり、
    前記アルカリ剤が、炭酸塩、炭酸水素塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、酢酸塩からなる群から選ばれる1種以上である固体のアルカリ剤である毛髪脱色剤。
  2. 更に、油性成分をカプセルに内包してなる請求項1に記載の毛髪脱色剤。
  3. 油性成分が、室温で液状の油性成分である請求項2に記載の毛髪脱色剤。
  4. 室温で液状の油性成分が、炭化水素油及び/又はシリコーン油である請求項3に記載の毛髪脱色剤。
  5. カプセルの壁膜体が、ゼラチン及び/又は寒天である請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪脱色剤。
  6. カプセルに内包される成分に、実質的に水を含有しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪脱色剤。
  7. カプセルが、ソフトカプセルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の毛髪脱色剤。
  8. 第2剤が、流動性を有する第2剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の毛髪脱色剤。
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