JP2013212611A - 有機ガラス積層用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムの自浄性及び成形品の自浄性、並びにフィルムの耐温水性の向上を可能とする有機ガラス積層用フィルムを提供すること。
【解決手段】樹脂基材上に保護層を有し、該保護層が電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、該電離放射線硬化性樹脂が少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}として(98/2)〜(50/50)で含有することを特徴とする有機ガラス積層用フィルムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機ガラス積層用フィルムに関する。
自動車車輌窓材の軽量化等を目的とし、ガラス代替品として有機ガラスの研究が行われている。ポリカーボネートは強度が高く、透明度も高い点から有機ガラスとして利用されている。しかし、自動車車輌窓材として用いた場合、傷が付き易いという問題点がある。さらに、自動車車輌窓材は、空気中の埃や粉塵、油分といった汚染物が付着しやすく、該汚染物が付着した状態で風雨にさらされると、外観が著しく低下するという問題があった。
上記の問題は、従来、一般住居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁などの内外装、あるいは建造物や屋外に設置される構造物において問題となっており、例えば、特許文献1では、高度に親水化された自浄性を有する表面層を、当該表面層の屈折率よりも高い屈折率を有する層の表面に、0.05〜0.20μmの厚みで設けることにより、表面に自浄性を有し、且つその表面反射が低減することで透明性が向上し、窓ガラス、看板、道路標識などの表面に適用した際に、その視認性が低下することのないセルフクリーニングフィルムを提供することが提案されている。
また、特許文献2では、電離放射線硬化性樹脂及びシリケート化合物やアルキルシリケートなどの親水化剤を含有する接着剤組成物及びこれを硬化してなる表面保護層を有するシートを提供することにより、シートに優れた自浄性能とその持続性、耐候性とその持続性、及び透明性に加えて、可視光透過性、紫外線遮断性能を付与することが提案されている。
特開2002−11817号公報 国際公開第2011/081201号
本発明者らは、有機ガラスの表面を保護する有機ガラス積層用フィルムの自浄性能として、そのフィルムの自浄性と共に、有機ガラス積層用フィルムが有機ガラスに積層された成形品における自浄性が重要であると着目した。
そこで、本発明は、フィルムの自浄性及び成形品の自浄性の向上を可能とする有機ガラス積層用フィルムを提供することを課題とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、有機ガラス積層用フィルムの保護層として、特定の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いることにより上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、
[1] 樹脂基材上に保護層を有する有機ガラス積層用フィルムであって、該保護層が電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、該電離放射線硬化性樹脂が少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}として(98/2)〜(50/50)で含有することを特徴とする有機ガラス積層用フィルム、
[2] 上記[1]に記載の有機ガラス積層用フィルムを金型内に配置する工程(1)、基体用樹脂を金型内に射出する工程(2)、及び該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラス成形品を取り出す工程(3)をこの順に有する有機ガラス成形品の製造方法、及び
[3] 少なくとも樹脂基体、樹脂基材及び保護層をこの順に有する有機ガラス成形品であって、該保護層が電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、該電離放射線硬化性樹脂が少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}として(98/2)〜(50/50)で含有することを特徴とする有機ガラス成形品、
である。
本発明によれば、フィルムの自浄性及び成形品の自浄性の向上を可能とする有機ガラス積層用フィルムを得ることができる。
本発明の有機ガラス積層用フィルムの断面を示す模式図である。
本発明を、図面に基づき説明する。図1は、本発明の有機ガラス積層用フィルムの断面を示す模式図である。
本発明の有機ガラス積層用フィルム1は、樹脂基材2上に保護層3を有するものであり、所望により樹脂基材2と保護層3との間に接着層4を有していてもよい。ここで有機ガラスとは、プラスチック材料で構成される部材を指し、所謂、一般的に主成分として二酸化ケイ素を含有するケイ酸ガラスや、石英ガラスなどの無機ガラスの代替用部材として用いられるものである。なお、有機ガラスとしては、透明ガラス、着色透明ガラス、曇りガラスなどが含まれる。
保護層3は、電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。ここで、本明細書において電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他に、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
保護層3の厚さは、2〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。保護層3の厚さが上記範囲内であると、優れた自浄性及び可視光透過性と耐光性が効率的に得られる。また、優れた作業性も得られる。
≪電離放射線硬化性樹脂≫
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂は、少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}として(98/2)〜(50/50)で含有することを特徴とする。質量比(98/2)よりポリカーボネート(メタ)アクリレートが多くなると耐擦傷性が低下し、質量比(50/50)よりポリカーボネート(メタ)アクリレートが少なくなると三次元成形性が低下してしまう。この耐擦傷性と三次元成形性とをより好適に向上させる観点から質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}が(96:4)〜(80:20)であることが好ましい。
本発明に用いられるポリカーボネート(メタ)アクリレートは、特に限定されず、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、且つ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば良い。このポリカーボネート(メタ)アクリレートは、硬化する観点から、2官能以上有することが好ましく、2〜5官能有することがより好ましい。2官能以上であると架橋密度が十分となるため、硬化後の保護層3に傷がつきにくくなり、また、5官能以下であると、架橋密度が高すぎないため、加飾シートを三次元成形に供した場合であっても、形状に十分に追従することができる。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましい。ポリカーボネート(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。耐擦傷性と三次元成形性とを改良する観点から、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜20,000がより好ましい。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
ポリカーボネート(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートは、2官能以上の(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。ただし、硬化性の観点から3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、2官能とは、分子内にエチレン性不飽和結合{(メタ)アクリロイル基}を2個有することをいう。
また、多官能(メタ)アクリレートは、オリゴマー及びモノマーのいずれでも良いが、三次元成形性向上の観点から多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートは、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された重量平均分子量が、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましく、5,000以上が特に好ましい。多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、粘度が高くなり過ぎないように制御する観点から100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、20,000以下が特に好ましい。耐擦傷性と三次元成形性とを改良する観点から、さらに好ましくは、2,000〜50,000であり、特に好ましくは、5,000〜20,000である。
上記の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、他の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を調整するなどの目的で、メチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。また、所望により、光増感剤を加えてもよい。
≪アルキルシリケート≫
本発明で用いられるアルキルシリケートは、Si原子と結合するアルコキシ基を少なくとも一つ有するものであればよい。このアルキルシリケートは、炭素数2以上のアルコキシ基を含むことが、樹脂基体と有機ガラス積層用フィルム1との積層体である有機ガラス成形品の自浄性を高めるために好ましく、この観点からアルキルシリケートのアルコキシ基が、炭素数2以上のアルコキシ基のみであることがより好ましく、炭素数2〜10のアルコキシ基のみであることがさらに好ましく、炭素数2のアルコキシ基、すなわちエトキシ基であることが特に好ましい。有機ガラス積層用フィルム1とポリカーボネート樹脂等の有機ガラスを構成する樹脂基体との積層体である有機ガラス成形品を得る工程では、通常、加熱下で樹脂基体に積層されるので、炭素数2以上のアルコキシ基であれば、この加熱を経ても自浄性が低下しにくいからである。一方、アルキルシリケートの初期自浄性は、炭素数の少ないアルコキシ基ほど高いので、成形品の自浄性としては、炭素数2のアルコキシ基が特に好ましいこととなる。炭素数2のアルコキシ基であれば耐温水性試験で実用上問題ないレベルを維持しつつ、自浄性を発揮できる点で好ましい。
また、本発明で用いられるアルキルシリケートは、下記一般式(1)で示されるテトラアルキルシリケートの縮合物であることが好ましい。
一般式(1)中、R1〜R4は、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状あるいは枝分かれ状のアルキル基を示す。また、複数のR1及びR2は、同じでも異なっていてもよい。R1〜R4としては、成形品の自浄性を高める観点から、炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、炭素数2〜4のアルキル基が好ましく、エチル基及びプロピル基がより好ましく、エチル基がさらに好ましく、少なくともR1〜R4のいずれか一つ以上がエチル基であることが好ましい。
本発明で用いられるアルキルシリケートは、フィルム及び成形品の自浄性及び透明性を高める観点から、20〜40量体であることが好ましく、20〜35量体であることがより好ましく、20〜30量体であることがさらに好ましい。
以上より、nは平均値として20〜40であることが好ましく、20〜35がより好ましく、20〜30がさらに好ましい。
なお、本発明においては、上記の20〜40量体、20〜35量体、あるいは20〜30量体における「量体数」は、下記のように「量体数の平均値」である。よって、例えば15〜30量体の混合物であり平均25量体のアルキルシリケートのように、20量体未満のものが含まれていても、平均20量体以上であれば、本発明で用いられるアルキルシリケートに含まれる。
また、本発明で用いられるアルキルシリケートの重量平均分子量は、2100〜7800であることが好ましく、2100〜6500がより好ましく、2500〜4500がさらに好ましい。
なお、本発明におけるアルキルシリケートの重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された値をいう。また、本発明におけるアルキルシリケートの量体数は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算されたGPC較正曲線から算出した量体数の平均値である。
アルキルシリケートの含有量は、優れた自浄性及び透明性を得ることができ、電離放射線硬化性樹脂のより良い硬化の状態が得られる観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対してアルキルシリケートを1〜20質量部含有することが好ましく、3〜15質量部含有することがより好ましく、6〜10質量部含有することがさらに好ましい。
≪各種添加剤≫
本発明に係る電離放射線硬化性樹脂組成物は、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば、耐候性改善剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
≪樹脂基材2≫
本発明の有機ガラス積層用フィルム1で用いられる樹脂基材2としては、プラスチックフィルム、プラスチックシートが好ましく、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂などからなるものが好ましく挙げられる。なかでも、可視光透過性や作業性などを考慮すると、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂;及びポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(PEDC)などのポリカーボネート系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)が好適に挙げられ、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートとしてはアリルジグリコールカーボネートが好適に挙げられる。
なお、樹脂基材2は透明であることに限定されないが、有機ガラスの透明ガラス、着色透明ガラス、曇りガラスなどの特性を生かす観点から、透明であるであることが好ましい。
また、樹脂基材2には、可視光透過性を阻害しない範囲内であれば、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
樹脂基材2の厚さについては特に制限はないが、優れた耐候性を確保し、かつ作業性や汎用性を考慮すると、通常20〜200μm程度、好ましくは30〜150μmの範囲である。
樹脂基材2は、その上に設けられる保護層3との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面にコロナ放電処理、クロム酸化処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などの酸化法や、サンドブラスト法、溶剤処理法などの凹凸化法といった、物理的または化学的表面処理を施すことができる。
樹脂基材2は、該樹脂基材2とその上に設けられる層との層間密着性の強化などを目的として、易接着層を形成するなどの処理を施してもよく、予め上記のような表面処理が施された市販品や、易接着剤層が設けられたものを用いることもできる。
≪接着層4≫
本発明の有機ガラス積層用フィルム1は、所望により、樹脂基材2と保護層3との間に接着層4を有してもよい。樹脂基材2と保護層3との間の層間密着性を強化するためである。接着層4の形成に用いられる材料としては特に限定されず、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの樹脂の1種単独又は2種以上の混合物が用いられるが、特にポリウレタン系2液硬化型樹脂を用いたものが好ましい。
ポリウレタン系2液硬化型樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのポリマーポリオール単独、又はそれらの混合物に対して、使用直前に硬化剤を添加したものが用いられる。
硬化剤としては、多価イソシアネートが好ましく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート;を用いることができ、あるいは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体なども用いることができる。
また、本発明において、ポリウレタン系2液硬化型樹脂は、ポリマーポリオールの未硬化時のガラス転移温度Tgが65℃以上であることが好ましく、該ガラス転移温度Tgの上限に特に制限はないが、通常110℃程度であり、好ましいTgは70〜100℃の範囲である。ガラス転移温度Tgが上記範囲内であると、優れた密着性が得られる。
接着層4には保護層3に用いられる紫外線吸収剤や光安定剤を含有させることもできるので、本発明の有機ガラス積層用フィルム1に、より優れた耐候性を付与することもできる。接着層4における紫外線吸収剤の含有量は、接着層4の形成に用いられる樹脂100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、5〜25質量部がさらに好ましい。また、光安定剤の含有量は、接着層4の形成に用いられる樹脂100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。
接着層4の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。
≪裏面接着層≫
本発明の有機ガラス積層用フィルム1は、上記保護層3を設けた樹脂基材2面の反対側の面に、必要に応じ、有機ガラスとの接着をより高める観点から、裏面接着層を設けることができる。裏面接着層としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成されるものが挙げられるが、本発明においては、必要に応じて加熱及び加圧によって、加飾成形品に対する密着性を発現する熱接着性層であることが好ましい。接着剤層16を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂を挙げることができる。前記樹脂の中から選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
裏面接着層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。
裏面接着層を設ける場合は、保護層3を形成するための電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布前又は後に、樹脂基材2の電離放射線硬化性樹脂組成物層を設けた面とは反対の面に、裏面接着層を形成する接着剤を塗布する。
裏面接着剤層には、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物などの有機系の紫外線吸収剤や、亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄などの酸化物のような無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を含有させることができる。また、添加剤として、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤なども適宜、必要に応じて含有させることができる。
本発明の有機ガラス積層用フィルム1は、例えば以下の方法により好ましく製造することができる。樹脂基材2の一方の面に、所望により設けられる接着層4形成用の樹脂組成物を塗布し、次いで本発明に係る電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する。ここで、接着層4形成用の樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布は、各々硬化後の厚さが上記範囲内となるようにグラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。
本発明に係る電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して形成した未硬化樹脂層は、電子線、紫外線などの電離放射線を照射して硬化することで、保護層3となる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
[有機ガラス成形品の製造方法]
以上のようにして得られた本発明の有機ガラス積層用フィルム1は、好ましくは有機ガラス成形時において積層され、成形方法は限定されない。
成形方法として、例えば、サーモジェクト成形法(加熱真空成形工程と射出成形工程を1つにした射出成形法)、インサート成形法、インモールド成形法等の射出成形法、押出し成形法、射出プレス成形法等の種々の成形方法が用いられる。
サーモジェクト成形法、インサート成形法又はインモールド成形法においては、有機ガラス積層用フィルム1の裏面にポリカーボネート樹脂等の有機ガラス樹脂を射出して、種々の曲面を有する自動車用窓ガラス等の有機ガラス成形品を製造することができる。インモールド成形法では、有機ガラス積層用フィルム1を加熱することなく、射出成型機の金型内に挟み込み、射出することにより、基体用樹脂(射出樹脂)の熱等で有機ガラス積層用フィルム1を積層することができる。
また、押出し成形法では、ポリカーボネート樹脂等の有機ガラスがダイスから吐出する直後又は冷却後に、ロール等で、有機ガラス積層用フィルム1の裏面を有機ガラス(基体用樹脂)に圧着して積層することができる。
さらに、射出プレス成形法では、型開きした金型に予め有機ガラス積層用フィルム1を配置し、圧縮ストローク分だけ開いた金型空間に溶融樹脂を射出し、充填完了後金型を閉じ、型締め力で圧縮して、有機ガラス積層用フィルム1を有機ガラス(基体用樹脂)に積層する。
また、本発明の有機ガラス積層用フィルム1を有機ガラス(基体用樹脂)に貼着した後、有機ガラス(基体用樹脂)を加熱成形して自動車用窓ガラス等の有機ガラス成形品を製造してもよい。
本発明の有機ガラス積層用フィルムは、優れた自浄性に加えて、透明性、耐候性、耐傷性及び三次元成形性にも優れる。これらの優れた性能を有効に活用する観点から、上記の方法のなかでも、射出成形法、すなわちサーモジェクト成形法、インサート成形法、あるいはインモールド成形法が好適に採用される。以下、これらの成形法について、より具体的に説明するが、有機ガラス成形品の製造方法はこれらの例示には限定されない。
本発明の有機ガラス積層用フィルムは、特に成形時に熱がかかる成形方法、例えばサーモジェクト成形法であれば熱板による加熱や基体用樹脂(射出樹脂)による熱、またインモールド成形法であれば基体用樹脂(射出樹脂)による熱などの影響があっても、アルキルシリケートとして炭素数2以上のアルコキシ基を使用することで、自浄性を有する状態が維持できる効果を奏する。
本発明の有機ガラス成形品の製造方法は、有機ガラス積層用フィルム1を金型内に配置する工程(1)、基体用樹脂を金型内に射出する工程(2)、及び該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラス成形品を取り出す工程(3)をこの順に有することが好ましい。この製造方法として、以下に、サーモジェクト成形法、インサート成形法及びインモールド成形法を例示するが、これらの方法には限定されない。
本発明の有機ガラス積層用フィルム1を用いて、サーモジェクト成形法により本発明の有機ガラス成形品を製造する場合は、例えば、以下の工程(1)〜(6)により製造することができる。
(1)有機ガラス積層用フィルム1の保護層側を金型側に向けつつ供給する工程。この工程において、本発明の有機ガラス積層用フィルム1は、射出成形機のキャビティ(凹型)側に保護層を向けてもよいし、コア(凸型)側に保護層を向けてもよい。また、キャビティ(凹型)側及びコア(凸型)側の双方に保護層を向けてもよい。
(2)該有機ガラス積層用フィルム1をフィルムクランプと金型とで挟持する工程。
(3)必要に応じて設けられる、熱盤によって該有機ガラス積層用フィルムの予備成形する領域を加熱する工程。
(4)該有機ガラス積層用フィルム1を金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締する工程。
(5)基体用樹脂を金型内に射出する工程。
(6)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラス成形品を取り出す工程。
また、本発明の有機ガラス積層用フィルム1を用いて、インサート成形法により本発明の有機ガラス成形品を製造する場合は、例えば、以下の工程(1)〜(4)により製造することができる。
(1)上記有機ガラス積層用フィルム1の樹脂基材側に支持体層を配置する工程。支持体層を構成する樹脂としては限定されないが、有機ガラス(基体用樹脂)又は樹脂基材2と同じ樹脂であることが好ましい。
(2)該有機ガラス積層用フィルム1の保護層側を金型側に配置して真空成形する工程。この工程において、本発明の有機ガラス積層用フィルム1は、サーモジェクト成形法と同様に、射出成形機のキャビティ(凹型)側に保護層を向けてもよいし、コア(凸型)側に保護層を向けてもよい。また、キャビティ(凹型)側及びコア(凸型)側の双方に保護層を向けてもよい。
(3)真空成形後の支持体層付き該有機ガラス積層用フィルム1の支持体層側に射出するように、基体用樹脂を金型内に射出する工程。
(4)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラス成形品を取り出す工程。
本発明の有機ガラス積層用フィルム1を用いて、インモールド成形法により本発明の有機ガラス成形品を製造する場合は、例えば、以下の工程(1)〜(3)により製造することができる。この方法により、基体用樹脂の表面に積層用フィルムを一体化接着させて有機ガラスを製造することができる。
(1)有機ガラス積層用フィルムを金型内に配置する工程。
(2)必要に応じて真空引きし、基体用樹脂を金型内に射出する工程。
(3)該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラス成形品を取り出す工程。
[有機ガラス成形品]
本発明の有機ガラス成形品は、少なくとも樹脂基体、樹脂基材及び保護層をこの順に有し、該保護層が電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、該電離放射線硬化性樹脂が少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}として(98/2)〜(50/50)で含有することを特徴とする有機ガラス成形品である。
≪樹脂基体≫
有機ガラス成形品に用いられる樹脂基体を構成する基体用樹脂としては、射出成形可能な樹脂であれば特に制限されず、様々な樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。有機ガラスとしては、透明性、耐衝撃性の観点で、アクリル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。
また、これらの樹脂には、必要に応じて各種添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機物粉末、木粉、ガラス繊維などの充填剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などを添加することができる。なお、基体用樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。着色剤には、前述の基材に用いることのできるものと同様の公知の着色剤を使用できる。
有機ガラス成形品に用いられる樹脂基体の厚みについては特に制限はなく、当該有機ガラス成形品の用途に応じて選定されるが、通常1〜20mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。基板の厚さが1mm以上であると面剛性などの実用的な強度が十分となり、20mm以下であると加工性が向上する。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)フィルムの自浄性
実施例及び比較例で得られた有機ガラス積層用フィルムを、屋外南向きに傾斜45°で設置した。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を、目視観察により下記の基準で評価したものを初期性能の評価とした。
◎ :汚れの付着や沈着は全く確認されなかった。
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった。
△ :汚れの付着や沈着は若干あったが、実用上問題はなかった。
× :汚れの付着や沈着が著しかった。
(2)成形品の自浄性
実施例及び比較例で得られた有機ガラス積層用フィルムを用い、ポリカーボネート樹脂を基体用樹脂(射出樹脂)として射出成形同時積層方法(サーモジェクト工法)により、該フィルムとポリカーボネート樹脂からなる有機ガラスとの積層体である有機ガラス成形品を得た。該成形品の自浄性をフィルムと同様の方法で評価した。
◎ :汚れの付着や沈着は全く確認されなかった。
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった。
△ :汚れの付着や沈着は若干あったが、実用上問題はなかった。
× :汚れの付着や沈着が著しかった。
(3)自浄性効果の発現速度
有機ガラス積層用フィルムを室内で放置後、各保護層の親水性が発現するまでの時間を評価した。
◎:1週間以内
○:1週間以上1ヶ月未満
△:1ヶ月以上2ヶ月未満
×:2ヶ月以上
(4)耐温水性
実施例及び比較例で得られた有機ガラス積層用フィルムを用い、ポリカーボネート樹脂を基体用樹脂(射出樹脂)として射出成形同時積層方法(サーモジェクト工法)により、該フィルムとポリカーボネート樹脂からなる有機ガラスとの積層体である有機ガラス成形品を得た。該成形品を80℃の温水に7日間浸漬した。浸漬後の成形品の外観を、目視観察により下記の基準で評価した。
5:外観変化は全くなかった。
4:外観変化はほとんどなかった。
3:外観がわずかに白化したが、実用上問題はなかった。
2:外観が若干白化したが、実用上問題はなかった。
1:外観が著しく白化した。
実施例1〜5及び比較例1
樹脂基材として、透明ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(厚さ:75μm)からなる樹脂フィルムを準備した。ポリウレタン系2液硬化型樹脂(アクリル系ポリマーポリオールと硬化剤としてキシリレンジイソシアネートとを、NCO当量とOH当量とが同量になるように含む組成物,ガラス転移温度Tg(ポリオールの未硬化時):100℃)80質量部並びにウレタン樹脂(ガラス転移点:−30〜−40℃)20質量部からなるプライマー組成物の溶液をグラビア印刷により塗布して、接着層(厚み1.5μm)を形成した。次いで、第1表に記載した電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、グラビアコート法にて塗膜を形成し、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を硬化させることにより、保護層(10g/m2)を形成した。得られた保護層の厚さは10μmであった。
得られた実施例1〜5及び比較例1のフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
[注]
*1: 2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量:10,000)
*2: 6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:6,000)
*3: メチルシリケート{上記一般式(1)におけるR1〜R4が全てメチル基のアルキルシリケートの26量体、重量平均分子量:2700}
*4: エチルシリケート{(上記一般式(1)におけるR1〜R4がエチル基であるアルキルシリケートの23量体、重量平均分子量:3200}
*5: ブチルシリケート{(上記一般式(1)におけるR1〜R4がブチル基であるアルキルシリケートの21量体、重量平均分子量:4000)}
実施例1〜5で得られた有機ガラス積層用フィルムは、比較例1対比、フィルムの自浄性、成形品の自浄性、及び自浄効果の発現速度の点で優れた結果を示すことが確認された。また、フィルムの耐温水性も実用上問題なかった。
一方、比較例1で得られた有機ガラス積層用フィルムは、フィルムの耐温水性が良好であったものの、フィルムの自浄性、成形品の自浄性、及び自浄効果の発現速度の点でいずれも実用に耐え得ない性能であった。
本発明の有機ガラス積層用フィルムは、樹脂基材上に保護層を有し、該保護層が特 定の電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂 組成物の硬化物からなるので、このフィルムを積層した有機ガラス成形品は、一般住 居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁、屋根などの建造物外装、あるいは自 動車、列車、船舶、航空機、産業機械、重機などの構造物外装、とりわけ窓材やサン ルーフ材、さらにはヘッドランプ、ヘッドランプカバーなどといった、従来無機ガラ スが用いられていた部分に好適に用いられる。
1.有機ガラス積層用フィルム
2.樹脂基材
3.保護層
4.接着層

Claims (9)

  1. 樹脂基材上に保護層を有する有機ガラス積層用フィルムであって、該保護層が電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、該電離放射線硬化性樹脂が少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}として(98/2)〜(50/50)で含有することを特徴とする有機ガラス積層用フィルム。
  2. 前記アルキルシリケートが、炭素数2以上のアルコキシ基を含む請求項1に記載の有機ガラス積層用フィルム。
  3. 前記アルキルシリケートのアルコキシ基が、炭素数2以上のアルコキシ基のみである請求項2に記載の有機ガラス積層用フィルム。
  4. 前記アルキルシリケートが、20〜40量体である請求項1〜3のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  5. 前記アルキルシリケートの重量平均分子量が、2100〜7800である請求項1〜4のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  6. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して前記アルキルシリケートを1〜20質量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  7. 前記樹脂基材と前記保護層との間に接着層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の有機ガラス積層用フィルムを金型内に配置する工程(1)、基体用樹脂を金型内に射出する工程(2)、及び該基体用樹脂が冷却した後に金型から有機ガラス成形品を取り出す工程(3)をこの順に有する有機ガラス成形品の製造方法。
  9. 少なくとも樹脂基体、樹脂基材及び保護層をこの順に有する有機ガラス成形品であって、該保護層が電離放射線硬化性樹脂とアルキルシリケートとを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、該電離放射線硬化性樹脂が少なくともポリカーボネート(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを質量比{ポリカーボネート(メタ)アクリレート/多官能(メタ)アクリレート}として(98/2)〜(50/50)で含有することを特徴とする有機ガラス成形品。
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