JP2013211455A - Led素子の駆動方法及び駆動用電源装置 - Google Patents

Led素子の駆動方法及び駆動用電源装置 Download PDF

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Abstract

【課題】LED素子の破損を招くことなく光度の増大を見込むことができ、しかも、電力が電流制限抵抗等によって無駄に消費されることがないLED素子の駆動方法及び駆動用電源装置を提供する。
【解決手段】任意の個数配置したLED素子の列から成る少なくとも一つのブロックを有し、当該ブロックのLED素子の作動を制御する信号電流を複数個に分割し、複数個の内の一つの信号電流によって、デューティー比対応の許容順電流をLED素子に許容時間通電し、複数個の内の他の信号電流によって、LED素子が破損しない定格順電流をLED素子に許容時間通電し、上記二種類の通電を周期的に行なうことによってLED素子を駆動するものとし、かつ、上記LED素子により定格順電流と許容順電流に対応する電圧の差を作り出す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、LED素子の光度増大のためのLED素子の駆動方法及び駆動用電源装置の改良に関するものである。
LED素子は定格電流において光度、効率、寿命等が最適となる素子であり、定格電流を下回る小電流を通電した場合にはより長寿、高効率となるがそれに伴って光度も低下する。逆に、定格電流よりも大電流を通電した場合、光度も増大するが効率が低下して発熱し、熱に弱いため短寿命となるという特性を持っている。光度を増大させたいとの考えによって大電流を通電してもLED素子は破損してしまうので、定格以上の大電流を流すことは禁物なのである。
従って、LED素子駆動用電源装置として従来はLED素子の特性から主として定電流回路が用いられているが、LED光源の光度を増大させる場合にはLED素子の配置密度を高めることしか方法がない。なお、隣接技術に関して検索すると、特開2006−58909号があり、電気光学装置において表示品質の改善を図る発明を開示している。しかしこれは駆動電流に応じた光度で発光する電気光学素子を用いた電気光学装置を対象とするものであり、LED素子は駆動電流に応じた光度で発光するとはいえないものであるから、これを適用して光度増大を図ることは困難である。
このため本発明の出願人は、LED素子の光度増大のための技術開発を推進し、その成果に基づいて、先に、特開2010−40659号を出願した。同号の発明では、多数のLED素子を直列接続して使用するが、LED素子は電流の増加とともに消費する電圧も上昇するので、LED素子に流れる電流量が大小変化すると、LED素子の数が増えれば増えるほど各素子に供給される電圧に差が出てくる。この結果、電流が増加したときを基準に電圧を設定すると、電流が減少したときには多くの電力が電流制限抵抗等によって無駄に消費されることになり、その上、上記抵抗等で消費された電力は発熱の問題を引き起こすことが指摘された。このように、LED素子を複数個直列接続する、先の発明は電力の損失が大きく、製品化しても実用性の低いものに止まることが予測される。
そこで出願人は、先の発明と同様に、パルス駆動方式において駆動間隔を変えることによって光度を増大させることを基礎として、電力の無駄を無くすべく、更に、手段、装置の開発を継続し、その成果について出願をした(特開2012−054351号)。同号の発明は、多数のLED素子を直列接続して使用する際の、定格順電流が流れているLED素子列と、許容順電流が流れているLED素子列との電圧差の問題を、予め効率良く作られた、二つの電圧の電源を用意しておき、それらを切り替えながら使用することで電力の消費の無駄を極力なくすもので、前記の問題をほぼ解決することができた。しかし、上記後者の発明では、二つの電源を用意するので、コストの上昇や占有体積の増大を招く結果を生じた。
特開2006−058909号 特開2010−040659号 特開2012−054351号
このような状況において、本発明者はLED素子の光度増大を目指して、さらに開発を継続し、先の発明と同様に、パルス駆動方式において駆動間隔を変えることによって光度を増大させることを基礎として、電力の無駄を無くすべく鋭意研究の結果、本発明に到達した。従って、本発明の基本的課題は、LED素子の破損を招くことなく光度の増大を見込むことができ、しかも、電力が電流制限抵抗等によって無駄に消費されることがないLED素子の駆動方法及び駆動用電源装置を提供することである。本発明の他の課題は、多数のLED素子を直列接続して使用する際の、定格順電流が流れているLED素子列と、許容順電流が流れているLED素子列との電圧差の問題を、二つの電源を用意するような不利を招くことなく解決することである。また、本発明の他の課題は、上記の電圧差を利用してLED素子を発光させるようにすることで、無駄な電力損失とコストを極力抑え、効率良く、かつ、より安価に、光度増大が可能なLED素子の駆動方法及び駆動用電源装置を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、任意の個数配置したLED素子の列から成る少なくとも一つのブロックを有し、当該ブロックのLED素子の作動を制御する信号電流を複数個に分割し、複数個の内の一つの信号電流によって、デューティー比対応の許容順電流をLED素子に許容時間通電し、複数個の内の他の信号電流によって、LED素子が破損しない定格順電流をLED素子に許容時間通電し、上記二種類の通電を周期的に行なうことによってLED素子を駆動するものとし、かつ、上記LED素子により定格順電流と許容順電流に対応する電圧の差を作り出すという手段を講じたものである。上記構成要件における文言は、以下の意味で用いられている。
・定格順電流とは、LED素子が破損しない順電流をいうものとする。
・許容順電流とは、LED素子に通電する電流のオンとオフの時間比であるデューティー比対応の順電流をいうものとする。
・LED素子(の)列とは、任意の個数のLED素子から成る1列をいうものとする。
・一つのブロックとは、一つ以上のLED素子(の)列を総称するものとする。
上記LED素子の作動を制御する信号電流としてパルス電流を使用するために、上記パルス電流を発生するパルス電流発生手段と、上記パルス電流発生手段によって発生したパルス電流によってLED素子の作動を制御するために、パルス電流のデューティー比によって決まる許容順電流を許容時間通電する、パルス電流の周期を単位として信号電流のスイッチングを行う信号電流振り分け手段と、上記信号電流振り分け手段によって振り分けられた信号電流が有る時間だけオンになり、振り分け個数に応じたデューティー比に対応する許容順電流をLED素子に通電する上記スイッチングのための回路と、信号電流振り分け手段によって振り分けられた信号電流が無い時間だけオンになり、LED素子が破損しない定格順電流をLED素子に通電する上記スイッチングのための回路を具備してお
り、デューティー比に対応する許容順電流と定格順電流を上記スイッチングによって決まる許容時間ごとに、周期的に流すことによってLED素子を駆動することと、定格順電流と許容順電流に対応する電圧の差を作り出すことをLED素子で行うものとするという構成を具備する。
本発明の装置は、LED素子にかかる、定格順電流と許容順電流にそれぞれ対応する順電圧の差を作り出すために、定格順電流が流れる側のLED素子列に、順電圧の差の分のLED素子を具備する。上記において、「信号電流が有る」とはパルスが「ハイ」のと
き、「信号電流が無い」とはパルスが「ロー」のときを意味する。
上記の構成におけるパルス電流発生手段は、任意の周波数のパルス電流を発生するための手段であり、本発明においては、後述する各種の手段、構成を適用することができる。信号電流振り分け手段は、上記パルス電流発生手段によって発生したパルス電流を信号電流とするスイッチングを作動制御するために、パルス電流の周期を単位として信号電流のスイッチングを行う手段として設けられている。
本発明に係る電源装置は、信号電流振り分け手段によって振り分けられた信号電流が有る時間だけオンになり、振り分け個数に応じた許容順電流をLED素子列に通電する上記スイッチングのための素子と、信号電流振り分け手段によって振り分けられた信号電流が無い時間だけオンになり、定格順電流を流す上記スイッチングのための素子を具備している。さらに本発明の装置では、LED素子列にかかる、定格順電流と許容順電流に、それぞれ対応する順電圧の差を作り出す目的で、定格順電流が流れる側のLED素子列に、順電圧の差の分のLED素子を接続している。従って本発明に係る電源装置は、デューティー比対応の許容順電流と定格順電流を周期的に許容時間通電することによってLED素子を駆動する。このためLED素子に掛かる負担増は無視できる程度とすることができ、全く同じLED素子を使用しても効率低下をほとんど来たすことなく光度増大を図ることができる。
上記パルス電流発生手段は、信号電流を発生するクロック発生回路と、信号電流がある時間だけオンになる回路及び信号電流が無い時間だけオンになるように、反転回路を接続した回路から成るクロック信号振り分け回路とによって構成される。例えば、パルス電流発生手段は、クロック信号を発生するクロック発生回路と、クロック発生回路で発生させたクロック信号をパルス電流の1周期ずつ順次出力させるクロック信号振り分け回路と、定格順電流を通電する上記スイッチング素子のためのクロック信号を反転させる回路によって構成することができる。この構成によれば、現在入手し得るLED素子を使用して、任意かつ好適な条件での光度増大が可能となる。
また、パルス電流発生手段は、クロック信号を発生するクロック発生回路と、クロック発生回路で発生させたクロック信号をパルス電流の1周期を2分割するとともに、2分の1周期ずらせて出力させる反転回路によって構成することができる。この構成によれば上記構成におけるクロック信号振り分け回路に対して、より簡素な構成によって目的を達成することができる。
また、パルス電流発生手段は、クロック信号を発生するクロック発生回路と、クロック発生回路で発生させたクロック信号のパルスの山の部分によってオンになる電子スイッチによって構成することができる。この構成は本発明に係る電源装置として最も簡素な形態で目的を達するものである。
また、パルス電流発生手段は、交流電源と、上記交流電源の電圧の周期を検出して信号とするような、外部の脈流電流の周期によって電子スイッチを制御する信号作成手段とによって構成しても良い。この場合、パルス電流発生手段は、交流電源と、交流電源の電流を半波整流し、上記半波整流された信号電流の電圧によって電子スイッチを制御する信号作成手段によって構成することも可能である。交流電流を半波整流して得られた信号電流からダイレクトにスイッチングを行い、スイッチング素子としてのトランジスタを信号電流振り分け手段としても利用する例であり、パルス電流発生簡素化できる例でもあるといえる。
本発明は以上のように構成されかつ作用して、許容順電流と定格順電流をスイッチングによって決まる許容時間ごとに周期的に通電するものであるから、LED素子の破損を招いたり、電力が電流制限抵抗等によって無駄に消費されたりすることもなく、安全かつ確実に光度の増大を見込むことができるという効果を奏する。また、本発明によれば上記の駆動方法で発生する定格順電流と許容順電流に、それぞれ対応する順電圧の差をなくすために接続される電流制限抵抗等によって、無駄に電力が消費されることがないLED素子駆動用電源装置を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、多数のLED素子を直列接続して使用する際の、定格順電流が流れているLED素子列と、許容順電流が流れているLED素子列との電圧差の問題を、二つの電源を用意するような不利を招くことなく解決することができ、かつ、上記の電圧差を利用してLED素子を発光させることで、無駄な電力損失とコストを極力抑え、効率良く、より安価に、光度増大が可能なLED素子の駆動方法及び駆動用電源装置を提供することができる。
以下図示の実施形態を参照し、本発明に係るLED素子駆動用電源装置について、より具体的に説明する。図1は、本発明に係る電源装置の例1を概念的に示すもので、信号電流であるパルスを発生するパルス電流発生手段としてクロック発生回路11を具備し、クロック発生回路11でクロック信号(CLK1)を発生させ、そのクロック信号(CLK1)を信号電流振り分け手段としてのクロック信号振り分け回路12によりn個(n=は整数)に振り分け、パルス電流の1周期ずつをQ1、Q2…Qnの信号の1個ずつに順次出力させるという構成を有している。クロック信号(CLK1)は、発生時には電圧の山と谷で1周期であるが(図2のIC1CLK参照)、例1においてクロック信号振り分け回路12より出力される信号Qについては、その1周期にかかる時間を全て電圧の山とする(図2のIC2Q1参照)。
上記クロック信号(CLK1)の振り分け個数Qnは1以上の任意の整数とする。図1におけるクロック信号(CLK1)の振り分け個数Qnが10である場合のタイミングチャートを図2に示す。また、単位時間当たりの通電時間の比率(デューティー比)における許容順電流値の例は図7に示している。図2では、図1における各ポートの個数でもある信号電流の振り分け個数Qnを10個に設定しているが、その理由は、多くのLED素子の場合、LED素子の破損を招くことなく最大電流を流せる最長の単位時間が、1単位時間を1秒として10分の1秒(即ち、10分の1単位時間)であるからである。故に、単に時間を10分の1秒よりも短い時間で設計しても流せる最大電流は殆ど変化なく、LED素子や付随する部品点数が増えるだけであるから、選択肢とする必要性は低い。これに対し、使用するLED素子13の特性を考慮して、クロック信号の振り分け個数Qnを10以下の任意の整数に決定することは可能であり、LED素子13の特性に適合した使用法であるから意義のあることである。
クロック信号振り分け回路12によって信号線はn個に振り分けられ、クロック反転信号を出力するクロック信号反転回路14と、振り分け個数に応じたデューティー比に対応する許容順電流をLED素子13の列に通電する作動を制御するための素子15、そしてLED素子13が破損しない定格順電流を通電する作動を制御するための素子16に、それぞれ接続されている。図示の例において、許容順電流のための各スイッチング素子15は、電子スイッチ(Tr1−1〜Trn−1)17−1〜17−nとしてのトランジスタである。クロック信号振り分け回路12からの信号線はそれぞれのベースに接続されており、それぞれのコレクタにはLED素子列からのカソードが接続され、それぞれのエミッタは接地されている。
また、定格順電流をLED素子13の列に通電するスイッチングのための素子16は、電子スイッチ(Tr1−2〜Trn−2)18−1〜18−nとしてのトランジスタである。スイッチング素子16では、クロック信号反転回路14からの信号線がそれぞれのベースに接続されている。また、それぞれのコレクタにはLED素子13の列からのカソードが接続され、それぞれのエミッタには、順電圧の差を作り出すためのLED素子19−1、19−nが接続されている。なお、図1に示すように一つのブロックは一つ以上のLED素子13(の)列から成っており、これは例えば第1回路10−1のように記載される。
本発明の装置を実施する場合、クロック発生回路11として集積回路IC1(555)を使用し、クロック信号振り分け回路12として集積回路IC2(74HC4017)を使用し、また、クロック信号反転回路14として集積回路IC3(74HCU04)を使用して構成することができる。上記は単なる例示であり、各集積回路と同等の回路を使用しても良いことは勿論である。上記同等の回路には、同効の集積回路のほかディスクリートで組まれた非集積回路も含まれる。なお、回路には電流、電圧の微調整のために必要に応じて抵抗器が配置される。
ここで、本発明に係る電源装置の例1によりその作用を説明する。例1の電源装置は、信号電流振り分け回路12によって振り分けられた信号電流が有る時間だけオンになり、振り分け個数に応じたデューティー比に対応する許容順電流をLED素子13の列に通電する上記スイッチングのための手段を有する第1回路10−1ないし信号電流振り分け回路12によって振り分けられた信号電流が無い時間だけオンになり、LED素子13が破損しない定格順電流を通電する上記スイッチングのための手段を有する第n回路10−nを備えているので、上記デューティー比に対応する許容順電流と定格順電流を上記スイッチングによって決まる許容時間ごとに周期的に通電することによってLED素子13を駆動することができる。また、LED素子列のカソードには、定格順電流を通電するタイミングの時に発光させるLED素子19−1、19−nが接続されている。即ち、図2のLED1〜LED10は信号電流振り分け手段によって振り分けられた信号電流によって発光し、次の信号電流によってLED2が発光し、そのようにしてLED10まで順次発光していく状態を示している。従って、LED1からLED10までがデューティー比対応の許容順電流で発光しているかのように見えるので、LED素子13の破損を招くことなく光度の増大を見込むことができる。しかも、LED素子19−1、19−nが、許容順電流と定格順電流を通電するときに発生する順電圧の差を発光することで消費するので、電力が電流制限抵抗等によって無駄に消費されることがない。
次に、図3を参照し、本発明に係る電源装置の例2を説明する。例2は信号電流の振り分け個数Qnが2個の場合に関するもので、信号電流であるパルスを発生するパルス電流発生手段としてクロック発生回路21を具備し、クロック発生回路21で発生させたクロック信号(CLK1)を、パルス電流の1周期を2分割するとともに、2分の1周期ずつずらせて出力させるクロック信号反転回路24によって構成する。このため、例2ではクロック発生回路21と、クロック発生回路21で発生させたクロック信号をパルス電流の1周期を2分割するとともに、2分の1周期ずらせて出力させる反転回路24によって信号電流振り分け手段を構成するので、例1におけるクロック信号振り分け回路12そのものは不要となる。
例2ではクロック信号は2分割される。第1回路20−1、第2回路20−2は振り分け個数に応じたデューティー比対応の許容順電流を通電する電子スイッチ17−1、17−2としてのトランジスタから成るスイッチング素子15と、定格順電流を通電する電子スイッチ18−1、18−nとしてのトランジスタから成るスイッチング素子16を有している。よって、2分割された上記クロック信号は、スイッチング素子15、16にそれぞれのベースに接続した信号線を通じて送信される。スイッチング素子15、16等に関する構成については、例1のものと同様で良いので夫々符号を援用し、詳細な説明を省略する。
例2において、電源V+から供給された電流は、第1回路20−1、第2回路20−2のLED素子13の列によって消費される。上記各列にはスイッチング素子15、16が接続されており、この回路には必要に応じて電流微調整用の抵抗R1、R2がスイッチング素子15のコレクタに挿入され、そのエミッタは接地されていて許容順電流が流れる。スイッチング素子16からは、順電圧差を発生させるためのLED素子x29で定格順電流が消費されてから、電流微調整用の抵抗Rxを経て接地される。上記のように、例2の電源装置ではクロック発生回路21で発生させたクロック信号(CLK1)を、パルス電流の1周期を2分割し、2分の1周期ずつずらせて出力させるクロック信号反転回路24によって信号電流振り分け手段を構成するので、例1におけるクロック信号振り分け回路そのものが無くても、パルス電流発生手段によって発生したパルス電流を信号電流とするスイッチングを作動制御することが可能であり、それによってデューティー比に対応する許容順電流と定格順電流を上記スイッチングによって決まる許容時間ごとに、交互に、周期的に通電することによってLED素子を駆動することができる。
上記の例1及び例2で示した実施形態は、本発明の電源装置における基本的実施形態というべきものであり、これらに関して様々な形態変化を取ることができるので、変形例を図4以下により説明する。例3も例2と同様に、例1における信号電流の振り分け個数Qnが2個の場合に関するもので、信号電流であるパルスを発生するパルス電流発生手段としてクロック発生回路31を具備し、クロック発生回路31で発生させたクロック信号(CLK1)を、パルス電流の1周期を2分割するとともに、2分の1周期ずつずらせて出力させるクロック信号反転回路34によって構成する。例3は、例2において定格順電流を通電するスイッチング素子16として示されたスイッチングトランジスタ(Tr1−2)をダイオード(D1)38−1に置き換えた点で例2と相違している。
これは一見、定格電流を常時供給する回路のように見えるが、そうではない。第1回路30−1におけるLED素子13の列のカソード部分の電圧は、スイッチング素子(Tr1−1)15がオンのときは0Vに近く、LED素子x39が必要とする電圧より低いので、LED素子x39に電流は流れず、このとき、第2回路30−2ではスイッチング素子(Tr2−1)16がオフなので、必然的にLED素子x39の必要とする電圧が得られ、ダイオード(D2)38−2を経て電流が流れる。仮に、ダイオード(D1)38−1、(D2)38−2が無いとすれば、第1回路30−1と第2回路30−2のそれぞれのスイッチング素子(Tr1−1)17−1、(Tr2−1)17−2がオンになったときに、LED素子x39のアノード部分の電圧が0Vに近くなって、LED素子x39には電流が流れなくなるのである。故に、例3におけるダイオードD1、D2は、事実上、電圧差の干渉を阻止するために働き、LED素子13の列とLED素子x39への電流制御はスイッチング素子(Tr1−1)17−1とスイッチング素子(Tr2−1)17−2をクロック信号に応じて制御する回路と同様になる。なお、例3として示した変形回路についても、その範囲内において、等価な素子を任意に選択することができる。
図5は本発明に係る例3の電源装置と同じ基本的構成を有し、それをさらに具体的に示したもので、これを例4として示す。従って、例4の電源装置は信号電流の振り分け個数Qnが2個であり、第1回路30−1、第2回路30−2の各LED素子13の列の光度を交互に増大させる構成である。クロック信号を発生するクロック発生回路31には集積回路IC(555)を中心とする回路を使用し、クロック信号反転回路34にはNPNトランジスタ(2SC1815)を使用している。振り分け個数に応じたデューティー比に対応した許容順電流を流す電子スイッチ(Tr1−1、Tr2−1)15、15にも、NPNトランジスタ(2SC1815)を使用し、第1回路30−1と第2回路30−2の干渉を防ぎ、順電圧差を発生させるLED素子x39に定格順電流を通電する目的のダイオードには1S4(D1)(D2)を使用している。順電圧の差を微調整するための抵抗(R1)、(R2)として22Ωが電子スイッチ(Tr1−1、Tr2−1)15、15の前に接続されている。クロック発生回路(IC1)31から出力された信号電圧又はベース電圧が高すぎる場合に、電子スイッチが制御できる程度の過不足ない電圧、電流にするために、抵抗R3からR5が設けられている。
例4の場合、クロック周期はクロック発生回路11のIC1(555)に接続された抵抗R7(4.7KΩ)と抵抗R8(470KΩ)、キャパシタC1(0.0022μF)の組合せによって決まり、この例では約680Hzの信号が3番ピンより出力される。信号電流は2つに振り分けられ、同じパルスがそれぞれトランジスタから成る電子スイッチ(Tr1−1)17−1、クロック信号反転回路(Tr2−3)34に流れる。上記電子スイッチ(Tr1−1)17−1、(Tr2−3)34はパルスがハイ(高)の間中はオンになり、コレクタからエミッタへ通電する。電子スイッチ(Tr1−1)17−1がオンになると、電源(V+22V)から電力が供給され、電流は第1回路のLED素子13の列を流れてそれらが発光し、微調整用抵抗R1と電子スイッチ(Tr1−1)17−1を経て接地する。この時、電子スイッチ(Tr2−3)34もオンであるから、コレクタ部の電位は低く、電子スイッチ(Tr2−1)17−2(15)にはベース電流が供給されずオフである。また、電子スイッチ(Tr2−3)34が信号反転回路として機能するので、第2回路30−2では、同じく電源(V+22V)から電力が供給され、電流は第2回路30−2のLED素子13の列を流れて発光し、ダイオード(D2)を経て、LED素子x39を発光させ接地する。
図5において、第1回路30−1はLED素子列6個と微調整用抵抗(R1、22Ω)と電子スイッチ(Tr1−1)との直列接続回路であり、電源は22Vであるから、微調整用抵抗(R1)約0.9Vと電子スイッチ(Tr1−1)17−1の約0.1Vを引いて計算すると、LED素子13一つ当たりの順電圧は約3.5Vである。故に図9より、対応する電流値を求めると、約40mA流れることになる。第2回路30−2は、同様にLED素子列6個とダイオード(D2)38−2とLED素子x39との直列接続回路であり、電源は同じく22Vであるから、ダイオード(D2)38の0.3Vを引いて求めると、LED素子31、LED素子x39一つ当たりの順電圧は約3.1Vである。図9より、対応する電流値を求めると、約20mA流れることになる。
信号電流が無い(ロー:低)の時は、電子スイッチ(Tr1−1)17−1、(Tr2−3)34はオフになり、コレクタからエミッタへは遮断される。電子スイッチ(Tr2−3)34がオフになると、コレクタ部の電位が高くなり、電子スイッチ(Tr2−1)17−2はベース電流が供給されるのでオンになり、電源(V+22V)から電力が供給され、電流は第2回路のLED素子列を流れて発光し、微調整用抵抗(R2)と電子スイッチ(Tr2−1)17−2を経て接地する。この時、第1回路30−1では、同じく電源(V+22V)から電力が供給され、第1回路30−1のLED素子13の列を流れて発光し、ダイオード(D1)を経て、LED素子x39を発光させ接地する。即ち、第1回路と第2回路のそれぞれが、逆のクロックタイミングで動作することになる。
上記例4では、第1回路30−1と第2回路30−2の1列のLED素子につき、1単位時間に対して1/2単位時間のみデューティー比対応の許容順電流約40mAが流れ、残りの1/2単位時間は定格電流約20mAが流れるようになっている。この動作が第1回路30−1と第2回路30−2のそれぞれの列のLED素子13で、1/2単位時間ずつずれて実施されるので、例4における動作タイミングのイメージをチャートで示すと、図6の如くである。例4におけるLED素子21の光度は、定格電流を1とした場合、定格電流の2倍時は約2倍程度となるので、例1の回路の場合には、第1回路30−1と第2回路30−2のLED素子列をそれぞれ1個の光源とすれば、約50%の光度向上となることがわかる(図7、図8参照)。ここで、例4におけるLED素子1列に流れる電流量は以下のようにして算出される(図9参照)。即ち、検算方式によれば、
定格電流時:0≒22V供給−D降下分0.3V−(LED3.1V(約20mA時の順電圧)×7個)、
電流増大時:0≒22V供給−Tr降下分0.1V−(LED3.5V(約40mA時の順電圧)×6個)−(R降下分約40mA×22Ω)、
となる。
図5の例4におけるクロック周期は680Hzの信号が3番ピンより出力される、と先に記載したが、この数値に特別の意味があるというものではない。既存のLED素子でのパルス電流特性では、1単位時間を1秒として、概ねその1/10単位時間を、最大電流を流せる時間としているので、信号電流の振り分け個数Qnが10個の場合は、最低でも10Hzより高い周期でなければならない。また、IC2(74HC4017又はこれと同等品)をクロック信号振り分け回路12として使用する場合は、最初の1周期のみ、Q1に2周期分の時間の長さで信号を出力してしまう特性であるものが多いので、その場合にLED素子の破損を避けるためにも、20Hzより高い周期が望まれる。更に高い周期を選択する場合は、使用するLED素子の発熱と放熱との兼ね合いで決定するのが望ましい。クロック周期が高くなれば、その分、大きな電流が流れている時間と発熱している時間も短くなるが、放熱し切らないうちに次の周期が来てしまい、熱によってLED素子を破損する可能性が出てくるからである。図3、図5の例においては、1/2単位時間なので、デューティー比50%となり、最低1Hzのパルスクロックである。しかしながら、信号電流の振り分け個数Qnの個数に関わらず、あまり周期が遅いと、ちらつき(フリッカー)現象が起こるので、早すぎず遅すぎない周期が必要である。クロック発生回路11として、例3、例4では集積回路IC1を用いたが、それに代えてトランジスタ2石程度のフリップフロップ回路等を用いて、シーソー状になる2つの出力をクロック信号とクロック反転信号として用いることも可能である。
LED素子13の列を複数個直列(ないし並列)に接続すること、耐電圧、耐電流のための電子スイッチとして、トランジスタ(Tr:2SC1815)の代わりとなるFET等45をスイッチング素子として使用することは、例えば、本発明の例2に基づいて、任意に選択することができる事項である(図10)。FETも、この場合電子スイッチと呼んで支障はない。微調整用抵抗R1、R2、Rn、Rxは、用途や電圧差等の状況に合わせ、低電圧2V程度で駆動する、赤や黄色のLED素子(LEDR、LEDnR、LEDxR)に置き換えることもできる(図11)。この場合は、使用できる電圧が低いので、黄色LED素子等を用い、色温度を下げて電球色照明を演出する目的等に応用することも可能である。電子スイッチやLED素子xを電源供給側に接続するハイサイドと呼ばれる接続方法も、本発明の効果を得られる(図12)。いずれも変形回路の範囲内のことであり、本発明を実際に適用する段階において任意に選択することができる事項である。
図13に示す回路は、第1回路30−1と第2回路30−2とから成るもので、本発明の例3に基づいており、電子スイッチ(Tr1−1、Tr2−1)47−1(15)、47−2(15)を制御する信号作成手段として、これらの電子スイッチ(Tr1−1、Tr2−1)がフリップフロップマルチバイブレータ回路として自己発振することで動作する例8である。第1回路30−1はLED素子13の列と微調整用抵抗(R1)と電子スイッチ(Tr1−1)との直列接続回路であり、第2回路30−2は、同様にLED素子13の列とダイオード(D2)38−2と電子スイッチ(Tr2−1)及びLED素子x49との直列接続回路である。上記マルチバイブレータ回路は、トランジスタ(Tr1−1、Tr2−1)47−1(15)、47−2(15)のベースに接続されたキャパシタの充放電によって、双方が交互にオンオフを繰り返す。なお、ダイオード(D1)38−1、(D2)38−2は定格順電流のための例3と同様のスイッチング素子としてのダイオードを示す。
図14に示す回路は、信号電流の振り分け個数Qnが最小限度である1個の場合に関する例9を示している。本例も、図3の例2におけるクロック発生回路21、クロック信号反転回路と、スイッチングを行う電子スイッチ、それに接続されるLED素子列と同様の構成を有している。そして、図3の例2においては、スイッチング回路、LED素子列は2ブロックあり(Qが2)、交互に許容順電流時と定格順電流時を繰り返すことにより、チラつきの原因になるフリッカーを極力除去したのであるが、図14の例においては、そのブロック数が1(Qが1)である。よって、動作時にLED素子の発光は、光度の強弱を伴うものとなる(図15参照)。しかし、クロック信号の周波数として、例えば700Hz程度に十分に高いものであれば、チラつきも目立つほどではない。よって、図14の装置は本発明を最も簡素に実現するものとして、光度の揺らぎを許容できる範囲において有効である。
本発明のLED素子駆動用電源装置の実施形態について、以上例1ないし例9を示して説明して来たが、これらの例は、全て、任意の個数配置したLED素子の列から成る少なくとも一つのブロックを有し、当該ブロックのLED素子の作動を制御する信号電流を複数個に分割し、複数個の内の一つの信号電流によって、デューティー比対応の許容順電流をLED素子に許容時間通電し、複数個の内の他の信号電流によって、LED素子が破損しない定格順電流をLED素子に許容時間通電し、上記二種類の通電を周期的に行なう
ことによってLED素子を駆動するものとし、かつ、上記LED素子により定格順電流と許容順電流に対応する電圧の差を作り出すことを特徴とするLED素子の駆動方法に属する。即ち、当該駆動方法の発明においてはLED素子の列から成るブロックがただ1個の場合(Qが1)を含むが、その実施形態は上記の図14の例9に記載した装置に示されている。この装置の場合、ただ1個のブロックを切り替えて信号電流をオンとオフ交互に流すことで、定格順電流とデューティー比対応の許容順電流をLED素子にそれぞれ許容時間通電することを可能にしている。LEDブロックが2ブロックから成る例は(Qが2)図3の例2ないし図13の例8に記載した装置に示されており、これらの装置の場合、2個のブロックを切り替えて2個の信号電流を交互に流すことで、定格順電流とデューティー比対応の許容順電流をLED素子にそれぞれ許容時間通電することを可能にしている。そして、例1ではクロック発生回路11でクロック信号(CLK)を発生させ、そのクロック信号(CLK)を信号電流振り分け手段としてのクロック信号振り分け回路12によりn個(n=は整数)に振り分け、パルス電流の1周期ずつをQ1・Q2…Qnの信号の1個ずつに順次出力させるという構成を取るものであり、最も実施上の自由度高いものということができる。LED素子を用いた照明で、光度を増大させるためにはLED素子数を増やすのがこれまでの常套手段であった。そのため従来は、小型化に伴うスペースの関係等で、素子数を増やせないという問題に立ち至らざるを得なかった訳である。しかしながら、本発明によれば上記の如く、同じLED素子を用いて、消費電力効率が良く、かつ同じスペースで光度を増加させることが可能であるから、実用上非常に有効である。
本発明に係るLED素子駆動用電源装置の例1を示すブロック図である。 図1における動作タイミングのチャート図である。 同じく本発明に係る電源装置の例2を示すブロック図である。 同じく図1、図3における電子スイッチをダイオードに置き換えた回路を示す例3のブロック図である。 同じく例2におけるクロック発生回路と、クロック2分割のLED駆動回路を実際に組み立てる場合に関する例4を示す回路図である。 図3の例2、図5の例4における動作タイミングのチャート図である。 同じく本発明に係るLED素子における単位時間に対する比率(デューティー比)における許容順電流値の例を示すグラフである。 同じく本発明に係るLED素子における許容順電流に対する相対光度の関係を示すグラフである。 順電流と順電圧の相関関係を示すグラフである。 同じく例4の電子スイッチをFETに置換した例5を示すブロック図である。 同じく例4の電流制限抵抗を低電圧で駆動するLED素子に置換した例6を示すブロック図である。 同じく例4をハイサイド制御に置き換えた例7を示すブロック図である。 同じくパルス発生手段を電子スイッチが自己発振することで、スイッチングする回路の例8を示すブロック図である。 本発明に係る電源装置の例9を示すブロック図である。 図14における動作タイミングのチャート図である。
10−1、20−1、30−1 第1回路
10−n、20−2、30−2 第n回路及び第2回路(n=2)
11、21、31 クロック発生回路
12 クロック信号振り分け回路
13 LED素子
14 クロック信号反転回路
15 許容順電流のためのスイッチング素子
16 定格順電流のためのスイッチング素子
17−1〜17−n、18−1〜18−n トランジスタ
19、29、39 LED素子x
38−1、38−2 スイッチング素子としてのダイオード
45 スイッチング素子としてのFET
47−1、47−2 電子スイッチ

Claims (5)

  1. 任意の個数配置したLED素子の列から成る少なくとも一つのブロックを有し、当該ブロックのLED素子の作動を制御する信号電流を複数個に分割し、複数個の内の一つの信号電流によって、デューティー比対応の許容順電流をLED素子に許容時間通電し、複数個の内の他の信号電流によって、LED素子が破損しない定格順電流をLED素子に許容時間通電し、上記二種類の通電を周期的に行なうことによってLED素子を駆動するものとし、かつ、上記LED素子により定格順電流と許容順電流に対応する電圧の差を作り出すことを特徴とするLED素子の駆動方法。
  2. LED素子の作動を制御する信号電流としてパルス電流を使用するために、上記パルス電流を発生するパルス電流発生手段と、
    上記パルス電流発生手段によって発生したパルス電流によってLED素子の作動を制御するために、パルス電流のデューティー比によって決まる許容順電流を許容時間通電する、パルス電流の周期を単位として信号電流のスイッチングを行う信号電流振り分け手段と、
    上記信号電流振り分け手段によって振り分けられた信号電流が有る時間だけオンになり、振り分け個数に応じたデューティー比に対応する許容順電流をLED素子に通電する上記スイッチングのための回路と、
    信号電流振り分け手段によって振り分けられた信号電流が無い時間だけオンになり、LED素子が破損しない定格順電流をLED素子に通電する上記スイッチングのための回路を具備しており、
    デューティー比に対応する許容順電流と定格順電流を上記スイッチングによって決まる許容時間ごとに、周期的に流すことによってLED素子を駆動することと、定格順電流と許容順電流に対応する電圧の差を作り出すことをLED素子で行うことを特徴とするLED素子駆動用電源装置。
  3. パルス電流発生手段は、信号電流を発生するクロック発生回路と、信号電流がある時間だけオンになる回路及び信号電流が無い時間だけオンになるように、反転回路を接続した回路から成るクロック信号振り分け回路とによって構成されている請求項2記載のLED素子駆動用電源装置。
  4. パルス電流発生手段は、交流電源と、上記交流電源の電圧の周期を検出して信号とするような、外部の脈流電流の周期によって電子スイッチを制御する信号作成手段とによって構成されている請求項2記載のLED素子駆動用電源装置。
  5. 上記スイッチングのための素子が、自己発振することで、スイッチングを行う請求項2記載のLED素子駆動用電源装置。
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