JP2013211231A - 静電レンズシステム - Google Patents

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ニコラエスク ダン
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Abstract

【課題】発散角が大きくても、放出された電子ビームを平行化することが可能な静電レンズ装置を提供する。
【解決手段】静電レンズシステムは、発散性を有する荷電粒子を放出する荷電粒子源1と、前記荷電粒子源1から放出された荷電粒子を平行化させるレンズ電極3と、放出された前記荷電粒子が集束し、前記レンズ電極3と電位差を有するターゲット電極と、を備え、前記レンズ電極3の内壁面31は、荷電粒子の進行方向に行くにしたがって内径が大きくなる領域を有する筒状に形成されており、さらに、以下の曲面に沿うように規定される、静電レンズシステム。式(1)y=k/x(k<0,x>0)により表された曲線を、x軸と平行な直線または前記曲線と2箇所で交差する直線の周りに回転させることで形成される曲面。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電レンズシステムに関する。
近年、高輝度の荷電粒子源として、点光源の電界放出型の電子源またはイオン源が注目されている。その1つの電界放出型の電子源は、電子を放出する陰極の先端を尖らせ、対抗電極との間に電圧を印加することで陰極の先端に高い電界を形成する。こうして、電子が陰極からトンネル効果で真空中に放出される。このように真空中に放出された電子は発散していくのであるが、これを収束するために静電レンズが提案されている。静電レンズは、一般に複数の電極で形成され、これに電圧を印加することで電極間に電位分布を作り出し、その分布が作り出す電界によって、電子ビームを集束するものである。これにより、発散された電子ビームを平行にすることができ、電子ビームを有効に活用することができる。より詳細には、平行化された電子ビームは、静電レンズを使用して一点に集中することができるという利点があり、さらに、加速や減速をする際、特に減速を行う際には、失われる電子ビームが少ないという利点もある。このような電子ビームは、例えばX線管に用いることができる。
ところで、電子の発散角が小さければ、上記のような静電レンズであっても、電子ビームを平行化することができるが、このようなビームを集束するレンズは、例えば、下記の非特許文献1に記載されている。
Ishikawa et al., Nucl. Instrum. Meth. B 21 (1987) 186, Mori et al., Rev. Sci. Instrum. 61 (1990) 1847
しかしながら、上記非特許文献1に記載のようなレンズを用いても、軸付近と周辺での集束効果が異なるため、例えば、半角で15°といったような大発散角を有するビームを集束して輸送することは可能であるが、平行化することは難しかった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、発散角が大きくても、放出された電子ビームを平行化することが可能な静電レンズシステムを提供することを目的とする。
本発明に係る第1の静電レンズシステムは、発散性を有する荷電粒子を放出する荷電粒子源と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を平行化させるレンズ電極と、放出された前記荷電粒子が集束し、前記レンズ電極と電位差を有するターゲット電極と、を備え、前記レンズ電極の内壁面は、荷電粒子の進行方向に行くにしたがって内径が大きくなる領域を有する筒状に形成されている。さらに、式(1)y=k/x(k<0,x>0)により表された曲線を、x軸と平行な直線または前記曲線と2箇所で交差する直線の周りに回転させることで形成される曲面により、レンズ電極の内壁面の形状が特定される。
また、本発明に係る第2の静電レンズシステムは、発散性を有する荷電粒子を放出する荷電粒子源と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を平行化させるレンズ電極と、放出された前記荷電粒子が集束し、前記レンズ電極と電位差を有するターゲット電極と、を備え、前記レンズ電極は、貫通孔が形成された複数の板材を所定間隔をおいて平行に配置することで、前記複数の貫通孔によって形成される筒状の内部空間を有し、当該内部空間の内壁面は、荷電粒子の進行方向に行くにしたがって内径が大きくなる領域を有する筒状に形成されている。さらに、当該内壁面は、式(1)y=k/x(k<0,x>0)により表された曲線を、x軸と平行な直線または前記曲線と2箇所で交差する直線の周りに回転させることで形成される曲面に沿うように規定される。
上記静電レンズシステムにおいては、前記レンズ電極の最大内径Dに対する、当該レンズ電極の内壁面として用いられる長さLの割合L/Dが、0.65<L/D<1.65とすることができる。
上記静電レンズシステムにおいては、前記直線がx軸となす角αが、0°≦α≦45°を充足するものとすることができる。
また、上記静電レンズシステムにおいては、0.95<L/D<1.35充足するものとすることができる。このとき、11°<α<21°とすることが好ましい。
また、上記静電レンズシステムにおいては、レンズ電極とターゲット電極との間に、少なくとも一つの付加レンズ電極をさらに設けることができる。各付加レンズ電極は、前記荷電粒子が通過する貫通孔が形成されている。このような追加レンズ電極を設けることで、荷電粒子の平行化をさらに確実に行うことができる。また、追加レンズ電極の電位を調整することで、荷電粒子の減速を制御しやすくなる。
本発明に係る静電レンズシステムによれば、発散角が大きくても、放出された電子ビームを平行化することができる。
本発明に係る静電レンズシステムの一実施形態を示す断面図である。 図1の静電レンズシステムのレンズ電極の内壁面の形成方法を示す図である。 図1の静電レンズシステムのレンズ電極の内壁面の形成方法を示す図である。 図1の静電レンズシステムのレンズ電極の内壁面の形成方法を示す図である。 図1の静電レンズシステムのレンズ電極の内壁面の形成方法を示す図である。 図1の静電レンズシステムのレンズ電極の内壁面の形成方法を示す図である。 図1の静電レンズシステムの動作を示す断面図である。 静電レンズシステムのレンズ電極の内壁面の他の形成方法を示す図である。 図1の静電レンズシステムの他の例を示す断面図である。 実施例1〜6のレンズ電極を示す断面図である。 実施例におけるL/Dと電子ビームの発散角の関係を示すグラフである。 実施例3におけるシミュレーション結果を示す図である。 実施例7〜9におけるレンズ電極を示す断面図、及びこれらの実施例における電子ビームの発散角と入射角との関係を示すグラフである。 実施例10〜12におけるレンズ電極を示す断面図、及びこれらの実施例における電子ビームの発散角と入射角との関係を示すグラフである。 実施例13におけるレンズ電極を示す断面図、及びこれらの実施例における電子ビームの発散角と入射角との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る静電レンズシステムの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、この静電レンズシステムの概略構成を示す断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、電子の進行方向の下流側を「前」「先」、上流側を「後」と称することとする。
図1に示すように、このシステムは、電子が照射される照射源1と、この照射源1から照射される電子に電界を印加するゲート電極2と、を備えている。さらに、ゲート電極2の前側に、電子源1から照射された電子を平行化させるレンズ電極3が設けられている。
照射源1は、板状のカソード基板11と、このカソード基板11上に設けられ先端が尖ったエミッタ12とで形成されている。カソード基板11は、公知の材料で形成され、例えばシリコンを主成分とする材料で形成されている。すなわち、シリコン基板、またはこれに不純物が含まれた基板でもよいが、電気伝導性を有する材料で形成されていればよい。エミッタ12も、カソード基板11と同様の材料で形成することができる。また、エミッタ12は、カソード基板11と電気的に導通していればよく、カソード基板11と一体的に形成されていてもよいし、別体で形成されていてもよい。ゲート電極2は、板状に形成されており、照射源1の前側に所定間隔をおいて配置されている。また、ゲート電極2には、照射源1のエミッタ12が挿入される円形の貫通孔21が形成されており、荷電粒子源1のエミッタ12は、この貫通孔21を介して露出している。但し、エミッタ12は、ゲート電極2からは突出しておらず、エミッタ12の先端は、貫通孔21の内部に配置されている。ゲート電極2は、多結晶シリコン、その他、金属などの導電性材料で形成することができる。なお、上記カソード基板11、エミッタ12、及びゲート電極2が、本発明の荷電粒子源に相当する。
ゲート電極2の前側には、所定間隔をおいて筒状のレンズ電極3が配置されている。レンズ電極3の内壁面31は、エミッタ12から延びる軸線Xに沿って、電子の進行方向にいくにしたがって概ね径が大きくなる曲面状に形成されている。レンズ電極3の後端側は、照射源1のエミッタ12が露出する円形の後端開口32が形成されている。この後端開口32は、ゲート電極2の貫通孔21よりもやや大きい径を有している。そして、後端開口32から前側にいくにしたがって内壁面31の径は大きくなっている。このように、内壁面31の形状は、後端から前端へ向かって内径が漸進的に大きくなる形状のほか、漸進的に内径が大きくなった後、やや小さくなるような形状とすることもできるが、この点は後述する。また、このレンズ電極3は、例えば、金属、グラファイト、シリコンを主成分とする材料など電気伝導を持つ材料で形成することができる。そして、上記各電極には、所定の電圧が印加される。
レンズ電極3の前方には、後述する図7に示すように、荷電粒子が到達するターゲット電極4が設けられている。このターゲット電極4は、平板状に形成され、荷電粒子のエネルギーを決めるものであり、レンズ電極3と電位差があればよいが、例えば、1V〜ゲート電極と同じ電位となる程度の電位差があればよい。なお、ターゲット電極4の形状は特には限定されず、上記のような平板状のほか、針状、突起状など、種々の形態にすることができる。特に、針状、突起状の電極を用いると、荷電粒子が集束しやすくなる。
続いて、レンズ電極3の内壁面31の形状についてさらに詳細に説明する。この内壁面31の形状は、次のように規定することができる。以下、図2〜図5を用いて説明する。
まず、図2(a)に示すように、以下の式により、xy平面上に曲線S1を規定する。
y=k/x (k<0、x>0) (1)
次に、図2(a)に示すように、式(1)で特定される曲線S1と交差する直線Cを規定する。具体的には、以下の式(2)で表される。
y=(tanα)x+y0=ax+y0 (2)
但し、a=tanα>0,y0<0
この直線Cは、y軸上の(0,y0)を通過し、X軸から角度αだけ傾斜するとともに、曲線S1と2箇所で交差する。なお、上記式(1)のkの値は、曲線S1と直線Cとが2点で交差する限り、特には限定されない。
そして、曲線S1を直線C周りに回転させると、図2(b)に示すように、筒状の曲面が形成される。これがレンズ電極3の内壁面31となる。このとき、レンズ電極3の最大内径Dは、以下の式(3)で表される。
また、レンズ電極3の内壁面31の上流側の起点からDを与える回転軸(軸線X)上の点までの距離lは、以下の式で与えられる。
ここで、αは、0°<α≦45°であることが好ましく、11°<α<21°であることがさらに好ましい。但し、45°を越えても実施は可能であるが、傾きが大きくなるほど、レンズ電極の先端開口が狭くなるため、次に説明するL/Dにもよるが、あまり好ましくない。また、レンズ電極3の最大内径Dに対する、レンズ電極3の内壁面31として用いられる長さLの、最大内径Dに対する割合L/Dは、0.65<L/D<1.65とすることが好ましく、0.95<L/D<1.4とすることがさらに好ましく、0.95<L/D<1.2とすることが特に好ましい。
上述したレンズ電極3の内壁面は、次のように規定することもできる。但し、以下の方法は、実質的には、図2に示す方法と同じである。まず、図3に示す上記曲線S1をx方向及びy方向にそれぞれ(x0,y0)だけ平行に移動させ、図4に示すように、曲線S2を形成する。このとき、y=y0,x=x0で表される軸x’,軸y’は、曲線S2の漸近線となる。続いて、図5に示すように、曲線S2をxy平面上で角度αだけ回転させて曲線S3を形成する。これに続いて、図6に示すように、曲線S3をx軸周りに回転させると、筒形状が形成される。これがレンズ電極3の内壁面31の形状となる。このような方法であっても図2と同様にレンズ電極3の内壁面31を定義することができ、例えば、上述した距離lは、式(3−2)を用いて得ることができる。なお、α及びL/Dは、上述したのと同じ値にすることができる。
次に、上記のように構成された静電レンズシステムの動作について、図7を参照しつつ説明する。ここでは、照射源1を、電界放出型の電子源とする。まず、カソード基板11と、ゲート電極2及びレンズ電極3との間に電圧を印加する。より詳細には、カソード基板11はエミッタ12と導通しているので、エミッタ12とゲート電極2との間にも電圧が印加される。このとき、ゲート電極2を正極側にして直流電圧を印加すると、エミッタ12の先端部に電界が集中し、電界放出現象により、エミッタ12の先端から電子が放出される。また、レンズ電極3には電子を追い返すようなカソードに近い直流電圧が印加されている。こうして、図7に示すように、エミッタ12から放出された電子は、ゲート電極2を通過するときには、発散しながら前進するが、レンズ電極3を通過しながら平行化されていき、平行化された状態で前進していく。そして、例えば、ターゲット電極4に、ゲート電極2と同じ電位を与えると、電子は再び加速されるが、この際、レンズ電極3とターゲット電極4の間の電界は平行平板間の電界に近いため、電子は平行化された状態で進んでいく。このような荷電粒子ビームは、従来のレンズで容易に収束させることができるので、電子線照射装置、電子デバイス、その他の家電ビーム応用工業製品に利用される。なお、電界放出型のイオン源、ガス電界電離型のイオン源でも同様にして利用することができる。
以上のように、本実施形態によれば、レンズ電極3の内壁面の形状が、上述したように形成されているため、発散するように放出された荷電粒子を平行化することができ、平行化されたまま前進させることができる。したがって、平行化された荷電粒子に対し、例えば、通常の二枚電極の静電減速系を用いて反対方向の電界を印加すると、一様に低いエネルギーの荷電粒子を生成することができる。特に、荷電粒子が平行に飛行しないと、異なる横方向の速度成分を持つ荷電粒子が混在することになり、一様に低いエネルギーにすることができない。その結果、目的位置までに失われる可能性があり、低エネルギーの電子ビームを必要とする装置で利用することができない。これに対して、本実施形態では、上記のようなレンズ電極3を用いることで、電子ビームの平行化が可能となり、一様な減速を行うことができる。
続いて、上記レンズ電極3により電子ビームを平行化することができるメカニズムについて検討する。今、電子ビームの進行方向をz軸に、それと垂直な方向をr軸とする。電子は原点Oから初速度v0で出発する。この電子は、上記のように先端が尖ったエミッタ12から放出されており、極めて小さい領域から放出されるので、ある一点から放出されると見なすことができる。電子はある点から放出され、発散するように異なる方向に放出されるが、いずれも同じ加速電圧Uで加速されている。このため、初速度の大きさは同じである。したがって、z軸に対して角度θで放出される電子の初速度の各方向成分は以下の式で示される。
ここで、
である。一般に、荷電粒子ビームのレンズを考えるときは、軸付近を通り、且つz軸に対して極めて小さい角度を持つビームを対象とする。例えば、電子顕微鏡におけるレンズなどがその例である。これに対して、大きい発散角をもつ電子ビームでは、速度に径方向成分があるとともに、ビーム進行方向であるz方向の速度がビームの角度θによって変わる。
例えば、ある静電レンズにおいて、レンズの領域内の点(r, z)における加速電界(電位の位置微分で定義)の径方向成分(eFr(r,z)で電子に働く力となる)をFr(r,z)、進行方向成分Fz(r,z)とすると、運動方程式は、以下の通りになる。
このとき、電子ビームの平行化の条件は、以下の通りである。
但し、ここでrとzは、電子の時刻tにおける位置であるので、時刻tの関数r=r(t),z=z(t)と考える。したがって、式(7)は以下のように書くこともでき、径方向の運動量をゼロにすることである。
平行化のためには、上記積分右辺のrにおける粒子の位置(r,z)よりも後では、径方向の力を受けないことが必要となる。すなわち、
一般のレンズで、ある点から放出されたあまり角度の大きくない電子ビームを平行にすることはよく議論される。この際、先に述べたように、進行方向の速度はほとんど同一と考えている。軸付近の電界分布は近似的に、
と、径方向位置に比例する。角度の大きい粒子、すなわち径方向運動量の大きい粒子に対して、それに応じた力が加わることにより、平行化することができる。発散角が極めて大きくなると、軸付近のみの電界ではなく、かなり大きな径方向位置に対しても式が成り立つ必要があるが、実際にはこれを実現することができない。これが、大発散角ビームの平行化が通常のレンズで実現しがたい理由である。
しかしながら、発散角が大きいビームに対しては、式は同じzの位置で成立する必要はない。なぜなら、このようなビームにおける電子の運動は、軸から離れる粒子ほど、進行方向速度が遅く、ビームの進行に伴い、z方向の位置が変わってくるためである。このような条件は、通常の静電レンズでは実現されていないが、異なる電極形状を持つ電極でこれを満足する電界を形成できれば、大発散角を有する電子ビームを平行化することができる。
上記システムでは、このような条件が満足されているものと考えられる。すなわち、異なる発散角を有する電子のそれぞれに対して径方向電界のない領域まで飛行する時間tを考え、
を満足するように電界F(r,t)を形成することができているものと考える。この条件を満足する電界の解は1つとは限らず、上記のような内壁面の形成により、平行化が可能な条件を作り出すことかできるものと考えられる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、荷電粒子源としての電界放出型の電子源と、これに電界を印加するゲート電極を用いているが、これに代えて、イオンが照射されるイオン源と、このイオン源から照射されるイオンに電界を印加するゲート電極とを用いることもできる。イオン源としては、例えば、液体金属イオン源、ガス電界電離イオン源などを用いることができる。静電的なレンズについては、電子と正イオンで極性の違いはあるものの、イオンの質量が重いことによる特性の差はなく、したがって、電圧を単に反転するだけで、まったく同様の議論が可能となる。
上記実施形態では、曲線S1を、直線Cの周囲に回転させることで、レンズ電極の内壁面を規定しているが、例えば、図8に示すように、x軸に平行な直線、つまり、上述した角度αが0°の直線の周りに曲線S1を回転させることで、レンズ電極の内壁面を規定することもできる。このようにすると、軸方向に進むにしたがって、内径が広がり続ける内壁面が形成される。
また、レンズ電極の内壁面は、必ずしも連続していなくてもよく、例えば、大きさの異なる円形の貫通孔52が形成された複数の平板51を準備し、これを平行に並べることで、近似的に内壁面を形成してもよい。すなわち、図9に示すように、レンズ電極の中心軸Xが各平板51の貫通孔52の中心を通過するように配置し、さらに、貫通孔の内周が、レンズ電極の内壁面に一致するように配置する。このような構成であっても、上述した効果を得ることができる。なお、平板間の距離は、例えば、レンズ電極の長さLの20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
また、レンズ電極3とターゲット電極4との間に少なくとも一つの追加のレンズ電極を配置することもできる。追加レンズ電極は、荷電粒子が通過する円形の貫通孔を有しており、この貫通孔の中心を、中心軸Xが通過するように配置される。追加レンズ電極の貫通孔の径は、レンズ電極3の下流側の開口の径と同等またはこれよりも大きいことが好ましい。また、この追加レンズ電極が配置されて位置は特には限定されないが、レンズ電極3の下流側開口付近に配置することが好ましい。複数の追加レンズ電極を用いる場合には、所定間隔をおいて平行に配置することができる(図15参照)。レンズ電極3と1つ目の追加レンズ電極(レンズ電極3に近い電極)の間の電界が、追加レンズ電極を用いない場合のレンズ電極3とターゲット電極4の間に形成される電界と同程度となるようにすることが望ましい。このような追加レンズ電極を配置することで、荷電粒子をさらに確実に平行化することができる。さらに、追加レンズ電極の電位を調整することで、荷電粒子の減速を容易に制御することができる。例えば、複数の追加レンズ電極を用いる場合、上記のように、レンズ電極3とこれに最も近い追加レンズ電極の間に電位差を設けて電子ビームの加速を行うとともに、最もターゲット電極に近い追加レンズ電極とターゲット電極4との間の電位差がないようにして無電界空間を形成することで、電子ビームの減速を行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。ここでは、図1に示す静電レンズシステムについて6つの実施例をシミュレーションにより作製し、その効果を検討した。各実施例においては、レンズ電極の形状を変更している。レンズ電極の内壁面については、それぞれ、図2に示す方法で作製した。以下のシミュレーションでは、いずれの実施例においても、エミッタに−10V、ゲート電極に40V、レンズ電極に−9.6V、ターゲット電極に0Vの電圧を印加し、エネルギーが50eVの電子ビームを、ゲート電極から半角が15度で発散するようにした。また、ゲート電極からレンズ電極までの距離を2.5mm、ゲート電極からターゲット電極までの距離は150mmとしている。その他のパラメータは、以下の通りである。
また、実施例1〜6に係るレンズ電極を図10に示す。以上の条件で電子ビームを発生させ、ターゲット電極に対して、電子ビームが入射する角度を算出した。入射角度とは、レンズ電極の軸方向Xに対する角度である。実施例1〜6におけるL/Dと、電子ビームの最大入射角の関係を図11に示す。また、一例として、実施例3におけるシミュレーション結果を図11に示す。最大入射角とは、種々の角度で発射された電子ビームのうち、最も大きい角度で入射した電子ビームの入射角度である。図10によれば、実施例1〜6においては、最大入射角がいずれも±1°以内に収まっており、電子ビームの平行化が適切に行われているのが分かる。特に、実施例2〜4については、最大入射角が±0.5°以内に収まっている。また、図12では、実施例3のシミュレーション結果を示しているが、図12(a)で図示するように、電子ビームが平行化されて進行しているのが分かる。また、図12(b)は、電子ビームの発散角と入射角の関係を示している。例えば、−10°〜10°の範囲内でゲート電極から発射された電子ビームは、いずれも概ね0°の角度でターゲット電極に入射していることが分かる。
また、式(2)におけるαの値についても検討した。以下の表2に示すように、実施例7〜12においてαの値が45°,35°,20°,10°,5°,及び0°に関するシミュレーションを行った。また、実施例9、10及び12においては、L/Dが比較的大きい場合でのαの検討も行った。図13は、以下の実施例7〜9におけるレンズ電極の形状と、電子ビームの発散角と入射角の関係との関係を示すグラフであり、図14は、実施例10〜12におけるレンズ電極の形状と、電子ビームの発散角と入射角の関係との関係を示すグラフである。
図13及び図14によれば、αが45°以内において、また、L/Dが比較的大きくても、−15°〜15°の範囲内でゲート電極から発射された電子ビームは、いずれも概ね0°の角度でターゲット電極に入射していることが分かる。
さらに、静電レンズシステムに付加レンズ電極を設けた実施例13についてもシミュレーションを行った。この実施例では、図15(a)に示すように、レンズ電極とターゲット電極との間に、2つの付加レンズ電極、つまりリング状の第1付加レンズ電極及び第2付加レンズ電極を配置した。各電極間の距離は同図に示すとおりである。印加された電圧の条件は、以下の通りである。
(1)エミッタ:−5V
(2)ゲート電極:50V
(3)レンズ電極:−1V
(4)第1付加レンズ電極:24V
(5)第2付加レンズ電極:0V
(6)ターゲット電極:0V
なお、第2付加レンズ電極からターゲット電極までの間の空間は、無電界空間となる。
また、レンズ電極の形状に関するパラメータは以下の通りである。
結果は、図15(b)に示すように、−15〜15°という範囲でゲート電極から発射された電子ビームであっても、いずれも±0.7°以内の角度でターゲット電極に入射していることが分かる。また、エネルギーが50eVでゲート電極から発射した電子ビームは、ターゲット電極において、5eVのエネルギーとなった。したがって、電子ビームが付加レンズ電極によって減速されたことが分かる。
1 照射源(荷電粒子源)
2 ゲート電極(荷電粒子源)
3 レンズ電極
31 レンズ電極の内壁面

Claims (7)

  1. 発散性を有する荷電粒子を放出する荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を平行化させるレンズ電極と、
    放出された前記荷電粒子が集束し、前記レンズ電極と電位差を有するターゲット電極と、
    を備え、
    前記レンズ電極の内壁面は、荷電粒子の進行方向に行くにしたがって内径が大きくなる領域を有する筒状に形成されており、さらに、以下の曲面に沿うように規定される、静電レンズシステム。
    式(1)y=k/x(k<0,x>0)により表された曲線を、x軸と平行な直線または前記曲線と2箇所で交差する直線の周りに回転させることで形成される曲面。
  2. 発散性を有する荷電粒子を放出する荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を平行化させるレンズ電極と、
    放出された前記荷電粒子が集束し、前記レンズ電極と電位差を有するターゲット電極と、
    を備え、
    前記レンズ電極は、貫通孔が形成された複数の板材を所定間隔をおいて平行に配置することで、前記複数の貫通孔によって形成される筒状の内部空間を有し、
    当該内部空間の内壁面は、荷電粒子の進行方向に行くにしたがって内径が大きくなる領域を有する筒状に形成されており、さらに、以下の曲面に沿うように規定される、静電レンズシステム。
    式(1)y=k/x(k<0,x>0)により表された曲線を、x軸と平行な直線または前記曲線と2箇所で交差する直線の周りに回転させることで形成される曲面。
  3. 前記レンズ電極の最大内径Dに対する、当該レンズ電極の内壁面として用いられる長さLの割合L/Dが、0.65<L/D<1.65である、請求項1または2に記載の静電レンズシステム。
  4. 前記直線がx軸となす角αは、0°≦α≦45°を充足する、請求項1から3のいずれかに記載の静電レンズシステム。
  5. 前記レンズ電極の最大内径Dに対する、当該レンズ電極の内壁面として用いられる長さLの割合L/Dが、0.95<L/D<1.35である、請求項4に記載の静電レンズシステム。
  6. 前記αは、11°<α<21°を充足する、請求項5に記載の静電レンズシステム。
  7. 前記レンズ電極と前記ターゲット電極との間に配置される、少なくとも一つの付加レンズ電極をさらに備え、
    前記付加レンズ電極は、前記荷電粒子が通過する貫通孔が形成されている、請求項1から6のいずれかに記載の静電レンズシステム。
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