JP2006114329A - イオン注入装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 イオンビームの水平、垂直方向の外径を調整し、低エネルギー、大電流でも比較的小さなスポットサイズのイオンビームを安定して得ることができるイオン注入装置を提供する。
【解決手段】 イオンBを生成するイオン源110からイオンBを引き出し、質量分離器120により所望のイオン種を選定し、この質量分離器120の下流側に配置された質量分離スリット130を透過したイオン種を加減速管140により所望のエネルギーに加速又は減速し、加減速管140の下流側に配置された四重極レンズによりイオンBを収束させて、基板の注入面に所望のイオンBを注入するイオン注入装置10において、質量分離スリット130と加減速管140との間に、イオンビームBの外径を調整する調整用静電四重極レンズ20を配置した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イオン注入装置に係り、特に、イオンビームの水平、垂直方向の外径を調整し、低エネルギー、大電流でも比較的小さなスポットサイズのイオンビームを安定して得ることができるイオン注入装置に関する。
イオン源からのイオンを所望のエネルギーに加速し、半導体等の固体表面に注入する種々のタイプのイオン注入装置が実用に供されている(特許文献1参照)。
以下、従来のイオン注入装置の一例について、図6を用いて説明する。
図6は、従来のイオン注入装置の概略構成を示す平面図である。
イオン注入装置100の主要構成は、図6に示すように、イオン源110、質量分離器120、質量分離スリット130、加減速管140、四重極レンズ150、走査器160、平行化装置170である。
なお、同図中、180は、図示しないエンドステーションに配置されたイオンを注入するターゲットとなる基板である。
また、Bは、中心軸(以下、「光軸」ともいう場合がある)を中心に進行するイオンであるが、以下、「イオンビーム」又は「ビーム」という場合がある。
以下、イオン注入装置100の上記各主要構成について、順次、補足説明する。
先ず、イオン源110は、原子や分子から電子を剥ぎ取ってイオンを生成する装置であり、図示しない引き出し口に高電圧を印加して、イオン源110内のイオンを引き出す。
質量分離器120は、イオンや電子等の荷電粒子が磁場又は電場中で偏向される性質を利用して、磁場、或いは、電場、又は、その双方を発生して、基板180に注入したいイオン種を特定するための装置である。
図6では、磁場の作用によりイオンBを選定するタイプの質量分離器120で図示されている。
加減速管140は、質量分離スリット130を通過した所望のイオン種を加速又は減速する装置であるが、図6に示すように、通常は軸対象で、複数の電極を等間隔に並べ、それらの電極に等しい高電圧を印加して、静電界の作用により、イオンビームBを所望の注入エネルギーに加速又は減速する。
なお、加減速管140を軸対称の構造とするのは、製作が容易となるためである。
四重極レンズ150は、イオンビームBの基板180上でのビームスポット形状を調整するために、図6に示すように、加減速管140と走査器160との間に設置される。
四重極レンズ150は、光学上の凸レンズが光を収束するのと同様に、イオンビームBがその進行方向に対して垂直な平面において収束させる機能を有する。
しかし、四重極レンズ150は、イオンビームBの進行方向に対して、この垂直な平面内において、例えば水平方向(図6の紙面に水平な方向)に対して収束作用が働くと、それに直交する垂直方向(図6の紙面に垂直な方向)には発散作用が働く性質を備えている。
即ち、この点において水平・垂直方向共に光を収束させる光学上の凸レンズと顕著に相違する。
従って、図6に示す従来のイオン注入装置100では、水平方向に収束させる四重極レンズとして、及び、垂直方向に収束させる四重極レンズとして、通常、2個又は3個(図示のものは2個)配置し、水平・垂直の双方向でビームBを収束するようにしている。
四重極レンズ150には、主として、静電場の作用によりイオンビームBを収束させる静電四重極レンズと、静磁場の作用によりイオンビームを収束させる磁気四重極レンズの二つの種類が存在する。
また、後述するように、四重極レンズ150の収束力(発散力)は、中心からの距離に比例する性質を有し、従って、外側ほど収束力(発散力)が強いことになる。
走査器160は、イオンビームBの進行方向と直交する方向に一様な外部電界を発生させ、この電界の極性や強度を変化させることにより、イオンの偏向角度を制御し、図6に示すように、基板180の注入面の所望の位置にイオンBを走査し、均一に注入する。
図6に示すものでは、1kHz程度の高速で走査されている。
平行化装置170は、荷電粒子であるイオンBが磁場中で偏向される性質を利用して、イオンビームBを構成する各イオンの経路の違いによって、ビームの広がりを抑えて、ビームBを基板180に平行に入射させる装置である。
なお、図6には、平行化装置170を図示しているが、必ずしも、イオン注入装置100の必須の構成要素ではない。
基板180は、エンドステーション内に配置され、走査器160がイオンビームBを走査する方向とは直交する方向に、1Hz程度の比較的遅い速度で機械的に走査される。
以上の構成において、次に、従来のイオン注入装置100の基本動作を図6を用いて説明する。
従来のイオン注入装置100では、基板180のイオンBの注入面全面に渡って一様な密度で所定のイオン種を所定のエネルギーでイオン注入を行うために、イオン源110から所定のエネルギーで引き出されたイオンビームBは、質量分離器120で偏向され、質量分離スリット130で所定のイオン種のみが選別される。
選別されたイオンビームBは加減速管140で、所望のエネルギーに加速又は減速され、上述したように、1kHz程度の周期の外部電界を走査器160に印加し、基板180の走査面に走査される。
なお、上記では、外部電界によりイオンビームBをスキャンする静電タイプの走査器160を取り上げたが、走査器160には静電タイプの代わりに磁気タイプのものが用いられる場合がある。
イオンBが固体中に入り込む深さは、イオンBのエネルギーで正確に制御できるので、例えば、イオン注入装置100の立ち上げ時等で、イオンビームのドーズ量分布をモニタリングすると、基板180の注入面にイオンビームBを走査することにより所望のイオン種の均一なイオン注入処理が容易に行える。
ところで、半導体デバイスの微細化に伴い、中電流型イオン注入装置においても、低エネルギーでのビーム電流の増大が求められている。
具体的にはイオン種がB+で、注入エネルギーが10keVの場合で、イオンビームBの電流として1mA程度が必要である。
一方、中電流型イオン注入装置の本来の目的である、150乃至200keV程度の比較的高いエネルギーでのイオン注入も必要である。
このため、中電流型イオン注入装置においては、イオン源110から一旦30keV程度のエネルギーでイオンBを引き出し、質量分離器120により必要なイオン種を選別した後に、加減速管140により加速若しくは減速することにより所定の注入エネルギーに変換している。
この際、効率よく質量分離するために、イオン源110のイオン引き出し口をスリット状とし、質量分離器120でのビームBの偏向面はそれと直交する面とし、イオン源110のイオン引き出し口が質量分離器120により結像する位置に、質量分離スリット130を設置する。
このため、質量分離されたイオンビームBの光学的な性質は、光軸に直交する二つの点で大きく異なるのが通常である。
スリット状のイオン引き出し口を持つイオン源110からのビームBの発散角についての実測例としては、非特許文献1、非特許文献2などがある。
これらによると、スリットの幅方向には±1.0°乃至±2.0°程度の広がりがあるが、スリットの長手方向の広がりは±0.5°程度である。
従来のイオン注入装置では、イオン源の引き出し口は垂直方向に長いスリットで、イオンビームBは水平方向に引き出される。
特開平8−213339号 S.Ogata et al. Nucl. Instrum and Meth. A363(1995)468- T.Kunibe et al. Proceedings of 1998 Int. Conf. on Ion Implantation Technology, (1999)424-
次に、従来のイオン注入装置の問題点を明らかにするために、イオンビームの軌道について、軌道計算プログラムに基づく計算機シミュレーションを行い、その第1、第2の2つの計算結果を図7及び図8に示す。
図7は、従来のイオン注入装置のイオンビームのエンベロープを示す図で、エネルギーが高い場合である。
図8は、従来のイオン注入装置のイオンビームのエンベロープを示す図で、エネルギーが低い場合である。
先ず、従来のイオン注入装置100におけるイオンビームの軌道について、軌道計算プログラムに基づく計算機シミュレーションの第1の計算結果を図7を用いて解析する。
ここでは、イオン種をB+、イオンビームの電流を0.2mA、30keVでイオン源110から引き出され、加減速管140で200keVに加速される場合を示している。
なお、加減速管140と静電走査器160の内部では空間電荷効果が効くので、シミュレーションではこの領域での空間電荷効果によるビームBの発散も考慮している。
また、図7中、中心軸Cより上の曲線EHは、水平面のイオンビームBのエンベロープを、下側の曲線EVは、垂直面のイオンビームBのエンベロープを表している。
なお、イオンビームBのエンベロープとは、イオンビームBの軌道計算を用いて、イオンビームBの外径を算出し、この外径を連続してプロットした曲線である。
また、図7中、中心軸Cの単位はm、縦軸はmmで示している。
ここで、図7の解析を行う前に、上述した空間電荷効果について補足説明を行う。
イオンビームは、同じ電荷を持った粒子群が設計された中心軸方向に進行する一つの系である。
従って、イオンビームの中の各イオンにはそれぞれクーロン斥力が作用し、その正確な運動を定量的に解析するには、各粒子間の作用するクーロン力を考慮しなければならないが、イオンの数が膨大になると、それぞれのクーロン力を総て計算するのは不可能になる。
そこで、イオンビームを連続的に空間電荷が分布している系と考えれば、空間電荷により生じる電界を解析することによりイオンビームの運動を定量的に計算できるようになる。
この空間電荷は、一般に、電場が印加されていない領域では、イオンビーム自身の正電位により電子がイオンビーム内部に捕獲され、イオンビームの空間電荷が中和されて、空間電荷効果が効かない状況になる。
しかし、加減速管140のように、電場が印加されている領域では、イオンビームの空間電荷を中和する電子が流出して、後述するように、空間電荷効果によってイオンビームが大きく発散してしまう。
ところで、図7に示されているシミュレーションから明らかなように、質量分離スリット130を通過した直後のイオンビームBは、水平面では強い発散を示しているのに対して、垂直面はほぼ平行であることが理解される。
図7に示されるように、イオンビームの電流が0.2mA、イオンビームBのエネルギーが200keVの場合、ビームBの基板180上での外径は水平面で18mm程度、垂直面で26mm程度である。
次に、従来のイオン注入装置100におけるイオンビームの軌道について、軌道計算プログラムに基づく計算機シミュレーションの第2の計算結果を図8を用いて解析する。
ここでは、イオン種をB+、イオンビームBの電流を0.2mA、30keVでイオン源110から引き出される点では、上記第1の計算結果と同一条件ではあるが、加減速管140で、イオンビームBのエネルギーが、逆に、10keVに減速される場合を示している。
なお、図7と同様に、加減速管140と静電走査器160の内部では空間電荷効果が効くので、シミュレーションではこの領域での空間電荷効果によるビームBの発散も考慮している。
また、図7と同様に、図8中、中心軸Cより上の曲線EHは、水平面のイオンビームBのエンベロープを、下側の曲線EVは、垂直面のイオンビームBのエンベロープを表している。
なお、図7同様、図8においても、中心軸Cの単位はm、縦軸はmmで示している。
図8から明らかなように、イオンビームBのエネルギーが低い場合は、特に、ビームBの垂直方向が四重極レンズ150から基板180まで進行する間に、空間電荷効果によって発散してしまい、0.2mA程度でも基板180上でのビームの外径が36mmを超え、直径に換算すると70mm程度と大きくなってしまうことが分かる。
この対策に、四重極レンズ150でイオンビームBの垂直方向におけるビームスポットの外径を絞ることが考えられる。
しかし、図6に示した従来のイオン注入装置100の構成では、図8に示すように、四重極レンズ150近傍でビームBの垂直面が既に絞られているので、四重極レンズ150の動作条件を変えても、垂直面に関しては、四重極レンズ150から基板180までの空間電荷効果によるビームの発散を抑えることは困難である。
これは、上述したように、四重極レンズ150の収束力は、中心からの距離に比例しているが、従来のイオン注入装置100では、四重極レンズ150近傍におけるイオンビームBの外径が既に小さく、強い収束作用を引き出すことができないためである。
一方、基板180に均一性の良い注入をするためには、基板180上でのビームBの大きさが基板180に比較して十分に小さいことが必要である。
ところが、従来のイオン注入装置100では、10keV程度の低エネルギーの場合、上記0.2mAのシミュレーションで明らかにした通り、1mA程度の大電流でかつ基板180の上で直径が50mm程度以下のイオンビームBを得るのが困難で、低エネルギーの場合、大電流イオンビームBでは、小さなスポットサイズのビームBを安定して得ることができないという問題がある。
本発明は、上記従来の課題を解決し、イオンビームの水平、垂直方向の外径を調整し、低エネルギー、大電流でも比較的小さなスポットサイズのイオンビームを安定して得ることができるイオン注入装置を提供することを目的とする。
本発明のイオン注入装置は、請求項1に記載のものでは、イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、この質量分離器の下流側に配置された質量分離スリットを透過したイオン種を加減速管により所望のエネルギーに加速又は減速し、前記加減速管の下流側に配置された四重極レンズにより前記イオンを収束させて、半導体ウェーハ等の基板の注入面に前記所望のイオンを注入するイオン注入装置において、前記質量分離スリットと前記加減速管との間に、イオンビームの外径を調整する調整用静電四重極レンズを配置した構成とした。
請求項2に記載のイオン注入装置では、前記質量分離スリットと、前記調整用静電四重極レンズとの間に、前記質量分離スリット側から前記調整用静電四重極レンズ側に電子が流出するのを防止する、負の電圧を印加した電極を配置した構成とした。
請求項3に記載のイオン注入装置では、前記質量分離スリットと、前記調整用静電四重極レンズとの間に、前記質量分離スリット側から前記調整用静電四重極レンズ側に電子が流出するのを防止する永久磁石を配置した構成とした。
請求項4に記載のイオン注入装置では、イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、この質量分離器の下流側に配置された質量分離スリットを透過したイオン種を加減速管により所望のエネルギーに加速又は減速し、前記加減速管の下流側に配置された四重極レンズにより前記イオンを収束させて、半導体ウェーハ等の基板の注入面に前記所望のイオンを注入するイオン注入装置において、前記質量分離スリットと前記加減速管との間に、イオンビームの外径を調整する調整用磁気四重極レンズを配置した構成とした。
本発明のイオン注入装置は、上述のように構成したために、以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載したように構成すると、加減速管の下流側に配置した四重極レンズ近傍で、ビームの水平面と垂直面の外径がほぼ等しくすることができ、この結果、四重極レンズから基板までのビームの制御性が良くなり、空間電荷効果による発散が顕著である低エネルギーの場合でも、大電流で比較的小さなスポットサイズのイオンビームを安定して得ることができる。
(2)また、調整用四重極レンズを静電タイプのものとすることにより、大きさが小さくなり、低下コスト化が可能である。
(3)請求項2に記載したように構成すると、イオンビーム中から電子が流出して、空間電荷中和が損なわれてビームが発散する事態を防ぐことができる。
(4)請求項3に記載したように構成すると、請求項2と同様に、イオンビーム中から電子が流出して、空間電荷中和が損なわれてビームが発散する事態を防ぐことができる。
(5)請求項4に記載したように構成すると、加減速管の下流側に配置した四重極レンズ近傍で、ビームの水平面と垂直面の外径がほぼ等しくすることができ、この結果、四重極レンズから基板までのビームの制御性が良くなり、空間電荷効果による発散が顕著である低エネルギーの場合でも、大電流で比較的小さなスポットサイズのイオンビームを安定して得ることができる。
(6)また、調整用四重極レンズを磁気タイプのものとすることにより、それ自身が電子の流出を防ぐことができる機能を有するので、質量分離スリットと、調整用磁気四重極レンズとの間に、電極や永久磁石を配置する必要がなく、構成が簡単となる。
本発明のイオン注入装置の第1乃至第3の各実施の形態について、図1乃至図5を用いて、順次、説明する。
第1の実施の形態:
先ず、本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態について、図1乃至図3を用い、図6乃至図8を参照して説明する。
図1は、本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態の主要構成を示す平面図である。
図2は、本実施の形態のイオン注入装置におけるイオンビームの軌道について、軌道計算プログラムで計算したエンベロープ曲線を示す図で、イオンビームが低電流の場合である。
図3は、本実施の形態のイオン注入装置におけるイオンビームの軌道について、軌道計算プログラムで計算したエンベロープ曲線を示す図で、イオンビームが大電流の場合である。
なお、図2及び図3において、図7及び図8と同様に、中心軸Cより上の曲線EHは、水平面のイオンビームBのエンベロープを、下側の曲線EVは、垂直面のイオンビームBのエンベロープを表している。
また、図7及び図8同様、中心軸Cの単位はm、縦軸はmmで示している。
図2及び図3においては、図の煩雑さを避けるために、質量分離スリット130の図示は省略してある。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置10の基本構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態のイオン注入装置10の構成上の特徴は、図6の従来のイオン注入装置100において、質量分離スリット130と加減速管140との間に、イオンビームBの外径を調整する調整用静電四重極レンズ20を配置した点である。
従って、それ以外の各構成については、図6に示す従来のイオン注入装置100と同一の構成であり、その説明については割愛し、以下、本実施の形態のイオン注入装置10に用いる調整用静電四重極レンズ20の作用を中心に説明する。
上述したように、この調整用静電四重極レンズ20を質量分離スリット130と加減速管140との間に配置すると、該調整用静電四重極レンズ20のイオンビームBの収束発散作用により、イオンビームBが下流の四重極レンズ150(図6参照)近傍におけるビームBの外径を調整することが可能になる。
本実施の形態のイオン注入装置10の基本動作上の特徴は、四重極レンズ150では、イオンビームBの収束力は、中心からの距離に比例し外側ほど強い性質を有するために、調整用静電四重極レンズ20により、下流側の四重極レンズ150で外径が広がるように設定すれば、下流側の四重極レンズ150の強い収束力を引き出すことができるというものである。
本実施の形態のイオン注入装置10の上記基本動作上の特徴を検証するために、イオンビームBの軌道計算を用いて算出したエンベロープを図2及び図3に示す。
図2には、イオン種をB+、イオンビームの電流を0.2mA、30keVでイオン源から引き出され、加減速管で10keVに減速される場合を示す。
この条件は、従来のイオン注入装置100では、ビームの直径が70mm程度に広がった条件と同一である。
また、図3には、イオン種をB+、イオンビームの電流を1.0mA、30keVでイオン源から引き出され、加減速管で10keVに減速される場合を示す。
図2及び図3に示すように、質量分離スリット(図示せず)を通過した直後のイオンビームBは、当該スリットの幅方向(水平方向)には発散しているのに対し、長手方向(垂直方向)には平行若しくは収束気味である。
そこで、本実施の形態のイオン注入装置10では、質量分離スリットと加減速管140との間に、上述した通り、イオンビームBの外径を調整する調整用静電四重極レンズ20を配置し、この調整用静電四重極レンズ20により、幅方向を収束させ、長手方向が発散するように機能させることにより、加減速管140に入射する場合や下流側の四重極レンズ150近傍において、幅方向と長手方向のビームBの振る舞いが一致するようにすることができる。
これにより、製作が容易な軸対称の構造の加減速管140で加速や減速をしても、光軸Cに直交する水平、垂直の二つの面でのビームBの振る舞いが一致し、加減速管140の下流側に配置した四重極レンズ150近傍で、ビームBの水平面と垂直面の外径がほぼ等しくすることができ、この結果、四重極レンズ150から基板180までのビームBの制御性が良くなり、空間電荷効果による発散が顕著である低エネルギーの場合でも、大電流で比較的小さなスポットサイズのイオンビームを安定して得ることができる。
以下、図2及び図3からこのことを定量的に解析する。
図2及び図3から明らかなように、調整用静電四重極レンズ20により、下流側の四重極レンズ150でビーム径が太くなり、下流側での四重極レンズ150の強い収束力を引き出すことができるので、イオンビームBが低エネルギーの場合でも、特に、ビームBの直径を垂直方向が四重極レンズ150から基板180まで進行する間に、空間電荷効果に発散してしまうのを抑制し、基板180上でのビームBの直径が、1.0mAの大電流でも、水平方向で25mm程度、垂直方向で30mm程度と小さくできることが分かる。
よって、本実施の形態のイオン注入装置10では、イオンビームBが低エネルギー、大電流の場合でも、スポット径が小さなイオンビームBを安定して得ることができ、最新技術の要求に十分に対応が可能であることが理解される。
また、本実施の形態のイオン注入装置100では、調整用四重極レンズ20として、静電タイプのものを用いている。
これにより、調整用四重極レンズ20の大きさが小さくなり、コンパクト化、低下コスト化が可能である。
第2の実施の形態:
次に、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態について、図4を用いて説明する。
図4は、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態の主要構成を示す斜視図である。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置10Bの主要構成について、図4を用いて説明する。
本実施の形態のイオン注入装置10Bの特徴は、図1に示す第1の実施の形態のイオン注入装置10において、質量分離スリット130と、調整用静電四重極レンズ20との間に、質量分離スリット130側から調整用静電四重極レンズ20側に電子が流出するのを防止する、負の電圧を印加した電極30を配置した点である。
このようにすると、イオンビームB中から電子が流出して、空間電荷中和が損なわれてビームBが発散する事態を防ぐことができる。
第3の実施の形態:
次に、本発明のイオン注入装置の第3の実施の形態について、図5を用いて説明する。
図5は、本発明のイオン注入装置の第3の実施の形態の主要構成を示す断面図である。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置10Cの主要構成について、図5を用いて説明する。
本実施の形態のイオン注入装置10Cの特徴は、図1に示す第1の実施の形態のイオン注入装置10において、質量分離スリット130と、調整用静電四重極レンズ20との間に、質量分離スリット130側から調整用静電四重極レンズ20側に電子が流出するのを防止する永久磁石40を配置した点である。
このようにすると、第2の実施の形態と同様、イオンビームB中から電子が流出して、空間電荷中和が損なわれてビームBが発散する事態を防ぐことができる。
本発明のイオン注入装置は、上記各実施の形態には限定されず、種々の変更が可能である。
先ず、上記実施の形態としては、調整用四重極レンズとしては、静電タイプのもので説明した。これは、磁気タイプのものに比較して大きさが小さくでき、低コストでコンパクト化が可能であるためだが、磁気タイプのものを用いても勿論かまわない。
この場合、磁気タイプのものは、それ自身イオンビームの中間電荷の中和を損なわせる電子の流出を防ぐ機能を有するので、上記第2及び第3の実施の形態で用いた電極や永久磁石は不要になり、構成が簡単になる。
また、図6に示した構成のイオン注入装置の例で説明したが、必ずしもこの従来例にのみ適用できるのではなく、イオンを注入する装置全般に本発明が適用できるのは言うまでもないことである。
本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態の主要構成を示す平面図である。 第1の実施の形態のイオン注入装置におけるイオンビームの軌道について、軌道計算プログラムで計算したエンベロープを示す図で、イオンビームが低電流の場合である。 第1の実施の形態のイオン注入装置におけるイオンビームの軌道について、軌道計算プログラムで計算したエンベロープを示す図で、イオンビームが大電流の場合である。 本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態の主要構成を示す斜視図である。 本発明のイオン注入装置の第3の実施の形態の主要構成を示す平面図である。 従来のイオン注入装置の概略構成を示す平面図である。 従来のイオン注入装置のイオンビームのエンベロープを示す図で、エネルギーが高い場合である。 従来のイオン注入装置のイオンビームのエンベロープを示す図で、エネルギーが低い場合である。
符号の説明
10、10B、10C、100:イオン注入装置
20:調整用四重極レンズ
30:電極
40:永久磁石
110:イオン源
120:質量分離器
130:質量分離スリット
140:加減速速管
150:四重極レンズ
180:基板
B:イオンビーム

Claims (4)

  1. イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、この質量分離器の下流側に配置された質量分離スリットを透過したイオン種を加減速管により所望のエネルギーに加速又は減速し、前記加減速管の下流側に配置された四重極レンズにより前記イオンを収束させて、半導体ウェーハ等の基板の注入面に前記所望のイオンを注入するイオン注入装置において、
    前記質量分離スリットと前記加減速管との間に、イオンビームの外径を調整する調整用静電四重極レンズを配置したことを特徴とするイオン注入装置。
  2. 前記質量分離スリットと、前記調整用静電四重極レンズとの間に、前記質量分離スリット側から前記調整用静電四重極レンズ側に電子が流出するのを防止する、負の電圧を印加した電極を配置したことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
  3. 前記質量分離スリットと、前記調整用静電四重極レンズとの間に、前記質量分離スリット側から前記調整用静電四重極レンズ側に電子が流出するのを防止する永久磁石を配置したことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
  4. イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、この質量分離器の下流側に配置された質量分離スリットを透過したイオン種を加減速管により所望のエネルギーに加速又は減速し、前記加減速管の下流側に配置された四重極レンズにより前記イオンを収束させて、半導体ウェーハ等の基板の注入面に前記所望のイオンを注入するイオン注入装置において、
    前記質量分離スリットと前記加減速管との間に、イオンビームの外径を調整する調整用磁気四重極レンズを配置したことを特徴とするイオン注入装置。
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