ここで、本発明を、添付の図面を参照しながら説明する。ここでは全記載に亘って、同様の参照番号は同様の部材を参照するために用いられる。本発明は、以下に図示及び記載される典型的な実施形態及び局面に限定されるものでないことは、当業者には明らかであろう。
本発明は、イオン注入プロセスにおいて、イオンビームを集束させるとともにイオンビームから粒子を除去することにより、イオン注入プロセス及びシステムを促進する。イオンビームの粒子とは、イオンビーム内に存在し得る望ましくない粒子である。これらの粒子が除去されなかった場合、これらの粒子は、イオンビームによってウェハまで輸送され、そこで損傷の原因となるか、又はイオン注入若しくはそれに続くプロセスにおいて望ましくない影響を有する。すなわち、本発明は、下流のアパーチャがもたらすようなビームの流れの減衰を実質的に伴わずに、イオンビームから粒子を選別することを促進する。その結果として、望まない粒子をより少なく有する集束されたイオンビームを得ることができる。
最初に図1を参照すると、本発明の1つ以上の形態を実施するために適したイオン注入システム100が、ブロック図の形に示されている。システム100は、イオンビーム104をビーム経路に沿って生成するためのイオン源102を含む。イオン源102は、例えば、電源108につながったプラズマ源106を含む。プラズマ源106は、例えば、比較的長いプラズマ閉じ込めチャンバを含み、該チャンバからは、イオンビームが抽出される。
イオン源102の下流側には、イオン源102からビーム104を受け取るビームラインアッセンブリ110が設けられている。ビームラインアッセンブリ110は、質量分析器112、例えば1つ以上のギャップを含み得る加速システム114、及び角度エネルギーフィルタを含む。ビームラインアッセンブリ110は、ビーム104を受け取るために経路に沿って配置されている。質量分析器112は、磁石(図示せず)のような磁場発生要素を含んでおり、ビーム経路を横切る磁場を発生させることによって、イオンビーム104のイオンを、質量(例えば、電荷質量比)に基づく様々な軌道で偏向させる。磁場を通過するイオンは、所望の質量を有する個々のイオンをビーム経路に沿って方向付け、かつ不要な質量を有するイオンを偏向させビーム経路から取り除くような力を受ける。
加速システム114内の1つ又は複数の加速ギャップは、基材における所望の注入深度を得るために、ビーム内のイオンを加速及び/又は減速させることができる。すなわち、本明細書では「加速器」及び/又は「加速ギャップ」という用語を本発明の1つ以上の形態を説明する際に用いているが、これらの用語は、「加速」の文字通りの解釈に限定されるように狭く解釈されることを意図するものでなく、例えば、減速、及び方向の変更などを含むように広く解釈されるべきものであることは明らかであろう。加速/減速手段は、質量分析器112による磁気分析の後だけでなく前においても適用可能であることもまた明らかであろう。
イオンとバックグラウンド又は残余の粒子との衝突により、中性の及び/又は他の非選択のエネルギー範囲を含む汚染粒子がイオンビーム104内において生成され得ることは明らかであろう。そのような衝突は、イオンとバックグラウンド又は他の粒子との電荷の交換を引き起こし、イオンが中性の粒子又は汚染物質となることを招く。これらの中性の粒子は、ウェハの、イオンがドープされるべき領域に注入され得る。その結果、意図されるドープの度合いが弱まり、ドープのプロセスに対して不利な効果を与える。さらに重要なことに、これらの粒子は電気的に中性であるので、加速器、特に、上記電極によって作り出された静電場を、影響(例えば、加速、減速、集束、屈曲、又はその他の速度及び/若しくは方向の変化)を受けずに通過し得る。
上記粒子は、典型的には直径が0.1から10μmの位数であり、例えば、数千から数百万の原子を含み得る。もし、イオンビーム104に粒子が入り込んだ場合、ビーム104内のイオンは、上記粒子に消灯して当該粒子にビーム経路と同方向の運動量を与える。粒子捕獲器116に入る前は、上記粒子は高い正の実効電荷を有していない。これは、イオンビーム104内には、上記粒子上に正電荷を形成することを平衡、阻止又は抑制する、十分な数の電子も又存在するからである。
静電的粒子捕獲及び集束器116は、加速ギャップ114からの、加速又は減速されたイオンビーム116を受容し、イオンビーム104を選択的に集束し、イオンビーム104から望まない粒子を排除又は除去する。
粒子捕獲器116は、入口の集束領域、焦点ぼかし領域及び出口の集束領域を含んでいる。ビーム104内の電子は、負にバイアスされた中央電極によって弾かれ、粒子の正電荷を増強する。望まない粒子を含んだイオンビーム104は、入口の集束領域を通過する。次いで、イオンビーム104は、イオンビーム104の焦点を若干ぼかす(defocus)焦点ぼかし領域を通過し、続いて、イオンビーム104を選択的に集束する出口の集束領域に伝播する。ここで、イオンビーム104内の上記粒子は、正電荷を蓄え続ける。これにより、焦点ぼかし領域は、上記粒子を大幅に偏向させ、上記粒子がイオンビーム104の残りの成分とともに焦点ぼかし領域を通り過ぎることを防ぐ。上記粒子は、焦点ぼかし領域内を軌道運動し、例えば電極のような物体に衝突するまで、正電荷の増強を維持する。
粒子捕獲器116は、集束領域及び焦点ぼかし領域を確立する多数の電極を含んでいる。いくつかの形態において、電極又は電極の部分は、ビームの一つ以上の方向における分岐を緩和するように形成され得る。
イオンビームを構成する正に荷電したイオンは、いわゆる「空間電荷力」により、互いに反発する。空間電荷効果は、イオンビームのエネルギーが減少するのに伴い増加し、よって、ビーム内のイオンが減速されるに伴い増加され得、ビームを散乱又は発散され易くする。空間電荷力により、イオンビームの側面への広がりは、
に比例する。なお、mはイオンの質量を、qはイオンの電荷を、Iはビーム電流を、Uはビームのエネルギーを、そしてzはイオンビームの移動距離を示し、イオンビームは一様で円形の断面を有するものとする。従って、ビームの移動する距離が増加するにつれ、ビームが発散する確率が増加することは明らかであろう。よって、イオンビームがウェハまで長距離を移動する場合、特に、大きなビーム電流又はビーム内に高い密度のイオンが存在した場合、すべてのイオンがウェハに到達することはより困難になる。
なお、粒子捕獲器116は、ビームラインアッセンブリ110内に分離された部材として記述されていることに注意されたい。しかしながら、本発明の他の形態において、例えば、粒子捕獲器116が加速器114の一部である等、他の配置及び設計が意図されることは明らかである。
システム100には、ビームラインアッセンブリ110からのイオンビーム104の先に、さらに最終ステーション118が設けられている。最終ステーション118は、質量分析されたイオンビーム104を用いてイオン注入するために、半導体ウェハ(図示せず)などの1つ以上の基材を、ビーム経路に沿って支持している。最終ステーション118は、1つ以上のターゲットの基材とイオンビーム104とを相対的に平行移動又は走査するための、ターゲットスキャンニングシステム120を有している。ターゲットスキャンニングシステム120は、例えば、所定の環境、操作パラメータ及び/又は目的に応じた、一括注入又は連続注入を提供し得る。
図2は、本発明の一形態における、集束を行う粒子捕獲器200の断面図である。粒子捕獲器200は、典型的なイオンビーム202のようなイオンビームに対して操作可能であり、空間電荷の発散等を和らげるためにイオンビームを集束するとともに、イオンビームから粒子を選択的に除去する。集束を行う粒子捕獲器200は、典型例であり、自然なものであり、その変形は、本発明の意図するところであり、本発明に適合することは明らかであろう。
粒子捕獲器200は、入口の電極204、中央の電極208及び出口の電極212を備えている。入口の電極204は、導電性の物質からなり、典型的なイオンビーム202が通過するアパーチャ206を備えている。アパーチャ206は、イオンビーム202が実質的に通過し得るような形をしている。入口の電極204は、例えば、中央の電極208よりも、電圧が低く、又はより正の電圧にバイアスされている(例えば、接地されているか、0Vにバイアスされている)。
中央の電極208は、入口の電極204の下流に配置されており、同様に導電性の物質からなり、典型的なイオンビーム202が入口のアパーチャ206を通過した後に、通過する中央のアパーチャ210を備えている。中央の電極208は、入口の電極204の電圧よりも低い、例えば、−17kVのような負の電圧にバイアスされている。その結果、第1の静電場218が、入口の電極204から中央の電極208に向けて生じる。第1の静電場218は、まず、イオンビーム202を集束するが、次いで、入口の電極204から中央の電極208への道程のおよそ半ばで、イオンビーム202の焦点をぼかす。
出口の電極212は、中央の電極208の下流に配置され、中央の電極208及び入口の電極204の両方に対して実質的に平行である。また、出口の電極212は導電性の物質からなり、典型的なイオンビーム202が中央のアパーチャ210を通過した後に、通過する出口のアパーチャ214を備えている。出口の電極212は、より正の値、例えば接地、又は0Vにバイアスされている。その結果、第2の静電場220が、出口の電極212から中央の電極208に向けて生じる。第2の静電場220は、まず、上記ビーム(正の電荷を有している)内の上記イオン及び粒子の速度を遅くし、中心軸から焦点をそらす(Defocus)。中央の電極208と出口の電極212との間のおよそ中間点で、静電場220は、イオンビーム202を集束する。
この典型的な形態において、イオンビーム202は、正の荷電したイオンからなる。また、望まない粒子もイオンビーム202内に含まれている。上記粒子は、典型的には、初めは、中性であり、比較的静止しており、また、通常、上記イオンビーム内のイオンよりもはるかに大きい。正に荷電したイオンが上記粒子に衝突すると、当該粒子は、イオンビーム202の方向に沿って下流に移動するようになる。上記望まない粒子の速度は、イオンビーム202内の上記イオンよりも、実質的にはまだなお遅い。
入口の電極204を粒子が通過するとき、当該粒子は陽イオンに衝突され続ける。この領域では、電子は、陰性の電極により弾かれ、上記粒子の正の電荷が増強される。上記粒子は、入口及び中央の電極間における電場の長手方向成分により加速される。中央の電極を粒子が通過するとき、当該粒子は、中央及び出口の電極間における電場の長手方向成分により減速される。上記粒子の電荷はより陽性になり続けるので、出口側における負にバイアスされた中央の電極の電場の効果は、入口側におけるものよりも大きくなる。その結果、上記粒子の減速は、加速よりも大きくなり、当該粒子の動きは反転する。そして、例えば、上記粒子が入口の電極の方向へと戻るときにも、このサイクルが繰り返される。よって、上記粒子は、中央の電極に周囲の領域に捕獲(Trap)される。
また、上記粒子は、主に、入口の電極204及び中央の電極208の中間点から中央の電極208及び出口の電極212の中間点までの範囲の焦点ぼかし領域216において捕獲される。この領域では、電場の側面方向成分は、中心から外に向かっている。この領域において上記イオンは、若干焦点がぼかされているが、上記粒子は、そのより長い滞留時間によって大幅に焦点がぼかされている。その結果、上記粒子は、イオンビーム202の伝播の中心軸から逸れ、中央の電極208のような何らかの物体に衝突するまで、焦点ぼかし領域内において一回又はそれ以上の回数周回する。
一例として、単一の典型的な粒子222が、イオンビーム202に入り、イオンビーム202とともに下流に移動することが描写される。イオンビーム202に入ると、粒子222は、より陽性に荷電するようになる。焦点ぼかし領域216に入ると、粒子222は負にバイアスされた中央の電極208に向けて引き寄せられる。本例において、粒子222は、その速度により、中央の電極208をそのまま通過するが、ついには、その方向を中央の電極208の方へと反転させる。そして、粒子222は、中央の電極208のような何らかの物体に衝突するまで、焦点ぼかし領域216の辺りにおいて軌道運動を続ける。
図3Aは、本発明の一形態における、粒子捕獲器の焦点ぼかし領域を移動する粒子の典型的なシミュレーションのグラフ301である。上記粒子捕獲器は、その設定及び操作において、図2の粒子捕獲器200と類似するものである。グラフ301は、シミュレーションの結果を示すものであり、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明をそこに示された特定の値又は特徴に限定するものではない。
グラフ301は、焦点ぼかし領域内において捕獲された、サイズが1μmの粒子の位置に対する速度を示す。中央の電極は、−15.0kVにバイアスされており、入口及び出口の電極は接地されている(0Vにバイアスされている)。x軸は、ミリメートル単位での距離を表し、y軸は毎秒メートル単位での速度を表す。この例では、入口の電極は、およそ1000mmに配置され、中央の電極はおよそ1020mmに配置され、出口の電極はおよそ1040mmに配置される。捕獲器内の上記粒子の持続時間は、約0.002秒である。
最初、上記粒子は、比較的遅い速度(100m/sより遅い)である。粒子捕獲器に入ると、様々な電極によって生成された電場及び負にバイアスされた中央の電極に向かうその引力によって、その速度が実質的に変化することが判る。最終的には、上記粒子は、中央の電極のような物体に衝突して、その正電荷を失う。
図3Bは、本発明の一形態における、粒子捕獲器の焦点ぼかし領域を移動する粒子の典型的なシミュレーションの他のグラフ302である。このシミュレーションは、図3Aにおいて既に記載したものである。
ここで、グラフ302は、焦点ぼかし領域内において捕獲された、サイズが1μmの粒子の位置に対する電荷を示す。中央の電極は、−15.0kVにバイアスされており、入口及び出口の電極は接地されている(0Vにバイアスされている)。x軸は、ミリメートル単位での距離を表し、y軸は電荷を表す。この例では、入口の電極は、およそ1000mmに配置され、中央の電極はおよそ1020mmに配置され、出口の電極はおよそ1040mmに配置される。最初、上記粒子は、比較的低い正電荷を有しているが、その電荷は、捕獲器内において徐々に増加する。
図4は、本発明の一形態における、粒子捕獲器を用いて粒子を捕獲するための中央の電圧の最小値を示すグラフ400である。上記粒子捕獲器は、その設定及び操作において、図2の粒子捕獲器200と類似するものである。グラフ400は、シミュレーションの結果を示すものであり、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明をそこに示された特定の値又は特徴に限定するものではない。
中央の電極は、負の電圧にバイアスされており、入口及び出口の電極は接地されている。また、上記電極間のギャップは、約4mmである。x軸は、マイクロメートル単位での粒子の直径を表し、y軸は粒子捕獲器の中央の電極に印加される負の電圧のバイアスの度合いを表す。
第1のライン401は、イオンビーム内の望まない粒子を表す。上記ビームは、当該ビーム内のヒ素イオンにより、平方メートル辺り約2アンペアの電流密度を有している。通常、より小さい粒子はより大きい負のバイアス値を必要とし、より大きい粒子はより小さい負のバイアス値を必要とする。ここで、0.1μmよりも小さい、比較的小さい粒子が、比較的小さい電圧(<約2kV)により捕獲され得ることが判る。第2のライン402は、平行メートル当たり約20アンペアの電流密度の、イオンビーム内の粒子を表す。より高い電流密度は、より大きな負のバイアスを必要とする(直径がより小さい粒子に対しても約4kV)。第3のライン402は、平行メートル当たり約200アンペアの電流密度の、イオンビーム内の粒子を表す。このなおさらに高い電流密度は、なお大きい負のバイアス電圧を必要とする。
図5は、本発明の一形態における、他の、集束を行う粒子捕獲器500の断面図である。粒子捕獲器500は、例えば、典型的な楕円形のイオンビーム502のようなイオンビームを操作することができ、空間荷電の発散等を緩和するためにイオンビームを集束するとともにイオンビームから粒子を選択的に除去する。集束を行う粒子捕獲器500は、例示であり、自然なものであり、その変形は意図されるものであり、本発明に適合することは明らかであろう。
この例において、典型的なイオンビームは、楕円形の形状を有しており、x方向(水平方向)において、y方向(垂直方向)に比べて狭くなっている。このようなイオンビームは、x及びy方向において空間荷電が発散され得る。x方向における空間荷電の発散は、より強いx方向の集束をもたらす、より高い電圧の採用により、緩和することができるが、y方向への空間荷電の発散は、スリットレンズの近似がスリットレンズの高さ方向において拘束されないために、この方法では実質的に低減させることができない。その結果、粒子捕獲器500は、y方向へのこのような問題を緩和するために、湾曲した表面を有する電極を用いている。
粒子捕獲器500は、入口の電極504、中央の電極508及び出口の電極512を備えている。入口の電極504は、導電性の物質からなり、典型的なイオンビーム502が通過するアパーチャ506を備えている。入口の電極504は、比較的平坦な第1の表面と、中央の電極508に対向する凹状の第2の表面とを備えている。アパーチャ506は、イオンビーム502が実質的に通り抜けられるような形をしている。入口の電極504は、中央の電極508よりも、電圧が低く、又はより正の電圧にバイアスされている(例えば、接地されているか、0Vにバイアスされている)。凹状の第2の表面は、ビームエネルギーに比べたときの印加される電圧に応じて、曲率半径よりも焦点距離が長くなるような形をしている。
中央の電極508は、入口の電極504の下流に配置されており、同様に導電性の物質からなり、典型的なイオンビーム502が、入口のアパーチャ506を通り抜けた後に、通り抜ける中央のアパーチャ510を備えている。中央の電極508は、入口の電極504に対向する第1の凸状の表面と、出口の電極512に対向する第2の平坦な表面とを備えている。中央の電極508は、入口の電極504の電圧よりも低い、例えば、−17kVのような負の電圧にバイアスされている。その結果、第1の静電場518が、入口の電極504から中央の電極508に向けて生じる。第1の静電場518は、最初、入口の電極504から中央の電極508にかけてイオンビーム502を加速させる。また、第1の凸状の表面は、中央の電極508に印加される電圧に応じて、曲率半径よりも焦点距離が長くなるような形をしている。
出口の電極512は、中央の電極508の下流に配置され、中央の電極508及び入口の電極504の両方に対して実質的に平行である。この典型的な形態において、出口の電極は、中央の電極508に対向する比較的平坦/平面的な第1の表面と、中央の電極508とは異なる方向を向く第2の比較的平坦/平面的な表面とを備えている。また、出口の電極512は導電性の物質からなり、典型的なイオンビーム502が中央のアパーチャ510を通り抜けた後に、通り抜ける出口のアパーチャ514を備えている。出口の電極512は、より正の値、例えば接地、又は0Vにバイアスされている。その結果、第2の静電場520が、出口の電極512から中央の電極508に向けて生じる。第2の静電場520は、上記ビーム(正の電荷を有している)内の上記イオン及び粒子の速度を遅くする。上記粒子は、その高い正の電荷により、大幅に減速される。また、電極(604、508及び512)の第1及び第2の表面は、様々なイオンビームの形状を補償するために、上述し図5に描いた形状から変形した形状を有していてもよいことは明らかであろう。
粒子捕獲器500の操作は、図2の粒子捕獲器200の操作と、実質的には同様である。さらに、イオンビーム502は、正に荷電したイオンからなるが、y方向がより長い比較的楕円形の形状を有している。また、フォトレジスト残渣等の望まない粒子もまた、イオンビーム502内に含まれている。上記粒子は、典型的には、初めは、中性であり、比較的静止しており、また、通常、上記イオンビーム内のイオンよりも数倍大きい。正に荷電したイオンが上記粒子に衝突すると、当該粒子は、イオンビーム502の方向に沿って下流に移動するようになる。上記粒子は、通常、上記イオンよりもかなり大きい質量を有しているため、当該粒子は、イオンビーム内のイオンよりもかなり大きい正の電荷を蓄えることができる。しかしながら、望まない粒子の速度は、イオンビーム502内の上記イオンよりも、実質的にはまだなお遅い。
図6A及び図6Bは、本発明の一形態における、典型的な、集束を行う粒子捕獲器600を示す。粒子捕獲器600は、本質的には典型例であり、本発明に係る、集束を行う粒子捕獲器の一つの可能性のある設定及び組合せを説明するために提供される。本発明において、他の組合せ及び設定を用いることができることは明らかであろう。
図6Aは、本発明の一形態における、粒子捕獲器600の典型的な実装の斜視図である。粒子捕獲器600は、入口の電極604、中央の電極606及び出口の電極608を備えており、イオン注入システムのビームラインアッセンブリ(図示せず)内又は近くに配置するための台612に取り付けられている。粒子捕獲器600の操作は、図6の粒子捕獲器600の操作と実質的に同様である。
入口の電極604及び中央の電極606の間並びに中央の電極606及び出口の電極608の間にギャップが示されている。前方板602は、入口の電極604の第1の表面に取り付けられている。前方板602は、入口の電極604のアパーチャと並べられたアパーチャ610を備えている。イオンビームが通過するアパーチャ(見えない)はまた、中央の電極606及び出口の電極608にも存在している。一つかそれ以上の電源が、適切な電圧のバイアスを印加するために、電極604、606及び608に電機的に接続されている。
図6Bは、本発明の一形態における、粒子捕獲器600の分解斜視図である。この図は、より明確に個々の電極及び典型的な形状を示す。本図は、板602、入口の電極604、中央の電極608及び出口の電極608についてより詳細に描写する。
入口の電極604は、本発明をより完全に描写するために二つの部品に分けられて示されている。入口の電極604の第2の表面614は、y方向に沿った分散を緩和するために、凹状である。同様に、中央の電極606の第1の表面616は、y方向に沿った分散を緩和するために、凸状である。アパーチャ610並びに電極604、606及び608のアパーチャは、楕円形のイオンビームに適合するような形状に示されている。
図7は、本発明の一形態における、イオンビームから粒子を除去し、イオンビームを集束する方法700を説明するフロー図である。方法700は、焦点ぼかし領域を備えた集束を行う粒子捕獲器を用いるものであり、イオンビームから粒子を除去することをもたらすものであり、典型的には、イオン注入システム内において実施される。さすれば、イオン注入プロセスのパフォーマンスは向上し、粒子の望ましくない注入は抑制される。
方法700は、望まない粒子を自イオンビーム内に含み得るイオンビームが供給されるブロック702から開始する。上記粒子は、イオンビーム内に存在するようになり、当該粒子に衝突する個々のイオンにより、イオンビームに沿って下流へと押される。また、イオンビーム内のイオンは正電荷を有しているので、上記粒子をより陽性に荷電させる。さらに、上記粒子は、より大きい質量を有しているので、より多くの電荷を蓄える傾向にあり、ビーム内のイオンよりもより陽性に荷電されるようになる。
イオンビーム及び粒子は、まず、ブロック704において、第1の静電場の集束部により集束される。第1の静電場は、イオンビームが通り抜ける、入口のアパーチャを備える入口の電極と、中央のアパーチャを備える中央の電極とに適切な電圧を印加することにより生成される。入口の電極及びアパーチャ並びに中央の電極及びアパーチャは、入口の電極から中央の電極に向けて導かれる第1の静電場が、所望の、x及びy方向の両方における集束及び焦点ぼかしを提供することができ、例えば、鉛筆状又はリボン状のような、イオンビームの形状に適合するような形をしている。また、場の強度は、入口の電極が典型的には接地されている一方、中央の電極を負の電圧に適切にバイアスすることにより、調整することができる。第1の静電場の集束部は、入口の電極から始まり、中央の電極への中間点において終わる。また、ビーム内の電子が、負にバイアスされた中央の電極により排除されるため、集束部において、上記粒子には正電荷が蓄えられる。
続いて、ブロック706において、第1の静電場の焦点ぼかし部と第2の静電場の焦点ぼかし部とからなる焦点ぼかし領域により、イオンビームは焦点がぼかされる。中央の電極と、イオンビームが通り抜ける、出口のアパーチャを備えた出口の電極とにバイアスを印加することにより、第2の静電場が生成される。出口の電極及びアパーチャ並びに中央の電極及びアパーチャは、出口の電極から中央の電極に向けて導かれる第2の静電場が、所望の、x及びy方向の両方における集束及び焦点ぼかしを提供することができ、例えば、鉛筆状又はリボン状のような、イオンビームの形状に適合するような形をしている。また、場の強度は、出口の電極が典型的には接地されている一方、中央の電極を負の電圧に適切にバイアスすることにより、調整することができる。
第2の静電場の集束部は、中央の電極から始まり、下流の、出口の電極への中間点まで続く。この点において、第2の静電場の集束部での集束が始まり、出口の電極に到達するまで続く。
並行して、ブロック708において、第1の静電場の焦点ぼかし部と第2の静電場の焦点ぼかし部とからなる焦点ぼかし領域により、上記粒子は実質的に焦点がぼかされ、焦点ぼかし領域内を軌道運動させられる。上記粒子は、ビーム内のイオンよりも大きい質量及び正電荷を有しており、その結果として、イオンビームの経路から容易に分散又は焦点が逸らされる。その結果として、上記粒子は、焦点ぼかし領域内を軌道運動するようになり、イオンビームから出て、中央の電極のような物体に衝突するまで正電荷を蓄え続ける。
ブロック710において、イオンビームは、第2の静電場の集束領域により集束される。上記粒子又は上記粒子の少なくとも一部は、イオンビームが第2の静電場の集束領域に入る前に除去されている。その結果、イオンビーム内の実質的にイオンのみが、x及びy方向に集束される。
ブロック712において、イオンビームは、ターゲットのウェハに向けて導かれ、イオンビーム内のイオンがターゲットのウェハ内に注入される。上記粒子の少なくとも一部は除去されているため、上記注入は、より均一に、かつ、上記粒子による汚染を少なく実施される。その結果、より均一なデバイス動作及びパフォーマンスを得ることができる。
方法700、及びその異なった形態は、本発明の他の図面を参照することによってさらに理解し得ることは明らかである。加えて、方法700及びそれについての記載によって、上述した本発明の他の局面についてもより良好に理解することが可能である。
説明を簡略化するために、方法700は、連続的に実施されるものとして図示及び記載されたが、本発明は図示された順番に限定されるものではなく、本発明に係るいくつかの局面は、本明細書に図示及び記載された他の局面と、異なる順番及び/又は同時に行われてもよいことは理解されるべきである。
本発明を、1つ以上の実施形態に関して図示及び記載したが、当業者は、本明細書及び添付の図面を読み、かつ理解することによって、等価な変更例及び修正例に想到するであろう。特に上述の構成要素(アッセンブリ、装置、回路、システム等)によって行われる様々な機能に関して、このような構成要素を記載するために用いられる用語(「手段」への言及を含む)は、他に指摘がない限り、記載される構成要素の特定の機能を実施する任意の構成要素(例えば機能的に等価なものなど)に相当することが意図されており、たとえ本明細書に図示される本発明の典型的な形態において、その機能を実施するものとして開示される構造と、構造的には一致していなくてもよい。さらに、本発明における特定の特徴は、いくつかの実施形態における1つのみについて開示されているが、このような特徴を、望ましいように、かつ所定の又は特定のどんな用途のためにも有利となるように、他の実施形態における1つ以上の他の特徴と組み合わせてもよい。さらに、用語「含んでいる」、「含む」、「有している」、「有する」又はこれらの変形例が、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲のどちらかにおいて用いられている場合、このような用語は、用語「包含する」とある程度同じような意味を含んでいることを意図している。さらに、「典型的な」という用語は、一例を示すことを意図しており、決して、最善又は最良の局面又は実施形態を示すことを意図したものではない。