JP4716399B2 - イオン注入装置の静電偏向器 - Google Patents

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本発明は、イオン注入装置の静電偏向器(以下、単に「静電偏向器」とのみいう場合がある。)に係り、特に、均一なイオン注入が行えるとともに、イオンビームの発散を抑えたイオン注入装置の静電偏向器の改良に関する。
イオン源からのイオンを所望のエネルギーに加速し、半導体等の固体表面に注入する種々のタイプのイオン注入装置が実用に供されている(特許文献1参照)。
以下、この従来のイオン注入装置の一例について、図4を用いて説明する。
図4は、従来のイオン注入装置100の概略構成を示す平面図である。
イオン注入装置100の主要構成は、図4に示すように、イオン源110、質量分離器120、質量分離スリット130、加速管140、四重極レンズ150、静電偏向器160である。
なお、同図中170は、図示しないエンドステーションに配置された半導体基板等のイオンを注入するターゲット、また、Bはイオンであるが、以下、走査中のイオンであることを示すために、「イオン」を、「イオンビーム」という場合がある。
イオン源110は、原子や分子から電子を剥ぎ取ってイオンを生成する装置である。
質量分離器120は、イオンや電子等の荷電粒子が磁場又は電場中で偏向される性質を利用して、磁場、或いは、電場、又は、その双方を発生して、基板等のターゲット170に注入したいイオン種を特定するための装置である。
なお、図4に示した従来のイオン注入装置100は、質量分離器120としては電磁石タイプのものを用いている。
加速管140は、質量分離スリット130を通過した所望のイオン種を加速する装置であるが、図4に示すように、通常は軸対象で、複数の電極を等間隔に並べ、それらの電極に等しい高電圧を印加して、静電界の作用により、イオンビームBを所望の注入エネルギーに加速する。
ところで、後述するように、イオンは、総てのものが設計された軌道上を走査するのではなく、設計軌道上を高速で直進しながら、走査方向の垂直面において、設計軌道を中心に微小振動を行い、一定の広がりを持って走査する。
四重極レンズ150は、静磁場若しくは静磁場の作用により、このイオンビームBの広がりを収束させる装置で、光学上、光を収束させるレンズと同様の作用を有するものである。
静電偏向器160は、イオンビームBの走査方向と直交する方向に一様な外部電界を発生させ、この電界の極性や強度を変化させることにより、イオンの偏向角度を制御し、図4に示すように、半導体基板等のターゲット170の所望の位置にイオンBをスキャンさせて、均一に注入する。
なお、図4では、水平方向にイオンビームBを偏向する静電偏向器160を示したが、垂直方向に偏向する静電偏向器も用いられる場合がある。
イオンが固体中に入り込む深さは、イオンのエネルギーや電流量で正確に制御できるので、このイオン注入装置100を用いることにより、ターゲット170の所望の位置に所望のイオン種の均一なイオン注入処理が容易に行える。
次に、イオン注入装置100に用いられる静電偏向器160について、図5を用い、図4を参照して、補足説明する。
図5は、静電偏向器160の原理を説明するための側面図である。
静電偏向器160は、平行平板もしくは偏向したイオンの衝突を回避するために端部がテーパーに加工された1対の走査電極162、164を、イオンの走査方向に平行に設置しする(図5の走査電極162、164は平行平板タイプ)。
この走査電極162、164に、高速の走査波形の電圧を同期しないように印加し、上述したように、イオンの偏向角度を制御することにより、ターゲット170への均一なイオン注入を行う。
なお、ターゲット170に注入するイオンビームBを偏向する偏向器としては、上述した静電型の他に、磁場偏向器も用いられるが、これは、1kHz程度の高速な走査電圧や微妙な走査波形の制御が困難である。
また、静電偏向器170は、偏向角度によるイオンビームBの収束や発散の変化を小さくすることが可能であり、イオンの注入均一性の制御性が向上するので、図4中のイオン注入装置100では、静電型の偏向器160を用いて説明している。
特願2003−229087
ところで、イオンビームは、同じ電荷を持った粒子群が設計された走査方向に進行する一つの系である。
従って、イオンビームの中の各イオンにはそれぞれクーロン斥力が作用し、その正確な運動を定量的に解析するには、各粒子間の作用するクーロン力を考慮しなければならないが、イオンの数が膨大になると、それぞれのクーロン力を総て計算するのは不可能になる。
そこで、イオンビームを連続的に空間電荷が分布している系と考えれば、空間電荷により生じる電界を解析することによりイオンビームの運動を定量的に計算できるようになる。
以下、イオンビームと空間電荷の関係を図5及び図6を用いて説明する。
図5は、静電偏向器160において、空間電荷が効かない場合のイオンビームの走査状態を示す側面図である。
図6は、静電偏向器160において、空間電荷が効く場合のイオンビームの走査状態を示す側面図である。
この空間電荷は、一般に、イオンビームの直進時及び偏向角が小さい場合は、イオンビーム自身の正電位により電子がイオンビーム内部に捕獲され、イオンビームの空間電荷が中和されて、空間電荷効果が効かない状況になる。
例えば、図5に示すように、静電偏向器160内で、偏向されず或いは偏向角が小さい場合は、イオンビームBはクーロン斥力が中和されているために、広がらずに、1対の走査電極162、164間を走査方向に並行して直進する。
一方、静電偏向器160内で強い偏向電圧が印加され、イオンビームの偏向角が大きい場合は、静電偏向器160の走査電極162、164に印加された電場によりイオンビームBから電子が吸い取られ、イオンビームBの空間電荷効果が効く状態になる。
この場合は、図6に示すように、イオンビームBのクーロン斥力により、静電偏向器160内でイオンビームBは走査方向に発散してしまう。
即ち、従来のイオン注入装置の静電偏向器160は、偏向角の大小により、静電偏向器160内部でのイオンビームBの空間電荷効果に差が生じ、静電偏向器160より下流側でのイオンビームBの収束や発散の振る舞いが大きく変化してしまう。
この結果、ターゲット170上におけるイオンビームBのスポット径が不安定になり、半導体基板等のターゲット170への均一なイオン注入が困難になる。
空間電荷効果の差により、イオンビームBの収束や発散の振る舞いの変化について、図8及び図9を用いて具体的に検討する。
ここでは、イオン種をB+、イオンビームの電流を1.0mA、静電偏向器160を通過する際の運動エネルギーを10keVとする。
この条件において、イオンビームBの軌道計算を用いて、イオンビームBの外径を算出し、連続してプロットしたイオンビームBのエンベロープを図8及び図9に示す。
なお、このシミュレーションでは、イオン源110から加速管140入り口までの空間電荷の中和度は99%、静電偏向器160のイオン出射口から半導体基板等のターゲット170までの空間電荷の中和度は98%としている。
図8は、静電偏向器160において、空間電荷効果が効くと設定した場合のビームエンベロープを示し、図8中の中心軸Cは設計軌道を表し、イオン源110、質量分離器120、質量分離スリット130、加速管140、四重極レンズ150、静電偏向器160、ターゲット170を上流から順に配列し、各位置でのイオンビームBのエンベロープを縦軸で表している。
また、図8中、中心軸Cより上の曲線EHは、水平面のイオンビームBのエンベロープを、下側の曲線EVは、垂直面のイオンビームBのエンベロープを表している。
なお、図8中、中心軸Cの単位はm、縦軸はmmで示している。
図9は、図8と同一条件のイオンビームBにおいて、静電偏向器160で、空間電荷効果が効かないと設定した場合のビームエンベロープを示し、図8と同様に、図9中の中心軸Cは設計軌道を表し、イオン源110、質量分離器120、質量分離スリット130、加速管140、四重極レンズ150、静電偏向器160、ターゲット170を上流から順に配列し、各位置でのイオンビームBのエンベロープを縦軸で表している。
また、図8と同様に、図9中、中心軸Cより上の曲線EHは、水平面のイオンビームBのエンベロープを、下側の曲線EVは、垂直面のイオンビームBのエンベロープを表している。
なお、図8同様、図9においても、中心軸Cの単位はm、縦軸はmmで示している。
図8に示されているように、静電偏向器160において、空間電荷が効くと設定した場合、ターゲット170上のイオンビームBのスポット径は、水平面では35.37mm、垂直面では、26.12mmで、イオンビームの発散角度は水平面で1.08deg.、垂直面で0.19deg.である。
一方、図9に示されているように、静電偏向器160において、空間電荷が効かないと設定した場合、ターゲット170上のイオンビームBのスポット径は、水平面では37.85mm、垂直面では、42.42mm、イオンビームの発散角度は水平面で1.48deg.、垂直面で2.29deg.であり、図8の空間電荷効果が効く場合と顕著に相違しているのが示される。
即ち、静電偏向器160での偏向角の違いに従って、静電偏向器160に印加する電圧が変化した場合、静電偏向器160内部での空間電荷効果の有無によって、イオンビームBの収束や発散の振る舞いが大きく変化してしまうことが理解される。
このことは、ターゲット170のイオン注入面において、ターゲット170の中心部と周縁部において、イオンビームBのスポット径が変化し、イオンの均一な注入が困難になるという問題を抱えていることを示している。
この対策として、図7に示すように、静電偏向器160Bに常時一定の電圧を印加して、イオンビームBを常に偏向させ、走査電極162B、164Bにイオンビーム中の電子を常時吸引させて、常に、空間電荷効果を有効とし、空間電荷効果の有無によるイオン注入の不安定性を解消する静電偏向器160Bが用いられている。
しかし、この場合は、静電偏向器160BでイオンビームBの設計軌道を曲げるために、イオン注入に必要な各装置を設置する際のアライメントが困難になるという新たな問題が生じる。
一方、静電偏向器160内部では、空間電荷効果の有無によってイオン注入の不安定性が発生すると記述したが、空間電荷は、クーロン斥力によりイオンビームBを発散させるように働くので、静電偏向器160の外部では、イオンビームの外径が広がらないように、イオンビームの空間電荷の中和が促されることが望ましい。
本発明は、上記従来の課題を解決し、簡単な構成で空間電荷効果の有無によるイオン注入の均一性の不安定さを解消したイオン注入装置の静電偏向器、また、静電偏向器の外部では、イオンビームの外径が広がらないように、イオンビームの空間電荷の中和が促進される構造のイオン注入装置の静電偏向器を提供することを目的とする。
本発明のイオン注入装置の静電偏向器は、請求項1に記載のものでは、イオンを生成するイオン源から所望のイオン種を引き出し、所望のエネルギーに加速して、イオンを注入するイオン注入装置に用いられるとともに、走査電極をイオンの走査方向に配置し、前記イオンを偏向する静電偏向器において、前記静電偏向器内部であって、前記走査電極間に、前記イオンビームの走査方向に平行、かつ、前記走査電極に直交する平面に、前記イオンビーム内の電子を吸収する小型電極を取り付けるように構成した。
請求項2に記載のイオン注入装置の静電偏向器は、イオンを生成するイオン源から所望のイオン種を引き出し、所望のエネルギーに加速して、イオンを注入するイオン注入装置に用いられるとともに、走査電極をイオンの走査方向に配置し、前記イオンを偏向する静電偏向器において、前記静電偏向器内部であって、前記走査電極間に、前記イオンビームの走査方向に平行、かつ、前記走査電極に直交する平面に、該イオンビームの設計軌道を挟んで、前記イオンビーム内の電子を吸収する1対の小型電極を対向配置した構成とした。
請求項3に記載のイオン注入装置の静電偏向器は、上記静電偏向器内部に取り付けられる1対の小型電極間に、イオンビームの空間電荷が形成する中心電位の2倍程度以上の大きさの電位差を印加した構成とした。
請求項4に記載のイオン注入装置の静電偏向器は、イオンを生成するイオン源から所望のイオン種を引き出し、所望のエネルギーに加速して、イオンを注入するイオン注入装置に用いられるとともに、走査電極をイオンの走査方向に配置し、前記イオンを偏向する静電偏向器において、前記静電偏向器のイオン入射口近傍及びイオン出射口近傍の双方に、前記静電偏向器の外部からの電子の流入と、外部への電子の流出を防止する電極を取り付けるように構成した。
請求項5に記載のイオン注入装置の静電偏向器は、上記静電偏向器のイオン入射口近傍若しくはイオン出射口近傍のいずれか一方に取り付けられる電極に、イオンビームの空間電荷が形成する中心電位より大きな正の電圧を印加した構成とした。
請求項に記載のイオン注入装置の静電偏向器は、上記静電偏向器のイオン入射口近傍及びイオン出射口近傍の双方に取り付けられる電極に、イオンビームの中心電位よりも、その絶対値が大きい負の電圧を印加した構成とした。
請求項に記載のイオン注入装置の静電偏向器は、請求項4乃至6のいずれかに記載の静電偏向器において、上記静電偏向器の外部からの電子の流入と、外部への電子の流出を防止する電極の内側に、請求項1乃至3のいずれかに記載の小型電極を取り付けるように構成した。
本発明のイオン注入装置の静電偏向器は、上述のように構成したために、以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載したように構成すると、簡単な構成の付加で、空間電荷効果を常時効かせるようにすることが可能となり、イオン注入の均一性の不安定さを解消したイオン注入装置の静電偏向器とすることができる。
(2)請求項2に記載したように構成すると、一層安定に、空間電荷効果を常時効かせるようにすることが可能となる。
(3)請求項3に記載したように構成すると、空間電荷効果を常時効かせるようにするには、特に効果的である。
(4)請求項4に記載したように構成すると、簡単な構成の付加で、静電偏向器外部でのイオンビームの空間電荷を中和でき、イオンビームの発散を抑えることができる。
(5)請求項5に記載したように構成すると、空間電荷効果を常時効かせるようにするには、特に効果的である。
)請求項に記載したように構成すると、空間電荷の中和には、特に効果的である。
)請求項に記載したように構成すると、静電偏向器外部でのイオンビームの空間電荷を中和でき、イオンビームの発散を抑えることができるとともに、空間電荷効果を常時効かせるようにすることが可能となり、イオン注入の均一性の不安定さを解消できるようになり、双方の機能を併せ持ったイオン注入装置の静電偏向器とすることができる。
本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第1乃至第3の実施の形態について、図1乃至図3を用いて、順次、説明する。
第1の実施の形態
先ず、本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第1の実施の形態について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第1の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態のイオン注入装置の静電偏向器10は、1対の平行平板からなる走査電極12、14を備え、この静電偏向器10内部に、イオンビームの走査方向に平行、かつ、走査電極12、14に直交する平面に、イオンビームの設計軌道Cを挟んで、1対の小型電極16、18を対向配置した構成である。
また、この小型電極16、18間に、イオンビームの空間電荷が形成する中心電位の2倍以上の電位差を印加する。
このようにすると、イオンビーム中の電子がこの1対の小型電極16、18に吸い取られるので、静電偏向器10内のイオンビームの空間電荷の中和を常時防止でき、空間電荷の中和の有無によるビーム径の不安定性がなくなり、均一なイオン注入が行えようになる。
次に、小型電極16、18間に印加する電位差について補足説明を行う。
一般に、イオンビームの中心電位Vは、イオンビームやその空間電荷の系がイオンビームの設計軌道Cを中心軸として軸対称であるとした場合、式(1)で表される。
Figure 0004716399
ここで、Iはイオンビーム電流、εは真空の誘電率、mはイオンの質量、eはイオンの電荷、Rcはチャンバーの内径、Rbはビーム半径、logは自然対数を表す。
また、チャンバー内径Rcは、静電偏向器10の走査電極12、14ギャップの半分と考えても差し支えない。
例えば、静電偏向器10の走査電極12、14ギャップを100mm、イオンビームの半径を20mm、イオン種をB+、ビーム電流を1.0mA、静電偏向器10を通過する際のイオンのエネルギーを10keVとした場合、式(1)より、イオンビームの中心電位Vは、約60ボルトになる。
従って、小型電極16、18を静電偏向器10の走査電極12、14ギャップとほぼ同等の距離に対向配置すると、この小型電極16、18間に120ボルト以上の電位差を与えれば、電子は常にこの小型電極16、18に捕獲され、静電偏向器10を通過中のイオンビームは常時空間電荷が中和されないことになる。
ところで、この小型電極16、18間の電位差によるイオンビームの軌道への影響を考慮する。
例えば、静電偏向器10の平行平板型の走査電極12、14の長さを200mmとした場合、イオンビームの走査方向を1°偏向するのに要する電位差は約350ボルトである。
従って、小型電極16、18間に120ボルト程度の電位差を与えた場合でも、イオンビームの走査方向に大きな影響を与えない。
第2の実施の形態
次に、本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第2の実施の形態について、図2を用いて説明する。
図2は、本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第2の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
図2に示すように、本実施の形態のイオン注入装置の静電偏向器20は、第1の実施の形態同様に、1対の平行平板からなる走査電極22、24を備え、この静電偏向器20のイオンビームの入射口近傍20aにイオンビームが通過できる中空の電極26を配置した構成である。
また、この中空の電極26に、イオンビームの空間電荷が形成する中心電位より大きな電圧、例えば、第1の実施の形態と同じ条件で、イオンビームの中心電位が60Vとした場合は、それよりも大きな、例えば、100ボルト程度の電圧を印加すると、イオンビームに沿って電子が流れて、この中空の電極26に吸い取られる。
このようにすると、第1の実施の形態同様に、静電偏向器20内のイオンビームの空間電荷の中和を常時防止でき、空間電荷の中和の有無によるビームスポット径の不安定性がなくなり、均一なイオン注入が行えようになる。
また、本実施の形態では、中空の電極26を静電偏向器10のイオンの入射口近傍20aに設置する構成で示したが、これを出射口近傍20bに取り付けるようにしても良い。
第3の実施の形態
次に、本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第3の実施の形態について、図3を用いて説明する。
図3は、本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第3の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
上述したように、空間電荷は、イオン注入の均一性を保持するには、静電偏向器中においては、中和されないようにする必要がある。
しかし、静電偏向器の外部においては、空間電荷はクーロン斥力により、イオンビームを発散させる作用を有するものであるから、イオンビームの空間電荷が中和されるのが望ましい。
そこで、本実施の形態では、先ず、図3に示すように、1対の走査電極32、34を有するとともに、静電偏向器30のイオンの入射口近傍30a、及び、出射口近傍30bの双方に、イオンビームの走査方向に垂直な平面内に、中空の電極36、38をそれぞれ取り付け、この中空の電極36、38に、イオンビームの中心電位よりも、その絶対値が大きい負の電圧を印加する。
すると、この電極36、38により、電子の静電偏向器30内への流入や静電偏向器30外部への流出が防止できるので、静電偏向器30外部で、空間電荷の中和が維持でき、イオンビームの発散を抑えることができる。
また、本実施の形態では、上記した静電偏向器30外部での空間電荷の中和を維持する構成の他に、第2の実施の形態で用いた、イオンビーム中の電子を吸収して、静電偏向器30内部では、空間電荷が中和されないように、中空の電極39を静電偏向器30のイオンビーム入射側近傍30aに取り付けた構成である。
このように構成すると、静電偏向器30外部では空間電荷が中和されて、イオンビームが発散せず、静電偏向器30内部では空間電荷が中和されず、イオン注入の均一性が維持できるという、双方の機能を併せ持つことができる。
但し、この場合は、イオンビームの電子を吸収する正電位に印加された電極39は、負電位に印加された電極36、38の内側に取り付ける必要がある。
本発明のイオン注入装置の静電偏向器は、上記各実施の形態には限定されず、種々の変更が可能である。
先ず、本発明の静電偏向器は、イオンをスキャンさせて、イオン注入するイオン注入装置に適応可能であるので、図4で説明した従来のイオン注入装置の用途に限定されるものではない。
また、第3の実施の形態では、静電偏向器外部では空間電荷が中和されて、イオンビームが発散せず、静電偏向器内部では空間電荷が中和されず、イオン注入の均一性が維持できるという、双方の機能を併せ持つ構成のもので説明したが、静電偏向器のイオンの入射側及び出射口の双方に、負の電圧を印加した中空の電極をそれぞれ取り付け、静電偏向器外部では空間電荷が中和されて、イオンビームが発散しないという機能のみの静電偏向器も本願発明に含まれるのは、勿論のことである。
また、静電偏向器内部に取り付けられる小型電極の形状や素材、また、静電偏向器の入射口近傍や出射口近傍に取り付けられる電極の形状や素材につて、本願発明は、特に、限定するものではない。
本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第1の実施の形態を示す斜視図である。 本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第2の実施の形態を示す斜視図である。 本発明のイオン注入装置の静電偏向器の第3の実施の形態を示す斜視図である。 イオン注入装置の一例を示す平面図である。 静電偏向器の概略構成を示すとともに、静電偏向器内部で空間電荷が効かないとした場合のイオンビームの走査状態を示す側面図である。 静電偏向器内部で、空間電荷が効くとした場合のイオンビームの走査状態を示す側面図である。 静電偏向器内部で、常時イオンビームを偏向するとした場合のイオンビームの走査状態を示す側面図である。 静電偏向器において、空間電荷効果が効くと設定した場合のビームエンベロープを示すシミュレーション結果を表す図である。 静電偏向器において、空間電荷効果が効かないと設定した場合のビームエンベロープを示すシミュレーション結果を表す図である。
符号の説明
10、20、30:静電偏向器
12、14、22、24、32、34:走査電極
16、18:小型電極
26、39:電極(電子の吸収電極)
36、38:電極(電子の流出入防止電極)
B:イオンビーム
C:イオンビームの設計軌道

Claims (7)

  1. イオンを生成するイオン源から所望のイオン種を引き出し、所望のエネルギーに加速して、イオンを注入するイオン注入装置に用いられるとともに、走査電極をイオンの走査方向に配置し、前記イオンを偏向する静電偏向器において、
    前記静電偏向器内部であって、前記走査電極間に、前記イオンビームの走査方向に平行、かつ、前記走査電極に直交する平面に、前記イオンビーム内の電子を吸収する小型電極を取り付けるようにしたことを特徴とするイオン注入装置の静電偏向器。
  2. イオンを生成するイオン源から所望のイオン種を引き出し、所望のエネルギーに加速して、イオンを注入するイオン注入装置に用いられるとともに、走査電極をイオンの走査方向に配置し、前記イオンを偏向する静電偏向器において、
    前記静電偏向器内部であって、前記走査電極間に、前記イオンビームの走査方向に平行、かつ、前記走査電極に直交する平面に、該イオンビームの設計軌道を挟んで、前記イオンビーム内の電子を吸収する1対の小型電極を対向配置したことを特徴とするイオン注入装置の静電偏向器。
  3. 上記静電偏向器内部に取り付けられる1対の小型電極間に、イオンビームの空間電荷が形成する中心電位の2倍程度以上の大きさの電位差を印加したことを特徴とする請求項2に記載のイオン注入装置の静電偏向器。
  4. イオンを生成するイオン源から所望のイオン種を引き出し、所望のエネルギーに加速して、イオンを注入するイオン注入装置に用いられるとともに、走査電極をイオンの走査方向に配置し、前記イオンを偏向する静電偏向器において、
    前記静電偏向器のイオン入射口近傍及びイオン出射口近傍の双方に、前記静電偏向器の外部からの電子の流入と、外部への電子の流出を防止する電極を取り付けると共に、前記静電偏向器のイオン入射口近傍若しくはイオン出射口近傍のいずれか一方に、イオンビーム内の電子を吸収する正の電圧を印加した電極を取り付けるようにしたことを特徴とするイオン注入装置の静電偏向器。
  5. 上記静電偏向器のイオン入射口近傍若しくはイオン出射口近傍のいずれか一方に取り付けられる電極に、イオンビームの空間電荷が形成する中心電位より大きな正の電圧を印加したことを特徴とする請求項4に記載のイオン注入装置の静電偏向器。
  6. 上記静電偏向器のイオン入射口近傍及びイオン出射口近傍の双方に取り付けられる電極に、イオンビームの中心電位よりも、その絶対値が大きい負の電圧を印加したことを特徴とする請求項4又は5に記載のイオン注入装置の静電偏向器。
  7. 請求項4乃至6のいずれかに記載の静電偏向器において、上記静電偏向器の外部からの電子の流入と、外部への電子の流出を防止する電極の内側に、請求項1乃至3のいずれかに記載の小型電極を取り付けるようにしたことを特徴とするイオン注入装置の静電偏向器。
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