JP2013211195A - Led照明用ヒートシンク - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、放射による効率的な放熱が可能なLED照明用ヒートシンクを提供することを目的とする。
【解決手段】LED素子9を取付けた基板2を頂部とする板状放熱面10、11を一つ以上一体かつ連続して形成し、3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有してなるヒートシンクの板状放熱面10、11の互いに異なる二つの方向の投影面積P0、P1を、基板2の断面積Sに対して充分大きくして、閉空間からなる周囲の空間に対する放射を主体とする放熱効率を向上させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオード(LED)素子を発光源とするLEDランプが発光時に発生する熱を、閉空間からなる周囲の空間に放射により放熱するための、LED照明用ヒートシンクに関するものである。
発光ダイオード(LED)素子を発光源とする照明は、低消費電力であり且つ長寿命であることから徐々に市場に浸透し始めている。その中でも、近年特に注目を集めているのが、自動車のヘッドライトなどの車載LEDランプ(車両用灯具、車両用前照灯)であり、LED素子への置き換えが始まっている。また、この車載LEDランプ(LED照明)を応用して、建物等その他の分野の埋め込み照明でも、LEDランプへの置き換えが始まっている。
しかしながら、このLEDランプの発光源であるLED素子は熱に非常に弱く、例えば100℃などの許容温度を超えると発光効率が低下し、更には、その寿命にも影響を及ぼしてしまうという問題がある。この問題を解決するためには、LED素子の発光時の熱を周囲の空間に放熱する必要があるため、LEDランプには大型のヒートシンクが備えられている。
このLEDランプ(LED照明)用ヒートシンクには、従来から、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)を材料とした、アルミダイキャストや押出形材によるものが多く採用されている。(特許文献1〜4参照)。これら従来のヒートシンクは、図4に斜視図で例示するように、共通して、LED素子(光源)Lが正面側に配置固定された基板部30と、その基板部30の背面側に間隔を置いて突出する複数枚の平行に配置されたフィン部40を有してなる。
これらLEDランプ用ヒートシンクを車載LEDランプ(車両用灯具)に組み込む場合の、灯具ユニット(LEDランプユニット)の構造は、一般的に前面レンズとハウジングとによって灯室が形成され、その灯室内に光源となるLEDが支持される(例えば特許文献5、6参照)。これらの灯具ユニットは、具体的には、図5に例示するように、車両用LED灯具51は前面レンズ52とハウジング53によって灯室54が形成され、灯室54内に灯具ユニット55が支持されている。
灯具ユニット55は光学系と放熱系を備えており、光学系はLED素子(光源)56、LED素子56の実装基板が載置されたマウントプレート57、この基板7に連接されたリフレクタ(反射板)58、このリフレクタ58に連接されたレンズホルダ59、レンズホルダ59内底面から上方に延びる遮蔽体60およびレンズホルダ59に支持された投影レンズ61で構成され、プロジェクタランプを形成している。
一方、放熱系はLED素子56の実装基板が載置されたマウントプレート57、この基板57に固定されたヒートシンク62、およびマウントプレート57とヒートシンク62とが一体化された放熱部材63に接続されたリフレクタ58で構成されている。これら、基板57、ヒートシンク12およびリフレクタ58はいずれもAl、Al合金、Cu、およびCu合金のうちいずれかの金属からなっている。
次に、光学系は、LED素子(光源)56が点灯して光を発すると、LED素子56からリフレクタ58の光反射面64に向かう光は、この光反射面64で反射されて前方の投影レンズ61方向に向かい、その一部は遮蔽体60によって光路が遮られる。一方、リフレクタ58の光反射面64で反射された光のうち遮蔽体60に遮られることのない光は、レンズホルダ59内を導光されて投影レンズ61に至り、投影レンズ61で所望の配光に制御されて、車両の前面レンズ52を介して車両用LED灯具51の前方に照射される。
また、放熱系における熱については、LED素子56が点灯すると、光を発すると共に熱も発生する。そこで、LED素子56で発生した熱(自己発熱)はLED素子56が実装された基板(図示せず)に移動し、この基板を伝導されて、この基板が載置されたマウントプレート57に移動する。そして、マウントプレート57を伝導された熱は、マウントプレート57に固定されたヒートシンク62に移動する。そして、ヒートシンク62に移り、ヒートシンク62内を伝導されて、ヒートシンク62の表面に達した熱は、表面近傍の空気に熱伝達されて移動し、空気を媒体としてヒートシンク62外に放散される。
特開2007−193960号公報 特開2008−7558号公報 特開2009−277535号公報 特開2010−278350号公報 特開2008−130232号公報 特開2009−76377号公報
ただ、このようなヒートシンクを自動車のヘッドライトやテールランプなどの車載照明としてハウジングに組み込んで適用する場合には、前記図5のように、必然的に、限られた狭い空間乃至閉鎖空間のなかに設置され、使用されることになる。
このような車載照明用のハウジングの狭い空間内乃至閉鎖空間内では、放熱空間も小さく限定され、図4で前記した従来のヒートシンクの基板部30やフィン部40が位置する周囲の放熱空間(容積)も小さくなり、空気の対流がほとんどない。このような使用環境下では、空気の対流による放熱効果がほとんど期待できず、放射による放熱が必要とされる。
しかし、従来のヒートシンクは、記載した通り、前記図4のフィン部40や前記図5のヒートシンク62などの放熱面の面積を増加させた、この放熱面からの空気の対流による放熱効果を主体としており、前記放射による放熱が考慮されていない。このため、従来のヒートシンクは、必然的に、前記放射による放熱が不十分となり、車載照明用のハウジングの狭い空間内乃至閉鎖空間内では、効率的な放熱が達成できない問題を抱えていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、放射による効率的な放熱が可能なLED照明用ヒートシンクを提供することにある。言い換えると、空気による対流がないか少ない(空気の対流による放熱が期待できない)閉鎖された空間内に設置される場合であっても、LED発光源からの熱を放射主体で効率的に放熱できる、LED照明用ヒートシンクを提供することにある。
上記目的達成のために、本発明LED照明用ヒートシンクは、LED素子を取付けた基板の側面に、この基板を頂部とする板状放熱面を一体かつ連続して有するヒートシンクであって、前記板状放熱面の互いに異なる二つの方向の投影面積が、前記板状放熱面に対して各々直角方向から照射される平行光によって投影される各投影面積Pとして、前記LED素子の取付位置を通るとともに前記投影面と互いに平行な断面である前記基板の各断面積Sに対して、P≧8×Sを各々満足していることである。
ここで、前記板状放熱面の互いに異なる二つの方向の投影面積Pが、前記P≧8×Sを各々満足しているとは、この関係を満足している互いに異なる二つの方向の前記板状放熱面さえあれば、これを満足しない前記板状放熱面が他にあったとしても、これを許容するという意味である。
このように、本発明ではLED照明用ヒートシンクにおける板状放熱面の互いに異なる二つの方向の投影面積Pを、前記基板の断面積Sとの関係で規定した、一定以上の大きさとしている。前記基板の側面にこの基板を頂部とする板状放熱面を一体かつ連続して形成した立体形状のタイプのヒートシンクでは、車載LEDランプ用などの空気による対流がないか少ない閉鎖された空間内で使用される場合に、その放熱面形状や立体形状との相乗による、特有の問題として、その板状放熱面の投影面積が、放射による放熱に大きく影響する。
本発明によれば、この板状放熱面の投影面積を一定以上に大きくして、前記基板を頂部として板状放熱面を一体かつ連続して形成したタイプのヒートシンクの、放射を主体とする放熱効率を格段に向上させることができる。このため、素材のムダをなくして、素材使用量を最小限にし、ヒートシンクの小型化及び薄型化が可能で、デザインの自由度が高く、製造コストが廉価なLED照明用ヒートシンク、特に車両用LED灯具を提供できる。
本発明ヒートシンクの一態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 本発明ヒートシンクの他の態様を示す斜視図である。 従来のヒートシンクの一態様を示す斜視図である。 従来のヒートシンクを組み込んだ車載LEDランプの一例を示す断面図である。
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
ヒートシンクの基本構造:
図1〜2を用いて、LED素子発光源からの熱を放射主体で効率的に放熱するための、本発明ヒートシンク1の前提となる基本構造の態様を、先ず以下に説明する。
図1〜2において、本発明ヒートシンク1は、共通して、基板2の表面3にLED素子9を取付け(実装し)ている。そして、この基板2の側面(板厚乃至厚み方向の側面)5、6、7、8のいずれかまたは全部に、基板2を頂部とする板状放熱面10〜12を、一つ以上、一体かつ連続して有している。これら板状放熱面10〜12は、基板2とともに、LED素子9を中心として、このLED素子9の周囲(基板2の辺乃至周縁)に配置された熱放射面(以下、放熱面とも言う)となる。
ここで、基板2を頂部とするとは、本発明ヒートシンク1の基板2と板状放熱面10〜12とが形成する三次元立体形状において、基板2を平坦な(平面な)頂部あるいは頂点として、その下方に向かって板状放熱面10〜12が延在する、ヒートシンク1の全体形状を言う。このような構成とすることによって、基板2と板状放熱面10〜12とによって、X、Y、Z方向など、3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有することができる。
図1〜2において、各板状放熱面10〜12は、基板2の平坦面(平面)の向きをY方向とすると、これに対して各々直角方向(90方向)のX、Z方向に向いて(対向して)いる。ただ、基板2の平坦面(平面)も厳密にY方向である必要はなく、各板状放熱面10〜12も、このY方向に対して、厳密に各直角方向(90方向)であるX、Z方向に各々向く必要はなく、相対的に多少の角度のズレは勿論許容される。すなわち、基板2と板状放熱面10〜12とによって3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有するとは、互いに厳密に各直角方向(90方向)に向き合う関係である必要はなく、多少の角度のズレは許容される。したがって、板状放熱面10〜12の各投影面積Pや、基板2の各断面積Sも、これら板状放熱面10〜12が各々向く方向に見合った(対応する)方向を選択する。
板状放熱面10〜12は、基板2の平坦面(平面)に対して、必ずしも90度の角度で直交する必要はない。また、基板2も、その平坦面あるいは平面が水平方向に延在しても良く、水平方向から傾いても良い。例えば、ヒートシンク1の用途や設計に応じて、90度よりも大きく山の裾野状に板状放熱面10〜12が広がって延在しても、90度よりも小さく漏斗状に板状放熱面10〜12が狭まって延在しても良い。また、板状放熱面10〜12の基板2の平坦面(平面)に対してなす角度をすべての板状放熱面で同じ角度とする必要はなく、板状放熱面ごとに変えても良い。
基板2の形状につき、図1〜2では、平面視で矩形(四角形)あるいは円形の平板状乃至平面形状を例示している。ただ、この基板2の平面形状(平面視形状)では、LED照明用ヒートシンクの用途に応じて、三角形、多角形、不定形などの平面形状、あるいは設計に応じて、必要な段差や凹凸形状、切り欠き、スリットなどを設けることが適宜選択できる。また、図1〜2では、共通して、基板2の表面3の中央部にLED素子9を取付け(実装し)ているが、取り付け位置は設計に応じて自由に選択できる。これらの形状は、例えば素材をアルミニウムとすると、押出棒材の機械加工、圧延板材の曲げ加工、鋳造などにより製造できる。
図1:
図1は、平面視が四角形(矩形)の基板2の表面3に、LED素子9を取付け(実装し)ている。そして、この基板2の四周囲の側面5、6、7、8のうちの互いに直角に交差する二つの側面(二つの辺)5、6に、基板2を頂部として、各々平面視が四角形(矩形)の板状放熱面10、11を2つ、一体かつ連続して形成してなる。すなわち、この図1の態様では、基板2の平坦面(平面)の向きをY方向とすると、X方向に向く板状放熱面10と、Z方向に向く板状放熱面11との各々の投影面積Pが、板状放熱面の互いに異なる二つの方向の投影面積となる。したがって、これらの投影面積が、基板2の各断面積Sに対して、P≧8×Sを各々満足するかどうかが問題となる。
図1のこれら板状放熱面10、11の各長さ(幅)は、各々対応する前記基板2の二つの側面(二つの辺)5、6の各長さ(幅)と、それぞれ同じ長さ(幅)を有する。ただ、これら板状放熱面10、11のうちの少なくともひとつが、規定する投影面積を得られるのであれば、いずれか、あるいは両方とも、各々対応する前記基板2の二つの側面5、6の長さ(幅)よりも小さくしても良い。また、同じ板状放熱面10、11に、基板側面5、6の延在方向で隙間やスリットを設けて、板状放熱面10、11を幾つかに分割あるいは放熱面の面積(大きさ)や形状を変えて、投影面積を部分的に変えるようにしても良い。
また、これら二つの板状放熱面10、11は、基板2(表面3)を頂部とし、直角に交差するものの、直交せずに、間隔(隙間)24を介して立設させている。しかし、これら板状放熱面10、11のうちの少なくともひとつが、規定する投影面積を得られるのであれば、これら放熱面(放熱フィン)10、11同士を、隙間24を介さずに、あるいは部分的に介在させて、互いに直交させて一体化(連続化)させても良い。これらは、基板2の他の側面7、8などに板状放熱面を一体かつ連続して形成した場合も同様である。
図2:
図2は、平面視が真円形(円盤)あるいは楕円形であるような、円形基板2の表面3に、LED素子9を取付け(実装し)ている。そして、この基板2の周囲の円弧状に連続する側面全部(全周)に、基板2を頂部とする円筒状の板状放熱面12を、放熱面としては一つ、一体かつ連続して形成している。この図2の態様では、基板2の平坦面(平面)の向きをY方向とすると、互いに異なるX、Z方向に各々向く、二つの方向の投影面積P2、P3が、互いに異なる二つの方向の投影面積となる。このX方向に向く投影面積P2と、Z方向に向く投影面積P3が基板2の各断面積Sに対して、P≧8×Sを各々満足するかどうかが問題となる。
勿論、規定する投影面積を得られるのであれば、基板2の周囲の円弧状に連続する側面(板厚乃至厚み方向の側面)部分5、6、7、8のうちの一部のみに、円筒状の板状放熱面12を、基板2を頂部として一体かつ連続して形成して良い。すなわち、板状放熱面12を基板2の周囲(円周)の側面全部(全周)に設けずとも、円周方向でスリットや隙間を設けて、いくつかに分割するか、板状放熱面12を円周方向で部分的に設けず、基板側面5、6、7、8のうちのいずれかが部分的に露出するようにしても良い。
図2では、基板2の周囲(円周)の側面全部に設けられた円筒状の板状放熱面12の長さ(幅)は、当然ながら基板2の円周に相当する。ちなみに、この板状放熱面12が規定する投影面積を得られるのであれば、前記分割した他の板状放熱面や、一体であっても板状放熱面12が部分的に、規定する投影面積を満たさず、小さな投影面積であっても良い。また、基板が平面視で三角形や四角形、多角形であれば、板状放熱面12もこの形状に対応した三角形や四角形、多角形の角筒状となる。この点、図1は基板が平面視で四角形の二辺のみに板状放熱面10、11を設けた角筒状とも言える。
これら本発明のヒートシンク1は、例えば、好ましくはアルミニウムなどの一定の板厚を有する金属薄板を一体に成形してなり、全体が中空な筒状の立体形状を有している。すなわち、これら本発明のヒートシンク1は、金属薄板を曲げ加工あるいは絞り加工するによって、一枚の金属薄板から基板2と板状放熱面10〜12とを一体かつ連続して形成する実施形態が好ましい。
放熱面:
これら図1〜2のヒートシンク1の場合、各々共通して、前記した通り、基板2の側面5、6、7、8のいずれかまたは全部に、板状放熱面10〜12を、基板2を頂部として、一体かつ連続して形成してなる。このため、これら基板2と、板状放熱面10〜12とで、LED素子9の周囲に配置された、3次元のX、Y、Zの3方向全てに各々向く、連続した放熱面を形成している。すなわち、X、Y、Zの3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有する。
図1では、Y方向に各々向く基板2の表裏面3、4と、X方向、Z方向の2方向に各々向く板状放熱面10、11の平板状の表裏面とで、X、Y、Zの3方向に各々向く、連続した平板状放熱面を形成している。更に、この図1では、好ましくは0.7〜6mmの範囲の一定の板厚さえあれば、基板2の板厚方向(厚み方向)の側面7、8や、板状放熱面10の板厚方向(厚み方向)の各両側面14、15と底面16、板状放熱面11の板厚方向(厚み方向)の各両側面17、18と底面19も、X、Y、Zの3方向に各々向く、連続した平板状放熱面を形成している。板状放熱面10、11との間に前記隙間30を介在させれば、このような板状放熱面10の板厚方向の側面15と、板状放熱面11の板厚方向側面16とを得ることができる利点もある。以上の通り、図1では、基板や板状放熱面(放熱フィン)の各表裏面の平板状放熱面だけでなく、基板や板状放熱面の前記板厚方向の各放熱面も含めて、X、Y、Zの3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有する。
図2の場合にはひとつの板状放熱面12のみである。ただ、この板状放熱面12は基板2の周囲の円形な(円弧状に連続する)側面全部(全周)に亘って、円形に(円弧状あるいは円筒状に)連続して一体かつ連続して形成されている。したがって、この図2でも、Y方向に各々向く基板2の表裏面3、4と、X、Z方向に各々向く板状放熱面12の平板状の表裏面と、好ましくは0.7〜6mmの範囲の一定の板厚さえあれば、Y方向に各々向く円形に(円弧状に)連続した底面20とで、連続した放熱面を形成している。以上の通り、図2でも、基板や板状放熱面(放熱フィン)の各表裏面の平板状放熱面だけでなく、板状放熱面12の底面20の各放熱面も含めて、X、Y、Zの3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有する。このため、LED素子9からの熱が、基板2のLED素子取付側の面(表面)3を介して、裏面4や各板状放熱面10〜12へ連続して伝熱される連続伝熱面を形成している。また、これら連続伝熱面から連続して熱を放射する連続放熱面を形成している。
板状放熱面の投影面積:
以上の3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有してなるヒートシンクの基本構造を前提に、本発明では、前記板状放熱面10〜12における、互いに異なる二つの方向の板状放熱面同士の投影面積Pが、P≧8×S、すなわち投影面積Pが対応する基板断面積Sの8倍以上、好ましくはP≧12×S、すなわち投影面積Pが対応する基板断面積Sの12倍以上を各々満足するものとする。言い換えると、互いに異なる二つの方向の前記板状放熱面の投影面積P同士が、P≧8×S、好ましくはP≧12×Sなる関係(式)を各々満足していれば、これを満足していない板状放熱面が他にあっても、また板状放熱面にこの関係を満足していない部分が部分的にあっても勿論良い。
互いに異なる二つの方向の前記板状放熱面同士の投影面積Pが、この基板断面積Sとの関係を満足するよう、各々(二つとも、両方とも)一定以上の大きさとすることによって、ヒートシンクが閉鎖空間内で使用される場合に、放射を主体とする放熱効率を格段に向上させることができる。すなわち、投影面積Pをこの一定以上の大きさとすることによって、車載LEDランプ用などの空気による対流がないか少ない閉鎖空間内での、図1〜2のタイプのヒートシンクのLED素子9の放熱を、放射を主体とする放熱とし、その放熱効率を格段に向上させることができる。言い換えると、図1〜2のX、Y、Zの3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有するヒートシンクは、その形状(構造)と前記投影面積Pとの相乗効果によって、車載LEDランプ用などの空気による対流がないか少ない閉鎖空間内でのLED素子9の放熱を、放射を主体とする放熱とし、その放熱効率を格段に向上させることができる。
一方、前記板状放熱面10〜12において、互いに異なる二つの方向の板状放熱面同士の投影面積Pがこの関係を満足せず、いずれもか、あるいはいずれかが、投影面積PがP<8×S、すなわち投影面積Pが対応する基板断面積Sの8倍未満、と小さすぎると、ヒートシンクが閉鎖空間内で使用される場合に、放射を主体とする放熱効率を向上させることができない。言い換えると、図1〜2のX、Y、Zの3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有するヒートシンクであっても、その形状(構造)との相乗効果が発揮されず、車載LEDランプ用などの空気による対流がないか少ない閉鎖空間内でのLED素子9の放熱を、放射を主体とする放熱とするか、その放熱効率を向上させることができない。前記した通り、図1〜2のX、Y、Zの3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有するタイプのヒートシンクは、車載LEDランプ用などの前記閉鎖空間内で使用される場合には、その放熱面形状や立体形状との相乗による、特有の問題として、その板状放熱面の投影面積が、放射による放熱に大きく影響するからである。
ここで、板状放熱面10〜12の投影面積Pとは、各板状放熱面10〜12の投影面積として、各板状放熱面に対して直角方向から照射される平行光によって投影される投影面積Pとして規定する。この照射される平行光の角度が、各板状放熱面に対して各々直角方向ではなく、それ以外の角度となると,最も効率的に放射伝熱が起こる条件である,2つの伝熱面が正対する場合の放熱面積を規定することにならず、板状放熱面の放熱性能を正しく決める指標として好ましくない。この場合に規定される投影面積は伝熱面が最も効率良く放射伝熱をする場合の放熱面積となり、板状放熱面の放熱面積の影響を最も適切に表現する指標として好適である。
本発明では前記板状放熱面10〜12の投影面積Pを、図1〜2に示す前記基板2の断面積Sに対する倍率として規定するが、この基板2の断面積Sとは、図1〜2の基板2に点線で示す通り、基板2の前記LED素子の取付位置9を通る(9に交わる)とともに、前記板状放熱面10〜12の各投影面と互いに平行な各断面Cの各面積Sである。
図1では、板状放熱面10の投影面積P0と、板状放熱面11の投影面積P1との、互いに異なる方向の二つの板状放熱面の投影面積Pがいずれも規定を満足することが必要となる。すなわち、この板状放熱面10に対して直角方向から照射される光によって投影される投影面積P0が、基板2の断面積として、LED素子9の取付位置を通るとともに板状放熱面10の投影面と互いに平行な断面C0の面積S0に対して、P≧8×Sを満足することが必要となる。また、板状放熱面11に対して直角方向から照射される光によって投影される投影面積P1が、基板2の断面積として、LED素子9の取付位置を通るとともに板状放熱面11の投影面と互いに平行な断面C1の面積S1に対して、P≧8×Sを満足することが必要となる。
図2では、基板が楕円状の場合や円弧や小判形の場合には、長径側(あるいは面積が多きな部分側)の板状放熱面の投影面積P2と、方向が異なる短径側(あるいは面積が小さな部分側)の板状放熱面の投影面積P3との二つの投影面積の1つ以上が規定を満足するかどうかの対象となる。これに対して、真円状の場合には、いずれの方向の投影面積も等しいので、基板2の平坦面(平面)の向きをY方向とすると、互いに異なるX、Z方向に向く少なくとも二つの板状放熱面を選択する。この二つの板状放熱面とは、X方向に向く投影面積P2を有する板状放熱面と、Z方向に向く投影面積P3を有する板状放熱面である。そして、これら板状放熱面の各投影面積P2、P3が基板2の各断面積Sに対して、P≧8×Sを各々満足することが必要となる。すなわち、これら板状放熱面に対して直角方向から照射される光によって投影される投影面積P2かP3が、基板2の断面積として、LED素子9の取付位置を通るとともに、各投影面と互いに平行な断面C2、C3の面積S2、S3に対して、P≧8×Sを満足することが必要となる。
放熱の原理、作用:
このような本発明のヒートシンク1を、空気の対流のない空間に設置してLED照明を行う場合の放熱の原理(作用)について説明する。LED素子取付面3に装着されたLED素子9を発光させると、これに伴ってLED素子9の発する熱(熱流束)Qが、基板2のLED素子取付面3に、LED素子9の底部の装着部(図示せず)を通じて伝導される。これに引き続き,LED素子取付面3に伝導された熱Qは、取付面3側の放熱面10、11だけでなく、裏面4や、この裏面4側の放熱面12、13にも、前記した各放熱面に連続して速やかに(遅滞無く)、しかもほぼ等しく高いレベルで、LED素子9を中心とする同心円状に伝達(伝導)される。これに対して、これら基板と板状放熱面とによって、LED素子9を中心として、このLED素子9の周囲に、X、Y、Zの3次元のいずれの方向へも向いた板状放熱面を形成している。そして、これら板状放熱面は充分な投影面積を有する。このため、これら放熱面の表面から、X、Y、Zの3次元のいずれの方向へも放射による放熱が等しく一定レベル以上で行われ、放熱効率を著しく高めることができる。
ここで、車載照明用のハウジングの狭い空間内乃至閉鎖空間内で必要とされる、放射による放熱の場合には、図1〜図3の左下あるいは右下に表示したX、Y、Z軸方向(3次元方向)での投影面積の大きさがその効率を左右することになり、この投影面積が大きいほど、熱の放射効率が向上することになる。
この点、図4の従来例のヒートシンクHは、Y方向の投影面積は、基板部30の平面とフィン部40の上側の平面との合計となるので、フィン部40同士の重なりがないので、材料のムダがなく、投影面積が大きい。しかし、Z方向の投影面積は、基板部30の側面とフィン部40の側面との合計となり、櫛歯状となり空間が多いため、基板部30の長さとフィン部40の高さを掛けた総面積の50%に満たない小さな面積となる。また、X方向の投影面積は、基板部30の正面とフィン部40の正面の合計となり、フィン部40が例えば4枚もあるにもかかわらず、これらが重複して1枚と同じ投影面積であり、材料のムダが多く、放熱面積当りの熱の放射効率が低い。すなわち、X方向においては、多数のフィンが重複して空間を占有しているが、この占有空間が大きい割には投影面積が小さく、熱の放射効率が低い。更には、このX方向フィンの枚数が過剰で、この過剰なフィンのために材料のムダも大きく、重量が重くなる問題もある。
言い換えると、図4の従来例のヒートシンクHは、X、Y、Z軸方向(3次元方向)のいずれかの方向の熱の放射効率が必ず低くなる。この結果、3次元方向のいずれの方向の熱の放射効率を高めることができないので、総合的な熱の放射効率が低くなる。また、前記したX方向などでフィンの枚数が過剰となって材料のムダも大きい。すなわち、これら従来技術に共通するのは、ヒートシンクの三次元のいずれの方向においても、材料のムダがなく、占有空間が小さい割りに、熱の放射効率が高いヒートシンクとはできなかったいう点である。
ちなみに、この点は、前記特許文献5も同様であって、多数配列されたコの字状のひしゃく部分の放熱部が重複する方向では、占有空間が大きい割に、熱の放射効率が低く、3次元の3つの方向の総合的な熱の放射効率からすると、特にX方向の材料のムダが多い。また、前記スリット状の開口部の幅には、ヒートシンクの大きさ自体や前記放熱部の側の面積を確保するための大きな制約があって、必然的に狭幅となるため、閉鎖された空間内に適用される場合、空気の対流による放熱効率の向上も、実際に期待するほどには発揮されない。
図3:
また、図3のヒートシンク25は比較例を示しており、基板の1側面に板状放熱面13のみのひとつしか無く、この板状放熱面13の投影面積をいかに広くしても、放射による放熱性が不十分となる。
この図3では、平面視が四角形(矩形)の基板2の表面3に、LED素子9を取付け、この基板2の四周囲の側面5、6、7、8のうちの側面5のみに、基板2を頂部として、板状放熱面13を1つ、一体かつ連続して形成してなる。すなわち、前記図1の発明例の場合と比較して、基板2の側面6の板状放熱面11が無いことを除いた以外は基本的に同じである。
また、この図3の場合には、基板側面の板状放熱面は、基板側面5の板状放熱面13のみであり、Y方向に各々向く基板2の表裏面3、4と、X方向に各々向く板状放熱面13の平板状の表裏面とで、X、Yの2方向に各々向く、連続した平板状放熱面は形成している。また、0.7〜6mmの範囲の一定の板厚さえあれば、基板2の板厚方向(厚み方向)の側面6、7、8や、板状放熱面13の板厚方向(厚み方向)の各両側面21、22と底面23も放熱面を形成している。そして、板状放熱面13の投影面積P4は、基板2の断面積C4の断面積S4に対して、P≧8×Sを満足している。
しかし、この図3のZ方向の放熱面は、基板2の板厚方向(厚み方向)の側面6や、板状放熱面13の板厚方向(厚み方向)の各両側面22のみであって、平板状放熱面が無い。この結果、前記側面6や22からなる、Z方向に各々向く放熱面の投影面積P5を大きくするには限界があり、この投影面積P5を、P≧8×Sとはできない。このため、板状放熱面13の前記投影面積P4によって、X方向の投影面積を満足しても、このZ方向の放熱面の投影面積が不足してしまうので、互いに異なる方向に向く少なくとも二つの板状放熱面がP≧8×Sを各々満足できていない。このため、このZ方向の放熱面の放射による放熱性は小さく、全体として十分な放射放熱性は発揮されない。
本発明ヒートシンクは、周囲の放熱空間が閉鎖されて容積が小さく空気の対流がほとんどないような使用(設置)状態で、空気の対流による放熱がほとんど期待できない使用(設置)環境で最適である。このような使用環境では、放熱のためには、放射による放熱を中心とする必要があり、放熱面表面積の増加によって空気の対流を主たる放熱性能とする、前記従来のヒートシンク構造では、この放射による放熱が不十分となり、全体として効率的な放熱が達成できない。これに対して、本発明ヒートシンクは、前記放熱側面などの放熱面からの熱の放射による放熱が主体であり、空気の対流による放熱がほとんど期待できない使用(設置)環境に最適なヒートシンクと言える。
しかも、LED素子取り付け面3と板状放熱面を含めた各放熱面が、その間に接合面を介さない一体構造であるため、別個に製作されたこれら両者を接合する場合に発生するような接触熱抵抗が生じない。このため、LED素子取り付け面3と各放熱面の間の熱伝導が容易で、結果としてヒートシンク全体の放熱性能が著しく高くなる。また、ヒートシンク1の構造が、放熱面が3次元のX、Y、Zのいずれの方向へも向いている構造ゆえに剛性が高い。このため、車載照明等において振動を受けるような用途であっても、特段の補強部材等を用いることなく、その形状を保つことができ、メンテナンスフリーや高寿命化を達成できる。
LEDの消費電力:
本発明のヒートシンク1は優れた放熱効果を有するが、熱源となるLED9の消費電力が莫大になると、その優れた放熱効果をもってしても、放熱性能が不足することもある。よって、本発明の好ましい適用範囲として、LED9の消費電力が20W以下が好適な範囲といえる。なお、比較的消費電力の小さいLED9が複数取り付けられるような場合では、それら複数のLEDの消費電力の和が20W以下になる範囲が好適な条件といえる。
素材:
本発明のヒートシンク1は、優れた放熱効果を、ヒートシンクの形状、構造を複雑化させず、放熱面の数を多くせず、逆に、構造を単純化し、放熱面の数を少なくすることによって達成できる。この結果、種々の素材材料や製造方法あるいは製造工程を選択することができ、安価でつくりやすいヒートシンクを提供することができる。この点で、素材、材料は、例えば、アルミニウム(純アルミニウム)やアルミニウム合金、銅(純銅)や銅合金、鋼板、樹脂、セラミックなどの種々の素材材料や、板を素材とする絞り加工、折り曲げ加工、ダイキャストや鋳造、鍛造、押出などの製造方法あるいは製造工程を選択することができる。
アルミニウムまたはアルミニウム合金:
ヒートシンク1としての必要特性である、強度、剛性、軽量化、耐食性、熱伝導性,熱伝達性、熱放熱性、加工性などを兼備する素材としては、アルミニウム(純アルミニウム)やアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム(純アルミニウム)やアルミニウム合金は、ヒートシンクに求められる熱伝導特性と放熱特性が特に大きく、AA乃至JIS規格に規定される1050など、1000系の純アルミニウムが好ましい。
ただ、ヒートシンク1、すなわち基板2と板状放熱面10〜12とをアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合には、このアルミニウムまたはアルミニウム合金素材あるいはヒートシンク1の、熱伝導率λや各放熱面の表面放射率ε、板厚を規定することが好ましい。これによって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるヒートシンク1の、車載LEDランプ用などの前記閉鎖空間内でのLED素子9の放熱を放射を主体とする放熱として放熱効率をより向上させることができる。具体的には、熱伝導率λが120W/(m・K)以上であるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるとともに、前記基板と板状放熱面との表面放射率εが0.65以上であり、前記基板と板状放熱面との板厚を0.7〜6mmの範囲とする。
熱伝導率λ:
ヒートシンク1を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合金の熱伝導率λは120W/(m・K)以上、好ましくは140W/(m・K)以上とする。この熱伝導率λが低いと、前記した通り、ヒートシンク1の構造として、LED素子9からの熱が基板2のLED素子取付側の面(表面)3を介して、裏面4や各放熱面の周囲の側面や板厚方向の面へ連続して伝熱される連続伝熱面を形成したとしても、高い熱伝導率が達成できない。
熱伝導率λのW/(m・K)の単位の意味は、1メートルにつき1度の温度勾配があるとき、1平方メートルの断面を通って1秒間に1ジュールの熱が移動することである。代表的な金属の27℃の熱伝導率は、化学便覧改訂4版によれば、銅:402、アルミニウム:237、ステンレス(Cr 18%, Ni 9%, C 0.05% 残りFe):15、真鍮(Cu 70%, Zn 30%):119となっている。
ヒートシンク1を、鋳造材(鋳物)、冷延板材(圧延板材)、押出形材などのアルミニウムまたはアルミニウム合金展伸材から構成すれば、前記熱伝導率λを120W/(m・K)以上、好ましくは140W/(m・K)以上とすることができる。この点、アルミダイキャストは密度の関係から、熱伝導率λが80W/(m・K)程度であり、前記熱伝導率を達成できないため、不適である。また、使用するアルミニウムの合金種は、高熱伝導率化の点では、JIS規格内の組成や、この規格に相当する組成である純アルミニウムが好ましい。ただ、熱伝導率は低くなるものの、ヒートシンクへの成形性や加工性の向上、あるいは強度、剛性の向上の点から、JIS規格内の組成や、この規格に相当する組成である、種々のアルミニウム合金も、薄板でも高強度である特性を活かして利用可能である。
各放熱面の表面放射率ε:
以上の基本構造や熱伝導率λを前提にした、ヒートシンク1の前記した放射主体の放熱効率を高めるためには(ヒートシンク1の高い放熱性を得るためには)、ヒートシンク1、すなわち、ヒートシンク1を構成する基板2および板状放熱面10〜12の各放熱面の表面放射率εは高い方が好ましい。この表面放射率εが高いほど、ヒートシンクとしての放射による伝達熱量を増大することができる。この点で、前記表面放射率εは0.65以上とする。
この放射率εとは、実際の物体の熱放射の理論値(理想的な熱放射体である黒体の熱放射)に対する割合であって、実際の測定は、特開2002−234460号公報に記載された方法でもよく、市販のポータブル放射率測定装置によって測定してもよい。
本発明のヒートシンク1をアルミニウム(純アルミニウム)またはアルミニウム合金から構成すれば、比較的低い表面放射率εしか得られないが、表面放射率εを0.65以上の高い値とするために、基板および板状放熱面の各放熱面の表面に、放熱率が高い、黒色、グレー、白色などの塗料のプレコート処理(塗装皮膜)を施しても良い。このプレコート処理は、絞り加工前に予め素材金属薄板に施せば、絞り加工における潤滑剤の役割も果たす。またこの他に成形加工後のヒートシンクの表面に電着塗装やアルマイト処理などを行って、表面放射率εを高めても良い。
基板および板状放熱面の板厚:
前記基本構造や熱伝導率λを前提にして、ヒートシンク1の放射主体の放熱効率を高めるために、ヒートシンク、すなわち、基板2および板状放熱面10〜12の板厚は0.7〜6mmの範囲、好ましくは0.9〜3.0mmの範囲とする。
板厚が大きい(厚い)ほど放射主体の高い放熱効率が得られる。これは、板厚が大きい(厚い)ほど板面内での熱伝導が生じ易くなるためである。このため、LED素子9からの熱が基板2のLED素子取付側の面(表面)3を介して、裏面4や各放熱面の周囲の側面や板厚方向の面へ連続して伝熱される連続伝熱面を形成したヒートシンク1構造となってさえいれば、大きいサイズの基板および板状放熱面が使えるなど、高い放熱性が期待できる。
ただ、車載LEDランプなど、軽量化が要求され、設置される空間が限られる用途では、そのサイズや板厚の上限にも自ずと限界がある。したがって、基板および板状放熱面の板厚は6mm以下、好ましくは3.0mm以下とし、前記の通り規定した0.7〜6mmの範囲、好ましくは0.9〜3.0mmの範囲とする。
基板および板状放熱面の板厚は前記範囲内であれば、全て同じであっても、互いに種々変えても良い。
実施形態の共通事項:
以上説明した、基板2の取付面3や裏面4、放熱面10〜12の各放熱面に、ヒートシンク1の用途や取り付け部位に応じて、部品取付け用の空間やスリットあるいは部分形状などが、これら各面の一部に、これらの面を切り欠く加工や、凹凸あるいは段差などを設ける三次元の成形加工によって設けられても良い。更には、放熱側面は、部品取付け等の必要に応じて、各面の一部が省略あるいは形状が変更されていても良い。
本発明のヒートシンク1は、優れた放熱効果を、ヒートシンクの形状、構造、特に、板状放熱面の形状、構造を複雑化させず、板状放熱面の数を多くせず、逆に、構造を単純化し、板状放熱面の数を少なくすることによって達成できる。この結果、種々の素材材料や製造方法あるいは製造工程を選択することができ、安価でつくりやすいヒートシンクを提供することができる。
(車載ランプへの装着)
車載LEDランプなどへの本発明ヒートシンクの装着は、これまで汎用されているヒートシンクの装着と同様に行うことができ、この点が利点でもある。
通常、車載LEDランプ(車両用灯具)は、光源としてのLED素子が実装されたLED基板と、LEDからの光を光照射方向前方に向かって反射するリフレクタと、これらのLED基板及びリフレクタを包囲するハウジングと、ハウジングの開放した前端を閉鎖する透明材料から成るアウターレンズ、LED基板に熱的に接触して配置されたヒートシンクとを含んでいる。前記リフレクタは、金属や樹脂材料から成形されていて、LED基板上のLED付近に焦点を有する放物面系の反射面を備えている。ここで、本発明のヒートシンクは、前記LED基板あるいはLED基板に熱的に接触して配置されたヒートシンクとして用いられる。
この点で、本発明ヒートシンクは、例えば、前記した図5の車載LEDランプに対しても、前記灯具ユニット55として、マウントプレート57上に、本発明のLED素子を実装した基板2を装着し、ヒートシンクとして組み込むことができる。ただ、この場合にでも、本発明ヒートシンクは、車載LEDランプとして、従来のヒートシンクのような空気に熱伝達で加熱された空気の対流による放熱ではなく、熱の放射による放熱が主体である点が大きく異なる。
前記図1、2、3の各形状のヒートシンクであって、板状放熱面の投影面積を種々変えて、実際に製造し、車載LEDランプを模擬した閉空間内で、装着したLED素子に電流を加え、発光させた上で、LED素子の温度を実測した。これらの熱の放射による放熱性能の評価結果を表1に示す。
各ヒートシンクの各々の板状放熱面の投影面積の変更は、矩形の板状放熱面10〜12の面積=サイズ(Y方向の高さ)のみを変えて行った。基板2の形状や大きさ、基板2と放熱面10〜12の板厚は2.0mmと全て同じとし、熱伝導率λも共通して210W/(m・K)であった。図1、3の基板2の矩形形状(平面視)の大きさは共通して100mm(Z方向)×100mm(X方向)、図2は、共通して板厚2mm×直径100mmの真円形(平面視)の基板2とした。
図1、3の各ヒートシンクは、プレス成形にてJISの1050系アルミニウム冷延板の端部を各板状放熱面に折り曲げ加工し、図2のヒートシンクは、プレス成形にてJISの1050系アルミニウム冷延板を絞り加工して製造した。
各例とも共通して、表面には、市販の黒色のカチオン系樹脂皮膜を電着塗装した。このときの表面放射率は、宇宙航空研究開発機構が開発した市販のポータブル放射率測定装置で測定すると、各例とも基板2と板状放熱面10〜12の各放熱面はいずれも共通して同じ0.85であった。
また、各例とも共通して、基板に市販のLED素子を装着した上で、直流電源より、3.7V、0.85Aの電流(3.145W)を加えてLED素子を発光させた。この際、LED素子の温度を熱電対でモニタしながら、車載LEDランプの空気の対流の無い閉空間を模擬した300mm×300mm×300mmの木製の筒体内にヒートシンクを密閉して置いた。そして、ヒートシンク周囲の雰囲気温度を車載LEDランプの閉鎖空間を模擬し、20℃とした室内雰囲気中で発光させた。そして、一定時間経過後に上昇あるいは下降せずに定常状態となった温度を計測した。計測は各例とも5回行い、その平均温度を求めて評価した。
表1に示す通り、好ましい形状のヒートシンクである図1、2の発明例1、2、4、5は、前記した通り、基板と板状放熱面との熱伝導率λが120W/(m・K)以上であるアルミニウムからなるとともに、前記基板と板状放熱面との表面放射率εが0.65以上である。その上で、ヒートシンクの板厚が各々0.7〜6mmの規定範囲内の2.0mmで、板状放熱面10〜12の互いに異なる二つの方向の投影面積P0、P1(単位mm)がともに、あるいはP2、P3(単位mm)がともにP≧8×Sを各々満足する。
この結果、車載LEDランプを模擬した空気の対流の無い閉空間の中でも、定常時のLED素子温度は、素子の発光効率が低下しない許容温度が例示した前記100℃以下である、42℃以下の極めて低温に保持できている。したがって、これら発明例は、熱の放射による優れた放熱性能(冷却性能)を有することが確認できた。
これに対して、比較例3、6は、好ましい形状のヒートシンクである図1、2であり、前記熱伝導率λが120W/(m・K)以上で、前記表面放射率εが0.65以上であり、ヒートシンクの板厚が各々0.7〜6mmの規定範囲内の2.0mmである。しかし、比較例3は板状放熱面の投影面積P0、P1(単位mm)がともに、比較例6はP2、P3(単位mm)がともに、基板の断面積Sに対してP≧8×Sを満たさず、小さすぎる。このため、板状放熱面10〜11の互いに異なる二つの方向の投影面積PがP≧8×Sを各々満足できていない。
また、比較例7は、図3の通り、X方向に向いた板状放熱面13の影面積P4(単位mm)はP≧8×Sを満たしているが、Z方向に向いた放熱面6、22の影面積P5(単位mm)がP≧8×Sを満たしておらず、Z方向の放熱面の放射による放熱性能が不足している。このため、板状放熱面12の互いに異なる二つの方向の投影面積PがP≧8×Sを各々満足できていない。
この結果、これら比較例のヒートシンクは、定常時のLED素子温度は、許容温度の100℃以下ではあるが、前記発明例よりも高温となっており、車載LEDランプを模擬した空気の対流の無い閉空間の中では、熱の放射による放熱性能(冷却性能)が劣る。
なお、これら一連の試験は、実際の車に搭載時に想定されるエンジンや熱交換器、各種の電気機器からの入熱、直射日光による入熱などが考慮されていない。このため、LED素子温度は、実際の車載LED(実車搭載LED)でのLED素子温度よりも低めに出ていると考えられる。ただ、これら一連の試験は、ヒートシンクの性能比較としては十分な精度と再現性とを有する。
以上の事実から、本発明ヒートシンクの構造、熱伝導率λ、表面放射率ε、ヒートシンクの板厚、各板状放熱面の投影面積Pの、放射を主体とする放熱効率の臨界的な意義が裏付けられる。
Figure 2013211195
以上、本発明ヒートシンクは、前記放熱側面などの放熱面からの熱の放射による放熱が主体であり、しかも、この放射を主体とする放熱効率を格段に向上させることができる。このため、空気対流がほとんどない狭い使用空間(使用、設置環境)に最適なヒートシンクである。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの素材の使用量を最小限にし、ヒートシンクの小型化及び薄型化が可能で、デザインの自由度が高く、製造コストが廉価なヒートシンクを提供できる。このため、車載LEDランプなど車両用照明灯具向け放熱部品あるいはインバーターや各種の電気機器の冷却用の冷却ボックスに使用することができる。
1:ヒートシンク、2:基板、3:基板のLED素子取付面、4:基板の裏面、5、6、7、8:基板の板厚方向側面、9:LED素子、10、11、12、13:板状放熱面、14、15、16、17、18、19、21、22、23:板状放熱面の側面側、底面側の板厚方向の放熱面、P:板状放熱面の投影面積、C:基板の断面、S:断面Cの断面積

Claims (6)

  1. LED素子を取付けた基板の側面に、この基板を頂部とする板状放熱面を一体かつ連続して有するヒートシンクであって、前記板状放熱面の互いに異なる二つの方向の投影面積が、前記板状放熱面に対して各々直角方向から照射される平行光によって投影される各投影面積Pとして、前記LED素子の取付位置を通るとともに前記投影面と互いに平行な断面である前記基板の各断面積Sに対して、P≧8×Sを各々満足していることを特徴とするLED照明用ヒートシンク。
  2. 前記基板と板状放熱面によって3次元のいずれの方向へも向いた放熱面を有する請求項1のLED照明用ヒートシンク。
  3. 前記基板が平面視で四角形であり、この四角形の一辺以上に前記板状放熱面を形成した請求項1または2に記載のLED照明用ヒートシンク。
  4. 前記基板が平面視で円形であり、この円形の辺の一部または全部に前記板状放熱面を筒状に形成した請求項1乃至3のいずれか1項に記載のLED照明用ヒートシンク。
  5. 前記基板と板状放熱面とが熱伝導率λが120W/(m・K)以上であるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるとともに、前記基板と板状放熱面との表面放射率εが0.65以上であり、前記基板と板状放熱面との板厚を0.7〜6mmの範囲とした請求項1乃至4のいずれか1項に記載のLED照明用ヒートシンク。
  6. 前記ヒートシンクが車載LEDランプ用ヒートシンクである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のLED照明用ヒートシンク。
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