JP2013210549A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のレンズを有する撮像光学系と、該撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有する撮像装置であって、
前記撮像光学系は、開口絞りを有し、
前記撮像光学系における最も物体側のレンズ面または最も像側のレンズ面の少なくとも1面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位する非球面量を付与した非球面とし、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に、
前記撮像面の曲率半径が前記撮像光学系の焦点距離と略等しく設定されている。
【選択図】 図1
Description
球殻レンズと、該レンズの内側に球状レンズとで同心球を成した球レンズが提案されている(特許文献1)。
この球レンズは、球面収差や色収差を良好に補正することが可能である。また点対称な構成のため広画角化が容易であり、広角かつ高解像度が要求される撮像装置の撮像光学系に適している。
この球レンズにおいて、フレア等の有害光を遮断し良好な結像性能を得るために、球レンズの球中心を通る平面上に開口絞りを有した例が開示されている。
湾曲した像面を有する安価なカメラでの使用を目的とし、たった2つの単一レンズ部材からなり、それらの間に開口絞りを有し、レンズ部材の一方が両面非球面である光学システムが開示されている(特許文献2)。
この光学システムは少なくとも62.5度の全画角を有し、湾曲したフィルム面上に結像すべく構成された使い捨てカメラ用の撮像装置である。
主な実施例はF/2.8の撮像光学系であって球面収差や軸上色収差が良好に補正されいる。
一方、F/2.8よりも明るい実施例も開示されている。例えば、F/2.0やF/1.4の撮像光学系が開示されているが、球面収差が大きく発生しており十分な結像性能が得られていない。
すなわち、特許文献1に示された球レンズでは球面収差が補正しきれず、結像性能が劣化する問題が発生していた。
しかしながら、この光学システムはF/8.0と暗く絞ることによって球面収差の発生量を軽減している。
また、この光学システムでは、最も物体側の面に基準球面から像側へ変位する非球面を付与し、最も像側の面に基準球面から物体側へ変位する非球面を付与していた。
この非球面によって、コマ収差や非点収差を補正するものであった。
そのため、球面収差を良好に補正することができなかった。
前記撮像光学系は、開口絞りを有し、
前記撮像光学系における最も物体側のレンズ面または最も像側のレンズ面の少なくとも1面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位する非球面量を付与した非球面とし、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に、
前記撮像面の曲率半径が前記撮像光学系の焦点距離と略等しく設定されていることを特徴とする。
まず、その全体構成について説明する。
本実施形態の撮像装置は、複数のレンズを有する撮像光学系を備え、該撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有し、この像面湾曲のうちペッツバール像面分を補正できる構成とされている。
さらに、撮像光学系を点対称な光学系に近づけることによって、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差の発生を抑え、補正対象収差を球面収差、軸上色収差などの軸上収差のみに限定している。
撮像光学系を点対称な光学系に近づけることは、レンズ形状を制限してしまい光学設計の自由度を狭めることになるが、それ以上に補正すべき収差を軸上収差のみに限定できる利点の方が重要である。
これにより、広画角に渡って明るく高い結像性能を有する撮像装置を実現することができる。
特に、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系が点対称に近い構成を採ることが重要であり、画角光束に対してコンセントリックな構成としている。
撮像光学系の焦点距離を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定することで、撮像光学系の像側主点と射出瞳とを略同位置に揃えることができる。
これは、画角光束の入射高が低くなるので、画角光束を軸上光束と同様に扱うことができ、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系を点対称に近い構成にすることができる。
具体的には、以下で説明するように(1)式(以下の表で示された丸数字1の条件式)を満足させるように構成すると良い。
これにより、広画角に渡ってコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差を良好に補正することできる。
また、撮像面の曲率半径を撮像光学系の焦点距離と略等しく設定することで、像面湾曲を良好に補正することができる。
具体的には、以下で説明するように(2)式(以下の表で示された丸数字2の条件式)を満足させるように構成すると良い。
撮像光学系の構成により非点収差を良好に補正できるので、像面湾曲をペッツバール像面のみに限定でき、撮像面を湾曲させることによってペッツバール像面を補正できるので、軸外収差の全てに対して発生を小さく抑えることができる。すなわち、残りの収差を軸上収差に限定することができる。
広画角で明るい光学系においても球面収差を良好に補正することができるように構成されている。
すなわち、複数のレンズを有する撮像光学系と、該撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有する撮像装置において、
前記撮像光学系は、開口絞りを有し、
前記撮像光学系における最も物体側のレンズ面または最も像側のレンズ面の少なくとも1面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位する非球面量を付与した非球面とし、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に、前記撮像面の曲率半径が前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離と略等しく設定されている。
その際、撮像光学系の焦点距離をf_sys、撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離をd_pup、撮像面の曲率半径をR_img、としたとき、以下の(1)式及び(2)式を満足させるように構成することができる。
0.8≦f_sys/d_pup≦1.5 …(1)
0.8≦|R_img|/f_sys≦1.5…(2)
なお、本発明の撮像装置における撮像面は、湾曲させた電子撮像素子、もしくは、入射面を湾曲させた光伝送手段のことである。
湾曲させた電子撮像素子とは、例えば、形状可変な基板上に電子撮像素子を形成したものや、小さな平面型電子撮像素子をアレイ状に配置して凹面形状としたものが考えられる。
光伝送手段とは、例えば、光ファイバーを束ねてプレート状に構成したイメージプレートが考えられ、一端を凹面形状に、他端を平面に加工したものである。
そして、光伝送手段の入射面を物体側に凹面を向けて湾曲させた面を撮像面とし、平面の射出面を電子撮像素子へと接続して撮像ユニットとする構成を採ることができる。
レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面は、主に球面収差補正に作用する。
撮像光学系は全体で正のパワーを有しており一般的に球面収差はアンダーとなる。
これは物点から像点までの光路長の観点で言えば、軸上光線に対して入射高の高い位置の光線の光路長が短いことが要因である。
また、波面の観点から言えば、光軸上に対して入射高の高い位置の光束は位相が進んでいることが要因である。
撮像光学系の最も物体側のレンズ面、もしくは最も像側のレンズ面は、撮像光学系に含まれるレンズ面のうち最も外側にあるレンズ面であり、レンズ面の内側は光学ガラス、レンズ面の外側は空気で満たされている。
一般的に光学ガラスの屈折率はNd=1.45〜2.15であり、空気の屈折率Nd=1.0よりも高い屈折率を有する。
このとき、レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面によって、レンズ面の周辺部を通過する光線の光路の一部区間が空気から光学ガラスに置き換わり、実質的に光路長を長くすることができる。または波面の位相を遅らせることができる。これにより、球面収差を良好に補正することができる。
また、パワーの観点から言うと、レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面によって、レンズ面周辺部のパワーを負の方向にシフトさせた非球面を構成することができる。
基準球面が正パワーを有する場合は、光軸上よりも周辺部の正のパワーを弱めた非球面を構成することができる。
これにより、入射高の高い位置の光線が受けるパワーを、主光線が受けるパワーに対して相対的に弱めることができ、アンダーの状態の球面収差を良好に補正することができる。
図35及び図36では、撮像光学系SYSによって物体面OBJ上の物点PNTOBJからの画角光束BEMを像面IMG上の像点PNTIMGに結像させた様子を模式的に示している。
図35に示したように物点PNTOBJが撮像光学系SYSの光軸AXI上にある場合を軸上光束、図36に示したように物点PNTOBJが撮像光学系SYSの光軸AXI以外にある場合を画角光束と定義する。
軸上光束及び画角光束は開口絞りSTOによって光束幅を制限されており、開口絞りの開口部中心STOCNTを通過する光線を主光線RAYPRI、開口部上端STOUPを通過する光線を上光線RAYUP、開口部下端STOLOWを通過する光線を下光線RAYLOWと定義する。
最も物体側のレンズ面RMSTOBJ上の各光線の到達位置は、主光線RAYPRIが光軸AXI上、上光線RAYUPが上側の周辺部に近く、下光線RAYLOWが下側の周辺部に近くであり、最も物体側のレンズ面RMSTOBJは撮像光学系SYSの中で光束幅が最も広い面である。
そのため、最も物体側のレンズ面RMSTOBJを非球面で構成すれば、非球面の作用を効果的に発揮することができる。
また、光軸よりも周辺部のパワーを弱めた非球面を用いることにより、入射高が高い上光線RAYUPや下光線RAYLOWにおけるパワーを光軸上よりも弱めることができるので、アンダーとなった球面収差を良好に補正することができる。
また、球面収差への影響力が大きいため付与する球面収差量を小さく抑えることができる。
そのため、主光線RAYPRIよりも上光線RAYUP側の光束では、主光線RAYPRIに沿った方向における入射高が軸上光束の入射高よりも高くなり、大きな球面収差が発生してしまうことが問題となる。これは画角が広角であればあるほど問題が顕著となる。
そこで、最も像側のレンズ面RMSTIMGを、光軸よりも周辺部のパワーを弱めた非球面として構成すると、主光線RAYPRIよりも上光線RAYUP側の光束に弱いパワーを付与することが可能なレンズ面を構成できる。
これによって、画角光束の主光線RAYPRIよりも上光線RAYUP側の光束において、大きく発生した球面収差を良好に補正することができる。
また、画角光束の主光線RAYPRIよりも下光線RAYLOW側の光束においても球面収差は発生する。
そこで、最も物体側のレンズ面RMSTOBJを、光軸よりも周辺部のパワーを弱めた非球面として構成すると、主光線RAYPRIよりも下光線RAYLOW側の光束に弱いパワーを付与することが可能なレンズ面を構成できる。
これによって、画角光束の主光線RAYPRIよりも下光線RAYLOW側の光束において、発生した球面収差を良好に補正することができる。
さらに、最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面を共に光軸よりも周辺部のパワーを弱めた非球面で構成すれば、軸上光束、画角光束の主光線よりも上光線側の光束と画角光束の主光線よりも下光線側の光束に最適な構成にできる。
特にF/1.4以上の格段に明るい撮像光学系を用いた撮像装置においては、本発明の効果によって球面収差を補正することにより、大幅に結像性能を改善することができる。
貼り合せ面を非球面にすると2つの面を同一の非球面形状に加工することが難しいデメリットがあり、撮像光学系の最も物体側のレンズ面、もしくは最も像側のレンズ面を非球面とすれば、製造が容易となるメリットがある。
すなわち、点対称に近い撮像光学系の開口絞り面近傍に波面制御素子を配置すれば、F/2.0を超える明るい光学系においても、広域な画角に渡って収差を良好に補正することができる。更には、F/1.4を超える格段に明るい光学系においても、同様な効果を発揮できる。
また、明るいF値の撮像光学系は被写界深度が狭くなるので、コンパクトカメラでありながら、ピント面以外の背景をぼかした撮影が可能となる。
さらに、明るいF値の撮像光学系は、F値の2乗に比例して露光時間を短く設定することができるため、手ブレや被写体ブレ、ショットノイズを格段に軽減でき、高品位な画像を提供することができる撮像装置を提供することができる。
一般的な撮像光学系では、画角(入射角)ωに対してcosω4乗則に従って周辺光量比が低下することが知られている。
そのため、撮影された画像の周辺部がとても暗くなり均一な照度の画像が得られない。
近年のデジタルカメラやデジタルビデオカメラでは、周辺部の感度を大幅に持ち上げて周辺光量落ちをデジタル的に補正するものもあるが、コントラストは低いままノイズが増加してしまうので、画像の中心部と比べて画質がかなり劣化する。
周辺光量落ちは、このような深刻な問題を引き起こす。この傾向は広画角な撮像光学系ほど顕著となり、広画角な撮像光学系を実現するために必要な要素の1つとなっている。
周辺光量比のcosω4乗則の内訳は、
(a)画角に応じて、見かけの焦点距離が長くなることでcosωの2乗分、
(b)画角に応じて見かけの開口径が狭まることでcosωの1乗分、
(c)画角に応じて撮像面への入射角がきつくなることでcosωの1乗分、である。
これにより、周辺光量比をcosωの2乗分を改善することができる。
(2)式を満足することにより、相応の効果を得ることができる。
すなわち、周辺光量比がcosωの4乗からcosωの2乗へ向上させることができる。
広画角な撮像光学系の周辺光量比を大幅に改善することができるので、広画角に渡ってコントラストが高く、ノイズが少なく高画質な画像を撮影することができる撮像装置を提供することができる。
(1)式は、撮像光学系の焦点距離f_sysと撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離d_pupとを略等しく設定する条件であり、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系を点対称に近い構成にすることができる。
(1)式を満たせば、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差を良好に補正することができる。
(1)式の上限を超えると、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系の点対称性が確保できず、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差が発生して問題となる。
(1)式の下限を超えると、撮像光学系の開口絞りよりも像側の光学系の点対称性が確保できず、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差などの軸外収差が発生して問題となる。
(2)式を満たせば、撮像装置の像面形状をペッツバール像面に近づけることができるので、広画角に渡って非点収差を発生させることなく像面湾曲を補正することができる。
(2)式の上限を超えると、撮像面の周辺部でペッツバール像面からの乖離が大きくなり、像面湾曲が発生して結像性能が劣化する。
(2)式の下限を超えると、撮像面の周辺部でペッツバール像面からの乖離が大きくなり、像面湾曲が発生して結像性能が劣化する。
F値が明るい撮像光学系の場合、焦点深度が狭いので像面湾曲の許容範囲が狭く、像面湾曲は高精度に補正する必要がある。
まず、撮像面の形状が非球面の場合、基準球面の曲率半径を「撮像面の曲率半径」とする。
非球面はα式で表すことができ、α式の光軸上における曲率cの逆数が曲率半径である。
撮像面が非球面形状であっても、光軸上の曲率半径を計測することによって基準曲面の曲率半径を求めることができる。
次に、撮像面の形状が階段状の場合について説明する。
小さな電子撮像素子をアレイ化して構成した場合や、光ファイバーを束ねて湾曲した撮像面を構成した場合、厳密に言うと撮像面が階段状になる。
その場合は、電子撮像素子の1画素もしくは光ファイバーの1本の中心点を結んだ曲面を撮像面とみなすことができる。
その曲面を上記α式で最小二乗法によりフィッティングした結果から基準曲面の曲率半径を算出すれば、撮像面の曲率半径を求めることができる。
図37(a)および図37(b)に物体面を有限距離に配置した際の結像関係を示す。
図37(a)において、OBJは物体面、SYSは撮像光学系、IMGは像面であり、撮像光学系SYSは物体面OBJ上のある物点を像面IMG上の像点へ結像させている。
図37(a)に示したように、撮像光学系SYSは、撮像光学系SYSから等距離にある物点をペッツバール像面上へ結像させるので、このときの物体面OBJは湾曲した形状となる。
しかしながら、撮像光学系では物体面OBJは平面であることが好ましい。
この像面側の移動量を、光束の進行方向におけるデフォーカス量として図37(b)の撮像光学系のモデルにおいて一例を図38のグラフに示した。
この例では、各パラメーターを、撮像光学系の焦点距離をf_sys=12.0(mm)、撮像面の曲率半径をR_img=12.0(mm)、撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離をd_pup=12.0(mm)、物体距離をS=−300(mm)、画角をω=60(deg)としている。
前述の通り、物体面を平面とした場合、各画角光束のピント位置がペッツバール像面から撮像光学系側にデフォーカスする。
光束の進行方向におけるデフォーカス量を丸数字1のピント位置のグラフに表示している。
また、撮像面の曲率半径は撮像光学系の焦点距離と等しく設定しており、物体距離が無限遠におけるペッツバール像面形状に相当する。
物体距離が無限遠で丸数字1のピント位置と丸数字2の撮像面形状が一致するのは当然だが、図38は物体距離をS=−300(mm)まで近づけた場合でも丸数字1のピント位置と丸数字2の撮像面形状がぴったり一致することを示している。
これは物体距離が無限遠からS=−300(mm)までのどの距離においても、平面の物体面を像面湾曲を発生させることなく、ピント調整できることを意味している。
また、画角−60〜+60(deg)の広範囲において上記が実現できる。
撮像光学系の焦点距離を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定し、撮像面の曲率半径を撮像光学系の焦点距離と略等しく設定すれば、撮像面の形状を変化させることなく、撮像光学系と撮像面の距離を変更するだけでピント調整が可能となる。
そのために、(1)式および(2)式を満足させることが重要である。
本発明の撮像装置のように格段に明るいF値の撮像光学系は焦点深度が非常に狭いので、高精度なピント調整を簡単に実現できることは撮像装置にとって極めて重要である。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用した撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図1に示すように、3枚のレンズG1,G2,G3と開口絞りSTOとで構成されている。
物体側から順に、物体側に凸面を向けた平凸レンズである第1レンズG1、像側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズG2、そして像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第3レンズG3が配置されている。
第1レンズG1の射出面は第2レンズG2の入射面と貼り合せており、その貼り合せ面の非有効部に遮光部材を配置して開口絞りSTOを構成している。
図1に示したように、本実施例における撮像装置では、球状に形成した光伝送手段OTMの入射面を撮像面IMGとしており、撮像面の湾曲形状を撮像光学系の像面湾曲に沿わせており、撮像面IMGの全域に渡って良好な結像性能を実現している。
本実施例における撮像装置の光伝送手段OTMは数ミクロンピッチの光ファイバーを束ねて構成したイメージファイバーであり、撮像面に形成された像を電子撮像素子ICDへ伝送する役割を担う。
光伝送手段OTMの射出面は平面に形成しており、電子撮像素子ICDに密着させて接続することで電子撮像素子ICDに像を伝送している。
このように、本実施例の撮像装置では、光伝送手段OTMと電子撮像素子ICDとで撮像ユニットICUを構成している。
面番号1は第1レンズG1の入射面、面番号2は第1レンズG1の射出面と第2レンズG2との貼り合せ面、面番号3は第2レンズG2の射出面と第3レンズG3の入射面との貼り合せ面、面番号4は第3レンズG3の射出面である。
面番号2の第1レンズG1の射出面と第2レンズG2との貼り合せ面の非有効部に遮光部材を配置して開口絞りSTOを構成している。
面番号5は撮像面IMGであり、光伝送手段OTMの入射面である。そして、表記しない光伝送手段OTMの射出面が電子撮像素子ICDと接続し撮像ユニットICUを構成している。
表中のRは曲率半径(mm)、dは面間隔(mm)、Ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。尚、「*印」がある面は非球面である。
本実施例の撮像装置における第1面の非球面係数を表2に示す。
本実施例の撮像装置では撮像光学系のレンズ面のうち最も物体側のレンズ面のみを非球面としている。
図2(a)には最も物体側のレンズ面の非球面形状を示し、図2(b)には最も物体側のレンズ面の非球面量を示す。また、図3(a)には非球面と基準球面の2階微分値を示し、図3(b)には非球面成分の2階微分値を示す。
図2(a)に示したように、本実施例の最も物体側のレンズ面は光軸から周辺部へ向かうにつれてサグ量が正の方向に大きくなるレンズ面であり、物体側に凸面を向けたレンズ面である。
尚、サグ量とは光軸方向への変位量のことであり、図2(a)では光軸上に対してレンズ面の他の位置がどれほど光軸方向へ変位したかを示してある。また、基準球面は曲率半径R=3.1146(mm)の物体側に凸面を向けた球面である。
具体的には(7)式で表現される。
そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
図3(a)には、非球面の2階微分値を実線で、基準球面の2階微分値を破線で示している。
非球面の2階微分値、基準球面の2階微分値は共に光軸から離れるに従って徐々に正の方向に大きくしている。
また、図3(b)には、非球面成分の2階微分値を示している。これは非球面の2階微分値から基準球面の2階微分値を引いたものである。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に負の方向に大きくしている。
このように、2階微分値が正の基準球面に、2階微分値が負の非球面成分を与えることにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
撮像光学系の最も物体側のレンズ面では、レンズ面の物体側にある媒質は空気なのでN=1.0000、レンズ面の像側にある媒質は光学ガラスでN´=1.87801であり、(N´−N)が正の値を持つ。
ゆえに、最も物体側のレンズ面は、光軸上は正のパワーを有し、光軸から離れるに従って徐々に正のパワーが弱くなるレンズ面形状としている。
これにより、球面収差を良好に補正することができる。
図4に示したように、球面収差、軸上色収差、非点収差、像面湾曲、及び色の球面収差を良好に補正している。ここでは、色の球面収差を基準波長(例えばd線)の球面収差量に対する各波長(例えば、C線、F線、g線など)の球面収差量の差と定義する。
特に、球面収差は、入射高の低い光線から高い光線に掛けての全域で像面上に集光させることができており、非常に良好に補正ができている。
また、軸上色収差、ならびに色の球面収差も非常に良好に補正できており、高い結像性能が得られている。
図5に示したように、各画角光束においても良好な性能が得られており、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差が良好に補正されている。
表4に、本実施例の撮像装置における、(1)式および(2)式の値を示す。
(2)式の値は1.02であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、120.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(1)式と(2)式を満足させることで、撮像面の形状を変化させることなく、撮像光学系と撮像面の距離を変更するだけで、無限遠から至近距離までのピント調整が可能となる。
また、本発明の撮像装置では、撮像面の曲率半径を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定している。
0.8≦ |R_img|/d_pup≦1.5 …(8)
(8)式を満足すれば、撮像光学系をより点対称に近い構成にできる。
本実施例の撮像装置では撮像光学系と撮像面との距離を変更することにより、ピント調整を行う。その際、(8)式を満たすことにより、無限遠から至近距離までの広範囲な被物体距離において、ピント調整による像面湾曲を非常に小さく抑えることができ、高解像度な撮影を可能とする。
本実施例の撮像装置は、(8)式の値が1.05であり、(8)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。さらに、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
本実施例の撮像装置における撮像光学系では、撮像面の曲率半径を撮像光学系の焦点距離と略等しく設定しており、全画角において焦点距離を略同一にすることができる。
これにより、周辺光量比をcosωの2乗分を改善することができる。
本実施例の最大半画角ω=60.0(deg)であり、cos4ω=0.0625のところcos2ω=0.25にでき、周辺光量を4倍に改善できる。
(2)式を満足することにより、相応の効果を得ることができる。
さらに、本実施例の撮像装置における撮像光学系では、撮像面の曲率半径を撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離と略等しく設定しており、撮像面への入射角を略垂直に設定することができる。
これにより、周辺光量比をcosωの1乗分を改善することができる。
(6)式を満足することにより、相応の効果を得ることができる。
(2)式と(6)式を同時に満たすことにより、周辺光量比をcosωの3乗分を改善することができ、周辺光量を従来の8倍に増加させることができる。
これにより、広画角な撮像光学系の周辺光量比を大幅に改善することができるので、広画角に渡ってコントラストが高く、ノイズが少なく高画質な画像を撮影することができる撮像装置を提供することができる。
また、周辺光量落ちを大幅に改善することができ、広画角に渡って非常に明るい撮像光学系を実現することができる。
これにより、露光時間を大幅に短縮できるので、手ブレ、被写体ブレ、ノイズを良好に低減した高品位な画像を撮影することが可能な撮像装置を提供することができる。
また、コンパクトな構成ながら、デフォーカスした被写体に大きなボケを付与することができる撮像光学系を提供することができる。
さらに、上記の高性能な撮像光学系を、簡便な構成ながら無限遠から至近距離に至る広範囲において、結像性能を殆ど劣化させることなくピント調整を可能とする。
実施例2として、実施例1と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図6に示すように、3枚のレンズG1,G2,G3と開口絞りSTOで構成している。
物体側から順に、物体側に凸面を向けた平凸レンズである第1レンズG1、像側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズG2、そして像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第3レンズG3を配置している。
図6中のIMGは撮像面である。
図6に示したように、本実施例における撮像装置の撮像面IMGは、球状に形成した光伝送手段OTMの入射面であり、撮像光学系の像面湾曲に沿わせているため撮像面IMGの全域に渡って良好な結像を実現している。
本実施例における撮像装置の光伝送手段OTMは数ミクロンピッチの光ファイバーを束ねて構成したイメージファイバーであり、撮像光学系の像面に形成された像を電子撮像素子ICDへ伝送する役割を担う。
光伝送手段OTMの射出面は平面に形成しており、電子撮像素子ICDに密着させて接続することで撮像ユニットICUを構成している。
面番号1は第1レンズG1の入射面である。面番号2はG1の射出面と第2レンズG2の入射面との貼り合せ面であり、その非有効部に遮光部材を配置して開口絞りSTOを構成している。
面番号3は第2レンズG2の射出面と第3レンズG3の入射面との貼り合せ面である。面番号4は第3レンズG3の射出面であり、(3)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
面番号5は撮像面IMGであり、光伝送手段OTMの入射面である。そして、表記しない光伝送手段OTMの射出面が電子撮像素子ICDと接続している。
表中のRは曲率半径(mm)、dは面間隔(mm)、Ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。尚、「*印」がある面は非球面である。
図7(a)には最も像側のレンズ面の非球面形状を示し、図7(b)には最も像側のレンズ面の非球面量を示す。また、図8(a)には非球面と基準球面の2階微分値を示し、図8(b)には非球面成分の2階微分値を示す。
図7(a)に示したように、本実施例の最も像側のレンズ面は光軸から周辺部へ向かうにつれてサグ量が負の方向に大きくなるレンズ面であり、像側に凸面を向けたレンズ面である。
このレンズ面の基準球面は曲率半径R=−2.9424(mm)の像側に凸面を向けた球面である。
図7(b)には非球面量を示している。
図7(b)に示したように、本実施例では、非球面量は正の方向に変位させており、基準球面から像側、つまり撮像光学系の外側へ変位させた非球面としている。
そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
図8(a)には、非球面の2階微分値を実線で、基準球面の2階微分値を破線で示している。
非球面の2階微分値、基準球面の2階微分値は共に負の値を有している。
図8(b)には、非球面成分の2階微分値を示している。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に正の方向に大きくしている。
このように、2階微分値が負の基準球面に、2階微分値が正の非球面成分を与えることにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
(6)式には2階微分値とパワーの関係が示されている。
撮像光学系の最も像側のレンズ面では、レンズ面の物体側にある媒質は光学ガラスでN=2.00170、レンズ面の像側にある媒質は空気なのでN´=1.0000であり、(N´−N)が負の値を持つ。
ゆえに、最も像側のレンズ面は、光軸上は正のパワーを有し、光軸から離れるに従って徐々に正のパワーが弱くなるレンズ面形状としている。
これにより、球面収差を良好に補正することができる。
特に、最も像側のレンズ面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とした場合は、広画角域の画角光束の球面収差を良好に補正することができる。
また、軸上色収差、ならびに色の球面収差も非常に良好に補正できており、高い結像性能が得られている。
図10に示したように、各画角光束においても良好な性能が得られており、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差が良好に補正されている。
表7に本実施例の撮像装置の仕様を示す。
(1)式の値は0.89であり、(1)式の範囲を満足している。これにより、撮像光学系の開口絞りから像側の光学系を点対称に近い構成にでき、コマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正することができる。
(2)式の値は1.02であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、120.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(1)式と(2)式を満足させることで、撮像面の形状を変化させることなく、撮像光学系と撮像面の距離を変更するだけで、無限遠から至近距離までのピント調整が可能となる。
(8)式の値が0.90であり、(8)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。
さらに、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
実施例3として、上記各実施例と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図11に示すように、3枚のレンズG1,G2,G3と開口絞りSTOで構成している。
物体側から順に、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、像側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズG2、そして像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第3レンズG3が配置されている。
図11中のIMGは撮像面である。
図11に示したように、本実施例における撮像装置の撮像面IMGは、球状に形成した光伝送手段OTMの入射面であり、撮像光学系の像面湾曲に沿わせているため撮像面IMGの全域に渡って良好な結像を実現している。
本実施例における撮像装置の光伝送手段OTMは数ミクロンピッチの光ファイバーを束ねて構成したイメージファイバーであり、撮像光学系の像面に形成された像を電子撮像素子ICDへ伝送する役割を担う。
光伝送手段OTMの射出面は平面に形成しており、電子撮像素子ICDに密着させて接続することで撮像ユニットICUを構成している。
面番号1は第1レンズG1の入射面であり、(3)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
面番号2はG1の射出面と第2レンズG2の入射面との貼り合せ面であり、その非有効部に遮光部材を配置して開口絞りSTOを構成している。面番号3は第2レンズG2の射出面と第3レンズG3の入射面との貼り合せ面、面番号4は第3レンズG3の射出面であり、(3)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
面番号5は撮像面IMGであり、光伝送手段OTMの入射面である。そして、表記しない光伝送手段OTMの射出面が電子撮像素子ICDと接続している。
表中のRは曲率半径(mm)、dは面間隔(mm)、Ndはd線の屈折率、νdはアッベ数を示す。尚、「*印」がある面は非球面である。
図12(a)には最も物体側のレンズ面の非球面形状を示し、図12(b)には最も物体側のレンズ面の非球面量を示し、図13(a)には非球面と基準球面の2階微分値を示し、図13(b)には非球面成分の2階微分値を示す。
図12(a)に示したように、本実施例の最も物体側のレンズ面は光軸から周辺部へ向かうにつれてサグ量が正の方向に大きくなるレンズ面であり、物体側に凸面を向けたレンズ面である。
このレンズ面の基準球面は曲率半径R=3.2643(mm)の物体側に凸面を向けた球面である。
図12(b)には非球面量を示している。
図12(b)に示したように、本実施例では、非球面量は負の方向に変位させており、基準球面から物体側、つまり撮像光学系の外側へ変位させた非球面としている。
そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
図13(a)には、非球面の2階微分値を実線で、基準球面の2階微分値を破線で示している。
非球面の2階微分値、基準球面の2階微分値は共に正の値を有している。
図13(b)には、非球面成分の2階微分値を示している。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に負の方向に大きくしている。
このように、2階微分値が正の基準球面に、2階微分値が負の非球面成分を与えることにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
(6)式には2階微分値とパワーの関係が示されている。
撮像光学系の最も物体側のレンズ面では、レンズ面の物体側にある媒質は空気なのでN=1.0000、レンズ面の像側にある媒質は光学ガラスでN´=1.88202であり、(N´−N)が正の値を持つ。
ゆえに、最も物体側のレンズ面は、光軸上は正のパワーを有し、光軸から離れるに従って徐々に正のパワーが弱くなるレンズ面形状としている。
これにより、球面収差を良好に補正することができる。
特に、最も物体側のレンズ面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とした場合は、軸上光束ならびに軸上近傍の画角光束の球面収差を良好に補正することができる。
図14(a)に示したように、本実施例の最も像側のレンズ面は光軸から周辺部へ向かうにつれてサグ量が負の方向に大きくなるレンズ面であり、像側に凸面を向けたレンズ面である。
このレンズ面の基準球面は曲率半径R=−2.9174(mm)の像側に凸面を向けた球面である。
図14(b)には非球面量を示している。
図14(b)に示したように、本実施例では、非球面量は正の方向に変位させており、基準球面から像側、つまり撮像光学系の外側へ変位させた非球面としている。
そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
図15(a)には、非球面の2階微分値を実線で、基準球面の2階微分値を破線で示している。
非球面の2階微分値、基準球面の2階微分値は共に負の値を有している。
図15(b)には、非球面成分の2階微分値を示している。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に正の方向に大きくしている。
このように、2階微分値が負の基準球面に、2階微分値が正の非球面成分を与えることにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
ゆえに、最も像側のレンズ面は、光軸上は正のパワーを有し、光軸から離れるに従って徐々に正のパワーが弱くなるレンズ面形状としている。
これにより、球面収差を良好に補正することができる。
特に、最も像側のレンズ面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とした場合は、広画角域の画角光束の球面収差を良好に補正することができる。
図16に示したように、球面収差、軸上色収差、非点収差、像面湾曲、及び色の球面収差を良好に補正している。特に、入射高の低い光線から高い光線に掛けての全域で像面上に集光させることができており、球面収差を非常に良く補正できている。
また、軸上色収差、ならびに色の球面収差も非常に良好に補正できており、高い結像性能が得られている。
本実施例のように、最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面の両方を、レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とすることにより、広画角に渡って高精度に球面収差を補正することが可能となる。
表11に本実施例の撮像装置の仕様を示す。
(8)式の値が0.95であり、(8)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。
さらに、本実施例の撮像装置では撮像光学系と撮像面との距離を変更することにより、ピント調整を行う。
(8)式を満足しているため、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
実施例4として、上記各実施例と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図18に示すように、4枚のレンズG1,G2,G3,G4と開口絞りSTOで構成されている。
物体側から順に、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、
物体側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズG2、
像側に凸面を向けた平凸レンズである第3レンズG3、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第4レンズG4、が配置されている。
図18中のIMGは撮像面である。
図18に示したように、本実施例における撮像装置の撮像面IMGは、形状可変な基板上に作製した電子撮像素子ICDを球状にしたものである。
面番号1は第1レンズG1の入射面であり、(3)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
面番号2はG1の射出面と第2レンズG2の入射面との貼り合せ面である。面番号3は第2レンズG2の射出面と第3レンズG3の入射面との貼り合せ面であり、その非有効部に遮光部材を配置して開口絞りSTOを構成している。
面番号4は第3レンズG3の射出面と第4レンズG4の入射面との貼り合せ面である。面番号5は第3レンズG3の射出面であり、(3)式で示した多項式で表現される回転対称非球面形状を有している。
面番号6は撮像面IMGであり、湾曲させた電子撮像素子の入射面である。
図19(a)には最も物体側のレンズ面の非球面形状を示し、図19(b)には最も物体側のレンズ面の非球面量を示す。図20(a)には非球面と基準球面の2階微分値を示し、図20(b)には非球面成分の2階微分値を示す。
図19(a)に示したように、本実施例の最も物体側のレンズ面は光軸から周辺部へ向かうにつれてサグ量が正の方向に大きくなるレンズ面であり、物体側に凸面を向けたレンズ面である。
このレンズ面の基準球面は曲率半径R=3.0198(mm)の物体側に凸面を向けた球面である。
図19(b)には非球面量を示している。
図19(b)に示したように、本実施例では、非球面量は負の方向に変位させており、基準球面から物体側、つまり撮像光学系の外側へ変位させた非球面としている。
そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
非球面の2階微分値、基準球面の2階微分値は共に正の値を有している。
図20(b)には、非球面成分の2階微分値を示している。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に負の方向に大きくしている。
このように、2階微分値が正の基準球面に、2階微分値が負の非球面成分を与えることにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
(6)式に2階微分値とパワーの関係が示されている。
撮像光学系の最も物体側のレンズ面では、レンズ面の物体側にある媒質は空気なのでN=1.0000、レンズ面の像側にある媒質は光学ガラスでN´=2.00060であり、(N´−N)が正の値を持つ。
ゆえに、最も物体側のレンズ面は、光軸上は正のパワーを有し、光軸から離れるに従って徐々に正のパワーが弱くなるレンズ面形状としている。
これにより、球面収差を良好に補正することができる。
特に、最も物体側のレンズ面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とした場合は、軸上光束ならびに軸上近傍の画角光束の球面収差を良好に補正することができる。
また、図22(a)には非球面と基準球面の2階微分値を示し、図22(b)には非球面成分の2階微分値を示す。
このレンズ面の基準球面は曲率半径R=−2.9057(mm)の像側に凸面を向けた球面である。
、図21(b)には非球面量を示している。
、図21(b)に示したように、本実施例では、非球面量は正の方向に変位させており、基準球面から像側、つまり撮像光学系の外側へ変位させた非球面としている。
そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
図22(a)には、非球面の2階微分値を実線で、基準球面の2階微分値を破線で示している。
非球面の2階微分値、基準球面の2階微分値は共に負の値を有している。
図22(b)には、非球面成分の2階微分値を示している。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に正の方向に大きくしている。
このように、2階微分値が負の基準球面に、2階微分値が正の非球面成分を与えることにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
ゆえに、最も像側のレンズ面は、光軸上は正のパワーを有し、光軸から離れるに従って徐々に正のパワーが弱くなるレンズ面形状としている。
これにより、球面収差を良好に補正することができる。
特に、最も像側のレンズ面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とした場合は、広画角域の画角光束の球面収差を良好に補正することができる。
図23に示したように、球面収差、軸上色収差、非点収差、像面湾曲、及び色の球面収差をかなり良好に補正している。特に、入射高の低い光線から高い光線に掛けての全域で像面上に集光させることができており、球面収差を非常に良く補正できている。
また、軸上色収差、ならびに色の球面収差も非常に良好に補正できており、高い結像性能が得られている。
図24に示したように、各画角光束においても良好な性能が得られており、コマ収差、像面湾曲、倍率色収差をかなり良好に補正している。
本実施例のように、最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面の両方を、レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位した非球面量を付与した非球面とすることにより、広画角に渡って高精度に球面収差を補正することが可能となる。
表15に本実施例の撮像装置の仕様を示す。
表16に、本実施例の撮像装置における、(1)式と(2)式の値を示す。
(2)式の値は1.01であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、120.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(8)式の値が0.97であり、(8)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、倍率色収差を良好に補正している。
さらに、本実施例の撮像装置では撮像光学系と撮像面との距離を変更することにより、ピント調整を行う。(8)式を満足しているため、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
実施例5として、上記各実施例と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図25に示すように、4枚のレンズG1、G2、G3、G4と開口絞りSTOで構成している。
物体側から順に、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、
物体側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズG2、
像側に凸面を向けた平凸レンズである第3レンズG3、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第4レンズG4、が配置されている。
また、実施例1と同様に光伝送手段OTMと平面の電子撮像素子ICDから構成した撮像ユニットICUを用いている。
本実施例では、撮像光学系のうち最も像側のレンズ面のみを非球面としている。
図26(a)に示したように、本実施例の最も像側のレンズ面(面番号5)は光軸から周辺部へ向かうにつれてサグ量が負の方向に大きくなるレンズ面であり、像側に凸面を向けたレンズ面である。このレンズ面は曲率半径R=−3.0745(mm)の球面を基準球面としている。
また、図26(b)に示したように、非球面量は正の方向に変位させており、基準球面から像側、つまり撮像光学系の外側へ変位させた非球面で構成している。そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
図27(a)には、非球面の2階微分値を実線で、基準球面の2階微分値を破線で示しており、非球面の2階微分値、ならびに基準球面の2階微分値は共に負の値を有している。
図27(b)には、非球面成分の2階微分値を示している。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に正の方向に大きくしている。
このように、基準球面の2階部分値が負で、非球面成分の2階微分値が正となる非球面を付与することにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
すなわち、基準球面の正のパワーとし、非球面成分を負のパワーとしてレンズ面の光軸から周辺部へ向かうに連れてレンズ面のパワーを徐々に弱めている。
これにより、画角光束における球面収差を良好に補正することができるので、広画角に渡って良好な結像性能を有する撮像装置を提供することができる。
特に、撮像光学系のうち最も物体側のレンズ面において、最大画角の画角光束の周辺光線(上光線)が光軸よりも下側を通過するような広画角な撮像光学系においては、本発明の効果が十分に発揮される。
表20に、本実施例の撮像装置における、(1)式と(2)式の値を示す。
(2)式の値は1.03であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、120.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(8)式の値が0.97であり、(8)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。
図28に本実施例の撮像光学系における縦収差図を、図29に横収差図を示す。
さらに、本実施例の撮像装置では撮像光学系と撮像面との距離を変更することにより、ピント調整を行う。
(8)式を満足しているため、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
実施例6として、上記各実施例と異なる形態の撮像装置の構成例について説明する。
本実施例の撮像装置に用いる撮像光学系は、図30に示すように、4枚のレンズG1、G2、G3、G4と開口絞りSTOで構成している。
物体側から順に、
物体側に凸面を向けたメニスカスレンズである第1レンズG1、
物体側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズG2、
像側に凸面を向けた平凸レンズである第3レンズG3、
像側に凸面を向けたメニスカスレンズである第4レンズG4、が配置されている。
また、実施例1と同様に光伝送手段OTMと平面の電子撮像素子ICDから構成した撮像ユニットICUを用いている。
本実施例では、撮像光学系のうち最も物体側のレンズ面のみを非球面としている。
図31(a)に示したように、本実施例の最も物体側のレンズ面(面番号1)は光軸から周辺部へ向かうにつれてサグ量が正の方向に大きくなるレンズ面であり、物体側に凸面を向けたレンズ面である。このレンズ面は曲率半径R=3.1360(mm)の球面を基準球面としている。
図31(b)に示したように、非球面量は負の方向に変位させており、基準球面から物体側、つまり撮像光学系の外側へ変位させた非球面で構成している。
そして、光軸から離れるに従って撮像光学系の外側へ変位させた非球面量を徐々に大きくし、レンズ面の周辺部で最大の非球面量を与えている。
非球面成分の2階微分値は光軸から離れるに従って徐々に負の方向に大きくしている。
このように、基準球面の2階部分値が正で、非球面成分の2階微分値が負となる非球面を付与することにより、レンズ面の周辺部における2階微分値を、基準球面よりも弱めている。
すなわち、基準球面の正のパワーとし、非球面成分を負のパワーとしてレンズ面の光軸から周辺部へ向かうに連れてレンズ面のパワーを徐々に弱めている。
これにより、軸上光束における球面収差を良好に補正することができるので、良好な結像性能を有する撮像装置を提供することができる。
表24に、本実施例の撮像装置における、(1)式と(2)式の値を示す。
(2)式の値は1.04であり、(2)式の範囲を満足している。これにより、120.0(deg)の広画角に渡って像面湾曲と非点収差を良好に補正することができる。
(8)式の値が1.13であり、(8)式の範囲を満足している。
これにより、撮像光学系を点対称に近い構成としコマ収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を良好に補正している。
図33に本実施例の撮像光学系における縦収差図を、図34に横収差図を示す。
さらに、本実施例の撮像装置では撮像光学系と撮像面との距離を変更することにより、ピント調整を行う。(8)式を満足しているため、無限遠から至近距離までの広範囲のピント調整範囲において高解像度を維持したまま、ピント調整を可能としている。
以上で説明した各実施例を含む本発明の構成は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話用カメラ、監視カメラなど、撮像装置を用いる製品に利用することが可能である。
STO:開口絞り
Asph:非球面
IMG:撮像面
OTM:光伝送手段
ICD:電子撮像素子
ICU:撮像ユニット
Claims (7)
- 複数のレンズを有する撮像光学系と、該撮像光学系の像面近傍に、物体側に凹面を向けて湾曲した撮像面を有する撮像装置であって、
前記撮像光学系は、開口絞りを有し、
前記撮像光学系における最も物体側のレンズ面または最も像側のレンズ面の少なくとも1面を、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位する非球面量を付与した非球面とし、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離が略等しく設定されていると共に、
前記撮像面の曲率半径が前記撮像光学系の焦点距離と略等しく設定されていることを特徴とする撮像装置。 - 前記撮像光学系の焦点距離をf_sys、前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離をd_pup、前記撮像面の曲率半径をR_img、としたとき、
前記撮像光学系の焦点距離と前記撮像光学系の射出瞳から前記撮像面までの距離を略等しく設定するため、次の(1)式を満足させ、
前記撮像面の曲率半径を前記撮像光学系の焦点距離と略等しく設定するため、次の(2)式を満足させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
0.8≦f_sys/d_pup≦1.5 …(1)
0.8≦|R_img|/f_sys≦1.5…(2)
- 前記撮像面の曲率半径R_imgと、前記撮像光学系の射出瞳から撮像面までの距離d_pupの関係が、次の式を満足させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
0.8≦|R_img|/d_pup ≦1.5 - 前記非球面は、光軸から離れるに従い徐々に変位量が大きくなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記非球面の基準球面を正のパワーとし、非球面成分を負のパワーとすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記非球面成分の負のパワーは、光軸から離れるに従い徐々に大きくなることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
- 前記撮像光学系の最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面の両面が、該レンズ面の周辺部において基準球面から撮像光学系の外側へ変位する非球面量を付与した非球面であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
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