以下、本発明の実施形態を図1〜図12を用いて説明する。まず、図1〜図10ほ用いて、第1の実施形態を説明する。以下では、現像装置1を含む電子写真方式のタンデム型のプリンター100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、第1の実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略)
まず、図1、図2を用い、第1の実施形態に係るプリンター100の概略を説明する。図1はプリンター100の構成を示す断面図である。図2は、画像形成ユニット40の断面図である。
図1に示すように、プリンター100は本体内に給紙部2、搬送部3、画像形成部4、中間転写部5、定着部6等を含む。
給紙部2は普通紙(OA用紙)、OHPシート、ラベル用紙等の各種用紙を収容する。給紙部2には、モーター等の駆動機構(不図示)により回転し、1枚ずつ用紙を搬送部3に送り出す給紙ローラー21が設けられる。そして、搬送部3は給紙部2から供給された用紙を、中間転写部5、定着部6を経て排出トレイ31まで導く。搬送部3には、搬送ローラー対32、ガイド33、搬送されてくるシートを中間転写部5の手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラー対34や排出ローラー対35等が設けられる。
形成すべき画像の画像データに基づき、画像形成部4はトナー像を形成する。そして、画像形成部4は4色分の画像形成ユニット40Bk〜40Mと露光装置41を含む。具体的に、画像形成部4はブラックの画像を形成する画像形成ユニット40Bkと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット40Yと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット40Cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット40M、を含む。
ここで、図2に基づき、各画像形成ユニット40Bk〜40Mを詳述する。尚、各画像形成ユニット40Bk〜40Mは形成するトナー像の色が異なるが、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、以下では画像形成ユニット40Bkを例に挙げて説明するが、以下の説明では、色を示すBk、Y、C、Mの符号は特に説明する場合を除き省略する。又、共通する部材には、画像形成ユニット40で共通の符号を付して説明する。
画像形成ユニット40は感光体ドラム42を含む。感光体ドラム42は回転可能に支持される。感光体ドラム42はモーター74(図3参照)の駆動力を受け、所定の周速度で回転駆動される。例えば、感光体ドラム42はアルミニウム等の金属を基体とし、OPC(アモルファスシリコン等でもよい)による感光層を外周面に有する。そして、感光体ドラム42は帯電、露光、現像のプロセスを経て周面にトナー像を担持する(像担持体)。尚、感光体ドラム42は正帯電型である(トナーも正帯電するものを用いる)。
画像形成ユニット40の帯電装置43は帯電ローラー43aを有する。帯電ローラー43aは対応する感光体ドラム42に接し、感光体ドラム42に合わせて回転する。又、帯電ローラー43aには、感光体ドラム42を帯電させるための電圧が印加される。そして、帯電装置43は感光体ドラム42の表面を一定の電位で帯電させる。尚、帯電装置43は、コロナ放電式や、ブラシ等を用いて感光体ドラム42を帯電させるものでも良い。
画像形成ユニット40の下方の露光装置41は各感光体ドラム42に向けてレーザー光を出力する。例えば、露光装置41は内部に、複数の半導体レーザー装置(レーザーダイオード)、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、fθレンズ、ミラー(不図示)等を含む。露光装置41はこれらの光学系の部材を用いて、画像データをカラー色分解した画像信号に基づいた光信号(レーザー光)(破線で図示)を、帯電後の感光体ドラム42に照射する。このように、露光装置41は走査露光を行い、それぞれの感光体ドラム42の周面に画像データに併せた静電潜像を形成する。具体的に、第1の実施形態の感光体ドラム42は正帯電し、光の照射部分は電位が下がる。感光体ドラム42の電位の低下部分に正帯電トナーが付着する。尚、アレイ状のLEDを用いたもの等、レーザー方式以外の露光装置41を用いてもよい。
画像形成ユニット40の現像装置1はトナーと磁性体のキャリアを含む現像剤(いわゆる2成分現像剤)を収納する(画像形成ユニット40Bkのものはブラック、画像形成ユニット40Yのものはイエロー、画像形成ユニット40Cのものはシアン、画像形成ユニット40Mのものはマゼンタの現像剤を収納)。尚、現像装置1はトナーを収容するコンテナー(不図示)と接続され、トナーの消費に伴い、逐次、トナーの補給が現像装置1に対してなされる。
現像装置1は現像ローラー11と、磁気ローラー12と、搬送部材13を含む。そして、現像ローラー11は対応する感光体ドラム42と対向し、互いの軸線が平行とされる。又、現像ローラー11と対応する感光体ドラム42との間に、ギャップ(隙間)が設けられる。ギャップは所定の幅とされる(例えば、1mm以下)。
印刷の際、現像ローラー11の周面にはトナーの薄層が形成され、現像ローラー11は帯電するトナーを担持する。感光体ドラム42に向けてトナーを飛翔させて静電潜像を現像するため、電圧が現像ローラー11に印加される(図4等参照、詳細は後述)。
現像装置1の磁気ローラー12は対応する現像ローラー11と対向し、互いの軸線が平行とされる。現像ローラー11へのトナーの供給やトナーの回収、剥離のため、磁気ローラー12には、電圧が印加される(図4等参照、詳細は後述)。
第1の実施形態の現像装置1には、搬送部材13が2本設けられる。搬送部材13は磁気ローラー12の下方に設けられる。例えば、搬送部材13は螺旋状の羽根を有し、トナーとキャリアを含む現像剤を攪拌しつつ搬送する。この搬送に伴うキャリアとの摩擦によりトナーが帯電する。2本の搬送部材13は回転方向がそれぞれ異なる。
現像ローラー11のローラー軸11aと磁気ローラー12のローラー軸12aは、支軸部材(不図示)等で固定して支持される。そして、現像ローラー11のローラー軸11aには、軸線方向にのび、断面略矩形の磁石11bが取り付けられる。又、磁気ローラー12のローラー軸12aにも軸線方向にのび、断面略扇形の磁石12bが取り付けられる。又、現像ローラー11と磁気ローラー12は、それぞれ、磁石11b、磁石12bとは非接触に配置され、磁石11b、磁石12bを覆う円筒状のスリーブ11c、12cを有する。スリーブ11c、12cは不図示の駆動機構により回転される。
そして、現像ローラー11の磁石11bと磁気ローラー12の磁石12bとは、現像ローラー11と磁気ローラー12の対向位置で異極が向かい合う。これにより、現像ローラー11と、磁気ローラー12間に、磁性体のキャリアによる磁気ブラシが形成される。磁気ブラシを担持した磁気ローラー12のスリーブ12cの回転や磁気ローラー12への電圧印加等で、トナーが現像ローラー11に供給され、現像ローラー11のスリーブ11c上にトナーの薄層が形成される。又、磁気ブラシは感光体ドラム42の表面の静電潜像を現像した後に現像ローラー11表面に残るトナーを引き剥がして回収する。
画像形成ユニット40の清掃装置44は感光体ドラム42の清掃を行う。清掃装置44は感光体ドラム42の軸線方向に延びるブレード45(例えば樹脂製)や、感光体ドラム42表面を擦って残トナー等を除去する摺擦ローラー46を有する。ブレード45や摺擦ローラー46は感光体ドラム42に当接し、感光体ドラム42上の残留トナー等の汚れを掻き取って除去する。又、清掃装置44の上方に感光体ドラム42に対し光を照射して除電を行う除電装置47(例えば、アレイ状のLED)が設けられる。
図1に戻り説明を続ける。中間転写部5は感光体ドラム42からトナー像の1次転写を受けて、シートに2次転写を行う。中間転写部5は複数の1次転写ローラー51Bk〜51M、中間転写ベルト52、駆動ローラー53、従動ローラー54、55、56、2次転写ローラー57、ベルト清掃装置58等を含む。
中間転写ベルト52は誘電体樹脂等で構成され、1次転写ローラー51Bk〜51M、駆動ローラー53、従動ローラー54〜56に張架される。そして、モーター等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラー53の回転駆動により、中間転写ベルト52は図1の紙面時計方向に周回する。各1次転写ローラー51Bk〜51Mと対応する感光体ドラム42は無端状の中間転写ベルト52を挟み込む。各1次転写ローラー51Bk〜51Mには、1次転写を行うための電圧が印加される。画像形成ユニット40で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)はずれなく順次重畳されつつ中間転写ベルト52に1次転写される。
又、駆動ローラー53と2次転写ローラー57は中間転写ベルト52を挟み、2次転写ニップを形成する。2次転写ローラー57には所定の電圧が印加される。そして、各色重ね合わされた中間転写ベルト52上のトナー像はシートに2次転写される。尚、2次転写後の中間転写ベルト52上の残トナー等はベルト清掃装置58で除去されて回収される。
定着部6は2次転写ローラー57よりも用紙搬送方向下流側に配される。定着部6は発熱源を内蔵する定着ローラー61と、これに圧接される加圧ローラー62とを含む。定着部6は定着ローラー61と加圧ローラー62のニップに、トナー像が転写されたシートを通過させる。定着ニップを通過するとトナー像は加熱・加圧され、その結果、トナー像がシートに定着する。定着後のシートは排出トレイ31に排出され、1枚の用紙の印刷が完了する。
(プリンター100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき第1の実施形態に係るプリンター100のハードウェア構成を説明する。図3はプリンター100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、プリンター100は制御部7を有する。制御部7は装置の各部を制御する。例えば、制御部7はCPU71、画像処理部72等の処理を行うための回路、素子を含む。又、プリンター100には、記憶部73が設けられる。例えば、記憶部73はROM、RAM、フラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせである。尚、印刷を行う部分を制御するエンジン制御部や、全体制御や画像処理を行うメイン制御部等、機能、役割に応じて制御を行う部分(基板)を複数種、分割して設けてもよいが、第1の実施形態の説明では、制御部7が印刷の制御を行う例を説明する。
CPU71は記憶部73に格納され、展開される制御プログラムや制御用データに基づきプリンター100の各部の制御や演算を行う演算処理装置である。例えば、記憶部73はプリンター100の制御プログラムや制御データ等、各種データを記憶する。更に、記憶部73は現像ローラー11や磁気ローラー12への電圧印加でのデューティ比や直流バイアス電圧の設定値等、現像ローラー11や磁気ローラー12に対する電圧印加設定に関するプログラムやデータも記憶できる。
そして、制御部7は、給紙部2、搬送部3、画像形成部4、中間転写部5、定着部6等と接続され、記憶部73の制御プログラムやデータに基づき適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。又、制御部7はプリンター100内に1又は複数個設けられるモーター74を制御する。制御部7はモーター74を回転させて感光体ドラム42、現像ローラー11、磁気ローラー12等の各種回転体を回転させる。このモーター74の駆動を利用して、感光体ドラム42、現像ローラー11と磁気ローラー12の各スリーブ11c、12cは回転する。
又、制御部7には、I/F部75(インターフェイス部)を介し、コンピューター200(パーソナルコンピュータ等)が接続される。コンピューター200はプリンター100に印刷を行わせる内容を含む印刷用データの送信元である。例えば、印刷用データには、印刷の設定データや画像データなどが含まれる。制御部7は受信した印刷用データに基づき画像処理部72に画像処理を行わせて、露光装置41用の画像データを生成する。露光装置41は、その画像データを受信し、感光体ドラム42に静電潜像を形成する。
(現像装置1での電圧印加)
次に、図4を用いて、第1の実施形態の現像装置1での電圧印加の態様の一例を説明する。図4は現像装置1の一例を示すブロック図である。
上述のように、現像装置1には現像ローラー11と磁気ローラー12が設けられる。トナーによる静電潜像の現像や、磁気ローラー12から現像ローラー11へのトナーの供給や、現像ローラー11からのトナーの剥離のため現像ローラー11と磁気ローラー12には電圧が印加される。言い換えると、トナーを適切に移動させるため、現像ローラー11と磁気ローラー12には電圧が印加される。
現像装置1には現像ローラー11と磁気ローラー12に電圧を印加するために高圧電源部8が含まれる。高圧電源部8は電圧の昇圧等を行い、現像ローラー11や磁気ローラー12に電圧を印加(出力)する。
例えば、高圧電源部8は制御信号生成部9、コンデンサー81、トランス82、現像ローラーバイアス部83、磁気ローラーバイアス部84を含む。現像開始と終了のタイミングは現像装置1ごとに異なるので、1つの現像装置1に対し(現像ローラー11と磁気ローラー12の1つの組み合わせに対し)、1つの高圧電源部8が設けられる。
例えば、コンデンサー81には電解コンデンサー81が用いられる。コンデンサー81の電極の一方は制御信号生成部9に接続される。又、コンデンサー81の他方の電極はトランス82の一次コイル821に接続される。これにより、コンデンサー81とトランス82は直列回路85として接続される(図4にコンデンサー81とトランス82の直列回路85を三点鎖線で図示)。コンデンサー81は制御信号生成部9が出力する制御クロック信号S1(電圧)から直流成分を除去した信号をトランス82の一次コイル821に入力する。
そして、プリンター100の内部に電源装置76が設けられる。電源装置76には商用電源等の外部の電力源が接続される。電源装置76は整流、平滑等を行って直流電圧を出力する。
例えば、制御信号生成部9は制御部7からの指示に応じ、現像ローラー11に印加する交流電圧のデューティ比等を制御する制御クロック信号S1(制御信号に相当)を出力する。制御信号生成部9はプリンター100のモードや現像の実行、不実行に応じ、制御部7の指示に基づき、制御クロック信号S1のデューティ比を変化させる。制御信号生成部9はデューティ比にあわせて信号値等を調整した制御クロック信号S1をコンデンサー81に入力する(制御クロック信号S1の周波数は数kHz程度である。例えば、3〜5kHz程度。詳細は後述)。そして、制御信号生成部9が出力した制御クロック信号S1と同様のデューティ比の交流電圧が現像ローラー11に印加される。
コンデンサー81は制御信号生成部9と接続される。又、コンデンサー81はトランス82の一次側(一次コイル821)に接続される。コンデンサー81は制御クロック信号S1から直流成分を除去した信号(電圧)をトランス82の一次コイル821に入力する。言い換えると、コンデンサー81はトランス82に直流成分を有さない交流波形を入力する。
トランス82は一次側に入力された電圧を昇圧した電圧を出力する。そして、二次側(二次コイル822)は少なくとも2系統の出力を有し、系統のうち1つは現像ローラー11、もう一つが磁気ローラー12に接続される。尚、昇圧比は各出力で異なっていてもよい。又、現像ローラー11側の出力には、現像ローラー11に印加する交流電圧をバイアスする現像ローラーバイアス部83が設けられる。同様に、又、磁気ローラー12側の出力にも、磁気ローラー12に印加する交流電圧をバイアスする磁気ローラーバイアス部84が設けられる。現像ローラーバイアス部83により直流電圧でバイアスされた交流電圧が現像ローラー11に印加される。又、磁気ローラーバイアス部84により、直流電圧でバイアスされた交流電圧が磁気ローラー12に印加される。
例えば、現像ローラーバイアス部83や磁気ローラーバイアス部84は電源装置76の出力電圧を受けて昇圧を行うコンバーターである。そして、現像ローラーバイアス部83と磁気ローラーバイアス部84は出力を変化させることができる回路である。言い換えると、現像ローラーバイアス部83と磁気ローラーバイアス部84は、バイアスする電圧の大きさを変えられる。
(現像装置1での電圧印加のモード)
次に、図5を用いて、第1の実施形態の現像装置1での電圧印加のモードを説明する。図5は電圧印加のモードの遷移の一例を示す説明図である。
モードとして、第1の実施形態の現像装置1は、トナーにより静電潜像の現像を行う現像実行モードと、静電潜像の現像を行わない現像不実行モードを有する。又、現像不実行モードは第1モード、第2モードを含む。現像装置1の高圧電源部8は、各モードにより、現像ローラー11や磁気ローラー12に印加する直流電圧の大きさや、制御クロック信号S1のデューティ比(コンデンサー81に入力する電圧のデューティ比)を変化させる。尚、印刷を行わないのであれば現像ローラー11や磁気ローラー12に電圧を印加する必要は無いので、現像装置1の状態(モード)としては、上記の3つのモード(現像実行モード、第1モード、第2モード)の他に、現像ローラー11や磁気ローラー12に電圧を印加しない印加無しの状態もある。
現像実行モードはトナーを飛翔させ、感光体ドラム42上に形成された静電潜像の現像を行うときのモードである。第1モード(現像未実行モードの一種)は現像実行モードに移行する前のモードであり、現像ローラー11にトナーを供給し現像ローラー11表面(スリーブ11c)のトナーの薄層を整えるモードである。第2モード(現像未実行モードの一種)は現像ローラー11の表面からトナーを剥離、回収するモードであり、現像ローラー11の表面のトナーを入れ替え、現像ローラー11へのトナーの固着を防ぐモードである。
まず、現像実行モードでは、予め定められたピーク間電圧の交流電圧が現像ローラー11に印加される。又、現像実行モードでは、現像ローラー11にトナーを補給するため、現像ローラーバイアス部83と磁気ローラーバイアス部84は現像ローラーバイアス部83の出力値が磁気ローラーバイアス部84の出力値よりも小さくなるように、直流電圧を出力する。言い換えると、「磁気ローラーバイアス部84の出力電圧>現像ローラーバイアス部83の出力電圧」として、正帯電しているトナーを磁気ローラー12から現像ローラー11方向に移動しやすくする。
次に、第1モードは印刷前に現像ローラー11の周面にトナーの薄層を形成するモードである。そのため、磁気ローラー12から現像ローラー11に帯電したトナーが移動するようにバイアスを印加する必要がある。そのため、現像実行モードと同様に、現像ローラーバイアス部83と磁気ローラーバイアス部84は現像ローラーバイアス部83の出力信号値が磁気ローラーバイアス部84の出力信号値よりも小さくなるように、直流電圧を出力する。又、第1モードでは、予め定められたピーク間電圧の交流電圧を現像ローラー11に印加してもよい。
又、第2モードは現像ローラー11の周面からトナーを剥離し、磁気ローラー12側にトナーを回収してしまうモードである。そのため、現像ローラー11から磁気ローラー12に向けてトナーが移動しやすくなるようにバイアスを印加する必要がある。そのため、第2モードでは、現像ローラーバイアス部83と磁気ローラーバイアス部84は現像ローラーバイアス部83の出力値が磁気ローラーバイアス部84の出力値よりも大きくなるように、直流電圧を出力する。これにより、正帯電しているトナーは現像ローラー11から磁気ローラー12方向に向けて移動する。又、第2モードでも、予め定められたピーク間電圧の交流電圧を現像ローラー11に印加してもよい。
尚、第1モードや第2モードになってから現像ローラー11が、例えば、1周以上する時間が経過した後に他のモードに移行する。言い換えると、例えば、少なくとも現像ローラー11の1周に要する時間、第1モードや第2モードは継続する。
例えば、制御部7はプリンター100の状態に応じて現像ローラーバイアス部83や磁気ローラーバイアス部84にモードを指示する信号を入力する(図4参照)。現像ローラーバイアス部83と磁気ローラーバイアス部84は指示されたモードに応じて出力値の大きさを切り替える。
そして、図5では3種類のモード間の遷移例を示している。まず、図5のうち最上段には、1枚のみ印刷するときの状態遷移を示している。1枚のみ印刷するとき、制御部7は高圧電源部8を制御して、現像開始前の印加無しの状態から、現像装置1を第1モードとし、トナーの薄層を現像ローラー11の表面(スリーブ11c)に形成させる。その後、制御部7は高圧電源部8を制御して、現像装置1を現像実行モードとし、磁気ローラー12から現像ローラー11へのトナー補給を継続させる。そして、現像完了(印刷完了)に伴い、制御部7は高圧電源部8を制御して、現像装置1を第2モードとし、現像ローラー11からトナーを回収させる。その後、現像装置1は印加無しの状態となる。
次に、図5のうち中段には、25枚未満の範囲で、複数ページに連続して印刷を行うときの状態遷移を示している。現像開始までは1枚のみ印刷するときと同様である。そして、1ページ目に対応するトナー像の現像開始後、制御部7は高圧電源部8を制御し、紙間では現像装置1を第1モードとする。そのため、第1モードと現像実行モードが繰り返される。そして、ジョブでの現像(印刷)が完了すると、制御部7は高圧電源部8を制御して、現像装置1を第2モードとする。その後、現像装置1は印加無しの状態となる。
更に、図5のうち最下段には、25枚以上複数ページに連続して印刷を行うときの状態遷移を示している。現像開始までは1枚のみ印刷するときと同様である。そして、1ページ目に対応するトナー像の現像開始後、原則、制御部7は高圧電源部8を制御して、紙間では現像装置1を第1モードとする。そのため、第1モードと現像実行モードが繰り返される。そして、25枚印刷を実行すると、制御部7は高圧電源部8を制御して、現像装置1を第2モードとし、現像ローラー11の表面(スリーブ11cの周面)のトナーをリフレッシュする。尚、本説明では、25枚を基準として、25枚印刷するごとに第2モードが行われる(リフレッシュを行う)例を説明するが、25枚に限られず、26枚以上でもよいし24枚以下の任意のタイミングでリフレッシュがなされてもよい。第2モードの後、再び、制御部7は高圧電源部8を制御して、現像装置1を第1モードとした後、現像が再開される。現像(印刷)完了したとき、制御部7は高圧電源部8を制御し、現像装置1を第2モードとし、その後、現像装置1は印加無しの状態となる。
(各モードでのデューティ比)
次に、図6を用いて、第1の実施形態の現像装置1での電圧印加のモードとデューティ比の変化を説明する。図6は現像ローラー11に印加する電圧のデューティ比の差による影響を説明するための説明図である。
第1の実施形態のプリンター100では、制御クロック信号S1のデューティ比を変えてコンデンサー81に入力する電圧のデューティ比を変化させる。これにより、現像ローラー11に印加する交流電圧のデューティ比を変えることができる。具体的には、制御信号生成部9は現像装置1のモードによって制御クロック信号S1のデューティ比を変化させる。そして、制御信号生成部9は、現像実行モードでは第1モード、第2モードよりも制御クロック信号S1(現像ローラー11への印加電圧)のデューティ比を大きくする。
まず、図6を用いてデューティ比によってトナーの飛翔が異なる点を説明する。図6は現像ローラー11に印加する電圧波形の一例を示している。図6の上側のタイミングチャートに示す現像ローラー11に印加する電圧のデューティ比(40%程度)は、下側のタイミングチャートに示す現像ローラー11に印加する電圧のデューティ比(30%程度)よりも大きい。
まず、図6の各タイミングチャートでの実線は、現像ローラー11に印加される電圧変動を示す波形である。従って、各タイミングチャートでの縦軸は電圧の振幅を示す。この波形でのピーク間電圧は、例えば、1kV〜2kVの範囲で設定される。そして、図6のV0(破線で示すライン)は、0V(グランド)である。
コンデンサー81は直流成分を除去する。そのため、現像ローラー11に印加される電圧変動を示す波形のピーク間電圧のうち、V0は1周期でのHighである時間と振幅の積とLowである時間と振幅の積が等しくなる位置を示す(面積中心値V0、1周期での積分平均値、直流成分)。例えば、矩形波でデューティ比が40%であり、ピーク間電圧が1kVであれば、V0のラインからプラス側のピークまでの電位差は600VとなりV0のラインからマイナス側のピークまでの電位差は400Vとなる。
又、図6の各タイミングチャートでのVLのライン(二点鎖線で示すライン)は、露光後の感光体ドラム42の電位(例えば、100〜200V程度)を示す。又、図6の各タイミングチャートでのVdのライン(一点鎖線で示すライン)は、帯電時の感光体ドラム42の電位を示す(例えば、400〜600V程度)。さらに、図6の各タイミングチャートでのVmaxのライン(間隔が広い破線のうち上方のライン)は、現像ローラーバイアス部83によりバイアスしたときの現像ローラー11に印加される電圧のプラス側のピーク値を示す。図6の各タイミングチャートでのVminのライン(間隔が広い破線のうち下方のライン)は、現像ローラーバイアス部83によりバイアスしたときの現像ローラー11に印加される電圧のマイナス側のピーク値を示す。
現像のとき、現像ローラー11から感光体ドラム42で露光された部分に正帯電されたトナーが飛翔するので、露光後の感光体ドラム42の電位(VL)とVmaxの電位差が大きいほどトナーに働く静電力は大きくなり、トナーが動く速度が速くなる。
ここで、図6示すように、面積中心(1周期での積分平均値)の考え方から、現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比が大きいときの露光後の感光体ドラム42の電位(VL)とVmaxの電位差(図6に白抜矢印A1で示す)よりも、現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比が小さいときの露光後の感光体ドラム42の電位(VL)とVmaxの電位差(図6に実線矢印A2で示す)の方が大きくなる。従って、デューティ比が小さいほど急峻にトナーを飛翔させて素早く露光されたドットにトナーを載せることができる。このため、デューティ比が小さいほど、1ドットの再現性は高くなると言われる。
しかし、現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比が小さいほど、経験上、現像されたトナー像にムラが現れやすくなることが知られている。例えば、同濃度のベタ画像を印刷したとき、現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比が小さいほど、印刷結果に濃淡のムラが表れやすい(「現像駆動ムラ」と呼ばれることもある)。現像駆動ムラの発生メカニズムは完全に解明されているわけではないが、現像ローラー11や感光体ドラム42には製造上の誤差や取付誤差があり、感光体ドラム42と現像ローラー11間のギャップは軸線方向のどの場所でも同じではなく、更に、感光体ドラム42と現像ローラー11のスリーブ11cの回転に伴い、ギャップが常時変動する。そして、1ドットの再現性が高くなるほど、ギャップのフレ(変動)がムラとなって現れると考えられている。
一方、現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比を大きくすれば、経験上、リーク(放電)が発生しやすくなることも知られている。感光体ドラム42と現像ローラー11のギャップは微少(1mm以下)であり、感光体ドラム42と現像ローラー11の電位差が大きくなるほど、リークは生じやすくなる。
ここで、第1の実施形態の現像装置1では、感光体ドラム42の感光層の特性などを要因として、現像ローラー11に印加される電圧が小さくなったときにリークが発生しやすい。言い換えると、現像ローラー11に印加されるマイナス側のピーク電圧がより小さいほど(よりマイナスであるほど)、リークが発生しやすくなる。尚、トナーの帯電特性や感光体ドラム42の特性などにより、現像ローラー11に印加される電圧が大きいほどリークが発生しやすくなることもあり得る。
そして、図6に示すように、面積中心の考え方から、現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比が大きいときの帯電後の感光体ドラム42の電位(Vd)と現像ローラー11に印加される電圧がマイナス側のピーク時の電位(Vmin)との差(図6に白抜矢印A3で示す)は、デューティ比が小さいときの帯電後の感光体ドラム42の電位(Vd)と現像ローラー11に印加される電圧がマイナス側のピーク時の電位(Vmin)との差(図6に実線矢印A4で示す)よりも大きい。言い換えると、現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比が大きいほど、第1の実施形態の現像装置1ではリークが生じやすい。
リークが生ずれば、感光体ドラム42の電位が低下してトナーが付着してしまうことがある。現像実行時以外に感光体ドラム42にトナーが付着すると、中間転写ベルト52や2次転写ローラー57をトナーで汚してしまうことがある。これにより用紙にトナーが付着して用紙が汚れることがある。又、リーク時の電流が大きければ、感光体ドラム42に微少な穴が開くことがあり、以後に形成されるトナー像の画質を低下させてしまうこともある。
そこで、第1の実施形態のプリンター100では、高圧電源部8(制御信号生成部9)は現像実行モードのとき、トナー像のムラを抑え画質を向上させるため、第1モードや第2モードの時よりも現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比を大きくする(制御クロック信号S1のデューティ比を大きくする)。一方、高圧電源部8(制御信号生成部9)はリークの発生を防ぐため第1モード、第2モードでは現像実行モードよりも現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比を小さくする(制御クロック信号S1のデューティ比を小さくする)。このように、現像実行モード、第1モード、第2モードでのデューティ比が予め定められる。
例えば、制御部7は印刷過程や、プリンター100の状態や、印刷枚数等に応じ、制御信号生成部9に現像装置1のモードを指示する(現像実行モードか、第1モードか、第2モードかを指示する)。例えば、制御部7は露光装置41での露光開始に伴い、制御信号生成部9に現像実行モードへの移行を指示する。又、制御部7は露光装置41での露光終了に伴い、制御信号生成部9に第1モードや第2モードへの移行を指示する。制御信号生成部9は制御部7のモード指示に応じ、デューティ比を変化させる。あるいは、制御部7はデューティ比の値を示す信号を制御信号生成部9に与え、制御信号生成部9は信号に応じてデューティ比を変化させても良い。
(制御信号生成部9が生成するデューティ比ごとの制御クロック信号S1)
次に、図7〜図9を用いて、第1の実施形態の制御信号生成部9によるデューティ比に応じた制御クロック信号S1の生成の一例を説明する。図7は従来のデューティ比の変化を説明するためのタイミングチャートである。図8は第1の実施形態の制御信号生成部9が生成する制御クロック信号S1の波形の一例を示すタイミングチャートである。図9は制御信号生成部9の構成の一例を示すブロック図である。
第1の実施形態に示すプリンター100では、モードに応じてデューティ比を変化させる。例えば、第1の実施形態のプリンター100では、制御信号生成部9は現像実行モードのとき、制御クロック信号S1のデューティ比や現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比を40%程度(例えば、40±5%程度)とし、紙間や現像実行前や現像完了後の第1モードや第2モードのとき制御クロック信号S1や現像ローラー11に印加される電圧のデューティ比を30%程度(例えば、30±5%程度)とし、現像実行モードと現像不実行モードでデューティ比に差を持たせる。尚、各モードでのデューティ比は上記の例に限られない。又、第1の実施形態の説明では、第1モードと第2モードのデューティ比は同じであるが、差を設けても良い。
次に、図7を用いて、一般的な、従来のクロック信号のデューティ比の変化について説明する。
図7では、左側にデューティ比が30%程度のクロック信号の波形の一例を示し、右側にはデューティ比が40%程度のクロック信号の波形の一例を示している。又、図7のタイミングチャートに示すクロック信号のLow状態は0V(グランドレベル)である。又、図7のタイミングチャートでは、クロック信号のHigh状態を3Vとして例示している。
クロック信号の1周期において、High状態のときの信号値と面積中心値V0の差分の絶対値とHigh状態である時間の積が、Low状態のときの信号値と面積中心値V0の差分の絶対値とLow状態の時間の積が等しくなるように、面積中心値V0が定まる。面積中心値V0以上であればHigh状態となり、面積中心値V0以下であればLow状態となる。例えば、デューティ比が30%程度であれば、振幅が0V〜3Vのとき、面積中心値V0は0.9V程度であり、デューティ比が40%程度であれば面積中心値V0は1.2V程度である(尚、デューティ比50%ならば面積中心値V0は1.5V)。そして、図7で各デューティ比のクロック信号での面積中心値V0(積分平均値)のレベルを破線で示している。
例えば、コンデンサー81にクロック信号を通過させると、コンデンサー81によりクロック信号から直流成分が除去され、クロック信号の1周期での面積中心値V0(積分中心値)がゼロボルト(グランドレベル)となる。言い換えると、面積中心値V0とクロック信号の1周期の時間の積がクロック信号の直流成分となる。
ここで、クロック信号の振幅が同じであれば、クロック信号のデューティ比が大きいほどクロック信号に含まれる直流成分は大きくなる。そのため、図7に示すように、クロック信号のデューティ比が大きいほど面積中心値V0は大きくなる。従って、デューティ比を変化させると、クロック信号が入力されるコンデンサー81が蓄えるエネルギー(電荷)は変化し、コンデンサー81で充放電がなされる。
一方、コンデンサー81やトランス82に印加する電圧(制御クロック信号S1)のデューティ比を変えることは、トランス82(の1次側)に均衡がとれていない電圧(エネルギーに片寄りがある電圧)を新たに印加することになる。そうすると、トランス82で偏磁や磁気飽和が生ずる。偏磁が生じ磁束が偏ると、トランス82が直流でバイアスされたような状態になる。更に偏磁が強まり、トランス82で磁気飽和が生ずると、トランス82のインダクタンスが極めて小さくなる。そのため、磁気飽和が生ずると、現像装置1の回路に大きな電流が流れ、現像装置1内の回路の破損が生ずるおそれが大きくなる。そのため、トランス82で磁気飽和が生じないようにすべきである。
そして、本発明の発明者はデューティ比の変化に伴い、コンデンサー81の電位の変化を抑えれば、トランス82での磁気飽和が抑えられ、現像装置1内の回路で大きな電流が流れにくくなることを確認した。言い換えると、デューティ比の変化に伴うコンデンサー81の充放電を抑えれば、制御信号生成部9やコンデンサー81やトランス82に大きな電流が流れにくくなることが実験からわかっている。コンデンサー81の電位の変化を抑えれば現像装置1内の回路に大きな電流が流れにくくなるメカニズムは完全に明確ではないが、コンデンサー81の充放電に起因する電流の変化が無くなり、更に、偏磁や磁気飽和の発生が抑えられるためと考えられる。
そこで、制御信号生成部9はデューティ比の変化前と変化後で制御クロック信号S1の直流成分(面積中心値V0)が等しくなるように、各デューティ比の制御クロック信号S1の直流バイアス値を調整する。
図8を用いてこの点を説明する。図8では、左側にデューティ比が30%程度の制御クロック信号S1の波形の一例を示し、右側にはデューティ比が40%程度の制御クロック信号S1の波形の一例を示している。又、図8のタイミングチャートに示す各デューティ比での制御クロック信号S1の振幅V1は等しい(例えば、3V程度)。尚、各モードで現像ローラー11に印加する交流電圧のピーク間電圧を変化させるのであれば、デューティ比の変化前と変化後で制御クロック信号S1の振幅を変えてもよい。デューティ比の変化前と変化後で制御クロック信号S1の振幅を変えても、制御信号生成部9はデューティ比の変化前と変化後で直流成分(面積中心値V0)が等しい制御クロック信号S1を生成する。又、図8では、0V(グランドレベル)を一点鎖線で図示している。
図8に示すように、各デューティ比の制御クロック信号S1では、面積中心値V0(積分平均値)のレベルは等しくされる。言い換えると、制御信号生成部9はデューティ比に応じて、面積中心値V0(積分平均値)が等しくなるように、制御クロック信号S1の直流バイアス値を調整する。尚、図8では、デューティ比が30%程度のときの直流バイアス値をVaで示し、デューティ比が40%程度のときの直流バイアス値をVbで示す。
上述のように、デューティ比が大きくなると、面積中心値V0(積分平均値)は大きくなるので、デューティ比が大きいほど、制御信号生成部9は制御クロック信号S1の直流バイアス値を小さくする。
次に、図9を用いて、制御信号生成部9の構成の一例を説明する。例えば、制御信号生成部9は内部に制御回路91やDA変換部92やセレクタ93、94やアンプ95、96を含む。例えば、制御回路91はCPUやメモリーを含む基板やチップである。
又、DA変換部92はディジタル−アナログコンバーターであり、制御回路91の指示に応じた直流電圧を出力する。制御回路91は制御部7から現像装置1のモード(現像実行のモード、第1モード、第2モード)の遷移に伴うデューティ比の変化の指示を受ける。制御回路91はディジタル信号(例えば、シリアル信号)で出力すべき電圧値(信号値)をDA変換部92に指示する。制御回路91は、モードの遷移に応じて、デューティ比の変化前と変化後の制御クロック信号S1のHigh状態のときの信号値とLow状態のときの信号値を含め、複数種の信号値の電圧を予めDA変換部92に生成させる(図6ではDA変換部92が予め6種のアナログ電圧を生成し出力する例を例示)。
DA変換部92が生成した複数種のアナログ電圧はセレクタ93、94のいずれかに入力される。図9の例ではセレクタ93、94を2つ設ける例を示すが、セレクタ93、94の設置数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。そして、セレクタ93、94の出力端にはそれぞれアンプ95、96が接続される。アンプ95、96はセレクタ93、94の出力(例えば、電流)を増幅し、制御信号生成部9外に出力する。具体的に、アンプ95、96の出力はコンデンサー81に入力される。予めDA変換部92が複数の信号値を生成しているので、制御回路91はセレクタ93、94で出力を選択するだけで高速に所望の信号値の制御クロック信号S1をコンデンサー81に入力することができる。
そして、制御回路91はデューティ比の変化前と変化後で振幅V1が等しく、コンデンサー81に印加される制御クロック信号S1の1周期での面積中心値V0(積分)が同じとなるように、デューティ比の変化前のHigh状態用の信号値とLow状態用の信号値と、デューティ比の変化後のHigh状態用の信号値とLow状態用の信号値をDA変換部92に生成させる。そして、制御回路91はデューティ比の変化前、セレクタ93、94を制御し、デューティ比にあわせたタイミングで、デューティ比の変化前のHigh状態の信号値とLow状態の信号値を、交互にセレクタ93、94から出力させる。そして、制御部7からのデューティ比の変化の指示に基づき、制御回路91はセレクタ93、94を制御し、変化後のデューティ比にあわせたタイミングで、変化後のデューティ比のHigh状態の信号値とLow状態の信号値を交互にセレクタ93、94から出力させる。
尚、制御クロック信号S1の1周期での面積中心値V0(積分平均値)は予め定められた固定の値としてもよい。この場合、DA変換部92は固定された面積中心値V0に応じ、制御クロック信号S1の振幅に基づき、デューティ比に応じた予め定められた信号値を生成する。例えば、制御クロック信号S1の振幅が1Vであり、面積中心値V0を1Vで固定とすれば、例えば、デューティ比が40%であれば、DA変換部92は[面積中心値V0+0.6=1.6V]と[面積中心値V0−0.4V=0.6V]の信号値を生成する。このとき、制御信号生成部9は0.6V分、制御クロック信号S1をバイアスしている(直流成分を重畳している)。又、例えば、デューティ比が30%であれば、DA変換部92は[面積中心値V0+0.7=1.7V]と[面積中心値V0−0.3V=0.7V]の信号値を生成する。このとき、制御信号生成部9は0.7V分、制御クロック信号S1をバイアスしている(直流成分を重畳している)。
(デューティ比の変化の処理の流れ)
次に、図10を用いて、第1の実施形態の現像装置1でのデューティ比の変化の流れの一例を説明する。図10は第1の実施形態に係る制御クロック信号S1のデューティ比を変化の処理の流れの一例を示すフローチャートである。尚、本実施形態の現像装置1では、現像実行モードから第1モード又は第2モードに移行するときや、第1モード又は第2モードから現像実行モードに移行するときがデューティ比を変化させるときに該当する。
そのため、図10のスタートは制御部7から制御信号生成部9や現像ローラーバイアス部83や磁気ローラーバイアス部84に現像実行モードから第1モードや第2モードへの遷移の指示が入力された時点や、第1モード又は第2モードから現像実行モードへの遷移の指示が入力された時点である。
現像実行モードから第1モードや第2モードへの遷移や第1モード又は第2モードから現像実行モードへの遷移の指示を制御部7から受けると、現像ローラーバイアス部83は現像ローラー11に印加する直流電圧を変化させ、磁気ローラーバイアス部84は磁気ローラー12に印加する直流電圧を変化させる(ステップ♯1)。尚、現像ローラー11や磁気ローラー12に印加するバイアスを変えないならば、ステップ♯1は必要ない。
続いて、制御信号生成部9は変化後のデューティ比の制御クロック信号S1の直流バイアス値を調整し、デューティ比変化前と変化後で制御クロック信号S1の面積中心値V0が変わらないように、制御クロック信号S1のデューティ比を変化する(ステップ♯2)。このとき、制御信号生成部9はデューティ比変化前と変化後で制御クロック信号S1の面積中心値V0が変わらないようにデューティ比ごとに予め定められた信号値の制御クロック信号S1を出力するようにしてもよい。
尚、制御信号生成部9内のDA変換部92はデューティ比変化後の制御クロック信号S1の信号値(デューティ比変化後のHigh状態の信号値とLow状態の信号値)を予め出力しておく。そして、制御信号生成部9内の制御部7がセレクタ93、94により適切な信号値を選択し、コンデンサー81に入力する。
制御信号(制御クロック信号S1)のデューティ比を変化させるとき、コンデンサー81に入力する制御信号の1周期における面積中心値V0(積分平均値、直流成分)をデューティ比の変化前と変化後で保てば、電流の増加や磁気飽和が抑えられ、現像装置1に含まれるトランス82等の回路での極端な電流増加を抑えられることが経験的に得られている。そのメカニズムは断定できないが、以下のような理由であると考えられる。まず、制御信号のデューティ比を変化させると、制御信号の直流成分の大きさが変化し、制御信号の1周期における積分平均値(面積中心値V0)が変化する。そのため、制御信号のデューティ比が変化すると、コンデンサー81では直流成分の大きさの変化に応じて電荷の充電や放電がなされる。そうすると、コンデンサー81の充電や放電に起因してトランス82の1次側で流れる電流の量が増加し、トランス82で偏磁や磁気飽和が生じやすくなる。このような背景から、コンデンサー81に印加される直流成分の増減を無くせば、磁気飽和が生じ難くなるものと考えられる。
そこで、本実施形態に係る現像装置1は、感光体ドラム42に対向され、トナーを担持する現像ローラー11と、現像ローラー11に対向して配され、磁気ブラシにより現像ローラー11へのトナーの供給及び現像ローラー11からのトナーの剥離を行う磁気ローラー12と、コンデンサー81と一次側にコンデンサー81が接続され、二次側から現像ローラー11に印加する交流電圧を出力するトランス82と、コンデンサー81に入力するための制御信号(制御クロック信号S1)を生成し、制御信号のデューティ比を変化させるとき、制御信号のデューティ比の変化前と変化後で制御信号の直流成分が等しくなるように、デューティ比の変化にあわせて制御信号の直流バイアス値を調整する制御信号生成部9と、を含む。
これにより、コンデンサー81に印加される電圧の直流成分を制御信号(制御クロック信号S1)のデューティ比の変化前と変化後で保ち、磁気飽和を生じ難くすることができる。従って、制御信号のデューティ比を変化させても、現像装置1に含まれる回路で大きな電流が流れることを防ぐことができ、現像装置1内の回路の破損を防ぐことができる。更に、トナー像のムラの発生の防止するうえで適切なデューティ比としたり、現像ローラー11と感光体ドラム42の間でリークが生じないデューティ比としたりするため、任意にデューティ比を問題なく変化させることができる。従って、リークがなく、トナー像のムラの発生が抑えられた高画質の現像装置1を提供することができる。
又、印刷中、大き目のデューティ比である方がトナー像のムラを適切に解消できる場合がある。一方で、印刷していない状態では、トナーの剥離による現像ローラー11の表面の露出などにより、小さめのデューティ比である方が、リークが生じにくくなる場合がある。そこで、制御信号生成部9は感光体ドラム42に形成された静電潜像の現像を行う現像実行モードでのデューティ比と、感光体ドラム42に形成された静電潜像の現像を行わない現像未実行モードでのデューティ比を異ならせ、現像実行モードでのデューティ比は、現像未実行モードでのデューティ比よりも大きい。これにより、トナー像のムラを適切に解消しつつ、リークを発生し難くすることができる。そして、速やかに現像実行モードでのデューティ比と現像未実行モードでのデューティ比の間でデューティ比を変化させることができる。従って、第1デューティ比と第2デューティ比間でデューティ比を変化させるために、従来のように、意図的に紙間を広げる、印刷を止めるなどの対策をとる必要が無く、現像処理の速度を落とさず、高速に現像処理を行うことが可能な現像装置1を提供することができる。
又、制御信号生成部9は、制御信号(制御クロック信号S1)としてクロック信号(制御クロック信号S1)を生成し、クロック信号(制御クロック信号S1)のデューティ比の変化前と変化後での直流成分が等しくなるように、クロック信号(制御クロック信号S1)の直流バイアス値を調整する。これにより、信号値が急峻に変化するクロック信号(制御クロック信号S1)(方形波)でデューティ比を変化させても、磁気飽和の発生を確実に防ぐことができる。
又、画像形成装置(例えば、プリンター100)は、実施形態に係る現像装置1を含む。これにより、画像形成装置は、制御信号(制御クロック信号S1)のデューティ比を変化させても、磁気飽和が生じず回路の破損が無い現像装置1を含み、現像装置1で故障や問題か生じない画像形成装置を提供することができる。しかも、現像装置1において、トナー像のムラの発生の防止するうえで適切なデューティ比としたり、現像ローラー11と感光体ドラム42の間でリークが生じないデューティ比としたりするため、任意にデューティ比を問題なく変化させることができ、リークがなく、トナー像のムラの発生が抑えられた高画質の画像形成装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
次に、図11、図12を用いて第2の実施形態を説明する。図11は第2の実施形態に係るデューティ比の段階的な変化の概要を示す説明図である。図12は第2の実施形態に係る制御クロック信号S1のデューティ比を変化させるときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
上述のように、デューティ比を変化させるとトランス82で偏磁が生じ、大きな電流が現像装置1内(例えば、トランス82やコンデンサー81)で流れやすくなる。特に、瞬間的なデューティ比の変化量が大きいほど、トランス82での大きな偏磁が生じやすくなる。
一方、トランス82で偏磁が生じても、コンデンサー81とトランス82の共振により、コンデンサー81とトランス82間の電位は振動しながら時間の経過とともに偏磁が収まってゆく。従って、トランス82の偏磁は時間の経過とともに収まる傾向を示す。
そこで、第2の実施形態の現像装置1では、制御信号生成部9は段階的にクロック信号(コンデンサー81に印加される電圧)のデューティ比を変化させて、1回あたりのデューティ比の変化量を抑えつつ、目標のデューティ比に変化させる。これにより、現像装置1の回路にできるだけ大きな電流を流さないようにしつつ、デューティ比を変化することができる。
尚、段階的にクロック信号(コンデンサー81に印加される電圧)のデューティ比を変化させる点が第1の実施形態とは異なるが、その他の点は第1の実施形態と同様でよい。例えば、制御クロック信号S1の面積中心値V0(積分平均値)をデューティ比の変化前と変化後で変えないように制御クロック信号S1の直流バイアス値を調整する点は第1の実施形態と同じである。そのため、第1の実施形態と第2の実施形態の共通する部分については、第1の実施形態での説明を援用するものとし、特に説明する場合を除き、説明、図示を省略する。
そこで、図11を用いて第2の実施形態でのデューティ比の変化の一例を説明する。図11の例は、連続して用紙に印刷を行い、現像実行モード→紙間による第1モード→現像実行モードとモードを遷移させるときのデューティ比の変化の一例を示している。尚、図11の例では、現像実行モードの制御クロック信号S1のデューティ比を40%程度として示し、第1モードの制御クロック信号S1のデューティ比を30%程度として示している。
図11に示すように、現像実行モードから第1モードへの遷移に伴ってクロック信号のデューティ比を変化させるとき、制御信号生成部9はトランス82で磁気飽和が生じない刻み幅(図11で刻み幅の一例をΔDとして図示)でデューティ比を変化させる。又、第1モードの制御クロック信号S1のデューティ比から現像実行モードの制御クロック信号S1のデューティ比に戻すときも、制御信号生成部9はトランス82で磁気飽和が生じない刻み幅(図11で刻み幅の一例をΔDとして図示)でデューティ比を変化させる。例えば、図11の例では、デューティ比の刻み幅は2%である。この刻み幅は予め実験を行う等により、トランス82に磁気飽和が生じないような値に任意に定めることができる。
図11に示すように、変化させるべき制御クロック信号S1のデューティ比の幅が10%であり、刻み幅が2%であれば、制御信号生成部9は5段階に分けて(5回変化させて)目標のデューティ比まで変化させる。この段階数は6段階以上でもよいし、2段階〜4段階でもよいが、段階数が多いほどトランス82に磁気飽和が生じ難くなるので、例えば、5段階以上にすることが好ましい。
例えば、制御信号生成部9は数ミリ秒〜10ミリ秒程度の間隔でデューティ比を段階的に変化させてゆく。例えば、紙間は200ミリ秒から300ミリ秒程度に設定される。そのため、紙間の間に、目標のデューティ比まで段階的にデューティ比を変えるための時間的な余裕は十分にある。
(段階的にデューティ比を変化させるときの処理の流れ)
次に、図12を用いて、第2の実施形態での制御クロック信号S1のデューティ比を段階的に変化させるときの処理の流れの一例を説明する。図12は第2の実施形態でのクロック信号等のデューティ比を段階的に変化させるときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。尚、本実施形態でも現像実行モードから第1モード又は第2モードに移行するときや、第1モード又は第2モードから現像実行モードに移行するときがデューティ比を変化させるときに該当する。
そのため、図12のスタートは制御部7から制御信号生成部9や現像ローラーバイアス部83や磁気ローラーバイアス部84に現像実行モードから第1モードや第2モードへの遷移の指示が入力された時点や、第1モード又は第2モードから現像実行モードへの遷移の指示が入力された時点である。
現像実行モードから第1モードや第2モードへの遷移や第1モード又は第2モードから現像実行モードへの遷移の指示がされたとき、現像ローラーバイアス部83は現像ローラー11に印加する直流電圧を変化させ、磁気ローラーバイアス部84は磁気ローラー12に印加する直流電圧を変化させる(ステップ♯21)。尚、現像ローラー11や磁気ローラー12に印加するバイアスを変えないならば、ステップ♯21は必要ない。
続いて、制御信号生成部9は変化後のデューティ比の制御クロック信号S1の直流バイアス値を調整し、デューティ比変化前と変化後で制御クロック信号S1の面積中心値V0が変わらないように、制御クロック信号S1のデューティ比を予め定められた刻み幅だけ変化させる(ステップ♯22)。尚、現像実行モードから第1モードや第2モードに遷移するとき、クロック信号のデューティ比は小さくされる。又、第1モード又は第2モードから現像実行モードに遷移するとき、クロック信号のデューティ比は大きくされる。デューティ比の刻み幅は変動させてもよい。そして、制御信号生成部9は目標とするデューティ比に到達しているか否かを確認する(ステップ♯23)。例えば、現像実行モードの制御クロック信号S1のデューティ比(40%程度)や第1モードの制御クロック信号S1のデューティ比(30%程度)が目標とするデューティ比である。
もし、デューティ比が目標とするデューティ比に到達していれば(ステップ♯23のYes)、本フローは終了する(エンド)。そして、制御信号生成部9や制御回路91はモードの遷移や印加無の指示を制御部7から受けるまでデューティ比を維持する。
一方、デューティ比が目標とするデューティ比に到達していなければ(ステップ♯23のNo)、制御信号生成部9は先にデューティ比を変化させてから予め定められた時間が経過したか否かの確認を続ける(ステップ♯24、ステップ♯24のNo→ステップ♯24)。例えば、制御信号生成部9の制御回路91は内部にタイマーを有し計時機能を含む。そして、制御回路91は先にデューティ比を変化させてから次に刻み幅だけデューティ比を変化させるべき時点に到ったか否かを確認する(ステップ♯24)。例えば、予め定められた時間は先にデューティ比を変化させてから次に刻み幅だけデューティ比を変化させても磁気飽和が生じないと認められる時間以上に設定される。もし、先にデューティ比を変化させてから予め定められた時間が経過すれば(ステップ♯24のYes)、フローはステップ♯22に戻る。
このようにして、本実施形態の制御信号生成部9は、第1デューティ比から第2デューティ比にまでデューティ比を変化させるとき、トランス82で磁気飽和が生じない刻み幅で、予め定められた時間を確保しつつ第1デューティ比から第2デューティ比まで段階的に、デューティ比を複数回変化させる。これにより、確実にトランス82で磁気飽和が生じないようにデューティ比を変化させることができる。又、デューティ比を変化させてから、少なくとも予め定められた時間経過してから次の段階的なデューティ比が変えられるので、デューティ比の変化により発生した偏磁が収まるまでの時間が確保される。従って、デューティ比の変化によって現像装置1に大きな電流が流れ、現像装置1内の回路を破損することが無くなる。
上記の第1、第2の実施形態では、正帯電の感光体ドラム42やトナーを例に挙げて説明したが、本発明は負帯電の感光体ドラム42やトナーを用いた場合にも適用することができる。このとき、負帯電用に現像を実行している状態(現像実行モード)では、ムラが少なくなるようにデューティ比を定め、現像を実行していない状態(現像不実行モード)ではリークが生じないようにデューティ比を定めればよい。
以上、本発明の第1の実施形態について説明したが本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変化を加えて実施することができる。