JP2013210326A - 接触式内部温度計 - Google Patents
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Abstract
【課題】接触式内部温度計において、恒温熱源が内部で偏在している測定対象物の内部温度を正確に測定すること、及び/又はその恒温熱源の位置を検出すること。
【解決手段】本発明に係る接触式内部温度計100は、測定対象物の被測定面に接触させる測定面20と、第1の測定面側温度センサと第1の背面側温度センサが配置される第1の温度センサ積層体31と、第2の測定面側温度センサと第2の背面側温度センサが配置され、前記第1の温度センサ積層体と第1の所定距離をおいて配置される第2の温度センサ積層体41と、第3の測定面側温度センサと第3の背面側温度センサが配置され、前記第2の温度センサ積層体と第2の所定距離をおいて配置される第3の温度センサ積層体51と、を少なくとも有し、各温度センサの測定結果と各所定距離に基づいて、前記測定対象物内部の恒温熱源の温度又は位置或いはその両方を算出するコントローラを有する。
【選択図】図3
【解決手段】本発明に係る接触式内部温度計100は、測定対象物の被測定面に接触させる測定面20と、第1の測定面側温度センサと第1の背面側温度センサが配置される第1の温度センサ積層体31と、第2の測定面側温度センサと第2の背面側温度センサが配置され、前記第1の温度センサ積層体と第1の所定距離をおいて配置される第2の温度センサ積層体41と、第3の測定面側温度センサと第3の背面側温度センサが配置され、前記第2の温度センサ積層体と第2の所定距離をおいて配置される第3の温度センサ積層体51と、を少なくとも有し、各温度センサの測定結果と各所定距離に基づいて、前記測定対象物内部の恒温熱源の温度又は位置或いはその両方を算出するコントローラを有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、接触式内部温度計に関する。
様々な状況において、測定対象物の表面温度ではなく、その内部温度を迅速・正確かつ簡便(すなわち、非侵襲)に測定したいとの要求が存在している。そのような要求の代表的なものとして、人体を含む生体の体温測定が挙げられる。しかしながら、生体の内部温度(深部体温などと称されることもある)、すなわち、血流により概ね恒温に保たれていると考えられる程度の生体内部の温度を測定するのは通常困難である。測定対象が人体の場合、一般的には、舌下や脇の下など熱が外部に逃げにくい場所に温度計を保持し、温度計と人体とが熱平衡状態となってからの温度計の読みを体温として採用することが多いが、熱平衡状態が得られるまでに5分から10分程度と長時間を要し、また得られる体温は必ずしもその内部温度と一致するとは限らない。このため、かかる方式は、乳幼児やある種の傷病患者等、長時間の体温測定が困難な対象への適用が困難な場合があり、また、精密な体温管理を行うに足る精度の高い体温を得るのは難しい。
そこで、人体の内部温度を迅速・正確に測定するための温度計として、特許文献1に開示されているように、体表面に接触する第1の温度センサと、第1の温度センサに対し断熱材を挟んで配置される第2の温度センサからなる組を少なくとも二組備え、それぞれの組における断熱材の熱抵抗値を異ならしめた深部体温計が提案されている。
また、特許文献2には、2組のセンサの組を用い、第2の温度センサ(中間センサ)と外気との間にさらに断熱材を配置し、各センサの組を通過する熱流束の値を異なるものとした体温計が開示されている。
特許文献1に記載の深部体温計、特許文献2に記載の体温計のいずれも、定常状態における各温度センサにおける温度測定結果から連立熱伝導方程式を解き、深部体温を求めるものである。
上述の特許文献1の深部体温計や特許文献2に記載の体温計では、測定対象物の内部にあると考えられる恒温熱源から体温計までの熱抵抗を一定と仮定しており、その恒温熱源の位置は何ら考慮されていない。しかしながら、測定対象物が例えば人体等の生体である場合には、恒温熱源として考えられるのは、体幹から常に新たな熱を輸送してくる動脈等の血管である。このような恒温熱源は、測定対象物の内部に偏在しているため、測定対象物の表面に接触している各センサの組と恒温熱源までの距離は、センサの組毎に異なる。そのため、実際には測定対象物の内部にあると考えられる恒温熱源から体温計までの熱抵抗は一定でないと考えられ、このことを理由として、上述の特許文献1の深部体温計や特許文献2に記載の体温計では、内部温度が正確に測定できない恐れがある。また、血管等の恒温熱源が偏在しているとの観点に立てば、その位置を非侵襲にて検出することには有用性があると考えられる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、接触式内部温度計において、恒温熱源が内部で偏在している測定対象物の内部温度を正確に測定すること、及び/又はその恒温熱源の位置を検出することである。
なお、ここまでの記載は接触式内部温度計の代表的な例として人体の内部温度を測定する体温計について主に説明したが、本発明が対象とする接触式内部温度計はこれに限定されるものでなく、生物・無生物問わず非侵襲にてその内部温度を測定する必要があるいかなる測定対象物にも適用可能である。
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下のとおりである。
(1)測定対象物の被測定面に接触させる測定面と、第1の熱抵抗体の測定面側に第1の測定面側温度センサが配置され、背面側に第1の背面側温度センサが配置される第1の温度センサ積層体と、第2の熱抵抗体の測定面側に第2の測定面側温度センサが配置され、背面側に第2の背面側温度センサが配置され、前記第1の温度センサ積層体と第1の所定距離をおいて配置される第2の温度センサ積層体と、第3の熱抵抗体の測定面側に第3の測定面側温度センサが配置され、背面側に第3の背面側温度センサが配置され、前記第2の温度センサ積層体と第2の所定距離をおいて配置される第3の温度センサ積層体と、を少なくとも有し、前記第1の測定面側温度センサ、前記第1の背面側温度センサ、前記第2の測定面側温度センサ、前記第2の背面側温度センサ、前記第3の測定面側温度センサ及び前記第3の背面側温度センサの測定結果と、前記第1の所定距離と前記第2の所定距離に基づいて、前記測定対象物内部の恒温熱源の温度又は位置或いはその両方を算出するコントローラを有する接触式内部温度計。
(2)(1)において、前記コントローラは、前記恒温熱源の位置を算出するものであり、さらに前記恒温熱源の位置を表示する位置表示部を有する請求項1記載の接触式内部温度計。
(3)(1)又は(2)において、前記コントローラによる前記恒温熱源の温度又は位置或いはその両方の算出後、少なくとも前記第1の温度センサ積層体、前記第2の温度センサ積層体及び前記第3の温度センサ積層体のいずれかを冷却する冷却機構を有する接触式内部温度計。
上記(1)の側面によれば、接触式内部体温計において、恒温熱源が内部で偏在している測定対象物の内部温度を正確に測定すること、及び/又はその恒温熱源の位置を検出することができる。
上記(2)の側面によれば、測定対象物内部の恒温熱源の位置を使用者に通知できる。
上記(3)の側面によれば、連続して測定を行う際にも正確に測定対象物の内部温度を測定できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る接触式内部温度計100を背面側から見た外観図、図2は同実施形態に係る接触式内部温度計100を測定面側から見た外観図である。なお、本明細書にて接触式内部温度計とは、温度計であって、測定対象表面に接触させることにより内部温度を測定する温度計を意味している。また、内部温度とは、測定対象の表面温度でなく、その内部であって、実質的に恒温熱源と考えられる部位の温度を意味している。ここで、実質的に恒温熱源と考えられるとは、測定対象内部の熱容量が大きい場合や、測定対象内部に常に熱が供給される結果、接触式内部温度計による測定がその温度に実用上の影響を及ぼさないと考えられることを意味している。たとえば、測定対象が生体である場合には、血流により体幹より常に熱が供給されることとなるので、血管、特に動脈は恒温熱源と看做してよい。
本実施形態で示す接触式内部温度計100は、図示の通り携帯式であり、ケース1の先端に測定ヘッド2が取り付けられている。測定ヘッド2はケース1から突き出すように設けられており、その先端はおおむね平坦な測定面20となっている。そして、かかる測定面20を測定対象物の被測定面、例えば皮膚に接触させることによりその内部温度を計測する。測定面20の表面には、略円形の第1のプローブ30、第2のプローブ40及び第3のプローブ50が図2に示すように、接触式内部温度計100の長手方向に沿って直列に配置されている。なお、これら第1のプローブ30、第2のプローブ40及び第3のプローブ50の配置は任意であり、その配置方向は必ずしも接触式内部温度計100の長手方向に沿ったものでなくともよい。
ケース1の測定面20の反対側の面である背面10には、ランプ11、表示部12、ブザー13、インジケータ8が設けられている。以降、本明細書では、測定面20が向く方向を測定面側、その反対方向である背面が向く方向を背面側と称する。また、ケース1は長く伸び丸みを帯びた形状をしており、使用者が手に持つグリップ14を形成している。図2に見られるように、ケース1のグリップ14の測定面側には電池蓋15が設けられ、内部に接触式内部温度計100の電源となる電池を収容するようになっている。また、ケース1の適宜の位置、ここでは図2に示した位置に吸気穴16が、測定ヘッド2の側面に排気穴21が設けられ、それぞれの内部空間が外気と連通するようになされている。ケース1と測定ヘッド2は、支持環5により接続されている。
なお、図1及び図2に示した接触式内部温度計100のデザインは一例である。かかるデザインは、その主たる用途や市場性等を考慮の上適宜変更して差し支えない。また、各構成部品の配置は、その機能を損なわない範囲で任意に選択してよい。
図3は、図1のIII−III線による接触式内部温度計100の概略断面図である。ケース1は、好ましくはABS樹脂等任意の合成樹脂製の中空の成形品であり、接触式内部温度計100を構成する各種部品をその内部に一体に収容する。グリップ14内には、電池6及び回路基板17が収容されている。回路基板17上には、その上に図示しないコントローラをはじめとする各種の電子部品が実装されており、電池6からの電力供給を受けて、電力を必要とする全ての部品への電力を供給するとともにその動作を制御している。電池6は、図示のものは市販の単4型(米国ではAAAと称される)乾電池であるが、その形式は任意のものであってよく、ボタン型、角型等の形状や、1次電池・2次電池の別も任意であってよい。なお、各部品と回路基板17とを電気的に接続する配線は、図示が煩雑となるため省略している。
ランプ11は、好ましくは多色発光可能な発光ダイオードであり、接触式内部温度計100の状態を使用者に通知するために点灯するものである。表示部12は、本実施形態では液晶表示装置であり、接触式内部温度計100の測定結果を図1に示すような態様で使用者に通知するためのものである。もちろん、表示部12にはこのほかにも任意の情報、例えば、電池6の残量等を表示するようにしてよい。あるいは、接触式内部温度計100の状態を併せて表示するようにして、ランプ11を省略してもよい。ブザー13は、本実施形態では一般的な電子ブザーであり、ビープ音により接触式内部温度計100の状態を使用者に通知するためのものである。なお、ブザー13の形式も又任意であり、スピーカを備えるようにして、音声あるいはメロディ等による通知をするようにしてもよい。あるいは、ランプ11及び/又は表示部12による通知のみとして、ブザー13を省略してもよい。
また、インジケータ8は、使用者に恒温熱源の位置を表示する位置表示部であり、本実施形態では、適宜の基板上に複数(図示のものでは5つ)の発光ダイオードを直線上に並べて実装したものとなっている。インジケータ8上のいずれかの発光ダイオードを点灯することにより、使用者は恒温熱源の位置を大まかに知ることができるようになっている。インジケータ8の発光ダイオードの配置方向は、第1のプローブ30、第2のプローブ40及び第3のプローブ50が配置される方向と一致させる。なお、インジケータ8がランプ11を兼ねるようにしてもよい。また、インジケータ8の具体的な構成は本実施形態で示したものに限定されず、後述するように、使用者に恒温熱源の位置を知らしめることのできる表示装置であればどのような形式のものであってもよい。
また、ケース1内部には隔壁18が設けられており、ケース1内部をグリップ空間19aとヘッド空間19bとに仕切っている。隔壁18には開口が設けられており、かかる開口を塞ぐようにブロア7が取り付けられている。ブロア7の機能については後述する。
ケース1の先端部には、支持環5を介して測定ヘッド2が取り付けられる。支持環5は、好ましくはシリコンゴム或いはその発泡体等の弾力を有し且つ断熱性に優れた材料で形成され、測定ヘッド2のケース1に対する若干の動きを許容するとともに、測定ヘッド2からケース1への伝熱を遮断するようになっている。これは、測定面20を測定対象物に接触させる際に、測定面20が確実に測定対象物に密着するようにするためと、測定ヘッド2からケース1へと熱が流出することによる測定誤差の発生を防止するためである。しかしながら、支持環5は必須の構成でなく、測定面20と測定対象物との密着に問題がなく、また測定ヘッド2が十分に熱伝導率の低い材質であり実用上問題ない場合には、これを省略し、測定ヘッド2を直接ケース1に固定する又は両者を一体に形成するなどしてもよい。また、支持環5の形状も環状に限定されるものでなく、任意の形状のものを用いてよい。
測定ヘッド2は、形状が安定しており、熱伝導率が低く、かつ比熱の小さい材質で形成することが好ましく、例えば、硬質発泡ウレタンや硬質発泡塩化ビニルが好適に用いられる。しかしながら、この点についても実用上の問題がなければ材質は特に限定されるものでなく、任意でよい。
測定ヘッド2の測定面20には第1のプローブ30、第2のプローブ40及び第3のプローブ50に対応する位置にそれぞれ開口が設けられており、各プローブが測定面20からわずかに突出するように取り付けられている。各プローブは、熱伝導率の高い材質であることが好ましく、本実施形態では金属製である。なお、各プローブの材質は耐腐食性を備えていることが好ましく、金属材料では、アルミニウムやステンレスが好適である。なお、上述の通り、測定ヘッド2自体は熱伝導率が低い材質から構成されるため、第1のプローブ30、第2のプローブ40及び第3のプローブ50は、互いに熱的に隔離されることとなる。
第1のプローブ30の背面側には第1の温度センサ積層体31が、第2のプローブ40の背面側には第2の温度センサ積層体41が、そして第3のプローブ50の背面側には第3の温度センサ積層体51が設けられており、両者はそれぞれ互いに熱的に結合している。第1の温度センサ積層体31、第2の温度センサ積層体41及び第3の温度センサ積層体51の詳細については後述する。なお、温度センサ積層体は、本実施形態では第1の温度センサ積層体31、第2の温度センサ積層体41及び第3の温度センサ積層体51の3つを設けているが、誤差の分散あるいは故障時のバックアップ目的で、プローブ及び温度センサ積層体を4つ以上設けるようにしてもよい。
図4は、図3における測定ヘッド2近傍の拡大断面図である。ここでは、図3の支持環5より背面側に位置する部材は図示を省略している。
同図に詳細に示されるように、第1の温度センサ積層体31は、測定面20側に配置され、第1のプローブ30と接触し熱的に結合する第1の測定面側温度センサ31aと、背面側に配置される第1の背面側温度センサ31bと、その間に配置され、第1の測定面側温度センサ31aから第1の背面側温度センサ31bへの熱流路を形成する熱抵抗として機能する第1の熱抵抗体31cを積層した構造となっている。また、第2の温度センサ積層体41は第1の温度センサ積層体31と同様の構造となっており、測定面側に配置され、第2のプローブ40に接触し熱的に結合する第2の測定面側温度センサ41a、背面側に配置される第2の背面側温度センサ41bと、その間に配置され、第2の測定面側温度センサ41aから第2の背面側温度センサ41bへの熱流路を形成する熱抵抗として機能する第2の熱抵抗体41cを積層した構造となっている。同様に、第3の温度センサ積層体51は、測定面側に配置され、第3のプローブ50に接触し熱的に結合する第3の測定面側温度センサ51a、背面側に配置される第2の背面側温度センサ51bと、その間に配置され、第3の測定面側温度センサ51aから第2の背面側温度センサ51bへの熱流路を形成する熱抵抗として機能する第3の熱抵抗体51cを積層した構造となっている。
従って、測定面20を測定対象物に接触させると、測定対象物から熱が第1のプローブ30、第2のプローブ40及び第3のプローブ50に伝わり、その熱はそれぞれ第1の温度センサ積層体31については第1の測定面側温度センサ31a、第1の熱抵抗体31c、第1の背面側温度センサ31bを順番に通過し、第2の温度センサ積層体41については第2の測定面側温度センサ41a、第2の熱抵抗体41c、第2の背面側温度センサ41bを順番に通過し、第3の温度センサ積層体51については第3の測定面側温度センサ51a、第2の熱抵抗体51c、第2の背面側温度センサ51bを順番に通過して大気に放散されることになる。
各温度センサにはどのようなものを用いてもよいが、本実施形態ではサーミスタである。それぞれの温度センサは、回路基板17(図3参照)に図示しない配線により接続されており、各温度センサにおける温度を検知できるようになっている。
ここで、本実施形態に係る接触式内部温度計100は、定常状態において測定対象物の内部温度である恒温熱源の温度又は位置或いはその両方を測定するものであるが、かかる測定を行うためには、定常状態において、第1の温度センサ積層体31を通過する熱流束と、第2の温度センサ積層体41を通過する熱流束と、第3の温度センサ積層体51を通過する熱流束の大きさがそれぞれ異なっており、熱抵抗体31c、熱抵抗体41c及び熱抵抗体51cの熱抵抗の値が既知である必要がある。そこで、図4に示されているとおり、熱抵抗体31c、熱抵抗体41c及び熱抵抗体51cの厚みをそれぞれ異なるものとすることにより、これらの熱抵抗の値を互いに異なるものとしている。なお、熱抵抗体31c、熱抵抗体41c及び熱抵抗体51cの熱抵抗の値を異なるものとするには、ここで示したように、厚み等の幾何学的寸法を異なるものとしたり、その材質を異なるものとしたりするとよい。或いは、熱抵抗体31cと熱抵抗体41cとして同一のものを用い(例えば、温度センサを実装するフレキシブルプリント基板等)、第1の背面側温度センサ31b、第2の背面側温度センサ41b及び第3の背面側温度センサ51bの少なくとも2つに放熱性能を調整するための適宜の構造、例えば、放熱板や放熱フィン或いは断熱材を設けることにより、各温度センサ積層体を通過する熱流束の大きさがそれぞれ異なるようにしてもよい。
ここで、本実施形態に係る接触式内部温度計100による測定原理を図5及び図6を用いて説明する。図5は、図4に示した測定ヘッド2により測定対象物の測定を行う際のモデルを示す図である。また、図6は、図5に示したモデルの等価熱回路を示す図である。
図5において、プローブ30、プローブ40及びプローブ50は直線上に配置されており、それぞれ被測定面に接触している。そして、プローブ30の接触面の中心を原点とし、図示のように、被測定面に平行でかつプローブ50に向かう方向をx方向、また被測定面に垂直で測定対象物内部に向かう方向をz方向としてx−z座標をとる。そして、近似的に各プローブはそれぞれの中心点において被測定面と熱的に接しているものとみなし、プローブ30、プローブ40及びプローブ50のx座標をそれぞれx1、x2、x3とおく。x1及び、各プローブのz座標の値は0である。また、第1の温度センサ積層体31に対する第2の温度センサ積層体41の距離である第1の所定距離と、第2の温度センサ積層体41に対する第3の温度センサ積層体51の距離である第2の所定距離は既知であるから、x2及びx3の値もまた既知である。さらに、点bで示された座標(xb,zb)の位置に動脈等の恒温熱源が存在するものとする。
このときの等価熱回路は、図6に示した通りであり、Tbは恒温熱源bの温度、T11は第1の測定面側温度センサ31aにおける温度、T12は第1の背面側温度センサ31bにおける温度、T21は第2の測定面側温度センサ41aにおける温度、T32は第2の背面側温度センサ41bにおける温度、T31は第3の測定面側温度センサ51aにおける温度、T32は第3の背面側温度センサ51bにおける温度である。また、熱抵抗Rb1は恒温熱源bから第1の測定面側温度センサ31aまでの熱抵抗、熱抵抗Rb2は恒温熱源bから第2の測定面側温度センサ41aまでの熱抵抗、熱抵抗Rb3は恒温熱源bから第3の測定面側温度センサ51aまでの熱抵抗である。さらに、熱抵抗R1は第1の熱抵抗体31cの、熱抵抗R2は第2の熱抵抗体41cの、熱抵抗R3は第3の熱抵抗体51cの熱抵抗である。そして、Tb>T11>T12、Tb>T21>T22及びTb>T31>T32が成立している。
ここで、図に示した系が定常状態にあると仮定すると、TbよりT12へと流れる熱流束q1は一定であるから、次の熱伝導方程式が成立する。
ここで、測定対象物の内部における熱抵抗が測定対象物内部における距離に比例すると仮定し、その比例定数である単位熱抵抗R0を導入すると、
すなわち、恒温熱源bの温度Tbは
また、恒温熱源の位置(xb,zb)はそれぞれ、
したがって、適切な単位熱抵抗R0を定めてやることにより、恒温熱源bの温度Tb及び位置(xb,zb)が求められることになる。かかる単位熱抵抗R0は、測定対象物の材質に応じて定めるとよい。測定対象物が生体である場合には、測定位置により実験的に又はコンピュータシミュレーション等により定めるとよい。また、接触式内部温度件100にあらかじめ複数種類の単位熱抵抗R0を記憶させておき、使用者が測定対象物の材質や測定位置を適宜のインタフェースを通じて選択することにより、使用すべき単位熱抵抗R0の値を決定するようにしてもよい。
続いて、本実施形態に係る接触式内部温度計100を用いて内部温度を測定する手順、すなわち測温動作の手順を図1乃至4を参照しつつ説明する。
手順1:接触式内部温度計100の測定面20を測定対象物に接触させる。
手順2:回路基板17に搭載されたコントローラにより、測温動作が開始される。なお、この測温動作の開始は、第1の測定面側温度センサ31a、第2の測定面側温度センサ41a又は第3の測定面側温度センサ51a或いはそれら全てにより測定される温度の上昇を検知することにより自動的に行ってもよいし、図示しない押ボタン等のスイッチを使用者が操作することにより行ってもよい。このとき、コントローラはブザー13によるビープ音により測定を開始したことを使用者に通知する。同時に、ランプ11を任意の色、例えば赤色に点灯し、使用者に測定面20を測定対象物に接触させたまま維持するよう促す。
手順3:コントローラは、第1の温度センサ積層体31、第2の温度センサ積層体41及び前記第3の温度センサ積層体51が定常状態に達した後、数7により測定対象物内部の恒温熱源の温度Tbを算出する。すなわち、コントローラは、全ての温度センサの出力を監視し、これら温度センサの温度変化があらかじめ定められた閾値以下となったことを検出すると、これら温度センサからの出力を用いて、上述の数7から測定対象物内部の恒温熱源の温度Tbを求める。従って、コントローラは、第1の測定面側温度センサ31a、第1の背面側温度センサ31b、第2の測定面側温度センサ41a、第2の背面側温度センサ41b、第3の測定面側温度センサ51a及び第3の背面側温度センサ51bの測定結果に基づいて測定対象物内部の恒温熱源の温度Tbを算出することになる。さらに、コントローラは、数9により恒温熱源のx座標の値xbを算出する。従って、コントローラは、第1の測定面側温度センサ31a、第1の背面側温度センサ31b、第2の測定面側温度センサ41a、第2の背面側温度センサ41b、第3の測定面側温度センサ51a及び第3の背面側温度センサ51bの測定結果に基づいて測定対象物内部の恒温熱源の位置を算出することになる。
手順4:コントローラは、算出された測定対象物内部の恒温熱源の温度Tbを図1に示したように表示部12に表示する。さらに、算出された測定対象物内部の恒温熱源の位置を、得られた座標xbの値に応じて、図1に示したようにインジケータ8に表示する。この例では、インジケータ8に含まれる発光ダイオードのうち、中央のものを点灯することにより、接触式内部温度計100の長手方向に関し、恒温熱源が測定面20の中央に存在することを示している。また、ブザー13によるビープ音の発生、並びに、ランプ11を先ほどの色とは異なる任意の色、例えば緑色に点灯することにより、使用者に測定が終了したことを通知する。
なお、算出された内部温度Tbは、本実施形態では表示部12に表示することにより使用者に通知することとしているが、これに限られず、接触式内部温度計100に設けたメモリに蓄積したり、接触式内部温度計100の外部の機器に有線又は無線にて出力したりしてもよい。この場合には、表示部12は必ずしも必須の構成ではない。座標xbに関しても同様であり、本実施形態ではインジケータ8に表示することにより使用者に通知しているが、メモリへの蓄積あるいは線又は無線によるを出力をしてもよい。さらに、本実施形態では、測定対象物内部の恒温熱源の深さ方向の位置である座標zbを用いなかったが、これを数10により算出し、任意の方法で使用者に通知してよい。例えば、インジケータ8の発光ダイオードの発光色や、表示部12への表示により座標zbを使用者に通知するとよい。さらに、本実施形態では、接触式内部温度計100は測定対象物内部の恒温熱源の温度Tbを図1に示したように表示部12に表示する。さらに、算出された測定対象物内部の恒温熱源の温度と位置の両方を使用者に通知するものとしているが、必要に応じて、このいずれかのみを算出し、通知するようにしてもよい。
なお、以上の説明では、使用者への測定開始及び測定終了の各種通知をいずれもブザー13によるビープ音及びランプ11の点灯により行ったが、これらの通知の方法はここで例示したものに限定されない。特に、ビープ音についてはこれを省略し、或いは使用者の設定によりこれを発声しないこととしてもよい。音声を用いず、ランプ11の点灯のみにより使用者に各種の通知を行うようにすると、例えば測定対象が就寝中の乳児である場合に、乳児の睡眠を妨げることなく測定が可能である等好ましい場合がある。もちろん、ランプ11の点灯をどのようにするか、例えば発光色をどのように選択するかは任意である。また、発色光によらず、ランプ11を点滅させたり、発光光の強度を変化させたり、あるいはランプ11を複数設けておき、その点灯数や位置を違えることにより使用者に各種通知を行うようにしてもよい。さらに前述したように、ランプ11でなく、表示部12により使用者に各種通知を行ってもよい。
手順5:コントローラは、ブロア7を作動させ、測定部を冷却する。この動作は、第1の温度センサ積層体31、第2の温度センサ積層体41及び第3の温度センサ積層体51を冷却し、次の測定に備えるものである。例えば、最初に比較的高温の測定対象の内部温度を測定し、その直後に、比較的低温の測定対象の内部温度を続けて測定する場合を考えると、最初の測定時に、各温度センサ積層体が次の測定時に必要とされる以上に高温となる場合があり得る。このとき、各温度センサ積層体が定常状態となるためには、これら部材の放熱による自然冷却を待たなければならず、測定に時間を要する場合があり得る。そのため、測定の度に各温度センサ積層体ある程度冷却するのである。
本実施形態では、ブロア7は図1のグリップ空間19aからヘッド空間19bへと流れる気流を発生させる。そのため、ブロア7により誘起される空気の流れは、図中矢印に示すように、吸気穴16から吸い込まれ、ブロア7を通過し、第1の温度センサ積層体31、第2の温度センサ積層体41及び第3の温度センサ積層体51の近傍を通過して排気穴21から排出されるものとなる。従って、本実施形態のブロア7、吸気穴16及び排気穴21は協働して第1の温度センサ積層体31、第2の温度センサ積層体41及び第3の温度センサ積層体51を冷却する冷却機構を構成することになる。
なお、冷却機構の構成はどのようなものであってもよく、ブロア7、吸気穴16及び排気穴21の配置は任意である。また、吸排気の向きを逆にしてもよい。また、ブロア7の形式は特に限定されず、一般的なファンであってもよいし、圧電素子を利用したマイクロブロアであってもよい。あるいは、換気性能に問題がなければ、ブロア7を省略し、吸気穴16及び排気穴21のみにより換気機構を構成しても差し支えない。
以上説明した実施形態に示した具体的な構成は例示として示したものであり、本明細書にて開示される発明をこれら具体例の構成そのものに限定するものではない。当業者はこれら開示された実施形態に種々の変形、例えば、各部材あるいはその部分の形状や数、配置等を適宜変更してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
1 ケース、2 測定ヘッド、5 支持環、6 電池、7 ブロア、8 インジケータ、10 背面、11 ランプ、12 表示部、13 ブザー、14 グリップ、15 電池蓋、16 吸気穴、17 回路基板、18 隔壁、19a グリップ空間、19b ヘッド空間、20 測定面、21 排気穴、30 第1のプローブ、31 第1の温度センサ積層体、31a 第1の測定面側温度センサ、31b 第1の背面側温度センサ、31c 第1の熱抵抗体、40 第2のプローブ、41 第2の温度センサ積層体、41a 第2の測定面側温度センサ、41b 第2の背面側温度センサ、41c 第2の熱抵抗体、50 第3のプローブ、51 第3の温度センサ積層体、51a 第3の測定面側温度センサ、51b 第3の背面側温度センサ、51c 第3の熱抵抗体、100 接触式内部温度計。
Claims (3)
- 測定対象物の被測定面に接触させる測定面と、
第1の熱抵抗体の測定面側に第1の測定面側温度センサが配置され、背面側に第1の背面側温度センサが配置される第1の温度センサ積層体と、
第2の熱抵抗体の測定面側に第2の測定面側温度センサが配置され、背面側に第2の背面側温度センサが配置され、前記第1の温度センサ積層体と第1の所定距離をおいて配置される第2の温度センサ積層体と、
第3の熱抵抗体の測定面側に第3の測定面側温度センサが配置され、背面側に第3の背面側温度センサが配置され、前記第2の温度センサ積層体と第2の所定距離をおいて配置される第3の温度センサ積層体と、
を少なくとも有し、
前記第1の測定面側温度センサ、前記第1の背面側温度センサ、前記第2の測定面側温度センサ、前記第2の背面側温度センサ、前記第3の測定面側温度センサ及び前記第3の背面側温度センサの測定結果と、前記第1の所定距離と前記第2の所定距離に基づいて、前記測定対象物内部の恒温熱源の温度又は位置或いはその両方を算出するコントローラを有する接触式内部温度計。 - 前記コントローラは、前記恒温熱源の位置を算出するものであり、
さらに前記恒温熱源の位置を表示する位置表示部を有する請求項1記載の接触式内部温度計。 - 前記コントローラによる前記恒温熱源の温度又は位置或いはその両方の算出後、少なくとも前記第1の温度センサ積層体、前記第2の温度センサ積層体及び前記第3の温度センサ積層体のいずれかを冷却する冷却機構を有する請求項1又は2に記載の接触式内部温度計。
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